つれづれなるマンガ感想文1月後半

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一気に下まで行きたい



・「湯けむりスナイパー」(6) 松森正、ひじかた憂峰(2001、実業之日本社)
・「週刊漫画アクション」7号(2001、双葉社)
・「パチスロ7 3月号」(2001、蒼竜社)
・「月刊マガジンZ」3月号(2001、講談社)
・「アフタヌーン」3月号(2001、講談社)
・「週刊少年チャンピオン」9号(2001、秋田書店)
・「週刊漫画アクション」6号(2001、双葉社)
・「コミックまぁるまん」3月号(2001、ぶんか社)
・「アワーズライト」3月号(2001、少年画報社)
・「マジカルリップ」 水形陣八郎(2001、司書房)
・「奴隷立國」 海明寺 裕(2001、三和出版)
・「週刊少年チャンピオン」8号(2001、秋田書店)
・「カラフルBee」2月号(2001、ビブロス)
・「アフタヌーン」2月号(2001、講談社)
・「月刊コミックビーム」2月号(2001、エンターブレイン)
・「週刊漫画アクション」5号(2001、双葉社)
・「YOUNG キュン!」2月号(2001、コスミックインターナショナル)





・「湯けむりスナイパー」(6) 松森正、ひじかた憂峰(2001、実業之日本社)

漫画サンデー連載。山奥の温泉宿・椿屋に従業員として就職した元殺し屋・源さんの日常を描く。

ちょっとまだ確認していないんだが、原作のひじかた憂峰はカリブ・マーレイの別ペンネームだと聞いた。もし本当だとしたら、今までの展開にも非常に納得が行く。ひたすらになんてことない温泉宿の日常を描く1話完結形式の物語と、ときおりさしはさまる、なんてことない日常をともにする人々の暗部というかわけありな過去を描いてきたところに不思議な味わいがあったのだが、なんだか魔法が解けちゃった感じ。作者の顔が見えてしまうとね。
いや、あくまで未確認なんだけど。

……だんだん原作者の妙なこだわりが突出しはじめたし(前もそういう展開だったのかもしれないが、気づかなかった)。

たとえばこの巻では「その2 男の夜食」では「インスタントラーメンはカップより袋がぜったいうまい」、「その6 歌のゆくえ」は「椎名林檎礼賛」と「カラオケ批判」、「その7 静かなる狂気」は、「モノを売ることが『洗脳』であると信じる不気味な会社への違和感」、「その10 東京へ」では「芸能界は汚れた世界」といった具合。確か前の巻でも、「プロレスよりボクシング」とか、はっきり言って意味不明というかソレが言いたいだけの話とかあったもんな。

そういうのって、どうなん??? と伊集院光風の疑問を投げかけて、完(本作はまだ続くが)。
(01.0131、滑川)



・「週刊漫画アクション」7号(2001、双葉社)

「たま先生に訊け!」 倉田真由美は新連載。読者の悩みにくらたま先生が答えるという企画らしい。ヤンマガ出身ってのは知らなかった。「マグネットボディ」 小本田絵舞も新連載。強烈なフェロモンを身体から発し、あらゆる異性を釘付けにしてしまう「マグネットボディ」を持つ三姉妹を描いたエロコメらしい。こころなしか絵がマンガっぽく軽いタッチになり、かわいくなっている。「ED WOMAN」 末松正博は江戸でくの一として生きる女を主人公としたギャグ読みきり。新連載だと思い込んでいたら違うらしい。「ぬきうちテスト」 中村好夫、松田望もギャグ読みきり。ムリヤリ形容するなら、和田ラヂオとか本誌にときどき出てくるマイボール遠藤をもう少し細密にしたような絵柄。新人らしいけど私はけっこう好き。「ぷるるんゼミナール」 ながしま超助は「プルァイド・1」。レスリングをやることになった菜々美。んでオッパイがはじけちゃったりする内容。だから「プルァイド」なのか。「むっ尻(ちり)娘」 さつき優はヒップ7「なまいきな美尻」の後編。猿田紋二郎がお金持ちでプライドが高い美大生の梨花を攻略しようとする話。セックスで梨花を癒していくところなど、本当に伝統芸能の域だ。すばらしい。「彩子(サイコ)」 佐藤丸美は連載第2回。隣に越してきたサイコっぽい男に監禁されてしまう少年。同じように捕まっているらしい謎の少女を助け出そうと決心するが。「ikiss」 友美イチロウは虎柄ビキニに付け角というオニのコスプレをしたコンパニおねーさんに、豆だけでなく生卵だのバナナの皮だのいろんなものを投げつけちゃおうという話。

(01.0130、滑川)



・「パチスロ7 3月号」(2001、蒼竜社)

「ランブルアイズ」 石山東吉は敵の大ボス・榊皇の必殺技がついに登場。なにしろサブタイトルが「激烈・必殺・究極!!」だ。とにかくメチャクチャに熱いマンガ。立ち読みするだけでもオススメする。最高に熱い世界がここにある。
(00.0130、滑川)



・「月刊マガジンZ」3月号(2001、講談社)

・「仮面ライダー SPIRITS」 石ノ森章太郎、村枝賢一

村枝賢一による、「仮面ライダー」のコミカライズ作品、連載第3回。
第2話「たった一人の戦場」後編一文字隼人(仮面ライダー2号)が登場。とにかくこの人の描くライダーの変身シーンは鳥肌が立つほどにカッコいい。変身すると写実的なライダー(ベルトの後ろの結びの部分まで克明に描いてある)には賛否あるでしょうが、独自のライダーを描こうという気合いを感じて私は好きです。

・「濃爆おたく先生」 徳光康之

第20話。前回からの続き。暴尾先生がニセ暴尾先生とジオン妄想対決。
ザクレロ妄想について。「ザクレロをモノアイにする」という妄想に反発し、独自の妄想を展開する暴尾先生。ザクレロやボールの専門HPがあるなど、ガンダム世界は実に深いが、それらを越える、あるいは違った方向性を目指すにはここまで飛躍するのがイイのだろう。マンガ的面白さに満ちた話。

(00.0129、滑川)



・「アフタヌーン」3月号(2001、講談社)

やっと少しなじめるようになってきた。雑誌ってのはホント、なじむまでが辛い。友達と一緒にあんまり仲良くないヤツの家で遊んでいるような感じ。
今までのアフタヌーンの歴史をざっと見ていく「アフタヌーンクロニクル」が巻頭に載っている。86年創刊ですか。これを見ると、現在までの私のマンガ読書歴とほとんど無縁といっていい流れなので寂しくなる(笑)が、当HPは「アフタヌーン」とか「スピリッツ」とかとは違う御輿を引っ張ってきたいという無謀な欲望の元につくられているのです、などと、ここらでボソッとつぶやいてみたりする。

・「夢使い」 植芝理一

新連載第1回。「ディスコミニュケーション 精霊編」で副主人公というかほとんど主人公だった、古来より続く呪術集団「夢使い」の三島塔子・燐子の姉妹が、不思議な事件を解決する話になるらしい。

2年前に私立女子校で起こった殺人事件につながりがあるらしい、24人の女生徒の想像妊娠などの不可思議な事件に挑む三島姉妹。

「精霊編」の頃から、本作を楽しみにしていたので読めてウレシイ。そういう意味では精霊編を前作「ディスコミニュケーション」から本作までの「つなぎ」にしたのは大いに成功だったと思う。
なんぞしらんがだんだんロリコン描写が多くなってきているような気が。とくに少女の身体がバラバラに変形していくイメージとか、奇怪な生物に身体を食われてよがる少女のイメージとか。メジャー誌で今こんなの読めるんだあ、という感じがするが。

お話の流れ的にはなるべく元になるイメージから直接連想させる描写を避けていた感のある「ディスコミ」とは異なり、わりとわかりやすい象徴とか、お約束な展開、オタク好きのする女の子造型などを取りそろえて「食べやすい」という印象。正直言ってアフタヌーンのマンガってほとんどが読みにくいが、本作はそれがないのでちょっとホッとしたりする。

それにしても1巻ずつ長編作品をレビューするのはむずかしい。「精霊編」は全3巻だから、読み返すのも簡単だしレビューを書き直したい衝動にかられるが、まだおれの修行が足りん、ってコトか。

・「ハトのおよめさん」 ハグキ

ハト一家が出てくるギャグマンガ。おれ、これかなり面白いと思うがそう思ってるのってもしかしておれだけなのか。違うよね。

・「僕の歌は君のうた」 江戸沢敬史

アフタヌーン四季賞冬のコンテスト四季大賞受賞作品。小さい頃から絵がうまく、周囲の期待に応えて絵を描いているうちに、それが受験のためにすり替わり、しかも美大に落ちてしまったために何のために絵を描いているのかわからなくなっていらだつ麻衣子。彼女は気分を変えようと予備校を変わるが、そこにはずば抜けて絵がうまいが受験する気がない青年・伊勢がいた。

えー何度も書いているが(そんなことはみんなどうでもイイと思っているだろうが何度でも書いてやる)、マンガの中にマンガ家志望とかそれに近い話(美大とか美術系の専門学校が舞台とか)が出てくるのはほとんど苦手です。まあもちろん例外はあるが、やはり作者と主人公の距離の近さを感じてしまうことが多いから。物語の抽象性が失われるような気がするので。
で、本作ですが、最初はやっぱり私の苦手なパターンかなと思ったが、けっこう当たり前な話(展開としては本作にあまり意外性はない)を当たり前に描いて読ませる得難い才能がある作者だなとは思った。「よくある話」がベタッとならないで、読者を引き込む力があると思いました。

・「緑の黙示録」 岡崎二郎

「木と話ができる」少女・美由の高校の温室で起こった教師の変死事件を描くサイエンス・ミステリー。

まあ本当に「サイエンス・ミステリー」としか言いようがない不思議な話。樹木についての科学的知識をもとに、トリックとかミスディレクションとかが構築されている。実は岡崎二郎って読んだのが初めてだったんだけど、けっこう面白かった。ただ、物語の冒頭部分で「サイエンス・ミステリー」って銘打っていないと、読んでいくうちに相当困惑したかなとは思った。「木と話ができる不思議な少女の話」かと思ったら、かなり合理的に事件が解決するんで。

(01.0129、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」9号(2001、秋田書店)

巻頭グラビア奈良沙緒理。カワイイよな〜奈良沙緒理。「燃えろロボコン」に出てましたよ。現在、「おはスタ」の金曜日に出てますよ。NHK教育テレビの「世の中なんでも経済学」にも出てますよ。カンケイないけどあの番組のネコキャラ、ちょっとなまいきだよね。

それと映画紹介コーナーの渡辺麻紀というヒトはTVブロスの映画紹介コーナーの人と同一人物と思われるが、似顔絵がものすごくカワイイめがね美女となっている。本当はどうかとかヤボなこと言うんじゃねェ。旅立つ男の胸には、ロマンのかけらが欲しいのだから。

・「おまかせ! ピース電器店」 能田達規

今週はなんつっても本作がわたし的にはヒット。インターネットの普及によりお客が減った、ゴン太さんのレンタルビデオ屋を助けるべく奮闘するケンちゃん。ココの主要なお客はひとつにはパソコンになじめないお年寄り層。そしてもうひとつは、ゴン太さん特選「ダメ映画コレクション」に魅了されたダメ映画ファンであった。

おおっ! 欲しいぞゴン太特選ダメ映画観放題のゴン太専用ターミナル「ダメダメくん」
うぎゃっ! あこがれるぜピース特製映画早見マシン「40倍速くん」

その後の展開とかセリフもすっげえよくわかる……。

「そっかー ダメ映画もたまに観る分にはいいけど続けて観るとかなりの精神的ダメージがあるんだな……
ダメ映画恐るべし

「ダメもの」の扱いに対しここまで描ききってくれたのはマンガでは初めてではないか!? まあ「それでも観続ける」のがダメ映画ファンなんだと思いますけどね。

・「バキ」 板垣恵介

やはり巷の話題は「末堂は何週まで持つか」、「末堂の次にはだれが出るか」ってなコトなのであろうか。ドリアンだけであまりに引っ張りすぎているのではないかとか、いいかげんあのチタン製の「糸」を何とかしてほしいとか、話題には事欠かない。マッチメイクやルール問題や、その後の展開などホンモノの格闘技の興業を観ているような気分になるマンガだ。
(01.0126、滑川)



・「週刊漫画アクション」6号(2001、双葉社)

グラビアは、表紙に「乙葉」とものすごくでっかく名前が載っているが、実際には斉藤のぞみ浅田翔子を含めた3人。「ポニーキャニオン・ファイブスターガール」だそうだ。確か「王様のブランチ」の直後にやってた「アイドル刑事」の主演が斉藤のぞみで、その後続の番組の主演格が乙葉だと記憶するから、同じ事務所かなんかなんだろう。めんどくさいから調べないけど。それにしても乙葉って世のオヤジはみんな好きだよね。

「彩子(サイコ)」 佐藤丸美は新連載第1回。少年の家の隣に引っ越してきた男の飼い犬ってのが、裸の女の子に首輪付けてる状態だったという出だし。今後女犬の話になるのかな。たぶんならないと思う。エッチな展開にはなると思うが。「幸せの時間」 国友やすゆきは、人間関係グチャグチャな話だったらしいが本当に家屋が倒壊して何人か死んだらしい。ある意味野島ドラマ的な話だったんだろうか?「ぷるるんゼミナール」 ながしま超助は今回お休み。寂しい。「オッパイファンド」 山本よし文はさすがにパワーダウンかと思ったが、「足首ファンド」が登場。あらたなる展開に。「むっ尻(ちり)娘」 さつき優はヒップ7「なまいきな美尻」(前編)。タイトルだけでひとまず笑ってしまった。理想の美尻を探してさすらっている猿田紋二郎の話。こういう話はもう伝統芸能の域です。「裸尻」という言葉が出てきたが、「らじり」なのか「はだかじり」なのか。個人的には「らじり」の方が専門用語っぽくてイイが。「鷹月助教授の淫靡な日々」 艶々、原案:秋山まさとは美人助教授が墜ちていくというHもの。思ったよりずっとオーソドックスなストーリー展開だな。

(01.0125、滑川)



・「コミックまぁるまん」3月号(2001、ぶんか社)

巻頭グラビア、小向美奈子。15歳でFカップだって。あと眞鍋かをり。

・「夢みチャイナ放課後」 鬼窪浩久

新連載。中国から来たロリっ子風水師のミンミンが、いろいろエッチな目に合う話らしい。断続的に掲載されていたのが連載になったようだ。ミンミンはいまどき「〜アル」とか「〜ヨロシ」とかいうヒト。

・「聖魔(せま)ってミーア」 宮本たつや

新連載第2回。大黒寺俊平のもとにやってきた美少女悪魔のミーアは、なぜか彼に惚れてしまい同居することに。SFおしかけ女房モノカテゴリ。
裸エプロンで登場するミーア。本作のいちばんの特徴は、ほとんど俊平とミーアは相思相愛で何の問題もないということだろう。ミーアが悪魔であることを除いては。

・「極楽貧乏カンパニー 大貧民!!」 川尻よしひろ

連載4回目。モテない貧乏青年3人組の話らしい。今回は、「人間も『さかり』があればふだん性欲に悩まされず、モテないこともないのではないか」という妄想をえんえんと語るという話。「しょうもない妄想をマンガで語り続ける」というネタはいくらでもあるが、何よりこの作者がそれをやっているという意味がよくわからん。

・「新出動! ミニスカポリス」 岡田正尚

出てくる女の子はどんどんかわいくなっていると思うが、さすがにマンネリでお話が見えてきた。読者(私のコト)は飽きっぽいなあ。

・「GO AHEAD 昇龍伝」 英福真美、押山雄一

途中から読んでいるのでお話は見えないが、リーダブルでわりと最後まで読んでしまう。エロコメの多い本誌でほとんど唯一、シリアスタッチのマンガ。

・「戦うメイドさん!」 西野つぐみ

前回事故で身体を失ってしまい、慣れないロボロボしたボディに入れられてしまったメイドロイド・如月の話の後編。「人工知能には頭脳だけでなく肉体が必要だ」という話など、ラブコメっぽい話にするりと入りこませてなかなか面白い。もっと評価されていいマンガだと思う。

(01.0125、滑川)



・「アワーズライト」3月号(2001、少年画報社)

・「純粋!デート倶楽部」 石田敦子

「失われつつある『トキメキ』」を提供するビジネス「純粋デート倶楽部」。駆け引きでもゲームでもない、契約としての恋愛を演出する。

今回は、デート倶楽部のメンバー・みどりちゃんが主役。年齢よりも年下に見られがちな外見のためか、わりとロリ系のシチュエーションのデートを好まれるみどりは、本当はそうした男たちをちょっと子供っぽいと思っている。遊園地で遊ぶより、議論をしていた方が楽しいのだ。しかし、そう言うみどりも、恋の「トキメキ」についてはまだよくわかっていないのであった……。

今回も面白いなあ。……っていうか、最近まで石田敦子を知らなかった私がボンクラっていうことなんでしょうね。面白い。

・「What a Wonderful World」 オオシマヒロユキ、猪原大介

小説家を目指しているが一行もかけない男・寺間隆彦は、花屋の歌子さんに恋をするが、彼の憎む世間の「常識」は、どこまでもザンコクなのであった。
「作家やマンガ家を目指す青年を主人公としたマンガ」っていうのは、あまりに作者と主人公がオーバーラップしすぎて苦手だ。だが本作は単なる心情吐露に終わらない作品になっている。これ以上ストレートになるとイタイ感じになってしまうだろう。 でも個人的には前作の方が好きだったな。今回は題材が生(ナマ)すぎるように感じてしまう。

・「恋愛ディストーション」 犬上すくね

まほ江戸川くんの話。大塚まほは江戸川くんの高校時代の担任教師だったが、いろいろあって現在は恋人同士である。今回は一人暮らしのまほに何度も「戸締まりをちゃんとしろ」と怒る江戸川くんであった。
でもまほはうっかりさんなので戸締まりをちょっと忘れて風呂に入ってた。それを知って心配ゆえに怒った江戸川は「お仕置きだ」とか言って、そのまままほを押し倒してしまうのであった(なんかこう書くと実際のマンガ以上にエッチだなあ……)。

「ちょっとワクワクした俺ってキチクですか?」というラストのセリフに大喜びしてしまった私は鬼畜ですね。間違いなしに。

・「妄想戦士ヤマモト」 小野寺浩二

第7話「レンズごしに光る瞳」は、めがねっ娘の存在を守るためにコンタクトレンズ工場を破壊しようとするヤマモトの話。以前まったく似たような話を同じ作者が描いていたが、今回の方がずっと面白いのはなぜなんだろう。
……んでまあ「一に読書家、二にはかなげ、三四がなくて五におさげ」ってなめがねっ娘の属性なんかが描いてあって爆笑してしまったんだけど、なんつーの? 「はかなげ」とか「ドジっ娘」以外のめがねっ娘属性って、まだ理解されてないスよね。
おれはふつーの人がふつーにかけてるめがねが好きです。って「ふつー」だからなかなか説明しづらいんですけどね。どうでもいいですね私のことは。

・「ハニー・クレイ・マイハニー」 おがきちか

短期連載第3回。SFおしかけ女房モノカテゴリ。
これもすごくイイんだよなあ。「古代の埴輪がメイドさんみたいになる」ってだけの話なんだけど。どうやらハニーは「必要とされる自信や自覚」が自分の中で揺らぐと埴輪に戻ってしまうらしい。ああ、いいねえ。SFおしかけ女房モノだねえ。

他の読みきりも面白いし、この雑誌もっと売れてもいいと思うのだがいかがなもんであろうか。
(00.0124、滑川)



・「マジカルリップ」 水形陣八郎(2001、司書房)

COMICラッツなどに掲載されたものをまとめた短編集。A5。成年コミック。
表紙の女の子がおねーさま系だったのでいわゆるジャケ買い。内容的にはおねーさまをそれほど鬼畜系でなく犯しちゃおうとか、和姦とかが多い。題材は現代ものもあるしファンタジーものもある。
どうなんだろなぁ。おねーさま責めシュミの人も、おねーさま受けシュミの人もちょっと物足りないかも。あと、オチがあまりにとってつけた感じ。ただ絵は丁寧でキレイ。出てくる女の子はカワイイ。

ただ、表1と表4の女の子が作中にまったく登場しないのはいかがなものか。
(00.0124、滑川)



・「奴隷立國」 海明寺 裕(2001、三和出版)

フラミンゴ連載。A5。成年コミック。説明がちょいとむずかしい。「奴国」という日本に似て非なる国がある。ここでは20年前、軍部が暴走してムチャな戦争をやらかし、国連軍かなんかと戦っていたらしいが、山下泰子(ゆきこ)中将はみすみす部下を殺させまいと全裸で投降、それをきっかけに奴国は降伏し、女王以下国民全員が家畜奴隷となって奴国は他国人に奉仕する「奴隷立國」となった。本作はその経緯から現在までを、ナレーションで説明していくという形式をとっている。

自国よりも敵である国連軍の温情に奴隷となった奴国民が感激してしまうとか、「人権を永久に放棄する」という新憲法が制定されたりとか、戦後「象徴」となった女王が「人間宣言」ならぬ「奴隷宣言」をするとか、要するにこれらは第二次世界大戦の敗戦から現在までの日本のパロディなのだが、そこには現在の日本人を揶揄するとか政治体制を批判するといった感触はみとめられない。巻末の小杉あやさんの「あしすと日記」によると、作者は「当たり前のように人間が奴隷になる『制度』」が描きたいらしいということで、それが日本の戦後の状況に似ているとしてもそれは「家畜奴隷」を存在させるためのお膳立てにすぎないのかもしれない(「すぎない」と言っても非常によく構築されているわけだが)。

えーと以前のなんかの単行本のあとがきで作者自身も言及していたけれど、この手法は藤子・F・不二雄のSFマンガの方法に近い。牛が人間を食う星の話「ミノタウロスの皿」とか、タイトル忘れたがメシを食うことがセックスと同じくらい恥ずかしい世界とか。海明寺さんのマンガを読むときに私がいつも思い出すのは「ドラえもん」に出てくる、ツチノコが当たり前のようにペットとして飼われている未来社会だったりするのだが。要するに我々の住む「普通の世界」のある部分が完全に反転してしまっているのである。

しかし、藤子不二雄作品の多くがその世界構築のうまさにより完全に「普通の世界」と反転しているのと対照的に、実は完全に反転しているようでいてそうではない部分が見られるのが本作(他シリーズも含めて)の特徴ではないかとも思うのだ。

たとえば、他国人でも身分証明を持たない人間は簡単に人権を剥奪され家畜奴隷にされてしまうとか。なぜか家畜奴隷には圧倒的に女性(しかも美人)が多そうであるとか。また国連軍か降伏前の奴国のモノかわからないが、「人間の」軍用犬が戦中にも存在していたらしいことなどである。
完全に反転した世界ならば、奴隷の存在は「その世界」では当たり前のはずだが、そうではない「視線」が設定の中に組み込まれている。海明寺作品はときに何重もの視線を通して見せるときがあって複雑だが、明らかに「いちばん外側の視線=読者とほぼ同じ目線」が、入っていないようで巧妙に入り込んでいる。
みんながみんなハダカでも、いわゆるエロコメとかヌーディスト村のような陽気な感じではなく、あくまでもうしろめたいエッチな感じが漂っているのはその辺も理由のひとつであろうと思う。

そうした本作はパロディ的な手法をとっていてもどこまでも笑っていいのかそうでないのかわからないところに違和感が設定されており、とまどいながら読むのがよい。 奴国が輸出している戦隊モノ「LiPs」(奴隷戦隊)はその辺りギリギリのところかもしれない。あまり明解にギャグに走っちゃうとまた別のテイストとなるので。

本作は奴国の歴史の説明の体裁をとっている。このため特定のヒロインはおらずかなりたくさんの美女がハダカでいっぱい登場するので、その辺がイイと思います。前作から鼻の描き方が変わったみたい。あと目の描き方も。
(00.0123、滑川)



・「週刊少年チャンピオン」8号(2001、秋田書店)

連載マンガのキャラクターグッズプレゼントがあるんだけど、「BM」のマグカップってのはちょっと欲しいね。

巻頭グラビア仲根かすみ。オトナになってきたね〜。カワイイ。

・「ドカベンプロ野球編」 水島新司

内容をぜんぜん把握していないんだが、出てきた女の子がカワイイ。

・「フジケン」 小沢としお

格闘技好きの多いチャンピオンの作家。マコトの裸締めがキマってる。「胸がデカいのデカくないの」という話題だけで引っ張っていてスバラシイ。
マコトがカワイイ。

・「ななか6/17」 八神健

ななかがカワイイ。あと綾波さんみたいな髪型の女の子もカワイイ。

・「オヤマ! 菊之助」 瀬口たかひろ

いつの間にか絵柄が変わっている。とくに目の描き方。女の子がカワイイ。

・「ファントム零」 小宮さなえ、野々村秀樹

豪快なパンチラが3カ所もある。アッパーズの「鋼」と並んでパンチラキング。出てくる女の子がカワイイ。

・「バキ」 板垣恵介

末堂登場!!……ってぜったいやられキャラだよう。でも「今日は死んだっていい」ってのにそれなりにシビれる。
(00.0120、滑川)



・「カラフルBee」2月号(2001、ビブロス)

成年コミック雑誌。漫画に関するWebページ「OHP」で、「合作・ゲノム」が載っていると書いてあったのでひさしぶりに購入。

合作といってもキャラを割り振るんじゃなくて、1コマずつそれぞれの作家さんに描いてもらうという形式ね。タイトルの題字は平田弘史だー。総勢46人のマンガ家が参加、ということだがギャグもちゃんと笑えて面白かった。実はこの中で知ってる人って2、3人しかいないんだけど。それでも面白いし、いろいろな人が同一のキャラクターを描くってそれだけで楽しいし。キャラクターが鏡で自分の顔を見て「違う人が描いてる!」って言うところがカワイイ。

あと表3に載ってる「超人ロックの広告マンガ」がイカす。さとうげんが描いてる。
(00.0120、滑川)



・「アフタヌーン」2月号(2001、講談社)

ひと目を気にしてばかりいる私としては、みんなが読んでる「アフタヌーン」は毎月読んでいてもおかしくない雑誌ではあるのだが買ったり買わなかったりである。数年前からそうで、なんでだろうと自己分析してみたんだが、大きな理由として大河ドラマ風のわかりにくい物語の連載が多いということが上げられる。いつまで経っても入っていけないのである。外園昌也の「犬神」なんて、いつ読んでもサッパリわからない。まあ私の方が悪いのかもしれんけど。
ということで今回もイチゲンさん的な視点でしか感想の書きようがない。

・「ハトのおよめさん」 ハグキ

ハト一家が出てくるギャグマンガ。初めて読んだけどコレは面白い。カワイイながらもブラック、というツボをついている。

……後は続きモノがほとんど何で……割愛。あ、合作マンガが載ってますね。

・「GREEN SUN」 谷広野

四季賞準入選作品。いつもつるんでいる高校生グループ、和田伊万里大久保向井の四人組。進路を決める時期にあって、悩む4人の青春群像を描く。

いやー実は私もマンガ描いてたんスよね。新田五郎として。モラトリアム社会であり、即売会でもウェブでも作品を発表し続けられる環境にある現在、論理的には一生マンガを描き続けることもできないではない。しかし「こりゃダメだわ」と思う瞬間がジンセイにはあって、いろんなことがあってみんな地上最強になる夢(byグラップラー刃牙)をあきらめていくワケです。
私の場合は「私と同世代か少し上で、ムチャクチャうまい人を見たとき」と「年下でうまい人を見たとき」でした。おれ、この作者がもし同い年で高校か大学で同じ漫研とかに所属してたら、かなりヤル気なくすと思うなー。とてもかなわんと思って。しかも80ページでしょ? 若さだなー、と思ってしまう。もう何のアテもない原稿、80ページも描けませんもん。17歳っつったら倍はトシ違うわけだし。ヘコむよ、そりゃ。おれもこんなにたくさん世の中に才能がある人がいるとわかってりゃ、マンガなんて描かなかったのになあ。その分バイトでもしてた方がよかった。郵便局のバイト。

内容は「青春群像」と言うしかない、なんてことのない話の積み重ねなんだけど、キャラクターの性格づけや会話、背景のディティールなんかがうまい。途中から唐突に架空のミュージシャン「ペプシンズ」というのが出て来て、解説とかディスコグラフィーまで載っているのが面白かったんだがモデルがいるのだろうか?
絵にも特徴があるし、出てくる女の子もカワイイのでなかなかイイと思いましたな。
ただひとつ難を言うならば、80ページはこれだけのプロットでは長い気がする。終盤になって、4人で堂々と学校をサボるシーンがあるが、「あれ? ここで終わりかな?」と一瞬思った。しかしその後もまだ続いた。4人の心理描写は均等になされていてイイのだから、何か骨子になる話があった方がメリハリが出るのではないかと思いました。などとありきたりなシメで終わる感想。おれ、レビューも才能ねぇかな。
(00.0119、滑川)



・「月刊コミックビーム」2月号(2001、エンターブレイン)

すっごいひさしぶりに買う。雑誌は突発的に買っても、過去からの流れを念頭において感想書きたいので今回は様子見。
それにしてもまた雑誌の感想書くの辛くなってきた……。なるべく発売されてからすぐ読んで書きたいのだが、マンガ雑誌まるまる1冊読むと疲れるよね、実際のハナシ。自分の中で「これはトバしていいや」ってのがはっきりしてくるとまた緩急出てきてイイんだけど。まだ「アフタヌーン2月号」「スピリッツ増刊」が積ん読でウチにある……。

今回はイチゲンさんとしての感想と思っとってください。
つーことでエッセイマンガの「オールナイトライブ」 鈴木みそ「幽玄漫玉日記」 桜玉吉「おさんぽ大王」 須藤真澄はどれも面白いし、前回をまったく読んでいなくてもすぐ入っていける。こういうのを揃えているってのは雑誌として強いと思います。それと、エッセイマンガをそれ以外のマンガジャンルと区別して語る人がチラホラといるけど、だれが書いても面白くなるわけじゃないってのはこの3本を見れば自明でしょう。

あとは連載が多くていきなり読んだだけでは何とも言えないんだが、「蟲酸」 福耳ノボルはなんかよくわかんないけど怪人然とした女・蟲酸に恋をした番長・悪目了が……って書いても内容を全然説明できないギャグマンガ。天久聖一のプリミティヴというか、子供時代のらくがきテイストを作品に昇華させた点にも驚かされたが、福耳ノボルもラクガキチックなところを残しながら、なんだかまったく別の彼岸へ達しようとしている(ことに本書を読んで気づいた)。
「A・GE・HA」 宝生幸はアスキーマンガ大賞佳作受賞者の読みきり。アゲハ蝶の幼虫がクラスにいるんだが、いつもいじめられている。「イナカモン」というあだ名の女の子もクラスからはみ出してはいるが、一方でそんなことどうでもいいと思っているっぽい。ある日、アゲハは自殺してしまうが……という話。
いやーコレいいなあ。すごくイイ。「みにくいアヒルの子」的な成長物語を回避しつつ逃避的にならないことは非常にむずかしいと私なんかは思うんだが、本作はそこのところを非常にうまいこと描いている。ホント、私はこういうのに弱い。

あと途中から読んで「面白そうな感じ」なものがいくつかあったが、それはもう少し続きを読んで、またいつか。
(00.0118、滑川)



・「週刊漫画アクション」5号(2001、双葉社)

「幸せの時間」 国友やすゆきは、なんか家庭崩壊を描いたダークな話だと思っていつもトバしてるんだけど、今回、本当に家が倒壊しちゃってるぞ。これ何だ? もしかしてぶっとびなのか? 「ぷるるんゼミナール」 ながしま超助は、乳はデカいもののマジメ一辺倒に思われていた田嶋先生が「巨乳は世界を救う」と信じていることが判明。この無意味さには頭が下がる。「オッパイファンド」 山本よし文は仕手筋編決着……なんだけど、最近ストーリーとH部分が分離しつつあって、パワーダウンか……!?「惑い妻」 ふじいあきこ、原作:秋山道夫は「シリーズ人妻模様」第4弾。やっぱり人妻モノがねェとな。「鷹月助教授の淫靡な日々」 艶々、原案:秋山まさとは美人助教授が墜ちていくというHもの。すでに12回目。「ikiss」 友美イチロウは17回目。「G−taste」系のイラスト風マンガで今回はチャイナドレス。実にイイ展開、個人的に好み(笑)。「ゴール ゴール ゴ〜〜〜〜〜ル」 中本哲哉はサッカーに材をとった4コマギャグ読みきり。こういうのあまり好みじゃないんだけど、バカバカしさが突き抜けていてけっこう笑ってしまった。「キラリが捕るッ」 高橋のぼるはキラリピンチ! それにしてもこのヒトの描く女の子は色っぽいなあ〜。何気ないポーズとかぜったい狙ってるし。

(00.0117、滑川)



・「YOUNG キュン!」2月号(2001、コスミックインターナショナル)

成年コミック雑誌。執筆者:あずまゆき、はりけんはんな、みた森たつや、あろひろし、IRIE YAMAZAKI、あらきあきら、GRIFON、毛野楊太郎、吉野小雪、神無月ひろ。

・「さらくーる」 みた森たつや

「SFおしかけ女房」もの、ついにクライマックス。まとめて読むと非常に面白い本作、途中から読んでもサッパリわからないので、簡単でいいから「これまでのあらすじ」みたいのが欲しい。

今までのお話についてはここ参照。

・「アナザー・レッスン」第6話 毛野楊太郎

監禁調教マンガ。恐い、けれど続きが気になって読んでしまう作品。今回は奴隷であるASAMIが調教者の「教授」に愛されていることを感じたみずきが、彼女に嫉妬心を感じるさまを描く。現在心理戦的なかけひきを描くHマンガ家といったら私の知るかぎり毛野先生だけである。うーん続きどうなるんだろう……。
(01.0116、滑川)

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