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「つれづれなるマンガ感想文2005」1月後半
「つれづれなるマンガ感想文2005」2月後半
一気に下まで行きたい
ヤングマガジン連載。元暴走族であり、現在は家庭を持って働いている火野鉄は、30歳を過ぎてからかつての仲間たちと「家族」をつくり、「家族」のルールで生きていこうと決意する。
しかし、同じく元暴走族だった五十嵐も、自分の「家族」をつくり始める。鉄とは対照的に、恐怖政治で「家族」をつくった五十嵐は、鉄たちの「家族」を破壊することに執念を燃やす。
2つの家族の対立が頂点に達したとき、すべての崩壊が始まった。
ヤンキーマンガだというと敬遠する人がいるかもしれないが、本作は「理想のコミュニティは現実社会と折り合いをつけて果たしてできるか?」ということをテーマにしているし、それには普遍性がある。
「核戦争後の地球」を舞台にしたりしたそういう作品は少なくはないが、「現在の日本」でソレをやり、なおかつだれでも知っている、どこでも売っているという作品はそうはないんじゃないだろうか。ガイドブック「莫逆家族 最終章 THE LAST GUIDEBOOK」[amazon]によれば、300万部は出てるっていうんだから。
・れん、青木新を殺すな!
もうひとつ書きたいのは、読者は登場人物のだれかには必ず感情移入できるんじゃないかということ。悪人もそうでないヤツも、みんないちおうの理由があって、それはどこか必ず理解できる部分があるんですよね。
まあ、私は復讐モノ的な展開が好きなんで、物語後半部では青木新に虐待を受けて、彼への復讐のために身体を鍛えている若林れんが登場したときにひきこまれて。れんは本作の少年系のキャラクターの中でもとくにブサイクに描かれていて親近感があるし、それと骨格とかもね、オトナのキャラが多く出てるからかもしれないけど少年らしい骨格をしててリアリティがある。
でも、れんは周平と初めて友情らしき友情を結ぶし、鉄に家族を紹介されて初めて人の温もりに触れる。そうなってくると、今度は「復讐してくれるな」って思えてくる。
それから、れんを救うために彼の後見人みたいになっている冬木が青木を刺してしまうところとか、冬木がねえ……自分も親から虐待を受けていて、ナベさんに救ってもらって、さらに親への復讐心が鉄の男気によって昇華されて、それでもどうにもならなくて……とかね、もうそこらの安直なトラウマ描写を越えてんですよ。
とりあえずれん、ナベさん、冬木のエピソードは全部泣けました。
まあ、ダメ+復讐、ということで言えば本当はだれよりも田村ですよね。五十嵐に自分の経営するレストランを占拠されちゃった太ったにーちゃん。ああもうあいつの憤り、痛いほどわかるわ。
・観覧車の伏線
そして、本当のラストでは火野鉄と五十嵐との最終決着になるのか? というところで、鉄の死んだオヤジのエピソードになる。今まで、本作の舞台となる町って、なんかやくざが存在してないっぽい感じだった。だからこそ若いのがのさばっていたし、それを抑えるのは三十代の元不良しかいなかったような。でも、ラスト近くなってやくざのエピソードが出てくる。
これって、作者の意図はわからないんだけど読者の私にとっては「回帰」というか、架空のフワフワした話に終わらないけじめみたいに感じましたね。それと、鉄のオヤジの代から見ると、周平の代に至って少しずつ良くはなっているんだよね。で、それをずっと見続けているのがドンばあとドーちゃんなんだけど。
それでねえ、ずーっとあった謎の伏線、鉄の夢の中に出てくる観覧車の意味が初めて明らかになるんだけど、観覧車のアップのシーンでも泣けました。さらにこれって、やくざ映画のパターンからするとここで終わるエピソードじゃないかと思う。
家族が待ってるところに戻れず寂しく死んでいく一人のやくざ、っていうコトで。
だけど、本作はそこから話が始まってる。「仁義なき戦い」で、確か松方弘樹が子供にプレゼントするぬいぐるみを持ったまま撃たれて死ぬんだけど、まさにそこから物語が始まっているような感じで。
ラストのドーちゃんのシーンも、あれってやくざ映画的で。しかも実録路線以前の。そういう観点から見ると、本作ってヤンキーマンガが積み上げてきたものの集大成でもあるし、それ以前の、ヤンキーマンガが参考にしてきた(決してイコールではないんだけど)任侠もののエッセンスも入ってる。しかもそれが最後の最後に出てくるっていうのが、シブすぎるんだよなァ。
・仲間うちだけに通用する「カリスマ」の価値
さらにもうちょっと感想を書きたい。よく、ヤンキーものって「伝説の先輩」みたいのが出てくる。それは、ギャグっぽく描かれる場合は虚飾でしかなかったり、マジに描かれるときはやくざの幹部になってたりカリスマ社長になってたり、ということで表現される。
けれど本作の「カリスマ」っていうのは、仲間うちでは確かに存在している。強引に人をまとめてきた五十嵐にすら、それはある。でも、それは対世間にはほとんど通用しない。まったくというわけではないけど、オールマイティではない。
主人公の火野鉄は、至るところで「男気」、カリスマ性を発揮するけれども、それで本宮マンガみたいにみんなが一致団結したり、権力者が「見込みのあるやつじゃ」とか言って折れてくれることはない。でも、みんながひきつけられるような何かは確実に存在してる。そういう描き方が絶妙だった。
同じことはナベさんにも言えるけど。
・ヤングキングはオタクもヤンキーも読んでるはず
本作は、確かにねえ、オシャレメガネをかけてるような人には語りにくい作品ではあると思います。本作をものすごい強固に支持しているコミュニティが日本の至るところに存在していて、そういう人たちってマンガ感想サイトとかやってる人とはあまり交わらないから。「余計なこと書くんじゃねえ」とか言われそうで。
でも、数の力だけ言うのは何だけど主催者側発表で300万部ということは話半分でも150万部。
同じ作者の「BAD BOYS」は2000万部で、話半分でも1000万部ですよ。それはバランスとして、どこかで言葉にされなければならないと思うし、たとえばオタク的観点で見た場合でも、ヤンマガもヤングキングも「オタクとヤンキー」ってけっこう意識してますよね。ヤンマガは最近どうだかわかんないけど。だから、本当は「語る言葉」としても、オタクと地続きなはずなんですよ。
そこをどういうふうにつなげて言葉を構築していくか、果たしてつなげる必要があるのかということまで含めて、考えてみるべきだとは思うんですよね。
・1~7巻の感想
(05.0211)
週刊少年チャンピオン連載。烈海王VS寂海王。武道をきわめることより、武道によって青少年を育成することに主眼を起き、見込みがあると道場にスカウトする日本人の海王が寂海王。
何だこのキャラクターは、と思っていたら、「トリビアの泉」の少林寺拳法についてやったとき、創始者の宗道臣は拳法は青少年を導くためのきっかけにすぎない的なことを言っていたとあり、そこら辺がモデルになっているのだと思う。
また、「トリビアの泉」によると少林寺拳法が実際の中国の何の流派からどんなふうにできたかははっきりしてないらしいのだが、その拳法が「本家」に挑戦するという裏テーマもあったようです。
・24巻の感想
(05.0211)
えーと、なんか携帯電話の雑誌らしいんだけど、私、携帯解約しちゃったんでよくわかりません。
(以下、公式ページより)
【総力特集】
「ケンガイ版こんにちはパソコン」
懐かしのPCゲームを中心に、PC本体情報、雑誌事情、エロゲー黎明期、
XPでナツゲーが遊べるエミュレーター情報 etc.
すがやみつる先生書き下ろし「マイコン電児ラン特別編」収録!
……後は「出会い系」に関する記事とか。
「マイコン電児ラン特別編」が4ページ、オールカラーで掲載されてます。
2月5日発売なので、まだ売ってると思います。通販でも買えるようだし。
ランは大手ゲーム会社の社長になり、「ランエモン」と呼ばれているそうですよ。
子供の頃は、こういうのただゲラゲラ笑って読むだけだったけど、その後のすがや先生のインタビューなどを見ると狙って本気で「バカバカしさ」に取り組んでいることがわかり、そのエンターテインメントに対する姿勢にはホレボレしますね。
他にも、バックナンバーでは「ゲームウォッチ」、「アイドル映画」など、ケータイとは直接関係ない特集をしていて面白そうです。「ゲームウォッチ特集」は売り切れちゃってるみたいだけど。
特集のラインナップを見るに、三十代半ばくらいまでをターゲットにしているのは明白で、そのノスタルジー感がイヤだという人がいるかもしれないが、私はこういう姿勢は支持しますね。だって好きだから。
(05.0207)
1985年から数年間にわたって放送された人気バラエティ番組を「ビートたけしSELECTION」と「テリー伊藤SELECTION」にそれぞれまとめた二枚組DVD。
まあ「あれが入ってない」、「これが入ってない」という不満はみなさんありましょうが(amazonに何が入ってるかは書いてあります)、とりあえず過去のバラエティを見るというのはいいもんだなあと思ったりした。
以下は記憶を頼りに書くので、間違ってたらつっこみお願いします。
特典映像では、テリー伊藤とディレクターと出演者、テリー伊藤とディレクターとスタッフ(含む高橋がなり)の対談が収録されている。これが短すぎて実に物足りないし、そのやりとりの中でテリー伊藤もダンカンも、見ている人を笑わせようとしてないことに軽く驚くが、興味深い話もある。
「本当なら1時間番組ができるVTRを8分くらいに縮め、それを毎週4本入れろとプロデューサーから言われていた」、「雨はテレビに映らないから、出演者は傘をさしてはいけないというのがテリー伊藤のポリシーのひとつ」、などが面白い話。あ、2つしかないや。
それと、このときのディレクターが後の「電波少年」に関わるそうで、テレビの疑似ドキュメンタリーバラエティの師弟関係みたいのがちょっとわかったりするような気がする。
ひさしぶりに見返して気づいたことは、まず「1時間つくれるVTRを8分に縮めてた」というのはたぶん本当だっただろうということ。とにかくVTRの密度が圧倒的に濃い。
もうひとつは、素人のテレビとの関わりが今と全然違っていたのではないかということ。まあ「ダンス甲子園」の出場者たちはまた出たがりなんでちょっとニュアンスが違うけど、聖人ガンジー・オセロを見てる大勢の人たちとか、今ほどスレてないんじゃないかという気がする。「荒川区・熊野前商店街」のあの盛り上がりなんて、あの頃じゃなかったら実現しなかったんじゃないだろうか。
それと、長い「元気」の歴史では違ってくるのかもしれないが(DVDにはちょっとした年表かなんかをブックレットとして付けて欲しかった)、起用する素人やタレント離れがとてもいいように感じた。
後の「電波少年」なんて、猿岩石でもドロンズでもなすびでも、なんかその後の展開がものすごく悲惨に感じる。それに対し、出演者に変な期待を持たせないだけいいのかなと。
もちろん、熊野前商店街はブームの後はまったく元に戻ってしまったようだし、川崎徹と組んでCDを出した演歌歌手もいたけど、彼らはまあゼロが元のゼロに戻った気がするんだけど。
「電波少年」って人の人生変えちゃってるでしょう。それが凄みや面白みでもあるし、「元気」と違う点でもあるのかなと。
言い換えるなら、フィクション性は圧倒的に「元気」の方が強い。それが好きだった。「大仏魂」とか「河童」とか「半魚人」とか。バレバレなのに、名目上は「ホンモノだ」と言い張るあの姿勢が良かった。
番組全体の「ツッコミ」がどこにあるのかも考えると面白い。たとえば「元気」のVTRって、現在の多くのバラエティのように画面処理をほとんどしてないし、発言テロップも入ってない。それで編集がかなりタイト。
で、VTRでは高田純次などのレポーターがまずツッコミ役になる。でも、それもえんえん引っ張るのではなく、スパッ、スパッ、と斬っていく感じ。
エンペラー吉田が、たけし社長と初めて会ったときに感動して泣いてしまうんだけど、ホントに軽いツッコミしかしない。今だったらナレーションくらい入れちゃうでしょう。
まあ、私が今回のDVDの中でいちばん好きなのは「信州に動きのあやしい手打ちそば屋がいた」なんだけど、これなんかは手打ちそば屋が反応したり、テレビに出ることを面白がったりしたらブチ壊しになってしまう。
そこを高田純次が邪魔しまくる展開がものすごくシャープ。
次にスタジオでそのVTRを見ているたけし、観客の笑い声が「ここは笑うところだ」というサインになってる。
何重にもサインがあるんだけども、VTRの方向性としてはひとつのものを指してる。
とくに「大勢の観客とVTRを見る」という形式は効果的だと思った。あまり映像をいじらずに、「ここが笑うところだよ」って示すことができるし。
だから「元気」の映像って、映像そのものはつくり込んでいるんだけど、そこには何というか生っぽい感じでの観客のツッコミが入ってて、そういうのが面白い。
あ、あと、レポーター陣が基本的にレポーターの立場で困ったりするような自己言及がいっさいないのもクールに感じる部分だろうな。高田純次のコメントに心がないのがものすごい効果を上げてると思う。
逆に、「めちゃイケ」とか他のバラエティ番組を見てると、出演者の自己言及というのが、設定の緊張を緩和させて笑いにつながってる部分が多いと思う。これはどっちが面白くないとかそういう意味じゃなくて、ものすごくおおざっぱに言うと「キャラ」を全面に出していくことがイマドキ風ということなんだろう。
ホント、この頃の高田純次ってアニメの中の人物みたいな感じで、いい意味でまったく内面を感じさせない人だったからねえ。
企画には「勇気を出して初めての告白」(このDVDには入ってません)のような感動モノもあったけど、とにかく映像が凝縮されていて、ハイ、ハイ、ハイ、スパッと終わるところがすごい気持ちいい。「結果はCMの後で!」なんて未練たらしいことはやらないんだよね。
そこら辺は、たけしのマシンガントークとすごい合っていたというか。
まあ、どんなつくり方してるのかはわからないけど、たぶん多方面のアイディアがすごい入っているとは思う。ギュッと詰まってるというか。
そんなことをつらつら書きましたが、私がいちばんよく見てたのはダンス甲子園のときくらいまでで、確かコーナーのほとんどが感動路線みたいになった頃には完全に役割は終えたな、と思ってはいました。
(05.0201)
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