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一気に下まで行きたい

・「激闘! クラッシュギアT」(1)〜(4) 矢立肇、松本久志(2002〜03、講談社)
・「音速バスター DANGUN弾」(2)〜(3) てしろぎたかし(2001〜2002、小学館)
・「音速バスター DANGUN弾」(1) てしろぎたかし(2000、小学館)
・「ミニ四ファイターV」(8)(完結) 青木たかお(1999、小学館)
・「コンバット弾」全2巻 たなかてつお(1985、小学館)
・「チョロQBOY GO! GO! ピット」全1巻 わたなべたもつ(1999、小学館)
・「ミニ四ファィターV」(1)〜(7) 青木たかお(1995〜98、小学館)
・「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」全13巻 こしたてつひろ(1994〜97、小学館)
・「ダッシュボーイ天」 全2巻 徳田ザウルス(1996〜97、小学館)
・「レーサーミニ四駆 世界グランプリ」 (1)(2)原作/大崎悌造、まんが/池田淳一(1989、講談社)
・「爆走! ダッシュクラブ」 全2巻 樫本学ヴ(1989〜90、小学館)
・「ミニ四駆RC伝説 燃えろ! アバンテ兄弟」(1) こしたてつひろ(1989、小学館)、(2)(1991、小学館)




(以下の解説は、暫定版)
まずは「車モノ」の中でもっとも数が多い「ミニ四駆」について。
単純に言えば電池で走るミニカー(……って言っちゃっていいんだろうか!?)
最初の「レーサーミニ四駆」「ホットショットJr」が発売されるのが85年。翌年には徳田ザウルス氏の「ダッシュ! 四駆郎」が連載開始、ミニ四駆ブームに火がつきアニメ化もされるいきおいとなる。87年にはミニ四駆の祭典、初の「ジャパンカップ」が開かれる。
そして93年には「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」(こしたてつひろ)が連載開始、第二次ミニ四駆ブームとなる……というのが超大雑把な経緯。

ミニ四駆は、改造すると速くなるマニア性と、だれでも走らせることができる一般性を双方を兼ね備えたおもちゃとして人気を博し、コロコロ方面では1大ジャンルを気づくほどのホビーとなった。したがってミニ四駆を題材としたマンガは多い。
ラジコンやプラモデルなど、大人でもいじったことのあるホビーと違い、やったことのない人にはイマイチピンと来ないところもあるが、ホビーマンガとしては立派に1ジャンルを形成していて、いわゆるジャリコロ、チャモコミ(オモチャコミックの略)道をきわめようとすれば避けてとおることはできないのである。

作品数としてはこの「ミニ四駆」がいちばん多いが、「クルマモノ」は子供のおもちゃの基本であるため、他にもいくつかのモノがある。

「チョロQ」タカラの走るミニカーで(書いてていまいち表現に自信がないが(汗))、今年で20周年。ずんぐりしたかわいらしいフォルムのクルマである。

その他、子供も乗れるフォーミュラマシンポケバイのマンガもあるし、「子供がF1に乗る」という「F1キッド」(すがやみつる)ってのもあった。F1好きのすがや氏は、当時「ゲームセンターあらし」よりこっちに力を入れたがっていたという。

子供マンガのクルマモノとしては、20年ほど前のスーパーカー・ブームとの関連という「オモチャ」とは違う流れもあるが、それはまた別の機会に。
(99.0910、滑川)

参考HP:
きょーじゅの趣味いろいろ

チョロQモータース



・「激闘! クラッシュギアT」(1)〜(4) 矢立肇、松本久志(2002〜03、講談社)
(クラッシュギア)

クラッシュギア

コミックボンボン連載。バンダイのおもちゃ「クラッシュギア」を題材とした作品。

子供たちが夢中になっているホビー、ギアファイトとは、カスタマイズ可能なミニ四駆くらいの大きさの車・クラッシュギアを土俵の中でぶつけ合い、勝敗を競うというゲームである。
これには少年野球のようにクラブチームに所属して大会に参加するらしいが、主人公・真理野コウヤは、天才ギアファイターであった兄の不慮の死により無気力になり、ギアファイトをやめていた。
そんな矢先、彼も所属していたチーム・トビタクラブの一員・万願寺タケシは、現状に満足できずレギュラーメンバーのほとんどを連れてクラブを脱退してしまう。
万願寺を倒すため、コウヤは優秀なギアファイターを集め新生・トビタクラブをつくることを決意する。

さまざまな事情のもとに集まってきたのは、身体のデカいパワーファイター・織座ジロウ、不正な改造をしたりして一時期グレていたギアマスター(メカいじり系のプロ)・迅キョウスケ、そして彼の親友で剣道をやっている丸目クロウド
彼らは、それぞれのこだわりや戦う気持ちから、ギアファイトに挑戦していく。

大金持ちの美少年ライバル、トリッキーな技を使う雑魚キャラ、特訓、魔球的必殺技、その技を返す技、もっと上を行くライバル登場−−と、少年スポ根マンガの王道を行っている。
そしてさらに、本来のび太くん的だったりオタク的だったりするメカニック役の迅キョウスケが、顔はかわいいメガネ少年だがチーム中いちばんガラが悪いとか(もしかしてこういうキャラクターはショタ好きの人は好みなのでは?)、新味も出ている。「クラッシュギア」についてよく知らなくても、楽しめるマンガだと言える。

何よりも、単行本第3巻のおまけマンガにおいて、万願寺タケシ(要するに花形ミツル的キャラ)が言う「キャラ的にいってぼくも−− オープンのスポーツカーの一台くらい乗り回したかったけど」「今のご時世 そんな大胆な法律違反はできないしね」「鉄球・鉄ギアの特訓をやれただけでも」「満足さ」というセリフだけで「いやあ、わかってらっしゃる!」と思ってしまう。

正直、もうコロコロ・ボンボン系に名作なしか? と思っていたんだけど(野暮用にまぎれて本誌も読んでいないし)、こういう作品を見ると嬉しくなる。

過去のコミカライズの「いい仕事」については、すがやみつるや成井紀郎などずいぶん再評価されてきたが、松本久志は平成の「ワカッテル人」として記憶されていいと思う。
(02.1122、03.0323)



・「音速バスター DANGUN弾」(2)〜(3) てしろぎたかし(2001〜2002、小学館)
(ダンガンレーサー)

コロコロコミック連載。隼音弾(しおん・だん)がダンガンのレースに参加。さまざまなライバルと死闘を繰り広げる。

近況的なことをイキナリ書きますが、最近コロコロ&ボンボン系のレビューをほとんど書かなくなってしまいスイマセン。コロコロはベイブレード、ボンボンはメダロットがわりとヒットしているし、カードゲームも人気があるようだしそれなりのトピックはあるんですけど、マンガとして激しく響くモノが最近ないんですわ。まあ私が見逃しているだけかもしれないけど……。
「昔の方がパワーがあった」とかいうことはなるべく言いたくないんですけど、やっぱり雑誌でのホビーの打ち出しが散漫になっているように思うし、基本ラインとしてバカバカしさを抑制しているような気もするし。

一方、古本もどんどんプレミアがついてしまい、80年代のモノはもちろん90年代初頭のモノも手に入りにくくなってます。新旧ともに買い集めてはいるんで、いつかまとめてドバッと感想アップとかしたいんですけどね。

本作は、ワザがイマイチよくわからないというのはあいかわらずなんだけど、主人公の熱さは伝わってきます。不正をはたらいてヘとも思ってないヤツをいきなりぶん殴ったりとか。そういうのは熱い。
(02.0223)



・「音速バスター DANGUN弾」(1) てしろぎたかし(2000、小学館)
(ダンガンレーサー)

DANGUN弾

ミニ四駆にとって変わるようなカタチで、田宮模型が開発したオモチャ・DANGUNレーサーの物語。

コロコロコミック連載。隼音弾(しおん・だん)は、ふだんはおとなしいがレースでは別人のように強気になる少年。父の隼音迅(しおん・じん)は、地上最強のマシン・レコードブレイカーのパイロットだったが走行中に死んでしまっている。

ダンガンレーサーは、レコードブレイカーを元に開発されたミニ四駆みたいなカンジの車のオモチャ。この世界でのダンガンレースは、「バーチャルマシン」にダンガンレーサーをセットし、自分も乗り込むことによって運転感覚を体感しながらやるレース……要するに「プラモ狂四郎」のような設定なわけだ。

弾はライバルとして沖田虱(しらみ。ヒドい名前だがなぜか物語内では合っている)、朝丈小鉄などを得てダンガンレースの楽しみを知っていく。

……弾の必殺技である「ライトアングル走法」(コーナーを直角に曲がる)がどうしてできるのか説明がなかったり、「ダンガンレーサー」独自の走りや疑似世界独自のかけひきなどが充分に描かれていないところが不満ながら、やはり弾が「行こう、フラッシュトリガー!!!」というように、ダンガンレーサーに語りかけながら走ったりするところはイイです(「フラッシュトリガー」はダンガンレーサーの車種名。他のレーサーも、みな自分のマシンには語りかける)。

作者は釣りマンガ「グランダー武蔵」のヒト。
(00.1128、滑川)



・「ミニ四ファイターV」(8)(完結) 青木たかお(1999、小学館)
(ミニ四駆)

ミニ四

(たぶん)別冊コロコロコミック連載。基本的に1巻から7巻までと構成は変わらない。子供である読者に感情移入できるように「ミニ四キッド」という少年がよく出てくる。
それより2000年8月現在、ミニ四駆をとりまく状況は大きく変わった。本作では「10年後のミニ四駆」が出てくる回もあるが、いちおうメディア戦略としては今年に入ってミニ四駆を題材としたマンガはまったくなくなり、第二次ブームの終焉を感じさせた。

そして、コロコロとタミヤによって新プロジェクト「ダンガンレーサー」が発表。最高速を競い合う、後輪駆動の3輪車? まさに弾丸を模した外観は、ミニ四駆よりももっと未来的なメカという印象。マンガは釣りマンガ「グランダー武蔵」のてしろぎたかしが描いている。

「おはスタ」で中継していたホビーフェアみたいなヤツには、ミニ四ファイターはダンガンレーサーを宣伝するために「ファイター」と改名、がんばっているようであった。
(00.0819、滑川)



・「チョロQBOY GO! GO! ピット」全1巻 わたなべたもつ(1999、小学館)
(チョロQ)

ピット

別冊コロコロコミック連載。チョロQ大好きの元気少年・九条比斗(くじょう・ぴっと)が、女の子のとチョロQの知識は抜群のハカセとともに、QRA(チョロQの研究機関)からもらったランサーエボリューション(略してランエボ)を駆り、ライバルたちと戦うチョロQマンガ。

まあすべての「コロコロホビーもの」の条件を兼ね備えた佳品、って感じなのだが、他人のマシンのマグネットの反発を利用してジャンプするところにだけ納得がいか
ない(笑)。

このヒトの絵、ベースはアニメ絵なんだけど、全体的にグンニャリしていてそこが味かな。チョロQも、……たとえばこしたてつひろや今賀俊の描くシャープなメカと違って、ほんの少し、キモチぐんにゃりしていて、暖かみのあるマシンになっている。
(99.0911、滑川)



・「ミニ四ファイターV」(1)〜(7) 青木たかお(1995〜98、小学館)
(ミニ四駆)

ミニ四1

コロコロコミック連載。「特攻!! ゾイド少年隊」「魔神英雄伝ワタル2魔神開発大決戦」などを手がけた青木てつお氏になる「ミニ四駆もの」。
「ミニ四ファイター」とは、一般名詞ではなく、固有人名、すなわち田宮模型 において、ミニ四駆のレースを盛り上げるために「体操のおにいさん」的な キャラとして登場した実在するニューヒーローのこと。そのミニ四ファイター が主人公の本作、だから子供マンガにはめずらしく主役はオトナである。

内容は、毎回登場するいろんな子供にミニ四ファイターがレースのマナーや改 造の方法などを教えるという一種の「学習マンガ方式」。あるいは金八テイス トを持ったミニ四駆マンガ、と言ったところか。
現実のレースや改造にできるだけそっているため、マンガだけでおおざっぱに ミニ四駆のことが知りたければ、本作を読むのがいいと思う。「レースの前に スイッチがきちんと入っていない」というミスがかなり多いそうだが、そんな とこ、他のミニ四駆マンガではぜったい描写ないから。

7巻ではテレビ番組「王様のブランチ」に出てくる「はしのえみ」が出て来るぞ〜! なぜならテレビ番組「RCカーグランプリ」の司会だから〜! (でも春風亭昇太は出ない)コロコロ系は古本ばかりあさっているので新製品の情報には疎い私だが、昨年 出た7巻を読むと、「RCボーイズ四駆レーサーシリーズ」というRCカーが発売されたことがわかる。これは基本構造をミニ四駆に似せたラジコンカーのことで、ミニ四駆に親しんだ子供たちをRCカーに引き込もうという作戦のようです。門外漢の私には、ミニ四駆のパーツや工具が小さくてよくできていて、安い(せいぜい500円くらい)ことに驚かされるが、RCカーは1台2万円 近くするんだからそれはタミヤとしては引き込みたいところでしょう。

……というわけで、「ラジコンVSミニ四駆」というマンガがまた見られるか もしれない。(99.0312、滑川)



・「爆走兄弟レッツ&ゴー!!」全13巻 こしたてつひろ(1994〜97、小学館)
(ミニ四駆)

コロコロコミック連載。ストーリーはミニ四駆大好き兄弟の星馬烈(せいば・れつ、兄)と星馬豪(せ いば・ごう、弟)がミニ四駆「セイバー」を操り、数々のライバルと対決して いくというもの。
冷静な兄と活発な弟、そしてそれぞれの性格を反映した改造もメリハリがきい ているし、お互いをフォローしあう展開も小気味良い。ライバルにもそのマシ ンにも個性があり、必殺技も飛躍していてイカす。

また、アニメ「レッツ&ゴーMAX」を見ているとサッパリわからない、
・なぜミニ四駆は持ち主の言うとおり動くのか
・なぜミニ四駆がコースのないところで走れるのか
・なぜミニ四駆と一緒に持ち主が走る描写がやたら出てくるのか(ミニ四駆の スピードはとても早く、別に追いかけて走らなくてもよい)
などの疑問に答える端緒になる描写が、随所に見られる。
少なくとも第3巻まででは、
・コーナーリングに合わせた仕掛けを仕込んである
・「レーンのないところでインをさす」という技術力についての描写が出てく る
・長大なコースなので、持ち主が走って行かないといけない描写が出てくる

これらがあたりまえになってしまったのが、アニメ「MAX」ではないかと、今の ところ予想しています。

さらに、後に「アイゼンヴォルフ」という美形少年チームが出てくる。
ゲーム番組「64マリオアジアム」の「ポケモンスタジアムカップ」(視聴者参 加のポケモン対戦コーナー)で、かなりな強さを誇った姉弟チーム「アイゼン ヴォルフ」はぜったいここからチーム名とったな〜(^_^)。お姉ちゃんが「レッ ツ&ゴー」が好きだったのであろう。番組はミニ四駆とは無関係なため、チー ム名についてもまったく触れていないのだが。

4巻あたりまでは「リモコンで操作するミニ四駆」なるモノが登場し、「そ りゃ〜すでにミニ四駆じゃないんじゃ……」とは思えつつもギリギリ「ミニ四 駆の自走性」について説明がついていたのだが、だんだん「持ち主に超能力で もあるようにミニ四駆が勝手に動く」ようになってくる。
マンガだからまあまあゴマカシてはいるが、これがアニメになるととっても変 になるわけだ。やはり「ダッシュ四駆郎」に出てくる「ミニ四駆の方向を変え るスティック」に相当する道具を出すべきだったと思うが……。
なお、「ヴァーチャマシン」なるシミュレーションマシンに入って、疑似世界 で「ミニ四駆に乗り込んで」レースするという回が面白かった。

「ラジ コンVSミニ四駆」や「F1の選手が、主人公たちのミニ四魂に感動し勇気づ けられる」などの定番ばなしが見られる。
また、「意志があるかのように勝手に動くミニ四駆」も、ボタンや小石を投げ つけて方向転換させるシーンもあり、実に微妙である。8巻でやっとちっとも カワイクない(個人的見解)ヒロイン、佐上ジュンが登場。よく知らないが、 アニメ化時につくったキャラクターを申し訳程度に出しているような気がする が……。

物語も終盤にさしかかり、ライバルたちと友情関係で結ばれ、世界GP(グ ランプリ)チームを編成するあたりは「キャプテン翼」ノリでなかなかよい。
ただし、テレビアニメとの連動企画のせいか、おそらくアニメではきっちり描 かれたであろう世界GPチームとの戦いが、やや駆け足。ブラジル代表(たぶ ん)の憎たらしい敵チーム「ロッソストラーダ」との戦いなど、もっと描き込 めたハズなんだが……。

アメリカ代表「NAアストロレンジャーズ」はよい。宇宙飛行士訓練校 で、カリキュラムにミニ四駆を取り入れているという設定。優秀であり、ミニ 四駆を宇宙飛行士になるステップとしか考えてないアストロレンジャーズに、 主人公たちが「ミニ四駆は遊びじゃない!」と教える。宇宙飛行士訓練生とい う設定、そしてミニ四駆の独自性を強調している点など、飛躍とプロパガンダ のバランスが美しい。「コロコロマンガ」の完成形のひとつと言えるだろう。(99.0128、滑川)



・「ダッシュボーイ天」 全2巻 徳田ザウルス(1996〜97、小学館)
(ミニ四駆)

小学2年生、3年生、5年生連載。よく考えたら、コロコロ以外の学年誌連載の作品もここにカテゴライズしてしまっているが、テイストが似ているのでよしとしてください。さて、本作は天下太平、通称「天(テン)」が主人公のミニ四駆マンガ。天は「ブーメラン・10」、「アストロブーメラン」などのミニ四駆を使う。「一度走り出したミニ四駆をどうやって制御するか」というと、背中にしょった巨大なブーメランで風を起こしたりするのだ。

後半は、まるでドラキュラのような少年・武羅怒城(ぶらど・じょう)が登場。なんと彼のマシンと一緒にレースをしたレーサーは、苦痛で病院に運ばれるかひどいときには死んでしまうのだ。そんな彼に、天たちが挑む。

(たぶん)CGが効果的に使用され、全体的にキレイな画面になっている。(99.0406、滑川)



・「レーサーミニ四駆 世界グランプリ」 (1)(2)(以下続刊?) 原作/大崎悌造、まんが/池田淳一(1989、講談社)
(ミニ四駆)

世界グランプリ

コミックボンボン連載。海外に輸出されたミニ四駆が世界各国で大人気となり、世界グランプリが開催されるまでになった。主人公・日野速太と亀田進、荻野めぐみ(女の子)の3人は、日本代表として全世界から集まった強豪たちと、戦いを繰り広げるのだった。

ミニ四駆のセッティング&改造のことになると、専門的な知識を必要とするので滑川には評価のしようがない。しかし、本作は「世界グランプリ」という設定といい、鈴鹿サーキットのミニチュアや火山の噴火まであるディオラマコースでのレースといい、非常に夢があって楽しめた作品。
コースに合わせた改造や「ラインチェンジャー」(コースから壁がドアみたいに飛び出て、マシンのコースを変える)という機能のために、「ミニ四駆がひとりでに動いている」ような不自然さもないし。
また、私が今まで読んだミニ四駆やラジコンものの中ではじめて、田宮模型の社長が登場した作品でもある(タミヤの「前ちゃん」や「ミニ四ファイター」、「メカニックマン」などはよく出るんだけど)。(99.03、滑川)



・「爆走! ダッシュクラブ」 全2巻 樫本学ヴ(1989〜90、小学館)
(ミニ四駆)

ダッシュ

コロコロコミック連載。コロコロコミックが主催していたミニ四駆の一種のファンクラブである「ダッシュクラブ」会員を主人公にしたマンガ。「きみたちに一番近いミニ四駆まんが!!」と銘打ってあるように、タミヤ主催で毎年開かれるミニ四駆の大会「ジャパンカップ」に出場する子供たち、あるいは抽選漏れでジャパンカップに出場できない子供たち、あるいは会場が遠すぎて出場できない子供たちなどを描いている。
マンガとしては、コロコロ作品を読みあさっていると出くわすほとんどすべてのパターンが出そろっている、「身近」を意識しているせいか、展開にものすごい飛躍がない、といったことのせいか、一見地味(あくまで比較論なんですけど)な感じを受ける。しかし、ミニ四駆を実際に走らせる子供たちにはそれなりのリアリティがあるようだ。さらに、「ミニ四駆」の改造面から見ても、コースやレースに合わせてセッティングや改造をするなど、リアルを獲得している作品らしい。

個人的には2巻収録の読みきり「あっぱれ! カラクリ丸」に登場した「ベーゴマのおユマ」(すなわち「スケバン刑事」の中村由真がモデル)に時代を感じてノスタル爺な気分に。
作者は、現在「学級王ヤマザキ」が人気の人。(99.0316、滑川)



・「ミニ四駆RC伝説 燃えろ! アバンテ兄弟」(1) こしたてつひろ(1989、小学館)、(2)(1991、小学館)
(ミニ四駆)

アバンテ兄弟

別冊コロコロコミックスペシャル連載。「アバンテ」とはラジコンとミニ四駆 の車種の名前。大空兄弟・兄の翔一はラジコンのアバンテ4WD、弟風太はミ ニ四駆のアバンテJr.を使う。
徳田ザウルス氏のミニ四駆マンガ「ダッシュ! 四駆郎」が88年からの連載なの で、第一次ミニ四駆ブームの黎明期〜ラジコンブームからミニ四駆ブームへ、 という移行期に連載されていたことになる。

内容は、まさに「移行期」という感じで、ラジコンとミニ四駆のコンビレース が毎回展開される。ミニ四駆の改造も専門的になり、70年代後半〜80年代前半 の荒唐無稽なコロコロ勝負マンガに比べると隔世の感がある。
(99.0120、0316、滑川)





・「コンバット弾」全2巻 たなかてつお(1985、小学館)
(コンバットチョロQ)

コンバット弾

別冊コロコロコミック連載。「プラモ狂四郎」同様に、「シミュレーションシステム」を使ったマンガ。子供たちが「コンバットチョロQ」に乗り込んで戦争ゲームを繰り広げる。「クルマもの」というより戦争モノに近いが、題材がチョロQということでこちらにカテゴライズした。

本作が「オモチャシミュレーション」として異色なのは、回を重ねるごとに「しょせんゲーム」という気楽さ(そこにスポーツ的な真剣さはあっても)とは、加速度的に無縁になっていく点にある。とにかくどんどん話が深刻さを増し、最終的にはチョロQすら関係なくなってしまう(この辺りは「オトナの事情」かなんかわからんが)。
作者はシミュレーションよりも戦記モノを描きたかった印象があり、単行本の前書きにもそんなようなことが書いてある。
戦記シミュレーションプラスチョロQの特性プラス弾(主人公)の機転による爽快な大逆転……それは「プラモ狂四郎」と同工異曲と言って片づけられない良さがあるのだ。

第1話「コンバット弾登場!」
まず、最初のうちはシミュレーションシステムすら出てこない。

「カイザー鷲津ひきいる機甲師団 死の十字架軍(デス・クロイツ)」という のが現れ、100台以上のコンバットチョロQによって他の子供たちのチョロQを壊しまくっているという。話を聞いた大河弾(たいが・だん)は、仲間の花丸(火薬の使い手)、半死郎(ナイフの名人)、マンモス大吾(力自慢)を集め「チョロQ戦隊 コンバット4」を結成、死の十字架軍に戦いを挑む。
チョロQの大砲に2B弾を仕込んでの銃撃戦がキャラクターが実際にチョロQに乗って戦争するという「たとえ」で描かれる。ここではまだ「ごっこ遊び」のレベルなわけだ。

第2話「突入! コンバットシミュレーション」 ではじめてシミュレーションシステムが登場。電子工学の世界的権威、星野博士が開発したこのシステムは、「催眠中の脳波を自由にコントロールしてどんな戦場へも入っていける」という。架空の戦場に入っていく弾ほかコンバット4の面々。
弾は四輪駆動の改造チョロQの特性を利用し、後輪をうしろへ90度回転させてスピンサイドアタックをかけるのであった。

第3話「レマルク鉄橋争奪戦」 では、コンバット世界制覇をもくろむ「黒い旅団」が登場(そんなことして何になるのかはもちろん言いっこナシ!)。RX−311支援戦闘車をベースにした改造チョロQ「タイガー」で挑む弾。
ドイツ軍最強の四輪駆動車ライン・シュタールコブラに乗ったバロン・神堂に水中へたたき込まれるが、搭載したミサイルを固定しその力で脱出。空中でねらい撃ちされるが、「今おれは飛行機と同じ。抵抗が増えた方へ首をふる!」と思い立った弾は自らタイガーを撃ち方向をバロン側に向け、そのまま固定したミサイルを放つ離れ業で勝利!
この辺りも、まだシミュレーションの面白さを追求するにとどまっている。

次の「死闘! 機甲コマンド 赤いゲリラ」では、チョロQ界の裏世界(どんなだ?)に追放された「赤いゲリラ」が、星野博士の娘ユミちゃんを誘拐してコンバットシミュレーションの世界へ。それを弾たちも追いかける。いったん行くと、外側からも操作がめんどうらしいのだ。
■しかし、星野博士の助けを待とうとするコンバット4の中に不協和音が……。あくまで自分たちの力で戦った方が得策だと主張する弾に対し半死郎が言う。

「おまえはそんなに戦争したいのかあ!」
「おれは……さっきのおまえの戦いぶりを見てぞっとした。」
「まるで……血に飢えた殺人機械そのものだったぞ。」

だって疑似戦闘じゃないの? しかしこの辺は完全に「戦記マンガ」のノリなのだ!
救援部隊を待ち休戦するか、それを待たずに戦って現状を打開するかという戦略上の問題に「戦争とは?」がからむという議論を小学生がしているのであった。そして最後にはシステムの故障でみんなは疑似世界へ閉じ込められてしまう。

次の「ニュータイガーで列車砲と対決!」 ではさらに話はハードに。前回ではフィギュアは感情のない存在だったが、弾たちは感情や意志があるコンバットフィギュア、サンダー軍曹とその分隊に出会う。当初は弾たちを子供とあなどっていた軍曹。しかし、手際よく窮地を脱した弾たちを見て、軍曹が彼らを認めるくだりは簡にして明。軍曹と弾の間に信頼関係が生まれる。しかし列車砲を破壊する作戦で次々に散っていく分隊メンバー、そして最後には軍曹の死……。フィギュアなのにその死はあまりに悲しいものであった。

その次の「ターボマグナムでマックを救え」では、さらに「ドイツ軍と戦うレジスタンス」マック(こいつもフィギュア)が登場。村を焼き払われ復讐に燃えるマックだが、星野博士のプログラムでいったん停戦となる。それでもドイツ軍に特攻しようとするマックを、弾が身を挺して止める。繰り返すが、これは疑似戦闘世界なのだが。基本設定をヨソにどんどんハードになっていくのだ。

「撃滅! ヒトラー親衛機甲師団」ではヒトラーのフィギュア(?)まで登場している。

■続く新シリーズ「超未来戦隊コンバット弾」ではさらにエスカレート。21世紀、サイボーグに侵略された未来人類を救うため、時間を超えコンバット4は戦場に赴くのだ。なんでや? 疑似戦闘の得意な小学生を未来へ送り込まねばならない理由は?
一切不問である。なんか、疑似戦闘での活躍を見て、世界首脳が全員一致で決めたらしい。いわば「逆ターミネーター」で未来へ行く弾たちは(考えてみりゃ相当無謀な行為だ)、極悪サイボーグ「インディアン・キラージェロニモ」「アメラグ・サイボーグ ショットガン」などと戦う。

未来兵器なんか扱えるのか?と思ったら、敵は単発式リボルバーを使っているし、武器が未来のわりには原始的だ。これは、後付けで「人類は自分の手で武器を使わなくなり数百年が経つ。」という説明がつく。武器の開発は大幅に遅れていたらしい。
窮地に立たされた人類だが、武器博物館がまるまる残っており、そこにある古い武器を使って(使用法に詳しいのは弾たちだし)反撃に出る。が、意味深に出てきた敵の大ボスとは戦わないまま何の説明もなく物語は終わってしまうのだった(打ち切りなのかな?)。まあ、未来に平和は戻ったらしいが……。

■本作は、どんどんどんどんハードになっていくため、設定もどんどんおかしくな っていく。「催眠効果での疑似戦闘」だったはずなのに、疑似世界へ入ったらシス テムのコクピットを開けても身体ごと消えてしまっていたり、疑似世界の緊迫感を 維持するためにシステムの故障やアクシデントなどが次から次へと用意されていく 。読んでいて「アレ? アレ?」と思うのだが、後になっていちおう説明がつくの で、全部読んだ後にそれほどデタラメ感は残らない。
新味を出そうとした熱意がうかがえる、佳作であると思う。

「爆走RCカー F−1ボーイ」 全2巻 たなかてつお(1991〜92、小学館)感想

(981230、000310、滑川)

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