●毛野楊太郎(けの・やんたろう)が、成年コミック作家としてデビューしたとき、そのあまりの矢野健太郎との絵のソックリぶりに驚いたものだ。狙ったペンネームはもちろん、お話の展開やテイストにも非常に近いものが感じられる。しかし、なにぶん作品の多くがいわゆる「鬼畜系」の作品で占められていること、あとがきや似顔絵では「まったくの別人」となっている(長く矢野氏のアシスタントをつとめていたという)ことからはっきり同じ人物だとも言いづらいため、以下では別人として話を進めていく。
毛野楊太郎作品の特徴は、「Hマンガ」というジャンルのパターン・お約束を意識した「ジャンルパロディ」性、物語をどのようにも改変可能なものと見ている突き放した感じ、そしてそれと矛盾するかもしれないが、その中で生きる人間たちのドラマ性、といったことがあげられると思う。また、「Hマンガではどのような描写が『エロい』と認識されるのか」をテーマにした作品も少なくない。
また、師匠ゆずりのファンタジックな設定もお手のものだし、そもそも多用される視点の変化は、おそらくSFやファンタジー的な思考から来るものだろう。基本的には鬼畜路線を守っているが、ギャグものやラブコメ、まったくガチンコの心底ダークになる陵辱モノまで、幅広い作風を持つ作家である。
・「プレイヤーS」 1995年10月20日発行(富士見出版)
・「いっぱい出したネ▼(▼はハートマークの代用)」 1999年9月15日発行(富士見出版)
・「イケないコとして▼(▼はハートマークの代用)」 2000年9月15日発行(富士見出版)
・「イケないコとして▼(▼はハートマークの代用)」 2000年9月15日発行(富士見出版)
このように書くと実験作、あるいは人間人形感覚な、非常にクールな作風を連想されるかもしれないが、むしろドラマ性という点でいえば若い世代の作家(毛野氏が何歳か知らないのだが)よりは濃厚。鬼畜ゆえの激情、激情ゆえのストーリー分岐の面白さ、とひとまずは言えると思う。
その1〜 2001年9月6日更新
・「磨衣スレイヴ」 1996年6月1日発行(富士見出版)
・「アウェイクン」 1998年4月20日発行(富士見出版)
・「亜弓ちゃんといろいろ」 1998年12月20日発行(富士見出版)
・「トイレはきれいに」 1999年2月21日発行(コスミックインターナショナル)
その2〜 2001年9月6日更新
・「正しい課外授業」 1999年9月23日発行(コスミックインターナショナル)
・「プレイヤーS」(B6) 2000年3月25日発行(蒼竜社)
・「楽しい課外授業」 2000年2月21日発行(コスミックインターナショナル)
・「磨衣スレイヴ」(B6) 2000年3月30日発行(蒼竜社)
・「恥しい課外授業」 2000年9月1日発行(コスミックインターナショナル)
その3〜 2005年7月28日更新
・「アナザー・レッスン」 2001年5月5日発行(コスミックインターナショナル)
・「激しい課外授業」 2001年12月1日発行(コスミックインターナショナル)
・「アブナイ課外授業」2002年9月1日発行(コスミックインターナショナル)
・「淫らな課外授業」2003年7月1日発行(コスミックインターナショナル)
その4〜 2005年11月5日更新
トップに戻る