以下がワレワレ「ふぬけ共和国」上層部が、独断と偏見で選出した99年マンガベストテンである(本当は12作品。絞りきれなかった)。以下のことを念頭において作成された。
・ただおもしろいものを上げていってはまとまりがなくなるので、「オレ流」なセレクトにさせていただいた。
(00.0127、ふぬけ共和国・マンガ)
・「ゲームソフトをつくろう」(1) こーた(1999、講談社)(→感想) [amazon]
・「メイドロイド雪之丞」 井萩寿一(1999、実業之日本社)(→感想) [amazon]
・「ゾンビ屋れい子」(1) 三家本礼(1999、ぶんか社)(→感想) [amazon]
そのヴァイオレンス、セックス、そして熱血、すべてわかったうえでの極端描写はギャグとしか見えず、実際ねらっているらしいのだがなんつーかそれも含めて本当に痛快なマンガである。ここにあるのは矛盾するようだが「メチャクチャのコスモ(秩序)」なんであ〜る。
なお読む人は必ず前作の「闘技創世奇伝DEI48」(全1巻)を読むこと。それによって、おもしろさ倍増である。
・「バロン・ゴング・バトル」 全9巻 田口雅之(1998〜99、秋田書店) [amazon]
・全体のまとまりをストーリーもので統一したかったから、ギャグマンガが少なくなってしまった。
・この世のすべてのマンガを読んだわけではないので、流れ的にも「あれが入ってない」というようなことがあるかもしれないが、それでしたらすいません。
・繰り返すが独断と偏見なので、ご了承ください。
・少女・レディース系もごっそり抜けてます。
・生まれてすいません。
・同率一位である。順序は関係ない。
・よろしくね。
・多くが超メジャー作品というわけではない。より面白さを知ってもらいたいため。
・どうかひとつ。
近年発行が続いているアニメ・特撮作品のコミカライズ復刻モノからひとつ選んでみた。連載当時は内山まもるの「ザ・ウルトラマン」からの引き継ぎという印象が強く(事実かどうかはともかく)、ツライ立場だったように思っていたが、レビューにも書いたけれど「ゾフィーの戦い」はカッコいい。とにかく地球人なんかひとりも出てこない。「ゾフィー」という名の、異星人戦士と見たこともない宇宙人との戦いがシブいっすよ。
「月刊マガジンZ」連載中。「20周年」を前後して、ガンダムに関する書籍がマンガをふくめいろいろと出た。ガンプラ同士を戦わせる「プラモ狂四郎」の復刻本や、「ガンダムプラモの品評会マンガ」である「ガンプラ甲子園」も候補にあがったが、「ガンダムのアニメを見ていないとサッパリわからない度」がいちばん強い本作を選んでみた。とにかくアニメで繰り広げられた架空の歴史を知らないと、このマンガはまったくわからないと思う。それだけ「ガンダム」が読者の「教養」になっているわけで、単純にすごいなあ、ということで。また、そのうえでの本作の展開の仕方も相当にスゴイものがある。「オタク的」といっても、ここまで系統だった知識に依拠したものは少し前には考えられなかったように思うので。あったらゴメン。
コミックボンボン連載。「コロコロ・ボンボン」系からは、けっきょく完結編の単行本が出なかった(たぶん本当は全2巻くらい)本作を推してみた。絵は一般的に言ってものすごくうまいわけではないし、展開もめちゃめちゃ斬新というわけではないが、「泣かせ」のツボを心得ていた熱血少年マンガ。「ゲームをプレイする」のではなく「作成する」という設定は、「ゲームセンターあらし」のような「ゲーマーマンガ」とも、あまたある「ゲームのコミカライズ」とも違った次世代ゲームマンガの予感がした。早期連載終了(と、単行本完結編が出ない)は残念。
「おしかけ女房モノ」からは、コンパクトに楽しめる全1巻の本作を。「メイド」、「ネコ耳」、「アンドロイド」というかなり強固なお約束妄想をきっちり書いているところからも、「おしかけ女房」のナイスな事例と言える。「戦うメイドさん!」(西野つぐみ、ぶんか社)とどっちにするか悩んだが、このことからも「メイド」が近年のトレンドだということですね。なんでだろう。
「ジョジョの奇妙な冒険」にインスパイアされたと思われる双子の姉妹リルカとの戦いがすごい。だがソレナリの工夫があって、決してパクリとは呼べない魅力がある。
……というか、いちおう3月号で戦いは集結したんだけど、とにかく面白いから読みなって!! ゴチャゴチャ言ってられないヨ!! あと単行本が4月に出るよ!!
「ガンダム」→リアルロボット路線とか「エヴァ」→「ダイ・ガード(?)」、「未来少年コナン」→「タイガアドベンチャー」など、アニメではスタイルを引き継いでいくモノは少なくないが、雑誌を越境してまで「スタイル」として伝染していくのは最近のマンガ作品ではジョジョくらいだろう、という驚き票も含まれている(他にあったらゴメン)。
まあ、そんな能書きはイイから読むべし。
少年チャンピオン99年53号〜2000年8号まで。こちらも「ゾンビ屋れい子」と同じく「ジョジョ的なモノを」というコンセプトで始まったのではないかと予想することはできる。しかし「理科の実験や数学パズルの知識を活かしてモンスターを倒す」という趣向はオリジナルなものだったし、絵もかわいかった。難を言えばゆうきの使うトリックが少々わかりづらかったことだが、連載が続いていれば科学VS魔法という対立すら描けたんではないかと夢想してしまう。本作も早期終了が非常に残念だ。
同人誌からはこちら。これもレビューに書いたけど、あまりに個性的すぎてヒク人とかいるらしい。でも、いたずらに過激に走らず、不条理でもなく、どこか牧歌的な印象さえある絵柄と構成は、本当にそこらで見れるものではないんだけど。これはもう実物を読んでいただくしかない。
パチンカーワールド連載。「ぶっとびの星」、ふくしま政美のピチピチ新作劇画。絵柄は今風に進化しており、少しも枯れたところがない。ある意味コロコロホビー的な、「単なる遊び」であるパチンコに宇宙まで体言させるというテーマと、緻密な画風が合体しワレワレは異次元へと導かれる。
ヤングマガジン、別冊ヤングマガジン連載。コレだけが今までレビューに書いたことがなかった作品。気の弱いいじめられっ子の少年・泊破武男(とまり・はぶお)は、沖縄に古くから伝わる、空手より古い「手(でい)」の、さらに空手が取り込まなかった秘技「裏手(うらでい)」の真正継承者であった。
この「裏手」ってのが、男女の48種類のまぐわいの型から発達させた格闘術であり、それを継承するには「繋ぎ女(つなぎめ)」という48人の女性と交わらなければならないというトンデモナイ展開。そして一人の繋ぎ女にひとつ、計48種類の技があるというわけなのだ(この技もひとつひとつがそうとうトンデモナイです)。
強い格闘家なら、真正継承者でなくても繋ぎ女の匂いをかぎわけられるため、裏手を継承したいがために次々襲いくる格闘家(ほとんどが忍法か魔法に近い、もんのすごい技を持っている)を破武男は倒していく。
「オタクが嫌う」とどっかで聞いたので、バランス的にわざと入れてみたりした。まあこのベストテン自体が、すでにバランスもへったくれもないんだけど。
だれが嫌ってようがかまわないが井上三太の描く町並みやこまごまとした日用品の描写などは本当にイイ。当たり前のモノなんだけど、それはどう見ても「井上三太の世界」のものなのだ。
また長編作品は意外なほどストレートなところもイカす。
「いけいけゴーゴー熱血モノ」ばかりになりそうだったので、シブ目というかややハードボイルドな作品として入れた。滑川の「ぶっとび」感覚では過剰なモノ、熱血モノばかりではなく、読んでいてどこかに安心感のある、でも奇妙な味(もちろんそれは「笑ウせぇるすまん」とか「Y氏の隣人」のタグイの「奇妙な味」ではナイ)の作品にも目を配りたい。これはそんな意味でのしみじみとした、でもちょっと不思議テイストな一品。
少年チャンピオン連載。「一般的に考えても打ち切りが残念な作品」として入れた。本作も初期は「ジョジョっぽい」感じがしていたし、肉弾ファンタジーマンガとしては同誌の「刃牙」や「悟空道」に太刀打ちするのはかなりムズカシイ状況(あくまで読者として見れば)でありながら、回を追うごとにその作品の熱さは増し、だんだん読むのが楽しみになっていった、作品とシンクロしていく過程がエキサイティングだった作品。つまり主人公のバロンの生きざまが作品そのもののあり方に同期していたように感じられた。
連載終了まぎわでも、いろいろ伏線が用意されていたことが察せられるのだが、あえなく終わってしまった。しかも、「私だけ面白いと思っている」のではなくて、あちこちで「面白い」という意見を聞いていただけに、突然の終了には驚かされた。単行本最終巻でも、「結婚直後の連載終了だった」というなんとも言えないあとがきが載っている。次回作にはもっといい舞台を用意してあげたいと思うのだけど……と思っていたら、「ヤングチャンピオン」で新連載が始まるらしい。期待!!
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2001マンガベストテン
つれづれなるマンガ感想文’00
つれづれなるマンガ感想文’99
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コロコロ・ボンボン小学校の放課後
SFおしかけ女房
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