コミックビーム
2001年
※”▽”はハートマークの代用。「4C」は4色カラーの略。
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作者 | タイトル | 備考 |
志村貴子 | 表紙 |
志村貴子 | 敷居の住人 | 含4C |
吉田戦車 | 象の怒り |
竹本泉 | よみきり▽もの「たべる少女ははしる少女」 |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
羽生生純 | 恋の門 | 最終回 |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
福島聡 | 少年少女 |
林光默(構成協力:崔成賢) | 橋無醫院 |
しりあがり寿 | 弥次喜多 in Deep |
タイム涼介 | あしたの弱音 |
鈴木マサカズ | 大人になれば… |
作:ダークマスター+画:泉晴紀 | オトナの漫画 |
小池桂一 | ウルトラヘヴン |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
鮪オーケストラ | トニーの背骨はよく曲がる。 |
金平守人 | カネヒラデスカ? |
今月号の定期購読の付録は、金平守人、志村貴子、寺田克也、竹本泉がFAXで編集部に送ってきたネームのコピー。チープだけどファンにとってはかなりうれしいアイテムといえそう。ちなみにこれから、1月号と7月号の定期購読おまけは福袋形式にするとのこと。編集机の奥深くに眠っているワケのわからんものをポコポコ放出するらしい。何がくるかは分からないけど楽しそう。そーゆーモノが欲しい人は今すぐビームの定期購読を始めるのだ〜。郵便受けが小さかったらビーム用に拡張するのだ〜。
で、それはともかくとして今月号はまたえらく面白いなぁ。ツボにハマる作品がやたら多い。しかもけっこうスルスル読めて肩も凝らないし。正直、こんだけ毎度毎度楽しませてもらっているのに、自分が定期購読料年間6600円分しか払っていないと思うと、なんだか申し訳ないような気さえしてしまう。この雑誌がこのまま続いてくれるんなら、年間5万円くらい払ったってちっとも惜しくない。
まずは福島聡が登場。「少年少女」。子供たちがふざけっこしてもみ合っていたところ、女の子が押した少年が井戸に落ちて死亡してしまう。その罪悪感に女の子は傷つき、自分なりの解決策を探っていく。偶然抱えてしまった重荷に対し、自分なりの結論を出そうとする子供たちの姿を描いている。モーニングで連載された「DAYDREAM BELIEVER」(→bk1)で見せたのと同様に画力、演出力、構成力が非常に高いレベルでバランスがとれていて、なんともいい作品に仕上がっている。やっぱこの人、漫画がすごくうまいな〜と再確認。さらに読切、「サルぽんち」の鈴木マサカズによる「大人になれば…」。30歳にして童貞な男の、脱皮できない切実な想いを綴った26ページ。一見ギャグテイストな作画だけど、「サルぽんち」同様、非常に深い。苦さ辛さを逃げないで正面から描き切るだけの胆力を感じる。
羽生生純「恋の門」はついに最終回。紆余曲折はさまざまありすぎるくらいあったが、やっぱりこの作品は純愛の物語だったのだ。非常にインパクトの強い作品で、毎回刺激的だった。単行本は4巻が11月26日、最終5巻が来年3月下旬発売予定。全部揃えてまとめて読むべし。それから志村貴子「敷居の住人」。こちらも恋愛漫画だが「恋の門」とは対照的に非常にシャレている。しかし、内容の深さは負けず劣らず。今回のストーリー展開にもいちいち「うわ」「うわ」「うわわわ〜」と呟いてしまった。一筋縄ではいかないお話に、いつも驚かされる。
竹本泉「よみきり♥もの」。今回のタイトルは「たべる少女ははしる少女」。タイトルそのまんまによく食べ、よく走る少女のお話。毎度マイペースでゆったりしてて読んでてすんごく気持ちがいい。しりあがり寿「弥次喜多 in Deep」は、しりあがり寿のラフな筆致の迫力を今回も思う存分見せつけてくれた。それから鮪オーケストラ「トニーの背中はよく曲がる」は、どんどん展開がダイナミックになってきている。今回は殺戮野球。ヘン。そしてすごい迫力だー。
作者 | タイトル | 備考 |
柳澤一明 | 表紙 |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン | 含4C |
吉田戦車 | 象の怒り |
竹本泉 | よみきり▽もの「ねむりの午後」 |
志村貴子 | 敷居の住人 |
タイム涼介 | あしたの弱音 |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
羽生生純 | 恋の門 |
林光默(構成協力:崔成賢) | 橋無醫院 |
深谷陽 | チャロナランの夜 |
作:ダークマスター+画:泉晴紀 | オトナの漫画 |
しりあがり寿 | 弥次喜多 in Deep |
小林哲也 | おんなのこ |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
小池桂一 | ウルトラヘヴン |
新谷明弘 | 期末試験前也 〜自殺少女の夜〜 |
鮪オーケストラ | トニーの背骨はよく曲がる。 |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
金平守人 | カネヒラデスカ? |
今号は新谷明弘「期末試験前也」が登場。いつもの勉強してるくんの部屋に、自殺したはずの隣りのクラスの女の子が入り込んできて突如告りだす。淡々としているようでヘンなことをしてて、ほのぼのと不思議な触感がいと楽し。深谷陽「チャロナランの夜」。舞台はバリ島。のんびりしててエキゾチックでいい雰囲気。これからもときどき登場してくれるとうれしい。それにしてもこの人はけっこういろんなところに出没しますな。アーティスティックな線で目を惹く小林哲也も登場。スペシャル読切「おんなのこ」。俺の好みからいうとちょっとシャレていすぎるかなあとかいう感じではあるけれども、なかなかイカした絵柄でカッコ良し。
竹本泉「よみきりもの ねむりの午後」。毎度すごく面白いなあ。今回はとにかくずっと眠くて仕方なくて、居眠りばっかりしてる女の子のお話。ねぼけまなこの女の子の表情がすごくいい。そして毎度いい作品もう一発。志村貴子「敷居の住人」。ミドリちゃんが手芸にハマりこんでいる間に、なんか近藤ゆかさんがどうしたもんだかという事態に。みんな幸せになってほしいもんです。
作:TKD+画:竹谷州史「LAZREZ」ついに万尊の音楽活動が始動。なるほど、サスケはこんなふうにからんでくるのか。これからはストレートにえらくカッコよくなりそうな気配。期待高まりまくり。羽生生純「恋の門」はついに最終局面で、次回最終回。打算、誤解といろいろあった二人だけど、幸せに結ばれるのか、それとも結局ダメなのか。刮目して次回を待つ。と小池桂一「ウルトラヘヴン」。うわ、今回もすごいなあ。なんか作者の手の平の中で思うさま酔っ払わされているかのようだ。毎度びっくりさせられる。あと今回は鮪オーケストラ「トニーの背骨はよく曲がる」もダイナミックで良かった。だんだんいい味出てきてます。いましろたかし「釣れんボーイ」は、テロも気になるけど、結局は釣りしたりメシ食ったりなあたりになってしまうヒマシロ先生のスタンスに共感。
作者 | タイトル | 備考 |
林光默 | 表紙 |
竹本泉 | よみきり▽もの「南海の季節」 | 含4C |
タイム涼介 | あしたの弱音 | 新連載 |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
志村貴子 | 敷居の住人 |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
しりあがり寿 | 弥次喜多 in Deep |
林光默(構成協力:崔成賢) | 橋無醫院 |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
小池桂一 | ウルトラヘヴン |
羽生生純 | 恋の門 |
作:ダークマスター+画:泉レッドマン | オトナの漫画 |
鮪オーケストラ | トニーの背骨はよく曲がる。 |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
安永知澄 | くそがき |
カネコアツシ | BAMBi | 最終回 |
金平守人 | カネヒラデスカ? |
カネコアツシ「BAMBi」は最終回。ここまで長らく楽しませていただきました。しっかりエンターテインメントしていたしきれいに終われたと思う。6巻(→bk1)および短編集「ATOMIC?」(→bk1)が9月25日に同時発売。それからタイム涼介の新連載「あしたの弱音」がスタート。虚弱なツッパリ駄目元弱音の弱っちい日常を描く。今回はちょっと「日直番長」的なポエムの香りが漂っております。楽しみ。
竹本泉「よみきり♥もの『南海の季節』」。面白いな〜。ただただ、やたら暑い島で生活する男子女子を追っかけてるだけの話。それがなんとも心地いい。何が面白いってわけでもないけどなんだか面白い。志村貴子「敷居の住人」。中島くるみタンのゆかた姿……! あと、読み切り安永知澄「くそがき」。これはなかなかいいです。しみったれたおっさんが店長をやってる雑貨屋に出入りしている小学生の女の子のお話。地味な日常を丹念に描き出す作風はなかなか情緒的。スミベタが映える雰囲気のある絵。次の作品も読んでみたいと思わせるものあり。
作者 | タイトル | 備考 |
カネコアツシ「BAMBi」フィギュア | 表紙 |
カネコアツシ | BAMBi | 含4C |
吉田戦車 | 象の怒り |
志村貴子 | 敷居の住人 |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
竹本泉 | よみきり▽もの「にゃんこのうしろ」 |
千田悟史 | 雪のマフ |
摩訶国彦 | 驚異の旅 |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
林光默(作:李成賢) | 橋無醫院 |
しりあがり寿 | 弥次喜多 in Deep |
小池桂一 | ウルトラヘヴン |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
羽生生純 | 恋の門 |
作:ダークマスター+画:泉レッドマン | オトナの漫画 |
鮪オーケストラ | トニーの背骨はよく曲がる。 |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
金平守人 | カネヒラデスカ? |
カネコアツシ「BAMBi」は次号でいよいよ最終回ということで盛り上がりを見せている。ここまで激しい展開を見せ続けてきた話をいったいどう畳むのか。すごく楽しみ。そういえば映画っていつなんだっけ。志村貴子「敷居の住人」。そろそろハッピーエンドに向かうかと思いきや、なかなかそうも行かないようで。キクチナナコが明るく振る舞うさまが痛々しいけど、さてどうなるんでしょうか。竹本泉「よみきり?もの にゃんこのうしろ」。このシリーズ毎回面白いな。今回はただひたすらぼーっとしている女の子の日常。ちょっと恋愛的にいい雰囲気なのかなと思わせつつも、やっぱりぼーっと淡々と。この人の間もホントに独特だ。
小池桂一「ウルトラヘヴン」。正真正銘ドラッギー、というかドラッグ漫画。ヤクキメてテンパッてるシーンとか、脳内ワールドの描写は、絵がすごくうまいだけにやたら現実感がある。まさに「読むクスリ」といった感じ。ついつい「自分も」とか思っちゃうけど、一度やったら後戻りはできまいな。やめとこ。鮪オーケストラ「トニーの背骨はよく曲がる。」。今月はまたアクロバティックでヘンな面白みあり。いましろたかし「釣れんボーイ」。そうか、ヒマシロ先生に弟子が……。
千田悟史「雪のマフ」は第3回ファミ通エンタテインメント大賞コミック部門で優秀賞を受賞した作品。雪の精的な動物に出会ってしまった少女が、その動物が持っていた雪のマフラーを手に入れてしまい、人間を嫌う冬の精と対面することになるが……というお話。優しげな読感のファンタジー作品。絵柄は親しみやすいし惹かれるところはある。ただ、ちょっと小さくまとまってる感があるのと、ラストがなんか安易に思える。でもガシガシ作品描いていくうちにそういうのは解消されていきそうなタイプって気もするし。摩訶国彦「驚異の旅」。クセのある絵柄で、これまたクセのある古代が舞台な不思議な旅行記を描く。肉人とか出てきそうな世界。ヘンな世界なんだけど、なんかゆったりのんびりしていて和む。
作者 | タイトル | 備考 |
桜玉吉 | 表紙 |
吉田戦車 | 象の怒り | 含4C |
志村貴子 | 敷居の住人 |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
カネコアツシ | BAMBi |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
羽生生純 | 恋の門 |
竹本泉 | よみきり▽もの「みちのまんなかに岩」 |
小池桂一 | ウルトラヘヴン |
しりあがり寿 | 弥次喜多 in Deep |
林光默(作:李成賢) | 橋無醫院 |
鮪オーケストラ | トニーの背骨はよく曲がる。 |
作:ダークマスター+画:泉レッドマン | オトナの漫画 |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
ヒロモト森一 | SEX☆MACHINE | 最終回 |
金平守人 | カネヒラデスカ? |
面白かった〜。今月は読切はないけど、連載陣は面白く、満足満足。
まずは作:TKD+画:竹谷州史「LAZREZ」。今回は万尊オンステージといったところだが、画面から音が出るわけでもないのに、ビンビン振るえるものがあってエクスタシーを感じた。この作品も最初のころはどのように進むか見えないところがあったが、このところ万尊の若いころの話編に突入して、一本ぶっとい筋ができてきてすごく面白くなってきている。志村貴子「敷居の住人」。面白いなあ。いつも思うんだけど、ラストページのセリフが、とても気が利いてる。そこまで読んできた気持ちを一気にひっくり返してくれたり実に鮮やか。柱の部分に「最近、他社からのオファーも多い」とあるけど、確かにそうだろうなあ。こんだけうまい人を世間がほっておくとは思えんし。
鈴木みそ「オールナイトライブ」は今回、「すずきみそ」名義で「打てんボーイ」に。当然内容的にはアレ。やるのはテニスだけど。そんな中、いましろたかし「釣れんボーイ」のほうは熱血釣り漫画になってたり。両方とも漫画そっちのけみたいに感じるけど、たぶんどちらも漫画に対しては真摯なのだろうなあというのも同時に感じる。だからこそ限られた時間でやる趣味のほうに心底夢中になれるんだろうし。羽生生純「恋の門」。いよいよ息苦しい。まったくどうなってしまうんだろう。読むのに覚悟のいるキツい展開。小池桂一「ウルトラヘブン」。この人のドラッグ描写は本当にすごい。持ってかれる。これだけの画力、描写力でこれほどのテンションでやられてはたまらん。あとヒロモト森一「SEX☆MACHINE」は最終回。単行本2巻は8月末発売なので、出たら通しで読もう。
作者 | タイトル | 備考 |
金平守人 | 表紙 |
金平守人 | カネヒラデスカ? | 含4C |
志村貴子 | 敷居の住人 |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
吉田戦車 | 象の怒り |
小池桂一 | ウルトラヘヴン | 復活・新連載 |
しりあがり寿 | 弥次喜多 in Deep |
カネコアツシ | BAMBi |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
ヒロモト森一 | SEX☆MACHINE |
林光默(作:李成賢) | 橋無醫院 |
竹本泉 | よみきり▽もの「ゆれる100万ボルト」 |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
羽生生純 | 恋の門 |
作:ダークマスター+画:泉レッドマン | オトナの漫画 |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
鮪オーケストラ | トニーの背骨はよく曲がる。 |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
新谷明弘 | 期末試験前也 〜未塾者たち〜 |
金平守人が表紙&巻頭カラー。もっと奇を衒った路線でくるかなと思ったら、ストレートにポップにカワイイ女の子絵で来た。これはけっこう華やかだし目を惹くしいいんじゃないでしょうか。ビームは全般的に表紙のデザインが良くてうれしい。毎回執筆陣の誰かが持ち回りで絵を描いてるんで、「今回はどんなのかなー」とワクワクする。
で、まずは3年ぶりの復活、小池桂一「ウルトラヘヴン」。新連載ということでこれからも続くのだろうと思われ、たいへんにうれしい。ドラッグ文化の発達した未来世界を舞台に、またしても繰り広げられるトリップするような描写の連続。緻密で淀みのない画力にシビれる。以前のシリーズも、ぐるぐる酔っ払うような感じで気持ち良かったし、今回のシリーズもきっとすごいことしてくるに違いない。それから読切で新谷明弘が登場。「期末試験前也〜未熟者たち〜」。今回は、顕微鏡で覗いたプレパラートにいた、前代未聞な不思議な生き物(眼鏡ッ娘状の姿をしたプランクトンみたいなものだろうか)のお話。彼女は、この期末試験前シリーズの主人公の血を栄養分として成長し、どんどん大きくなっていくのだが……。まず顕微鏡というアイテムが、科学少年的魂を刺激してくれてたまらないではないですか。そして途中まで楽しげに進んでいたと思いきや、途中からどんどん切なくなって、というあたりの展開も素晴らしい。非常にいいお話。
羽生生純「恋の門」。うわ、すごいことになってるなー。恋乃は世の中をナメてるところがあったけど、まさかこういうキッツい展開にしてくるとは思ってなかった。今後、ホントにどうするんだろうどうなるんだろう。志村貴子「敷居の住人」。なんか落ち着くところに落ち着いちゃいそうでかえってびっくり。それにしてもうまいなあ。セリフの置き方とか。鮪オーケストラ「トニーの背骨はよく曲がる。」は、かなり良くなってきている。どんどん展開がダイナミックになり、脇キャラクターのクレイジーさも増してきている。今回のシンクロ暗殺部隊は圧巻だった。いましろたかし「釣れんボーイ」。今回は見開きの、必死なヒマシロ先生と呑気なイカの対比がすごくいい味。
作者 | タイトル | 備考 |
志村貴子 | 表紙 |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ | 含4C |
志村貴子 | 敷居の住人 |
吉田戦車 | 象の怒り |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
竹本泉 | よみきり▽もの「いつつぼし のんのんじ〜」 |
ヒロモト森一 | SEX☆MACHINE |
仲能健児 | 西蔵童話 | 読切シリーズ開始 |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
林光默(作:李成賢) | 橋無醫院 |
カネコアツシ | BAMBi |
小林哲也 | hug |
作:ダークマスター+画:泉レッドマン | オトナの漫画 |
しりあがり寿 | 弥次喜多 in Deep | 手塚治虫漫画賞 優秀賞受賞 |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
鮪オーケストラ | トニーの背骨はよく曲がる。 |
羽生生純 | 恋の門 |
摩訶国彦 | 驚異の旅 |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
金平守人 | カネヒラデスカ? | 新連載 |
仲能健児! うれしい! そんなわけで今回の仲能健児は読切シリーズ「西蔵童話」で登場。「西蔵」は「チベット」と読む。お話としては、チベットはラサの街で暮らしている男が、オンボロのバスとその持ち主であるオババの日々を観察するといった内容。古びたバスの趣を気に入ってしまった男のほれ込みぶりがなんだか楽しいなと思って読んでいたら、ラストはかなりゾクゾクするものに。こりゃすごくいいわ。何気にこの人、ペンタッチがすごく細かくて絵的にも完成された美しさがあるし。第一話となっているのでまた登場がありそう。楽しみ〜。
今回の巻頭カラーは作:TKD+画:竹谷州史「LAZREZ」。極彩色の扉がカッコイイし、内容も非常にハードで刺激的。物語的には荒削りだと思うけれども、荒れ球豪速球で勝負するような作風には魅了される。志村貴子「敷居の住人」。今回もやられた〜と思った。キクチナナコ良すぎる。恋しちゃいそうだ。いや、もうしちゃってるかもしんないよ! うぅ、たまんねえ〜。それにしてもこの人、毎度むちゃくちゃうまいなあ。いつもラストのセリフで一気にハートを射抜かれてしまうのだ。吉田戦車「象の怒り」は連載第2回。象には驚かされっぱなしだ。スパイがパンを食う姿がなんだかいい。吉田戦車キャラの食事シーンは毎度味がある。
桜玉吉「幽玄漫玉日記」。漫画家日常漫画の中では破格の面白さだとやはり思う。さほどものすごいことをしているわけではないのにまったく先を読ませない。このお話の持ってき方はすごい。こういう普通の日常漫画だからこそ、より演出力、構成力が必要になるんだと思う。ただ事実を羅列しただけじゃこうはならない。小林哲也「hug」。何かずいぶんアート系っぽいのを持ってきたなという印象。彼氏と別れた女(美大系か)とその友達の日常。ぺースとしてはのんびりしているんだけど、描線や構図取りに緊張感あり。ストーリー面ではすごく面白いってタイプじゃないが、どのページを見てもカッコ良し。
あと木崎ひろすけ死去についての奥村編集長の文章が泣けた。たぶんあの1ページ程度では想いのほどは書き尽くせていないのだろうけれども。この文章を読んで一気に湿っぽい気分になってしまい、その後の金平守人「カネヒラデスカ?」をいつもの調子で読めなかった。その分は次号、表紙&巻頭カラー(!)らしいのでそこでの爆発に期待。
作者 | タイトル | 備考 |
吉田戦車 | 表紙 |
吉田戦車 | 象の怒り | 新連載・含4C |
志村貴子 | 敷居の住人 |
竹本泉 | よみきり▽もの「わらいの園」 |
カネコアツシ | BAMBi |
林光默(作:李成賢) | 橋無醫院 |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
鮪オーケストラ | トニーの背骨はよく曲がる。 |
ヒロモト森一 | SEX☆MACHINE |
羽生生純 | 恋の門 |
作:ダークマスター+画:泉レッドマン | オトナの漫画 |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
深谷陽 | 踊る島の昼と夜 |
金平守人 | かねひらだもの | 最終回? |
今号も面白い〜。まず巻頭カラーで吉田戦車の新連載「象の怒り」がスタート。アフリカ大陸で突如、象が増殖。銃も効かない頑丈さを持つ象たちは、人間たちを襲い始める。なぜ象がいったい。というわけで今回は4コマものではなく、通常のコマ漫画でしかも続きモノである。いったい何を企んでいるのか得体の知れないところがあってとても刺激的。今月はスピリッツでの新連載「殴るぞ!」が始まり、単行本「学活!!つやつや担任」も出たし、久々に吉田が動き始めた月といえそうだ。2001年4月は吉田のものだ!!
志村貴子「敷居の住人」も相変わらずいい。今回、ミドリちゃんはお弁当作ったり裁縫したりしているだけのようでもあるんだが。そんなことをやっているうちに取り残されていくミドリちゃん。切ねえ。竹本泉「よみきりもの」。あ〜、このシリーズ、すごくいいわ。今回はすごく可愛いんだけど、笑い声が豪快すぎる女の子のお話。とくに何かすごいことが起きるわけでもないのに、独自の間で面白いお話に仕立て上げちゃってる。ホントにうまい。作:TKD+画:竹谷州史「LAZREZ」。すごくテンションが高い。ドラッグに溺れた意識の中で、万尊は音楽の秘められた領域に(それは幻かもしれないが)踏み込んでいく。ああ、次にどんな光景が展開されるんだろう。すごく楽しみ。
連載2回め、鮪オーケストラ「トニーの背骨はよく曲がる」。今回は表現がやけにダイナミック。なかなかいい感じになってきている。いましろたかし「釣れんボーイ」は毎回素晴らしい。今回なんてわんこそば食って釣りしてマッサージ受けるだけ。でもこれがいいんだなあ。それから読切で深谷陽が登場。バリ島で日本料理屋をやっている男を主人公としたお話、「踊る島の昼と夜」。お得意の東南アジア方面モノ。こういった国々の風景を描かすと、この人は抜群にうまい。といってもほかのものを描いてもすごくうまい人ではあるんだが。金平守人「かねひらだもの」は最終回。でもそこはそれ。かねひらですもの。
作者 | タイトル | 備考 |
須藤真澄 | 表紙 |
須藤真澄 | おさんぽ大王 | 含4C |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
志村貴子 | 敷居の住人 |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
福耳ノボル | 虫酸 |
カネコアツシ | BAMBi |
竹本泉 | よみきり▽もの「あっちの屋根こっちの屋根」 |
鮪オーケストラ | トニーの背骨はよく曲がる。 | 新連載 |
鈴木マサカズ | サルぽんち | 最終回 |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
林光默(作:李成賢) | 橋無醫院 |
ヒロモト森一 | SEX☆MACHINE |
羽生生純 | 恋の門 |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
作:ダークマスター+画:泉レッドマン | オトナの漫画 |
タイム涼介 | 東京カイシャイン | 最終回 |
新谷明弘 | 期末試験前也 |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
市橋俊介 | テルオとマサル | 最終回 |
金平守人 | かねひらだもの |
真っ先に読んだのは桜玉吉「幽玄漫玉日記」の2000年11月コミティア編最終回だったんだけど、奥村編集長トークショーの模様はほとんど触れられていなくて安心する。あー、良かった。そして今月号は須藤真澄が表紙。コレ、すごく目立つなあ。で、作品のほうだけど今月号はまた、俺の琴線をビンビン刺激するような作品が多くて、あーもうすんごく面白いなーという感じだった。読切あり最終回あり新連載ありと、とてもエキサイティング。今月号で定期購読1年分が終了したのだが、またしても申し込む予定。1999年5月号のサービススタートから継続しているので、これで定期購読の利用も3年めである。
まず今月は最終回組からいってみよう。鈴木マサカズ「サルぽんち」。すごくいいお話になったなあ。感動した。群から離れて旅をするようになったサルたちの生き様を描く作品だったが、コミカルな作風でありながら内容はとても深い。生きていてもあんまりいいことはないけれど、でもやはり生きざるを得ないし、生きるからには後ろを振り向いてなんかいられない。共に旅をしていたおじさんザルが自らの姿で示したように、希望なんかはないかもしれないけれど。実はハードボイルドな、とても良い物語だった。それから市橋俊介「テルオとマサル」も最終回。最後までクレイジーなパワーを発散し続け、突っ走った。ラストも爽快感があって素晴らしいなあ。かなり笑った。最終回も一つ。タイム涼介「東京カイシャイン」。こちらも最後まで作風を貫き、スットボけた味わいのまま幕引き。この3作、単行本出るかなあ。「東京カイシャイン」は1巻が出てるけれども。とりあえず出たらみんな買う。必ず。
次に読切。新谷明弘「期末試験前也 〜人類総家畜化計画〜」。いつもながらにのんびりと、かつ不思議なテイストでお話は進展。「うまそうである」ということで、人類は宇宙人に目をつけられて家畜化されようとしているのだが、それでも主人公はとくにやることもないので試験勉強をし続けるのだった。非日常がごく淡々と日常の中に溶け込んでいるのが楽しいところ。福耳ノボル「蟲酸」は第5回だけど、不定期なんで読切的でもある。それにしてもよくこんなグロテスクなムシズをレイプするものよ。さすがに妙ちきりんでダイナミック。竹本泉「よみきり▽もの あっちの屋根こっちの屋根」は、やたら高いところに登りたがる女の子と、彼女の目付け役的男子のお話。この読切シリーズ、竹本泉の魅力が存分に発揮されててすごく面白い。かわいい絵、竹本泉ならではの独特の間、そしてちょっぴりトキメキ。
連載では、なんといっても志村貴子「敷居の住人」。実際のところ、この作品の中で起きている出来事自体はすごくもなんともないんだよね。ちょっとヒネた少年少女がうだうだいってるだけなんだから。でも、読むとこれがものすごい。それぞれの心のハーモニー、すれ違い、期待したりされたり、裏切ったり裏切られたりなどなど本当に微妙な気持ちの動きを、実に見事にすくい上げて漫画として具現化している。別に俺と近しい精神性のキャラたちではないんだけど、その心の動きにいつの間にかシンクロさせられてしまっている。共感してるってわけでもないとは思うんだが、否応なしに引き込まれているのだ。そしてどっぷりその世界に浸った読者を、軽やかに突き放してくれる表現の鋭さにはまったくシビれてしまう。降参。
鮪オーケストラの久々の新連載「トニーの背中はよく曲がる。」。かなりイカれたパワーのある作品を描く人だが、いきなり扉ページからしてすごいインパクト。タイトルは奇を衒っただけかと思いきや、本当にトニーの背中はよく曲がるのだから驚きだ。相変わらず得体がしれなくて楽しみ。ヒロモト森一「SEX☆MACHINE」。かなりダイナミック。爆発してて気持ちいいなあ。羽生生純「恋の門」は、ちょっと刺激的な展開になっていて先が気になる。作:TKD+画:竹谷州史「LAZREZ」も、ドス黒い迫力があって読みごたえあり。そして毎月のお楽しみ、いましろたかし「釣れんボーイ」は今回も素晴らしい。ラストのページでポカーンとしてしまう。凄みを感じてしまうほどのやる気なさが素晴らしい。
で、次号は吉田戦車の新連載? タイトルは「象の怒り」? こりゃまた楽しみ。それにしても捨てどころのない雑誌だ。1冊読んだだけでもう満腹。
作者 | タイトル | 備考 |
うすね正俊 | 表紙 |
羽生生純 | 恋の門 | 含4C |
志村貴子 | 敷居の住人 |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
竹本泉 | よみきり▽もの「まんほ〜るのあう」 |
ヒロモト森一 | SEX☆MACHINE |
鈴木マサカズ | サルぽんち |
カネコアツシ | BAMBi |
林光默(作:李成賢) | 橋無醫院 |
しりあがり寿 | 弥次喜多 in Deep |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
タイム涼介 | 東京カイシャイン |
作:ダークマスター+画:泉レッドマン | オトナの漫画 |
市橋俊介 | テルオとマサル |
小林哲也 | アッパー |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
金平守人 | かねひらだもの |
志村貴子「敷居の住人」。今回も抜群だ。バレンタイン・デーのその日、とくに好きでもないむーちゃんとつき合い始めたキクチナナコの苦い想いがハート直撃。どうするのだ、ミドリちゃん。何かどうもしないうちに時間は過ぎそうで、時間が過ぎれば過ぎるほどどうしようもなくなりそうで。志村貴子はギックリ腰になったとのことだが、身体は大切にしつつ、続きもよろしくお願いしまっせ〜。桜玉吉「幽玄漫玉日記」。今回もコミティア本編に入らず。引っ張るなあ。竹本泉「よみきり▽もの まんほ〜るのあう」。いいねえ好調だねえ。マンホールにまつわるヘンな話、かわいい女の子、恋する少年。なんだか読んでて心が華やぐし、たいへん微笑ましいしですごく楽しい。まったく揺るぎのない、竹本泉節が快調に発揮され続けている。偉大だ。
しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP」。オソレ湖編最終回。フルヘッヘンドフルヘッヘンドという感じで、ガッツンガッツン盛り上がり続けたエピソードだが、始末は柔らかく。次号はお休みとのことだが、あれだけのテンションを発揮したら充電の一つも必要だろう。再開後の展開にまた激しく期待。新鋭、小林哲也の読切「ザッパー」はアパートで隣同士な二人の女と、彼女らに関わる二人の男の物語。白黒のコントラストがバシッと決まった作画はなかなか面白い。お話としては気が利いててまあまあ面白いけれども、ちょっと小さくまとまっちゃってる気もするのでも少し爆発力が欲しいかなといったところ。もっとヒートアップさせたほうが、絵柄的に合いそうな感じがするんで。いましろたかし「釣れんボーイ」。ああ、やっぱ最高だぁ〜。ヒマシロ先生のスケールはデカくないけどかなり自分勝手な妄想ぶりが、毎度のことながら素晴らしいフレーバーを醸し出している。「ああ…妄想は楽しいな…」。素晴らしいセリフです。金平守人「かねひらだもの」は、最近かなりはっちゃけてて良い具合だと思います。
というわけで今号も面白いのだが、このところ連載陣は相変わらずすごい面白いんだけど読切や短期集中連載モノが少なめな状態が続いている感じがするんで、そろそろ何か新しい展開が欲しいところではある。
作者 | タイトル | 備考 |
林光默(作:李成賢) | 表紙 |
竹本泉 | よみきり▽もの「おんなじかんじW」 | 読切新連載・含4C |
林光默(作:李成賢) | 橋無醫院 |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
志村貴子 | 敷居の住人 |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
しりあがり寿 | 弥次喜多 in Deep |
羽生生純 | 恋の門 |
カネコアツシ | BAMBi |
ヒロモト森一 | SEX☆MACHINE |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
作:ダークマスター+画:泉レッドマン | オトナの漫画 |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
タイム涼介 | 東京カイシャイン |
福耳ノボル | 蟲酸 |
市橋俊介 | テルオとマサル |
豊生幸 | A・GE・HA |
鈴木マサカズ | サルぽんち |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
金平守人 | かねひらだもの |
この前「てきぱきワーキン▽ラブFX」が終わったばかりの竹本泉が、今度は読切連作である「よみきり▽もの」をスタート。今回は、見分けがつかないほどそっくりな双子姉妹(どっちが姉やら妹だか分からなくなるので「姉妹」ってのもヘンな気はするんだが)と、彼女たちが気になって仕方ない男の子のお話。休むことなく、しかもしっかり楽しめるお話を作ってくるあたりはホントすごい。このコンスタントさ、揺るぎのない独自の間、まとまった絵柄と、ここまで見事に完成された人ってなかなかいないかも。あだち充に比肩しうるレベルといっていいかもしれない。志村貴子「敷居の住人」。うまーい。本当に。毎回毎回感心させられる。ポップな絵柄と、微妙な感情をザクリと掘り下げ、僅かな気持ちの揺れを逃さず映し出すその表現力はまったく大したもの。何度も書いてるけどいいもんはいい。
しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP」。修羅のごとく、巨大化してお互いを破壊した弥次さん喜多さんの魂が、ついに壮絶に重なり合う。うーん、うまく書けない。こんなすごい漫画について書くには、俺の言葉はあまりにも貧弱すぎる。やはりこれは、自分で読んで感じていただくしかないだろう。揺さぶられる。作:TKD+画:竹谷州史「LAZREZ」もかなりタイヘンなことになっている。万尊、そしてヤマザキが出会ったころの話しが引き続き描かれているが、濃密極まりない画面、ドスンと腹にこたえる物語、画面に満ちた激しい叫び声など、いずれをとってもヘヴィでロックだ。どこに行くのか分からない混沌ぶりも非常に刺激的である。
福耳ノボル(今度は単独らしい)「蟲酸」がひさびさ登場。あのムシズに惚れる男が強烈に出現。その愛の形は恐ろしいほどにストイック。突拍子もない行動といい、なんてワイルドなんだろう。市橋俊介「テルオとマサル」。今回もメガネデブでクレイジーなマサルのテンションはヤバいくらいに上がりっぱなし。なんてうっとうしい物体だ。素晴らしい。宝生幸「A・GE・HA」。イイ奴なのにぶかっこうでみんなからいつもイジメられていた青虫のアゲハくんと、彼にいつもかまっていた女の子のお話。作画は個性的でなかなかに達者。息苦しい空間で先を焦ってもがいているような物語から、一転して大胆な展開を見せてハッとさせてくる。まだ荒削りではあるけれどもどんどん突き詰めていけばスゴイもの描きそう。バランスをとるのは難しいかもしれないが。それからやはり今号も、いましろたかし「釣れんボーイ」は最高。「今年もなんとなく暮れてしまった」。この扉の言葉がなんと似つかわしいことか。
作者 | タイトル | 備考 |
カネコアツシ | 表紙 |
カネコアツシ | BAMBi | 含4C |
志村貴子 | 敷居の住人 |
作:TKD+画:竹谷州史 | LAZREZ |
羽生生純 | 恋の門 |
うすね正俊 | 砂ぼうず |
タイム涼介 | 東京カイシャイン |
竹本泉 | てきぱきワーキン▽ラブFX | 最終回 |
作:平井和正+画:梁慶一 | 死霊狩り |
桜玉吉 | 幽玄漫玉日記 | 含4C |
須藤真澄 | おさんぽ大王 |
柳澤一明 | 真・女神転生カーン |
鈴木みそ | オールナイトライブ |
ヒロモト森一 | SEX☆MACHINE |
林光默(作:李成賢) | 橋無醫院 |
しりあがり寿 | 弥次喜多 in Deep |
鈴木マサカズ | サルぽんち |
上野顕太郎 | 夜は千の眼を持つ |
作:ダークマスター+画:泉レッドマン | オトナの漫画 |
市橋俊介 | テルオとマサル |
いましろたかし | 釣れんボーイ |
金平守人 | かねひらだもの |
扉、巻頭カラーはともにカネコアツシ「BAMBi」。物語もだいぶ終盤に差しかかってきている模様。どんな結末が待っているのか楽しみだ。扉は色使いはちと地味だけど、ピシッと決まっててやっぱりカッコイイ。志村貴子「敷居の住人」。セリフが繰り出されるリズムがすごく絶妙。あんまりいいことない日常を、ときにハッとさせるような鋭い描写を入れつつ、鮮やかに見せつける。本来は見せつけたってどってことない日常のはずなのに、ドキリとさせるものにしてしまう腕前がスバラシイ。作:TKD+画:竹谷州史「LAZREZ」。今回もいい感じ。トリップしている場面の描写が、ぐぐーと迫ってくるようで。このままいけば全体としてとても歯ごたえのある作品になっていきそうで(もちろん現時点ですでに十分歯ごたえあるけど)すごく楽しみ。桜玉吉「幽玄漫玉日記」。O村編集長ストーカー記 in OKINAWA続行。全体としても面白いが、やっぱり扉ページのインパクトが素晴らしい。で、次号はコミティアのときの模様が描かれるらしい。ずーん。
ヒロモト森一「SEX☆MACHINE」、それから林光默「橋無醫院」は、だいぶお話が動きつつあって面白くなっている感じ。しりあがり寿「弥次喜多 in Deep」もかなり張り詰めた状態になっていて目が離せない。竹本泉「てきぱきワーキン▽ラブFX」は今回で最終回。でも次号からちゃんと新連載を始めるというあたり、しっかり仕事する人だなあと感心する。鈴木みそ「オールナイトライブ」。前回に引き続いてゲームスクールのお寒すぎる現状をレポート。すごいなまったく。今の25〜26歳が境なのかー。俺はちょうど端境期ちょい前あたり(今28歳)だけど、外部からの刺激物的に一番目に見えてそれ以降の世代と違うかなと思えるのは……うーんなんだろ。ファミコン(1983年発売)との出会いの時期かなあ。
市橋俊介「テルオとマサル」では、マサルの男根がたいへんなことになっていて、非常に由々しき事態。それにしてもブッ切れてて末恐ろしい作風である。毎回かなり笑わされている。そして圧巻なのはやはりいましろたかし「釣れんボーイ」。もう扉をめくった次のシーンから、ガツンとやってくれます。この情熱のかけっぷり、あっけらかんとした姿勢。最高です。そして目次ページの作者コメントで、市橋・タイムの合コン話をうらやむコメントを発していたりするあたりも。ところで今号は、読切作品がないのが残念。
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