◆ 1998年1月前半 ◆

1/1〜15
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1/15(木)……雪ニモマケズ

 東京はまたも雪。そんなわけで外に出る気がしなかったので、漫画は買っていない……と書こうかと思ったが、やることもなくてヒマなのでとりあえず本屋には行く。本当は古本屋でなんか買ってこようかと思っていたのだが、さすがに今日は閉まっていた。ということは根性的な面で俺は古本屋に勝利したことになる。ア・リトル愚かな俺。
 新刊本屋に行ったのだが収穫はなし。そんなわけで、今年この日記に読んだ漫画の感想を書かないのは初めてということになる。Comnavi3号を立ち読みしてきたが、買うには至らず。97年の漫画ベスト100、1位MONSTER、2位ピンポン、3位カイジというのはまあうなずけた。俺的なベストは違うが、こういうものは人によって異論が出て当然だし、それぞれ面白い漫画だったことはたしか。

 それにしてもComnaviはどうなるんだろう。どうも面白くないし、売れているようにも思えない。こういう雑誌が失敗すると「やっぱり漫画情報誌はダメなんだ」という前例になり、ほかの出版社がこの分野に挑戦しにくくなってしまう。とくにComnaviは車内吊り広告をバンバン出すなど、方法はどうあれ意欲的に売り込みはしていただけになおさらだ。ほかの出版社のやる気を削がない程度には売れてくれないと困る。とかいいつつ、自分では買ってない。
 現在のスタンスだと面白くないことはたしか。オタク寄りにならないようにと努めているのは分かるのだが、それにしてもインタビューの人選とかがイマイチな感じがするんだけど……。一般向けにしてもあんまり旬じゃない。1号の国友やすゆきなんてのはその一例。国友やすゆきが悪いとはいわないけど、創刊号でやる人じゃないだろうって気はする。ごはん系の人をやるにしても、せめて細野不二彦とか浦沢直樹くらいはやってほしかった。今回の荒木飛呂彦は人選的には悪くないと思う。どっちみち漫画情報誌なんてある程度の漫画オタク以外は買わない、と割りきってしまえばラクなんだろうけどね。

 漫画情報誌だとほかにぱふやCOMIC BOXもあるが、こちらのほうもあんまり面白くない。コミックジャンキーズはH漫画専門でわりと頑張っているが、万人向けじゃない(内容的にも文句がないではない)。一時期のComickersはインタビューが充実していてけっこう良かったのだが、最近はだいぶオタク寄り&創作者寄りになっているので一般読者にはつらいところ。面白い漫画紹介のチャンネルが増えるのはいいことだと思うので、今後も各出版社には挑戦していってほしい。なかなか難しいジャンルだとは思うけど。


1/14(水)……PC-9801MMR

【雑誌】ヤングサンデー 小学館
 岩重孝「花マル伝」、スピード感+迫力があって面白かった。そろそろ個人戦クライマックス。これからも楽しみ。先週から始まったボブスレー漫画「0.9sec」(取材&構成:ヒロナカヤスシ+画:岩田康照)だが、作画の岩田康照って前に「MAD JAM」というちょっと間の抜けたヘヴィメタ漫画を描いていた人だ。実は「MAD JAM」はけっこう好きで単行本も持っていたりする(古本だけど)。
「デカスロン」(山田芳裕)も面白い。最近、ダン・オブライエンがはしゃいでてすごい。「カケル」(竹下堅次朗)はストーカー編が完結。最初はあんまり乗れなかったけど、だんだん面白くなってきた。今回のエピソードはけっこう好き。「マザールーシー」(沖さやか)はなんかほのぼのとしている。「マイナス」みたいなハードなのもいいけど、こういうギャグタッチのも面白い。ちなみに今週は「よいこの星!」(柏木ハルコ)休載。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 小学館
「演歌の達」(高田靖彦)が脂っこいけどなにげに面白い。話もきっちりできているし。「演歌の達」とはいうものの、今のところは別に演歌漫画ではない。主人公はレコード会社に勤める男・越川達。最初は営業に配属されたが、やがて制作のほうに異動。素晴らしいアルバムを作るために奮闘する、という話。
 六田登「シネマ」は第2回。主人公が転がりこんだ映画館を取りつぶしにきたヤクザに対して宣戦布告、って感じ。ここからどのように転がしていくのか非常に楽しみ。

【雑誌】少年サンデー 小学館
 今週も「からくりサーカス」(藤田和日郎)は面白かった。ラストのカトウの笑顔がかっこいい。「ガンバ!Fly high」(作:森末慎二+画:菊田洋之)もいい。安定して毎回気持ちよく読ませる。「デビデビ」(三好雄己)は俺にとってはわりとどうでもいい漫画なんだけど、常にサービスカットがあって、ベタベタにオタク向けでなんとなく感心さえしてしまう。パンチラとか妙にいやらしいんだよな。今回出てきている悪役の女の子はなんだか常に乳首が浮いてるしー。今回のラストシーンも、主人公が強くてドドーンっていうシーンのはずだけど、なんだか倒れている女の子の乳ばかり目立っている。あざといなー。でもここまでやられるとまあいいかって気にもなる。
「俺たちのフィールド」(村枝賢一)はついに伊武がリタイアくさい。代わりのFWは誰が投入されるんだろう。やっぱり緑川かな。そういえば緑川は昨日読んだサンデーRに侍の役で出てた。実際のサッカーの三浦カズも伊武くらい激しく動いて散っていってくれるとかっこいいんだろうけど。さて、カズは本選も出れるか?ちなみに日本代表新メンバーの候補は16日の金曜日に発表。

【雑誌】少年マガジン 講談社
 またしてもヤツらがやってきたって感じで、MMRの登場だ。それにしても一回海にもぐっただけでムー大陸の滅亡の謎を解いちゃうなんて、相変わらずキバヤシはすごいねー。馬鹿だけど、ここまで馬鹿だと面白いぞ。「勝負師伝説哲也」(原案:さいふうめい+漫画:星野泰視)は今週も面白かった。印南の鬼気迫る表情がナイス。それにしても少年誌でやるにはハードな漫画だよな、これ。


1/13(火)……YAPOOSの読書

 アクセスカウンターが9000を突破。このペースだと今月中に10000を超えると思うけど、とりあえずは何もやるつもりはなし。いつものように漫画を読んで、いつものように更新するだけだ。
 最近、漫画を読んでホームページを作るという日常を繰り返していたせいか、あんまり小説を読んでなかったのだが今日は1冊読了。沼正三「家畜人ヤプー」(角川書店)である。恥ずかしながら、今まで読んでなかったのだ。実はオススメ漫画レビューで取り上げたい漫画が一つあって、それを紹介するためには絶対にヤプーは読んでなければいけないと思って読んだ。非常に面白かった。このように一つの世界を緻密に構築するのって、やっぱり好きじゃなければできないよなーとか思う。トールキンの「指輪物語」やラヴクラフトの世界だって、作者自身がその世界を好きで好きでたまらなかったからできたものだと思うが、イース世界もまたそういう産物なのだと思う。
 それと「家畜人ヤプー」によるとヤプー(yapoo)は単複同形の単語であるとの由。となると唐沢なをきの「YAPOOS」の「S」は何を意味するのだろうか。たぶん間違っただけだろうと唐沢なをきの奥さんである、よしこさんはおっしゃってたけど。

【雑誌】漫画アクション 双葉社
 コミックビームで描いている金平守人がアクションでも登場。アクションではたけくらヤマトと名乗っているが、これはまぎれもなく金平守人だ。アクション2に掲載されていた「つっこめひよりちゃん」のOL編。今回のはアクション2に載っていたぶんより面白かったと思う。
 それから今週号では、伊藤理佐が新連載。「逆立ち幽霊」。脱サラしてペンション経営を始めるべくやってきた親子が目にしたものは、3人の親子連れ幽霊だった……って感じのお話。今回は伊藤理佐お得意の下品路線ではないもよう。それでもなかなか面白くなりそうな気配。あと面白かったのは「クラッシュ正宗」(作:小林信也+画:たなか亜希夫)。西武の山田潤は俺としては前から注目していたパワーヒッターなのだが、ずいぶんいい役もらってんなーって感じ。

【雑誌】少年サンデーR 小学館
 高橋留美子の「おやじローティーン」は昨年のビッグコミックオリジナル10号に掲載されたものの再録。高橋留美子が青年誌で描く連載や短編は非常に面白くて好きだ。もちろん「犬夜叉」もけっこう面白いのだけど。さすがに底力のある人は違うって感じ。ちなみに2月5日発売のビッグコミックオリジナルには年に一度の「高橋留美子劇場」が登場予定。
 藤田和日郎「空に羽が…」も面白かった。「剣と魔法」系のファンタジー世界だが、悲しくて力強くてかっこよくて。キャラクターも魅力的。あとは新人の「力作を喰らうっ!」(松本なお)がけっこう良かった。どんなものを食ってもマズくしか感じられず食事が苦痛でしかなかった高校生が、自分の納得行くものを食べるために、自分で稲を植え、そして収穫できるまで育てるという物語。イナゴがいきなり大発生するという、ちょっと今の日本では考えにくい無理な展開はあるものの、熱くて楽しんで読めた。絵もわりとうまい。

【単行本】「おまかせ!ピース電器店」5巻 能田達規 秋田書店 判型:新書判
 単行本購入予定リストに書き忘れてて、ちょっと買うのが遅れてしまった。相変わらずほのぼのと楽しい作品。欠番の第45話は健太郎の妹の則子がプログラミングしたゲームが馬鹿売れするまでの話なのだが、とあるゲーム雑誌っていうかファミ通を怒らせるような描写があり、単行本には収録されないという事態にあいなってしまったようだ。まあ、そんな業界の内幕話なんて俺にとってはどうでもいいけど、読めない話があるってのは読者にとっては悔しいところ。


1/12(月)……ジャイアンシチューがドロ〜リ

【雑誌】コミックビーム アスキー
 掲載作品一覧はコミックビームのページ参照。感想はあっちとこっちにダブルアップ。
 新連載の長沢克泰「ネメシス サイト」はいきなり劇画タッチ。SFがちょっと入ったハードボイルドアクションって感じ。わりと面白いが、なんでいきなりこんなもんが、って気がしなくもない。
 読切では鮪オーケストラがすごく良かった。前に掲載された作品も「地球外おやこ刑事世襲編」(97年10月号)良かったが、これも素晴らしい。地元の英雄に毎日のように「少女A」から貢ぎ物が届く。いつも「少女A」と書いてあるのだが、贈り主は姿を現さない。最初はアパートのドアの前に置かれた3本のちくわぶから始まり、しだいにイノシシや、腐った人魚の死体、果ては部屋いっぱいの巨大オムライスへとエスカレートしていく。姿の見えない少女Aに次第に恋心を抱いていく英雄だったが、ある朝起きると英雄の眼球が盗まれていた……。という話。何がなんだか分からないだろうが、何がなんだか分からない話なのだからしょうがない。突拍子もない道具立てと展開に圧倒されてしまう。とにかく面白いのでまあ読んでみろって感じ。
 それから連載陣。永野のりこ「電波オデッセイ」は相変わらず面白い。どんどん煮詰まっていく少女たち。出口はどこに? 桜玉吉「幽玄漫玉日記」は今回は編集長O村と、冗談愛人募集に応募してきた女の子の会見の模様。非常にさわやかならざる展開がすごく笑える。カラッと笑えるのがすがわらくにゆき。今回は4コマ。すがわらくにゆきのジャイアンねたはおもしれー。
 須藤真澄は今回は発明王・ドクター中松を取材している。いいなー、中松。そういえばドクター中松って、昔スピリッツで漫画を描いてたことがある。残念ながら、そのスピリッツは保存していないけど、頭にキそうな漫画だったことは覚えている。新谷明弘「未来さん」はなんかシリアスな展開だなーと思っていたら、なんとこのオチは……。いつも面白い。というわけで単行本化すごく希望(しつこいようだが)。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 小学館
 江川達也の読切「GOOD MORNING!」が巻頭。「GOLDEN BOY」っぽくて悪くはないのだが、それほど面白くもない。原秀則「青空」は新連載3回目だが、野球部はどん底状態っていうかできてもいない。最初に落としておいてじょじょに盛り上げていって……って感じでヤマを作っていくのだろう。原秀則だけに起承転結はきっちり用意していると思われる。「月下の棋士」(能條純一)は首藤がアヤシすぎる。顔に鉢巻きを3本巻いて将棋を打っているのだ。相変わらずハッタリがきいてて面白い。

【雑誌】少年ジャンプ 小学館
 第54回手塚賞準入選作品、さとうだいすけ「25M」がなかなか面白かった。小学校を舞台にしたファンタジー。25メートル泳ぐことができない少年・まもるが、親友・あつしの励ましを力にしだいしだいに勇気をつけ泳ぐことができるようになっていく。あつしは冗談めかして語っているし実際には普通の少年にしか見えないのだが、本当は未来からやってきた少年だった。あつしがいた未来の地球は人間の手によってどうしようもないほどに壊されてしまっていたのだが、地球がそのようにならなくするための時の流れを変えるターニングポイントが存在した。「まもるが小学四年生の時25m泳げたら地球は壊れない」というのだ。もしまもるが泳げるようになってしまったら、時間の流れは変わりあつしは存在できなくなってしまう。
 もちろん、そんなことはまもるには信じられない。まもるを泳げるようにするために、自分を追い込ませるためについたウソだと信じている。でも一生懸命励ましてくれた友達のために泳ぐ。あつしも自分が存在できなくなるということを承知しながら、それでもまもるを応援する。少年の小さな変革は、地球一つぶんと同じくらいの価値があったのだ。なんともちっぽけで、だけどスケールの大きいファンタジーじゃないか。あったかくてちょっと哀しくて感動的だった。絵はまだまだな部分はあるが、なかなかいい話を描ける新人だと思う。このまま大きく伸びていってほしい。


1/11(日)……ああ、むずお

【単行本】「ARMS」1巻 皆川亮二 小学館 判型:B6
 初版1刷ぶんを買いのがして、その後しばらく見なかったのだが、そろそろ2巻が発売ということで2刷がかかった模様。というわけでやっと購入。「スプリガン」のころよりも絵が好みになっている。1巻は導入部ということでまだそれほど面白くなっていない。次巻以降に期待。2巻は1/17発売。


1/10(土)……座椅子一夫

 おうちではコタツでノートパソコンを使っているのだが、座椅子が老朽化してきて尻がいたかったので買い換える。これでまた一歩、究極コタツ環境に近づいた。

【単行本】「GOD SAVE THE すげこまくん!」11巻 永野のりこ 講談社 判型:B6
 マンネリ感がなきにしもあらずだったすげこまくんだが、この巻は面白い。ヨシオおにーさんとえむ子の話が切なくていい。で、次の巻あたりが最終巻になるはず。

【単行本】「わんぱくTRIPPER」2巻 サガノヘルマー 講談社 判型:B6
 面白い。サガノヘルマーはやっぱりヘンだ。「わんぱくTRIPPER」本編もいいけど、「BLACK BRAIN」に出てきたヒテロたちが暮らすAD4000年の風景を描いた「四千年事情」も面白かった。ヒテロのアガサ森田が「漫波」という、現代でいう漫画の念波バージョンみたいなのを作っているのだが、その作中作である「NUKI NUKI」が最高。
 絵はうまいというわけじゃないんだけど、独特のいやらしさが漂っていてすごく独創的。変態行為もこの絵には似つかわしい。

【単行本】「幸せのひこうき雲」 安達哲 講談社 判型:B6
 こちらも面白かった。「お天気お姉さん」以来不調だった安達哲だったが、復活の第一歩って感じだろうか。「わんぱくTRIPPER」、この前紹介した「DEI48」、そしてこの「幸せのひこうき雲」はいずれもヤンマガエグザクタ連載作品だったわけだが、こうしてみるとなかなかヘンなお話を量産していていい雑誌だったようにも思える。


1/9(金)……えこすり半劇場

【雑誌】モーニング 講談社
 鶴田謙二ファンにはもういまさらいう必要もないと思う。たぶんモーニングの表紙を見た瞬間に金を払っていたことだろう。というわけで鶴田謙二「Forget-me-not」が掲載されている。相変わらず気持ちのいい画面作りで美しい。ファンだったら絶対読んでおくべし……なんていわずともつるけんファンなら読んでいるな、きっと。よく見ると主人公のマリエルが使っているノートパソコンがOlivettiのECHOSだ。アレって性能はそれほどでもないけどデザインがすごくかっこよくて好きだったんだよな。Olivettiの撤退は残念なことだった。今の標準的性能で、あのデザインだったら迷わず買うのに。
「ヨリが跳ぶ」(ヒラマツ・ミノル)ではヨリが卒業式。きれいにまとめるなー。面白い。「変體累ヶ淵NAKED」(作:杉元伶一+画:米餅昭彦)はまたもや濃そうな展開。次号からさらにドロドロになりそう。「えの素」(榎本俊二)。榎本俊二の描く女の子ってけっこうかわいいと思う。そしてパワフルだ。

【雑誌】少年サンデー 小学館
「からくりサーカス」(藤田和日郎)がかっこよかった。勝がだんだん強くなってきていい感じだ。「なぎさMe公認」(北崎拓)。たぶんこうなるだろうとは思っていたけど、それでも面白い。「Love」(石渡治)もきちんと盛り上げてくる。キャリアがあるだけあって、長編でもきっちり話を仕上げてくるところはさすが。「ARMS」(皆川亮二)の新登場・敵役、X-ARMYのヴォルフは、「モテモテ王国」(ながいけん)のキャプテントーマスをなんとなく思い出してしまう。それにしてもトーマスのトークは愉快だ。

【雑誌】少年チャンピオン 秋田書店
 新連載、と思ったら「本気II」(立原あゆみ)だった。2モノは漫画界では成功しないというジンクスがあるが、さてどうなるか。ちなみに内容はいつもの「本気」。「鉄鍋のジャン!」(西条真二)はそれにしてもデカい。キリコなんかそのうち、「究極の心の料理」とかいって料理に母乳を混ぜたりしないかどうかが心配なくらいだ(しないって)。「ジャンジャンバリバリ」(石山東吉)はもう何が何やら。ベタベタでいいなー。


1/8(木)……今年はじめての雪の日

 東京は雪。電車が止まってしまったので、しょうがないから歩いて帰る。約1時間くらい歩いた。靴の裏がすりへってぺかぺかなので、かなり滑ってええ感じだった。ちなみにタイトルは榛野なな恵の漫画より。
 これまで雑誌レポートの中で作品名と作者名を強調表示にしていたけど、面倒だしあんまり効果的でない感じがしたので、今日から普通にする。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 小学館
「龍」(村上もとか)を久しぶりに読んだが、知ってるキャラクターは一人も出ていなかった。でもなんか面白そう。「玄人のひとりごと」(中島徹)が3本立て。いつも変わらないことやってるんだけど面白い。「黄昏流星群」は弘兼憲史の中では好きな作品。「人間交差点」とか、悔しいけど面白いんだよな。


1/7(水)……なくて七草

 今日から仕事始めなんだけど、相変わらず漫画を読んでいる。休みなんだか休みでないんだか日記見てる限りでは分からんな、俺。

【単行本】「DEI48」 作:島久+画:前川かずお 講談社 判型:B6
 これは馬鹿だ。大馬鹿野郎だ。最高。最近読んだ漫画の中では一番笑った。絵は「蹴速の闘魔神」などで有名な岡村賢二系。で、大げさな描写は岡村賢二以上かもしれない。琉球に伝わる「裏手(うらでい)」という空手に取り入れられなかった究極の奥義の伝承者が、その技を手に入れるため闘うという格闘技ものなんだけど、その描写の力強さと馬鹿馬鹿しさがいい具合に馬鹿っぽくマッチしていて素晴らしい。
 その究極の奥義っていうのが要するにSEXすることによって身につく。「DEI48」というのは体位の48手を表しているというわけだ。「繋ぎ女」と呼ばれる女と主人公が交わることによって、奥義が伝授されていくのだが、やることがまた大げさなうえに間抜けてて笑うほかないって感じ。
 発情した繋ぎ女と最初に交わった男に奥義が伝授されるんだけど、先に交わった敵から奥義を奪い返すために筋肉男が筋肉男を強姦したりする。そして最後は殺されてしまった繋ぎ女から奥義を伝授するために屍姦までする。しかもきれいな死体じゃなくて、首の骨が折れて顔が背中のほうを向いてダラーンとなっているヤツと真剣な顔をしてやりまくったりする。展開といい、描写といい、強烈に馬鹿。いやー、もう笑う笑う。というわけでぜひ読むべし。

【雑誌】オールマン 集英社
 ジョージ秋山「弘法大師空海」が相変わらずアヤシイ。なんかいつの間にやらヘンなことをしているのがジョージ秋山だ。ほかに目に付いたのが岡田ユキオ「WE ARE THE KINX」。途中から読んでいるので話はイマイチつかめてないんだけど面白そうな匂いがする。

【雑誌】少年ジャンプ 集英社
 今年も「ONE PIECE」(尾田栄一郎)は面白そう。話の進展にはあんまり関係なさそうなエピソードだけど、今回もかっこいい。桂正和「I''s」はまたまたむずがゆい展開。やっぱりうまいな。アニメの「すごいよ!マサルさん」がすごくないという噂のうすた京介が読切。この人って、ヘンな展開ばかりが目に付くんだけど、脂っ気のない絵柄はわりと好みではある。たぶん普通の話もけっこう描けるんだろうなーって気はする。

【雑誌】週刊少年マガジン 講談社
 なんでこれに限って「週刊」とつけているかというと、今日は月刊のほうも読んだからだ。それにしても最近、ジャンプが売れてないっていうけど、マガジンのほうが読むところ少ないような気がする。コレっていう連載は「はじめの一歩」(森川ジョージ)「勝負師伝説哲也」(原案:さいふうめい+漫画:星野泰視)くらい。どれもそこそこ楽しめるんだけど、どれもすごく面白いってわけじゃないのが痛いところ。でも、マガジン系の単行本って買うほどじゃないっていうのが多いから、こうやって雑誌で読んでおけばいいのかも。その点ではサンデーよりも雑誌を買う必要はある。

【雑誌】月刊少年マガジン 講談社
 すごく久しぶりに読んだ感じがするのだが、前に読んだときとメンツがあんまり変わってないような気がする。月刊少年ジャンプの「わたるがぴゅん!」(なかいま強)なんかも見てて思うけど、月刊少年誌って週刊誌とはまた別の時間が流れている。十年一日とまでは行かないけど三年くらいだったら一日のごとし。
 見るたびに思うけど、「VIVA CALCIO!」(愛原司)はオタクな漫画だ。といっても絵がアニメっぽいとかそんなんじゃなくてサッカーの知識が異様なまでに詳しいのだ。セリエA漫画なんだけど、主人公の所属チームがフィオレンティーナってところで最初っから飛ばしている。普通、ユーベとかミランでしょ。もしくはカズが所属してたジェノアとか。渋すぎ。


1/6(火)……官能なおさん

 今日で正月休みも終わり。5、6日は有給休暇を取っていたのだ。のんびりと過ごした正月だったのだが、 時間があったので手間のかかるコンテンツも作ってみた。そんなわけでこの日記と同時に山本直樹のページもアップロードする。今まで山本直樹については何かやりたいとは思っていたのだが、宿題が片づいた感じ。これをやっていたせいで、オススメ漫画レビューのほうをちょっとお休みしていたのだけど、これであた再開できるだろう。ネタはいくつか用意してあるし。
 すべての作品を網羅したわけじゃないけど、どっちみち最初っから昔の作品はやるつもりはない。山本直樹の単行本っていろいろな版元から出てるし、また同じ版元でも複数回違うバージョンで出ているから、全部やっているとさすがに身が持たない。それでも、90年代山本直樹についてはほとんどカバーできているはず。今回アップした以外にも10冊くらいは山本直樹&森山塔名義の単行本は持っているが、そのあたりはそれほど好きじゃないのでやらない。まあ、そのうち気が向いたらこのあたりの古いヤツも紹介するかもしれない。

【雑誌】ヤングジャンプ 集英社
 奥浩哉の読切「観察日記」がわりと面白かった。イジメられっ子が女の子を押し入れに監禁して観察日記をつけるという話。まあ、あとはいつものヤンジャンだ。

【雑誌】ガロ 青林堂
 復活第2号。今月も漫画がいっぱいなのでうれしい限り。とりあえず出し続けることが生きることってなわけで。
 巻頭、松本充代がいきなり面白い。こういうネチネチした展開は好き。あびゅうきょはうまいんだから漫画を描いてくれればなーという感じ。でも、たぶん話を作るのは苦手なんだろう。南Q太は相変わらず。ファンの人は南Q太の漫画を読むためだけにでも買おう。そして、ほかの漫画も読もう。
 そしてなんといってもキクチヒロノリ「UFO解脱マン」。まさか連載でやるとは思わなかった。パワーだけでいえば、この雑誌では一番では。そのほか、津野裕子大越孝太郎も、イタガキノブオ菅野ヲサムもよかった。ねこぢるがスピリッツ21から再録なのは不満だが。すごく面白い漫画雑誌になったなあ、っていう感じ。今更ながらではあるが、今更だからオススメしたい雑誌だ。


 そういえば恒例の今月買う予定の漫画リストをアップしていなかった。そんなわけで1月は以下のような感じ。注目はまずは安達哲新刊。そしてサガノヘルマーも同日発売。「DEI48」はすんごく下らない、体位48手を駆使する拳法漫画。おばかさんなので、ヘンなもの好きな人にはオススメ。12日はまなべゆうとよしともよしともという豪華ラインナップ。23日の「菫画報」と「メロドラマ」もうれしい。あと、町野変丸がまた新刊。最近、前よりも面白くなくなってきたような気がするけど、やっぱり買う。もりしげはかなりヤバ系のロリ漫画。ほとんど犯罪入っているのが多かったけど大丈夫かな。
 このほか何日かはよくしらないけど高野文子「ラッキー嬢ちゃんの新しい仕事」(マガジンハウス)、下旬の須藤真澄「アクアリウム(1)」(新声社)もファンには注目。これは両方とも兄貴が持っているので俺はいらないけど。

俺……俺担当 兄……兄担当
◎……即買い ○……いずれ絶対買う △……微妙

タイトル作者価格出版社担当
7幸せのひこうき雲安達哲未定講談社兄◎
7わんぱくTRIPPER(2)サガノヘルマー505講談社兄◎
7DEI(48)前川かずお/島久505講談社俺◎
7GOD SAVE THE すげこまくん(11)永野のりこ未定講談社兄◎
8ザ・ワールド・イズ・マイン(3)新井英樹486小学館兄◎
8SOMEDAY(2)原秀則486小学館俺○
8OUT SIDER(1)永福一成486小学館兄△
12Greatest Hits+3よしもとよしとも952双葉社兄◎
12猫とサボテンまなべゆう505ワニマガジン社兄◎
17アクシデンツ 事故調クジラの事件簿(7)山田貴敏390小学館俺△
17なぎさMe公認(8)北崎拓390小学館俺○
17俺たちのフィールド(27)村枝賢一390小学館俺◎
17ゲイン(3)なかいま強390小学館俺○
17ARMS(2)皆川亮二486小学館俺◎
20春庭家の3人目(2)松井雪子667双葉社兄△
21ねこぢる旅行記−インド編−ねこぢる571ぶんか社兄◎
23蒼天航路(11)王欣太/李學仁505講談社俺◎
23ブル田さん(2)きくち正太/高橋三千綱505講談社俺◎
23内線893(3)山本康人505講談社兄△
23メロドラマ(1)村上もとか未定講談社俺◎
23孤島館殺人事件青木吾郎/小川幸辰505講談社兄◎
23萬画報(2)小原愼司457講談社俺◎
30歓びの日々(2)六田登486小学館俺◎
30月下の棋士(19)能條純一486小学館俺◎
30D-ASH(4)北沢未也/秋重学486小学館俺◎
30ラブレター(1)じんのひろあき/若狭たけし486小学館俺◎
まん○道町野変丸819一水社俺◎
エロティーングレイス石川905オークラ出版俺△
子供の森(仮)もりしげ1000オークラ出版俺◎


1/5(月)……あけましておめでとう

 今日から、また漫画雑誌が店頭に並ぶようになる。これで本格的に98年も始まった感じだ。今年もよろしく。
 この日記を読むと分かると思うが、俺はけっこういっぱい漫画を読む。そんなわけで部屋にはぐちゃぐちゃと本が置いてあるのだが、最近、部屋に入ると古本屋の匂いがすることがある。本って湿気を吸うと独特のいやな紙の匂いを発する。とくに古本屋から買ってきた本にはその傾向が強い。こんな部屋にいるときっと身体を悪くする。そう思った俺は、新兵器を導入することにした。空気清浄器である。どの程度の効果があるか分からないがないよりはマシだろう。別に長生きしたいとはそれほど思ってはいないが、苦しい思いをするのはイヤな俺だ。

【雑誌】ヤングマガジン 講談社
 うげげっ。新年早々ショックデカし。「チューリップティーズ」(地下沢中也)がいきなり最終回。楽しみにしていたのに。ウケなかったのかなあ、ってそりゃ当たり前だな、あの展開じゃ。最終回は面白くなかったけど、ここまでは楽しませてくれたので、単行本が出たら買う。出るかどうかはさだかでないけど。
 江川達也の読切「LOVE&PEACE」はあんまり面白くなかった。最近、江川達也はどうも不調。「超・学校法人スタア学園」(すぎむらしんいち)はまたぐちゃぐちゃな展開。面白い。「日直番長」(タイム涼介)。スハッスムグハ。今年も面白そうだ。「スハッスムグハ」というのは、日直番長・アオキがおにぎりを食うときの音だ。ちなみに来週から、俺的に待望の華倫変の新連載・「カリクラ」が始まる。7週連続。しかも、2月6日には単行本まで出る。この単行本、俺的にかなりおすすめなので、買うが吉だ。

【雑誌】ヤングサンデー 小学館
「花マル伝」(岩重孝)は面白い。一度通しで読んでみたいところ。「よいこの星!」(柏木ハルコ)はクラス間の争いに発展。ネチネチしていていいなあ。「愛米」(ハロルド作石)はここのところ、野人が出てきてからのベタベタな展開は素晴らしい。みぞおちに一発くれて女の子をさらって、その女の子が気づく瞬間にかっこいいところ見せて、最後に性技でメロメロにする。あまりにもストレートで下らないコマし方。こういう馬鹿馬鹿しいの好き。「the山田家」(阿部潤)は今年もテンションが高い。そして「ザ・ワールド・イズ・マイン」(新井英樹)。モンちゃん、かっこいー!

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 小学館
「よいこ」(石川優吾)が今週から本誌で毎号連載。スピリッツもなりふり構わないお色気路線できている。展開が死ぬほどわざとらしくて嫌いだ、という人もいるかもしれないけどまあこれはこれでいんじゃないかと。それにしても石川優吾も出世したな。
「月下の棋士」(能條純一)は盛り上がっていていい感じだ。氷室はやっぱりかっこよくなくっちゃいかん。「奈緒子」(作:坂田信弘+画:中原裕)。とうとう西浦のガンが奥田に知らされる。これで団結体制が整うが、状況はいやがうえにも悲壮になった。盛り上がりそうでワクワクする。
「ぷりぷり県」(吉田戦車)はいつもながらにヘンなファッションがステキだ。劣也のしっぽつきの服もいいし、つとむのTシャツの柄もいい。俺もこんなTシャツ欲しい。県ずきんは持っているけど(スピリッツの懸賞で当てた)。


1/4(日)……失われた漫画家

 掲示板を作ってから、「記帳のページ」に来るお便りが減ったので、掲示板のほうに一本化する。過去のお便りに関しては、OHP掲示板の過去ログ倉庫のほうに移動しておいた。これから俺にこっそりと連絡を取りたいってときはメールでお願いします。

【単行本】「スプリガン」全11巻 作:たかしげ宙+画:皆川亮二 小学館 判型:B6
 職場の同僚の人からのもらいもの。1ヶ月くらい前にもらっていたのだが、忙しくてなかなか読むひまがなかった。そんなわけで正月休みを利用して一気読み。ちなみに俺の場合、このくらいの分量だと所要時間は2〜3時間程度。
 未読の人にいちおう説明しておく。「スプリガン」は過去の歴史遺産、例えば聖杯やらアークだのといった「インディ・ジョーンズ」に出てきそうな人智を超えた力を持った秘宝を、人々に悪用されないように封印して回っている「スプリガン」と呼ばれる人々の物語。考古学好きにとってはもちろん面白いし、アクションもバリバリなので楽しんで読める。
 たしかな作画とうんちくが盛り込まれたストーリー、迫力あるアクションで面白かった。ちなみに作画の皆川亮二は現在、少年サンデーで「ARMS」を連載している人。俺としてはどちらかといえば「ARMS」のほうが好き。「ARMS」のほうが「スプリガン」よりも、乾いた感じの絵になっていて俺としては好みなのだ。

【単行本】「新さん」 泉昌之 マガジンハウス 判型:A5
 面白かった。これでこそ泉昌之。生活の中での本当に下らないこまごまとしたこだわり、ガーッといってヌルッと抜ける感じの外しっぷりが楽しい。俺もけっこう飯を食ったりするときに頭の中で、食べていく順番とか下らないこだわりを持っていたりするが、そういったちょっとした何気ない楽しみをきっちり描いてくれたりするところが泉昌之の素晴らしさだ。重箱の隅的なことなんだけど、ここまでやれば立派。新さんは豪快さんをちょっと普通にした感じ。

【単行本】「女犯坊」2巻 作:滝沢解+画:ふくしま政美 太田出版 判型:A5
 たしかに強烈。大奥の大上臈のおばばがいい。すごくはあるんだけど、こういう作品の常として、まあ一度読めばそれでOKって感じ。一度も読まないというのはもったいないかもしらんけど。


1/3(土)……ひるぜん食わねば男の恥

 予告どおり、「俺の呟き・拡張編」に「1997年俺的漫画総括・作品編」を追加した。これで1997年にはある程度ケリをつけて、今年も気持ちを入れ換えてガンガン読もう。

【単行本】「ひるぜんの曲」 徳南晴一郎 太田出版 判型:A5
 前に出た「人間時計」のほうが面白い。今回収録された漫画もそれぞれにすごくヘンなんだけど、やっぱり今読むと駄作でしかない。「人間時計」みたいな、すごい情念とかは感じない。それよりも巻頭に収録されている徳南晴一郎の約100ページにわたる自伝のほうが面白い。まあ、一度読んでおけばそれでいいかなって感じ。


1/2(金)……そうかっ、うかつな総括か

 休みはやっぱりいい。ゆっくり漫画も読めるし。休みの間は雑誌が出ないので、日記も更新できないかなーとか思っていたら、ジャンキーズのおかげでいつもよりたくさん読んでるくらいだ(それ以上に原稿書いてる時間が長いんだけどね)。しかし、年末年始も実は毎日更新してしまっている。「ヒマなんだろう」と思った人、その通りだ。でもヒマじゃなくても更新くらいはするけどね。それにしても、独身男・25歳が初詣にも行かず何やってるんだか。まあ、神社とか人だかりを見るよりも、漫画読むほうが楽しいけど。
 久しぶりに俺の呟き・拡張版を追加。「1997年俺的漫画総括・雑誌編」だ。作品別の総括のほうもだいたいできているので、近いうちにはアップできるだろう。ただ、ひょっとしたら書き漏らしていた作品、雑誌もあるかもしれないので思い出したときに追加しておくことにする。

【単行本】「ラブストーリーを君に…」 ロケット兄弟 富士美出版 判型:A5
【単行本】「ちょこみんと」 玉置勉強 一水社 判型:A5
【単行本】「おねーさんとあそぼうっ!」 山文京伝 フランス書院 判型:A5
【単行本】「MIXED A.M」 甘夏真琴 ヒット出版社 判型:A5
 とりあえずジャンキーズVol.4用第一陣読了。今日読んだ中で面白かったのは山文京伝。ほとんどの作品が、貞淑だったり、カタブツだったりする女の人たちが、圧倒的な快楽の前に堕ちていく様を描いていて、非常にいやらしい。山文京伝は、きっとこの「堕ちる」瞬間が好きなんだろう。俺も好きだ。道具立ても犬や薬、ガイジンなど多彩。犬の射精のメカニズムなどのディティールもきっちり描いていて、実に説得力がある。
 玉置勉強はよくできているんだけど、なんかどこか計算ずくで描いているようなそんな冷たさを感じる。一度、ブチ切れて感情の赴くままに突っ走って描いた作品も読んでみたいもの。


1/1(木)……'98年、俺の世界は俺のものだ!

【単行本】「ザ・ワールド・イズ・マイン」2巻 新井英樹 小学館 判型:B6
 大迫力でかっこいい。今回はモンちゃんの相棒のトシが、モンちゃんの謎の裏切りによって警察に拉致される。そして、モンちゃん自身がロケット砲などの武器を山ほど抱えて、奪還のため警察本部に殴り込んでいくという話。豪快な破壊っぷりが痛快。モンちゃんの謎の行動も物語にグイグイ引き込まれる要因となっている。
 セリフもすごい。例えば、「命は、平等に、価値がない」というもの。セリフだけでもかっこよすぎるのに、さらにその見せ方がかっこいいのだ。まず、最初のコマで「命は、」ときて、情景描写を1コマ入れて「平等に、」。そして、ページをめくると見開きで「価値がない」とくる。普通は「命は、平等に、」と来たら次はある程度肯定的な言葉がくるものだが、そこで「次はどうなるのか」と思わせといてページをめくると一気に予想を覆すセリフが待っている。この裏切り方、ページの使い方は素晴らしい。最近、ページという空間の使い方をあまり意識していない漫画家がけっこういるが、漫画ならではの表現法なんだからもっと効果的に使えるように勉強してほしいもの。面白い漫画は、何も種も仕掛けもなく面白くなっているわけじゃない。絵がうまく描けりゃいいってもんでもない。松本大洋の作品を見るとよく分かる。

【単行本】「勇気をだしてはじめての…」 鉄観音千夜 海王社 判型:A5
【単行本】「KUSURIのフェロモン」 陸乃家鴨 ヒット出版社 判型:A5
【単行本】「ぽちとお嬢さま」 むつきつとむ 司書房 判型:A5
【単行本】「めいど in…」 倶梨伽羅 晋遊舎 判型:A5
【単行本】「STUDY AFTER SCHOOL」 森永みるく コアマガジン 判型:A5
 例によってジャンキーズの仕事で新年早々エロ漫画を読んでいる。これで18冊中14冊を消化。なかなかいいペースだ。今日読んだ本はどれもそこそこだが、とくにオススメとなると、みんなが褒めていそうで悔しいけどやっぱり森永みるくかな。絵も話も可愛らしくていい。あと、むつきつとむのはなかなか読ませる。「気まぐれオレンジロード」パターンの三角関係モノが好きな人にはオススメ(どちらかというと氷室芹夏「水の誘惑」のほうが構造的には近いかも)。
 それにしてもジャンキーズの仕事をやると、自分個人だったら絶対買わない漫画をタダで、いやお金までもらって読めるのでうれしい。ここまで読んだ14冊中、俺が金を出して買う可能性があるとしたら、伊駒一平「人妻凌辱」くらい。森永みるくなんかもいいのだが、いっぺん読んだらそれで俺的にはOKなタイプだ。でもやっぱり一度は読んでおきたいんだよね。これはもっとヘタな人についても同様で、今まで読んでなかった人の作品を読むチャンスはフルに活用したい。もちろん、これを本職にして、永山薫さんレベルで年間1000冊ペースでやったりするとなるといやになるんだろう。それは俺も分かってはいるのだが、とりあえず喜べるうちは喜んでいたほうが得だと思う。

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