◆ 1998年2月前半 ◆

2/1〜15
【トップページ】  【過去日記トップページ】

ご意見・ご感想は→tshibata@picnic.to


2/15(日)……雪と漫画の祭典

 今日は東京流通センターで創作系同人誌即売会コミティアが開催された。あいにくの雪模様だったが、それで行くのをやめる俺じゃない(どっちみち現地で落ち合う予定の人もいたし)。コミティアはパロディでない、オリジナルストーリーの漫画の即売会だ。エロもほとんどないし(最近少し増えつつあるけど)、コスプレなんかは当然ない。サークル数は1000程度と2時間もあれば、全部回れるという手ごろさと落ち着いた雰囲気が気に入っている。といっても俺がいったことのある即売会って、コミケとコミティアだけなんだけど。コミケはしばらく行ってないし、これからも行くつもりはない。
 で、いろいろと本を買ってきた。全体的にこぎれいなのがおおくなっちゃった感じはあるけど、即売会全体のトーンがそんな感じなのでいたしかたないところだ。以下が今日の収穫。兄貴が買った分に関しては来週読む。なお、( )内はサークル名。

【同人誌】「PARKING!」 コーノコーイチ/小島素直/山川黄予美/山本マサユキ/南研一
 今回のコミティアで俺が買ったもののうち、最高の本がコレ。描いた人たちの中でコーノコーイチさんと南研一さんは知り合いなのだが、お世辞抜きで素晴らしかった。最初は知り合いの本ということで南研一さんはいつもどおりだなー、とかコーノさんが久しぶりに漫画描いてるーとか思いながら気楽に読んでいたのだが、しだいに山本マサユキ面白い、山川直人の奥さん、山川黄予美もいいじゃんとかいうふうになり、最後の南研一さんの短編「光/HIKARI」で大感動。
 南研一さん、あんたスゲエぜ。「光/HIKARI」はコマを真っ黒に塗りつぶされたコマの中に浮かぶ、主人公のモノローグだけで始まる。いわく「私は生まれたときから目が見えない」。南さんは真っ白のコマ、真っ黒のコマを使った実験的な作品はけっこう描いているが、今回はその真っ黒さが悲痛な意味を持っている。目が見えない人の視点だから、すべてが真っ暗なのだ。そして、彼が眠ると必ず夢に出てくるという月。生まれたときから目が見えないのだから、当然彼は月を見たことはない。でも心に浮かび上がってくるそれが、なぜか月だと分かる。そして7ページ弱、物語はセリフと真っ黒なコマ、月を示す白い円だけで進む。この前半の言葉選びのセンスだけでゾクゾクしてしまう。
 そして、この主人公の本当の姿が現れ(ここから人物も登場)、吸い込まれるように終わっていくラスト。前半だけでも素晴らしいのだが、ラストでさらに高みへと昇っていく。思わず涙が出てしまった。この人の絵は一般的な基準ではうまくないかもしれない。でも、それがまた味だし、質の高いストーリー、セリフ、演出は絶品。こういう漫画に出会えるから、俺はコミティアに行くのを止められないのだ。

【同人誌】「ののの」「ののの二」 こうの史代(の乃野屋)
 これもすごく面白かった。トーンを使わない、なめらかで非常に雰囲気のある描画。しっかりとしたストーリー。読んでいてすごく気持ちがいい。これはコミティアに行って、ぜひ手にとってみてほしい本だ。

【同人誌】「8ビット小劇場」「彼の想いと三つ編みと」 駿馬(STUDIO MAILLAND)
 コピー誌で、それぞれ8ページと4ページという掌編だが、素直で涼しげな絵柄。けっこう好み。

【同人誌】「SF少女エス子ちゃん」「SF少女エス子ちゃん2」「ポケモン騒動を考える」 はしもとさちこ
 俺がコミケに行かなくなって心残りなことの一つにはこのはしもとさちこの本を買えなくなるというのがあった。彼女はSFの人で、吾妻ひでお的な画風とほのぼのとしたノリ、そしてときに垣間見せるSFゴコロで非常に面白い作品を描く。そのはしもとさちこがコミティアにいて非常にうれしかった。これからも時間が許す限り出続けてほしい。ちなみに今回は子連れでの参加で、4〜5歳くらいの娘さんが描いた漫画も豆本にして売っていてすごく微笑ましかった。この人は話かけるといつもにこやかに応対してくれて、すごく好感が持てる。本人の人格そのまんまな感じの暖かい作風が素晴らしい。
「SF少女エス子ちゃん」はエス子ちゃんという人間失格SF少女が同級生のエフ子ちゃんをSF色に染め上げていくという話。SF大会で発行される「時刊新聞」で連載した漫画をまとめたものだ。俺はSF大会に行ったことないからよく知らないんだけど、時刊新聞とはなんだか1時間ごとに発行されるという新聞らしい。で、そのために特急で描かれた漫画だけに絵は大ざっぱなんだけど、それがまたいい味を出している。そして一気にバーッと描いた独特の勢いとノリがあって、すごく面白いのだ。同じシリーズでエフ子ちゃんが主役の「SF少女エフ子ちゃん」というのもある(こっちはコミケに行っていたころに買った)。
「ポケモン騒動を考える」は「なんか社会派な感じですね」といったら、はしもとさちこも笑っていたが、中身はわりとのどか。実際に子育てをしていてそういった文化に理解ある人ならではの、理解ある視点がいい。

【同人誌】「Solitaire」「Solitaire2」 きりはらただし(迷画座)
 鉛筆描きのタッチが印象的。ジブリ系の涼しげな絵柄でけっこう好き。話もけっこう雰囲気あり。

【同人誌】「朝日ヶ丘の総理大臣」「新天地」 富士賢次
 ものすごく絵がシャープで、背景やモブシーンまで細かく描き込まれていて圧倒される。絵柄はちょっとアメコミ的な感じもある。「朝日ヶ丘の総理大臣」は死ぬほどまっとうな青春モノ。生徒会長選挙をめぐるドラマ。あんまりにもマジメにくるので何かのギャグかと思いもするのだが、どうも最後までマジっぽい。「新天地」はアメリカ大陸の発見の後、自分たちの方式を教え込もうとする西洋人たちと、インディオたちの争いを描いたもの。こちらもすごく本格的。全般的に女の子向けのキレイな作品が多いコミティアに、こんな骨太な作品が出ているとはなんかびっくりした。

【同人誌】「TROUBLE CHOCOLATE1」「TROUBLE CHOCOLATE1.5」「龍頭玩偶・飯ばかり喰う反省せぬ犬」 キイカ(腐蝕金属)
 冬目景をちょっと思い起こさせる、シャープな絵柄が持ち味。ただ、今回買ったうち2冊は設定資料みたいな感じだったので、漫画が読みたい俺としてはちょっと食い足りない。ボーッと見ているだけでも幸せになれるようなかっこいい絵ではあるけど。

【同人誌】「銃劇」 鈴木ちょく(直立不動産)
 絵がきれいで話もけっこういい。ここのところコミティア行くたびに買っている。ちなみにhttp://www.shonan.ne.jp/~choku/にホームページがあるようなので、絵を見てみたいという人はそちらへどうぞ。

【同人誌】「オブラート」 (竜の子太郎)
 この中ではなかせよしみが群を抜いていい。絵に雰囲気があるし、ストーリーもなかなか。

【同人誌】「SONG4」「SONG5」「QUARTER」 葵翔(虹色線路)
 涼しげな絵柄は好みなんだけど、「SONG」は主役級の少年二人の描き分けがしっかりしていなくて(わざとなのかもしれないが)、なんか読んでてどっちが喋っているんだか分からなくなってしまう。読みにくい。非常に惜しい。

【同人誌】「ガニメデ」「OKUMENE」 (Hee-Haw)
 ドンハルキという人の絵がわりと好みだったので買ってみた。うーん、まあそこそこってところかな。

【同人誌】「レモネード」 西村竜(ちくちくNET)
 7ページの掌編。わりと男の子でも読みやすいスッキリとした絵柄の少女漫画系。まあまあ。

【同人誌】「セント・ジュディのほうき星」 泉川康裕
 本よりも、おまけについていたペーパーの鉛筆描きのイラストのほうが魅力的だった。けっこうきれいな絵でファンタジい話。

【同人誌】「speculum」 瑞木黄生(POW・BRANZ)
 すごく線がほそくてかっこいい絵、そしてセンスのある装丁。でも漫画って感じじゃない。眺めて楽しむってタイプ。

【同人誌】「私をあなたの曠野の番人にして下さい」 梧桐風子
 絵になかなか雰囲気があって妖艶な感じ。紙の色と絵のタッチが合っていて、内容を引き立てている。

【同人誌】「ぼくのためのきみときみのためのぼく」「SWEET SCRAP」 きづきあきら(GRAIL)
 絵は「いい雰囲気なんだけどちょっともの足りないかな?」って感じがしたが、なかなかの拾い物だった。「ぼくのためのきみときみのためのぼく」は近親相姦ネタ。「SWEET SCRAP」は街に落ちていた、言葉を喋れないアンドロイドの女の子を拾ってきた少女と、彼女と付き合っている教師のお話。両方とも丁寧にお話が作り込まれていて面白く読めた。


2/14(土)……バン・アレン帯でいっ

 先日、ドリームネットに関する不満をちょっともらしたが、プロバイダ探しをしていたら良さそうなところを見つけた。AIRnetというところである。個人は年3万円で使い放題というところなのだが、なんとホームページ容量に制限がない。最初の容量は25MBなのだが、増設はいくらでもできるしCGI、SSIもOK。回線もわりと太いみたい。しかも町田(0427)にもアクセスポイントがある(このほか03、06、0426、0429、0466、0429、045、0462、0463、0465がある)。どうにも話がうますぎるような気がしたのだが、IBMの関連会社らしいということでまあそれほど怪しくもないだろうと思って契約してみることにした。俺のホームページもすでに容量が6MB近くなり、兄のコンテンツも入れると7MBくらいになる。ドリームネットでは窮屈になりつつあったのでNIFTYを併用していたし、CGIも使いたかったのだ。そんなわけでこのホームページも近いうちにそっちに移動する予定だ。ドリームネットもいちおう継続しておいて、アクセスはできるようにしておくつもり。どうせ会社がタダで入れてくれてるわけだし(8月まで。8月以降は月1000円くらい取られる)。
 メールはちょっと試してみたが、AIRnetで接続してドリームネットのメールアカウントでメールを出すのはできなかった。逆にドリームネットで接続してAIRnetのメールアカウントからメールを出すのは可能。読むほうはどちらもOK。というわけでWebやメールを見たりといった標準的な利用にはドリームネットで接続し、ホームページはAIRnetのものを利用するというのが正しい利用形態かな、と思う。

 今日はバレンタインデー。バレンタインデーといえば! もちろん漫画である。
 今週はなんだかやたら漫画を読んだ気がする。というわけでちょっと日曜日からの読書数を数えてみたところ、雑誌19冊、単行本46冊。合計65冊。1日平均約9.3冊ということになる。「うしおととら」33冊というのがあったが、それを差し引いても32冊。1日平均約4.6冊。そのうえロフトプラスワンに行ったり、飲みに行ったりしていたんだから時間がないのも当たり前だ。

【雑誌】コミックビンゴ 3月号 文藝春秋
 この雑誌は読むたびに「いつつぶれるか」と思う。マニア筋は押さえている人も多いと思うけど、そうでない人は買わないよなあ。
 安彦良和が新連載。「我が名はネロ」というタイトルからも分かるとおり、ローマ皇帝でキリスト教徒を激しく弾圧した「背教者ネロ」を描く歴史モノ。出だしはまあまあってところ。安彦良和は絵はすごいけど、漫画はうまい人ではないと思うが、これはどういうふうになるだろうか。いちおう俺は単行本を全部持っている漫画家だけに注目。
「実録たかされ」(本宮ひろし)はけっこう面白い。江川卓の物語なわけだが、この漫画読んでいると「体育会ってしょうがねーなー」という気分になる。といってもこれは一人の視点だけで構成されているわけだから、まあ実際はいいところもたくさんあるんだと思う。帝京大学ラグビー部とか、いやな話題もいっぱいあるけどね。
 松井雪子の新連載「Bunny Flash」はけっこう面白かった。バニーガールをやりながら子供を育てるお母さんのお話。なかなか心暖まる。俺としては松井雪子の4コマ漫画とか、ほのぼの系はそんなに好きじゃないんだが、どれもよくできていることはたしか。ちゃんとケースバイケースで作品を描き分けるだけの力を持っているといえる。
 比古地朔弥「神様ゆるして」は予備校の金庫から金を盗もうとして忍び込んで……というお話。さらににっちもさっちもいかない状況に追い込まれている。これからどうなってしまうんだー。それにしても……鴨川つばめ「塩味チーズ味」。読めねえ〜。

【雑誌】モーニング 2/26 No.11 講談社
「えの素」(榎本俊二)が巻頭カラー。おもしれー。榎本俊二は女の子がまたいいのだ。色っぽい。町田ひらくもロフトプラスワンで「榎本俊二はヌケる」といっていたほどだ(ちなみに彼は唐沢なをきでもイケるらしい)。「ヨリが跳ぶ」(ヒラマツ・ミノル)。すごく迫力がある。ああ、面白い。
「変態累ヶ淵NAKED」(作:杉元伶一+画:米餅昭彦)。煮詰まってる。素子先生も深見も。どうなってしまうんだろう。それにしても早く単行本出ないかな。

【雑誌】零式 1998 Vol.2 リイド社
 全体的にクオリティ高し。さすがに隔月刊なだけある。まずはすえひろがり「CIRCLE」。そんなスゴイ話ではないんだけど、にじみ出てくるようないやらしさがある。構成もうまい。さすが。拔山蓋世「花はしろたえ」はトーンを使わず線とベタで見せる気持ちよい画面作りで好み。話はちょっとひとりよがりになっている感じはする。
 電波P子「ねこのここねこ」は女の子とかの描き方が奥瀬サキ風。完成度はまだまだだけど。「Girl's Next Door」(みほとこうじ)は絵はすごくうまいのだが……。どっちにしろ漫画よりも1枚絵の人って感じがする。
 この雑誌で一番のオススメは目黒三吉「翼よあれがパリポリパー」。前号の話も良かったけど、今回のもわけ分からなくて素晴らしい。作画もしっかりしてるし。あとエロ漫画のクロスレビューはイマイチ。6冊取り上げられているが、ピックアップの基準がよく分からないし、レビューを読んでもどういう本なのか、どこが魅力なのかが分かりにくい。これじゃあ、購入の参考にはならない。表紙とだいたいの内容説明くらいはほしいところ。モノクロなんで表紙写真は厳しいと思うけど。こういうふうにするよりも、見開きを4分割にして評者4人に「俺のオススメ11〜12月篇」とかいって1〜2タイトルくらい紹介させるという形式のほうがいいと思う。

【雑誌】BE NEW Vol.1 光彩書房
 タイトルは「びにゅう」と読む。表紙のイラストは司淳。昔ホットミルクで表紙を描いていた人だ。全体のレベルはそれほど高くないが、俺としては友永和の作品が読みたかったので買った。まあいやらしいんだけど、話はどうでもいい感じ。絵はいいんだが、漫画は相変わらずうまくないなあ。そのほか漫画の注目は玉置勉強くらいかな。
 漫画レビューのコーナー、更科修一郎+中山明宏のコンビで語る「アルティメットコミックレビュー」はけっこういいと思う。10冊取り上げられているが、そのうち5冊は俺がコミックジャンキーズVol.4でレポートしているのと重なっているのが、なんとなく奇遇な感じ。今回は女性作家のラブコメ系の紹介が多かった。だいたい読んだ感想は同感というか、俺の原稿でもわりと似たようなことを書いている気がする。

【雑誌】弥勒 1998 No.3 平和出版
 まあまあ。わりと読める。ぺるそな「調教時代」はわりとどうでもいい話なんだけど、業が深くてちょっと下らないラストが気に入った。らーかいらむ「本当にあった!?よさこいじみた話(其の三)」はデブ専少女のお話。もりしげの女の子を成長させたみたいな感じ。ちなみにもりしげ本人も描いている。相変わらずアブナイ話になりそうだが、今回は「子供の森」みたいにおいしいところだけを描いたって感じでなくて、きちんとお話を作っているようなので期待できそう。そのぶんだけ大人しめともいえるが。
 伊駒一平「おやじの逆襲β-III」は表紙をまるまる1ページ使って、自作のビデオ化作品の宣伝をやっているという潔さ。漫画はまあまあ。シャーク闇鍋は絵はいいけど、話イマイチという感じで単行本を読んだときと同じような感想。骨太で絵はいいので、もっとキレてほしい。

【雑誌】COMIC旋風 1998年3月号 司書房
 巻頭カラーの英丸が濃そうな感じなので買ってみた。その英丸「狂の出来事」は、エロシーンは迫力あるがカラーページにまとめてしまったため、最後のほうはほとんどエロがなくちょっともの足りない。
 あとはあんまり気になる作品はないが、下らなくていいなと思ったのが「夜空を降りてくるボクの天使」(うさぎのたまご)。女の子が先輩にいわれたからというだけの理由で、なぜかノーブラにTシャツ、下半身はパンティだけ、首輪を付けたという格好で男の家に告白に行く。そして、いきなり「読んで欲しいんです」といって、パンティを脱いで座り込み「あそこの中にねじ込んである手紙をっ!」と来る。もちろんぐちゃぐちゃで文字は読めなくなっている。「けど、こんなに想いがつまった手紙は初めてだった」と男。うおー、これは馬鹿い。それで一発したあと(エロシーンは体液ベロベロでかなり濃い)、最後に「−世界中でボクだけの天使−」だと。頭の腐ったような展開が非常にステキだと思った。

【雑誌】COMIC阿口云 1998年3月号 ヒット出版社
 最近名前をよく聞くので買ってみる。うわさでは、ここのところつまらなくなっているとのことだが、たしかにそんなに面白いとは思わない。陸乃家鴨とか甘夏真琴とか、少女漫画系の人はうまい。ただ、俺的にはライトなものより、ベトベトの濃い奴が好き。全体的にみんなそこそこ。さほど印象に残る作品はなかった。


2/13(金)……今日もコミック、明日もコミック

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 3/1 No.5 小学館
 今日の日記のタイトルの元ネタを知りたい人は「味いちもんめ」(作:あべ善太+画:倉田よしみ)を読もう。「でんでん虫」(作:杉乃井正樹+画:かざま鋭二)がけっこう面白い。やたらめったら勝負勘に優れた大道という男が主人公の漫画。今回は女を口説いているだけだが、なんだか読ませる。六田登「シネマ」は主人公・サバニの作った映画が初公開される。話が動き始めた感じでこれからどんどん面白くなることを期待。できればもっともっとダークに進んでほしい。あと、コンスタントに面白いのが「演歌の達」(高田靖彦)。義理と人情が演歌の花道。中川いさみの「関係筋」もいつものノリで楽しめる。

【雑誌】ビックコミックオリジナル3月増刊号 小学館
 最近「増刊」という言葉に弱い。増刊だとなんだか買いたくなっちゃうのだ。読切が多く掲載されているっていうのが主な理由だけど。
 しらいしあい「ホニュウ類ヒト科オヤジ目」がけっこう面白かった。新連載だそうだ。第一話は家出少女とバツイチオヤジの心暖まる出会い。「煩悩三昧」(石川サブロウ)は今回が最終話。禅僧の話なのだが、禅には京極夏彦の「鉄鼠の檻」以来ちょっと興味がある。この話もなかなか面白かったので、ちゃんと読んでおけばよかったな、とか思った。新連載、井浦秀夫「AV烈伝」もけっこういい。AVの男優などをめぐるドキュメント。今回は男優・監督の清水大敬。まさに人に歴史ありという感じだ。
 東陽片岡「号泣酒場」は力の抜けたジメジメとした絵が素晴らしい。話もしみったれていながら滑稽でいい。「永遠のモリー・ブラウン」(伊原達矢)は読んでてゾクゾクした。宇宙飛行士の話。俺はこういう宇宙モノには弱いのだ。読んでいると自分がぷわーっと宇宙に広がっていくような感じがあって。前にもいったことがあるけど、最近宇宙モノの漫画って減った。というよりも、漫画の中に宇宙が出てくる割合がすごく低くなっているのだ。昔のSF流行りのときはそんな漫画ばっかりだったのに。こういう今だからこそ、宇宙モノってけっこうイケる気がするんだけどどんなもんだろう。

【雑誌】少年チャンピオン 2/26 No.12 秋田書店
「グラップラー刃牙」(板垣恵介)では、愚地独歩vs.渋川剛気戦がスタート。燃えるぜ。「悟空道」(山口貴由)は単行本1巻が発売されたが、そっちはまだ読んでいない。それにしても「不治の美形」ってすごい表現だな。さすが。「バロン・ゴング・バトル」は相変わらず、アクション、バイオレンス、セクシー。過剰で面白い。

【単行本】「ト・キ・メ・キゆみこちゃんメモリアル」 町野変丸 久保書店 判型:A5
 感想等は町野変丸のページ参照。

【単行本】「伊駒一平・NEXT!!」 伊駒一平 二見書房 判型:A5
 伊駒一平10周年記念の第1弾とのこと。「行け行けノブオ!!」あたりがイカれてて面白い。まったく関係なく突然入るサービスカットとかがいかにも伊駒一平らしい投げ遣りさ。あと巻末収録の「とってもいいかげんな作品リスト!!(単行本未収録)」とか、作品解説とかもほうり投げるみたいな感じで笑える。

【単行本】「先天性奴隷女教師編」 伊駒一平 桜桃書房 判型:A5
 わりとフツーのエロ漫画。もっとイカれた奴のほうが伊駒一平は面白い。

【単行本】「MERCY'S・FILE」 マーシーラビット 大洋図書 判型:A5
 エロゲーの原画をやっていたらしい。おっぱいがでかくて柔らかそう。話的にはそんなに面白くないけど、実用性はあるので良し。体液の描き方がヌラヌラしていてわりと好み。


2/12(木)……俺とロフトとプラスワン

 会社に行く前に神保町へ。いろいろと漫画を物色する。町野変丸の新刊「ト・キ・メ・キゆみこちゃんメモリアル」、伊駒一平「先天性奴隷女教師編」「伊駒一平・NEXT!!(美少女・ロリータ篇)」、マーシーラビット「MERCY'S・FILE」、それから零式と弥勒といったエロ漫画。さらにコミックビーム、ヤンサン、ヤングアニマルも購入。朝っぱらから漫画でかばんがパンパン。

 OHP掲示板に書き込んでいただいている人々とロフトプラスワン「このエロマンガが偉い!3」に行ってきた。一日店長が山本夜羽(玄田生)、ゲストが町野変丸、町田ひらくという豪華な布陣。OHP掲示板のメンバーは黒川さん、石原さん、きょんさん、はるひさん、かぜはるかさんプラス俺。
 いやー面白かった! なんといっても町野変丸が良かった。すごくいい男。美男子ってわけじゃないんだけど、非常に人格がいい。なんか楽しんで生きてるなーって感じで笑顔が実に良かった。塩山芳明が金玉をにぎりたくなるのもよく分かる。俺としては漫画家さんにサインをおねだりしたのは初めての経験だったが、快く引き受けてくれてうれしかった。そんなわけで前述の町野変丸の新刊は朝購入したときにはただの新刊本だったのに、夜にはサイン本に化けてしまったのだ。まだ読んでないのだが、できるだけ早いうちに読んで町野変丸のページにデータを追加するつもり。

 町田ひらくは一見内向的な感じの人なのだが、思ったよりもしゃべっていた。訥々とした感じながら、なかなか思いきったことをいう人だった。山本夜羽はなんかテンションの高い親分肌な男。しかし、町田ひらくのほうが山本夜羽より歳が上だったのはびっくりしたなー(町田ひらくの歳はいちおう内緒。聞くとたぶんびっくりするぞ)。町田ひらくの作品には少女が登場することが多いので、チャイルド・ポルノがどーたらこーたらという規制が本格的に行われたら手に入らなくなる確率が高い。今のうちに買っとけー。
 酒を呑みながら話を聞いていたんだけど、俺の左隣に座っていたのが枡野浩一だったのにはびっくりした。そして途中で抽選を行い、漫画家3人のオリジナルTシャツとか町野変丸サイン入り大人のおもちゃなどのプレゼントをしていたのだが、桝野浩一がまんまと町田ひらくTシャツをゲットしていたのが、かなりジェラシかった。
 0時近くまでお話を聞いた後、まだ続きがありそうだったが、電車がなくなりそうだったので我々は帰途についた。というわけで俺は楽しかったので、またなんかありましたら集まりましょう→参加者の皆様。
 で、そこから帰ってきて漫画を読んで今このホームページを作っているのが午前4時半。もっと漫画を消化しておきたかったが、さすがにここらへんが限界。そろそろ寝る。

【雑誌】コミックビーム 98年3月号 アスキー
 詳細な掲載作品リストはコミックビームのページ参照。
 まずはあんまり良くないお知らせ。馬頭ちーめい「BREAK-AGE」は、作者の体調が優れないためしばらく連載休止。表紙には名前があるので気をつけるべし。上野顕太郎はたぶん穴埋め的な掲載なのだろう。今回はちょっとヒネリが足りない感じ。
 そして、最近なんだかしだいに面白く感じるようになってきた「ポヨンチョポヨンチョ」が最終回。なんかもうビームでは描かないみたいなことをほのめかしているけど、さてどうなる?
 で、今度はめでたい話題。ヘンな漫画を描くので最近注目していた鮪オーケストラが新連載。だが、出だしは大人しめ。もうちょっと奇をてらってもいいような気がする。
 今月は全体的にちょっとテンション低めかな、って感じがした。そんななか「弥次喜多 In Deep」は面白かった。ビームに載るようになってからでは一番いいのでは。あと「未来さん」もいつもながらに面白い。
 次号はちょっと気になっていたアスキー漫画大賞入選作家、きなみなみが44ページの読切。けっこう楽しみ。

【雑誌】ヤングサンデー 2/26 No.11 小学館
「オーバーレブ」(山口かつみ)がバトルに突入。この漫画けっこう好き。ところで、ちょっと思うのだが実はエロ漫画よりもこういった公道バトル漫画のほうが、青少年にとっちゃ悪影響なんじゃないかなー。たぶん性犯罪で死ぬ人よりも、交通事故で死ぬ人のほうが多いと思うぞ。ただ、そんなことを言い始めるときっと規制をしたがる人たちは「ならそういった暴走族漫画も規制しちまえばいーじゃん」とかいいかねないので、ことさらに指摘するつもりはない。やぶへびになるのはごめんだ。
「花マル伝」(岩重孝)はコンスタントに面白い。俺としては岩重孝の中では一番好きかも。「女類男族」(新井理恵)は今週で第1部・完。「ザ・ワールド・イズ・マイン」(新井英樹)では、ついにモンちゃんとヒグマドンが出会う。なんだかすごく面白くなりそうな気配。続きが早く読みてえな。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/26 No.11
 うーん、モノクロ広末グラビアはやっぱり目立つなあ。漫画はあんまり面白くないけど、グラビアはしげしげと眺めてしまう。面白い漫画は……と探してみたがどれもそこそこって感じでとくに目立つ作品はなし。

【雑誌】ヤングアニマル 2/27 No.4 白泉社
 ヤンジャンが広末頼みなら、こちらは「ベルセルク」(三浦建太郎)頼み。巻頭カラーで相変わらずかっこいいなあ。克・亜樹「ふたりエッチ」はかなり割りきっている。最後の柱のアオリ文句も「次号はいよいよフェラチオだっ!!」とのこと。さらにはヤングアニマルの次号予告には「優良さんがいよいよフェラチオ実行▽」(▽はハートマークの代用)とある。いやー、立派。「拳闘暗黒伝セスタス「(技来静也)はなんか絵柄がベルセルク的だが、けっこう面白い。ローマ時代の拳闘士の物語。柴田ヨクサル「エアマスター」は最初のページでいきなり巨乳比べ。でページをめくると格闘技。なかなかいい落差をしている。


2/11(水)……もっと高く、もっと強く

 最近、家にいるときもなんかせわしない。別に仕事とかやってるわけじゃなくて、漫画のせいだ。今日もコミックジャンキーズの原稿、「うしおととら」の一気読み、ホームページの更新、たまってしまったスピリッツとヤンサンを捨てるために切り抜き作業と、やることが山積みいう感じだった。このうち切り抜きまではさすがにやっている時間がなかった。しかしこれだけやっても、なんだかもっともっとむやみに強まらなくっちゃいけないような気がしている。なんていうか、負けたらアカンのだ。何に負けるんだかよく分からないけれども。
 そんなわけで今日は「うしおととら」全33巻を一気読みする。ついでに、自分の漫画読み速度がどんなもんなのかということを調べるために、読むのにかかった時間も計ってみた。それによると33巻読むのにかかった時間は390分。6時間半だ。1巻あたり約11.8分。これが速いのだか遅いのだか知らないけど、とりあえずこれから時間を有効活用するための目安にはなるだろう。

【単行本】「うしおととら」全33巻 藤田和日郎 小学館 判型:新書判
 すっごく面白かった。最後のほうはボロボロ泣きながら読んだ。こんなダメな俺でも、こんなに素直に泣けるのだ。やっぱり漫画っていいなあ。
 不満を一つ挙げるとするなら、全体を短くしてこの半分くらいに(15巻くらいに)凝縮してくれたらもっと一気に読めていいのになあと思うのだが、それは贅沢というもの。そんなちっぽけな不満なんかぶっとばしてくれるくらい面白かった。


2/10(火)……こむなびの憂鬱

 本屋でComnavi4号を立ち読み。前回は買ったが今回は買わない。俺みたいに新刊リストをチェックして欲しい本は片っ端から買っているような人間にとってはこの雑誌は用がないのかも。
「あるニーズを持っている人が、そのニーズに満たす本を確実に見つけ出せるようにしてあげる」というのが、こういったブックレビューの一番大事な役割だと俺は思う。「だまされてつまらない本を買う人が出ないようにする」というのもあるが、「買わない気にさせるレビュー」よりも「買う気にさせるレビュー」のほうが、業界全体から見ても意義は大きい。もちろん、その大前提として「レビューがその本の内容を的確に伝えている」必要はある。
 しかし、Comnaviは「買う気にさせるレビュー」をし得ていないし、さらに大前提である「内容を的確に伝える」ができていない。ブックレビューのページでは400タイトル以上紹介している。これがたいへんだということは認めるが、どうもレビューの内容が的外れなのだ。
 俺としては、この雑誌を指標にして本選びをしてほしくない。また、スペースがないのは分かるんだけど、表紙の写真も小さすぎ。これじゃ絵柄が分からないから、購入の手助けになりにくい。正直いって、こんな内容の雑誌は売れちゃいけない。でも、「漫画情報誌は売れない」という先例を作ってほしくないので、売れてくれないのもまた困るのだ。本当に厄介な位置にある雑誌だ。
 ただし。今ある漫画を総ざらいするという方針自体は間違っていないと思うので、内容さえ上がってくれればすごく良くなる可能性はある。ほかの漫画情報誌にも頑張ってほしいけど、今本屋にならんでいるCOMIC BOXなんて特集が「特撮」だもんなあ。本当はこんなネガティブなことはいいたくないんだけど、この分野には頑張ってほしいのでいわずにはいられなかったのだ。

 で、いきなり話は変わる。今使っているプロバイダ(ドリームネット)では無料4MBと追加料金月200円で2MBと、6MBのホームページスペースを持っている。今日、試しに使用容量の確認をしてみたらすでに5.5MBも使っていた。このままでは早晩使いきってしまうことは必至。お気に入りの漫画家たちとか、いろいろと作る予定もあることだし。そんなわけでもう2MB増設しようと思ったのだが、そうするとホームページ用のサーバーが変わるとかいってきやがった。現在はplaza15.mbn.or.jpを使っているが、これがplaza20.mbn.or.jpとかになるのだろう。これだとほかのページからのリンクをすべて変更してもらわなくてはならない。しかもplaza15.mbn.or.jpに容量を残しておけないので、「こっちに移転しましたよーん」とかいうページを作っておくこともできない。くそー、ドリームネットめ。タコな仕様してやがる。
 そんなわけで今plaza15.mbn.or.jpに置いてあるデータの一部を、NIFTY SERVEのほうのスペースに移した。具体的にいうと唐沢なをきと吉田戦車のページだ。これでドリームネットのほうの空きが2MB近くまで戻った。これだけあればしばらく持つだろう。もし足りなくなったら、geocitiesかなんかでスペース借りようかな。

【雑誌】少年サンデー 2/23 No.11 小学館
 「ガンバ!Fly high」(作:森末慎二+画:菊田洋之)が小学館漫画賞を受賞した。少年向け部門。一般向け部門では「あずみ」(小山ゆう)が受賞していたが、両方とも地味ながらコンスタントに面白さを発揮していたし、納得のいく受賞結果だと思う。なお、児童向け部門はいがらしみきお「忍ペンまん丸」、少女向け部門は渡瀬悠宇「妖しのセレス」。
「MAJOR」(満田拓也)が面白かった。ようやく寿也が楽しんで野球をやるようになってうれしい。どうせやるなら気持ちよくやってほしいもの。「犬夜叉」(高橋留美子)は面白いのだが、最初あんまりしっかりと読んでなかったんでそのうち単行本で読みたいところ。でも冊数が20冊とかになっちゃうと面倒なんでいやだなあ。できれば10巻以内できっちり終わらせてくれるとすごくうれしい。そしたら買う。
「俺たちのフィールド」(村枝賢一)はW杯出場決定だけど、和也は「早く次の試合がしたい」という。そう、俺も早く次の試合が見たい。俺フィーも現実のサッカーも。現実のサッカーでいえば、今回のW杯出場で井原の10年にわたる予選がようやく終わったんだなあとか思った。それを考えると泣けてくるものがある。

【雑誌】少年マガジン 2/25 No.11 講談社
 最近、マガジンを読むたびにいっていることではあるが、「はじめの一歩」(森川ジョージ)がかっこええ。「勝負師伝説哲也」(原案:さいふうめい+漫画:星野泰視)は絶対振らないねーちゃんが登場。たぶんカギは牌を積むときに、必ず積み損なって崩すことだと見た。

【単行本】「トラブル・カルテット」 まんだ林檎 ワニマガジン 判型:B6
【単行本】「処女調教」 近石まさし 松文館 判型:A5
【単行本】「Heaven's Egg」 中村 錦 桜桃書房 判型:A5
 いずれもジャンキーズ書評用。プラス「猫とサボテン」(まなべゆう)もあるが、これは1/25にすでに読んでいる。この中で良かったのは、やっぱりまんだ林檎。もとはホモ漫画の人だけど、普通のエロ漫画もすごくうまい。ロリからギャグ、ドタバタ、ちょっとホラーっぽい奴、叙情系、みんな面白く読める。中村錦は全編CG。けっこういやらしくていいのだが、CGのグラデが目立ちすぎちゃって画面が重く感じる。あと、話も錯綜していてちと分かりにくい。近石まさしはチャンピオン系などの一般誌で近石雅史というペンネームで描いていた人。少年誌から流れて劇画系エロになるというのはなかなか珍しいパターンかも。


2/9(月)……少年探偵CUBE

 会社に行く前に永山薫さんの事務所に寄ってジャンキーズ書評用の本を4冊ばかし受け取ってくる。ついでに手直しした原稿を渡したあと打ち合わせ。といってもただお話していただけなんだけれども。漫画、PC、小説についてなどなど。業界裏話的なことにも話は及んだが、裏話であるだけに当然ここでは書かない、というかナイショ。
 あと、これはいってもOK情報だが、コミックジャンキーズVol.4の発売は3月2日になったとのこと。当初は28日の予定だったのだが、この日は取り次ぎが休みなのだそうだ。俺的漫画スケジュールではさらに誤解して2月25日とか書いてたんで、修正しておいた。

【雑誌】スピリッツ 2・23 No.10 小学館
 松本大洋が久々に登場。巻頭カラーで3ページ。今回はスピリッツが日産と組んで「CUBE」たらいう車の宣伝をしまくっているのだが、松本大洋の漫画もタイトルがズバリ「CUBE」。でもタダのPR漫画に終わらないところがさすが松本大洋。それにしてもピンポンが終わってからすでに8ヶ月も経っていたのだなあ。なお、この情報は松本大洋ページの「最近の話題」にも同時アップ。
「奈緒子」(作:坂田信弘+画:中原裕)は泣き泣きの展開。奥田の悲壮な決意に満ちた表情がかっこいい。これからすごく盛り上がりそうで非常に楽しみ。「月下の棋士」(能條純一)もいい。氷室はこうでなくっちゃ。「しっぷうどとう」もこのところ盛り上がっている。剣道始めたばっかりの奴にこんなにうまくなられると、以前剣道やっていた人間としては釈然としないものがあるのだが、それでも面白いものは面白いのだ。
 ちなみに次号からは山本直樹の読切新シリーズがスタート。タイトルは「奥さん、いいじゃないですか」。いや〜、いいタイトルだ。

【雑誌】ヤングマガジン 2/23 No.10 講談社
 今回の華倫変「カリクラ」は非常に良かった。このシリーズが始まってから最高の出来じゃないだろうか。今までは現代を舞台にしたものばかりだった華倫変だが、今回は江戸時代。新田の開拓で賑わう現場の周りで、桶の中に客を引いて身体を売っている女・サヨの話。生臭坊主から性病を伝染され、日に日に衰えていくサヨだったが死の床でしだいに澄んだ気持ちになっていく。ふわーっと空に広がっていくようなラストシーンが非常に感動的。やっぱり華倫変は才能があるわ。それにしてもやる気のない作風が持ち味の華倫変が、こういったストレートにいい話を描いてくるとはちょっと意外な感じも。
「1・2の三四郎2」(小林まこと)は迫力もあるし、なにげに面白い。さすがにうまい。「超・学校法人スタア学園」(すぎむらしんいち)はブリーフブラザーズの情けない展開。「オタクだから手がしめっぽい」とかいう細かいギャグもステキだ。

【雑誌】少年ジャンプ 2/23 No.11 集英社
 新連載「少年探偵Q」(作:円陣+画:しんがぎん)は俺としてはわりとどうでもいい作品って感じだけど、絵もきれいだし、主人公は美少年探偵だし、うまくすればけっこうウケるんじゃないだろうか。でも俺の「売れる売れない」の読みってまったくアテにならないので、どうなることだろうか。
「ONE PIECE」(尾田栄一郎)。今回は非常に良かった。ウソをつき続けていたウソップが本当のことをいうが信じてもらえない。そして意地を見せるウソップ。かっこいい。「世紀末リーダー伝たけし!」(島袋光年)はいきなりやられた。最近勝負モノになりつつあってちょっと……とか思っていたが、勝負もヘンなのでこれはこれで面白い。
 それから「I''s」(桂正和)。扉の4色カラー。うまい。うますぎる桂正和。「画-ROW」(水元昭嗣)は連載9回目にして最終回。あんまり面白くなかったからまあ妥当。


2/8(日)……いじめ、かっこわるい

 読み終わった雑誌がかなりの量になってきた(1m20cmくらいの高さの山が二つくらい)。しょうがないので縛って捨てる。もちろん、心に残った短編で単行本に収録されそうにない奴は切り抜いておいた。アフタヌーンとかビームなどの保存する分を除いて、だいたい7〜80冊くらいあったと思う。ついでにパソコン雑誌も捨てたので、ひもで縛った束が10個くらいになった。縛るのだけで一苦労だ。たぶん2ヶ月分くらいだろうと思うのだがかなり恐ろしい量だった。やっぱり1ヶ月に1回くらいは整理しないとダメだな。
 これでだいぶすっきりしたような気もするのだが、まだ手つかずのスピリッツとヤングサンデーの山(高さ80cmくらい×2)と、捨てるつもりのないアフタヌーン&バーズの山(高さ1メートルくらい×2)がある。スピリッツとヤンサンの山に関しては11日の休みのときにでもなんとかしよう。
 で、そんなことをしているそばから、古本屋で「うしおととら」(藤田和日郎)全33巻+外伝1冊を購入。本がたまるわけだ。「うしおととら」は連載時も読んでいたので面白いということは分かっている。ただ読み始めると止まらないだろうし、なるべく一気読みしたいのでこちらも11日の休みあたりでドカーンと読むつもり。

【単行本】「犬神」1〜3巻 外薗昌也 講談社 判型:B6
 面白いのでさっそくオススメ漫画レビューに登録。

【単行本】「キャンバス」 J・マツオ 自費出版
 町田の福家書店という、オタク界では名高いかもしれない本屋さんで売られていたのを兄が買ってきた。で、読んでみた。いやー、これは強烈な漫画だ。死ぬほど個性的。絵も話も。
 作品と脳、哲学と麻薬という四つのキーワードをごたまぜにして遊び倒したという作品。ニックス・リードという画家が、目で見、舌で味わい、耳で聞き、触り、鼻で嗅ぐことのできる「生きている芸術」、ライブ・ピクチャーを作るプロジェクトを持ちかけられる。その作成のためにはもう一人の画家、リアン・ブルーと組む必要があった。リアン・ブルーの造形の美にニックス・リードの哲学が加わったとき、ライブ・ピクチャーは鑑賞するものに最大限の快楽を与えられるものになる。このライブ・ピクチャーというのがアメーバ状の物体にぶくぶくと身体をうずめて鑑賞するというもので、造形が異様にグロテスク。で、そこから得られる快感には麻薬性があり、それを利用しようとする資本家によって「キャンバス」という名称の嗜好物として商品化される。
 細かく描き込まれた絵、迫力があってそして異様なストーリー展開、異常に多いネーム。これは自費出版じゃなきゃできない作品だな、と思う。強烈で気持ち悪くて濃厚でヘンで非常に面白かった。

【単行本】「からっぽの世界」 山田花子 青林工藝舎 判型:A5
「山田花子最後のマンガ作品集!!」と帯に銘打たれているけど、ということはマンガじゃないのはこれからも出るってことだろうか。この本には今までの単行本に未収録の作品がいろいろと収録されていたので読めたのはうれしい。ほかの作品集に収録された作品と同じで、強迫神経症的で世の中の人々とその反応をどうしても気にしてしまう自分に対する呪詛に満ちている。それにしても、この人はまるでイジメられるために生きてきたみたいな人だなーと思う。目の前に山田花子がいたとしたら、たぶん俺でもイジメるだろう。

【単行本】「よいこの星!」3巻 柏木ハルコ 小学館 判型:B6
 面白い。今回はまりあがサトシと完全に決別して、どうしていいのか分からない状態に陥る。頑張れば頑張るほど嫌われてしまう泥沼。やりきれない展開だ。


2/7(土)……カリクラマシーン

 久しぶりのお休みー。といっても朝まで呑んだり歌ったりしてたので、朝帰り。その後ホームページの更新などをしていたので寝たのは朝8時くらい。そのまま、夜の6時くらいまで寝る。何やってるんだか。
 それにしても休みはやっぱりいい。そして休みといえば! もちろん漫画である。平日ももちろん漫画だが。

【雑誌】ヤングマガジン 2/16 No.09 講談社
 例によって約1週間遅れ。「ストッパー毒島」(ハロルド作石)はJリーグとのかけ持ち投手がオリックスに登場。どんなピッチングをするんだろうか。「僕といっしょ」(古谷実)は猥雑なパワーにあふれていて面白い。「カイジ」(福本伸行)はこんな仕掛けになっていたとは……って感じ。さあ、カイジはいったいどうするのだろうか。華倫変「カリクラ」はまあそこそこ面白いのだが、今回の連載は少し低調な感じがする。

【雑誌】ガロ3月号 青林堂
 復刊3号めにして、非常にガロらしい表紙に。ちなみに描いているのはみうらじゅん。いやーいい絵だ。みうらじゅんは今回の漫画「ウパ〜」もなかなか良かった。巻頭は松本充代「潜む声(後編)」。さすが松本充代。面白かった。母親の愛を独占することだけを目標に生きてきた女性の物語。最近の松本充代は深いところで壊れている感じのキャラクターを描いた怖い話がすごくいい。
 羽生生純「スピーディー小僧−恥とパン屋−」はそこそこ。羽生生純っていかにもガロが合いそうな感じに見えるけど、実際に載ってみるとなんとなく浮いているような気がしなくもない。永野のりこ「ドクターはかせとアイランド島」は、永野のりことしては普通程度の出来かなーって感じ。けっこうイケルんだけど、永野のりこだったらもうちょっとはっていう気もしてしまう。それから復刊ガロでいつも一番面白いのがキクチヒロノリ「UFO解脱マン」。いやーもうアチラ側な感じで素晴らしい。どんどんやってください。
 新ガロは、それまでのガロの流れからいえば「こんなのガロじゃねえっ」という人もいるかもしれないが、これもまたガロだ。ちゃんと最初っから最後まで読めるし、漫画も面白くて実にいいと思う。青林工藝舎もとっとと雑誌を出してほしいものだが。出さないんなら旧ガロ系作家はさっさと新ガロで描くべし。

【単行本】「カリクラ」 華倫変 講談社 判型:B6
 待望の単行本。今日読んだヤンマガに掲載されていた作品がもう収録されていたのにはビックリ。どうやら今の連載は描きためておいた分らしい。作品では、久しぶりに「ピンクの液体」が読めてうれしかった。この単行本の中でも「ピンクの液体」が一番よくできていると思う。全体的にやる気のなさ、気だるさの漂う覇気のない作風が読んでいて気持ちいい。作者が後書きで「マンガを書くというのは面倒くさくて仕方がない」と語っているように、その面倒くさいという思いは作品にも色濃く表れている。個性的な作風を持った漫画家なので、これからも期待したいが、華倫変としては期待されるのは面倒だろうと思うので作品が掲載されるのをのんびり待つつもり。

【単行本】「ぢるぢる旅行記」 ねこぢる ぶんか社 判型:A5
 前から「なんで女性漫画家って旅行記を描きたがる人が多いんだろう」と思っていたのだが、この作品もタイトルどおり旅行記だ。行き先はインド。旅行記ものってあんまり好きじゃないんだけど、この作品はねこぢるの絵や話作りがインドの雰囲気と非常に合っていて(という気がする。行ったことがないので本当に合っているのかは知らない)、面白かった。トリップ系の飲み物とか、浮浪者とか、やる気のない民とか、つくづくねこぢる的な国だ(という気がする)。

【単行本】「ショートカッツ」1巻 古屋兎丸 小学館 判型:A5
 最初は「女子高生モノかよ」とか思っていたが、だんだん面白くなってきた。ギャグもあるし、ところどころに挟まれた泣かせ系の話がまたいい。とくに大きな木の下で出会った少年と少女の話「CUT-82」は非常に良かった。2ページながらも少年の悲しい恋を描いていて、きれいにファンタジーしている。いやー、器用な漫画家だ。

【単行本】「みすてないでデイジー メモリアルブック」 永野のりこ アスペクト 判型:B6
 アニメ版「みすてないでデイジー」のメモリアルブック。アニメのほうはちょっと見たけどつまらなかったが、漫画のほうはすごく面白い。未読の人はぜひ。メモリアルブックのほうは欲しい人だけ買うべし。
 この本にはアニメ全12話についてと、ビームに収録された特別編などなどが収められている。あと、青木光恵や唐沢なをき、滝沢ひろゆき、水玉蛍之丞といったところが「デイジー」に向けて2ページずつ使ってコメントを送っているところあたりに注目って感じだろうか。


2/6(金)……コドモオオトカゲ

【単行本】月刊少年マガジン 3月号 講談社
 川原正敏が何やら新連載。タイトルは「海皇紀」。船を浮かべ、海に生きる男の物語。いつもの川原正敏ノリだ。それにしても少年ジャンプの「ONE PIECE」(尾田栄一郎)といい、少年チャンピオンの「フルアヘッド!ココ」(米原秀幸)といい、最近少年誌界では海賊とか海に生きる男が流行りなのだろうか。
「Mr.釣りどれん」(とだ勝之)は何やら広末涼子もどきが。とだ勝之の描く、足首の太い重心の安定していそうなキャラクターたちはけっこう好きだ。「あきら飛ぶ!」もけっこう面白かったし。「VIVA CALCIO」(愛原司)はいつもながらサッカーオタクだ。それにしても、このW杯でみんなが浮かれているときにセリエA。渋いなあ。

【単行本】「子供の森」 もりしげ オークラ出版 判型:A5
 ロリ系エロ漫画。この人の作品は犯罪的、というより、もうまんま犯罪を描いているのだが著者の言葉を見ると本人も自覚しているらしい。小学生が徹底的に犯罪者によって凌辱されまくる。同じような犯罪的な香りのするロリ作家としては月角なんかもいるが、あちらはまだ女の子が気持ちよくなったりして救いがあるのに対し、こちらは少女たちはとにかく痛々しくて気持ちよくなんかなりゃしない。心臓に持病を持った娘なんか、凌辱のショックで死んだりもする。とにかく少女たちは「犯罪者によって壊される、かわいくて無力なもの」でしかないのだ。
 こんなにヤバい本をよくこの規制が強まりつつある時期に出版できたなあ。でも、今出版しなかったらたぶんこれからしばらくできないだろうから、規制が強まる前に滑り込みで出しちゃえってところはあったのかもしれない。読むと殺伐とした気分になることは間違いないところだと思う。業の深さは一級品だが、作品的にはブツ切りになっているものも多く、面白いかっていうとそれほどでもない。この業の深さ、容赦のない描写を楽しむのが吉。そういう意味では楽しめた。まあ、とりあえずくれぐれも良い子のみんなはマネしないでね。

【単行本】「迷える子羊」 あうら聖児 フランス書院 判型:A5
 巨乳系。この人の漫画ってストーリー自体は大したことないけど、デカくて柔らかそうな乳は好みだ。この単行本収録作品はわりと明るめなのが多い。あうら聖児の作品は、ダークに走ってちんちんがいっぱいでてくるほうが俺は好き。

【単行本】「ヨネケンファースト」 米倉けんご 司書房 判型:A5
 絵はきれいでスッキリとしているが乳はデカめ。話もわりとちゃんとできていてなかなか面白い。ただ、なんとなく食い足りない感じはしなくもない。ちょっと全般的にキャラクターが弱いかな。でも、基本的には面白くて絵もかわいらしので、けっこうオススメはできる。強く推すってほどでもないけど。


2/5(木)……ヒはヒトヅマのヒ

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 2/20 No.4 小学館
 年に一度のお楽しみ、高橋留美子劇場が目当てで購入。今回のタイトルは「お礼にかえて」。マンションに引っ越してきた若奥様が、マンション内の派閥争いに巻き込まれて……という感じのコメディ。軽妙かつほのぼのとしたノリで楽しんで読めた。さすがにうまいなあ。
「三丁目の夕日」(西岸良平)は仲のいい姉弟のお姉ちゃんが生理を迎えて赤飯を炊く、という話。たぶんテーマは赤飯のほうにある。西岸良平にしては生臭いかなと思った人はまだまだ甘い。彼の昔のころの作品は、あの絵でSEX&バイオレンスをやっていたのだから。とくに「ミステリアン」(双葉社)のあたりはその傾向が強い。でも、やっぱりあの絵だけにのどかなんだよな。ちなみに西岸良平の初期短編集に関しては、そのうちまとめたいと思っている。
 石坂啓「アイ’ム ホーム」はけっこう面白い。石坂啓の漫画ってかなりあざといところがあって、鼻につくことも多いのだが、これはわりといい。40代のサラリーマンが単身赴任先で事故に遭い、記憶喪失に。今までの家族のことを完全に忘れてしまい、まるで他人と暮らしているような気持ちにしかなれない。そして彼の幸せ探し、居場所探しの旅が始まる……といった感じの話。
「おかみさん」(一丸)もなかなか面白かった。ちなみに2/12にオリジナルの3月増刊号が出るとのこと。面白そうだったら買う。

【雑誌】ヤングサンデー 2/19 No.10 小学館
「ザ・ワールド・イズ・マイン」(新井英樹)が巻頭カラー。今回は逃走するトシとモンちゃん(モンちゃんのほうは「逃走している」というつもりは微塵もないんだろうけど)の二人が雪山を行く。しかし、モンちゃんはムチャクチャだなー。クマの生肉は食うし、トシのカマ掘ろうとするし。いやー、面白い。
「花マル伝」(岩重孝)は木元vs.氷室の男子78kg級決勝。スピード感のある展開で面白かった。新人の佐藤秀峰「おめでとォ!」もなかなかいい。「地雷震」の高橋ツトムをちょっと思い出すようなシャープな描線、勢いのあるストーリー、キャラクター。絵も話もけっこうイケルのでこれからに期待できそうな感じ。
 コージィ城倉「愛米」はなぜか千葉の野人がコメのオヤジに弟子入り。ボクシングの道を進むことに。千葉の野人・清次はなかなかナイスなキャラクターだったのでこれからも話に絡んでくるというのはうれしい。「the山田家」(阿部潤)は山田夫妻が夫婦げんか。で、次号に続く。相変わらずパワフルな漫画だ。

【雑誌】モーニング 2/19 No.10 講談社
 今号は「メロドラマ」(村上もとか)が巻頭カラー。この前オススメ漫画レビューにもアップした作品だが、やはり面白い。今回は真太郎を誘惑する日本人妻登場。情には厚いが、酒と女にはからきし弱い。日本男児だねえ。関係ないけど新聞の見出しで「日本人妻」という言葉を見ると、「ニッポン・ヒトヅマ」かいな、とか思ってしまう。ニッポン産のヒトヅマという種類の動物かなーって感じ。
 今回で「旅の途中」(本宮ひろし)は第一部終了。で、1回休んだ後第二部スタート。本宮ひろしらしいハッタリが利いてて、今回は楽しめた。「変體累ヶ淵NAKED」(作:杉元伶一+画:米餅昭彦)は素子先生の秘密が明かされようとしている。さらにアヤシイ世界に行きそうで来週が楽しみ。

【雑誌】月刊少年ジャンプ3月号 集英社
 駅で拾う。月刊少年誌はなかなか拾えないので、これはうれしかった。で、「わたるがぴゅん!」(なかいま強)がまだスピンボール野郎と対戦している。いつ見ても変わらないな。そして岡村賢二がまた何か過剰な拳闘漫画「宇強の大空」。なんといっても対戦相手が、主人公のスピードについていけないと見るや、激しく動いて急激に体内エネルギーを燃焼させゴングの間のわずか1分くらいの間に汗をバリバリかいてやせる、というのだからスゴイ。ムチャなことやってるなあ。
 あと気になるのは「エンジェル伝説」(八木教広)。やたら邪悪な顔をしているけど実はいい奴な北野くんを取り巻くドタバタ。絵もかなりうまいし、読んでみると面白い。単行本欲しいなあとひそかに思っている。11巻まで出ているらしいが、古本屋で揃いを見かけたら買おうっと。

【雑誌】少年チャンピオン 2/19 No.11 秋田書店
 そろそろ漫画雑誌をバレンタインデーネタが席巻する季節がやってきた。今週のチャンピオンでも当然のごとくやっている。「おまかせ!ピース電器店」(能田達規)はスパイの月影アイが建太郎にあげたチョコをめぐって、モモコを交えて騒動に。相変わらず心が和む。「学校怪談」(高橋葉介)もバレンタインネタ。そしておおひなたごう「おやつ」も当然ながら。こちらは普通のバレンタインものじゃなくて、何やらマヌケな話ではあるけど。
 それから「ジャンジャンバリバリ」(石山東吉)も……なんていうのは当然ウソで、こちらは独自の世界を突っ走り、今週が最終回。なんだかしょうもない終わり方だが、これはこれで味があって俺は好きだ。


2/4(水)……今日動く京極

 ようやく今回の号の仕事も終わりが見えてきた。最近、仕事なんぞにかまけていたせいで日記以外の更新ができず忸怩たる思いがあったのだが、この週末あたりからほかのコンテンツにも手を入れられるようになると思う。
 今日は角川書店から発売された、季刊「怪」の第零号、第壱号を購入した。水木しげるや荒俣宏、京極夏彦といった濃い面々が集まって作られた妖怪についてのムックだ。俺は京極夏彦が目当て。まだ読んでないけど、パラパラとめくってみるに多田克己も寄稿している。たしか、この人はエロ漫画家のDAPHNIAと同一人物だったはず。DAPHNIAはフリルのついた服を着たお人形のようなお嬢さまを描くのに異常なまでの執着を持っている漫画家で、その独特の作風を俺は非常に気に入っている。興味のある人は「瞳水晶」「緋色の月」(ともに一水社)という単行本が出ているので、機会があったらどうぞ。
 あと、前から買おう買おうと思っていた「犬神」(外薗昌也)を1〜3巻揃いで買ってくる。今日は読めなかったが週末あたりにでも読もう。

【雑誌】ビッグコミック 3/2増刊号 小学館
 いけだたかしが目当てで購入。今回は崩壊しかけの夫婦仲を必死につなぎとめようとしている、その夫婦の娘の話。タイトルは「自転車に乗って」。読んでみたが、うーん、そんなに面白くないというかまあごく普通の出来。この人はデビュー当時のほうが良かったような気がする。時間が経つにつれて高橋しんに絵が似てきているような。
 それよりも三島たけし「Before After」のほうが収穫。三島たけしは「ツレちゃんのゆううつ」の人だ。独特のなめらかな描線は健在。今回は仔犬との出会いを通した少年の成長を描いた物語。なかなか面白かった。
 あとは岡崎二郎の「NEKO2」。今月には単行本も出るようだし。島本和彦は「卓球社長」という社長と窓際系の社員の、卓球を通した人生を例によって大げさに描いた作品。今回もイマイチ大人しい。島本和彦はもっと好き勝手やってほしいところ。なお、次回の増刊号は4月30日発売予定。

【雑誌】少年サンデー 2/18 No.10 小学館
 長野五輪応援漫画「木村公宣物語」(画:田中モトユキ+取材・構成:田中康雄)は絵がやけに曽田正人に似ているような気がするけど、アシスタントだろうか? どうでもいいことだが。「からくりサーカス」(藤田和日郎)は勝がしっかり成長していて頼もしい。しろがねのボケも良し。「デビデビ」(三好雄己)は先週から出てきた猫耳&語尾「〜ニャ」というあまりといえばあまりにもベタベタな新キャラクターが、各地でマイブーム&呆れのビッグウェーブを呼んでいるようだが、前からベタベタなノリだっただけにこれはこれで爽快でさえある。俺にとってはどうでもいい漫画だけど、このままベタベタな路線を一直線に進んでくれるとさらに好ましい。「俺たちのフィールド」(村枝賢一)はW杯決定。和也もさらに一皮むけた。そんでもって、W杯本大会予選リーグはいきなりダミアンのいるアルゼンチンとの対戦になるわけだ。

【雑誌】少年マガジン 2/18 No.10 講談社
「はじめの一歩」(森川ジョージ)は今週も迫力がある。世界チャンピオン、ブライアン・ホークがかっこいい。普通あんな格好でパンチは打てないよな。漫画だからっていうのはもちろんあるけど、描写がきっちりしているからああいった非常識なパンチにも説得力がある。それから今週は「新・コータローまかりとおる」(蛭田達也)が休載。


2/3(火)……エロスだぴょん

 最近、またしてもエロ漫画に対する規制が強まりつつあるらしい。今のところ肌で実感できるほどではないのだが、そのうちジワジワきいてくるような気がする。で、こういう規制のときにいつも思うのだが、都議会や県議会などの議員ってもっとマジメに選んだほうがいいってことだ。都道府県の議会って、条例など俺たちの生活に直接関わってくるような法律を作れてしまう場所だ。あの「買春規制条例」といい、思った以上にその影響力はデカい。
 そういった影響力のデカい法案を決めてしまえる議員を、俺を含めてかなりいい加減に選んでいる人って多いと思う。そもそも選挙に行かないって人も多いだろう。でも考えてみれば、エロ漫画規制の条例とかって選挙のときには争点にならない。一度でいいから、エロに対する規制も争点の一つにして選挙活動してくれないもんかねえ。

【雑誌】モーニング 2/12 No.09 講談社
 約1週間遅れで読んだ。最近の「蒼天航路」(王欣太+原案:李學仁)は非常にかっこいい。劉備も曹操もすごくいい。大げさな描写がそれを支えている。「えの素」(榎本俊二)はなんともリズミカルでムチャクチャな展開。やっぱり面白い。今号の「魅惑のトップス」は「ナイショのひみこさん」(魚戸おさむ)。この漫画、脂っこいんだけどほのぼのとしていて、そのうえノリが妙でけっこう好きだったりする。ナイショぴょん。「ヨリが跳ぶ」(ヒラマツ・ミノル)もよかった。ヒロコと鳴海蘭という、天然な人たちの出会いがいい味出している。それにしても鳴海蘭のヅカファッションはステキだ。

【雑誌】漫画ホットミルク 98年3月号 コアマガジン
 今号からリニューアル。今までのA5中とじから、今流行りのB5平とじに。ラインナップは相変わらず一線級。ただ、読んでてあんまりワクワクしない。リニューアルされた感じがほとんどしないのだ。描いている人たちにあんまり変化がないから当然ではあるのだが、どの作家もそこそこのもの、点数をつけるなら70〜80点くらいの作品しか描いていない感じがする。ハイクオリティではあってもそれほど面白くない。ハズレがない代わりに大当たりもない。
 こういう傾向はリニューアル前から変わらず、今月号を見た限りでは「今までのをただ大きくしただけ」って感じがしてしまう。俺としてはA5中とじのほうが、なんとなく凝縮感があって好きだった。ホットミルクはよくも悪くも美少女漫画雑誌の中では「お高くとまっている」感があった。でもこれだと、なんだかほかの雑誌と変わらない感じがする。この雑誌はいい意味で青臭くあってほしいのだが。
 そんな中で面白かったのはすえひろがり「冬の光」、森永みるく「電波ブギ」、田沼雄一郎「SEASON」といったところ。すえひろがりはお得意の羞恥プレイ。俺は羞恥系・露出系はけっこう好きなのだ。森永みるくはやっぱりうまいな。田沼雄一郎は女の子が妊娠して、二人ぼっちの世界。子供の無力さを痛感させる、痛々しい展開。たかしたたかし「Midget〜ミゼット」も面白かった。少女がサディストの大佐のもとに売られて、殴る蹴るの暴力を食らい追い詰められていくという話。痛々しくていい。りえちゃん14歳は実用度を高める方向に向かっているようだが、あんまり成功していうようには思えない。
 あと、雑誌時評のコーナーでコミックジャンキーズVol.3が取り上げられていた。で、更科修一郎さんに「単行本レビュー新規参入のライター3人は美少女漫画について勉強が足りない感じ」というむねのことを書かれてしまう。うーん、バレている。とくにヤリ玉に上がっていたのは泊倫人という人なんだけど、俺もいつ叩かれるか分からない。もっと読みを強めなくては。

【雑誌】コミックドルフィン3月号 司書房
 まあ、そんなわけでエロ漫画も強化したいと思っているので本屋さんで立ち読みはいつもしている。で、目につく雑誌は買うようにしているのだが、だいたい目につくのはいつも同じような雑誌になってしまう。そんなわけで俺的にヒット率が高いのがドルフィン等、司書房系だ。
 ドルフィンはわりと実用主義というか、ハードにエロをやっている作品が多い。そのぶんストーリーはなく、「やるだけ漫画」が多いのも事実なのだが。でも、これだけ徹すればいっそ爽快でさえある。全般的に体液は多めで、乳は大きめ。ちんちんの本数も多めだ。
 巻頭カラーは米倉けんご「DOG STYLE」。絵がきれいで話もきっちり組み立てていて面白い。それでもやることはきっちりやっている。みやびつづるは体液バリバリのハード肉弾系。あまりにもあんまりな都合のいいストーリーだけど、まあそんなことうんぬんする漫画じゃないと思う。こういうのはやるだけでも別に構わないのだ。俺はこの人の漫画ってけっこう好き。
 そのほかマーシーラビット、MGジョー、じゃみんぐなどなどストレートにエロな漫画が多く、どれも実用性という視点で見れば高レベル。ライトなところでもむつきつとむ、井ノ本リカコといったところはなかなかうまくて目を惹く。MAROも描いているし、全般的に充実、コンセプトもしっかりしていい雑誌だと思う。ワニマガジン・上品系雑誌とは好対照。


2/2(月)……よんぱくでもいい、たくましく育ってほしい

 結局会社に4泊して、ようやく3日の朝に家にいったん帰れた。ライターさんから原稿が来るのを待っていた時間が長かったので、けっこう時間が余る。そんなわけでいろいろと下らないことをしていた。掲示板の移行もその一つ。今までCAMCAMというところから無料掲示板を借りていたのだが、サーバーが落ちて書き込みができなくなることが多いので、新たな掲示板に移行した。今回はT-Noteという無料配布されているCGIプログラムをおっことして来て、それをカスタマイズ。そして、俺の契約しているプロバイダはCGIを使えないので、職場の後輩のさいとう君が契約しているリムネットのスペースに置かせてもらった。新掲示板のURLはhttp://www.kt.rim.or.jp/~ken3/cgi-ohp/ohp.cgi?book=ohp。今まで掲示板に直接リンク張っていたりブックマークしていた人(あんまりいないとは思うけど)は、URLの修正をよろしくお願いします。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/16 No.9 小学館
「奈緒子」(作:坂田信弘+画:中原裕)が泣けた。奥田と雄介のわだかまり、そして和解については、じっくりと準備されていたネタだけに、泣ける。この作品は途中まで単行本を買ってて、しばらく買い忘れていたのだが、そのうち揃えたいところ。「RISING SUN」(坂本たけし)は漫画はどうってことないが、今回はW杯アジア地区最終予選の日本vs.韓国戦。やっぱりあの山口のループシュートは、あの予選を通じて日本代表のベストゴールだったと思う。流れも非常に美しいし、シュートの軌跡も実にかっこいい。
 第78回スピリッツ賞佳作の新人・前田治郎「プレゼント」は、誰が見ても松本大洋の影響バリバリ。話としてはけっこう読めるし、絵もうまいのだが、松本大洋に絵が似ているという時点でどうしてもそういう目で見られてしまいがちなので損だ。本当に最近、新人で松本大洋の影響を受けている人は多いなあ。

【雑誌】少年ジャンプ 2/16 No.10 集英社
「ろくでなしBLUES」の森田まさのりが新連載。タイトルは「ROOKIES」。まっすぐに生徒と向き合い、突き進む新米教師が主人公。それにしても、少年ジャンプは最近、「いじめ撃退」系路線が多いような気がする。「世紀末リーダー伝たけし!」とか。
「I''s」(桂正和)はやっぱりいい。桂正和は女の子描かせたら、漫画家の中でも有数のうまさだと思う。「きりん」(八神健)は今回で最終回。最後はきれいにまとめたけど、全編を通してあんまり盛り上がらなかった。八神健の素直な画風はけっこう好きなので、もっと頑張ってほしいところではある。「密・リターンズ」の前半なんかはすごくよかったんだけど。
 なお、少年ジャンプは今号から新連載攻勢をかけるらしい。今号の「ROOKIES」に続いて、次号では少年探偵モノ「少年Q」(作:円陣+画:しんがぎん)。「また、探偵モノか……」とか思った人もけっこういるとは思うけど、とりあえず評価は読んでみてからだ。予告は見る限りではなかなかきれいでいい感じの絵だった。
 さらにその第3弾はギャグ漫画で「河童レボリューション」(義山亭石鳥)。つぎはサッカーもの「ホイッスル!」(樋口大介)。そして第5弾は富樫義博「HUNTER×HUNTER」。これが楽しみ、って人もけっこう多いだろう。それにしてもラインナップは企画モノあり、ビッグネームありで、ジャンプも勝負をかけてきたな、って感じ。俺はジャンプは別にそれほど好きではないけど、こういう雑誌がバカバカ売れてくれるとそのおかげでメジャーでないものを世に出せるというのはある。小室哲哉が山ほどCDを売るおかげで、レコード会社にマイナーでヘンなものを作るだけの余裕ができる。そんなのと同じで漫画も引っ張ってくれるところが引っ張ってくれないとダメなのだ。それは漫画も同じこと。


2/1(日)……お泊まりの日々

 会社に3泊め突入。さすがに身体がベタベタしてきたので銭湯に行こうと思ったのだが、会社の近くの銭湯が休業。「ああ、これできれいな身体になれるのだ」とウキウキ気分で歩いていた俺は、一気に絶望のどん底に突き落とされたのであった……。
 昨日、2月購入予定のコミックスリストをアップしたが、永野のりこ「電波オデッセイ」2巻も出るらしいのでこちらも追加。

【単行本】「ラブレター」1巻 作:じんのひろあき+画:若狭たけし 小学館 版型:B6
 面白い。「習字」がテーマというのはなかなか新しい。パワフルに青春しているし、絵もどんどんうまくなっているし、最近のスピリッツ掲載作品としてはかなりの注目作品。連載は、このところちょっとパワーが落ちてきたかなーという気がしないでもないけど。

【単行本】「歓びの日々」2巻 六田登 小学館 版型:B6
 完結巻。1巻はとにかく暗くて、慄然とするような展開だったのだが、2巻はちょっとグチャグチャとした展開で1巻ほどの衝撃はない。2巻では殺人鬼のピーコがいい。「ICHIGO」の一期を思い出すようなキャラクターだ。

【トップページ】  【過去日記トップページ】

ご意見・ご感想は→tshibata@picnic.to