◆ 1998年11月上旬 ◆

11/1〜10
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11/10(火)……強化仕様にないッ!

【雑誌】ヤングチャンピオン 11/24 No.23 秋田書店 B5中
 岡田和人「教科書にないッ!」。なかなか実家から戻ってこない綾に対して、大楽の気持ちは複雑。ちょっとHなシーンが非常にソソる。しょっちゅう谷間が覗く綾の乳がプリンプリンでいい感じなのである。神原則夫「おケツをなめる人なめない人」は、リストラで会社のウォシュレットに異動させられた営業マンと、彼の元上司で今はウォシュレットにベストをつくす男のお話。この人の作品は絵も話も地味なのだが、馬鹿馬鹿しい展開をあくまでも実直に淡々と描ききっていて、妙にほのぼのとしたえもいわれぬ余韻がある。富沢ひとし「エイリアン9」。人を襲わない植物型巨大エイリアンが学校にやってくる。といっても別に危害を加えるわけでもなく、日がな一日ぼーっとしているだけだ。そのエイリアンの来襲(っていっても襲ってきたわけではないが)になぜかかすみの心はトキめく。このエイリアンの正体は?次は何が起こるのか?……というところで以下次号。目が離せない展開。ヤンジャン系でときどき登場していた戸田泰成の「フェティシスト」は今号と次号での前後編。ある日突然対人恐怖症になった営業マンが、精神医学の権威にもらった謎の「実」とカウンセリングのせいか、いきなり脚に対するフェティシズムに目覚めてしまう。日を追うごとにそのフェティシズムは急速度でエスカレートしていき、その嗜好を恋人にまで強要するようになる、というところで前編終了。ぶっとくて骨張ったダイナミックな線、黒々とした画面がかなり過剰で濃厚な雰囲気を作り出している。この分だと後編も期待できそうだがさていかに。

【単行本】「水の中の月」 土田世紀 講談社 B6
 ヤングマガジンエグザクタ、Uppersに連載された作品。北国の漁師町で育った賢治(ケンズ)、与一(ヨイヂ)、清(キヨス)の幼馴染みの男3人の青春物語。物語時点で3人は高校生になっている。子供のころから芯が強かった3人のリーダー格ケンズは、親の残した借金を抱えて新聞配達をしながら、それでも自分を曲げることなく暮らしている。キヨスはすっかりグレてしまい、高校の番長格になり、末は極道を目指している。軽薄なヨイヂは、不良に憧れキヨスにいいように利用されながらも、どうにもワルになりきれず中途半端な青春を送る。極道というバックに頼るキヨスがヨイヂをそちらの世界に引き込もうとするのを、ケンズが押しとどめる。喧嘩でも精神面でもケンズより高みに立てないキヨスは、ケンズを逆恨みする。そしてどちらつかずで両方の間の世界をフラフラとするヨイヂ。この構図を中心として彼らの青春は織り成されていく。
 土田世紀のキレたギャグには素晴らしいものがあるが、この作品はガチンコの青春モノであり、終始シリアスに話は進む。青臭くて不器用な青春模様を骨太に描いていて、読みごたえは抜群だ。キャラクターたちの垢抜けない方言も、作品の泥臭さを増すのに一役買っている。強がりはしても羽ばたくことはできない、そんな若さゆえの迷走がむしろ清々しくさえある。なんか彼らと一緒に青春を送っているような、そんな生の手触りを感じる作品。

【単行本】「レンジで5分」 藤野美奈子 メディアファクトリー B6
「友子の場合」の藤野美奈子の単行本である。まんがくらぶ(竹書房)で連載された、爺、婆、夫、妻、長男、長男の嫁、長女、次女の8人家族を舞台にしたホームコメディシリーズを中心に収録している。まるでサザエさん一家のような家族を舞台にした、小市民的なみみっちさにあふれた作品。まあ要するに「庶民のたくましさ」とやらを「いきいきと描写」しているわけだが、藤野美奈子らしい重箱の隅をつつきつつ嫌味にならないギャグが楽しい。この家族たちはそれぞれに思い込みが激しいわけだが、はたから見ると本当に取るに足らないようなことに思いを巡らしていて、それが巡り巡って行動をエスカレートさせていく。オチがむちゃくちゃ面白いかというと、別にそんなでもないのだが、そこに至るまでの細かい思考の過程のみみっちさ、そそっかしさ、ぼけなすさ、そして底抜けのおめでたさが楽しい。

【単行本】「東洋妖人伝 用神坊」6巻 いとう杏六 秋田書店 新書判
 この人の絵柄はかなり過剰で脂っこい。キャラクターの表情も大げさで、濃厚である。でも画面構成がすっきりしていて抜くべきところはしっかりと抜いており、ストーリー運びが軽妙なこともあって、絵の濃厚さが嫌味になっていないのは大きな武器だ。基本的には怪しい占師の用神坊が、毎回訪れる客の依頼に応え事件を鮮やかに解決するというパターンだが、こういうパターンの漫画にありがちな説教臭さはない。依頼者の要求と用神坊の欲望がクロスするポイントで、毎回スパッとオチをつける切れ味の鋭さがいい。また、物語展開のテンポとノリがいいのも面白さの一因。アクの強い絵柄だが、意外と手堅く読ませる作品。


11/9(月)……金星+木星=キンモクセイ

 昨日の日記で「言葉が煮詰まり気味」みたいなことを書いたわけだが、毎日のように書いていると表現がどうしてもワンパターンになってきてしまう。ときどき「なんでもいいから面白いので読め!」みたいなことを書きたくなっちゃうこともあるし、実際似たようなことをやっていたりするわけだが、そういう書き方をして気にも留めないようになったら最悪だな、と思う。こうやって漫画についていろいろ書いているのは自分が後で検索するとき便利という意味合いも(すごく)大きいのだが、他人に公開する限りは伝わる言葉で書かないといかん。
 Webなんぞでも「これいいからとにかく読んでみて!」とだけ書いて作品をオススメしているところがよくある(ちなみに特定のサイトのことを頭に思い浮かべているわけではない)。「甘ぇ!そんなんで人が読んでくれたら誰も苦労はせん!」って感じだし、最初っから言葉で表現することから逃げているように思えて感心はしないが、まあ他人がやってることなんで別にとやかくいうつもりはない。ただ、そういうこと書いている人は。その作品がマイナーなままだった場合「私がこんなに勧めているのになんでみんな読まないのだー?」みたいなことを言い出しがち。「読んでみて!」の段階までは別にどうでもいいんだけど、「なんでみんな読まないの?」というところまでくると「ふざけんな」って感じがしまくりだ。意見をいわない人まで責められているみたいだし、第一その程度のオススメで人に影響を与えられると思っている魂胆が甘すぎる。「とにかくいいんだから」などといわれてホイホイなんでもかんでも読むような奴ばかりだったら、きっと今ごろ新興宗教は大繁盛だ。面白さの説明もせずに自分のオススメを他人に読んでもらえるほど、自分が影響力のある人間だとでも思っているのだったら、その人は思い上がっているかよっぽどの有名人かどっちかだろう。面白いってのは理屈じゃないのかもしれない。だけど、人に伝えようと思ったら人に伝わるような伝達手段を用いなければならない。その手段として文章を選んだのなら、自分がそれをどう思ったかを伝えるだけの腕が必要になることは肝に命じておかなくてはならない。
 で、毎日やっていると自分の文章に対して、そこらへんでどうも不満な点が出てきてしまう。「いつものとおり強烈で面白い」なんて書いたって、どこがどう強烈なのか、どういつもどおりなのか、どのような種類の面白さなのか、いったい誰に理解してもらえるだろうか。そして、実際自分の文章でそんな感じのが多かったりするのだ。週刊誌なんかだととくに。自分で読み返してみて「唾棄すべき駄文である」などと思ったりもするのだが、なかなか文章の腕がついていかない。もっともっと具体性を持った、力ある言葉を俺は身につけなければならん。もちろん忙しくて疲れてていい言葉が生み出せない日もいっぱいある、っていうかいい言葉を生み出せている日はあんまりない。でも、あがけるだけあがくのが男気ってもんだ(ちなみに俺は「男気」という言葉がかなり好きだ)。
 などと反省しているかのようなことを書いて、いかにも「俺は謙虚でございますよ」みたいなツラでいけしゃあしゃあとしている薄汚い俺。まさに蛆虫野郎といえよう。唾棄すべし!そしてそんな俺でも俺は愛しちゃっているんである。ああ、それでもいつか、いつかきっと、かっこいい自分になりたいなあ!

【雑誌】別冊ヤングジャンプ 第5弾 集英社 B5平
 590ページとかなり分厚い。でも読むところ(というか面白いところ。俺は基本的に漫画雑誌の場合、載っている漫画にはほとんど目を通すので)は俺にとってはあんまり多くなかった……というより全然なかった。唯一ともいえるのが武富智「若奥様のオナ日記」。別に子供も欲しくないしお金もあるからいいかなーという適当な理由で59歳のじいちゃんと結婚した若奥様21歳が、浮気の相手だった素朴な中学生美少年をオカズに日がな毎日オナニーして暮らす、というお話である。といってもオナニーに主眼を置いたHな話ってわけではない。むしろ若奥様と少年の心理に重点が置かれており、淡白な描線とあいまっていやらしくはないのだ。この作品の場合は、まず絵がいい。太くて均一な描線で脂っ気の抜けたオシャレな画風である。その中で若奥様の伏せられた睫毛に色っぽさがある。なんとなくストーリー的にも絵的にも、CUTiE comicが似合いそうだ。

【雑誌】ヤングマガジン 11/23 No.49 講談社 B5中
 ハロルド作石「ストッパー毒島」は第一部完結まであと2回で最高潮。最後は毒島兄弟の一騎打ち。それにしてもこの作品は、ロッテの選手といえどもしっかりと描写してあって、プロ野球ファンにはたまらないところがある。福浦なんぞまで省略しないあたりがうれしい。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。今回は鉄郎の誕生日で、ドーテーズの面々が彼にホテトルをプレゼントする。しかし、そのホテトルで来た人が子連れの雑巾くさいおばちゃんで……という話。このオドオドとした情けない展開と、ラストの思いもよらないオチ。すげー面白え。鉄郎が以前買わされた冷蔵庫シグマもきっちり登場していたり、細かい部分での神経も行き届いている。小田原ドラゴンの描く漫画には、何気にしっかりとした世界が築かれている。
 城倉浩司(コージィ城倉)「グラス・ブレス」は2回目。プロ野球の貧乏球団にドラフト1位指名された主人公・宇佐美樹の契約条件は実にハッタリの利いたもの。こうやって自分のペースに強引に読者を巻き込んでくるあたりが彼の持ち味である。かたぎりわかな「しすたあモルヒネ」。だんだん調子が出てきた。今回も妹と姉がふと目を合わし、うんとうなずきあう。そして叫ぶ。「木星!!」と。この分裂症かとも思える脈絡のなさがいいのだ。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。ゲンが車の運転を教えてやるといって、ケンジをいじめる。それにしてもゲンさん危なすぎる。このむさくるしい風体、理不尽な言動、脈絡もなく爆発する怒り。これじゃあほとんどキチガイだ。いやあスゲエスゲエ。ものすごく濃い。今のヤンマガでは小田原ドラゴン「おやすみなさい。」と並ぶ俺注目作品。読め!とはいわない。すごくアクが強いし。好きになれそうな人だけどうぞ。ちばてつや大賞作、松本剛「彼女は笑う」は今回後編。極限状況で閉じ込められた男5人と女1人の顛末は後味の悪いものに。しかし、事件から数年経って届いた彼女からの手紙によって、その後味の悪さは救われる。画風もストーリーもかなり泥臭いが、小技に逃げずに訴えかけて来ようとする真摯さを感じる。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 11/23 No.49 小学館 B5中
 浦沢直樹「Happy!」は海野幸がウィンブルドン決勝進出。ここのところのテニスの試合が続く展開はなかなか面白いと思う。マスコミの反応の描写とかは大げさだと思うけど。ここまでは試合のシーンで一気に1セットや2セット省略してしまうことが多かったので、決勝戦はじっくり最高峰のプレーを描写してもらいたい。作:小林信也+画:秋重学「宙舞」。今回は舞子と宙樹に肩入れしてきた陽助さんが夢から背を向けようとする宙樹をぶっ飛ばす。この人にもなかなか複雑な事情があるようだ。わりと真っ正面から青春していて、飛び火するような熱を持っている作品。村上かつら「いごこちのいい場所」は、主人公に早くも失恋というか不戦敗の気配。なんとなくぎこちなさを感じさせる、不器用な生きっぷりが見ていてもどかしくも楽しい。作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」は、キャプテン本松をほほえみを浮かべて待つ雄介の姿がすごくかっこいい〜とシビれていたら、またしても力づくな盛り上げを仕掛けてきた。どのランナーも一筋縄ではゴールさせてもらえないらしい。
 高橋しん「いいひと。」は次号最終回。この作品、実はあんまり好きでないので、日記の中でもあまり触れていない。俺としては主人公のゆーじが「いいひと」であるというだけで、とくに頑張っているわけでもないのに偉そうな口を叩くのがどうもいやだった。ていうか、なんか説教するべきでない人に説教させていたようなところがあんまり好きじゃなかったのだ。あとネームが多いのも気になった。でも絵は好きだし、ストーリーもときどき面白く感じてはいた。好きでない作品は無視が基本姿勢である俺だが、この作品には愛憎半ばするところがあって、つい読んでしまいはする。それだけに上記のようなことが気になってしまう。次はできればビジネスのような厳しい世界ではなく、もっとほんわかしたシチュエーションで言葉による説教なんかしない作品を描いてくれるとうれしいなーと思うのだ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 11/23 No.50 集英社 B5平
 富樫義博「HUNTER×HUNTER」は、ハンター最終試験の方式が発表される。負け残り式のトーナメントで、さらに勝利条件が「相手にまいったといわす」であるという、かなりひねくれた方式。枠組みからしてすでに仕掛けが施されていて、今後の勝負の駆け引きを予感させる。楽しみだ。樋口大輔「ホイッスル!」はいつ終わるかと思っていたら、ここのところけっこう盛り返し面白くなりつつある。ど根性サッカー少年が、自ら身をもって挑戦し続ける姿勢を見せ続け、チームもそれに乗せられていく。アクのない、正統派少年スポ根漫画らしい爽やかな持ち味が出てきた。

【単行本】「イケてる2人」4巻 佐野タカシ 少年画報社 B6
 オタク殺しである。とろけるように甘くかわいい絵柄で、ちょっぴりH。でも後味はどこか爽やかなコメディタッチなもんだから、読んでいる側も安心して即メロメロになれる。直情径行な主人公がかわいい女の子にアタックしまくり、向こうもツンとしつつもこっちを好いてくれている。そのうえHな目にもいろいろ遭う。男として著しくうらやましいのだ。こういう心地のいいウハウハな目に遭いてえ!という状況を疑似体験させてくれるところが、こちらの弱いところをビシバシつきまくりなのである。という心情的な側面だけでなく、絵も文句なくかわいい。読んでいるとトロトロにとろけさせられていく自分が実感でき、それさえもまた気持ちいい。
 帯の文句によれば99年2月からTVアニメ化されるとのこと。TBS系「ワンダフル」内(毎週月曜〜木曜・PM11:55〜)にて放映されるらしい。

【単行本】「恋人プレイ」1巻 玉置勉強 講談社 B6
 ヤンマガUppers連載作品。俺としては今までの玉置勉強作品の中で一番好きだ。大学の同じゼミに属する男女が、SMクラブでひょっこり出会い、それまでは口をきいたこともなかったのに次第に恋に堕ちていく。ほとんど描かれていない背景が、まるでコンクリ打ちっぱなしの地下室のような薄暗くひんやりとしたがらんどうの空間を思い起こさせる。その薄暗くて、どこか暖かさもあるような空間の中でダラダラと遅々としたペースで物語が進んでいく。強烈な方向性を指し示すでもなく激しく主張するでもない。キャラクターたちの表情も、何か表に出しているのとは別の感情をどこかに隠しているかのようにも見える。玉置勉強らしく、つや消しな感じの抑えたトーンの物語。
 玉置勉強は長編のほうが向いているのではないかと前から思っていたが、長編だと一話の中で結論をつけようとして急ぐ必要がなく、遅々としたペースのままずーっと行けるという点が大きいのではないだろうか。結論が出ないときは出ないままお話を終わらせちゃっても、それはそれで構わないタイプの人だと思う。もちろんこの作品もこれからの展開次第でダメになる可能性はもちろんあるのだが、とりあえずここまでの時点では十分楽しませてもらっている。


11/8(日)……シャニム2号

 休みの日はたいてい夕方まで寝てしまうのだが、今日は昼の12時に起きることができた。いつもは16時くらいまで寝ているため(昨日は18時まで寝ていた)、今日はいつもより4時間ほど時間が余分に使える。なんかスゲエ得した気分。スゲエ安上がりな感じでもある。そんな時間を利用して久しぶりにオスマンも更新。最近は忙しくて精神的に疲弊気味なせいか、文章を書くときに言葉が煮詰まっている感じもする。でも読み続けることが生きること、書き続けることが生きること。などと思って一所懸命やっていれば、なんかそのうちいいことがありそうな気がしないでもないのだ!

【雑誌】月刊少年マガジン 12月号 講談社 B5平
 少年の心を失いまくりの汚れた俺様にはメジャー系月刊少年誌はついていけないところがある、っていうかあんまし面白くねえ。前川たけし「鉄拳チンミ」は手から光線を出さない拳法漫画として、手堅く作風を守っている。アクションシーンも地に足がついていて、見ていて気持ちがいい。間部正志「SPEED KING」は走っているシーンの、爆発するような力強さが痛快。「ノーホシTHEルーザー」みたいなキワモノだけでなく、スポーツ漫画も描けるのだなあと感心。

【雑誌】FEEL YOUNG 12月号 祥伝社 B5平
 三原ミツカズ「ハッピー・ファミリー」が復活巻頭カラー。三角関係家族の間に、なるとの同級生のモテモテ男が割り込んできて……という展開。「DOLL」とはちと違った味のドタバタラブコメ。これはこれで楽しい。安野モヨコ「ハッピー・マニア」。運命の人かと思われた男を見つけてウキウキなシゲタだが、彼は実はアブナイ奴であるという情報をもたらされ暗雲。開き直った豪快なラブっぷりが面白い。松井雪子「ラブ2ルールブック」は、ボーイズクラブに行くことを夢見てせっせと働く、地味なOLさんのお話。最後にみみっちいオチをつけるあたりが松井雪子らしい、枯れたうまさを感じる。森園みるく「FETUS−人間未満−」は、自分の感情を実感できない女・芙美子と、喜怒哀楽をムチャクチャ顔に出す彼女の親友の物語。森園みるくらしく、厚化粧でドキツく濃い仕上がり。むせ返るような女の情念が濃厚で面白かった。

【雑誌】花とゆめ 11/20 No.23 白泉社 B5平
 11月16日発売の花とゆめステップ増刊に、高尾滋「人形芝居」が50ページ掲載されるようなので購入決定。羅川真里茂「しゃにむにGO」はやけに正統派のテニス漫画。テニスのテクニカルな部分の描写がもっとあるとさらに好みだが、きちんとスポーツしていて面白くなってきた。

【単行本】「少年が夜になるころ」 鈴木翁二 ふゅーじょんぷろだくと B6変型
 横幅がB6ジャストで、縦の長さがB6より5mmほど長い判型。単行本未収録作品を3編含む。記憶の彼方に薄暗く、ぼんやりとした少年の日々の幻想を描き出した短編集。もういかにも、昔のガロという感じでであるが、8編のうちガロ収録作品は3編のみ。ジメジメとした畳敷きのアパートの匂いがムッとくる。どこにでもありそうでどこでもない場所、誰もが体験していそうでいつでもない時へのノスタルジアを感じる。俺がこういう生活や風景を体験したわけでもないのに。でもまあ、1980年代の東京で少年時代を送った俺には実感できないし、理解できないような種類の懐かしさであることもたしか。ただし、俺の中の心を空想の世界に飛ばす魂は、ここに描かれている少年たちときっと通ずるものがあるに違いないのだ。


11/7(土)……ざわいま

【雑誌】コミックアルファ 11/22 No.16 メディアファクトリー B5中
 いやあ、なんだかどうにもつまんねえや、この雑誌。山川直人が登場したときのみ購入。山川直人の今回の「写真屋さん」は、ふらりと街を訪れる流しの写真屋さんのお話。写真道具を抱えて旅をする彼が来ると、街の人は皆写真を撮ってもらいたがる。彼は終始まったく口をきかず、写真だけが彼と街の人をつなぐ……というお話。まあまあの出来かな。

【雑誌】YOUNG YOU 12月号 集英社 B5平
 岩館真理子と山下和美が載っていないとちょっと寂しいなーって感じ。坂井久仁絵は載っているのだが、エッセイもののショートなのでちともの足りない。今号から武内直子「武内直子姫の社会復帰ぱーんち」が新連載。これまで休業していた武内直子が社会復帰を目指すエッセイ漫画らしい。そこかしこから漂ってくる浮き世離れした増長の香りがなかなか心地よかったりもする。谷地恵美子「明日の王様」。女演出家である主人公が成長していっているさまがなかなか頼もしく、楽しく読める作品。恋愛のウエートがあんまり大きすぎないのもいいところかな。榛野なな恵「Papa told me」。いつものよーな調子。それにしても知世って朝っぱらから「ジャムの選択の悩みなんて世の中のいろんな悩みの中で一番ラブリーなやつかも」「で『イエローピーチミックス』にしました!」などといっているのだが、こんな女の子が実際の世界にいたら、あんまりにも浮き世離れしててついていけないだろうなーとか思った。

【単行本】「ザ・ワールド・イズ・マイン」6巻 新井英樹 小学館 B6
 総理大臣ユリカンが今回の主役といってもいい。テレビの討論番組でまさに独壇場。この漫画は「宮本から君へ」のころからの特徴であった、暑苦しい画風がプラス方向に出ているし、セリフがいちいち力強くキマっていてかっこいい。

【単行本】「デカスロン」19巻 山田芳裕 小学館 B6
 アラカンが倒れ、円盤投げに突入。万吉の3回転半円盤投げのシーンは力強くて、カタルシスがあった。世界選手権も6種目め。山田芳裕には早いとこ決着をつけて次の作品を描いてほしいところでもある。

【単行本】「球魂」1巻 岩田やすてる 小学館 B6
「MAD JAM」の岩田康照(といっても「MAD JAM」はあんまり知ってる人がいないかも)が「岩田やすてる」と名前を変えてスタートした、熱血卓球漫画。さびれた温泉街の高校が、卓球に町の復興をかける。で、ドイツに留学していた明彦(実はサッカー留学)と、卓球の天才児・スグルを中心として強豪校打倒を目指すという話。岩田やすてるの作風はなかなかに暑苦しくうっとうしい。それだけにキャラクターたちもそれぞれに濃く、とくに熱血ヘヴィメタ漫画であった「MAD JAM」は邪悪で馬鹿馬鹿しくて良かった。この作品は爽やかになりそうな気配だが、やはり期待はしている。


11/6(金)……生液ッ!

 ロッキング・オンのムックっていうかなんていうかな感じの本、「H」を買ってみた。縦がA4、横がA4よりちょっと長めという判型で120ページちょい。作品はほとんど載っていなくてインタビューなどの特集本。松本大洋の描き下ろし新作、っていうかストーリーのあるイラストって感じの作品が掲載されている。岡崎京子とか冬野さほとか、南Q太とか、バリバリにスカしたメンツでなんかもういかにもな感じ。あまりのコジャレっぷりに少々辟易もする。俺は作家さんへのインタビューって実はほとんど興味がないのだが、この本は「おやすみなさい。」の小田原ドラゴンへのインタビューをやっているので、そこは注目って感じ。小田原ドラゴンの本棚は、根本敬とか花輪和一、西岸良平、松本大洋、永井豪といった人たちの漫画が詰まっていて、なんかウチの兄弟の本棚みたい。

【雑誌】ヤングヒップ 12月号 ワニマガジン B5中
 井荻寿一「霊能探偵ミコ」。ミコさんが色っぽい!色白な肌がぽうっと染まっている感じがもうたまらん。目の描き方、薄赤い唇の感じとかが非常にいいのだ。そそりまくり。それから良かったのが、DEME「ピチピチのスケスケな…」。ちょっとHな女の子が近所のお姉ちゃんにそそのかされて、スケスケの水着でプールで身体を周りに見せまくりHな気持ちになるという露出モノ。露出モノはやっぱり好きなのだよう。SABE「みんなのお兄さん」。NHK教育系のお兄さんやお姉さんの、SEXしまくりな裏側を描いた作品。お兄さんが裏側では人非人な感じが、SABEらしく底意地悪くて面白い。

【雑誌】コミックライズ 12月号 メディアックス B5中
 EB110SS「死神のなんのこれしき!」がいい。この人の描くキャラクターはかえるっぽい平べったい顔つきなのだが、表情豊かで見ていてなごむ。美人タイプじゃないんだけど、なんかほっとするかわいさがある。朔ユキ蔵「夢のような」は対照的にシャープな描線で華やかな美しさ。かかし朝浩「彼女(あのおんな)」はダークな雰囲気の漂う、ホラーっぽい作品。この人はセンス的にはわりと少年誌っぽい(月刊少年誌あたりかな?)ところがあるので、美少女漫画界だと大向こうは張りにくいけどお話の展開力とかはある人だと思う。すがわらくにゆき「おれさま!ギ☆ライズ!!」。なんかすがわらくにゆきが、少年ジャンプで1ページコーナーのカットを描くようになるらしい。大出世なりねー。といっても年末くらいからの仕事らしいので、掲載はしばらく後になると思われる。

【雑誌】Namaikiッ! VOL.11 竹書房 B5中
 池永なをみが新連載「ああ犬道」を開始していたので購入しまくってみた。内容は冴えないイジメられっこの男が、学園の女王様とでもいうべきお嬢さまに「前に飼っていた犬に似ているから」という理由で屋敷に連れ込まれる。で、犬としての生活が始まる……というお話の模様。6ページ枠のショートギャグ。唇がもったり厚ぼったくて、妙にフェロモンのぷんぷんした女の子のキャラクターが特徴的。ヤンマガ系列で描いていた作品と同じく、少しHっぽくてほのぼのとした下らなさがわりと楽しい。ほかのこの雑誌では中田ゆみ「難々(むずむず)」が気になる。この人の絵はちょっとラフな感じだけど、全体に温かみのある柔らかい描線が気持ちいい。

【単行本】「日直番長」4巻 タイム涼介 講談社 A5
 最終巻だ。なんのために読むかは決まっている。古い物語を終わらせるためじゃない。新しい物語を始めるためだ。
 4巻の途中までは最初のころの抜群のキレを持つ詩的な言葉が影を潜めていたが、最終話の始まりのシーンなんかは非常に良かった。味のあるセリフと、無軌道でちょっぴり下品、そして各所にちりばめられた細かいギャグがうれしい作品だった。一見頼りなさげな線で、よくあるヘタウマ系かなーと思って見逃してしまいがちな作品ではあるが、間の取り方、セリフのセンスが絶妙で非常に面白かった。それから3巻収録の「イスのアイツ」のような、しみじみとしたいい話も描けるだけの力を持っている。最初のほうの巻がとくにオススメ。っていうか4巻しかねえんだから全部読めというか。いや、読まなくてもいいけどさ。

【単行本】「闘破蛇烈伝DEI48」1巻 前川かずお 講談社 B6
 エグザクタでやってたころの奴のほうが、凝縮度は高いものの、力が入りまくった絵柄でとんでもなくマヌケなことをやる確信犯的な作風は健在。毎回、馬鹿馬鹿しいエピソード、シーンが1回はあって笑える。キワモノ格闘漫画である。表紙からして、主人公のバックがピンクのスケスケの羽衣着てへんなポーズで踊っている女の人とかだもんなあ。かなりバカチンで面白い。

【単行本】「Alice Brand」 町田ひらく コアマガジン A5
 コアマガジンからは初の作品集。今は眠いので明日になったら、町田ひらくページで詳しくレポートする予定。今回は、ヒロインの少女が外国人(っていうか日本人でない)の作品を集めている。町田ひらくの描く女の子はもともとお人形のような素っ気なさを持っているが、外国人ということで余計にその硬質な美しさが引き立つ。異国情緒を感じる。インド・ヨーロッパ語族とかそんな感じ。それにしても表紙が上品。女の子でもわりと堂々と買えるんじゃなかろうか。っていうか恥ずかしがって買ってくれても、それはそれでまた趣があってうれしいぞ。


11/5(木)……爆裂迷走刃牙と魔道

 またしても会社にお泊まり。本日発売の町田ひらく「Alice Brand」などはおうちに置いてきたので、今日は読めず。この週末は多少ヒマになりそうなんで、いろいろやりたいっていうか。それはそうと、おいしいさんまが食べたいなあ。脂のたっぷり乗った奴に塩を振ってよう。こう炭火であぶってよう。じうじういわせてよう。

【雑誌】ヤングサンデー 11/19 No.49 小学館 B5中
 山口かつみ「オーバーレブ!」。ノーマルの狼との対決は佳境へ。俺はクルマって全然分からないんだけど、この漫画はわりと面白いと思う。ちょいとうわっついたところもあるけど、それもまた味。太陽星太郎「今日のだいちゃん」。今回は妙にいやらしくてよかった。太陽星太郎って線が太くてデフォルメの利きまくった絵柄だけど、女体の描き方はわりといやらしい。竹下堅次朗「カケル」はなんだかやけに罪がなく微笑ましいオチだった。この人の描く女の子は目がクリクリしていて、なかなか鮮烈なかわいさ、きれいさがあっていい。「Purple」のころからそれは変わらない。目つきとか首筋のラインとかも色っぽくていいねえ。新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」。ヒグマドンが猛威を振るいまくり。バッキバキに破壊しまくりである。次号以降の激闘が楽しみ。

【雑誌】モーニング 11/19 No.49 講談社 B5中
 井上雄彦「バガボンド」。連載10回目だが、もうすっかり安定どころになり、モーニングの看板という風情。しっかりとした作画と迫力のあるアクション。いつもかっちょよく面白い。キャラクターたちもそれぞれに個性的でいい味を持っている。木葉功一「キリコ」は遊佐の前にキリコ再登場。根性が座ってきた遊佐との対決が楽しみ。山本おさむ「威風堂々」は地味なヤクザもの。着実な話運びがなかなかで、コンスタントに読める。今に始まったことじゃないが、雑誌を通して見ると今回は榎本俊二「えの素」が休みなこともあって、なんだか全体にイキが悪い。それにしても榎本俊二、作者取材って何を取材するんだー。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 11/19 No.50 秋田書店 B5平
 ここのところのチャンピオンはやっぱり板垣恵介「グラップラー刃牙」だ。今回は刃牙が身体中のあらゆる水分を垂れ流しながら、殴り合う。なんだか痛そうだけど気持ち良さそうでもある。闘いの喜びに体全体を打ち震わせているという感じ。橋本俊二「麻雀鬼ウキョウ」が巻頭カラーで新連載。学校の麻雀部がおそらく100万円はあるだろう売上を教頭に献上しているという、なんだかお馬鹿さんな展開。しかも、その麻雀部のやっているイカサマもやけに幼稚な感じ。チャンピオンらしく男らしい馬鹿っぷりだ。田口雅之「バロン・ゴング・バトル」。あ〜あ、やっぱりスフィンクス壊しちゃった。知〜らないよ。おおひなたごう「おやつ」。相変わらずの絶妙な間で、読者の想像をひょひょいと超えるギャグを連発する。クールでかっちょいいなあ。


11/4(水)……かわむー

 日記用と掲示板用の全文検索を廃止することにした。っていうか、もうなんだかすさまじく遅いのだ。日記だけでも相当な量があって、これに検索かけると、ダイヤルアップだと間違いなくといっていいくらいタイムアウトになってしまう。会社のスゴ速の専用線を使ってもいつまで経っても結果が表示されねえ。そんなわけでサーバーに無用な負荷をかけまくりなコイツを廃止するというのは時代の流れからいっても仕方がなかったのかもしれぬ。検索したい人はあんまりアテにはならぬが、gooあたりを使うか、ローカルのHDDかなんかに過去のファイルを落として検索かけてください。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 11/18 No.15 講談社 B5中
「俺たちのフィールド」の村枝賢一が講談社にも登場。新連載「RED」は、単身アメリカ西部にわたった日本人と、謎めいた雰囲気を持つインディアンの二人を中心としたネオ・西部劇って感じのお話。第1回めのつかみはまあまあ。これからの展開次第だろう。今回のE-Oppersは町野変丸のショート読切「オッパイマンガ」。いつもよりちょっと大人しめバージョンの町野変丸。でもやってることは基本的に一緒。この人は本当にどこで描いても変わらない。桑原真也「0リー打越くん!!」は、イジメられっこの打越くんになぜだかぞっこんの美少女登場で三角関係に。ここまではまあ順調。こばやしひよこ「でぃすぱっち」。話としては毎度あんまり面白くないのだが、今回は美人女刑事が公衆の面前で素っ裸にさせられて、犯人のちんちんをくわえさせられるという展開。こういうシチュエーション好きだ。燃える。もう少し恥ずかしそうにして、身体を真っ赤にし、うっすらと汗を浮かべながらハアハアいってくれたりするとなおいい。相沢トモコ「花川ジンタ」はあと2回らしい。なんか物語は思いもよらぬ方向へ。Uppersはなんとなく元気がない感じだけど、とりあえず相沢トモコが読めると少し気分的に華やぐ印象。

【雑誌】ヤングキングダム 12/4 No.3 少年画報社 B5中
 創刊3号目だが、どうもいまいちイキが悪い。オヤジ系の作品を吸収しようとしてるのかもしれないが……。目指す方向性がよく分からない。佐野タカシがヤングキングファミリー3誌完全制覇。こちらでも新連載「イケてる刑事」をスタート。タイトルから想像がつくとおり、ヤングキング本誌で連載中の「イケてる2人」のサブキャラ、甘糟のおねーちゃんである女刑事が主人公。ちょっとHでコメディタッチという基本ラインは、「イケてる2人」や「うさぎちゃんでCue!」と同様。次号からはかわぐちかいじが新連載とのこと。

【雑誌】週刊少年マガジン 11/18 No.49 講談社 B5平
 赤松健「ラブひな」。今回はなんか寮の女の子が眼鏡娘バージョンに変身して登場。ああ、ベタベタだなあ。藤崎聖人「ミュージシャン実録物語 LUNA SEA」後編。いやー、馬鹿馬鹿しくてマヌケである。こういうのってなんだか愛しくなっちゃうねえ。意味があるんだかないんだか分からない、欄外の「〜心からキミに伝えたい〜」というアオリとか、このこっぱずかしさは今となっては貴重であろう。

【雑誌】週刊少年サンデー 11/18 No.49 小学館 B5平
 満田拓也「MAJOR」。吾郎たちが高校を卒業。清水が健気でかわいいなあ。藤田和日郎「からくりサーカス」は、ナルミと新キャラ・ギイがなかなかいいコンビ。椎名高志「GS美神極楽大作戦!!」はとりあえず一段落。今回のパートはなかなかいい具合に盛り上がってて面白かった。これからもズンズンヒートアップしていってほしいが、そうなると敵がインフレしてしまう可能性があるので、しばらく息を抜くのが吉と見る。北崎拓「なぎさMe公認」は、なぎさがまだ余力を残しつつって感じであっさり勝利。やっぱり今回のレースは眼鏡娘に尽きる、ということか。三好雄己「デビデビ」。せっかく最初のページから着がえシーンなのだから、ここはもっと大ゴマで……。わびもさびも薬にしたくてもないような、そういう馬鹿馬鹿しいほどのオタク狙いぶりが好きだったんだけどなあ。最近オトナしい。


11/3(火)……絶対パ零度

 朝方になんとかかんとか仕事を片付け、横浜に向かう。横浜ベイスターズ日本一記念パレードを見物するためだ。完全徹夜状態でさすがに眠気はあったものの、パレードを前にした躁状態に突入していたためあまり苦にならず。でも途中事故処理のため、JRの電車が10分くらい立ち往生したときはかなりイライラし、「これでパレードに間に合わなかったら、腹いせにJR職員の娘さんでも拉致監禁して奴隷調教でもしないと腹の虫が収まるまいて」などということを考えたり考えなかったり。
 パレードは時間がヤバいかな、と思ったので横浜スタジアムの最寄り駅・関内ではなく、隣の桜木町駅近辺で見る。それにしてもすごい人だかりだった。ニュースによると40万人とかいっていたが、本当に「雲霞のごとく」とか「黒だかり」とか「群衆」とかいう言葉がピッタリきた。あのすごい人の壁を見ただけで、今年の横浜の盛り上がりを体感できてゾクゾク来た。パレードはわりと、目の前をスルーッと通りすぎた印象。デジカメを持っていって写真を撮りまくったが、俺の持っている機種はセイコーエプソンのCP-500で、1枚撮ってから次を撮るまでのインターバルが30秒近くかかるタコスケな仕様。そのため、シャッターチャンスを逃しまくり歯噛みする。権藤監督も撮れなかったし……。
 その後、桜木町からパレードを追いかけつつ横浜スタジアムへ歩く。といっても歩くのも一苦労なぐらいの人混み。そして、すさまじい紙吹雪の嵐。これで、横浜ベイスターズ狂乱の一年も終わりだなーとしみじみした。パレード後はさすがに眠気もあってぐったり。家に帰ってしばし気絶。

【雑誌】ボンバーコミック 12月号 ダイアプレス A5中
 コンビニなどで販売されている中とじA5エロ漫画雑誌。劇画系っぽい猥雑さも感じる作りだが、巻中でおおしまひろゆきらのカラーイラストがあったり、意外とシャレたところもある。
 購入の一番の目的は、ヤングキングアワーズなどでも活躍中の大石まさる。今回の「海と宅急便と風鈴と…」は、いちおうエロもちょっとやっているが、基本はいつもの爽やかで暖かい作風。柔らかい線の持ち主で、女の子の身体の描き方もなかなかいい。もっとガッツンガッツンエロをやっても案外いけそうな気がする。谷内和生「ひどいよ!田原くん」。この人の絵はずいぶんきれいかつグラマラスになったなーと思う。とろけそうな感じの乳の描線が好き。牟田康二「帰ってきたゼンラマン」は、キテーちゃんの着ぐるみをかぶった辻斬りvs.全裸withスイムキャップなゼンラマンとの闘いを描いたヘンな漫画。なかなか奇を衒っている。

【雑誌】漫画ホットミルク 12月号 コアマガジン B5平
 アタリの作品と、そうでない作品でかなり落差が激しい。古井戸圭市「HAIR CUT」は非常に絵が達者。ちょっと写実っぽい絵で、生気のない目つきをしたキャラクターたちの造形が目をひく。絵の雰囲気としては、沙村広明、奥瀬サキ、目黒三吉あたりを想起させる部分がところどころにある。みかん「宿」もなかなかの絵柄。ふっくらとした丸顔の少女が主人公のロリ系。ロリ系といって幼女というより少女で、デフォルメとかあまり利かしていない生の少女を感じさせる絵柄。幼い少女ならではの、口の周りの肉のもったりとした加減とかがきっちりと描かれていて好み。大山田満月少女を育てるとこんな感じかな。
 梶本シアン「欣求」。シャブ中のトラック運転手が階下にいるアパートの2階で同棲している、元人妻と男の話。女は元夫に調教されていたのだが、まだ元夫のことを忘れられず、SEXの喜悦にもたれかかることで辛うじて正気を保っている状態。この人の描くお話は暗いのが多いが、今回もかなり陰鬱。絵はまだまだだけど見るべきところはあり。TAGRO「スナオちゃんとオバケ国」。今回はエロなし。ファンタジー世界でのキャラクターもの。まあまあかな。4ページなんでちともの足りなくもあるけど。

【雑誌】ペンギンクラブ 12月号 辰巳出版 B5中
 すごく久しぶりに買った。山本貴嗣「弾 AMMO」が掲載されていたのでそれが目当て。猟奇殺人犯に付け狙われる女刑事の話。続きもので第1回なのだが、あとどのくらい続くんだろうか。出来は第1回めなのでなんともいえないが、女刑事はなかなか色っぽくていい。ちゃたろー「クラッシュ」。悪辣な男たちが善良な女の子をよってたかって嬲りものにする。乳ぼーん尻ぼーんで、液体飛び散るかなりハードなSEXでいやらしい。実用度はかなりのもの。いい仕事してます。
 飼葉駿「きっず・とれいん」。この人も芸風変わらないな〜。相変わらずのちょっと下品でミニマルなくだらない(←もちろん褒め言葉である)小学校ギャグ。第142回って、エロ漫画雑誌としての連載としては異常なまでの長さだよな。年12回として、すでに10年以上。単行本2巻は出ないのかな? 飛龍乱「スイート・ワーク」。兄×妹のラブコメ。この人もキャリア長いけど、心理描写とかしっとりとした情感のある絵など、円熟味が増してきている。面白い。

【雑誌】東京H 12月号 一水社 B5平
 実用重視系のエロ漫画雑誌。沙村広明もイラストを2ページ描いている。クリスティから引き継いだ看板連載・大河女教師調教物語「MOMONE」は、桃音先生がもう尋常でなくなってきている。今回は素っ裸でビデオ屋に入り、エロビデオを買ってこいと命令され、お店のお客さんによってたかって犯されるというお話。桃音先生は、起きている間はSEXしてない時間のほうが短いのではなかろうか。美女木ジャンクション「健全なカタチ」。この人の描く女体はやたら豊満で、さらに異様に柔らかそうなところがいい。脂がのってぐにょんぐにょんである。あと、SEX始めると完全に頭のほうまでラリっちゃう感じの女の子もいい。月森泉「美女も野獣」は、あけすけにちんちんのデカさに惚れてぶ男と付き合おうとする女の子がなかなかいいキャラクター。井ノ本リカ子「B級ドラマ」。この人のよれた描線と、乾いた感じだけど柔らかい女体の描き方は、上品なんだけどしっとりといやらしくて前から注目している。そろそろ単行本が出てもいいころだと思うのだが。たぶんエロ漫画ビギナーとか女性読者でも気に入る絵柄だと思う。ゴブリン「娼館のメイド−亜樹」はいつもながらに救いようのない鬼畜な作品。散々凌辱されて白目向いて意識ここにあらずといった少女に、強引にピースサインを出させて記念写真を撮るラストは、かなりの悪意を感じる。ひでー。
 永山薫「THE BEST 10」。今まではただ作品名、作者、感想の羅列だけって感じだったのだが、今回は作者名・タイトル名が太字になって、ちょっと見やすくなった。でも売れている本にそれぞれコメントつけるってだけじゃな〜とか思ってしまう。なんかもう一つ仕掛けが欲しい。

【雑誌】コミック・ピット 12月号 光文社 B5中
 今日はエロ漫画雑誌ばかりだったが、これだけは少女漫画雑誌である。創刊4号で季刊(1・4・7・10月の最終木曜日)なので知名度はまだ低いと思う。
 こがわみさきの絵がスマートで涼しげですごくいい。たぶん、犬上すくねとか好きな人は好きになりそうな気がした。この連載「でんせつの乙女」は今回で最終回。単行本出してくれるといいなあ。ラポートからも単行本が出ているみたいなので、そのうち手を出してみようかな。あとはイグアナとハリネズミに囲まれて暮らしている女性が奮闘する、ペットものコメディ池田おさむ「たま」が楽しくていい感じかな。


11/2(月)……鉄の本松

【雑種】週刊少年ジャンプ 11/16 No.49 集英社 B5平
 今号は尾田栄一郎「ONE PIECE」、富樫義博「HUNTER×HUNTER」のいつも手堅いあたりがコンスタントに面白かったなという感じ。それ以外はまあぼちぼち。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 11/16 No.48 小学館 B5中
 巻頭カラーで、「天使の噛み傷」「はるの/よるの/ようだ」の村上かつらが新連載。タイトルは「いごこちのいい場所」。予備校の雑用係をやっている冴えない男が、受付嬢に恋をする。彼は、現在はその予備校で講師をやっていて、自分とは比較にならないくらい人気も実力もある同級生・春田にコンプレックスを抱いていた。そして、彼の姉に対する恋が破れた瞬間から、恋を封印していたのだが、久しぶりの恋が始まる……という感じのでだし。わりと面白くなりそうなので、期待する。作:小林信也+画:秋重学「宙舞」は、舞子がキラキラと輝いていて、青臭い青春恋愛模様がいい感じである。作:坂田信弘+画:中原裕「奈緒子」。タスキを待つ雄介と奈緒子がついに顔を合わせる。そして本松の走りもヒートアップ。面白いぞ〜。

【雑誌】ヤングマガジン 11/16 No.48 講談社 B5中
 先日書いた11月のお買い物リストからは抜けていたけど、タイム涼介「日直番長」4巻が6日に出るらしい。当然買う予定。
 巻頭カラー、コージィ城倉が城倉浩司名義で新連載開始。タイトルは「グラス・ブレス」。野球が好きで好きでしょうがないフリーターのイツキが、突然プロ野球チームにドラフト1位指名されて……という話。テクニカル・アドバイザーに江夏豊がついており、いつになくマジメな作品になりそうな気配。ペンネームがマジメっぽいのもその予兆かな? 地下沢中也「創立100年ギンザ小学校」。連載6回目にして、かなり逸脱した煮詰まった方向に。おばあちゃん子で、老人フェチとして育った小学生の話。しわしわの乳をチウチウ吸うあたりかなりヘンだし、さらに孫に女として接している感じのばあちゃんが不気味。福本伸行「カイジ」。前回の思いもよらぬ奇手ですごく盛り上がっていていい……と思ったら、次号は休載。うーん、やきもき。ちばてつや賞大賞、松本剛「彼女は笑う」前編が掲載。前に日記に書いたとおり、松本剛とはいっても「すみれの花咲く頃」とかの松本剛ではない。アレよりもだいぶ骨っぽい劇画調の絵柄。バスジャックをした謎の男達に、女一人を含む高校生が一か所で拉致監禁される。出口のない倉庫みたいな場所で、メシだけは支給され閉じ込められる。その極限状況の中で、男5人は女一人に向かって獣欲をたぎらせるようになる……というお話。といってもエロ漫画っぽいものではなく、ギリギリに追い詰められた人間の精神状況を描くあたりがメイン。次回後編。なかなか期待できそう。

【雑誌】ヤングキングアワーズ 12月号 少年画報社 B5中
 巻頭カラーは山田秋太郎「LOAN WOLF」。仲よし二人男が1億の借金を返済するため奔走する、っていうより道端で出会った幸運を生かし、そこで得たお金をギャンブルで使いまくるというお話。なんか、山田秋太郎、絵柄的にも話的にもアワーズがすごく似合っている感じがする。やまむらはじめ「肩幅の未来」。恋人たちの半同棲的平凡な日常を描いているのだけれど、何か不吉な未来をほのめかし、ほのぼのとした中に哀感を漂わせた作品。説明がないところはいつものとおりだが、今回は考えオチっぽくもならずいい方向に出ていると思う。ラストシーンもセリフは幸せなカップルそのものなんだけど、後ろ姿、前途の虚空と非常に暗示的に締めくくっている。大石まさる「OUTER PILOT」。引退した宇宙飛行士と家出少女ののんびりとした優しい物語。大石まさるは最近、ダイアプレスというところが出しているA5中とじエロ漫画雑誌「ボンバーコミック」にも作品が掲載されていた。こちらは明日レポートする予定。犬上すくね「WORKING ZOMBIE」。わがままな男が仕事でムシャクシャしているときに、肉体的欲求を満たすべく彼女の部屋に向かうが、彼女は風邪をひいていて……という話。幸せなラブコメで楽しい。


11/1(日)……県はペンよりも強し

 月末月初恒例、会社お泊まりモード。この土日はずっと会社。そんなわけで日曜日ということもあり、ちょっと漫画読みは弱まり気味。会社の近くにはいい本屋がなくてのう。11月3日の朝まで会社にいて、そんでもって無理やりにでも仕事をやっつけて横浜スタジアムに向かい、横浜ベイスターズ日本一パレードを見に行くつもり。っていうか見に行けるといいなあ、っていうか行くぞ、うら!

【単行本】「ぷりぷり県」5巻 吉田戦車 小学館 A5
 史上最強の県漫画といわれる、「ぷりぷり県」もこれにて最終回。つとむがよし子先輩と結婚してぷりぷり県に戻るあたりから急スピードでお話は展開。ラストもいいけど、つとむのパパ、幼次郎が主役の番外編もいい味を出している。最後まで一貫して続いた、風習作りの奇想は見事だった。非常に身近で、なおかつ珍妙な異世界を提示した作品。これだけ生活感のある異世界もまた珍しい。県は地味なワンダーランド。あー、面白かった。満足。

【単行本】「玩具修理者」 作:小林泰三+画:MEIMU 角川書店 A5
 第2回日本ホラー小説大賞、短編賞受賞作をコミック化したもの。一話完結の短編ホラーが5編収められている。MEIMUの絵がいつになく悲哀に満ちていて、画面全体に静かな緊張感が走っている。お話は現代を舞台にした、ちょっぴりゾクッとくる感じの、少しサイコホラーっぽいもの。で、すごい怖いかっていうとそれほどでもない。やっぱり短編だけに、怖いっていっても限度がありなんとなくもの足りない感じもする。個人的には、こちらの主観、世界観をグラグラ揺さぶってくるような、山本直樹みたいな作品のほうが怖く感じる。あと、鬼畜系エロ漫画みたいな異常に酷薄な奴とか、カイトモアキ「裸のふたり」みたいな真剣にヤバそうな奴とか。「玩具修理者」の中では、完璧な芸術が描かれている「芸術論」という本にまつわるホラー、「本」が一番面白く感じた。どちらかとういと、お話よりも、陰鬱な雰囲気を含ませたMEIMUの達者な絵が目立つ。


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