◆ 1999年7月上旬 ◆

7/1〜10
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7/10(土)……ボーボーニュウニュウ

 ひさしぶりに思う存分寝た。寝てばかりいた。今日は外に一歩も出ていない。漫画読んだり寝ころんだりゲームやったり。無駄な時間ではあるのだけれども、この無駄こそが今の俺には必要だったのだ、たぶん。しかし、最近仕事にかまけてて趣味方面が全然強まってなかったので、これから強まらねば。今からでもすぐ。無闇やたらと。

【雑誌】コミックビーム 8月号 アスペクト B5平
 掲載作品リストはコミックビームのページ参照。
 巻頭カラー、桜玉吉「幽玄漫玉日記」はついに桜玉吉が温泉で転地療養。異様な迫力を感じるほどのテンションの低さがすごいが、これを巻頭に持ってくるビーム編集部もすごいなと思う。志村貴子「敷居の住人」。ちあきが入った高校のクラスには、幼馴染みで親友「だった」むーちゃんと、ほのかな恋心を抱いていた可愛い子・ゆかりんがいたが……。ちょっと普通の少年になるかと思えたちあきだが、なかなかうまくはいかないもので。やっぱり眼鏡娘のくるみちゃんだよねー。永野のりこ「電波オデッセイ」。キタモリ悩む!……いつものことだけど。野川さんはたいへんよろしいので、ぜひぜひもっとお近づきになってほしいもの。心の距離は少し近づきつつある、かな?
 そして、今号は羽生生純「恋の門」が巻中カラー。これをカラーにするとは。愛とエゴがガシガシとぶつかり合う、恋乃と門の姿を真っ正面からと描いてくる。けして逃げない激しさ、濃密さ。すごいなあ。入江喜和「ざしき」は「ちゃらっぽこ幽霊」の続編。今回も田舎の小料理屋の一家の模様を、淡々とかつしみじみと描写。なんとも雰囲気のある描線がすごく気持ちいい。しりあがり寿「弥次喜多 in Deep」。謎めいて息苦しい展開はさらに続き、高みへと登っていく。カリカリと机を、地面をひっかく犬の爪、弥次さんの口に次々と詰め込まれていく食物。幻想的で、そして怖い。いましろたかし「釣れんボーイ」。足をケガしつつも釣具屋に出かけ、アユ情報を仕入れようとするヒマシロ先生の狂気。連載が始まって以来、ヒマシロ先生が最も一所懸命だった瞬間だったような気がする。このダメ人間ぶりはちょっとすごい。作:東京ローカル+画:仲能健児「ロンリネス」はいよいよクライマックスで次号最終回。「わたし」、そして本多こと鈴木さんの運命は? 次号が激しく気になる。
 あ、あと「噂の真相」によるビーム休刊誤報の件だけど、噂の真相の次号に誤報であったとの訂正文が載るとのこと。今回のビームで奥村編集長がそのように書いていた。少なくとも来年の5月号くらいまでは大丈夫とのことなので、読者はしばらくは余計な心配はせずとも良いようだ。だから、無責任な噂は流さぬよう、俺からもお願いしておくぜ。

【雑誌】エロトピア 8月号 ワニマガジン B5中
 ふくしま政美の新連載が豪放磊落に開始(原作:竹熊健太郎)。「暴乳拳」。タイトルからして力入りまくっている。ぬいぐるみの山の中から異形の戦士が起き上がるイントロはどうしようもなくパワフル。隅から隅まで妄念が凝り固まって反り返った描線の剛棒ぶりは強烈凶悪。異形の漫画生誕ってことで、イカモノ食いの人は必見。正山小種「はちきれそう〜水着が怖い〜」。プランパー。観光会社勤務の、顔より乳がデカい牛系の女性がプールに転属させられる。とはいっても業務内容は、ちょっとHな水着で「ケロケロ体操」という間抜けな踊りを踊るコンパニオンをさせられるというものだ。やたらにでかい乳がコンプレックスで水着を着るのをいやがっていた彼女が、人々の前で躍らせれ、嘲弄される。かなり悪意バリバリの作風で、ケロケロ体操の踊りの間抜けさ加減がさらにそれを強調する。直径50cmくらいはあるであろう乳を振りながら、がに股で踊る姿はかなり馬鹿っぽい。激しい作品なので、免疫がない人にはちと辛いかもしれない。濃厚で露悪的である。

【雑誌】マンガの鬼AX VOL.9 青林工藝舎 A5平
 一番の見どころは、やはり花輪和一「日本崩壊食」である。毎月6回だけあるパン食の日を待ちわびる服役囚、というか花輪先生の姿を描いた作品。パンを目にした瞬間の主人公の邪悪な笑顔、食膳の周りで戯れる日本服を着た妖精、マーガリンを塗ったパンを口にほうり込むときの妄執バリバリな表情。スゲエ。監獄クサイ飯グルメ漫画。この浅ましくも細部が異様に細かい邪悪なまでの描写が素晴らしい。状況的には全然邪悪でないのに。花輪先生はやっぱ強烈である。恐ろしいほどに。花くまゆうさく「東京ゾンビ」は最終回。俺としてはあまり燃えなかった。友沢ミミヨ「たまご」が掲載。ごむまりのような、むっとした画風は健在。友沢ミミヨ先生、孕みましたか。それから東陽片岡「ワシらの愛のあかし」、根本敬「黒寿司十八番」、キクチヒロノリ「くるくるきいきい」はいつもどおりで面白い。鳩山郁子「美男葛」の前編が載っているのもいい。というわけでわりと充実していた今号だが、新人さんはちと弱い。ここから新しいモノが出てくるというワクワク感にはちと欠けるなあ。

【単行本】「海帰線」 今敏 ビー・エス・ピー/美術出版社 A5
 海辺の町でリゾート開発をめぐり争いが起こる。この町が面している海が豊かで美しいのは、その海に棲まう海人のおかげだとされており、町の神社には子供の頭くらいの大きさの球、「海人の卵」が代々伝えられていた。この卵を預かり、60年ごとに海に孵すと海は静まり豊漁を約束される。そんな言い伝えがあった。海人の卵は大きな力を秘めており、リゾート開発業者と海を守らんとする人の間で争奪戦が繰り広げられるが……。
 この作品で特徴的なのは、その精緻なペンタッチ。大友克洋、あるいは谷口ジローを思い起こさせるような、リアルで逃げのない描写がかっこいい。岩や海、町並みなどの背景を見ているだけで感嘆するような作品だ。描写力が、そのまま説得力に結びついた好例。

【単行本】「コレクターズ・アイテム」 よしもとよしとも KKベストセラーズ A5
 遅ればせながら。収録作品は「アヒルの子のブルース」「東京防衛軍2」「エリーゼのために」「吠えろフェンダー」「優雅で感傷的な世紀末麻雀」「6月の桜」「じじいの伝説」。旧作の再刊シリーズということで、今までなかなか読めなかった作品がいろいろと読めるのは素直に嬉しい。
 アクティブで泥臭い感情やら激しさやらが、スッポリと抜け落ちている、というより元からないといった感じの空虚さ、いや身軽さを作品全体から感じる。青臭いところもあるし舌足らずな部分もある。キャラクターたちは一般的な意味では素っ気ない。でも、読んでいてそこがまたなんだかうれしく気持ちがいい。ちょっと哀しく、そして眩しい気分にもなる。収録作品の中では、発表時期が一番新しい「アヒルの子のブルース」('98年)がとくに印象に残った。あらすじを書くのも野暮なんで書かないけど、光にとけてしまいそうな透明さを持ついいお話であった。
 ただ、いつもながらに思うことだが、よしもとよしともは後書きがないほうがいいなあと思う。作品だけで勝負できる人なんだし。

【単行本】「超・学校法人スタア學園」16巻 すぎむらしんいち 講談社 B6
 コキジ、仲本、太田川の3人で組んだお笑いユニット「インポ帝国」は商店街のお笑いコンテストに出場。コキジのチンポが勃ちっぱなしになるというアクシデントを利用して大ウケするが……。漫画内でお笑いをする作品というのは時折見かけるが、本当にソレで笑えるものはまれ。現実のお笑いを上回るだけのテンポやノリやパワーが、紙面からあふれ出てくるほどではないものが多い。でも「スタア學園」のそれは笑えてしまう。ただの言葉遊びに終わっていないし、何よりテンポがいい。次にどういう展開になるのか予想がつかない。先行きの不透明さ、あぶなっかしさがいいほうに作用しているし、それをまた意識的に演出できてしまうあたりにすぎむらしんいちのすごさを感じる。などと堅苦しいことをいう必要もなく、素直に面白いわけなんだが。

【単行本】「おやすみなさい。」2巻 小田原ドラゴン 講談社 B6
 今回はこすると表紙の色が変わる特殊加工はされていないようなので、色が変わるまでこすったりしないように。おどおどしたアイドルマニアの愛すべき童貞、上野鉄郎は今日もエロ本収集に励み、情けないハメに陥りつつ困ったり良いことをしたり、おおむね地味な日常を送る。毎日部屋に落ちている陰毛に語りかけたり、エロ本拾いを趣味とする老人たちと仲良くなったり。中でもステキなのは「エロの泉」のエピソード。町の片隅のとても目立たないところにある小さなほこら。エロロードワーク(早朝捨てられているエロ本を拾うためのロードワーク)の途中、そのほこらを拝んでいた鉄郎は脇に一冊のエロ本が落ちていることを発見する。そして、次の日行ったときも、またその次の日も、ほこらの脇には常に新しいエロ本が落ちているのだった。実はエロ本は、そのほこらのある神社の神主さんが置いているものであった。子供たちのために、何代もの神主さんにより代々250年間にわたってエロ本が置かれ続けたほこら。神主さんに代わってそこにエロ本を置き、んーんーいいながらそれを見る子供の姿を見つめる鉄郎の目は、限りなく澄み渡っているのだった。こういうどうでもよく、情けなくもちょっと素敵で、でもやっぱ情けないエピソードを描くのが小田原ドラゴンは実にうまい。


7/9(金)……うさみでCue!

 前口上を考えていたら、どうにも眠くなってきた。キーンと耳鳴りがするほどに。これって催眠音波? っていうかねみい! ねる!

【雑誌】ヤングアニマル 7/23 No.14 白泉社 B5中
 柴田ヨクサル「エアマスター」。プロレス編も佳境。マキが、彼女と同等の力を持っていそうなカイとぶつかり、リング狭しと飛ぶ。豪快なアクションの連続が気持ち良い。二宮ひかるの3号連続読切第2弾「寄生MIND」。自分の身体は、自分の脳が寄生している乗物であると考えている女性のお話。クールでセンシティブでいいですな。SUEZEN「新性生活」。カメラ大好き19歳のフリーター穂波が、池で子供と泥遊びしていた彫刻家志望の女性・圓(まどか)と出会う。開けっぴろげで自然体だけど妙に色っぽい圓に、穂波は惹かれていく。で、二人はお互いの彫刻&写真のモデルとなり合う仲に。裸の関係なのだけど、お互いにモチーフでありかつルームパートナーでもある二人の姿は、こざっぱりして爽やか。このシリーズ、回を重ねるごとに良くなっている印象。

【雑誌】月刊少年マガジン 8月号 講談社 B5平
 間部正志「SPEED KING」。舞台は一挙に3年後。日本選手権まで飛んだ。末藤タイガーは力強く成長して日本のトップランナーに。一度消えていたらしい末藤兄も復活し、次号あたりで兄弟対決になりそうな気配。ということはそろそろ最終回が近いか。ちょっと大人っぽくなった不良のエミちゃんは相変わらず素直じゃないけど健気で良し。髪型は前のほうが好きだったけど。

【雑誌】別冊ヤングジャンプ 8/15 No.7 集英社 B5平
 熊谷カズヒロ「サムライガン」。垢抜けない感じの絵ではあるのだけど、女の子はいいねえ。ボディペインティングとか太ももに虫除け軟膏を塗ってるところとか。岡野恵「First Love」。一色まこと似の絵を持った人。ヘタクソだけどへこたれないスケボー少年と、彼を病院の窓から見つめていていつの間にか好きになっていた病弱な少女の初恋物語。まっすぐでガムシャラなお話で、読んでいてなかなか気持ちがいい。おおひなたごう「犬のジュース屋さん」。いつもどおりのすっとぼけたギャグ。クールでひねくれていて良い。予告カットを見て気になっていたナカムラマコト「黄泉路」だが、う〜ん、も少し。陰のある描線はところどころで光るものはあるのだけど、こういう作風だともう少し描画技術が欲しい。主人公の女の子はわりといいんだけど、それ以外が弱い。背景とかも含めて。雰囲気的には悪くないと思うけれども。

【単行本】「イケてる2人」6巻 佐野タカシ 少年画報社 B6
 ちょっとHでラブでコメディで。それだけの話ではあるのだが、そのオタク殺しな甘くとろけるキュートな絵柄と、イヤになるほどハイテンションなノリの良さに圧倒される。確率論的にいって異常な偏差が見られるパンチラ遭遇率などサービス精神抜群。ニッポンッテヘイワダナー。

【単行本】「グラス・ブレス」2巻 城倉浩司 講談社 B6
 草野球出身。超ノーコンだけど、むちゃくちゃなまでのボールの伸びを持つ、弱小球団のドラフト1位、宇佐美の活躍を描く。あまりにもコントロールが悪いのも手伝い、彼はプロ入り以来20人以上のバッターに一度もバットにかすらせないという記録を作る。この記録がどこまで続いたのか? ……それは本編を読んでいただきたい。城倉浩司らしい、泥臭くも強引に言葉とオーバーな表現で読ませる作風で、いつのまにか作品世界に引き込まれる。そして、ラストの痛快至極な投げ出しっぷりといったら。連載で読んだときは爆笑したものだ。かなりどうでもいい終わり方だが、それがすごくいい味になっている。普通打ち切りっぽいラストって釈然としないものが多いのだけど、これは見事。

【単行本】「わん・ないと・SISTER」 飛龍乱 富士美出版 A5
 ちょっぴりインモラルな味付けで、気楽に読めてしかも実用性もしっかりキープ。肉付き豊かでぷりぷりとしたキャラクターの顔、体つきも魅力的。さすがにベテランだけあって、読ませ方のツボを心得ていて、ときに切なくときにいやらしくきっちり見せる。いつもコンスタントにレベルが高くてうならされる。女の子たちも申し分なく可愛くてかつHだし。うまいなあ、ホントに。


7/8(木)……アリとアマリリス

 このホームページのあるAIRnetでは、ホームページスペースからのデータ転送量(ようするにページ来訪者が見たデータの量)が3GBを2ヶ月連続で超えたら追加課金というシステムがある。今日届いていたメールによると、先月は2.5GBをオーバーしていたようだ。このままアクセスがもし伸びるようならちょっとヤバい。そろそろ移転を考えてみるか、とも思うのだがメールアドレスを変更したりCGIを設置し直したり、ページ内のリンク張り直しとか考えると面倒でやる気が失せる。甘んじて追加課金払うのが一番ラクなのは分かってるんだけど、ちょっと悔しい俺だよ。

【雑誌】ヤングサンデー 7/22 No.32 小学館 B5中
 遊人「桜通信」。今回のテーマは眼鏡娘とのセックス! たぶん今回作者がやりたかったことは、眼鏡にぶっかけること、ただそれだけだったのだ。何も考えず欲望に忠実に作っているだけというストレートな頭の悪さは痛快至極。ああ、本当にどうしようもねえ〜。最高。山田芳裕「デカスロン」。最終コーナーを回りあとはラストの直線のみ。足のマメをつぶし満身創痍でありながらも、万吉はバカであることをやめない。勝つのはオブライエンかそれともバカか。はたまたゴッホか。岩田やすてる「球魂」。大仏サーブをひっさげ活躍する細川がやたらかっこいい。血沸き球奔る展開。

【雑誌】モーニング 7/22 No.32 講談社 B5中
 山下和美「天才柳沢教授の生活」。毎回惚れ惚れする面白さである。今回は、柳沢教授が時折訪れて将棋を教わる代わりに英会話を教えている老人のお話。今はスッカリ普通の老人だけれど、彼は実はいくつもの修羅場をくぐってきた侠客だった。老人と柳沢教授の侠気が、緊迫した空気の中で対峙するシーンは見もの。ああ、なんともかっこよい。きくち正太「おせん」。シリーズ2作め。今回は巻中カラーで登場。イキでいなせな女傑モノ。「ぶら雲先生」とたいへん近いノリ。完成されたイキで美しい世界。いい仕事。

【雑誌】ヤングジャンプ 7/22 No.32 集英社 B5中
 ヤンジャン初登場、長友健篩「HOT MILK」が掲載。絵柄はどうにも「Karen」などの塩崎雄二に似た感じ。便利屋を営む女の子が主役のドタバタコメディで、作風まで塩崎雄二っぽい。あの系統の絵柄って女の子はかわいいしけっこう好き。壬生ロビンの新作「ペイン」は、昔イジメられていた男が、オトナになってからイジメていた奴に復讐しようとやってくるという、まあわりとよくあるタイプのサスペンスもの。壬生ロビンはヤンジャン系では良さげな新人だけど今回は普通。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 7/22 No.33 秋田書店 B5平
 樋田和彦「京四郎」。連載200回だそうだ。で、いつもの御一行様は修学旅行でフロリダに。ワイワイと楽しく無邪気。いや、なんともすごい世界だとは思う。水島新司「ドカベンプロ野球編」。早くもオールスター編に突入。水島先生はどうもオールスターがお好きなようで、今回もやけに気合いが入っている感じ。しかし、オールスターのホームラン競争の打者をピッチャー選出の選手から選ぶのは良いとして、6人のうち松坂以外はすべてドカベンライバル勢であるとはこれいかに。ところで明訓OB組といえば、渚は出てこないのかな。なんかメッツに入団しているらしいけど。小山田いくの集中連載「QueenBee」がスタート。養蜂モノらしい。渋すぎ。

【雑誌】週刊少年サンデー 7/21 No.32 小学館 B5平
 満田拓也「MAJOR」。夢島からはい上がってきた雑草組 vs.特待生組の練習試合がスタート。強いところが弱い相手にハンデを与えてくれたりするあたり、少年漫画の定番っぽくて楽しい。吾郎が出たときどの程度通用するかが気になるところ。久米田康治「かってに改蔵」。意外性を追求する今回、オチもかなり意外。いつ使ってもいいようなオチでもあるが楽しいのでOK。

【雑誌】FEEL YOUNG 8月号 祥伝社 B5平
 内田春菊「目を閉じて抱いて」。津也子と花房のベッドシーン。濃密で生々しい。性急にずんずん行くだけでなく、ムードを出して、それからねっちりと快楽を与えていく描写がHだ。サラリと描いている感じだけど味わい深い表情もいい。つまり色っぽいってことよ! 三原ミツカズ「ハッピー・ファミリー」は今回番外編。イロオトコなケーキ職人・岡内と、彼の店で働くバイトの女の子とのエピソード。お気楽に読める楽しい一品。

【雑誌】YOUNG YOU 8月号 集英社 B5平
 坂井久仁江が読切で登場。タイトルは「So long……」。10年前少年だった主人公が出会った病院通いの女性。先が長くなさそうだった彼女に一目ぼれした少年は、10年後、再会することを約束する。きっと彼女はそのときにはすでにこの世にはないであろうことを予期しながら。ところが約束の時、約束の場所に彼女は現れた。しかも昔と同じ姿で……という感じでお話は進む。小さいながらキッチリ作られてて読ませるお話。目のクリクリした感じが気持ちいい。岩館真理子は今回2作掲載。ショートの「冷蔵庫にパイナップルパイ」、それから「アマリリス」。「アマリリス」はまあわりとほのぼのした花屋さんと元同僚の男のラブコメといった感じ。「冷蔵庫にパイナップルパイ」のほうが、妖精と主人公のややが可愛くてむしろ楽しめるかもしれない。


7/7(水)……闘破蛇列車DEI51

 仕事のせいでこのところ、ずんずん更新時間が遅れていた。例えば5日付けの日記に書く漫画を6日の朝7時から読み始めて9時に読み終わり、10時に感想アップしたりしていたのだ。これじゃあ日付書いてる意味があんまりない。いちおう今日で仕事はほぼ終わったので、これからは正常化したいもの。せめて午前3時までには読み終わりたいところだ。

【雑誌】ヤングマガジンUppers 7/21 No.14 講談社 B5中
 桑原真也「0リー打越くん!!」。今回はテニスなし。真希と打越がセックスしそうになるが、人間の女ブチ殺す宣言を撤回しないシノヴを打越が拒絶する。シノヴがどんどん可愛い女の子になってきていてトキめく。屋上で突風が吹き、キャッと声を挙げてスカートを押さえるシーンがなんとも女の子らしくて良かった。咲香里「春よ、来い」。やはり眼鏡娘が。内気そうで自分を好いてくれる、大人しそうで可愛い眼鏡娘。たまりませんな。

【雑誌】週刊少年マガジン 7/21 No.32 講談社 B5平
 巻頭カラーで新連載、真島ヒロ「RAVE」がスタート。孤島で暮らす少年が釣りをしていたらかかってきた、犬のような得体の知れない生物。この出会いが少年の運命を変え、昔世界を滅ぼしかけた悪の大魔王的存在を倒すための苦難の道へといざなう、といったお話。絵柄的にどうにも「ONE PIECE」っぽかったり「シャーマンキング」っぽかったり、「HUNTER×HUNTER」っぽかったり。そしてお話は一見荒唐無稽で大風呂敷。なんとも少年ジャンプ的なのだ。今までこういう少年冒険活劇系ファンタジーといった、ある意味浮き世離れした大風呂敷的漫画をやるのはジャンプくらいのものだったけど、マガジンはそういう要素も取り入れようとしてるんだろうか。石垣ゆうき「MMR」。今号もパソコンはかなり万能だ。電子頭脳の面目躍如。

【雑誌】ホットミルク 8月号 コアマガジン B5平
 今回はピンナップがスゴイなあ。MINEによる触手モノなのだが、その触手の多いこと邪悪なこと。将来の夢:触手な人間としては何本か分けていただきたいくらい。玉置勉強がゲストで登場。タイトルは「編集女」。周りの小生意気な漫画家やらやたら忙しい仕事やらで神経をすり減らし、イライラしまくっていた女編集者が酒の酔いに任せて担当のエロ漫画家とヤッっちまうというお話。素っ気なさと怠惰と嫌悪と妥協の入り混じる生き様の描き方が雰囲気があってうまいなあ。それから瓦敬助「菜々子的さん的な日常」が毎度面白い。無防備で健康的なエロスに心トキめく。菜々子さん、ミリョクテキイッ!

【雑誌】コミックラッツ 8月号 司書房 B5中
 RaTe「PRINCESS WHITE」。精液大好きで、生エキスに憧れる女の子が、精液ショップのNo.1〜3を借りきってぶっかけまくっていただくというお話。この人、精液ジャンキーな女の子描かせるとすごくいい。おにくがゆるめな感じでぼてりとした感じも好き。うさぎのたまご「好きだよお兄ちゃん!!」。いつも脳天気でハイテンション。この子供っぽい陽気さがいいのだ。

【単行本】「闘破蛇烈伝 DEI48」3巻 前川かずお 講談社 B6
 妙ちきりん四十八手拳法格闘漫画の決定版。今回の巻のラストのヤケクソな終わりっぷりやら、力が入っているように見えて確信犯的に大馬鹿な描写を織り交ぜてくる作風はかなりに笑える。今回の巻は主人公・破武男の闘いよりも、むじゃきに遊ぶミミガーズだちの馬鹿っぷりが目につく。前立腺刺激具の痛みで苦しむ破武男を励ますために、ニューシングル「パインキッス・マンゴーラブ」を歌う彼女たちの姿はあまりにも脳天気。つらい朝や苦しい夜には私の愛の果汁を飲めば/ルルル流れ星ラララ南十字星へ さあ神の世界(ニライカナイ)へ一緒にGO! たまんねえな、おい。

【単行本】「好きなんだってば!」 田中ユタカ 富士美出版 A5
 いつもの田中ユタカ+今まで単行本から洩れていたちょっと古めの作品といった趣の短編集。昔は絵が今のように洗練されていなかったが、やっていることはほぼ一緒。しかし、描写力が段違いになっている現在の作品との格差は大きい。現在の作品では絵の愛くるしさが、内容のこっぱずかしい甘ったるさと絶妙のハーモニーを奏でていて圧巻である。たしかに男にとって都合が良く理想的すぎるくらいの幸せな初恋尽くしではあるのだが、こういうのを読んでメロメロになってみるのも素晴らしい経験とはいえますまいか。読んでいる間は強力な大好き光線の照射に「きょえー」と奇声を挙げてしまわんばかりなのに、読んだ後は見事に何も残らない。だからこそ毎度毎度同じことをやっているのに、毎度毎度楽しめてしまうのかもしれない。


7/6(火)……サンチョーメの定理

 ついに、ようやく今号の入稿が完了。まだ仕事はけっこう残ってはいるけれども、これでとりあえずは一安心。今週末あたりはザクザク呑んでリハビリテーション、ズバーンとゴー。仕事しつつも酒は毎日呑んでいたのだけれども、呑まなきゃやっていられない状況で呑む酒って感じだったのでストレス解消にはならなかったのだ。11日日曜日は、池袋あたりで漫画の話でもズッポリしながら呑むです! 詳しくは掲示板で。

【雑誌】ビッグコミックオリジナル 7/20 No.14 小学館 B5中
 西岸良平「三丁目の夕日」。仲睦まじいカップルの女性のほうが事故死し、残された男は失意の生活を続けるのだが、それを憐れに思った神様が一年のうち七夕の日だけ女性のほうを現世に遣わしてくれることに。年に一度の逢瀬を続ける彼らだが、女はいつも死んだときの年齢のままなのに男は年々年老いていく。だけれども二人の愛は深まり続ける……という心優しい物語。片方が老い、もう片方は元のままというのは、江戸川乱歩の「押繪と旅する男」的なモチーフではあるけれども、こちらはあくまでその状況をあるがままに受け入れ幸福に料理している。西岸先生、やっぱ好きだなあ。

【雑誌】花とゆめ 7/20 No.15 白泉社 B5平
 高雄滋「スロップマンションにお帰り」がたいへん良かった。吊り上がった目つきをしたちょっとキツそうな、でも本当はまっすぐで優しい心の持ち主である女の子が、英国のある父の家を訪れたときに出会った不思議な体験。そして初めての恋を知る物語。一見かたくなな感じである主人公の女の子がとてもかわいく、物語も暖かさと爽やかさが同居していて気持ちが良かった。今回は女の子の顔がちょっとふくやまけいこっぽい。眉毛が濃いめな感じがいいねえ。やっぱり読切短編は楽しい。

【単行本】「海猿」2巻 佐藤秀峰 小学館 B6
 海上保安部勤務の青年、大輔の姿を通して、海の厳しさ、窮地に立たされた人間たちのドラマを描く作品。かなり熱血した作品で、少年漫画的テイストにあふれる。描写力は確かだし、盛り上げる力にも強さを感じる。ごはん系。曽田正人+岡村賢二って感じのテイスト。王道を行く作風であるので、たくさん描けば描くほどストレートに伸びていくタイプだと思う。

【単行本】「the山田家」6巻 阿部潤 小学館 A5
 ヤングサンデー連載時もたいへんにテンションが高くて圧倒される思いだったが、単行本でまとめ読みするとますますスゲエ。とんでもない表情などの顔ギャグだけでも思わず吹き出してしまう。ところどころで見られるファンタジックな描写、奇想も気持ちよかったりしていいアクセントになっている。山田家の母、花子の暴走ぶりがモノスゴイが、脇キャラもいい味出している。そして田中。素晴らしいですな。オスマンも参照だ。


7/5(月)……株とAB

 今度はカブトエビが欲しくなってきたのだけど、東京でどこか売っているところはないだろうか。情報求む。インターネットではhttp://www.zeeclub.co.jp/triops.htmで購入可能なようだが……。あ、あと最近メキメキLibrettoかFIVAが欲しくなってきたので、お買い得情報もあればぜひ。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 7/19 No.32 集英社 B5平
 テニスものの新連載、許斐剛「テニスの王子様」が巻頭カラーで新連載。アメリカ帰りの天才少年が旋風を巻き起こすもよう。尾田栄一郎「ONE PIECE」。この人いい表情描くなあ。イキイキとした、心の底からって感じの笑顔を。富樫義博「HUNTER×HUNTER」は、今回やけに描線がラフ。ちょいと鉛筆描きみたいなのも混じってて。たぶん時間が足りなかったのだろうけど。桂正和「I''s」。引き続きこっぱずかしいちょっとHな展開。これが自分の心にいやらしく響くかといえばそうでもないのだが、登場人物が「Hの期待で膨れ上がっている」ということはビンビン伝わってくる。登場人物と読者の一体感はさほどないのだけど、伝わるものは過剰だ。瑳川恵一「マッハヘッド」。ちょっとかわいい女の子が出てきたな、とか思っていたらアッサリ最終回。まあそんな面白いってほどでもなかったし仕方ないかな。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 7/19 No.31 小学館 B5中
 山本康人「僕 BOKU」が新連載。どこまでも普通でしかない男子高校生、鈴木ひろしが、同級生で普通でないといわれている女の子に声をかけてみるが……。普通普通といわれる彼が、これからどのように変わっていくのか。まあ変わらなくてもいいんだけど。青山広美「ダイアモンド」。種田が160km/hルーキーを一撃でアッサリ粉砕。あまりにも強烈すぎて何も残しそうにないほどのカラッとしたホームランだが。エースを粉砕する童子と、カラッとした種田。そこらへんがこれからの展開でキーになってきそうではある。

【雑誌】ヤングマガジン 7/19 No.31 講談社 B5中
 望月峯太郎「ドラゴンヘッド」。東京をさまようテルが、アコの残したメッセージを発見。ついに舞台は彼らの通っていた学校へと戻る。そろそろクライマックスか。ちょっと楽しみな展開。すぎむらしんいち「超学校法人スタア學園」。炎に包まれた家から生還するブリーフブラザーズ。業火の中でもやるべきことを忘れない根性。いやー、かっこいい。東和宏「ユキポンのお仕事」は今回2本立て。うち1本は2色カラー。好調な模様。ヤンマガはショートギャグものが毎度いい感じだなあ。


7/4(日)……神々のシーモンキー

 本日はシーモンキーの卵を水の中に投入。半日ほど経つと、じょじょに卵からシーモンキーが孵化しはじめた。仕事をしている間にもちゃくちゃくと誕生していく者たち。命って素晴らしいね。なんかダニみたいだけど。早く大きくならないかなあ。ワクワク。見つめていると現実逃避にすごくいい。やっぱオフィスにシーモンキーは欠かせない。

【単行本】「からくり変化あかりミックス!」1巻 石田敦子 角川書店 B6
 小学生の女の子・あかりが、久しぶりに行ったおばあちゃんの家で出会ったふしぎな生き物、ドクによって人形と融合して変身できる魔法を身につける。その能力によってさまざまな事件を解決する……というよりも、いろいろな姿になって世の中を見ることによってあかりが成長していく物語といったほうが良さそう。キラキラとした、きれいで可愛くて美しい絵で、心温まるお話がつづられる。アニメ系の人である石田敦子だが、アニメの原画的な、モノの縁取りがしっかりとした白っぽい画風が気持ちイイ。ベターッとした面にならず、線を束ねて作り上げられた感じの、温かい絵柄がとてもいいのだ。少女あかりはたいへんにかわいい女の子であり、Hなシーンはまったくないものの、普通に暮らしていた人々を小さい女の子方面の世界に覚醒させてしまうだけのパワーのある強烈なかわいらしさを持っている。
 石田敦子については、できればエースダッシュ時代に掲載された短編読切も単行本に収録してほしいところ。

【単行本】「松本嵩春作品集」 松本嵩春 アスペクト A5
 かつて「GONG ROCK」というタイトルで刊行されていた単行本の内容に、短編を足した作品集。昔の作品集ってことで今ほど絵はうまくないんだけど、ちゃんとエンターテインメントしててけっこう楽しめた。とくに「GONG ROCK」は古代遺跡冒険系のアドベンチャーもので、素直に面白がれる。「スプリガン」とか好きな人にはオススメ。

【単行本】「シネマ」3巻 六田登 小学館 B6
 前巻でとったアリがアリ以上のものへと変貌を遂げていくさまを記録したフィルムがきっかけとなり、サバニたちは十年以上も続いた刑事物のTVドラマの最終回を撮影することに。人気ドラマの最終回で、刑事・古田京介に実際の殺人事件を解決させようとするサバニたち。最初は主導していたかに見えた彼らだが、しだいにその役者、そして犯人たちの人生の積み重ねに圧倒されていく。一見突拍子もない展開ではあってもグイグイ読者を物語に引きずり込んでいく、ストーリーと描写の力強さはさすが六田登。今回は刑事・古田京介役の役者、沖田がサバニたちを完全に食っていてかっこよかった。

【単行本】「藤原カムイコレクション[1] 犬狼伝説」 画:藤原カムイ+作:押井守 角川書店 B6
 重厚な武装に包まれた警察機構の特殊部隊「ケルベロス」。そこで生きる人々、「犬」どもの姿を描いた作品。月刊少年エース8月号から完結編の始まった「犬狼伝説」の旧版、形を変えて3度めの刊行である。内容的には今さらいうまでもないことではあるけれども、作品世界と藤原カムイの精緻な絵柄がうまいことマッチしていて非常にかっこいい雰囲気を創り出している。泥臭さ、ほこりっぽさもうまく表現できている。そして装丁がかっこいい。後書きを読んで知る表紙カバーの位置づけ、赤と黒のコントラストが利いた中表紙。シブイ一冊である。


7/3(土)……ベイビー、俺のマゲだぜ。

 煮詰まっているから、というわけでもないが、会社でペットを飼い始めることにした。飼うのはアルテミアペットである。「アルテミアペット? なんだいそりゃ」と首をひねったあんたも、シーモンキーといったら分かってくれるだろうか。ツクダオリジナルが販売している飼育セットを、池袋の王様のアイディアで買ってきたのだ。とりあえず今日は第一段階。飼育用のプラスチックの水槽に水を入れて、そこに海水の素を足し、一晩置くという手順を踏む。24時間経ったらシーモンキーの卵を投入し、その後24〜30時間待つとシーモンキーのベイビーが誕生するという段取りらしい。エサは1週間に1〜2回やれば良いらしく、これなら土日会社に来なくても餓死させずに済む。ちょっと安心した俺だった。今回は水は水道水でなく、コンビニで買ってきたミネラルウォーターを利用したので、ミネラルの力で強く育ってくれるに違いない。シーモンキーを制した後は、カブトガニにもチャレンジしたいところではある。いや、実際デジタルペットなんてもう古い。これからはアナログペットの時代だ。ツクダオリジナルのホームページ(シーモンキーの商品情報は[おもちゃいろいろ]→[ノベルティ]→[シーモンキー]で見てくれ)によれば「愛情こめて大事に育てると、世代交代を繰り返し、何年もあなたのペットとして生きます」とのこと。ああ、ちなみに電池も不要だ。

【雑誌】ヤングキングダム 8/4 No.8 少年画報社 B5中
 佐野タカシ「イケてる刑事」。今回もテンションが高くて、ちょっとHなシーンが続出。お姉ちゃんたちのお肌がつやつや光っているのがHくていい。ソソる。五十嵐浩一「Home Sweet Home」。今回は本筋と同じくらい背景のモブが気になってしまった。p.135〜136のあたり、人物のタッチがなんかものすごく田川滋くさいのだけど……。たぶん間違いないと思う。法田恵「こんすとらくたーず」。主人公たち二人のアツアツぶりが微笑ましい。下ぶくれ系の絵って好きだ。大石まさる「みずいろ」も毎度いい感じ。ヒロインの女の子が魅力的。心和む爽やかなお話。ちょっと艶っぽいところも吉。

【単行本】「ちょんまげどん」2巻 ほりのぶゆき 小学館 A5
 さまざまなマゲが世界中にはびこり、愉快な活躍をしたりしなかったり。そんな漫画である。最初のころはどうなるかと思ったが、しつこいほどに反復することによって、一種異様な面白さを作り上げた。本当にマゲだけなんだけれども。おそらく1冊当たりのマゲの登場本数でいえば、漫画界広しといえども上位にランクインするのではあるまいか。「髷」という文字の使用頻度においては間違いなく日本一であろう。マゲなんぞ嫌いだという人も、そこは一つ曲げて、読んでいただきたい。読まなくても全然かまわないが。


7/2(金)……月下攻防#将棋系

 ムネカタ氏来社。本日はビジネス。お願いしていた原稿の校正刷りがあがってきたのでチェックしていただく。会社に2泊という状態だったので、少々臭かったかもしれず申しわけない。本題が済んだ後、ムネカタさんと編集部で雑談&外に出てメシ。仕事にかまけていて頭がショート気味だったので、気の利いたことはあまりいえず。
 というわけで煮詰まり気味でたぶん泊まっても大した仕事はできまいと見切りをつけ、今日はいったん帰宅。風呂はいいねえ。ふとんもね。

【雑誌】ペンギンクラブ 8月号 辰巳出版 B5中
 飛龍乱「SECOND」。娘が彼氏を家に連れてくるのだが、彼は実はお母さんのほうが行きずりでナンパされて不倫していた少年で……というお話。飛龍乱は毎度毎度読ませる。お話自体はそれほど大したことがなくても、キャラクターは魅力的だし、心理描写も巧み。お話の展開も非常にスムーズで、実にいい仕事しているなと感じる。絵も洗練されてきて魅力的だし。キャリアは長い人だけど、その間着実に進歩している印象。最近の作品はとくにいい。ああ、それとやっぱり人妻モノは好きだ。亜麻木硅「BRAND」。絵的にはエロ漫画界的には古い世代なのだけど、いまだそれなりに魅力はある。完成度は高い。身体のラインなどの描写や、エロシーンの流れはこなれていて手堅い。けっこうH。ちゃたろー「ちゃたろーの昔話」。いつもはパワフルで密度の異様に濃いエロで勝負なちゃたろーだが、今回はお気楽に読める4コマエッセイ。なんかけっこういい味。ただ、この人って4コマになっても密度が高いなあ。

【単行本】「月下の棋士」24巻 能條純一 小学館 B6
 A級リーグを闘う氷室に大きな壁。自分の将棋を見失い、心身ともに絶不調。というわけでこの巻での氷室は生彩を欠き続ける。ちょっと息苦しい巻。

【単行本】「ナイーヴ」3巻 二宮ひかる 白泉社 B6
 最終巻。身体から始まった田崎と麻衣子の恋愛も、時を重ねるにつれ熟して、たいへんに心地よいものへと変わる。お互いを信頼し愛する二人の距離感が、たいへん近いのだけれど暑苦しくもなくサッパリと気持ちいい。素っ気なさげな絵柄ではあるけど、手触りはしっとりとしていてとても細やか。スレンダーでペタペタした感じの女性の身体の描き方も、キレイで魅力的。たいへん面白うございました。満足。

【単行本】「dessin」 小野塚カホリ 近代映画社 A5
 エルティーンcomicに掲載された作品を集めた短編集。六つのお話が収録されているが、そのどれもがとてもうまい。オシャレでかつHでキレイな絵柄。恋のドキドキを、かっこよく映し出す表現。ストーリー回し。読んだ後味は均質だが、局面局面の描写は爽やかだったりエロチックだったり微笑ましかったり。また、それがコンスタントに高いレベルで表現される。どの作品を読んでも、いつの間にかお話に引き込まれてしまう。本当にうまい。


7/1(木)……どーんどーんぶきき

 忙しくて本屋に行けないよう。石田敦子「からくり変化あかりミックス!」とか買いたいものもあるのだけど。泊まりっぱなしのかばんに雑誌がどんどんたまっていくのです。どんどんどんどん、どどんがどん。
 MANGA OPEN2次選考の通過者が今号のモーニングに載っていたが、J・マツオは落選したもよう。特殊な作風の人だけにまあ仕方ないか。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 7/15 No.32 秋田書店 B5平
 板垣恵介「グラップラー刃牙番外編」。猪木的男の猪狩と、馬場的男の斗羽の試合が始まる。きっと板垣恵介自身が、馬場 vs.猪木の対決を見たかったのだろうなあという入れ込みぶり。西条真二「鉄鍋のジャン!」。キリコの乳。なんだかもうパッツンパッツンで、どんどんでっかくなっている感じ。まっすぐ立つと自分のつま先が見えないのでは。川島よしおの新連載「O-HA-YO」がスタート。といっても前作「グルームパーティー」とノリはほとんど変わらない。固定キャラが今のところいなくなったくらいの違いか。別に連載を終わらせなくてもOKだったのでは、と思わなくもないが、たぶん描いている人としては気分的にもだいぶ違うもんなんだろうなあ。

【雑誌】ヤングジャンプ 7/15 No.31 集英社 B5中
 7月9日発売の別冊ヤングジャンプ掲載予定のナカムラマコト「黄泉路」がちょっと楽しみ。気になる絵柄をしている。
 奥浩哉「ZERO ONE」。主人公のネロが、どんどんゲーセンの格闘ゲームMBZに魅せられていく。いよいよ、物語の舞台はヴァーチャル世界に移るのだろうか。

【雑誌】ヤングサンデー 7/15 No.31 小学館 B5中
 山田芳裕「デカスロン」。世界選手権はいよいよ大詰め。万吉、オブライエンの、最後の力を振り絞る激闘も最終局面。万吉は今度こそ力尽きるか……というところで以下次号。作:鍋田吉郎+画:藤原芳秀「コンデ・コマ」。前田光世 vs.キニース・ウェインの死合決着。それにしてもだんだんケイトが魅力的になってきていていい感じである。山田玲司「アガペイズ」。どんどん状況はせっぱ詰まっていき、緊迫感は増す。インチキくさい野球ではあるのだけど、無理やりドラマチックな展開に持っていく力業はなかなか。泣かせたもん勝ち的状況。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 7/15 No.14 小学館 B5中
 岡崎二郎「国立博物館物語」が最終回。スーパーコンピュータ「スーパーE」が人類にとっては絶望的ともいえる未来を示すが、しかしそれをもマクロなスケールでポジティブに捉える視野はかっこいい。ラスト前の見開きあたりはゾクゾクくる。オリジナリティあふれる着想と、それを地に足を着けて描き出す筆力がある。作:北沢未也+画:おおつぼマキのコンビで「嫁入り前なの!」が新連載。ちょっとマセてるけど、けっこう夢見がちで無邪気な小学校4年生の女の子、桜庭ももよが主人公のほのぼのコメディといった感じの出だし。ももよがけっこうかわいくて魅力的なのだ。

【雑誌】モーニング 7/15 No.31 講談社 B5中
 春場洲太夢+松本剛「ラストマウンド」。引退を囁かれている往年の名投手の散り際を、駆け出し女性キャスターが取材する。その過程でその投手の全盛期を見ぬまま育った息子との触れ合い、現役にこだわり続けた男の意地などが描かれる。198勝していて「あと2勝」といわれてから3年間、もがき続けた彼が欲しかったのは「あと2勝」ではなく、「その1勝」であった。自分の信じた道を貫き通そうとする男と、その周囲の人々が織りなすドラマは、まっすぐで力強く爽やか。ページ数も62Pと多く、読みごたえあり。木場功一「キリコ」では、榊親子のここまでの道がさらに描かれていく。悪役に見えた榊父も、実は心に傷を持つ者であったというわけか。緊迫感のある表現が、状況の切実さをさらに際だたせる。


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