◆ 1999年9月下旬 ◆
9/21〜30
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9/30(木)……ふろふき童子
10月のお買い物予定。
林静一はまあ例によって出ないんじゃないかとは思うんだけど。目玉はアフタヌーンシーズン増刊とコミックエデンかな。あとCUEとかEROTICSとかマグナム増刊とかも出るし、10月は不定期刊雑誌がアツイのだぜ。そしてなんつっても駕籠真太郎!ようやく駅前シリーズが単行本にまとまるのであります。
日 | タイトル | 作者 | 出版社 |
上 | 東京ゾンビ | 花くまゆうさく | 青林工藝舎 |
上 | ph4.5 グッピーは死なない | 林静一 | 青林工藝舎 |
1 | コミックエデン | | 兎菊書房 |
5 | MAXI<マキシ> | TAGRO | コアマガジン |
5 | 殺し屋1(5) | 山本英夫 | 小学館 |
5 | デカスロン(23) | 山田芳裕 | 小学館 |
5 | 海猿(3) | 佐藤秀峰 | 小学館 |
5 | どいつもこいつも(2) | 雁須磨子+川崎利江子 | 白泉社 |
6 | 超・学校法人スタア學園(17) | すぎむらしんいち | 講談社 |
6 | ABILITY(2) | MARO | ワニマガジン社 |
6 | 昇天コマンド | 西川魯介 | ワニマガジン社 |
7 | チョコの歌(3) | 架月弥 | ソニー・マガジンズ |
8 | アフタヌーンシーズン増刊 | | 講談社 |
10 | 零式 | | リイド社 |
12 | オリジナル11月増刊 | | 小学館 |
12 | 歌麿(5) | 六田登 | 双葉社 |
13 | 町野変丸作品集 | 町野変丸 | 三和出版 |
15 | SPEED KING(5) | 間部正志 | 講談社 |
15 | MANGA EROTICS3 | | 太田出版 |
19 | ALIVE(1) | 高橋ツトム | 集英社 |
19 | 01(ZERO ONE)(1) | 奥浩哉 | 集英社 |
20 | SEXドリフター | 桃山ジロウ | 蒼竜社 |
21 | 新マグナム増刊 | | 講談社 |
21 | ファイヤーキャンディ(1) | 今村夏央 | 秋田書店 |
22 | バガボンド(4) | 井上雄彦+吉川英治 | 講談社 |
25 | PLANET 7(2) | 竹谷州史 | アスペクト |
25 | 喜劇・駅前虐殺 | 駕籠真太郎 | 太田出版 |
25 | アックス(11) | 根本敬他 | 青林工藝舎 |
25 | 大漫王 | | 小学館 |
26 | てぬのほそみち | 須藤真澄 | 秋田書店 |
26 | CIRCLE | すえひろがり | シュベール出版 |
27 | バウンティソードダブルエッジ | 大武ユキ | エニックス |
27 | ワイド版首代引受人 | 平田弘史 | リイド社 |
28 | おまかせ!ピース電器店(15) | 能田達規 | 秋田書店 |
29 | シネマ(4) | 六田登 | 小学館 |
29 | 奈緒子(23) | 坂田信弘+中原裕 | 小学館 |
29 | 新性生活−ネオ・ライフ− | SUEZEN | 白泉社 |
29 | ぼくらのプラトニックラブ | 氷室芹夏 | 双葉社 |
下 | COMIC CUE #7 | | イースト・プレス |
下 | フィギッシュ(仮) | 大越孝太郎 | 青林工藝舎 |
下 | ヒヤパカ(新装版) | 山野一 | 青林堂 |
下 | 山田章博全集おぼろ探偵帖(1) | 山田章博 | 日本エディターズ |
下 | 子供の森・完結編 | もりしげ | オークラ出版 |
【雑誌】ヤングキングアワーズ 11月号 少年画報社 B5中
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大石まさる「海の民クレハ」。自給自足しているのだが、他国からの侵略を免れるために示威としての海賊行為を行っている海の民。海賊した船で見つけた密航者・サダオキに一目ぼれした、族長である少女クレハは彼を海の民の集落に留めおこうとする。無邪気で健気なクレハが可愛らしくてよろしい。犬上すくね「イヌと上手につき合う方法」。ベタベタに惚れてきている男の子(=イヌ)を、うまく扱う方法を語る。いや、なんともトロトロで素晴らしい。メロメロに惚れるのは、惚れられるよりたぶん気持ちがいいのだ。惚れられた経験は(たぶん)あんまりない(はず)し、あんまり惚れない人間なのでそこらへん適当な感想ではあるが。あと赤井孝美の嫁、ひぐちきみこによるほのぼのヨメエッセイ漫画「ひねもすヨメ日記」がスタート。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 10/14 No.45 秋田書店 B5平
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水島新司「ドカベンプロ野球編」。おおお。豪快なすっ飛ばしぶり。オールスター第1戦を異常に詳細にやったと思ったら、2、3戦はなかったかのようにスパッと省略。さらにオールスター以降のペナントレースも全部省略。しかも135試合めのダイエー、西武直接対決で優勝が決まるという展開に、たった22Pで持っていってしまう豪胆さはさすが水島先生。
【雑誌】モーニング 10/14 No.44 講談社 B5中
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井上雄彦「バガボンド」。毎度毎度書いてしまうが、今回もまたかっこよかった。最終ページ、あえて宝蔵院胤舜を引いたカットで描き、寺の建物をどどーんと後ろに置く構図なんかも実に見事。王欣太「蒼天航路」。破滅方向に向かってひた走る、鬼気迫る異能の軍師、郭嘉がかっこいい。抜き身の刀という感じ。榎本俊二「えの素」。算数テストで苦戦するみちろう。助平な語呂合わせで算数の天才ぶりを発揮する父。語呂合わせの強引な見事さと、それをリズミカルに次々と繰り出してくるスピード感がたまらない。きくち正太「おせん」がまたしても登場。今回はおせん流の、風呂吹き大根と煮干しのおすまし。凝りまくった一品。食ってみてえ〜。上野顕太郎「ひまあり」。今回は数々の食い物の幼稚食いを極める。幼稚食いとは食べ物をおもちゃにするように食うアレである。ポテコを指にいっぱいはめて食うとかそういう奴。下らないディティールにこだわっていてたいへんによろしい。久しぶりにうえけん風味を満喫した感あり。
【雑誌】ヤングサンデー 10/14 No.44 小学館 B5中
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原案:武豊+画:一色登希彦「ダービージョッキー」(構成:工藤晋)が新連載。競馬学校に通い、未来のジョッキーを目指す17歳の少年が主人公。絵柄は細野不二彦似。キャラクターの首筋がスラッとした感じがわりと気持ち良い。佐藤秀峰「海猿」。仲間意識で始めた自主潜水訓練が最悪の結果になって、訓練生たちにのしかかる。ここまできちんと話を組み立ててキャラクターを描いてきただけに、ドラマに重みがある。遊人「桜通信」。前号でハッピーなことになったと思ったら、今度はかなり不穏な雲行き。どうするんかいね。この行き当たりバッタリ感はすさまじい。山本英夫「殺し屋イチ」は休載。
【雑誌】ヤングジャンプ 10/14 No.44 集英社 B5中
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山口譲司「BOiNG」。世界最高のフェチたちが集まってもどうにもできなかったお嬢さまを、座丸がイカす。それが世界を救うことにつながってしまうという、なんだかどうでもよく馬鹿馬鹿しい展開。下らないって素晴らしい。今号は奥浩哉「ZERO ONE」が載っていないので、いつにも増して見どころが少ない感じ。
9/29(水)……コミックE電パンチ
兎菊書房(うさぎくしょぼう)初の雑誌、というか初の刊行物、コミックエデンVol.1の見本誌が届いた。本当は10月1日発売。兎菊書房はできたばっかりのたいへんに小さい出版社ではあるが、掲載作品はかなり多士済々(知人も入っているが敬称略)。
まず表紙が鶴田謙二。漫画はあびゅうきょ、山口綾子、山本ルンルン、うらたじゅん、細川貂々、新谷明弘、福満茂之、有川祐、津野裕子、松本充代、甘友ういこ、木戸宏起、松永安心堂、青木京太郎、大橋ツヨシ、永野のりこ。あさりよしとお+唐沢なをき+永野のりこの対談もあり。さらにコラムでは唐沢俊一&ソルボンヌK子、永山薫、猫柳けいた。さらに98年(99年も一部含む)に初単行本を出した作家の作品、創作系同人誌のレビューでは、宗像明将、吉本松明、小田中、本田健、我執院譲治といった面々も。
作家の顔ぶれを見れば誰の目にも明らかだが(多少誇張)、ガロの流れを汲む雑誌である。発売日前にネタをバラすのもアレなので、感想は10月1日の日記までお待ちあれ。なお、発売は星雲社。ISBN4-7952-5676-4 C0979。定価は1000円+税。判型はA5平。要するに普通の単行本と同様の装丁であるってこと。そんなわけで雑誌のコーナーよりも、むしろアンソロジーとかの棚に置かれる確率が高いんでは。探す人はそういうところも注意。たぶん発行部数はごくごく僅少なので、欲しいと思う人はレッツ血まなこ(CMNK)。
秋葉原の肉の万世にて、某自作系雑誌で熱血青春自作漫画を描いている漫画家の人と打ち合わせ。といってもいつものとおり本業の話は2%くらいで、メシ食いつつ漫画の話ばかりぶんぶんと。まあ本業のほうも漫画の話ではあるんだけど。ほかの客はみんないなくなったのに、ランチとコーヒーで3時間ネバり声高に怪しげな話をする二人を、店員さんが迷惑そうに眺めていた。帰りにMegadataという会社のATAPIの50倍速CD-ROMドライブを購入。PCアドバンスド3丁目店にて4980円。人を殺せそうなくらいの勢いで円盤をぶん回す機械が、今やこんな値段で変えるのだなーと感心。
【雑誌】週刊少年マガジン 10/13 No.44 小学館 B5平
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満田拓也「MAJOR」。吾郎がストレート1本で特待生たちをバッタバッタと三振に切っていくさまは痛快。それにしても次回で250話なのに、まだこの段階っていうのはちょっと丁寧すぎる感もある。村上もとかの読切「紅蓮の剣」。今回は後編。明治の世になったけれども、親の仇を討つために剣の腕、居合いを磨き続けた少女。仇を討つほうも、狙われるほうも、それぞれに業を背負っており、味わい深い短編だった。さすがに表現が堂々としており、ゆるぎがない。
【雑誌】週刊少年マガジン 10/13 No.44 講談社 B5平
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塀内夏子「Jドリーム完全燃焼編」最終回。やはり本当に最終回であったらしい。うーん、ちと不完全燃焼。「Jドリーム」の最初のシリーズはプロの狡猾さ、テクニック、意地が感じられてとても面白かったのだけど、飛翔編から鷹の友達作りという正確が強くなり全体にヌルくなった。も少し厳しいしのぎ合い、削り合いを見たいものだが。完全燃焼編でも最初のシリーズのメンバーと飛翔編のメンバーのコンビネーションがイマイチだったように思う。やっぱりワールドユース、つまりU-19のメンバーが、すぐにボコボコとフル代表入りするってのはムチャな気がする。U-23、オリンピック代表組あたりをすっ飛ばしているし。最初のシリーズで富永を追い落とすキーパーとして出てきた上條なんかはかなり割を食っている。韓国戦がなかったというのも弱い点だった。現実の代表も対戦しているのだし、ここはぜひ入れて欲しかったところ。レベルアップしたチェ・ユンファたちが見たかった。まあ韓国だけに限らず、相手国側の描写が不足していたのは事実。W杯本大会での話はほとんど触れられなかったが、これは現実の日本代表の成績との兼ね合いを考えると妥当な判断であったかもしれない。とまあ文句ばかりいってしまったが、毎週楽しみに読んでいた作品ではあった。サッカーについての知識もシッカリしていたし。塀内夏子の次回作が何になるかは知らないが、力の入った奴を期待したい。
巻頭カラーで森一生「釣りに行こうぜ!!」がスタート。タイトルどおり、釣り漫画。大物を好んで狙う、釣りアクションって感じになりそう。
【雑誌】ヤングチャンピオン 10/12 No.20 秋田書店 B5中
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巻頭カラーで作:本橋伸宏+画:たがみよしひさの新連載「UNDER GROUND」がスタート。駆け出しライターの青年が、憧れている先輩と一緒に裏本の世界に足を踏み込んでいく……といったお話。田口雅之「アクター」。その男が解決するわけではないのだが、依頼主を狙う相手がすべて死んでしまうという強運の用心棒「アクター」。彼の活躍を描く。用心棒アクターは、「バロン・ゴング・バトル」に出てきたバロンの旧友・矢島に似ていて、飄々としたノリで普段は強くなさそうなんだけど、実はすご腕の持ち主。読切でボリューム的にちともの足りないところはあるが、まあそれなりにエンターテインメントしている。作:宮崎克+画:高岩ヨシヒロ「松田優作物語」。今回は「野獣死すべし」撮影編。松田優作がかっこよく描けていてよろし。丸尾末広「笑う吸血鬼」は第2部・完。いちおうの完結はしたようだが、ラストは若干中途半端。第3部はあるんだろうか。ちなみに単行本は2000年初頭とのこと。
次号から葉月京「恋愛ジャンキー」という新連載が始まるが、たぶんこれが昨日の日記のピンキィの項で書いた百済内創の隔週連載って奴だと思われる。
巻頭カラーは朔ユキ蔵「向こう側の少年」。ちんちんいじりを覚え始めた少年が、いつもちんちんばかりいじくっている自分に対して、鬱屈としたやり場のない怒りを覚える。ときに自暴自棄にさえなってしまう彼は、しかしそれでもやはりうだつの上がらぬ日常を続けていくしかない。今回は4色カラーがたいへんに美しかった。くすんだ質感がいい具合に映えている。モノクロページはシャープなペンタッチでこちらもいい。これだけうまいと、メジャーから声の一つもかかるんじゃないかとか思うのだが。かるま龍狼「妄想つとむ」。妄想し始めるとどうにも止まらない少年・つとむ。かわいい女の子とのHを妄想し始めるが、目にしたものが次々と妄想に入り込んでくる。自分の母親や別に好きでもないデブ子ちゃんなどなど……。現実と妄想がクルクル入れ替わり立ち替わりするのだが、それを破綻なく読ませられるというのはやはり見せ方のうまさによるところが大きい。リズミカルでテンポがいい。OKAMA「スクール」。草薙くんのプレイボーイっぷりは止まらず。うらやましい限りのモテモテぶり。SABE「阿佐ヶ谷腐れ酢学園」。いい感じにやる気のなさげなお話。いい加減なノリが素敵である。ポヨ=ナマステ「カリスマ気象予報士」。ちんこで気圧やら気温を感じ天気を予想する気象予報士。彼のカリスマづいた語り口での予報は、人々を魅了する。ちんこは出しっぱなしだが、TVのカメラは下半身はとらえないので問題ない。ネタといい、オチといい、たいへんに馬鹿馬鹿しくてよろしい。こういう下らないパワーは重要である。
- 日記アップ当初、「カリスマ気象予報士」の作者名を「ピロンタン」と誤記していました。お詫びして訂正いたします。
草津てるにょ「あゆみの恋」。父娘相姦モノ。つっても娘はすでに成人女性。草津てるにょは女体の描き方が艶やかでええのう。BENNY'S「側室No.10」。大奥のミニ版みたいな感じの側室10人囲われている屋敷での乱痴気。BENNY'Sの描く女の子は肉付きが良くてむっちりしていていい感じ。ちょっと女性向け系でコミカルな絵柄なんだけど、色っぽさもしっかりあっていい。きゃらめる堂「ドレスレス」。6回め。ちゃんとページ数使って、人妻がじっくり調教されている。絵柄は現在のH漫画の水準からすると若干野暮ったくはあるのだけど、エロはきちんとやっていて十分実用的。
【単行本】「メイドロイド雪之丞」 井荻寿一 実業之日本社 B6
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彼女とサカっている最中の男の部屋に、巨大な荷物が届けられる。開けてみると中には一人の女の子が……。彼女・雪之丞は男の7代後の子孫から届けられたロボットであるという。……といった出だしから始まる表題作「メイドロイド雪之丞」。井荻寿一の描く女の子は、ヤングヒップの「霊能探偵ミコ」なんかでも分かるとおり、上品なんだけどたいへんに色っぽい。そして奥床しいかわいらしさがあふれている。俺はものすごく好きなのだ。そしてこの雪之丞。タイトルどおりメイドである。ときたらメイド服だ。そして、なんと猫耳である。未来の世界の猫耳ロボットである。いやもうなんともたまらん作品といえる。Hシーンはあんまりないしお話的にすっごい面白いってわけではないけど、雪之丞が健気でたいへん愛くるしいのでいいではないか。さらに3作ほど短編も収録されており、こちらも女の子がかわいい。
9/28(火)……ピンからキィまで
ヤングチャンピオンを買うのを忘れていたような気がする。隔週雑誌はついつい忘れがち。
巻頭カラーはいくえみ綾の読切「ラヴレター」。60P。高校3年のクラスの同窓会の通知が、元クラスメイトの人達に届く。そしてその会場に現れた、欠席していた目立たないクラスメイトの幽霊。その幽霊は、同窓会の前後、けっこう頻繁に目撃されている。とくに主役格の上杉涼子の元にはちょくちょく現れ、洗濯物の取り忘れとかを注意してくれるなどしていた。幽霊といってもその元クラスメイトは死んだわけではなく、自閉症気味ではあるが健在。どうやら本人は気づかずに生き霊を飛ばしてしまっていたらしい。彼は涼子に惹かれていたらしく、彼のパソコンには涼子宛ての、出さずじまいのメールがいっぱいたまっていた。この作品のクライマックスは、こっそり涼子とあと二人がこのメールを読むところ。彼の脳髄からあふれ出た、ちょっと切なく、美しくもある言葉が4ページに渡って表示される。その間、絵はなくページは文字だけだ。しかし、レイアウトがゆったりしていて、印象的な言葉の並びをしているのでついつい読んでしまう。ラストはふわりと消えるように。鮮やかナリ。
そのだつくし「産直!ローカリアン」は新連載。就職活動がうまくいかなくてむしゃくしゃしていたねーちゃんが、デパートの物産展で泣いている奇妙な男に出会う。彼は自分の育てた牛がハムやら何やらになってしまって、しかもそれを今自分が売っているのが悲しくて泣いていたのだ。その夜、彼らは一緒に飲みに行くのだが、むしゃくしゃしていたねーちゃんは、男の農業的生き方にやる気をあおられ、農業を始めるとかたんかを切る。……で、しばらくたってそんなことはスッカリ忘れていたある日、美容院にいた彼女の元に現れた一台のトラクター。例の男が、彼女をひっさらっていって自分の故郷へとブイブイ飛ばす。そこから始まる、農業に生きる女の物語……という感じらしい。要約で感じていただけたかは定かでないが、かなり闇雲な勢いを持った作品である。そのだつくしのサバサバして、ドタバタ忙しい作風はけっこう好き。よしまさこ「うてなの結婚」。人妻であるうてなに一目ぼれした美少年が登場。早く子供を作れと周りにやいのやいのいわれてムシャクシャしていたうてなはついついトキめいてしまい……というところで以下次号。よしまさこの作風は軽やかでよろしい。そしてエッセイ漫画のほうの「1丁目の楽園」も、ほのぼの楽しくてつい笑ってしまった。楽しそうなご家庭だ。
くらもちふさこ「天然コケッコー」。そよと宇佐美君の噂は広まり、また誤解を招く厄介な事態に進展。今回は4色カラーの扉絵がキュートでいいですな。コーラス本誌初登場、梅田シズルの読切「ピカッと光ろう!」。ちょっぴり素人くささの残る若い絵柄が心地よい。作風はパタパタと楽しく、きれいにまとまっている。絵がアッサリしているわりには画面がちょっとガチャガチャとうるさい印象も受けるので、も少し整理されるといいかも。
【雑誌】コミックピンキィ 11月号 オークラ出版 B5中
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もりしげが復活。タイトルは「犬運動会」。うっそうとした森に4人の体操服姿の年端もいかない少女たち(小学生くらい?)が放される。そこに流れる放送。「これからこの森で君達と鬼ゴッコをやりまーす」「君達は僕等鬼からがんばって逃げてください」「一位の子だけ助かって後はヒドイ目にあいまーす」。たぶんこのアナウンスは金八先生の声で読むといいのだ。まんま高見広春「バトル・ロワイアル」(小説。太田出版刊。新書判)であるからだ。少女たちは容赦なく森の中で男たちに狩り立てられる。ヒドイことはやっているのだが、少ないページで4人の少女をこなしているせいか、もりしげにしてはヌルい。ところでコミックス発売予定では8月となっていたもりしげの「子供の森・完結編」だが、10月下旬になった模様。百済内創「ちょっとコーヒーしていかない?」。Hさはほどほどだが、女の子はかわいいし、絵もうまいし過不足なし。扉のところに「某マンガ誌隔週連載決定」ってあるけど、どの雑誌でしたかいのう。
「阿ウン」のウンはヨークタウンのウンではなく口へんに云。
巻頭カラーはお茶の子「地球防衛部 長官はキミだ!」。国際非常事態特別法によって地球防衛部の部長に任命されてしまった女の子。とはいえ、仕事はたった3人の部員の性欲処理&買い出しのみ。コミカルさを保ちつつ、わりとしっかりした線で、やることもガシガシやっててなかなか。師走の翁「PEACH家庭教師」。ちょっと吊り目の年上のおねーさん家庭教師と彼女の教え子。自分は「わるい女」であると語る彼女のことを、教え子は小生意気な口をききつつ好きなのだが……。奔放で小悪魔的なキャラクター作りといい、絵の完成度といい、落とし方といい、たいへんにうまい。感じてくると寄り目がちになる表情も魅力的。
【雑誌】MEN'Sドルフィン VOL.03 司書房 B5中
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間垣亮太「Witch!3.14番外編 天使のKISS」。この人の描く乳は大きくて、たいへんにやわらかそうだ。ちと垂れ気味ではあるが、重量感がある。きっとこの人は、乳がすごく大好きなのだろう。いいですな! ただ、カラーCGと思われる原稿をモノクロで印刷しているページは、司書房の雑誌の常として紙質があんまり良くないので、ちょっとピンボケな感じに見えてしまう。ドリルムラタ「エゴイスト」。娘をコマしている家庭教師のにーちゃんに欲情してしまった奥様。あとはもういわずもがなでやるわけだ。ちょっと乳がデカすぎな感じはするが、ここらへんはサービス精神のたまもの。セックスシーンはパワフルでねちっこい。なんつっても人妻。桂よしひろ「永遠の瞬間」。この人は絵がうまいなあと思う。細身の女の子が身体を反らせるところとか、ポーズの描き方も印象的。みたまけい「とってもいんもら〜る」。なんか最近復活したと思ったら単行本まで出てしまってびっくり。この作品は再録くさいが、いやあ絵が古い。でも最近のエロ漫画絵を見慣れている目に、昔の美少女ブームのころのような絵柄の野暮ったさがなんか和む。
【単行本】「今日のだいちゃん」3巻 太陽星太郎 小学館 A5
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単行本データ等はオスマンに。
単行本は3巻になったが、今日も今日とてだいちゃんは、地球上のどこだか分からない場所で突っ立っている。6時25分からの5分間、日本中の人々に見つめられながら。これだけの回数を重ねてきて、番組「今日のだいちゃん」を視る、あるいは視れない人々、そして番組を制作する人々の間のドラマもいくつか進展を見せてきた。そして、この単行本にはまだ収録されていないが、現在ヤングサンデー連載中の「24時間DIE-CHAN」(ダーティTVがだいちゃんをさらって日本で24時間公開するという企み)シリーズへとつながり、彼らの人生はクロスしていくのだ。そしてだいちゃんは、いまだ突っ立ったままだ。
なお、今回の表紙は黄色。今のところ、青、赤、黄と来ているので次は緑か?
9/27(月)……輝け! そして死ね!
サーバーレンタルの申込書類を投函。これでもう後戻りはできねえ。
しかし、よく考えてみると俺ってネットにけっこう金つぎこんでるなあ。電話代、ニフティ、AIRnetにさらにサーバーレンタル料となるとけっこうイヤな金額になる。年額で20万円はいってるような。もしウチの地域でケーブルTVのネットワークサービスが始まるようならこれも契約するだろうから、さらに金がかかること必至。うーむ。そろそろネットで元を取る、つまり金もうけの方法とか考えなきゃいけないころか。まあとりあえずこのホームページを作っている一番の目的は売名であるわけで、広告料と考えれば……やっぱ高いよな。
奈知未佐子「夢の扉」。浮浪者のおっさんが、毎日同じ夢を見る。それは実は彼が少年のときに作りっぱなしにしたまま結末をつけなかった物語。その物語に自ら結末をつけることで、おっさんは夢の扉を開ける。奈知未佐子は毎度感心するほどに、完成されたファンタジー世界を読者に呈示する。ほんのり心暖まる、ちょっとほろりとするような。そしてそれはけして押しつけがましくない。このコンスタントさ、巧みさ。素晴らしい。倉多江美「お父さんは急がない」。囲碁のプロ棋士であるお父さんと、その長年のライバルであり碁友である相手とのお話。タイトルどおり急がない。脂っ気のまったくない、余分な力の抜けた自然体の作風が、しみじみと心地よい。萩尾望都「残酷な神が支配する」。ジェルミの重荷が多少解消されたかと思えば、今度はイアンが落ち込み、それがまたジェルミを暗い気持ちにさせる。二人の精神が連鎖し、ともに暗がりに引きずり込まれていく。業は果てしなく深く底が見えない。
平とじになって2号め。内容はかなり充実して頼もしい雑誌。実用性はまあそれなりだが、力強く読ませる作品が多く、作家の平均レベルが高い。同じワニマガジン系の快楽天がライトすぎてもの足りない人はこちらをぜひって感じである。
巻頭カラーは天竺浪人「SHINE」。登校してから下校して、家にたどり着くまで、女の子をとっかえひっかえのべつまくなしやりまくっている男子学生の1日を描く。今回はダークサイド天竺ではなく、気楽にギャグも織り交ぜつつ話を進める飄々モード天竺だ。ただ、やっているだけなのに、なんと54Pもあるんだからすごい。明るいのも暗いのもどっちをやっても天竺浪人風味、しかもうまいんだから大したもんである。ISUTOSHI「高校星プラウラ」。この人のシャープで骨もある絵は毎度達者。エロもキッチリ描き込み、お気楽さも盛り込む。デザインとかスタイルがビシッとハマッててかっちょいいなあ。小林少年「ヒナドリオトコ、ヘビオンナ」。男子と女子が学校の屋上で、うだうだしゃべりながらSEX。気取らない雰囲気の会話が心地よく、ゆさゆさした肉体の描写もけっこうソソる。三部敬(たぶん瓦敬助と同一人物)「ほたる」。ちょいと頭弱げな女の子・ほたるをダマして東京の風俗に売り払っちまおうとする男。ほたるの周りにはなぜかいつも蛍が集まっていて幻想的な雰囲気。無邪気な笑顔を見せるほたるがかわいい。
十羽織ましゅまろ「薄紅の果実」。この人の描くエロシーンはなかなかにパワフルで良い。美夜川ハジメ「誕生日はグランドクロス」。「ヤリヤリマンピョ女刑事」は普通の言葉で、「ハンサム」などといった言葉のほうが逆に差別的である世界。妙齢の女刑事が「小便臭いパイパンのツルペタのロリロリ」と罵倒されるなど、随所で言葉の意味がひねくれまくってて軽妙。至るところで遊んでて楽しい。MARO「ABILITY」。今回の巳月竜司のターゲットは女シャチトレーナー。なんか特殊な職業の人もコマすんですな、この方は。RYU-TMR「パラパラ」は絵がパチッと決まってて、コミカルな魅力がある。なかなかいい雰囲気。
あと、飛龍乱のエッセイ漫画「1999年のねこ」で、彼の奥さんが宇佐木恵との記述あり。へー、そうだったんだー。
【雑誌】ヤングマガジン 10/11 No.43 講談社 B5中
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最近、若干パワーが落ち気味なような。
すぎむらしんいち「超・学校法人スタア學園」。とってもうさんくさいボロ劇団に合格したコキジが、その劇団で失格し続けている菜津子の元カレ氏に出会う。そして下らない勝負をすることに。コキジのおずおずとしたツッコミのあたりの呼吸が絶妙。やっぱうまいわ。小田原ドラゴン「おやすみなさい。」。テレクラのジャッカル・辻尾くんにライバル出現。早押しのフェラーリ・沢田くんだ。下らないノリが楽しい。
ヤンマガ増刊エグザクタで「ラブ・シック・ファッキン・ロケッツ」を連載していた田村健が9月12日、交通事故で逝去されたとのこと。ご冥福をお祈りします。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 10/11 No.43 小学館 B5中
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巻頭カラーで石井まゆみの新連載「PAPER WOMAN」がスタート。新米の女性新聞記者が奮闘したりする話のようだ。さすがに女性向け漫画のほうで実績がある人だけあって、お話の進め方は堂々としたもの。適度に遊びも入れつつガッチリ読ます。わりと期待。若狭たけしが読切で登場。タイトルは「クイズ Oh, my God!」。奔放な性格、好き勝手な客いじりなどで人気を集める女子アナウンサー。彼女は強烈な運の良さでここまでのし上がってきたのだが、その番組放映中に銃を奪って逃走中の凶悪犯に捕まってしまうが、これまた度胸と運でふてぶてしく解決……とかいうお話。余韻が残るお話ではないけど、キャラクターは強いしとりあえず読ませる。野本明照「オヤコドン」。やる気のない父とひねた息子の、ドライで呑気な日常。それなりに個性的でかつキッチリ完成された絵柄。お話ともまとまっている。新鋭のわりには当たり外れがなく、確実に読める人ではある。ただ、この人の場合、ちょっとまとまりすぎという印象が強い。もう少し何か突出した部分があるといいのだが。
【雑誌】週刊少年ジャンプ 10/11 No.44 集英社 B5平
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巻頭カラーで浅美裕子の新連載「Romancers」がスタート。自分に定められた力の言葉(Word of Power。略してWOP←本当に作中でこのように略されている)を交えたセンテンスを口に出せば、それがどんなに非現実的なこと(例えば靴がジェット噴射になっているといったような)でも現実のこととしてしまう異能力を持つ少年が主人公。浅美裕子の作品は、いまいちヌルくて俺には乗れないところがあるんだけど今回はどんなもんだろう。作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」。毎日おうちで佐為と碁を打っているヒカルは、周りも驚くほどの急成長を遂げ、メキメキ棋力を上げる。最近、佐為はやけに無邪気。
【単行本】「密室監禁強姦」 桃山ジロウ 松文館 A5
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実にそのまんまなタイトル。女の子が密室に監禁されて強姦および調教されるお話。桃山ジロウの描く女の子は、ジューシーである。肉付きが良くて、ちょっと野暮ったいのだがそこがまた魅力。ウエストやら足やらが太めなあたりがなんか和む。基本的にエロ小説的な調教が描かれるが、やることはけっこうダイナミックである意味健康的ともいえる。ただ、収録されている作品自体は、唐突に始まって調教シーンが呈示されまた唐突に終わるといった感じの、ブツ切れ気味な作品が多い。それはシリーズものである「人形の館」でさえ同様。
9/26(日)……ようし、つかまえてやるぞう
俺サーヴァーを借りるため動き出したしばたくん。今日はトンガドメインの取得に挑戦だ。http://www.tonic.jp.to/にアクセス決めて、空いてるドメイン名を探してみた。ohp.toとかも空いてたけれど、サーヴァースペースを他人に貸す可能性を考えるともう少し汎用性が高いほうが望ましいと思い、いろいろ悩んだ末、picnic.toというのが空いてるのを発見。ソッコーでモーシコンディッド。motemote.toとかも心惹かれたけど、むしろピクニッキズムの完遂を狙ってみた。次はいよいよサーヴァーレンタルの申し込みに挑戦するゾ。書類は作成したから、明日さっそく投函だ! 実際にサーバーが稼働するまでには1ヶ月くらいかかりそうな感じだが、コンテンツの細部変更などやらなきゃならないことがいろいろあるので、しばらくは移行準備をせっせとやるデース。
というわけで。これからウチのページにリンクを張りたいとか考えていらっしゃるカッチョイイ方、移行完了するまで待っていただいたほうがベターかと思います。
津田雅美「彼氏彼女の事情」。宮沢たちが演じる劇中劇の前半が終了。文化祭で前半後半合わせて2時間の劇をやるってのはかなりスゴイと思うんだけどどんなもんだろう。この劇中劇、独立した作品としてけっこう見ごたえがあっていい感じ。ささだあすか「パジャマでごろん」。作者本人も新婚であるらしいのだが、漫画も新婚さんのお話。適当に結婚してしまったお二人の日常。全体にのほほんとしており和み系。飄々としつつ、妙に持って回ってみたりするセリフ回しがとくにいい味を出している。
【雑誌】Cookie 10/30 Vol.1 集英社 B5平
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りぼんとぶ〜けが共同編集した新雑誌なのだそうな。今回が第1号。次号は12月中旬に発売される予定。
で、お目当ては谷川史子「マイ ボーイフレンド」。突然何もいわず転校していった高校1年生のころのボーイフレンド三宅くん、通称「みゃあ」くんのことがいまだに気持ちの中でひっかかっていて、なかなか新しい彼氏を作れなかった女の子・はじめさんがヒロイン。大学生になったある日、突然二人は再会することになるのだが、みゃあくんには新しい彼女がいて……という感じ。結局二人は元の鞘に収まるのだが、みゃあくんの新しい彼女が気の毒なような。それはともかく、谷川史子の作品は久しぶりに読んだけど、サッパリした絵柄が相変わらず気持ち良い。均整がとれてて、楽しげで和む雰囲気もあって。それといくえみ綾が猫がらみのエッセイ漫画を描いている。おまけ漫画的ではあるが。
【単行本】「空からこぼれた物語」 大石まさる 少年画報社 B6
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大石まさる名義としては初の単行本。ヤングキングアワーズに収録された作品を集めた短編集。大石まさるの描く女性は健康的で清潔感があって、しかもふくよかでいい。丸みがあって、全体にボリューム感がある。のびのびとしていながら、艶があって、しみじみとした風情。どうも釣りがたいへんに好きな人のようだが、そのせいか自然の風景の描写が細かくて美しいのも良い。とくに渓流やその周りの木々などの描写は絶品。美しい背景とのびやかなキャラクターたちがマッチしていて、なんとも心暖まる作風を織り成している。お話が断片過ぎて多少食い足りないときもあるが、描画がそれを補ってくれるので十分に楽しめる。読むとなんだか善人になったような気分になれる作風。とても良い。
なお、この単行本の巻末には大石まさるの原画を使用したパズル(どんなパズルかは不明)のプレゼントの告知がある。〆切は11月30日で当選人数は150人。欲しい人は狙うべーし。
9/25(土)……MVPは景浦選手?
本日は昼飯に七輪で秋刀魚を焼こうかと思ったのだが、暑くて火を焚く気になれず中止。もっと脂が乗ったころにやるべし。
玄関のところに捨てる予定の雑誌の束を置いといたら、俺の知らない間に親が勝手に知り合いの人に何束か進呈してしまう。おおむね少女漫画の中に、さりげなくエロ漫画雑誌を何冊も紛れ込ませておいたのだが、それが裏目に。まあいいや。回春にでも使ってくれたまえ。
今号はイマイチ。
篠房六郎が久々に登場。タイトルは「空談師」。107ページの読切の、前編49ページが今回掲載。ネットワーク型RPGで、ほかに誰もアクセスしない閉鎖されたダンジョンに閉じ込められた5人。なんだか大掛かりな仕掛けがありそうな感じだが、前編ではまだなんとも。これは後半を読んでみてから評価したい。大西巷一「女[女咼] JOKER」([女咼]は女へんに咼で一文字の漢字)が新連載。瞳に人を滅ぼす力を宿した少女を、諸葛亮孔明が拾う。その力について孔明は知らないのだが、それは乱世を変えてしまうほどの力を持っていて……といったお話。木村紺「神戸在住」も、いちおう今回から連載という形に。カジノモリエ「未知との挿入」は、四季賞夏のコンテストで谷口ジロー特別賞を受賞した作品。平凡な男子学生が道端で女陰を拾う。実はそれは宇宙一の知的生命体だった……。軽い感じのギャグ作品。それなりにくすぐる笑いではある。
四季賞秋のコンテスト。山本昌幸さん通過してるなあ。あと、神原則夫なんかも応募しているようだ。
【雑誌】エクストラビージャン 10/30 集英社 B5中
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町田ひらくが読切で登場。タイトルは「虹蟲」。漫画を描くのが得意だった少年が、自分の好きな娘をモデルにした絵を描くようになる。絵の中の彼女はその中で現実は別の成長を遂げていき、彼だけに淫らな姿を見せるようになる。しかし、ある日その絵を彼女に見られてしまい恋もこっぱみじんに。後悔だけが日記に残った夏だった。といった感じの物語。とりあえず派手ではないのだけど、きっちり手堅くまとめてある。できればもうちょっとページ数読みたかったところ。竹下堅次朗「世紀末心中」。1999年の7月、世界の終わりを誘拐してきた女の子と二人、狭い部屋で迎えた男。何もいわず、ただ微笑み続けるだけの彼女に男はいたたまれない罪悪感を抱くが……。短いけれどきっちりまとまった、哀しうてやがて温かき物語。わりとよくできていたと思う。
お目当てはこがわみさき「4分の3拍子の2つのハート」。かわいらしい恋物語。やっぱりこの人は絵。スッキリとしていて、サッパリと爽やかな魅力。適度な省略が気持ち良く、スッと抜けるような軽やかさがいい。物語としては若干地に足がついていないような気はするのだが、それがかえってフワフワとした不思議感に結びついてもいる。浅野りん「恋してなんぼ」。仏教系の学校で、放課後いつも一人で残って写経をやっている少年を見つめていた女の子。彼がときおり見せる透き通るような笑顔に彼女はトキめいていたのだが……。絵柄もお話もかわいらしくていいなー、これ。お互いが好きって気持ちが素直でよろしい。あとはこなみ詔子「深海少年」。深い海の底で、マリンスノウと戯れながら水面を夢見る少年・イントと、イントの空想を否定してばかりいるもう一人の少年・ラフルのお話。哀しみを漂わせたファンタジックな物語。天野こずえ「アキ色マーチ!」もかわいらしくて良かった。
ステンシルはエニックス初の少女漫画誌ということだが、何回か回を重ねてだいぶこなれてきたかな、という印象。
【雑誌】別冊YOUNG YOU 10/30 1999AUTUMN 集英社 B5平
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榛野なな恵「ピエタ最終章」の最終話が掲載。親に疎んじられて育ってきた女の子と、これ以上ないくらいの愛に包まれて育ってきた女の子。実に対照的な育ち方をしてきた二人だが、お互いが自分のもう片側であるかのように、二人で一つであるかのように惹かれあう。性的なものは一片とて差し挟まれない、硬質で純粋な愛を描く。結局二人は一緒に暮らすことになるが、ただめでたしめでたしではなく、疑念を差し挟むことも忘れないのが榛野なな恵らしいところ。きれいだがビターな味わいでもある。なお、今冬くらいには単行本化の予定とのこと。
【単行本】「越後荒川堂夜話」壱巻 石坂和道 講談社 A5
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一見、日本の民話といった感じのタッチながら、後味はたいへんに濃い作品集。へんぴな山奥の村での出来事をしみじみと語るのだが、そこに込められた情念、妄念のパワーはすさまじい。純日本的でジメジメしており、おなかにどすんとくる。とくに外部には知る者とてない隠れた谷に迷い込んだ男を、その谷に住んでいるただ一人の女がつなぎとめようとし、生まれ変わってまでもまとわりついてくる「花子」はページ数が100ページ以上もあり、圧倒的な読みごたえを誇る。点描を多用し、木の葉の一つひとつまで描写する執念深さが物語にも現れている。言い知れぬ迫力のある一冊。
9/24(金)……比丘尼パンツ
久しぶりに出社したら、社メールボックスにやたらメールがたまっていていい感じ。
昨日、日本酒をガバガバ行ってヘビーな目覚めだったというのに、何やら今日も呑みにいくことに。さすがに自重してビールとなんかよくわからんカクテルだけにしておく。たまには酒断ちせんといかんかなあ。
【雑誌】CUTiE comic 11月号 宝島社 B5平
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小野塚カホリ「そどむ」。なんか落ちたみたい。扉には33Pとあるのだが、6ページしか掲載されていなくて、空いた部分に「daydream believer」という26Pの読み切りが掲載されている。コレって再録かなんかだっけか? 南Q太「夢の温度」。竹田兄にどんどんハマっていく原センセイが健気でかわいい。かなりラヴじみている。かわかみじゅんこ「さみしい熱帯魚」。この人の作品って、表面は乾いているけど触ってみると水がじゅわっと染み出してくるスポンジのような感触がある。女の子の気持ちが瑞々しく描けていて良い。オーツカヒロキ「愛ラブSHOCK!!」。絵はキレイなんだけど、間抜けた表現とかに勢いがある。安野モヨコと吉本蜂矢の中間位置くらいというか。朔田浩美「トゥルーラブ」。CUTiE初登場。メロディで「魔法のSHAKOCHAN」を描いていた人だ。絵はまだ多少練れてない部分があるんだけど、勢いがあってわりと好きだった。この作品は、読者投稿原作モノってことでちと大人しめ。橋本ライカ「高校生なあたし」。CUTiEで描く人では最も気に入っている人の一人。学園祭で泊まりの夜の、少年と少女のちょっとしたエピソード。若いっていいね。輝いてるね。
【雑誌】ヤングアニマル 10/8 No.19 白泉社 B5中
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文月晃「藍より青し」。今回はネコミミ。いやもうなんともベタベタ。見事である。田中ユタカ「愛人[AI-REN]」。今回のサブタイトルは「初恋」。ヤラレタ。8話めにして、こいつらは初恋してやがるのである。AI-RENのあいと、イクルはお互いを異性として意識し始める。濃密な甘酸っぱさ。切ないトキメキ。うはー。エロ漫画雑誌に描くのでも似たようなことをやっている田中ユタカだが、この作品はエロがないぶん恋の部分の純度が高く、恋エキスがトロトロに煮詰められ、しかもページ数があるもんだから読みごたえまである。今回で第一部完。なお単行本第1巻は11月29日、第2部開始は12月10日発売号。
馬場民雄「麻雀青春綺談 トバクチ」。前後編70Pで今回は前編。ネット麻雀で鳴らしていた少年が、実際の金を賭けての麻雀に挑み、苦杯を呑む。そして実感として金のかかった真剣勝負の世界にのめりこんでいく……といったお話。こいずみまり「コイズミ学習ブック」。今回はカラーあり。AV撮影現場取材モノ。なんかこの人の場合は、取材モノでないほうがアップテンポで進む分、面白いような。あんまり関係ないけど、AV男優の中では加藤鷹はさほど激しくないので見る分にはあんまし好みでない。人間的にはたいへんにスゴイ方だとは思いますが。浅黒い肌にビキニパンツ。金のネックレス! 技来静也「拳闘暗黒伝セスタス」は第4章終了。再開は2000年の1号。そろそろ実感として2000年が見えてきましたな。
【単行本】「太陽が落ちてくる」2巻 咲香里 笠倉出版社 B6
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物語中盤。第8〜15話を収録。残りの分は年内発売予定の第3巻に収録。
母親を亡くし、母の元恋人である祐介のもとに転がり込んだ女の子、つかさ。ところが祐介はアダルトビデオの監督をしていて、彼のマンションで実際に撮影とかが行われていたりして、おぼこ娘のつかさはもうドッキドキの毎日さっ……といったお話。まあ実際には祐介が職業・AV監督であることはお話の中ではそんなに生きていなくて、つかさと祐介の世代をまたがった愛がお話の中心となる。この巻では、つかさのお母さんと祐介が知り合ったころのエピソードが良い。祐介はつかさのお母さんよりだいぶ年下。つかさのお母さんが若いツバメ(祐介談)である祐介との恋愛に見る見るハマっていく。ここらへんのエピソードはごぶさた的人妻の熟れた肉体という感じで、けっこうH。オトナの女性がトキメいているさまがなんだかかわいい。
通しで読んでいくと、生かされていない設定もあるし、掘り下げがちと足りない部分も見られる。ただ、やっぱり絵は華やかできれいだし、恋するトキメキは十分に描かれている。多少の瑕瑾は目をつむってしまいたくなる魅力は、確かに持っているのだ。不満な点に関しては、きっと「春よ、来い」で解消されるんではないかと期待している。
9/23(木)……醜聞の日
吉本松明さんとサイトウマサトクさん、それからしばた兄弟の4人で飲みに行く。もともと俺から松明さんに渡すものがあったのに加えて、サイトウさんにレンタルサーバーの爛れた実態を伺いたいという希望があったというわけで、一席設けたのである。目指すは、以前行こうと思ったら満員で入れなかった、池袋の軍鶏系の焼き鳥屋さん。軍鶏は普通の鶏よりもだいぶ肉が締まりまくっていて固かった。そのストロングリーな歯ごたえがたまらねいという感じだった。「CCさくら」への松明先生の熱き想いを語る吉本さんの姿が、何やら胸を打つものあり。そうやって男4人、濃い話と日本酒に酔い、出た結論は「やっぱりムネカタさんはスゴイ」ということだったのでした(つまりこの4人とも、それぞれのジャンルで多少上を行けるということがあったとしても、幅の広さなど総合力の面でムネカタさんにはやはりかなわないなあとしみじみ話し合ったということであります>ムネカタさん)。
【雑誌】ヤングジャンプ 10/7 No.43 集英社 B5中
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目玉はヒロスエ。
七瀬あゆむが短期集中シリーズ「この夢の続き」で登場。今回は前編。七瀬あゆむにしてはHな展開。こういう路線をエスカレートして、高見まこみたいになるとうれしいかも、とか思った。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 10/7 N.44 秋田書店 B5平
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水島新司「ドカベンプロ野球編」。ダイエーのVがいよいよ見えてきたかというこの時期に、ようやくオールスター第一戦が終了。でも水島先生は責められまい。まさか彼とて、ダイエーが本当にここまでくるとは思ってもみなかっただろうから。やまさき拓味「優駿の門」。競馬には全然興味がないんで、あんまり読んでない作品なんだけど、今回はコマ割りが非常にダイナミックなので目を惹いた。ほとんどが見開きか1ページぶち抜き。こういう画面使いはけっこう好き。
これにて最終巻。この巻だけ分厚い。シャープで荒々しく、かつ妖艶な絵柄と迫力のある物語で、連載開始しばらくは非常にテンションが高かったが、終盤に行くに従ってパワーが落ちてきてしまったのは残念なところ。ラストも不完全燃焼。キャラクターたちはアクが強く、しっかり立っていただけに惜しいところ。とはいえ、途中まではしっかり楽しめたのは事実だし、その点はきちんと評価したい。人形のような顔だが冷酷な殺人者であるキリコと、獣のような遊佐の対比はなかなかいいコントラストを描いていた。
【単行本】「蒼天航路」17巻 王欣太 講談社 B6
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諸葛亮孔明登場。頭はいいけどカタブツって感じのイメージのある孔明を、淫猥でビッグな男に仕立てるという趣向が面白い。ただ、正直なところ、すでに惰性で購入を続けている感もある。三国志を最後までやるとなったらまあしょうがないとは思うのだが、これからもずーっと続くのだろうなあと思うとあまり心地よくない。キリのいいところでスパッと終わるほうがカッコイイような気はするのだが、ときどきさすがと思わせるシーンもあるので、まあいいかとも思う。
9/22(水)……角刈りのマルガリータ
散髪。非カリスマ系ディスカウント床屋にて。ザクッと角刈り。
巻頭イラストでかわらじま晃、漫画ではMAC-V、第25歩兵師団が初登場。最近、新しい人をいろいろ入れているせいか、若干薄味になってきている。もっとギチギチの濃厚な変態ぶりを見せつけてほしいところではあるが、そういうの描ける人は限られているし、新しい血を入れるというのも大事だと思う。とりあえずいろいろ試してみているようなので、その中から一つでも二つでも収穫が出てくるとうれしい。
海明寺裕「puppy Love」。イヌに接する少年の意識の芽生えを描くこのシリーズ。K9側ではなくご主人様側の視点が描かれていく点が興味深い。外見がどうあれ、イヌはイヌ、人間は人間と決まっているとの由。うーん、深い。蜈蚣Melibe「バージェスの乙女たち」。アノマロカリスが、脳酒を呑まされ、また半ば自分の意思によって転落していく。サブタイトルは「転落は高貴なる者の特権」。見事である。描写は濃厚で、込められた想いは深い。強力すぎるほどの想いに毎度圧倒される。白井薫範「私の罪はアナタノツミ」。うえー、容赦なし。豚女には、巨大な焼きごてで豚の烙印。逃げ道などなし。鋭利菊「秋のはじめの身体検査」。男子生徒の目の前で、性器をなぶられ機能を確かめる身体検査をされる女の子4人。観察する男子、観察される女子。それぞれの屈託のなさ、というよりその異常な状況を屈託のないように描いてしまう鋭利菊の業の深さを強く感じる一作。男子たちのセリフが妙にオヤジくさいあたりのミスマッチもなんだか笑える。この人がこういうヘンテコな世界を描き出すのはナチュラルなことのようでもあり、そこに深みを感じる。
【雑誌】コミックドルフィン 11月号 司書房 B5中
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今号も頼もしく実用に徹する誌面作り。ストーリーはわりとどうでもいいが、その分実用方面は強力な作品が揃っている。
みやびつづる「艶衣」。巻頭カラー。4色ページは珍しくCGを使っているが、色を使いすぎな感じもあり。内容はお祭りの会場で、普段は貞淑な人妻が男漁り。浴衣であるだけにノーパン、ノーブラ。そこらへんからチンピラを見つけてきて神社の境内でちんぽ三昧。今回も密度が濃く、エロ臭をまき散らす。いい仕事してます。マーシーラビット「SEX WAT」。みやびつづるがちょいと崩れた感じの劇画系エロスならば、こちらは明朗快活な美少女系エロス。でもやることはキッチリ。性犯罪に対応するため設立された対性犯罪特殊部隊SEX WATの活躍を描く。今回は4時間以内にフェラチオで10回射精させないと爆発するという、たいへんに都合のいい爆弾が登場。当然10回やるわけだ。ふんだんに抜きカットを用意し、こちらもいいお仕事。北方国明「アレルギーの特効薬」。みやびつづるに近い味わい。乳の大きさといい、液体の量といい、ちんちんの本数といい、実にふんだん。あとは巻末2色カラー、BENNY'S「泉家の人々」が目を惹く。わりとオシャレな絵柄ながら、むっちり感があり、エロ方面もソツがない。そしてコミカルにまとめてくるあたりはうまい。司書房で活躍する人では井ノ本リカ子同様、きっちりエロを押さえつつ話も読ませてくる一人。
【雑誌】週刊少年マガジン 10/6 No.43 講談社 B5平
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森川ジョージ「はじめの一歩」。青木のタイトルマッチも大詰め。土壇場にきて、たいへんにくだらない新技が炸裂。大仰に前振りして一気にたたみかける。思わず笑ってしまうリズムの巧妙さ。塀内夏子「Jドリーム完全燃焼編」は、アジア第三代表決定戦が決着。と思ったら次号で最終回とのこと。W杯編はやらんのかなあ。
【雑誌】週刊少年サンデー 10/6 No.43 小学館 B5平
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村上もとかが読切で登場。タイトルは「紅蓮の剣」。今回は前編。時は江戸時代末期、父母を殺された少女・春が、刀鍛冶の養父に引き取られてそこで腕を磨き、仇討ちを目指す。女性なので腕力がない春は、誰よりも早く剣を抜き一の太刀にすべてを賭ける居合いの鍛錬を積む。居合いは、剣道漫画はもちろん剣術漫画でも主人公はあんまり使わないタイプの技であるだけに、きちんと描いてくれると面白そう。村上もとかだけに期待してしまう。久米田康治「かってに改蔵」。今回も地丹はイカれており、最近では改蔵よりも強力。
【雑誌】ヤングサンデー 10/7 No.43 小学館 B5中
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岩田やすてる「球魂」。アフロチャイナ・鄭の実力が爆発。うなるラケット、ひしゃげるピンポン球。そして揺れるアフロ。髪の毛の揺れが、絶妙な体重移動を生み、ボールに威力を与えているという噂! 柏木ハルコ「ブラブラバンバン」。ブラバンの名門校で一悶着起こして自分たちの学校に帰ってきた御一行。意気消沈する部員たちだが、芹生さんだけは動じず、視聴覚室にて一人でわけのわからんことをおっ始める。芹生さんはけっこうどうしようもなくてよろしい。山本英夫「殺し屋イチ」。ヒモチャイナ・龍に拷問が爆発。うなる鉄拳、ひしゃげる肉体。そして迸る絶叫。山本英夫の生臭い暴力表現は、読者の肉体感覚に訴えかけてきて実に凄みがある。つまりたいへんに痛そうだってこと。
【雑誌】モーニング 10/7 No.43 講談社 B5中
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今号の目玉は吉田基已「水と銀」。野暮ったい外見で心優しいバンドマン・亜藤森のちっちゃくてかわいい彼女・星クンの通っている学校に、バンド仲間の青木が美術教師として週二日教えにくることに。今回のメインキャラクターは星クンと同じクラスの、ちょっとツッパった感じの女の子。無愛想でツンケンした感じではあるが、実はなかなか友達が作れない少女。同じように自分を閉ざしているかに見えた星クンを親近感をもって眺めていたが、森や青木の前では楽しそうに笑う星クンの姿を見ていらだたしいものを覚える……といった感じでお話は進む。トーンを使わず、ペンで細かく描かれた画面の感じが好ましい。ゆったりした距離感も。大きな物語があるわけではないが、一人ひとりの心の揺れを描いていく、丁寧さが心地よい。あと、星クンがちまちましててかわいくていいなーという感じである。アフタヌーン四季賞系の作品とか好きな人なら迷わずチェケラー。なんとなく村上かつらとか好きな人もチェケラーすると良さそう。作:亜樹直+画:的場健「サイコドクター」が2週連続で登場。今回は、患者の心の内から響くノイズの源を探る。展開は読めてしまうが、そこはまあ毎度のことだしかまわないんではなかろうか。
9/21(火)……ぼくは暴君
とくに何もしないで日中を過ごしたのが悔しかったので、何かやろうと思ってたまった雑誌をいくぶんか捨てる、というか捨てる準備をする。気に入った作品のみ切り抜いて、捨てる本をビニールひもで縛る。とりあえず本日は平とじ雑誌。少年週刊誌と少女漫画誌とエロ漫画雑誌が少々。計50冊くらいだろうか。基本的に単行本化されそうな作品は切り抜かないので、平とじ雑誌は処理が比較的楽だ。ビーム、アフタヌーンといったところは雑誌をまるごと保管しているので切り抜く必要もなし。これが中とじになるとたいへん。平とじ本と同じ体積でも冊数は2〜3倍あるから、それにいちいち目を通して切り抜き物件を探すのはけっこうな苦行となる。だからついつい中とじは後回しにしがちなぼくだ。
【雑誌】花とゆめ 10/5 No.20 白泉社 B5平
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日渡早紀「宇宙なボクら!」。顔を赤らめっぱなしなヒロインの女の子がかわいくていいなーという感じ。あとは桜井雪「ショート寸前!」。スラッと背が高くて美人なんだけど、ガラの悪い高校の生徒でたいへんに乱暴者な女の子と、お嬢さま女子高の女の子が一日だけ制服を交換。あっさりすっきりした感じの絵柄で、おねーちゃん方がこぎれいでよろし。ラブコメ風味も爽やかで甘い。
【単行本】「我が名はネロ」2巻 安彦良和 文藝春秋 A5
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コミックビンゴで連載されていた作品。連載完結前に雑誌がお亡くなりになってしまったので120ページ分の描き下ろしを収録しての単行本化。
この巻では「暴君」と呼ばれたネロの内側にさらに潜り込む。すべてが与えられていた立場であったがゆえに、自分の中の何ものをも信じられず疑心暗鬼に陥り、彼は数々の暴政を繰り返す。弱き心と環境が生み出した悲劇が「暴君ネロ」として結実し、それがボロボロと崩れ落ちていくさまを描く。安彦良和の描く主人公キャラクターには、いつも多分に一人よがりで、肝腎な部分でかなり没論理的である。このネロもそういった人間だ。ただ、そうであるがゆえにしっかりと不幸になっていくというのは納得できる。また、下手に雑誌休刊に合わせてドタバタと結末をつけなかったというのはプラスだったと思う。描き下ろしである分、きちんと物語を着地させることができている。
【単行本】「たとえばこんなラヴ・ソング」4巻 北崎拓 小学館 B6
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ワイド版コミックスの最終巻。たいへんにねちっこく、恋の苦しさばかりが目立つラヴ・ストーリー。「愛と誠」的な力任せな恋愛ではなく、あくまで現代的で駆け引きを細かい。高校生のころからこんなハードでやりきれない想いをしていたら、さぞ鍛えられることだろう。全般を通してのベストキャラクターは高瀬くんの高校に入ってからの彼女、八木さん。明るく素直だった彼女が、彼を取られたくないという想いからどんどん疑心暗鬼になっていって性格悪くなっていくさまが息苦しくて、ゲップが出るような読みごたえを与えてくれていた。あと高瀬くんの妹もやり口が意地悪でよろしい。カタルシスはなかなか得られない漫画だが、濃密な展開にマゾヒスティックな喜びを感じる一作。
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