◆ 2000年2月上旬 ◆

2/1〜10
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2/10(木)……のんのんじいとおれ

 家に帰るとメンズノンノが届いていた。先日モデルとして登場したのでその見本誌らしい。さすが本職のカメラマンさんだけあって、なかなかかっこよく撮れておりますわい。

 というのは意外なことにウソで、「これは読んどけ! カリスママンガ」という特集のために、昨年末あたりに読者(ではないけど)アンケートの依頼がきて、それに協力したのだ。私と同い年のライターさんの落合尚之「黒い羊は迷わない」の推薦コメントには興味をそそられるところだが、見たところ俺の書いた意見についてはまったく掲載されていない。そりゃまあ、昨年のベスト1漫画に花輪和一「刑務所漫画シリーズ」とか挙げたら、メンズノンノ検閲は通るまい。ああいう雑誌の誌面に「花輪和一」という活字が躍ることを秘かに期待しないでもなかったのだけど。いつの日かメンズノンノにモデルとして登場しリベンジすることを目標に、明日からも強く生きていこうと思う。

 本日入手の未読物件。早売りブツ含む。
【雑誌】ヤングジャンプ 2/24 No.11 集英社 B5中
【雑誌】エースネクスト 3月号 角川書店 B5平
【雑誌】コミックビーム 3月号 アスペクト B5平
【雑誌】ネムキ 3月号 朝日ソノラマ A5平
【雑誌】コミックバーズ 3月号 ソニー・マガジンズ B5平
【雑誌】少年チャンピオン 2/24 No.12 秋田書店 B5平
【単行本】「おさなづま」2巻 作:森高夕次+画:あきやまひでき 双葉社 B6
【単行本】「犬狼伝説」完結編 藤原カムイ 角川書店 B6
【単行本】「彼女」 かかし朝浩 メディアックス A5

【雑誌】ガロ 3月号 青林堂 B5平
 執筆陣は青林堂のページ参照。雑誌全体の印象を一言でいうなら「保守的な前衛」。
 巻頭カラー、ねこぢるy「ねこぢるうどん」。ころぺた号パニックが続く世の中で、にゃー子たちの家族はまあいつものとおり好き放題している。全編フルカラーCGだが、「ねこぢるうどん」の場合はモノクロ手描きのほうが好き。川崎ゆきお「猟奇王」シリーズ「大阪ダンジョン」は飄々として力が抜けていて良い。キクチヒロノリ「産院ミドリゴ」。いきなり意味なくヘンなコマ割りから始まる。これほどにイカれた雰囲気というのは、作ろうとしてもなかなか作れるもんじゃない。カッコイイほどだ。みぎわパン「父のいなか」。絵柄はむちゃくちゃにクセがあるけれども、かなり叙情的な作風である。あえていおう。ステキであると。逆柱いみり「恐怖博士の花嫁」。毎度素晴らしい。話自体はわけがわからなくても、この人の作品はしっとりと肌になじむ絵柄をずっと追いかけているだけで、頭がくらくらしてきてトリップできる。いみり的世界に酔っぱらうのは、なんとも幸せな体験である。あと、4コマガロに福満茂之が投稿しているので好きな人は見逃すべからずだゼ?

【雑誌】零式 Vol.14 リイド社 B5中
 今号から月刊化。表紙が中村博文でピンナップが米村孝一郎。漫画は天竺浪人、二階堂みつき、たかしたたかし、りえちゃん14歳、きお誠児、御形屋はるか、むつきつとむ、たいらはじめ、宇佐美渉、佐藤村雨英太郎、木ノ下ひるね、結城心一。目黒三吉もちょこっとだけ。ホットミルクっぽい、というかコアマガジンっぽさが漂う。次号では、鬼魔あづさ、才谷ウメタロウも登場予定だし。
 さて、巻頭カラーは天竺浪人「AFTER S」。高校を卒業する4人の男子どもが、楽しかった高校生活を振り返る。女教師・シズカ先生を性奴隷にしてズボズボやりまくりだった日々を。最近の天竺浪人のちんちん描写はリアルで神々しくて非常にいいのだが、この作品もそれは同様。高い表現力に支えられた、堂々としたエロエロぶり。ただ、お話としてはなんか中途半端なところで終わっている。続きがあるのかな? りえちゃん14歳「あいす・きゃんでぃ」。この人も「ベテラン作家」といわれるようになったかー。時の流れを感じますな。御形屋はるか「ピンク・パレード」。ショタっぽい外見の連邦保安官の長官と、脱獄を繰り返すイケイケねーちゃん的犯罪者。彼らの下らなくアツアツな関係を描く。絵柄は可愛いしお話は馬鹿馬鹿しいしで、なかなか楽しい一作。

【雑誌】モーニング 2/24 No.11 講談社 B5中
 メビウスさんに見透かされようが何しようが、俺はインドまぐろ子が好きだ! っというか高橋のぼる「リーマンギャンブラーマウス」が好きなのだ。登場人物たちの思いもよらぬ行動に度胆を抜かれ、インドまぐろ子のナーンテネ テヘッにニヤニヤ。スタミナB定食というセンスに打ち震え、マウスの食いっぷりに心躍らせる。ラストのセリフのさりげない気の利きっぷりにもシビれる。ギャンブルシーンはどうでも良くなってしまいそうでいて、実は重要な柱として厳然と存在する。おもしれえよ、この漫画。良すぎる。さて話は変わって、巻頭カラーで高橋ツトム「鉄腕ガール」が連載スタート。戦後まもなく、GI向けのホステスをしていた加納トメ。鋭い眼光とスレンダーな身体。冴え冴えとした美貌を持つ彼女が、怪しげな男の勧誘に乗り、女子プロ野球の選手となる……とかいった感じのお話になるようだ。とりあえず第一話は非常にキャッチーに始まり、滑り出しとしては上々。「地雷震」でおなじみのクオリティの高いシャープな絵柄も健在。期待できそうな新連載である。

【雑誌】ヤングキングダム 3/4 No.3 少年画報社 B5中
 無事入手。大石まさる「みずいろ」。清美が健康的でぱっつんぱっつんなのが、やっぱりどうにも魅力的。こういうボリューム感がある女の子は、俺ごころをくすぐる。なめぞう「たいせつ」。今回は「ハイライト」がお休みで読切。妻をなくし、息子に全愛情を注ぎまくる父親の過剰な心配の日々。キャラクターたちの思いっ切り空回りする意気込みを、これまた力が妙に入りまくった絵柄で描く作風はなめぞうならでは。堀田あきお「ねじ」。この人の脂っ気がなく、いい具合に力の抜けた絵柄は最近かなり好きになってきた。小生意気な感じの女の子が、地味ながら案外かわいいのだ。

【雑誌】ヤングアニマル 2/25 No.4 白泉社 B5中
 田中ユタカ「愛人[AI-REN]」。素晴らしく切ない。今回も濃密にイクルとあいの二人の幸せな生活が描かれるのだが、それが幸せであればあるほど切なさが増す。この世界は、死にそうなほどに甘酸っぱく輝かしい。田中ユタカがエロ漫画で長い時間かけて磨き続けた精髄が、ここに凝縮されている。もう一つのマウス、といえばこちら作:あかほりさとる+画:板場広志「マウス」である(そうでもないか)。マウスとメイって、夜はちゃんとやってるんですな。やってないわけはないんだけど、改めて描かれるとちょっと意外。

【雑誌】ヤングサンデー 2/24 No.11 小学館 B5中
 新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」、山本英夫「殺し屋イチ」が連載再開。それぞれ圧倒的な力を持つ作品であるだけに、この二つが揃うと誌面がビシッと引き締まる。原案:武豊+漫画:一色登希彦「ダービージョッキー」。けっこう読める。首が長くてスラリとしたキャラクターが魅力的。線が伸びやかで惹かれるものあり。


2/9(水)……ヒッパルコスの羽美

 あ、ヤングキングダム買い忘れてた……。明日探さなきゃ。見つかるといいけど。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/23 No.11 小学館 B5平
 河合克敏「モンキーターン」。一瞬のコーナリングに賭ける駆け引きがうまく描けていて、なかなか白熱した展開。毎度きっちり読ます。草場道輝「ファンタジスタ」。ノートパソコンで相手のサッカーを分析。「電子ロックのカテナチオ」。ダサい。でもそのダサさがもはや味。なんだかんだで読んでるんだから俺の負けだ。久米田康治「かってに改蔵」。バレンタインネタを2週も引っ張るとは。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/23 No.11 講談社 B5平
 やなぎはあきら「「銀の鼓動」が巻頭カラーで連載スタート。物語は1907年の中国から始まる。北京−パリを結ぶ1万8000キロのラリーに、雄大な大地を疾走することに憧れる少年が挑む……という物語になりそう。初めて自動車を運転する少年がいきなりドリフトをやったりとムチャな展開も見られるが、大風呂敷を広げようとする姿勢は買い。ラリーに使われる車も、今ではクラシックカーと呼ばれる存在になったかつての名車たちであり、ロマンをかきたてる。技巧的にはまだぎこちないところもあるのだけど、意気込みが少年漫画らしくて気持ちいい。今後の展開に期待したい。あと、赤松健「ラブひな」のデスクトップアクセサリーCD-ROMが3月下旬に発売されるらしい。4800円。Windows用。

【雑誌】スーパージャンプ 2/23 No.5 集英社 B5中
 久しぶりに駅で拾得。車田正美「リングにかけろ2」が第2回め。表紙のアオリ文句、「100億メガバイトの大反響!!」っていうのがほのかに頭悪げで味わい深い。100億万円って感じ。たなかじゅん「ナッちゃん」は単行本も出ている作品だが、今号から本格連載化。街の鉄工所で奮闘する女の子の物語。なお、「わかってまんがな」のたなかじゅんとは別人……だと思う。徳弘正也「狂四郎2030」は、狂四郎による殺戮の嵐。悲壮であり悲惨ではあるのだが、人間がスパスパ斬られていくシーンからは強いカタルシスも感じる。力が入っていてかなり面白い。

その後、「わかってまんがな」のたなかじゅんと、「ナッちゃん」のたなかじゅんは同一人物であると判明。(2000/11/28)

【単行本】「春よ、来い」2巻 咲香里 講談社 B6
 正々堂々、真っ正面からラブ・ストーリーをやっていて素直に楽しめる。瑞々しく華やかな絵柄で描かれた女の子たちは、イキイキしていてとても魅力的。


2/8(火)……ほーんとに角

「こねこもいっしょ」。13日めにしてこねこが去る。この後、データを「どこでもいっしょ」のふつうねこに引き継ぐことも可能なのであるが、面倒くさいので続けるかどうか迷っている。相手にしてやらないとにゃーにゃーうるさいしなあ。

【雑誌】アフタヌーンシーズン増刊 Winter 講談社 B5中
 小原愼司の新連載「女神調書」は、「ああっ女神さまっ」劇場版制作の内実をレポートする漫画。探偵・ヲハラシンジが、「映画を探してほしい」という依頼を受け、調査に乗り出す……という筋立て。第1回めは、まったく映画については語らず、男4人がUNOしているだけといった展開。すっとぼけたいい味わい。このまま、アニメレポートなんかしなくていいからヲハラシンジ的世界を繰り広げていってくれたほうが面白そう。竹易てあし こと 沙村広明「少女漫画家無宿」は、少女漫画家から始まりいろいろな職業を転々として生きる女の一生をダラダラと描くギャグ的作品。この絵でこういう下らないことをやってくれるのはうれしい……のではあるが、途中でダレてる感じがしてすべり気味。ふざけようふざけようという狙いが空回りしている印象を受けた。漆原友紀「蟲師」の第二話「柔らかい角」。至る所にいるが普通の人には見えない「蟲」を見ることができ、蟲の力によって困っている人を助けたりするのを生業としている蟲師の物語。カケアミ系の上品な絵柄が美しい。いまのままでも十分うまい人だが、ストーリーや構図などでもっと迫力が出てくるとすごく良くなると思う。現在の作風は、破綻がない代わりに大人しすぎるきらいがある。「BLAME!」の弐瓶勉が新連載。「NOiSE」。底の見えない亀裂やら終わりのなさげなトンネルとかロボットとか、無機的でグロテスクなものの描写に非常に迫力がある。外薗昌也「INNOCENT」はとある医大を舞台に、研修生と謎めいた患者を中心に展開されるサイコ・サスペンス。途中の研修生と患者の触れ合いのさまは美しく、ラストはビターな締めくくり。きれいにまとまっている。
 四季賞'99冬のコンテスト佳作、なつき。「あいのよる」はかっちりとしたスマートな絵で贈る、一夜の優しいファンタジックな物語。きれいにまとまっている。だけど、小さくまとまりすぎな感があるのも否めない。'99秋のコンテスト、準入選のわだみせいろく「せぶんてぃーん」は、一杯飲み屋風の店で本格手打ちトーンの店を営む少女のお話。手打ちトーンとは、ペンを延々とんとんとんとんすることによって、手でスクリーントーンのような模様を描き出すもの。絵はまだ荒削りだけど、マジメそうで下らないことをやってる作風がなかなか味わい深い。'99冬のコンテストで四季賞受賞の村上智彦「かいじゅう、どすン。」。今回掲載の四季賞系作品では一番まとまった印象。小学生どものガキっぽい馬鹿さ加減が楽しく表現できている。キャラクターがイキイキして存在感があるのがいい。
 雑誌全体の感想としては、顔ぶれは悪くないけどもう一歩という印象。見どころは多いが、ピンと来ないしガツンと行かない。全体に線が細い感じがするので、ズドンと読ませる柱も欲しい。変化球投手の技巧もいいんだが、そればかりではバランスが悪い。いまいち腹が膨れない。ごはん系の必要性を感じる。

【雑誌】YOUNG YOU 3月号 集英社 B5平
 いやーもう。山下和美。たまらねい。今回は読切「マーブル・フレンド」が掲載。美人なんだけど学校ではハブにされているマコは、唯一の友達であり、外見はパッとしないけど人を動かす表現の才能があり趣味も多彩な弥生に対してコンプレックスを抱いていた。一緒に過ごせば過ごすほど、弥生に対する羨望の念は募っていき、自分がつまらない人間に思えてきてしまう。そんな彼女たちの物語。シンプルで気品があってピシッと一本芯の入った作画、そして言葉だけでうやむやに逃げるでなく漫画としていいたいことを語り尽くす表現力。この人の作品は、羨ましいほどにカッコイイ。西村しのぶ「アルコール」。オサレですのう。鴨居まさね「雲の上のキスケさん」。前半のトロトロに甘〜いラブめいた雰囲気から、後半はちと雲行き怪しげで、晴れのち曇りな展開。続きが気になる〜というところだが、次号は80P読切「オカメと巻毛」の前編が掲載予定。「キスケさん」のほうの続きは7月号までおあずけ。

【雑誌】FEEL YOUNG 3月号 祥伝社 B5平
 南Q太「恋愛物語」。今号も面白いのだが、次号からはしばらくお休みらしい……と思っていたら産休なんだそうだ。ふーむ。素早い展開。三原ミツカズ「DOLL」。今回はとても良い。2体一組で、何人もの持ち主の間を転々とする男女のSEX用DOLL。いろいろな主人たちによって、過酷な行為を強いられ飽きられたらポイ。でも心がないので何も感じることのできない彼らの「思考」を追う。描線は太くてシャープでかつオシャレにかっこよく、お話は切なく、ラストで泣かす。お話の転がし方が申し分なく鮮やか。こっちでも西村しのぶ。2ページのエッセイ、漫画「下山手ドレス[別室]」第1回。

【雑誌】ヤングチャンピオン 2/22 No.5 秋田書店 B5中
 作:高見広春の小説「バトル・ロワイアル」(参考書評リンク:月下工房#書評系OUTDEX)が、「バロン・ゴング・バトル」の田口雅之作画で漫画化。今回はその第1回。田口雅之らしく少々脂っこくはあるが、原作が非常に面白いお話だし、田口雅之はアクションうまい人なので期待できそうだ。前から思っていたが、この作品はちゃんとお金かけて実写やればすごく面白い映画になりそうなんで、どこかやってくれないものかなあ。

【雑誌】漫画アクション 2/22 No.8 双葉社 B5中
 画:山上正月「ルパン三世」(原作・監修:モンキーパンチ)が巻頭カラー。今回は「黄金の第四帝国地図<前編>」。秘宝とナチスがからみ、南極での冒険が始まる……といった感じ。山上正月の作画はスッキリとしていて、ルパンたちの魅力がよく出ている。最近イケてる。作:森高夕次+画:あきやまひでき「おさなづま」では、「めぐみのピアノ」のアニメ化の話が(もちろん漫画内での話なので誤解なきよう)。ぜひ観てみたい、というか「めぐみのピアノ」の漫画のほうを読んでみたい。かいともあき「白い少年」。今回はバレンタイン・デーの話なのだが、やはり過剰なノリになってしまうのがこの作品。毎回一度くらいずつはある、登場人物たちの目が血走り、血管ビキビキのシャウトに圧倒される。


2/7(月)……くるくるきき娘

 ここのところ風邪で体調があんまり良くなかったのに引きずられるように、本日は精神的にも絶不調。なんかイヤなほうへイヤなほうへと考えが及ぶ。自分のスタンスに対する疑念が生じたりするのもこういうときだ。結局、自分は自分のやれることをやってくしかないのだろうなあと思いつつも、それで本当にいいのかとも感じる。体調悪いときは、頭のほうもろくなことにならん。どうせ鬱な気分も長続きするタイプではないので、下らないこと考えてないで原稿でも書こう。とりあえず今日は、気合い入れて書く気にはなれなかったので、レビューするエロ漫画単行本を読むだけ読んでおく。今日は7冊。

【雑誌】ヤングマガジン 2/21 No.10 講談社 B5中
 村田ひろゆき「工業哀歌バレーボーイズ」が復活。なんかあるとホッとする漫画。別冊ヤンマガから、天野明「ぷちぷちラビイ」が出張。2号連続で掲載される模様。天野明のブチ切れたときのお話はかなり好きだが、「ぷちぷちラビイ」に関しては狙いすぎな感じも今のところしている。うさぎ大使である地方からの転校生たちが、これからどう活躍していくかに期待したい。それからもう一つの別冊ヤンマガ組、蓮古田二郎「しあわせ団地」は今回も好調。ダメ人間のダメな日常がダメな感じで描写される、実に立派な下らなさ。あと、原田重光「イッパツ危機娘」は今週で最終回。最後までいつもの下品な調子。

【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 2/21 No.10 小学館 B5中
 曽田正人「昴」。早くも新章突入で「あれから6年」。展開がかなり早い。力強い描写は相変わらず。激しい描線は男性を描いた場合も映えるが、女性を描いたときの美しさも鮮烈で良い。高橋しん「最終兵器彼女」。ラブストーリー度が高まっていてけっこう面白い。女の子の可愛さもストレートに出ているし。でもまだ油断はしない。江川達也「東京大学物語」は、今週も村上と谷口さんの言葉の応酬が面白い。緊迫感をもって、下らないことをやっている。柳沢きみお「SHOP自分」。俺ビール作りに熱中するかと思えば、彼女も作っているチョクだ。それにしてもこの大家さんってすごくうさんくせえなー。あと、相原コージ「相原コージのなにがオモロイの?2000」が再開。

【雑誌】週刊少年ジャンプ 2/21 No.10 集英社 B5平
 秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」が1155回めということで、表紙&巻頭カラー。そして作:ほったゆみ+画:小畑健「ヒカルの碁」は55回記念(というかなんというか)で、巻中カラー&ピンナップ付き。あとキャラクター人気投票もあり。脇役の女の子たちがかわいいなとか思っていたら、監修の梅澤由香里三段もなかなか美人。

【単行本】「カストリ娘」 山部海人 司書房 A5
 そんなに目立つって感じの作風ではないが、それぞれの作品が楽しく描けている。首のラインなど、垢抜けなさの残る女の子の絵がいい。なんかほっとする味わい。身体の作画にはいくぶんアンバランスなところも見られるが、柔らかい描線がいい雰囲気を醸し出している。

【単行本】「おしおき★マリオネット」 桂木たくみ 日本出版社 A5
 3冊めの単行本。ドタバタあり、ハードコアあり、近親相姦あり……といった感じでバラエティに富んでいる。ただ、そのぶんコレという得意分野もあんまりない。女の子はけっこうかわいく描けているところもあるが、強烈な武器になるといったほどでもない。馬鹿なノリでやるにせよ、鬼畜方面に走るにせよ、なんかもう一つウリはほしいところ。

【単行本】「本気汁の女達 獲物」 高松誠人 桜桃書房 A5
 くっきりと強弱のついた線で描かれた、キャラクターのパッチリした目が印象的なキュートな絵柄だけど、意外とやることはハードで救いがないものが多い。絵はなかなか華やかで魅力的。印象的な表情も描ける。ただ、ストーリーに関しては説明があんまりなく、肝腎な描きたい部分だけを抜き出してきたみたいな話がけっこう見られるので、その点は読みごたえの面でもの足りない。今回収録された作品は短編ばかりだが、続きモノのほうが向いてそうな気がする。

【単行本】「教えて! アイリーン」1巻 小本田絵舞 ぶんか社 A5
 巨乳女教師で開けっぴろげな女教師・愛里先生(通称:アイリーン)が巻き起こす、ちょっとHなドタバタコメディといった趣。アイリーン先生はたいへん豊満で奔放。だけど、実は同僚の男教師一筋だったりするあたりが可愛らしい。すごくHで抜けるってわけではないんだけど、サービスはふんだんだし、絵柄も十分にキュートだし、読んでて豊かな気分になれる。小本田絵舞は、きっちりしたいい仕事してますな。

【単行本】「安達瑶傑作選 砂糖菓子の濡れるとき」 作:安達瑶+漫画:岸本加奈子 宙出版 A5
 官能小説家・安達瑶の作品をコミック化した作品集であるらしい。ちなみに安達瑶本人のWebページはココ。ホソキン氏がらみでなんかあった人らしい。詳しく知りたい人は検索エンジンで検索かけてみるのも一興かと。
 漫画のほうは、モロにハードエロ系のレディースコミック。ヒマそうなおねえさんが、かっこいい男と出会ってめくるめくセックス。エロ願望が充足されて満足満足というお話。例えば「夢色桃色★愛の魔法」というお話では、OLのおねーさんが通販で「願いが叶う『おまじないグッズ』」である張り型コケシ3体セットを3980円で購入。小さいコケシでオナニーすると職場で給料が上がり、中くらいのだとイイ男に出会い最高のセックス。大きいのを使うと彼と恋人同士……という、なんとも都合良すぎな展開。3980円というリーズナブルさと、その後の展開のゴージャスさが絶妙にマッチしている。ほかのお話もみんなこんな感じ。あけすけな欲望の発露と都合良すぎる展開がとても愉快。予想以上に楽しめた。

【単行本】「澱」 櫻見弘樹 司書房 A5
 まとまりの良い、清潔感のある絵柄でしっかり読ませるお話を描いてくる。思春期のころ父に毎晩のように犯されていた姉、そしてその姉を慕いながら拒絶されてきた弟の、奇形な愛憎を描く「UNDER of THE LINE」全5話などはとくに読みごたえがある。しっとりとお話を語ることのできる叙情派。ヤングキングアワーズ系の作品が好きな人は気に入りそう。

【単行本】「快感遊戯」 てぃるよし 英知出版 A5
 表紙は3D CGによる、乳のあたりがなかなかゴージャスなおねーちゃん絵だけど、中身は普通の美少女漫画絵。トーン使用量はかなり多めだが、トーンワークはわりとべたーっとした感じ。それなりにエロはやってるが、目立つってほどではないかな。


2/6(日)……遠い日の玩具

 せっせとエロ漫画読書。本日は10冊消化。

【単行本】「プチプチ▽LOVE」 奴隷ジャッキー シュベール出版 A5
「▽」はハートの代用。
 いいですなあ、奴隷ジャッキーは。ほっぺたの肉付きが良くふくよかな顔つきで、胴体はキュッとしまっていながら出るべきところはしっかり出た女の子たち。汁気たっぷりのみずみずしいエロス。そして何より、何気なくイカれた展開に突入するストーリー運びの妙。キャラクターたちのらんらんとした目つきやら、ヤケクソなギャグとか、一筋縄ではいかない面白さもある。全体に楽しそうに作品を作っているところがすごくいい。今日読んだ本の中では一番のオススメ。

【単行本】「Dear. Little Lover」 和猫 メディアックス A5
 ロリではなく成人女性だけど、背の小さいちょっと寸詰まり気味の女の子を描いている作品が多い。絵は若干古めな、いわゆる「アニメ絵」的タッチ。あんまり目立った特徴はないなあ。

【単行本】「絶望の闇の中で…」 深田拓士 司書房 A5
 連作「愁」全6話が中心となった単行本。夫が入院した先の担当医師は彼の先輩で、同じ病院には妻の友達だった看護婦もいる。ところが陰謀により、妻は医師によって性の奴隷とされ、夫は看護婦に寝取られる……といった感じのお話。ベタベタにステロタイプなエロスをじっくり描き込む深田拓士の作風は、新しいことは何もやっていないのだけれど完成されているだけにエロい。あくまで美少女漫画ラインはハズさず、でも泥臭くさえあるエロをみっちりと描く。これだけ自分に求められていることをしっかりわきまえていて、戦略的にオーソドックスでベタなエロをやり続けている人というのは、美少女漫画界では実はけっこう珍しい。

【単行本】「ナッツ」 甘夏真琴 ヒット出版社 A5
 この人はうまいなあ。少女漫画風味の絵柄のエロ漫画は数あれど、少女漫画的な味をうまいことエロの中に溶け込ませているという点に関して、この人は相当に高いレベルにある。ポップでキュートな絵柄と、ライトで楽しい味わいのお話。それから女の子の身体の描写はけっこう肉感的で、エロもしっかり描けている。きれい、かわいい、Hと3拍子揃った一冊。

【単行本】「白衣の天使 羞恥の愛液検診」 スノーベリ 平和出版 A5
 スノーベリの単行本を通しで読むのはたぶん初めてだが、女の子の野暮ったさ、垢抜けなさがいい。「うる星やつら」が流行ったころによく見られたような絵柄って感じで、なんか懐かしく、そして和む。そのわりにエロシーンはけっこう体液が粘っこくていやらしい。手堅くいい仕事してますな、という印象。

【単行本】「歪んだ玩具」 志崎月魚 メディアックス A5
 ロリ系の人。最近のロリはダメという風潮を受け、本人は18歳以上のつもりで描いたらしいが、やぱりおこさまにしか見えないあたりが微笑ましい。そっちのほうの絵が染みついちゃってる模様。固さはあるけど、丁寧に描いているなーと感じられる生真面目な絵柄。ロリ方面の人としは、あんまりソソられるほうじゃないんだけど、地道にかつマジメにやっていることが伺え好感は持てる。

【単行本】「校束」 TWILIGHT ティーアイネット A5
 SM系で濃厚。女の子たちの身体がツヤツヤして豊満。やってることも激しく実用的で、なかなか見ごたえあり。女の子はちょっとぽちゃっとしてるほうが好きって人には、かなりヒットしそう。絵の質感が滑らかでいい感じ。

【単行本】「美体娘都のつぼ」 あかひらきりん ビブロス A5
 あんまりうまくはないんだけど、脳味噌のくされたようなオタクノリですごく楽しそう。普通にエロしようとしている作品より、ギャグタッチでドタバタ進むお話のうほうが持ち味が出ている。作者コメント内での顔文字乱舞とか、オタク的ダメダメなノリが微笑ましい。ちなみにこの単行本のタイトル、「びていこつのつぼ」と読む。本全体としてキャラクターが立っていて楽しいのでよろしいんではないでしょうか。好き嫌いはかなりハッキリ分かれるとは思うけど。

【単行本】「ミラーサイト」 呉屋朗 東京三世社 A5
 全体に目立つところがあまりない。絵に若干固さが見られるが、細身で乳は大きめな女の子たちの姿はそれなりにエロチック。ストーリーにせよ絵にせよ、いまいちパンチが足らんので、何か一つ武器が欲しい。

【アンソロジー】「女畜の匣 vol.2 コスプレカーニバル」 メディアックス A5
 執筆陣は、ありまきよしお、いざよいめぐみ、月都満天、格闘王国、獅子山竜、そらのつばめ、猫守麻里鈴、佐蔵久美、なるさわ綾。エレベーターガール、巫女さん、スチュワーデス、バニーさんといったフェチ性の高いコスチュームに身を包んだねーちゃんたちがいたすわけだが、全体にレベルは高くない。コスチュームへのこだわりもあんまり感じられず。寄せ集めただけーって感じ。


2/5(土)……魔女っ子ペグ

 おうち用にMPEG-1ビデオキャプチャー環境構築中。カノープスのビデオカード用のオプションであるSPECTRA Video Port 600Aを使用。最初は慣れないこともあって、いろいろ戸惑ったか、とりあえず一通りキャプチャーできる環境は整った。作成したデータの編集とか、VideoCDの作成はどうすればいいかとか、分からないことはまだけっこうあるけど、とりあえずまあいろいろ遊んでみるつもり。

【雑誌】エンジェル倶楽部 3月号 エンジェル出版 B5平
 今月もイキが良い。巻頭のカラーピンナップからして、ほとんど消しなしで性器を出しちゃってるし、かなり怖い者知らずにがっつんがっつんハードなエロスをやっている。ロリもなんか全然OKみたいだし。全体に脂っこく、美少女漫画業界の中でもかなり異端児的な存在だと思う。
 まずは巫代凪遠「収穫祭」がいきなり激しい。女二人をつなぎ、片方が滑車にくくりつけられて馬車の車役、もう一方が馬の役をし、時間内にゴールにたどり着けないと、車役の女の乳首やクリトリスが爆竹で吹っ飛ばされるという見世物の模様を描く。その女二人の接続方法は、車役のほうのクリトリスにとりつけた輪っか、馬役のほうの性器&肛門に突っ込まれた洗濯はさみのような巨大な拷問具みたいなモノをヒモでつなぐというもの。むちゃくちゃに痛そう。かなりムチャクチャやっていて、テンションがとても高い。吉良広義「わかな先生に気をつけろ!」は最終話。男根がかなりゴツゴツしてていやらしい。妄想パワーの炸裂するハードコアなエロス。それから山本よし文「Gカップ女教師レイコ」も最終回。っていうか、コレGどころの騒ぎじゃないだろう。それぞれの胸が頭の2倍くらいの体積ありそうだし。しろみかずひさ「精液便所」。調教に出されていた麻理果が、兄の元へ戻ってくる。そしてザー汁をぶちまけられるのだ。毎回のことだが描線が鋭く、エロシーンは自暴自棄的にテンションが高い。奴隷ジャッキー「凌辱回廊」。主人公・健二の過去が語られる。健二が暴漢にリンチされているところを助けようとした母親が凌辱されるエロシーンを描いた直後、その途中で頭を打って死亡するという、かなりダークでヘヴィな展開。さらに主人公は、父親から「お前が母親を殺した」と拒絶され、たいへん後味が悪くズッシリとした読みごたえ。これからの展開も楽しみになってきた。一見、かわいらしい絵柄なんだけど、やってることはかなりキツい。

【単行本】「フィギッシュ」 大越孝太郎 青林工藝舎 A5
 シャープで耽美的な絵柄がたいへんに美しい。ただ、絵のハイクオリティさにお話が釣り合っていないことがままあるのが、大越孝太郎作品のもどかしいところでもある。今回の収録作品の中では、ヤングサンデーに掲載された「でんでん商店街」が、一番フツーの作品である代わりに一番完成しているように思われる。パンチラおねーちゃんの健康的な魅力が素直に出ていて。

【単行本】「おやすみなさい。」3巻 小田原ドラゴン 講談社 B6
 冴えない風貌で童貞でアイドルマニアの、上野鉄郎のこれまた冴えない日常を心暖かく、また情けなく描くこの作品ももう3巻め。鉄郎の人の良さ、奇妙なツキのなさ、テレクラにまつわるいろいろなど、下らない面白さがある。今回の巻は本編もいいのだが、各話の合間に挿入される、自分の頭の中だけで走る「正博バス」の時刻表や運行記録を何年にもわたって日記に記し続けていたりするナイスな男「ダサ夫」の取材レポートがかなりヘンで面白い。

【単行本】「超・学校法人スタア學園」18巻 すぎむらしんいち 講談社 B6
 毎度下らなくて楽しい作品。今回は、コキジが転がり込んだ劇団の団長が昔出演していた戦隊モノ「宇宙忍者イガイダー」が、笑いのツボにサクッと入った。意外だ!

【単行本】「義母」 春風サキ ヒット出版社 A5
 絵は古めではあるものの、いやよいやよも好きのうち……って感じでなかなか女の子が派手にヨガるあたりは、表現がネチっこくけっこう実用的。いいいお仕事していると思う。

【単行本】「教えてお姉様」 ひんでんブルグ 松文館 B6
 ショタ系の少年たちが、涙とよだれを垂らしながらちんちんをこすっているあたりが見どころ。アニメっぽさ、ステロタイプさには賛否両論分かれる人だが、この人に求められているものはちゃんとクリアしているし、これはこれでHではある。

【単行本】「天使失格」 平野遊也 久保書店 A5
 目のパッチリしたライトな絵柄で、お気楽にH。適度に可愛らしく適度にHではあるが、正直なところエロ漫画としては凡庸。真ん中へんに挿入されているほのぼの4コマのほうが持ち味が出ているような。

【単行本】「−おにび−」 やまと将臣 ティーアイネット A5
「おにび」は「炎」の下に「舛」という字の一文字漢字。イジメられっ子だった少年が、考古学の教授である父の発掘現場から掘り返された面をつけることにより太古の「鬼」の力を身につけてしまう。そして、自分の意志とは裏腹に、自分を傷つけるものを切り裂いていく……といった感じで始まる、連載長編モノ。まだこの単行本の段階では第一部までしか終わっておらず、これからまだまだ大きな展開になりそう。エロ漫画方面の人としては、比較的行儀良くまとまった絵柄。まあそれなりに読ますのだが、続きモノで1巻使った段階としては状況説明があんまり進んでないような気がする。掲載誌(MUJIN)から考えて、エロをどうしても入れなくちゃ行けないから仕方ないとは思うのだが、その点でいまいちヒキが弱いか。


2/4(金)……メカニックスイッチョン

 風邪ひいたっぽい。というわけで本日は会社にいる間、せきどめおよび総合風邪薬をジャカスカ飲んでいたのだが、なんかいい具合に効いちゃったようでトリップ気味だった。とはいっても体調がいいわけじゃないんで、グデーッとしてはいたんだが。

 そろそろ前に使っていたプロバイダとの契約が切れるので、旧所在地http://www.tk.airnet.ne.jp/tshibata/は消滅する予定。そちらのほうにリンク張っていただいている方は、リンクご修正いただけますと幸いです。ちなみに旧サイトのリンク元はこちらで見ることができます。なお、張り直すのが面倒だとか、リンク張ったことを後悔していらっしゃる方は遠慮なくリンクから削除しちゃってください。根に持ったりはいたしませんので。

【雑誌】漫画ホットミルク 3月号 コアマガジン B5平
 毎回書いてるけど、瓦敬助「菜々子さん的な日常」は非常にいい。ゆったりしてノスタルジックな空気の心地よさと無防備で何気ないお色気。SEXをするわけではないが、しみじみ読めるいい作品。タカハシマコ「かわいい家族」。相変わらずこの人は、繊細でキラキラとした絵がすごくきれい。華がある。後述するが、ジャンキーズが特集「レズ」で苦戦するなか、朔ユキ蔵「へんてこ」はレズものでなかなか頑張っている。最初は同じ男の子が好きであるということで知り合った二人の女の子だが、片方が、もう片方の女の子に秘かに恋心を抱いてしまう……というお話。絵に雰囲気があるので、何を描いても強い。田沼雄一郎「G街奇譚」。やはり田沼雄一郎にはホットミルクがよく似合う。これからもこっちでちょくちょく描いてほしい。
 エロ漫画批評、雑誌内雑誌コミックジャンキーズ。特集はレズだけど、美少女漫画で一冊まるまるガチンコのレズという作品は意外とない。シーメールやフタナリは、レズとは若干趣が異なるし。俺の読んだ中でガチンコのレズで面白かったモノ……と考えると、魚喃キリコ「Blue」、榛野なな恵「ピエタ」あたりが思い浮かぶが、ここらへんはエロでないし。ホモと同じように、マジなレズの場合も、必ずしも性交は必要とならないケースはけっこう多い(らしい)。それに男尊女卑構造の中で、卑しめられていた立場である女の中でもさらに特殊なパターンであるレズというのは、女社会の中ではおそらくカミングアウトを非常にしにくいものであろう。さらにオトコメディアでまでそのあたりのお話を展開できるアクティブなホンモノレズ女性漫画家なんて皆無に近いだろうから、ホンモノな世界は男にとっては覗きづらい。ここらへん語り出すと長そうなのでこの程度にとどめておくが、まあそんなこともあって永山薫さんもだいぶ苦戦されていたようで、特集は2ページになった。そのぶん、米倉けんご(=今村夏央)のインタビューが6ページになっている。今回の単行本レビューは92冊。我執院譲治(=しばた)は25冊分を担当。

【雑誌】花とゆめ 2/20 No.5 白泉社 B5平
 日高万里「世界でいちばん大嫌い」では、杉本兄弟の過去が語られる。なかなかシリアスな展開で次が楽しみ。シャンとした絵が気持ちよい。望月花梨「スイッチ」は集中連載最終回。といっても第10号でまた復活予定だけど。先生に恋するようになってしまった、ちょっとノリがほかとズレた女の子の物語。望月花梨にしてはヌルめだが、適度にむずがゆく爽やかに恋愛してていい感じであった。あと、次号から高尾滋の連載が始まるのが楽しみ。

【雑誌】コミックフラッパー 3月号 メディアファクトリー B5平
 今回はOKAMAが表紙なのだが、内容はけっこう落ち着いた感じなので若干違和感あり。それなりにタマは揃っているのだがそれぞれがバラバラで誌面に統一感があまりない。どの層に売りたいのかイマイチよく分からん雑誌である。まあ珍しい漫画がいろいろ読めそうなんでいいんだけど。
 安彦良和「韃靼タイフーン」が新連載。不良少年が出てきて、なんだか騒動に巻き込まれて冒険開始……といった感じでいつもの安彦節である。駕籠真太郎「パラノイアストリート」。やはり一般誌だけあって毒はいつもよりもかなり弱め。まあ駕籠真太郎がガチンコでやったら、とてもこのあたりの雑誌には載せられなくなってしまうだろうけど(同人誌の調子でいくとフラミンゴクラスでも危ないからなあ)。SABE「串やきP」は、串Pの今まで隠されていた凶暴さが爆発。なかなかヒキが強くて読ませる。

【単行本】「はたらくお嬢ちゃん」 青木光恵 ぶんか社 A5
 漫画アクション増刊→ガウディ→みこすり半劇場と渡り歩いた流浪の連載がついに単行本にまとまった。同級生の男のバイクで事故って、その弁償のためにいろいろなバイトをやってセコセコお金稼ぎする女の子の物語。100万を超える借金を抱えた彼女は、ホステスやったりバニーさんやったりと身体も張るが、実はずっと処女のまま。女の子の魅力たっぷりに、ドタバタと、最後は後味良くきっちり締めて読ませる。青木光恵のコマ漫画は、ストレートに楽しめる。4コマやエッセイよりも地味めだが、こちらのほうが好み。

【単行本】「カケル」11巻 竹下堅次朗 小学館 B6
 いのり、となえの双子の少女編。お人形さんみたいに無表情な少女たちが美しい。ところどころで女の子の魅力がパアッと花開いていていいのだが、この作品自体は長期連載になりすぎたなという感じがある。このテーマだったら、3巻程度に集約したほうがキビキビして面白く読めただろうと思う。今さらいってもしょうがないことだが。


2/3(木)……おこめ剣

 MSTKさん、MNKTさん、LZDさんと池袋にて呑む。略してMMLIN。最近、家では酒断ちしていたので久しぶりの飲酒だ。ナイスガイたちと共に過ごす時間は楽しく、飲酒の素晴らしさを噛み締める。ギャルの一人もいるとさらに華やいだかもしれないが、それはまた別の時、別の物語。略してBTBM。

【雑誌】週刊少年チャンピオン 2/17 No.11 秋田書店 B5平
 水島新司「ドカベンプロ野球編」にて、王監督の岩鬼6割打者妄想が膨らみ中。まずは4割から始めてみてはいかがか。西条真二「鉄鍋のジャン!」。若手中華料理人選手権は、なんだか大ざっぱで思いもよらぬ結末に。過剰な展開で、ムチャクチャであります。

【雑誌】ヤングサンデー 2/17 No.10 小学館 B5中
 今号も、新井英樹「ザ・ワールド・イズ・マイン」、山本英夫「殺し屋イチ」はお休み。目玉的作品が揃って2号連続休載というのは痛い。
 そんな間隙を縫って……というわけじゃないが、原秀則「シーソーゲーム」が復活。平松真「ブラッシュボール」は練習試合編が完結。このまま終わりかも。基本は野球漫画ながら、ときおり差し挟まれるエロシーンとかはけっこう好みだった。竹下堅次朗「カケル」。女王玲子がどんどん煮詰まっていく。可愛い女の子にハードな運命を課すあたりに、作者の意地の悪さを感じる。でもこの人は、根本的にはすごい女の子が好きな人なんだと思う。

【雑誌】モーニング 2/17 No.10 講談社 B5中
 尾瀬あきら「奈津の蔵」が連載再開。今回のシリーズは、日本は戦争の泥沼にはまりこみ、奈津の周りの人々が次々とお国のために召集されていくというヘヴィな展開。山下和美「天才柳沢教授の生活」。人々の悩みをズバリと解決する指南書を書き一躍有名人となった、ワイルドさを漂わせたかっこいい外見の講師が、柳沢教授の勤めるキャンパスにやってくる。表現の洗練具合、揺るぎのなさがいつもながらにかっこいい。今回はお話としてはわりと小さめだが、ラストのまとめとかすごく気持ちがいい。最近の山下和美は、本当にハズレがない。凄い。オープン秀作シリーズ、桝田道也「朝倉家米騒動」は、時代劇系のドタバタコメディ。まとまりのいい絵柄ながら何気なくギャグを織り交ぜる飄々とした作風は見どころあり。上野顕太郎「ひまあり」。今回のテーマは「ちょっと恥ずかしい話」だがハズシ気味。

【雑誌】ヤングジャンプ 2/17 No.10 集英社 B5中
 作:相田公平+画:佐藤久文「アンファン・テリブル」。月イチシリーズが連載スタート。現代を舞台にしたホラー&サスペンスといった風情。ペンタッチがしっかりとしていて丁寧な仕上がり。なかなか好感が持てる作品。山口譲司「BOiNG」は、ボインマスター座丸が本当の救世主になるのか……といった感じで急展開。今までのような馬鹿馬鹿しさをどこまで貫けるか。楽しみである。


2/2(水)……メガ娘。

 アキバに行く。ケーブル類を中心にごそごそ買物。そろそろコミティアなのでティアズマガジンを購入。今回は2/13(日)。東京流通センター。三五千波さんに似顔を描かれているしばたブラザーズだ。
 京極夏彦の新刊「どすこい(仮)」(集英社。ハードカバー1900円)も買ったがいつ読むものやら。以下、入手済み未読漫画物件。
【雑誌】ホットミルク 3月号 コアマガジン B5平
【雑誌】エンジェル倶楽部 3月号 エンジェル出版 B5平
【単行本】「はたらくお嬢ちゃん」 青木光恵 ぶんか社 A5

【雑誌】ヤングマガジンUppers 2/16 No.4 講談社 B5中
 作:夢枕獏+画:板垣恵介「餓狼伝」。泣き虫サクラと辰巳の試合は続くが、この泣き虫サクラは相変わらず強力でキャラが立ちまくっている。画面全体を支配する存在感が素晴らしい。咲香里「春よ、来い」。巻中カラーの扉もあって、やはり華やか。素直にラブ・ストーリーやってていい。ただ、女の子のほうが主人公のにーちゃんになんで惚れてるのかということについて、もう一歩、説得力が欲しい。ここらへんはも少し肉付けしたほうが、物語に厚みが出ると思うのだが。
 次号ではSABEが登場。

【雑誌】ビッグコミック 3/2増刊 小学館 B5中
 新人コミック大賞出身の島村城太朗「声なき記憶」。大人になってから、自分に子供のころの記憶がないことをいぶかしく思って過去について調べ始めた女刑事。心配してくれる、こちらも刑事である父の静止を振り切って、自分の記憶がとぎれた場所へと向かう彼女だが……といった感じの自分探し物語。派手な作風ではないが、細いがシッカリしたペンタッチの画風は目を引く。物語の構成力もけっこうある。近藤ようこ「あけがたルージュ」。すごく単純な線なのに、しんねりとした色気といった風情を出すのがすごくうまい。淡々とした表現なのに、若い女の子は瑞々しく、歳をとった女性はそれなりにしなびて見える。ここらへんうまい。岡崎二郎の読切「レディーエクスプローラー」。借金を抱えた浪費家の女性小説家が、一発逆転を狙って宝探しに挑む。理科的な知識を無理なく織り交ぜ、キレイにまとめるソツのなさはさすがの鮮やかさである。

【雑誌】週刊少年マガジン 2/16 No.10 講談社 B5平
 加瀬あつし「カメレオン」が最終回。とても、この漫画らしい締めくくりだった。本多康昭「泣くようぐいす」。なんだかどうしても最後にギャグを入れずには気が済まない人のようで、下ネタで第一部完。第12号から第二部スタート。

【雑誌】週刊少年サンデー 2/16 No.10 小学館 B5平
 草葉道輝「ファンタジスタ」。第一話から「ポストプレー」と「セットプレー」を間違えるなど、どうにも底の浅さが見えてしまうサッカー漫画だが、今回もなんかすごい。主人公のドリブルを見て実況中継のアナウンサーが「彼のドリブルはまるでジャイブだァ!!」。ジャイブって何? 粗挽きネルドリップ? それから絶妙のコンビネーションを見せるツートップの連携に「まるでチリ代表のサ-サコンビを思わせるプレーだ!!」。うーん、高校サッカーの実況では普通そんなこといわんぞ。なんで少年誌のサッカー漫画って、いかにもサッカー知らなさそうな人に描かせるかなー。久米田康治「かってに改蔵」。今回はめがねっ娘。石渡治「パスポート・ブルー」。なんかすごい展開に。主人公の親友の空知そっくりの女の子が、煮詰まった生徒の人質に取られて凌辱されるんですか? そして怒り心頭の主人公が10cmの爆弾を顔面に炸裂させ悪者は目玉が飛び出し死亡、主人公は国外逃亡し傭兵部隊に入って宇宙を目指すですか?

【単行本】「しわあせ」 山田芳裕 B.S.P A5
 もとは講談社から出ていたのだが復刻。そして今回の復刻では、講談社版では収録されていなかった最終回を含む3話も掲載されていて、山田芳裕ファンにとっては長年のつかえが取れたという感じ。単行本データは山田芳裕ページのほうに追加。文章も多少書き直しておいたので、内容とかはそっちを参照のこと。「しあわせ」じゃないぞ!

【単行本】「演歌の達」8巻 高田靖彦 小学館 B6
 データはオスマンのほうに追加。キャラクター作り、ストーリー運び、作画とすべてにおいて高いレベルで調和している。地味ではあるがしみじみといい漫画。演歌を愛し、泥臭いながらも自分の仕事に夢中になる達の姿は、とても前向きですがすがしい。安っぽい結論でまとめないあたりがうれしい。こんな人間は、今どきいないとは分かっている。自分がこういう人間になれないであろうことも分かっている。でも、達の姿を見ていると、やっぱり元気が出る。エネルギーがもりもり湧く。

【単行本】「女神の降る里」 あうら聖児 茜新社 A5
 昔はけっこう微乳とかヌルいラブコメHものとか描いていたあうら聖児だけど、今はスッカリ巨乳人妻。ホルスタイン的でだっぷだっぷ。表題作全5話は、村中の憧れである人妻が義父によって調教され、村共有のメス牛と化すお話。調教の過程なんぞなく、話が始まるやすぐ肉奴隷。でっけえ乳、たくさんのちんちんと、即物的で手っ取り早くエロエロ。ただ、同じ絵の使い回し(たぶんコピーの切り貼りだろう)が多すぎるのはいただけない。一話につき1ヶ所や2ヶ所ならいいんだけど、5ページで4ヶ所同じ図柄とかいうのはさすがにイメージ的にもマズイでしょ。連作でページ数が多いだけになおさら。まあ基本的に、使い回しをしているのは男共が「うえへへへ」とかいっている場面ばかりで、エロシーンはそのぶんがっつんがっつん描き込んでるので実用には差し支えないんだけど。


2/1(火)……ポマド銀行

 とある仕事のため、昨年一年分の日記をざーっと一通り読み返してみる。量が多いうえに、誤字脱字が目についたりもしてけっこう骨が折れる。読み返していると、ずいぶん前のことのように思ってたけど実はまだ大して時間が経ってなかったりする事件やら作品やらが案外多く、意外と記憶って不確かなものよのうなどと感じたりもする。だからこそこうやって記録しておく意味があるんだけど。

【雑誌】漫画アクション 2/15 No.7 双葉社 B5中
 最近の週刊青年誌では、アクションとモーニング、ヤングサンデーあたりが楽しみな雑誌となってまいりました。
 土田世紀「俺のマイボール」は連載2回め。「俺」と「マイ」が重なるあたりがいい語感。青臭いボウリング青春モノといった感じで、なんか面白くなりそうだ。土田世紀の今までの傑作によく見られたような、かっこ悪さのかっこ良さがこの作品でも見られるか。国友やすゆき「幸せの時間」。火曜なんたら劇場的な安っぽいドラマを、ベタベタと脂っこく描写。最近くどさに迫力がある。ポマードの香りがむわっとくるような読み心地。作:森高夕次+画:あきやまひでき「おさなづま」は今回も好調。ヒマになっただんなさまが、おさなづまにまたしても変態プレイを強要。垢抜けない絵柄だけに、変態プレイも実に馬鹿馬鹿しく映って楽しい。なんだかすでに独自のポジションを築いた感あり。柳沢きみお「夜の紳士」。いやー素晴らしい。柳沢先生はこうでなくちゃ。サラリーマンな男が、家出娘とセックス。いわく「凄い!!」「凄すぎる体だ」。これで「世界の名車シリーズ」でもやってくれると完璧なのだが。かいともあき「白い少年」は今回も強烈にダイナミックでパワフル。間違った力の入り方がものすごくステキだ。あと山上正月「ルパン三世」(原作・監修:モンキーバンチ)は、敵の策略によって歳がどんどん若くなってしまう光線を浴びせられた不二子がとてもかわいい。山上ルパン、なかなかいいじゃないですか。相原コージ「漫歌」。今回も「何がオモロイの?」ショックをひきずってる感じ。でもギャグに昇華できているので大丈夫そうだけど。

【雑誌】ビッグコミックスペリオール 2/15 No.4 小学館 B5中
 なんか表紙のインパクトがスゴイ。ロゴがリイドコミック的になったうえに、もりやまつるの新連載「親父」の主人公であるドカチン系親父の顔面アップはかなりパワフル。引く人はけっこう引きそうだ。高田靖彦「演歌の達」。達が憧れの人、香坂美春に会い、やる気に火がつく。今後の展開がかなり楽しみになってきた。それはそうと、単行本8巻が出てるんで買っとかないと。「演歌の達」の単行本は、本屋で案外見かけないような気が。

【雑誌】ビジネスジャンプ 2/15 No.5 小学館 B5中
 作:夢枕獏+画:谷口ジロー「神々の山嶺」。エベレストに惹かれてやまぬ山男たちの物語になりそうな感じ。谷口ジローの登山モノは面白いものが多いので、かなり期待。初っぱなから雪山の描写とかがとても素晴らしい。平松伸二「どす恋ジゴロ」の「津軽編」後編が掲載。恋吹雪の学生時代。このころからどす恋どす恋だった模様。わたべ淳「御宿蝶花楼」。わたべ淳の描く女の子って、なんか垢抜けない感じが好き。適度に野暮ったいというか。


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