◆ 2000年4月中旬 ◆
4/11〜20
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4/20(木)……BOY MEETS BM
ここのところ、原稿や日記を書く環境をまたノートPCに戻しつつある。しばらく座椅子+デスクトップPCという環境だったのだが、寝床+ノートPCのほうがなんだか筆が進むのだ。デスクトップのほうだと、ゲーム(スパイダーソリティア)を始めちゃったりインターネットをぶらぶらしちゃったりで、どうも気が散って執筆効率が落ちていた。下手に環境の自由度が高いと、ついつい調子に乗っていらんこと始めちゃうんですな。
そろそろ本業とは別口の名刺が必要かなあと思ったので、フルカラー名刺工房というWebページで50枚ほど注文してみる。サンプルをWebで見て申し込みフォームに記入、注文確認はメール、校正は画像ファイル、そして代金の払い込みはインターネットバンキング。あとは郵送されてくるのを待つだけ。まだ実物は届いてないけど、ほぼインターネットだけでコトが済んだ。便利な世の中になったもんですなあ。
諸星大二郎「未来歳時記 養鶏場」はさすがの面白さ。遺伝子技術により、ヒトの遺伝子を組み込まれて品種改良された鶏を管理する、養鶏場の管理人のお話。ヒトの遺伝子のおかげで顔が人間のようになり、さらに言葉までしゃべるようになった鶏たち。こういう奇矯なことをごく当たり前のようにサラリと描く飄々とした筆致はお見事。気味の悪さとおかしさをちょうどいい具合にミックスして送り出してくる。花見沢Q太郎の、女子寮おんなのこ物語「BWH」は今回も好調。かわいくて楽しくて甘い。伊藤悠「面影丸」。今回は一つのエピソードの導入部という感じで、まだお話としてはなんとも。シャープでかつダイナミックな画面がかっこいい。
【雑誌】ヤングサンデー 5/4 No.21 小学館 B5中
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山本英夫「殺し屋イチ」。イチの脚力 vs.二郎の腕力の対決。わんわん泣きながらも圧倒的なパフォーマンスを見せるイチの姿は、ちょっとほかのヒーローでは見られない、みっともない凄みがある。ああビリビリ面白い。奥瀬サキ「コックリさんが通る」は第2回め。暗い闇を宿して、ハイクオリティな作画に乗って物語は進む。やはりこの描写力はスゴイ。読切、堀口純男「カナエ Age.21」。日本人女子大生法律家がたった一人で、アフリカの新生国家、エリトリアの法律制定に協力しにいく。ヤングサンデーの読者参加企画の実録漫画化。実録だけに、お話はあまり大げさに盛り上がりはせず。まあそういうもんでしょう。
【雑誌】ヤングジャンプ 5/4 No.21 集英社 B5中
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うーん、目立つ作品がない。山口譲司「BOiNG」くらい。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 5/4 No.22 秋田書店 B5平
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藤澤勇希「BM」が連載再開。今度は、再開前の時点の3年後からお話はスタート。BMの脅威から逃れた主人公たちだが、今度はさらに強力そうなBM物件が登場。とりあえずヒロインの香ノ宮さんは、胸の谷間を強調しすぎ。でも藤澤勇希の場合は、やりすぎくらいがちょうどいいと思う。おおひなたごう「おやつ」。モンブランはすげえ奴だ。ガデラー。ジャニャー。こういうネタは「ギャグなんですよ」と強調すぎるとかえって読者は引いてしまい逆効果で、なおかつそういうアプローチをしてしまいがちではあるんだが、おおひなたごうはまるでなんともないネタのようにクールに繰り出してくる。とても粋だ。
【雑誌】モーニング 5/4 No.21 講談社 B5平
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吉田基已「水と銀」が掲載。トーンを使わぬ、カケアミ系の絵柄で丁寧に描き込まれた画風はホッとする味わいだが、お話はほろ苦くもある青春モノ。苦しさも辛さも呑み込んで、柔らかいタッチで暖かく綴られた物語は、何気ないけれどもしみじみとしたいい味わい。ほのかな色気がにじみ出ているのもたまらない。これで今のところ4話。さあそろそろ。井上雄彦「バガボンド」が巻頭カラー。武蔵と胤舜の再戦の序盤。迫力のあるやり取りがカッコイイが、まだまだテンションは上がるはず、上げるはず。楽しみだ。それから驚愕の新連載、水島新司「野球狂の詩2000」。嗚呼。今最もイカれたプロ野球漫画の描き手である水島先生の剛腕に期待。
【雑誌】花とゆめ 5/5 No.10 白泉社 B5平
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望月花梨「スイッチ」は連載再開。センセーと女生徒の恋物語は、高校へと舞台を変える。ヒロインの女生徒が高校へ上がったと思ったら、センセーも高校へ持ち上がりというのはちと無理があるようにも思えるけどまあいいや。樋口橘「MとNの肖像」。今回も楽しい。マゾヒストのヒロインと、ナルシストの男子の距離が接近中。ちょぴっとだけ濃いけど、基本的にはサッパリした絵柄は、なかなか収まりが良く好感が持てる。
【雑誌】週刊少年マガジン 5/5増刊 マガジンSPECIAL 講談社 B5平
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塀内夏子の新連載「BOY MEETS GIRL」を読むために購入。「BOY MEETS GIRL」は、野球のリトルリーグに所属するサウスポー少女の物語。長年スポーツものを描いてきた塀内夏子だが、ついに野球に挑戦。たぶん単行本化はされるだろうから、雑誌で追わなくてもいいかなーとも思うが、いちおうチェックはしておこう。それから今号で良かったのが、出口竜正「女大太郎」。スタジアムに集まった女の子4万人のスカートをめくる、壮大なパンチラバトル。馬鹿馬鹿しくて楽しい。やはりパンチラってとても大事だ。
【アンソロジー】ミルクコミックさくら vol.10 松文館 A5
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ロリ系アンソロ本。
今回も大山田満月はイラストのみ。漫画のほうで注目はA・浪漫・我慢(表記はこの本の表紙が「A・浪漫・我慢」、作品の扉が「A浪漫我慢」、目次では「A-浪漫我慢」)の「魔女の呪い」。黒人の執事に執拗に当たり散らすお嬢さまだが、淫蕩な母親の血を受け継いだ彼女は、夜になるとその執事に性の処理をさせていた。「イケナイコト」を自らしているようで、かつ操られているようでもあるお嬢さまの姿は、淫らであり可憐であり。黒人コックをお嬢さまが足で踏みつけにしてしごくあたりが、きうっとソソる。
【単行本】「福神町綺譚」貳巻 藤原カムイ 集英社 A5
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1年ぶりの第2巻。町の雰囲気作り的要素の1巻から、今回はずいぶんとダイナミックにお話が動いている。とくにクライマックスは、福神町で行われる結婚式のエピソード。福神町といえば、読者参加型のインタラクティブコミックなわけだが(詳細はオスマンのほうを参照のこと)、この結婚式のお話は、現実の福神町プロジェクト参加者の結婚とリンクしている。誌上結婚式という形で、読者が漫画の中に参加するあたりはこの作品ならでは。物語のなかの細かいアイテムについても、読者のアイデアが藤原カムイというフィルターを通じて生かされていて、実際に参加した人間はニヤリといったところ。というかこの作品の場合、やはり参加しなくちゃ始まらんでしょ。
……などといっている俺も、最近ちと参加がおろそかになっていて人のことは全然いえない。単行本の巻末で「Special Thanks」欄にも名前出していただいてるのにねえ。ちなみに弐巻の10ページに福神町民・我執院譲治(登録職業:浮浪者)が出てます。
4/19(水)……オルカ、ぶ
榛野なな恵「ピエタ」(集英社)は、新刊発行予定表では確かI/II同時発売だったような気がするんだけど、本屋さんに行ってみたらIしかなかった。集英社のWebとか見ても4月発売のコミックにはIしかなかったので、IIは発売が延びたのかもしらん。とりあえずIは買ったけど、IIが出るまで読まずにとっておく予定。雑誌で読んだ感想ではあるが、ガラスのように繊細で、凜とした美しさのある二人の少女の愛の物語となっていてすごくいい。単行本化を首を長くして待っておった。オシュシュメ。
【雑誌】週刊少年マガジン 5/3 No.21 講談社 B5平
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赤松健「ラブひな」。アニメ版は「通称アニひな」。なるほどう。次号では本島幸久の少年ゴルフもの、「ティイングオフ」は読切で掲載。ゴルフ・アスリート・ストーリー「空の昴」の序章らしい。つまり、本格連載をにらんでるってことかな。そうなるとジャンプ「ライジング・インパクト」、サンデー「DAN DOH!!」とゴルフものが並び立つことになる。
【雑誌】週刊少年サンデー 5/3 No.21 小学館 B5平
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藤田和日郎「からくりサーカス」。ナルミたちしろがね組と、勝たち仲町サーカス組がニアミス。そろそろ合流してくれると、お話がググッと進んでいい感じになると思う。あまり長くしすぎてもね。
【雑誌】まんがくらぶオリジナル 5月号 竹書房 B5中
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やはり、かたぎりわかな「みちばたトライアングル」が目当て。唐突でめまぐるしい展開が魅力。あとは、中島沙帆子「電脳やおい少女」あたりが、やおいなオタク女の人の泥沼な日常を楽しく描いていて、わりと好き。そのほかだと、ももせたまみがゲストで登場、小本田絵舞「いっしょに暮らそッ」が最終回。
【雑誌】ヤングマガジンUppers 5/3 No.9 講談社 B5中
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巻頭で新連載、はっとりみつる「イヌっネコっジャンプ!」がスタート。2話一挙掲載。走り幅跳びで高校ランキング2位だったが、跳ぶことを諦めた男子・雄皇(オズ)。高校を卒業した後、彼は東京の大学に入り軟派な生活を送ろうとしていたが、その前に現れた不思議な女の子。彼女は、オズのことを昔から知っていたらしいのだが……。ってなところから始まる青春+ラヴな感じの物語。シンプルだけど、温かみのある線。なかなか元気が良く、かつ甘い味わいも。わりと好きになれそうな作風だが、まあこれからの展開しだい。雰囲気としては、秋重学+塩崎雄二を2で割ってちょいと垢抜けなくしてベタにしたって感じかなー。一色まこと「ピアノの森」。カイの出番が始まるが、まだピアノは弾かれていない。次号を待つ。桑原信也「0(ラヴ)リー打越くん!!」は最終章突入。話はシノヴの過去へと遡る。物語のキーが解き明かされていくわけですな。
ドルフィン系の新雑誌のようだ。司書房系雑誌ではおなじみ、看護婦さんが大股びらきになっている下品な裏表紙広告は健在。全体的な印象としては、正直イマイチ。実用重視系の作りだが、俺のポインツにはヒットしなかった。KASHIみちのくの精液大好き少女漫画「顔射でGO!」は、相変わらずゆるくて元気がよくていいけど、それ以外はあまりグッとくるものがなかった。
【単行本】「くしゃみ3回」3巻 吉田まゆみ 集英社 B6
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「くしゃみ3回」は1話しか載っていない。というかこの単行本自体、「くしゃみ3回」と読切「金魚のおねがい」の2話しか収録されていないのだけど。2話で1冊を構成できることからも分かるとおり、両作品とも一話完結の作品としてはかなりのページ数になっており、確かな読みごたえがある。どちらも、地に足の着いた表現で堂々とお話を進め、茶目っ気も利かせながら美しくお話が構成されている。逃げがなく、かつ適度に力の抜けた作画も高品質。「金魚のおねがい」は、おまつりのときに親に見捨てられた女の子が、親切にしてくれたおねえちゃんの家に引き取られていって、そのまま彼女の妹として暮らすようになるというお話。血はつながっていないけど、強い絆で結ばれた義姉妹の想いを、澄んだ表現で美しく描いている。ええお話です。
4/18(火)……サボって書く足す
池袋で呑み。自分の酒量からすると、だいたい日本酒4合くらいが軽く酔うか、激しく酔っ払うかの境目ラインくらいなのだが、本日はジャスト4合くらい。境界線くらいの酔い。従ってけっこう気持ちがいい。たぶんもう一杯呑んでいたら、いけないゾーンにちょびっと足を踏み入れていたかもしれぬ。
先日書き上げたTINAMIX用原稿は、5月16日更新号掲載に変更となった。そんなわけでそれに向けていくぶん書き足し予定。これからは毎月16日更新号で書くことになる模様。
【雑誌】漫画アクション 5/2 No.18 双葉社 B5中
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作:森高夕次+画:あきやまひでき「おさなづま」。今回は「めぐみのピアノ」のアニメ、第一回目が放送される。素晴らしい作品が作られていく過程には、人の心を動かす力がある。こういう素晴らしいであろうと思われる作品に出会えたら、さぞかし幸せなことであろうなあ。六田登「CURA」。血を吸わぬと決意し、命を削りながら力投する木浦。憔悴しきっているが、強い意志の力に支えられた彼の姿は力強い。
【単行本】「かってに改蔵」7巻 久米田康治 小学館 新書判
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この作品の単行本でいつも思うのは、表紙がとても美しいってこと。華やかで、でもうるさくないトーンの配色が粋だ。お話も、さまざまなトラウマをつんつんと軽妙につっつき思いもよらぬ方向に転がしてきて、とても楽しい。クオリティが安定しているのも良い。
【単行本】「からくりサーカス」12巻 藤田和日郎 新書判
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今回はかなりテンションが高い。ゾナハ病の子供たちが収容される病院で、自分の無力さが骨身にしみたナルミ。そしてゾナハ病をまき散らす自動人形たちに対する怒りが燃え上がる。悪鬼のごとき形相で人形たちに立ち向かっていくナルミの姿には鬼気迫るものがある。派手なアクション、力のあるセリフでもって物語をズンズンかっこよく盛り上げる。物語を語る膂力が強い。
4/17(月)……車道の影
今日のおもいつき:「こども銀行」を、「チャイルド・バンク」と訳すと、何やらいかがわしい悪の組織って感じがしませんか。
【雑誌】ヤングマガジン 5/1 No.20 講談社 B5中
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蓮古田二郎「しわあせ団地」。ガチャガチャでカブトエビをゲットするべく、程度の低い行動を繰り返すはだか夫。最強なダメ人間ぶりがますます加速。カブトエビ、そういえば昨年買ったっきりまだ育ててないな。すぎむらしんいち「超・学校法人スタア學園」。うーん、面白いなあ。どこへ行くのかまったく分からないまま、転がるように物語は進む。セリフの軽妙さ、演出の巧みさなど、いつだって「意外だ!」とうならされる。平本アキラ「アゴなしゲンとオレ物語」。ゲンさんに取りついたお狐様の目で、ゲンさんの最低ぶりが改めて再確認される。写真集→テープのコンボがなかなか強烈。阿部修司「エリートヤンキー三郎」。なんだかどうも面白い。バリバリのヤンキー漫画っぽくありながら、実はけっこうなしくずし的に進む力づくなギャグだったりして、とてもB級。
次号から福本伸行「カイジ」が復活。うーん週刊連載2本か。キツそうだ。
【雑誌】ビッグコミックスピリッツ 5/1 No.20 小学館 B5中
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柳沢きみお「SHOP自分」。借金に追い詰められて、なおさら薄っぺらさの目立つチョクの姿がステキ。あと、吉田戦車「学活!!つやつや担任」は、ここのところじわじわと面白くなっているような。奇矯なキャラが味を出してきている。
5月1日に増刊Manpuku!が発売。山本直樹とか、村上かつらとか、山田シリーズとか。
【雑誌】週刊少年ジャンプ 5/1 No.20 集英社 B5平
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岸本斉史「NARUTO」。スッカリ主力連載に成長した。バトルものはダメって人にはイマイチかもしれないけど。今回はナルトの内に眠る力が爆発。ダイナミックな画面の使い方がかっこいい。
【雑誌】コットンコミック 5月号 東京三世社 B5中
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表紙、紙質、掲載作品。頭のてっぺんから足の爪先まで漂うC級感に、いつも心洗われる気分であります。駕籠真太郎「駅前迷路」。テーマは迷路。最初のほうはちょっとノリが悪いかなあと思っていたのだが、ラストに近づくに従って良くなってきて、オチはかなりナイス。奇想をしっかりと絵にできるのが強い。渡辺ヒデユキ、サセマンシリーズ「影の忍者」。今回も心和む。このシリーズで単行本が1冊出てるようなんで、そのうち探して買わないと。すけきよ「風邪」。シンプルな絵柄で、ピュアっちい顔つきをした女の子がなかなかカワイイ。
4/16(日)……時すでにソシオ
今年もソシオ・フリエスタであるところの俺は、サッカーJFL、横浜FCの開幕戦、対栃木SC戦を観に行ってきた。昨年はホームグラウンドがない状態で、ホームゲームでもあっちゃこっちゃ、すごく交通の便の悪いところでやったりしてたのだが、今年はホームはほぼ三ツ沢グランド(横浜国際も少しあり)なので、昨年よりだいぶ行きやすくなった。昨年は後半戦は都合が悪くてほとんど行けなかったのだが、今年はちょくちょく行くつもり。順当に行けば来年にはJ2に昇格できると思うので、昇格がかかってくるであろう最終の何試合かはぜひ生観戦したい。
試合内容だが、有馬のハットトリックにより3-1で勝利。昨年の開幕戦では好機をことごとく外しまくっていた有馬だが、昨年一年間レギュラーで起用され続けたことによって、だいぶ勝負強くなった印象。スピード/テクニックもけっこうあるし、本日は文句なしのMOM。基本的に両サイドから切れ込んでセンタリングしてどどーんという攻撃が多い。右サイドは小野、高木、幸田(後半から増田)とけっこういいのだが、左サイドがいまいち攻撃の起点になれていなかった。左を担当するジェフから新加入の横山は、スピードはあるのだけど、左でセンタリングを蹴れず一回切り返してからになってしまう。この点で球出しが一拍遅れるので、止められてしまいがち。
でも一番の問題点はセンターバック。今日は渡辺一平+稲垣というコンビだったのだが、スピードが足りず、さらに稲垣は不用意な上がり、不正確なキックなど散々な出来。本当は今日ボランチをやっていた高田あたりを据えるとディフェンスは固くなるのだが、かといってボランチでほかにいい人がいるかというわけでもない。セットプレーのときに、大柄なセンターバックが二人ともゴール前に張りついちゃうってのもちと怖い。センターバックの補強は急務って感じ。せめて片方は脚の速い人にして〜。
巻頭カラーで松苗あけみが初登場。前後編で、今回は前編。タイトルは「食と薔薇の日々」。何を食べても味を感じなくなった上流階級お嬢さまに、小学校のころ同じ学校だった貧乏少女とかがからんでくるドタバタ料理コメディといった感じ。初登場といえば萩尾望都「ロンドンリベンジ旅行」も。こちらは旅モノのエッセイ漫画。まあ軽いほのぼの系なのだが、なんだか意味もなく外人さんたちが不吉に見えてしまう。魔夜峰央「パタリロ西遊記!」。つまりパタリロが悟空になって……説明するまでもないか。今もなおパタリロなのであるが、でも面白い。貫禄。雁須磨子「どいつもこいつも」。今回も平和に自衛隊の日常が過ぎていく。ぼよよん。のどかですなあ。磯田わたこ「青空」。第24回アテナ新人大賞新人賞受賞作品。整った元気の良い絵で爽やかな読後感。心地の良い好感の持てる作風。ガンガン作品を描いて、その間になんか強烈な武器を一個身につけ、そして定着していっていただきたいもの。桑田乃梨子「男の華園」。古谷の恋が爽やかに終わりを迎える。気持ちの良い散り際に元気付けられるユカリだけれど、なかなか自分は前に進めないあたりがもどかしくて良いですな。
【雑誌】ZetuMan 5月号 笠倉出版社 B5中
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なんか全体的に実用度を高めようとしているって感じ。実用といっても、エンジェルクラブとかみたいなガツガツパワフル路線ではなく、あくまでキャピキャピしつつエロもそれなりといった趣。どちらかというとZERRY藤尾、榊原薫奈緒子といった変化球的作家さんがお目当てだったりするんだけど、実用度が高いってのはまあオトクではあるので、適当にバランスを取りつつやっていってほしいもの。というわけで今回は榊原薫奈緒子「アストロメイド」が掲載(ZERRY藤尾はお休み)。細かい部分までちゃぐちゃぐと描写が緻密なぷりぷり可憐なキャラを駆使して、毎度毒のあるギャグをテンポ良く展開。今回はけっこうぶっちぎってる感じで良い。もうどんどん好きなように遊びまくっちゃってください。かかし朝浩「いぬ少女」は今回最終回。ちと中途半端かな。単行本でまとめ読みしたいところ。芹川克己「時非学園物語」、優実かづあき「捕食」あたりは、話とか作品の出来はホントーにどうでもいいんだけど、乳がちょっといい感じかなあと。
んでもって次号はRaTeと花見沢Q太郎が初登場。両方ともけっこう楽しみ。
【単行本】「わかな先生に気をつけろ!」 吉良広義 エンジェル出版 A5
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淫乱な女教師のわかな先生が、激しく生徒たちとやりまくる。まあ女教師ものの典型的なパターンの一つではあるけれど、濃い描線で描かれる、パワフルなエロスはなかなか迫力あり。ゴツゴツちんちんがお見事。絵もクオリティ高めだし、かなりイキの良いエロの描き手。けっこう気に入っている。まあとりあえず、わかな先生には気をつけたほうがいいと思うんだ。
【単行本】「ベルセルク」19巻 三浦建太郎 白泉社 B6
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断罪篇。キャスカがからんで、役者が揃ったからにはどうあってもデカい話にならずにはいられない。おどろおどろしさ、アクション、怒り、恐怖などなどが迫力をもって描かれる。面白さが太い。設定のデカさに負けぬ器の大きさ。
4/15(土)……バラケる煤
TINAMIX 5/1号用の原稿アップ。今回の漫画チェックは1ヶ月分なのに、1年分を振り返った前々回、2ヶ月分の前回と文量がほとんど変わらない。雑文を頭のところにつけたとはいえ。
オツアン「復刻希望の絶版本」は4月16日午前4時30分現在で総投票数が291。作品数は140。相変わらずの票のバラケっぷり。今のところトップ10は以下のとおり。
1位 / 9票 / 3% :小原愼司「ぼくはおとうと」
1位 / 9票 / 3% :須藤真澄「アクアリウム」
3位 / 8票 / 2% :作:杉元伶一/画:加藤伸吉「国民クイズ」
4位 / 7票 / 2% :五十嵐大介「はなしっぱなし」
5位 / 6票 / 2% :津野裕子「デリシャス」
5位 / 6票 / 2% :松本剛「すみれの花咲く頃」
5位 / 6票 / 2% :Moo.念平「あまいぞ!男吾」
8位 / 5票 / 1% :平野耕太「拝Hiテンション」
8位 / 5票 / 1% :竹本泉「魔法使いさんおしずかに!」
8位 / 5票 / 1% :松本大洋「STRAIGHT」
「ぼくはおとうと」「国民クイズ」「はなしっぱなし」「すみれの花咲く頃」「STRAIGHT」「魔法使いさんおしずかに!」と、講談社モノがなんと6作品を占める。それに対して小学館は「あまいぞ!男吾」のみ。なんとなく「少部数でも単行本を出すけど絶版にもする講談社」と「単行本を出さない小学館」という色合いが出ているような気がしないでもない。
ってな感じで、まだ半月ほど投票期間が残っているので、投票よろしくお願いしまーす。
【雑誌】MANGA EROITICS 2000年春 太田出版 B5平
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今号の執筆陣は小野塚カホリ、塔山森、安田弘之、町田ひらく、山口綾子、ひろもりしのぶ、やまだないと、マサキノリゴ、橋本マモル、砂、駕籠真太郎、福山庸治、古泉智浩、町野変丸、卯月妙子、フレデリック・ボワレ。今回もレベルが高く充実。ひろもりしのぶは、最近コンビニ系エロ雑誌でもこの名義で描いてたし、一部でひろもりしのぶ名義が復活している感じ(新しい読者の人だと知らない人もいるかもしれないが「ひろもりしのぶ=みやすのんき」である)。EROTICS系列で、6月からMANGA Fという月刊誌が創刊されるとのこと。面白い雑誌が増えるってのは、雑誌好きな人間にとっては喜ばしい限り。もうどんどんやっちゃってくださいませ。
それでは作品の話。小野塚カホリ「飯事(ママゴト)」。美しうてエロティックでええですなあ。この人の作品は、いつも同じように見えて、けっこう手を変え品を変えてくる。巧みである。とても。塔山森「ひどいやつらは皆殺し」。状況は異常ではあるけれど、しっぱりとエロいですのう。実用に使うというタイプなのではないけれど、心根的にすごくエロい。安田弘之「紺野さんと遊ぼう」は、女学生・紺野さんをいろいろ。素っ気ない展開ながらユーモアもけっこうあって楽しい。町田ひらく「少女法」。そういえば久しぶり。少女を取り巻くやりきれぬ一風景。汚い大人男どもの中で少女だけが可憐で美しい。山口綾子「リングに散る花吹雪」。砂「SOX」。今回はマッチョぶりを軽減し、あえてシンプルに。第三の脚が女の子の股間にドドーンとぶら下がるイヤな社会を描く。その物件の料理の仕方が、とても珍妙でおかしくて良い。あと途中で出てくる理屈っぽくてうさんくさい文化人の言葉が上滑ってるのも面白い。駕籠真太郎「大酔狂」。いつものごとく奇想が盛り込まれてて面白いのだ。一つのネタをここまで膨らませちゃうというのはやはり凄い。
【雑誌】ビッグコミックスペリオール 5/1 No.9 小学館 B5平
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東本昌平「SS」。クルマの疾走シーンがリアルでかっこいい。そして「ボクは頑張ったのですか!?」というあの決めゼリフが。地味だけどいい仕事しているなあ。柴門ふみの新連載「非婚家族」もスタート。アオリ文句は「ネオ30代の革命的人生白書!」。ステキですね。
【雑誌】ビジネスジャンプ 5/1 No.10 集英社 B5平
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作:近藤雅之+画:有賀照人「警視総監アサミ」。今号も期待に違わず、ちゃーんと意味なさげなエロシーン、萬田警部補のフェラチオシーンあり。こういうシーンのどこまでが原作によるものなのか、ちょっと知りたいような。いや、どうでもいいか。ヤンジャンではおなじみの七瀬あゆむがビージャン初登場。タイトルは「恋のかけら」。いい話系恋愛モノ。この人の描く女の子の造形はわりと好き。甲斐谷忍「ONE OUTS」。今回はすごく面白かった。雨を待って大差を付けられた試合を無効にしようとする渡久地はむりやり時間稼ぎをしようとし、相手チームは時間をかけまいととっととアウトになろうとする。そのため、ルールをあえて破る反則の応酬を繰り広げる両軍。野球漫画のなかでもこういう戦いは前代未聞だと思うし、駆け引きとしてすごく面白い。頭を使ったストーリーがかなりイケてる。
今月2冊目の天竺浪人単行本。フラミンゴ掲載作品を収録した短編集。美人OLの心の傷を、全4話かけてじっくり浮き彫りにしていく「ひる」がこの単行本ではメインであり、取り分け興味深く仕上がっている。心の暗闇に向き合って、その中に沈み込んでいくダークな作風が冴える。これは1997年の作品だが、この時点でも十分な完成度なのに、天竺浪人はさらにクオリティを高めて新たな次元へと進もうとしている。エロ漫画屈指の実力者であり、常に先端を進み続ける。大したものだ。
この単行本については、近日もっと詳しく天竺浪人ページで「NIGHT GALLERY I 桜色の肖像」とともに書く予定。ちとお待ちを。
4/14(金)……総スキャンを喰らう日
まだ文字のほうはちーっとも書いちゃいないが(すみません)、TINAMIX 5/1号に使用する図版のスキャニングをせこせことやる。けっこうな点数があるので、けっこう骨が折れる。文字原稿のほうが時間はかかるが、どっちかっていうとスキャンのほうが面倒くさく感じる。B4を取れるスキャナがあるといいなあと思うんだけど、Bサイズは世界標準でないからたいていのスキャナはA4なんですな。
以下、本日購入未読物件(たぶん早売り含む)。
【雑誌】ZetuMan 5月号 笠倉出版社 B5中
【雑誌】MANGA EROITICS 2000年春 太田出版 B5平
【単行本】「わかな先生に気をつけろ!」 吉良広義 エンジェル出版 A5
【単行本】「黒日夢」 天竺浪人 三和出版 A5
TONO「チキタ★GUGU」。食う妖怪と、飼われる少年の物語。奇妙な友情、食う者と食われる者の複雑な心理のやりとり、彼らやそのほかの登場人物たちの悲しみや怒り。そんなものをファンタジックな衣でくるりと包み込む。あたたかい雰囲気だが、同時に緊張感もある。実に巧み。諸星大二郎「栞と紙魚子 本の魚」。今回も奇想を、飄々とした筆に乗せて展開。妙にのどかで、サラリとした読後感が快感。本山理咲「Mr.hoo.doo」。人間の幸福の美味さを知ってしまった疫病神のお話。それまでは不幸ばかり食っていたのだが、味を覚えてからは幸福を食べるようになってしまう。シンプルな絵柄で、なかなか心暖まる味わい。
中原アヤ「チェキラッチョ」が、今号と次号で前後編100P掲載。彼氏ができてウキウキの女の子・なつみと、なぜか何かと彼女の恋路をじゃましてくる男の子のお話。中原アヤの作品は、なかなか華がある。スタイリッシュで健康的である。いくえみ綾「ハニバニ!」。第2回。自分が好きだった男の子に宇宙人の魂が宿ってしまい、元の人格からはうざったがられ、宇宙人からはなつかれている女の子が主人公。ドタバタとしたラヴコメディも楽しく描きこなす。
【雑誌】ヤングアニマル 4/28 No.8 白泉社 B5中
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三浦建太郎「ベルセルク」。イヤなハンプティダンプティだなあ。邪悪で不吉で。黒々とした深淵を覗かせる描写は、確かな迫力をもって読者へ訴えかける。二宮ひかる「ハネムーンサラダ」。女二人+男一人の同棲生活。うらやましいようなめんどくさいような。甘さと甘くなさのバランスを、実にうまく調整しながらお話が進んでおり、毎度うまい。田中ユタカ「愛人[AI-REN]」。それまで保護者的なイクルになついているといった感の強かったあいだが、その想いがだんだん恋愛感情へとシフトしていく。甘い。切ない。いいお話。作:あかほりさとる+画:板場広志「マウス」。今回は、カプセル怪獣的牝奴隷3人娘の一人、眼鏡の弥生さんのお話。いつもサービスたっぷりだ。そしてたまらぬ馬鹿テイスト。
【雑誌】ビッグコミックオリジナル 5月増刊号 B5中
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井浦秀夫「AV列伝」。今回から女優・風吹あんなのシリーズ。彼女の不幸な生い立ちを子供のころからじっくり語っていく。AV女優であるかないかを抜きにして、物語としてけっこうイケる。花輪和一「和一怪奇おかし話 瓜子姫」。ああ、もう花輪先生はしみじみといい。優しそうだけど、わりと異形な瓜子姫の造形に得も言われぬ味がある。あと天の邪鬼様がこれまた。頭の突起がキュート。
4/13(木)……ゴクリさんが通る
「指輪物語」(J・R・R・トールキン)がまた映画になるのですか〜。Webページはhttp://www.lordoftherings.net/。以前製作されたアニメ映画のほうは、オークの動きだけはすごいんだけどバタくささがどうもなじめなかったうえ、前半しか作られなかった(んだっけか?)ということもあり満足のゆかない出来だったのだが、今度のはどうなるんだろう。「指輪物語」は、物語が途中いくつかの枝に分岐して進むので、映像的には作りにくかろうなと思う。以前ゲーム化もされたけど、あんまりやる気しない仕上がりだったし。今回の映画が「旅の仲間」「二つの塔」「王の帰還」の三部作で作られるというのはちょっといいかもしれないが。中学/高校時代を、どっぷり指輪にハマって過ごした人間としては、やはり気になる。そのころ、たぶん100回くらいは読み返したように思う。また久しぶりに読み返してみようかなあ。そんな時間ないか。とりあえず日本で公開するときは、人名/地名の字幕の表記を瀬田貞二訳に準じてほしいもの。アラゴルンを「アラゴーン」とかいわれた日にゃあ、雅びやかさが台無しでありましょう。
余談だが、指輪で育った人間にとって、RPGでやたら多様なモンスターが出てくるのはどうも納得がいかない。ザコキャラなんざ全部オークで十分。
【雑誌】週刊少年チャンピオン 4/27 No.21 秋田書店 B5平
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いとう杏六「ショウup」。第2回め。今回はかなりハッタリが利いてて、アクションも馬鹿っちくなかなか面白かった。ヘンなことしつつも、読者をぐんぐん物語に引っ張り込む強さがあるというのは素晴らしい。高寺稔「ドンカンモチーフ」。元気いっぱい、子供っぽくて恋愛方面はちょっとニブい女子生徒と、彼女に恋する美術部部長のラブコメディ。まだあんまり洗練されてはいないけど、元気が良く読後感も爽やか。わりと好感。
【雑誌】週刊少年サンデー 4/26 No.20 小学館 B5平
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石渡治「パスポート・ブルー」。怒濤の中学生編終了。次号から新展開とのこと。そろそろ宇宙っぽいことをぜひ。久米田康治「かってに改蔵」。今回は未確認物を確認してまわる話。端々にいろいろギャグがちりばめられていて、毎度面白い。ただ最近はちと作りすぎな感じもする。
【雑誌】まんがタイムジャンボ 5月号 芳文社 B5平
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こうの史代「こっこさん」。というわけで。シンプルだけど優しく美しいカケアミ描写。
【雑誌】ヤングサンデー 4/27 No.20 小学館 B5中
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奥瀬サキ「コックリさんが通る」がものすごく久しぶりの復活。繊細で緻密、そしてダークな作画はまた一つ完成度を高めている。お話の全貌は見えてないけれども、雰囲気的には無性にかっこいい。これから先が楽しみ。ダレることがあまりない短期集中連載という形態も吉と出そう。山田芳裕「度胸星」が再開。度胸は水中にて無重力を想定した訓練にいそしみ中。サイクロン猿橋「ときめきヒルズ高校白書」。グニャラくんが大量のトキメキを獲得して急成長。あまり役に立たなげな成長ぶりが楽しい。ロドリゲス井之介「踊るスポーツマン・ヤス」は最終回。どうも笑わせようという意図が見えすぎてしまって、いまいちノレないまま終わってしまった感あり。
【雑誌】ヤングジャンプ 4/27 No.20 集英社 B5中
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山口譲司「BOiNG」。ボインの祭典、ボインピック開幕。馬鹿馬鹿しくていいですなあ。井上三太「TOKIO Graffiti」。スプレーで街のいろんなところにペインティングかましているストリート系あんちゃんのお話。こういうお話ではあるが、手堅くまとまっているという印象。ヤンジャンの雰囲気にはけっこう合っていると思う。
【雑誌】モーニング 4/27 No.20 講談社 B5中
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ノンフィクションものの、三山のぼる「イングリッシュマン・イン・エヴェレスト」が掲載。「そこに山があるから」という名言を残した登山家、ジョージ・マロリーの物語。ジョージ・マロリーは、エヴェレストに初登頂したのではないかといわれている人物だが、そのアタック中に死亡したため、実際がどうであるかは謎のままになっている。その真実に迫る物語である。このネタは、現在ビジネスジャンプで谷口ジローが描いている「神々の山嶺」でも扱われている。今回のお話では、ジョージ・マロリーが登頂したということに肯定的な見解を示しており「ノンフィクション」とはちといいがたいかもしれない。題材としては興味深いが、漫画作品としての完成度から見るとも少し盛り上がりは欲しかった。
次号では、吉田基已「水と銀」が掲載予定。そして水島新司「野球狂の詩2000」が月イチで始まってしまうとのこと。最近の水島新司のクレイジーぶりは圧巻であります。
【単行本】「白い少年」1巻 かいともあき 双葉社 B6
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待望の初単行本。この勢いでヤングサンデー大漫王掲載の「裸のふたり」も頼むぜ。
「白い少年」は、汚れを知らず、素直すぎるがゆえに他人とは違う行動をとってしまう少年の、まっすぐすぎるパワフルな青春物語。異常なほどに暗かった「裸のふたり」とは対照的に、「白い少年」はギャグであるが、テンションの高さはこちらも変わらない。血管をビキビキいわせて「あああああああああああああああ」とか叫び、不必要なくらいにダイナミックなアクションをやってのける。唐突さがステキな逸品。とくにこの1巻掲載分は素晴らしい。最近のアクションでの連載分は、テンションが落ちてきてしまっているのでちともの足りないが。週刊ペースはまだキツいかも。
4/12(水)……買いはすれども買い忘れもする
週刊少年サンデー買い忘れ。本業、副業ともにこのごろやけにドタバタ。キーボード叩いてばかりで、指の第二関節もキシキシ。一日中Web作ってるような。でもビールがやたらとうめえ〜。何はともあれ眠いのだ。
●俺用メモ:ビーム定期購読2000年5月号〜2001年4月号
【雑誌】コミックビーム 5月号 エンターブレイン B5平
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エンターブレインからの発行になって第一発め。会社が変わったとはいえ、やたらと高いテンションは変わらない、というかむしろパワーアップしているようにさえ思える。しかも毎月こうなんだから、ちょっと信じられないほどである。これがたったの490円で読めるなんて。もちろんアクが強いから万人向けではないけれども、読みたい人が読めばそれでいいのだ。たとえ何万部売れようとも、俺が読むのは今目の前にある一冊だけなのだし。他人にとってどうかなんて知らない。俺にとって面白いこと、それがいちばん大事。全力を挙げて、読ませていただきますぜ。
まずは巻頭カラー、作:TKD+画:竹谷州史「LAZREZ」。「PLANET 7」の竹谷州史の新連載だ。竹谷州史は太い線で黒がとても黒々とした骨っぽさと、ころころしたキュートさを兼ね備えた、非常にイキのいい描き手である。夢ばかり見てうだつのあがらぬ生活をしていた、ゴツゴツと人相の悪い万尊という男が、ある日、内なる衝動を爆発させ、コンサートの壇上に乱入し、あらん限りの力を振り絞って「清水次郎長」からの一節を叫ぶ。そのパフォーマンスに圧倒された少年と万尊が出会い、物語は動き始めていく。まだ始まったばかりでどう進むか分からないが、絵にもお話にもガツガツとぶつかってくる力がある。かなり面白くなりそうな気配で期待大。有川祐「彼女とデート」は最終回。最後までとても面白かった。もったいないので中身についてはあまり語らないでおくが、最終回だけでも独立した短編として立派に通用するだけのクオリティを持っている。心の暗部をザクリとつかみだし、ありありと描写する鋭さにはクラクラしてしまう。単行本は5月末発売予定とのこと。まとめ読みしたら、またやられてしまいそうだ。
志村貴子「敷居の住人」は、毎回書いているがすごくいい。オシャレであり深みもあり、小僧小娘たちのキャラクターも立っている。ずっと彼らの生活を観察していたくなる。タイム涼介「東京カイシャイン」。馬鹿馬鹿しくて下品でへにょへにょと脱力。何気ないセリフがキク。上下逆さまコリアンパワー漫画、林光默「橋無醫院」。今回も話は見えてこないが、気合いビシバシでハッタリの利いた画面作りがかっこいい。精緻でかつ荒々しい。羽生生純「恋の門」。嫉妬に燃え、やがて自分の心の中で恋乃が占める部分の大きさに気づく門。そして彼はペンを執る。でもやはり、この二人を結びつけるものはかなりの部分で打算なのだ。甘えのない表現、情念パワーが迫る。 しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP」。いつもすごいけど、今回もまた。鬼気迫る迫力。市橋俊介「テルオとマサル」は、今回もやたらテンションが高い。待ち合わせに遅刻したくせに、ティッシュ配りの女の子と話しているテルオを見て、いきなり「この色情魔!!」といって殴りかかるマサルの暴虐ぶりがたまらない。恐ろしい男だ。
須田信太郎「やさしい女は何処にいる」。この前のエクストラビージャンに載った読切「未来の住人」もすごくいいお話だったが、今回もよかった。地味ながら、人情味のあるお話を、キザでなく押しつけがましくなく描ける実力派だ。新谷明弘「期末試験前也〜ときめき注意報〜」は、一本のお話が34個のパーツに分かれていて、それが順番がごちゃまぜに配置されていて「次はどこだろう」ッて感じで探しながら読んでいくトリッキーな構成。頭から通すとお話が分からないけど、ちゃんと順を追うと、なるほどなかなか巧妙な作りであることが分かる。いましろたかし「釣れんボーイ」。ヒマシロ先生は、毎回毎回絶句させてくれる。仕事をほったらかして釣りに入れ込むと思えば、今度は仕事をほったらかして病院の女先生に恋慕。なんかどの方面も中途半端であるあたり業が深い。
なお、今回はカネコアツシ「BAMBi」はお休み。
【雑誌】コミックバーズ 5月号 ソニー・マガジンズ B5平
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古屋兎丸「Marieの奏でる音楽」。第2回め。古屋兎丸作品に対してはほかの作品よりもかなり大きな期待を込めて読んでしまうのだけれど、それでもさらにその期待のはるか上を行ってしまう技量にビリビリしびれる。工房の町に存在する技術の精巧で気高い美しさ、そしてマリィの奏でる音楽。もちろん漫画から音は聞こえないのだが、空間をふるわせる至福を描き出す古屋兎丸の腕にはうなるほかない。吸い込まれていきそうに気持ちが良い。こんなのを毎月読めるかと思うと、泣けてきちゃうほどに幸せ。浅田寅ヲ「万事大作戦」。世界をひみつ結社から守る女うたゑさんと、彼女の下部である男型のSCSI装置&女型のUSB機器。シャープで達者な絵柄ですっぽこなドタバタギャグ。ちと狙いすぎな感じもするけれども、シャレが効いてて楽しく読める。どり☆あすか「タバしこ」。今回は4コマ。どり☆あすかのギャグはどうも中途半端な感じがしていたが、今回のはわりと良さげ。4コマ向けに絵を単純化しているのがいい方向に働いているように思える。玉木満は今月号も目次洩れ。というか、目次に玉木満が載っていた覚えがほとんどないのだが。
【雑誌】週刊少年マガジン 4/26 No.20 講談社 B5平
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新連載、島田英次郎「伊達グルーブ」がスタート。暑苦しい顔をしてモテない男街道を驀進中の伊達&荒川の、ドタバタギャグものといった趣。「カメレオン」が終わったので、そっち系の路線をまた注入って感じか。
4/11(火)……まほうのつかい
えっ? 今ならまおうのつかい+アンドレアル or グレイトドラゴンでりゅうおうができるんですって!?
【雑誌】漫画アクション 4/25 No.17 双葉社 B5中
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作:森高夕次+画:あきやまひでき「おさなづま」。「めぐみのピアノ」が漫画賞を受賞し、その表彰式の風景。チョリィ渡辺の、ねたみと敵愾心と、そして愛がこもったスピーチはとんでもないが、その思い入れの深さはジンと来もする。人の心を打つ傑作が人の心を打っているさまは、人の心を打つものなのだ。普段はドタバタとギャグをやりつつも、ときどきこうやって感動もさせてくれる。「おさなづま」には、いろんな面白さがてんこ盛りである。
【雑誌】ヤングチャンピオン 4/25 No.9 秋田書店 B5中
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岩明均「剣の舞」第2話。前回、上泉伊勢守の一番弟子、疋田文五郎におしかけで弟子入りした少女は、なんだかんだで疋田のもと修行を積んでいく。騒ぐことのない落ち着きのある筆致で一歩一歩着実に物語は進んでいる。作:高見広春+画:田口雅之「バトル・ロワイアル」。いよいよ3年B組のみんなは武器を渡され、分校から外に出ていく。いよいよ殺し合いスタート。これからが田口雅之の濃厚な作風の活きるときだ。第37回YCコミック大賞受賞作品、石川聖「朝を眠る」。これはなかなかの佳作である。ゆるやかで、でもシニカルな物語。大金持ちの家に買われてきて奥方にこき使われる少女と、その奥方の息子の物語。一見、心暖まる絵柄ながら、なかなか飄々とヒネくれたお話を作り上げている。構成力、演出力がなかなか巧み。シンプルだが一本一本の線を細かく描き込んでいく柔らかい画風にも非凡なものがある。読切好きな人に強くオススメ。保存推奨。
安倍吉年+gK「NIEA_7」。アパート住まいの二人のダメっぷりが徐々に加速。ダラダラとした日常が妙にうらやましい。介錯「鋼鉄天使くるみ」。最近の、恐ろしく強烈なオタク的表現は立派でさえある。「ご主人様」「ですぅ」。ほぼ完璧である。岩原裕二「クーデルカ」。今回は巻中カラーあり。4色もえらく美しいねえ。トーンにあまり頼らずペンタッチで見せる、描線が洗練されて滑らかな触感の画面。アクションのスピーディさなど、とてもかっこよく完成している。キャラクターの表情もイキイキして魅力的。それから、石田敦子「からくり変化あかりミックス!」が最終回。変身に頼ることをやめ、自分の力で前向きに進んでいこうと決意するあかり。最後まで優しく暖かく、そしてポジティブない〜いお話でありました。作:大塚英志+画:森美夏「木島日記」。今号も不吉で美しい。
副題が「−天才・羽生が恐れた男−」とあるが、タイトルの「聖」とは29歳の若さで夭折した棋士・村山聖を指す。自分の持つすべてを、将棋の駒にたくし、将棋盤という宇宙にぶつけ、鮮烈な輝きを放った棋士の物語である。この巻では、村山聖の少年時代を描く。子供のころから病を患い、したいことも我慢しなければならなかった病床の聖は、同じような境遇にある子供たちと病院でともに過ごす。彼の仲間たちはいずれもいつどうなってしまうか分からない状況にあり、死を迎えていく者もいた。そんなこれからの人生に希望を持てない境遇の中、聖は年上の少年の導きで将棋と出会う。たった81マスの将棋盤で繰り広げられる棋譜は、一回だって同じものにはならない。そこに彼らは、果てしない宇宙を見る。この巻のクライマックスは、この年上の少年が死の渕に瀕しているその間、彼が残した9手の詰め将棋に聖が挑むシーン。いつ終わるかもしれない命を燃やし、どんな厳しい状況でもきっとなんとかなるという信念のもと、困難に挑み続けるその姿は実に感動的である。汗をダラダラ流しつつ、盤面を見つめるその姿には、圧倒的な緊迫感と強い意志の力があふれている。この生涯を賭けた、文字どおりな「一生懸命」ぶりは胸を打つ。2巻も早く読みたい。
【単行本】「魔法使いの弟子」 井浦秀夫 小学館 B6
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文明開化華やかなりし明治初期。西洋からの文化の流入は、先進の技術だけでなく、怪しげなオカルティズムをも日本にもたらした。動乱の世にあって、冷徹な手腕で明治日本の骨組み構築すべく尽力する参議・鬼窪巌。鬼窪は剛腕で鳴る政治家だったが、彼が政務に忙殺されている間に、その奥方が怪しげな異人のもとに出入りするようになる。その異人は「動物磁気」なるものを用いて治療を行う、怪しげな人物であった……。
こんな感じで始まる物語は、当時の日本の世相を描きつつ、オカルティズムと合理主義、それから人間の心といったデリケートな領域までも踏み込んでいく。といっても、別に小難しい話にはならず、「まんが日本の歴史」的風味も漂わせながら、落ち着いたぺースで物語は進む。時代モノの面白さと、人情味がうまくマッチしていて、面白く読める作品。
傑作集の第2弾。新作3本+再録8本。いきなり1本めからして、激あまずっぱい。漫画家に本気で挑戦中の男とその彼女のお話なのだが、彼女はほかの人から見ればさえない「オタク娘」だけど「ボクにとっては」「かけがえのないこの世でただひとりの美の女神」。大阪弁(そっちの言葉に詳しいわけじゃないんで、ホントの大阪弁なのかどうかはよく知らないが)のかわいいめがねっ娘が、「今日のウチは万太郎だけのかわいいエッチなメイドさんなんやで▽」(▽はハートマークの代用じゃい)などとまあ、小っぱずかくなるような愛ワードを囁く。甘くて、そして爽やか。おそろしく都合良くオトコの恋愛ゴコロを、甘ーくとろかす。読んだ後、炭酸飲料のようにスカッと抜けていき後に残らない作風なので、再録作品であっても新鮮な気持ちで読めてしまう。ぎゅっと凝縮された初恋ものがたり。毎度毎度、その甘ったるさにゴロゴロさせられてしまう。このコンスタントさも田中ユタカの凄さである。
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