「からまん」表紙 唐沢なをき

からまん
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 SPA!掲載作品を集めた作品集。基本的には見開き2ページの話が連続するって形式。唐沢なをきにしては、普通の出来かなーって感じ。後にオールマンに移籍するトキ課長(天然記念物)の話とか、旗本ダイエット侍とか内容的にはバラエティに富む。収録作品一覧は細々としているので、今回は割愛。
 俺的にとくに印象に残ったのは4色ページを使った米まんが。ほかほかのごはんに岩のりで絵を描くという馬鹿馬鹿しさ。ここらへんの「思いついたのでやってみる」ってあたりは、さすがなをさん。しかもこういうのが実験に終わらず面白かったりするのが素晴らしい。

 ところで帯の文句が『唐沢なをき衝撃の告白!「実は僕、鳥って嫌いなんです」』となっているが、唐沢なをきはけっこういろいろな場所で自分の鳥嫌いをアピールしていたので、「そんなの知ってらあ」という人も多いだろう。そして俺もあえていう。そんなの知ってらあ。

「ケダモノ会社」 けだもの会社
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 意味があるんだかないんだか知らないが、イヌ、ネコ、コウモリ、パンダなどなどのケダモノどもを従業員として使う会社を舞台にしたオフィスギャグ。ケダモノどもは、ケダモノの習性「など」を発揮して会社を混乱させるが、この会社ではそんなこと日常茶飯事。ときにまったくケダモノらしくなく、また意味もないところでケダモノらしいこの動物たちは、役に立ったり立たなかったり。まあとりあえずアテにはならない。SM狂いで真性マゾの犬山、本当にパンダなのかどうか疑わしい黒と白のむくむくした生き物、それから「からまん」でもおなじみ、やたらと天然記念物であることを振りかざすトキ課長あたりの活躍がとくに目を惹く。
 普通の会社にケダモノがいるという異常な状況ながら、それはすでに前提。登場人物たちは「それはなぜか」などと考えたりせず、そこから起こる事件に当たり前のように対処する。こういうところの「説明のなさ」はギャグ漫画の基本といえば基本。唐沢なをき世界ではこの程度は当たり前なのである。
 唐沢なをきお得意の実験的作風はこの作品では見られず、「お仕事しているなあ」という感じの作品集。唐沢なをきにしてはヌルい。ただ、そのお仕事ぶりはなかなかキッチリしてて、反復ギャグなどではきっちり笑えるし、タヌキが化けた女の子キャラとかもなんだかかわいい。手堅くて、安心して読める作品ともいえる。

巻数ISBNコード価格初版発行
1ISBN4-08-782587-6 C0979800円+税1999/04/25
2ISBN4-08-782592-7 C0979800円+税2000/06/25
3ISBN4-08-782663-5 C0979800円+税2001/09/25