小原愼司
Shinji Ohara
菫画報
全4巻 講談社
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アフタヌーンにて連載された作品。
大柄でキレると何をしでかすか分からない、そしてきれjなくても何をしでかすか分からない乱暴でかつ美人的女子高生、新聞部所属のスミレがヒロイン。独特の淡々とした、かつすっとぼけたノリでお話は進んでいく。ひょうひょうとした展開ながら、実に味のあるお話に仕上がっている。スミレの1本スジの通った無軌道ぶりは、壮快感さえ覚える。単行本1巻のカバーを外したところに「ジェットコースター少女漫画」と書いてあったが、まさにそんな感じ。
基本的には一話完結なので、とくにこれといったあらすじ的なものは書けないのだが、テンポよくギャグを交えつつきれいにしめくくる展開はとても鮮やか。そしてときにセンチメンタルで浪漫を感じさせる作風は、実に味わい深い。ステキに美しいモノへの憧れ。日常と非日常が、くるりと入れ替わる瞬間。その境目の部分をとらえる視点は、実に鋭い。大上段に構えるでなく、かといって読者に媚びるわけでもさらさらない。サバサバとした表現で、適度に力が抜けている。ほかでは味わえない面白さを持っており、何度も何度も読み返したくなる魅力がある。
なお小原愼司は、この作品の前に「ぼくはおとうと」という作品もアフタヌーンで連載していた。これは、親を交通事故でなくしてから寄りそうように暮らしてきたOLの姉と高校生の弟の、平凡ながらもちょっと変わった日常を淡々と描いた作品。これもまた、小原愼司らしい、実に味わい深い作品になっている。もの静かながら、ちょっとスパイスの利いた小品である。現在でも入手可能かどうかはちょっと分からないが、機会があったらぜひとも読んでみていただきたい。
●小原愼司関連のリンク
施療院島……小原愼司自身のホームページ。日記やイラストギャラリーなどあり。
菫画報 第1巻
ISBN:ISBN4-06-321071-5 C9979 本体価格:457円
シリーズ:アフタヌーンKC1071 初版発行:1997/07/23 判型:B6・モノクロのみ
第一報 偉大な記者クラーク・ケントは言いました
第二報 今日子は1個の爆弾であった
第三報 あたし紙芝居見た事ないわ
第四報 次は出刃にしたいと思います
第五報 無修正なんだよねー
第六報 絶対こげないドイツ製
第七報 ハイスクール・スチューデント・オブ・ザ・イヤー
特別収録「演劇部編」
第一話 十分、楽しいハイスクール”
第二話 スミレ、絵に描いた王様のお使いをする
菫画報 第2巻
ISBN:ISBN4-06-321080-4 C9979 本体価格:457円
シリーズ:アフタヌーンKC1080 初版発行:1998/01/23 判型:B6・モノクロのみ
第八報 土星からきました
第九報 学生2枚 クマ1枚
第十報 第一印象は怖かった
第十一報 こたえは√6
第十二報 死んでたんだなー
第十三報 おかしやのおばはんは死んだ
第十四報 今からラインハルト
特別収録「演劇部編」
第三話 スポコンてスポーツ根性ものの略かしら
第四話 はいっ見事 憑依しました
菫画報 第3巻
ISBN:ISBN4-06-321089-8 C9979 本体価格:457円
シリーズ:アフタヌーンKC1089 初版発行:1998/07/23 判型:B6・モノクロのみ
第一五報 血わき肉おどらないかなーっ
第一六報 組合員46号
第一七報 ライク・ア・ローリング・ストーン
第一八報 毎日カンガルー
第一九報 スーパーの試供品だから沢山
第二十報 2番目の探偵
第二一報 前略社長様
第二二報 ガードマンがとんできます
特別収録「演劇部編」
第五話 構成員同士の恋愛は自由よ
菫画報 第4巻
ISBN:ISBN4-06-321102-9 C9979 本体価格:505円
シリーズ:アフタヌーンKC1102 初版発行:1999/06/23 判型:B6・モノクロのみ
第二三報 タネもシカケもありません
第二四報 少女探偵リル
第二五報 星之文書
第二六報 制服制服セーラー服
第二七報 18年前アメリカで
第二八報 くっきりはっきり写ります
第二九報 ロボットノート
第三十報 尾けてきた男
第三一報 話題を提供、よい新聞
最終報 スズキと侵略兵器
「ぼくはおとうと」
ISBN:ISBN4-06-314092-X C9979 本体価格:505円
シリーズ:アフタヌーンKC92 初版発行:94/09/22 判型:B6・モノクロのみ
第1話 おねえさんと一緒
第2話 月の夜の屋根
第3話 にこにこぷん
第4話 かたい蓋
第5話 放蕩息子
第6話 夜歩く
第7話 死んだ猫
最終話 死んだ猫に