「メロドラマ」表紙 村上もとか
Motoka Murakami

メロドラマ

全2巻 講談社・モーニングKC 判型:B6

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 どの作品も非常にレベルが高く、俺の中では「大いなるごはん系」として位置づけている村上もとかだが(ごはん系については「俺の呟き・拡張版」を参照のこと)、この作品も非常に面白い。

 1925年(大正14年)、花の都・巴里に赴任した帝国陸軍大尉・都筑慎太郎は小柄で射撃はヘタだが、度胸は抜群。舞踏会で一緒にダンスを踊った令嬢ソフィに恋した彼は、真夜中、彼女の部屋に忍び込む。そのころ、不倫関係に傷ついていた彼女は慎太郎とともに家出をする。この二人に、慎太郎の古くからの親友であった画家・今広美がからみ、巴里での浪漫と情熱にあふれた物語が進行していく。

 俺がこの大正だの明治だのといった時代を扱ったものに弱いというのは「ロマンス」(高見まこ)の紹介のときにもいったことだが、この「メロドラマ」も俺の心にズバリとヒットした。舞踏会や決闘など絢爛たる花の都の社交界、帝国軍人らしく凜としようとする慎太郎の心意気、可憐で芯に強さを秘めたソフィ、芸術と怠惰の間で揺れる今広美。さまざまな要素がしっかりと描かれていて、じっくりと読むに値する作品に仕上がっている。
 見せ場を心得た村上もとかならではの演出・作画。次々に繰り広げられる上質のストーリー展開。その世界を堪能しながら、非常に面白く読むことができる。連載ペースはゆっくりしているが、それだけにきっちりと作られた物語は一読の価値ありだ。

巻数ISBNコード初版発行本体価格
1ISBN4-06-328560-X C997998/01/23552円
1ISBN4-06-328601-0 C997998/09/22524円