岡田ユキオ
Yukio Okada

レグ・ラバ・ザ・ポチ

全3巻 講談社・ミスターマガジンKC 判型:B6

巻数ISBNコード初版発行本体価格
1ISBN4-06-328062-4 C997994/05/09485円
2ISBN4-06-328070-5 C997994/09/09505円 
3ISBN4-06-328080-2 C997995/02/09505円 

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「レグ・ラバ・ザ・ポチ」表紙

 パンク系でソウルフルな漫画を描く岡田ユキオだが、この作品は俺が読んだ中では今のところ彼の最高傑作だと思う。
 タイトルの「レグ・ラバ・ザ・ポチ」とは、きちんとしたスペルで書くと「Leg Lover the POCHI」。このタイトルから想像できる人もいるかもしれないが、これは足フェチ人間たちの物語だ。

 子供のころ、バッタリ出くわしてしまった大人たちの性行為。半開きの襖の影からにょっきりと突き出されていた、女性の裸の足。それに魅せられて以来、足でしか性的興奮を得られなくなってしまった男、姫野。
 そして、子供の頃から素足を見られるのが何より恥ずかしかった女性・麻葉(マハ)。彼女にとっては身体の中で最も恥ずかしい部分が足だった。そしてその恥ずかしい部分を愛撫されたときのみ、エクスタシーを感じるようになっていた。
 究極といってもいい美しい足を持つ麻葉と、足のみを純粋に愛し続ける姫野の出会い。それはまさに運命だった。これ以上ないくらいにお互いの存在を探し求めていた二人。そして、姫野は麻葉の足のとりこになり、「ポチ」と呼ばれるに至る。

 二人は飽きることもなく、足で戯れお互いを貪りあう。そんな二人の幸福な日々が続くかに見えたが、思わぬ障害が待ち受けていた。足によって結ばれた二人の間には、やがて足だけではない愛が芽生えてしまったのだ。足に対するコンプレックスが欲情の源であった麻葉は、「好きな人が愛してくれるその足」ということで、足に対するコンプレックスがなくなってしまう。そのときから彼女は足で性的興奮を得られなくなる。だが、お互いを求める気持ちはすでに足なくしても、不変のものになっていた。

 物語は全編、足へのこだわりで貫かれている。靴下を脱ぐその仕種に異常なまでに欲情し、踏んで踏まれてその愛は充足を得る。靴越しなんかでは得られない。裸の足こそが最もエクスタシーを呼ぶ。
 足に対するものすごいまでの偏愛。それは、あまりにも馬鹿馬鹿しくてそして突き抜けているがゆえにかっこよくさえある。岡田ユキオの描く、フェティッシュで妖しい女体、そして鼻を鳴らしながら足にむしゃぶりつくポチの恍惚の表情。圧倒的に濃くて業が深くて素晴らしい。

 足フェチという性向は一般人には変態扱いされる。でも、周りの人には異常に見えても、理解できなくても、ここには間違いなく愛がある。汚れなき足に対する愛、そしてその足を持つ人への、足を愛する人への。変態は変態でも、タダの変態じゃない。実にソウルフルでまっすぐ愛だ。足好きな人もそうでない人も読んでみるべし。感動するぞ!