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柴田芳樹の初単行本。アフタヌーン93年1〜7月号に連載された作品。講談社は絶版にするのが早いため、現在では新刊での入手は難しいと思う。レッドマンの異様なまでの赤へのこだわりのかっこよさ。そしてさっそうと現れ女性を救い、鮮やかに去っていく神出鬼没さが実に痛快。柴田芳樹作品の中では一番完成度が高くオススメ。 赤という色をこよなく愛し、全身を真っ赤な服、帽子、マスク、手袋、靴下で包み込み、町を徘徊するナゾの人物。普通の人からは変態にしか見えないが、赤いポストに恋をするセンチメンタルで詩人な面も。彼が気に入った、赤い色が似合う女性には特別な赤のルージュが手渡される。そして、彼女たちがピンチに陥ったとき、ルージュを塗ればたちまち彼は現れる。赤い夕日に身を熔かし、赤いトマトと薔薇を手に、今日も彼は町を行く。彼の名前は「レッドマン」。 あなたはレッドマンを知っているだろうか それは町のスキャンダル 彼の素性を知る者はいない…… |
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少年チャンピオンで連載された作品。未収録の回もあるのだが、残念ながら1巻しか発売されなかった。秋田書店はなかなか単行本は出さないものの、一度出した単行本はなかなか絶版にしない出版社なので、現在でも問い合わせれば比較的容易に入手できるのではないかと思う。 この物語の主人公は、ある学校に赴任してきた美術教師、大陀羅墨智(だいだらぼっち)。彼は美術の授業なんかそっちのけで、教え子を大人物、彼のいうところの「ジャイアンツ」に育て上げるべく教育を始める。金なんかなくたって、勉強なんかできなくたって、恋人なんかいなくたっていい。情熱を燃え立たせ、個性的な血沸き肉踊る人生を送る。それがジャイアンツの姿だ。 ……とここまでは実にまっとうなことをいっているように見えるのだが、野外授業でのジャイアンツウォッチングなどから明らかにされていく、そのジャイアンツ像がものすごい。はっきりいって、「紙一重」なのである。例を挙げれば、
身体の内なる叫びに従って、情熱の赴くままに奇妙に身体を動かし踊りつつ町を徘徊し、こういった個性的な(要するにイカれた)人間を見つけては、「ジャイアンツ!ジャイガンスティーック!」と叫ぶだいだらぼっちの姿は、神々しくさえ……ない。どうにもイカれまくってて、一本ブチ切れてるんじゃないかという作品。ビッグでキワモノな大人物たちの姿を見たい人はぜひどうぞ。 |