吉本蜂矢
Hachiya Yoshimoto

デビューマン

少年画報社・YOUNG KING COMICS
判型:B6

巻数初版発行ISBNコード価格
198/10/01ISBN4-7859-1864-0 C9979定価520円(本体495円)

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「デビューマン」表紙

 ヤングキング本誌にときどき掲載される作品。
 貧乏な家に生まれ育ち粗暴かつ意地汚く育った富里豊(通称:トビ)、ハードコアでそっけなくて顔がいい旭末広(通称:アサヒ)、女好きの軽い男である千代田アカネ(通称:千代彦)の男子高校生3人組が、千代彦の姉のマンションを借りて3人で生活を始める。もともとたいした計画もなく、親がいなくて女連れ込み放題で……などと甘い夢を見て始めた共同生活だけに、金はあっという間に底をつく。こ汚い乱雑な部屋の中で営まれる、男3人の貧乏でムサ苦しい生活を描いた作品。

 絵柄は線が太くクッキリカッチリとしていて、わりとオシャレでポップな画風。しかし、ギャグが非常に勢いがあって下品で馬鹿で、実にくっだらねえのである。高校生あたりの年代ならではの、怖い者知らずでケダモノじみた爆発感がすごくいい。部屋中に充満するムッとした男臭、そこら中にちらばるちぢれ毛といった感じの雰囲気なのだが、コジャレた絵がムサ苦しさをかなり軽減している。3人組の中では、とくにトビが愉快。パワフルな野獣だが童貞。腹が減れば残飯あさりや虫を食うのも辞さない。「動物の肉」などを愛するワイルドな男だ。そのほか、脇役の女の子とかもイマ風の容貌で、かっちょよく決まっている。

 場面によって絵のタッチをコロコロと変えて、非常にテンポ良く読ます。オチをつけるタイミングの絶妙さも見事。間の取り方のうまさは吉本蜂矢の特長の一つだ。最初は絵のうまさで引き込まれたのだが、ギャグのセンスがいちいち見事で思わず吹き出してしまう。酔っ払ってテンションが高くなったときのような、後をひかない爽やかな馬鹿馬鹿しさがすげえ楽しい。素直に読んで笑い転げるが吉。