「急戦法まことスペシャル」 作:小杉あや+画:青木光恵
Story:Aya Kosugi+Art:Mitsue Aoki

急戦法まことスペシャル
オスマントップページに戻る

 かわいくてプロポーション抜群の女子高生棋士が、将棋の道を極めるべく邁進するという物語である。乳がでかくて、あどけない顔をしたプリプリの女子高生であるまことには男もわらわらと寄ってくるのだが、彼女は極端にニブいというか、将棋のことしか頭にない。天然ボケなキャラクターが見ていて楽しい。
 そして彼女と一緒に住んでいる師匠である「七冠王」月本のキャラクターがこれまたいい。将棋はムチャクチャ強いんだけど、異様なまでに自分勝手で自分より弱い奴は「虫」とさえ言い放つ(といってもカラッとした感じなので、そんなに嫌味ではないのだが)。負けず嫌いなまことが師匠に勝負を挑んで負けると、露出度の異様に高いボディコンやネコ耳の恥ずかしい衣装をつけたまま買い物に行かせたりとやりたい放題。

 というわけで、将棋お色気漫画なのかというとそれももちろんあるのだが、この漫画の魅力はそれだけではない。たしかにあけっぴろげなまことがふんだんにふりまくナチュラルな色気もいい。ひじょーにいいっ。
 でも、なんといってもいいのが将棋に対する愛をひしひしと感じることだ。原作者の小杉あやが将棋ミーハーで将棋の本を読みあさったりしていただけあって、素直に棋界を楽しんでいるという感じがいい。読んでいると自分も将棋界に注目してみたくなるような、そんな楽しさにあふれている。やはり愛の力は偉大なのだ。
 それから青木光恵の絵も魅力だ。青木光恵の漫画は構成力のなさがモロに出て、かわいい女の子がボーンと出ているだけって感じのものになりがちだけど、この作品の場合きっちりとした原作がついているおかげで魅力的な絵が生きている。青木光恵の場合は、エッセイ漫画だとコテコテの大阪節が出るのはいいのだが、ともすればただしゃべっているだけの勢いだけで読ます漫画になりがち。でも、ストーリー漫画だとそれが抑えられ、ストーリーの中でそのかわいい絵がより威力を発揮しているような気がする。今は亡き漫画ガウディに掲載されていた「はたらくお嬢ちゃん」も、よくできていてなかなか面白かった。単行本化されてほしいところである。

 そんなわけで、絵の魅力と、ストーリーの面白さと楽しさがうまい具合に相乗効果をあげている佳作。能條純一「月下の棋士」のようなガチンコの将棋漫画にはない魅力があるうえ、将棋界をろくに知らずに描かれたような中途半端な漫画にはない愛を感じる。将棋は全然知らなくても楽しめるので(逆に知っている人はけしからんと思うかもしれないが)、気楽に楽しむが吉である。

【関連リンク】

みつえ天国……青木光恵公式ホームページ

小杉のお庭……小杉あやのホームページ