オス単:2002年11月の日記より


 このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。

 日記形式だと、どうしても日にちが過ぎてしまうと大量の過去ログの中に個々の作品が埋もれてしまうため、このコーナーではダイジェスト的にまとめてみました。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則としてしませんので、普段日記を読んでくださっている方にとっては読む意味がないかもしれません。手抜きといえば手抜きなんですが、まあその点はご容赦ください。

 なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でもどんどん入れていきます。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、わりと省略しがちです。


▼強くオススメ

【単行本】「喰いタン」1巻 寺沢大介 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 いやー、これ最初はマジなんだかよく分からなかったけどすごく面白いよ! 大マジでふざけてるんだと思います。主人公は一見颯爽とした青年に見えるけど、とにかく大食いで食い意地の権化的存在である探偵・高野聖也。殺人現場に残された食い物でさえ、平気で食い散らかしてしまうような男である。かなり人格的にはムチャクチャなのだが、起こる事件も一見マトモそうに見えてなんだかすごい。大食漢である高野でなければ解けないような事件が、なんだか物凄い確率で起きる。たぶん地道に物的証拠を集めていけばいずれの事件も解けてしまうのだろうけれども、まあそれは置いといて。食のウンチクを基準にいつの間にか事件が解決しちゃう、独特のノリに何やら狐につままれたような感じになりながら、高野の言動が不意にツボに入って思わず爆笑してしまう。

 実はハチャメチャな話ではあるのに、それが非常に面白く読めてしまうのは、テンポが抜群に良く描写の一つ一つがとても分かりやすいからだと思う。こういう明快さは、やっぱり週刊少年誌で長年看板を張っていただけのことはあるなあと思う。月刊でやっているせいもあってかネタも毎回練り込まれているし、うまいこと馬鹿馬鹿しさを演出している。なんかすごく感心した。

【単行本】「青 オールー」1巻 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

【単行本】「サブリーズ」 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

【単行本】「強者大劇場」 羽生生純 エンターブレイン A5 [bk1][Amzn]

 羽生生純3連発。

 まず現在連載中の「青 オールー」は、編集者・安対が、今は断筆中の人気漫画家・差能構造に作品を描かせようと単身沖縄に渡るところからスタートする。ところが差能はすでに漫画に対する情熱は失っており、自分は空っぽであると語る。ヤケになった安対は、差能を伴って夜の街に繰り出すが、そのとき起きたトラブルが彼らの人生を変える。連れ込まれたヤクザの事務所で出会った狙撃事件の中で、差能は銃で人を撃ち殺すことに自分の存在意義を見出すようになり、安対もそれに巻き込まれていく……。空虚に蝕まれた男の狂気が読む者を呑み込んでいくようで、圧倒的な存在感がある。お話はまだ途中ながら、弓の弦をギリギリ引き絞っていくような展開から、どんな矢がはなたれどこに突き刺さるのか、すごく楽しみな一作。

 「サブリーズ」は1995年〜1996年の間にコミックビームで連載された作品。太宰的な破滅型の編集長に率いられ、この世の不可思議な出来事のみを扱う新聞「サブリーズ」。最初の展開からして、あり得ない超常現象をメインに扱っていくお話になっていくかと思いきや、お話はサブリーズの製作スタッフである3人、それからサブリーズに資金を提供しているキチガイ夫婦の内面にグリグリと斬り込んでいく。一見派手にスペクタクルなことをしそうでいて、そこには退屈と絶望が満ちあふれている。かなりドスンとくる衝撃を感じる作品だった。

 「強者大劇場」は、以前発売された短編集「強者劇場」に6本の作品を追加したパワーアップバージョン。これはもう素晴らしいなあ。イカれた人々がごく当たり前のごとく登場する短編の数々のインパクトは物凄い。とくに好きなのが「セイギノミカタ」という作品。これは知恵遅れな大金持ちの息子が、正義の味方を志し、父母から金を得て正義の道を邁進するというお話。この息子の思考を追いながら展開される物語は、空恐ろしくもあるし、ラストシーンの解放感も強烈。そのほかの作品もクセがありまくりなものが揃っていてとてもいい。

 こうやってまとめて読むと……というより、どの本読んでも「羽生生純ってすっげえなあ」と圧倒された。3冊ともオススメ。

【単行本】「刑務所の前」第1集 花輪和一 小学館 A5 [bk1][Amzn]

 現在ビッグコミックオリジナルの増刊号で連載中の作品で、「刑務所の中」に至るまでの年月を描くという趣旨で始められたもの。というわけでお話は、花輪和一が入手してきた古い拳銃を一生懸命磨いたりハンダを盛ったりしながら補修していくという話がメインになるのであるが、しかしそれと並行して武家時代に刀鍛冶の娘として生まれた少女の姿を描いていく物語や、獄中生活の話も同時進行。あるコマまでは時代劇をやったかと思えば、その次のコマでは花輪和一が参加したサバイバルゲームのキャンプの話が始まるといった具合で変幻自在。しかしこれがまったく違和感なく溶け込んでいるあたり凄いなあと思う。そしていつもながらに驚かされる描写の恐ろしい精密さ。錆びついた銃の各部を詳細に眺め、いとおしそうに修理していく様子はむやみやたらと楽しそう。

 ところでこの人で面白いなと思ったのは、投獄されたことをちゃんと反省してるっぽいこと。普通この程度のことなら、「ただ拾った使い物にならないような銃を磨いてただけなのに……」とか言い訳の一つもしそうなもんだけど、「あ〜っ! やだやだ! 犯罪だ。 ハジだ! ハジ!」などと自ら語ってしまうあたり吹っ切れてる。そして獄中でも、別に不平とかを持つでなしに、自分とこれまで縁がなかったような銀行のエリート支店長さんと獄中で隣り合わせになっていることに対して、「ああ、肩を並べてなあ、こんなことが本当におれの人生になあ。」などとありがたがってたりするあたり「この人は違う」と思ってしまう。


▼一般

【単行本】「無敵看板娘」1巻 佐渡川準 秋田書店 新書判 [bk1][Amzn]

 学校を出た後、稼業の中華料理屋を手伝うことになった主人公の鬼丸美輝が、その超怪力でもっていろいろと騒動を巻き起こすドタバタコメディ。ちょっと萌え系のキャラっぽいけど、そういうのは抜きにしてドタバタギャグとして普通に楽しい。なんといっても特筆すべきは美輝のキャラで、明るく可愛く元気が良いのはいいのだが、それ以外の点で人格的に優れたところをまったく発揮していない。乱暴だしいらん騒動に首突っ込みまくりだし、マジメに仕事するわけでなし、力は強すぎだけど使い方間違えてるし。とにかく腕白。周囲の人間から見れば迷惑極まりなく、恋愛の兆しも全然なし。でもはたから見てる分には単純に面白いです。

【単行本】「地球氷解事紀」上下巻 谷口ジロー 双葉社 A5 [bk1:/][Amzn:/

 10年以上前のアフタヌーンに掲載された本格SFアドベンチャー。主人公は氷河に閉ざされた惑星で資源の採掘をやっていた青年ヤマト・タケル。最初は採掘坑で退屈な日常を送っていたタケルだが、惑星に異変が起こり気候が激変、氷河期が終わりを告げさまざまな動植物がいっせいに進化を遂げていく中で、彼も己の進むべき道を模索していく……という大河ロマン。まあ正直なところ、いろんな設定が詰め込まれすぎててほとんどが未消化のまま終わっちゃってる感はあるんだけど、わりと一気に読んでいけるような作りになっているので読んでいる間はあまりそれらのことは気にならない。設定的にはスター・ウォーズっぽいところとかあったり、いささか古めかなとも思うけれども、こういう大風呂敷なSFモノ自体は嫌いじゃない。本格的にやろうと思ったら、10巻レベルのボリュームは必要かもしれない。

【単行本】「必ずお読み下さい。」 一條裕子 マガジンハウス A5 [Amzn]

 電化製品などの取扱説明書に書かれている「長時間ご使用にならないときは、乾電池を取り出してください。」などの一つひとつの文句をネタに、一條裕子がしなくてもいい想像の翼をはためかせてヘンなお話を作っちゃうという趣旨のお話。「取扱説明書は、いつでも見られる場所に保管してください。」という文句から、ゲートボール倶楽部内の人間関係に悩むおばあちゃんのお話を展開するなど、いちおう使用者に誤解されないように書かれているはずの定型文からよくぞここまでお話を作るもんだと感心させられる。一條裕子らしい、しれっとした嘘話テイストが出ていて面白かった。

【単行本】「銀河ガールパンダボーイ」 かわかみじゅんこ 祥伝社 A5 [bk1][Amzn]

 「銀河ガールパンダボーイ」「忘れじのレイドバック」と、「クラブハリケーン」全4話を収録。思春期の少年少女の気持ちを描いた感覚的なお話が多く、なんだか評しにくい本ではあるんだけど、絵もストーリーも雰囲気も美しい。かわかみじゅんこ作品の特徴であるキャラのまっすぐな目の光同様、作品世界全体がキラキラ眩しい。

【単行本】「ハイスコア」1巻 アルコ 集英社 新書判 [bk1][Amzn]

 「スターレスブルー」「ラブレター」で、非常に繊細にオトメゴコロを描いた短編を連発し、俺のピュアハートをわしづかみにしたアルコの最新作。今回は同じクラスの千葉くんという男子がすごく好きなキヨコという女の子が、彼に少しでも近づくために、同じ趣味、ボウリングを始めるというお話。このキヨコはかなり天然系なキャラで元気が良くて怪力、千葉くんに何十回となく告白してはそのたびにフラれているという変わった女子。そのわたわた忙しい奮闘ぶり、くるくる変幻自在でコミカルな絵は、見ていてストレートに楽しい。連載が始まってからずっと「アルコはこういうギャグっぽいのもいいけど、もう少しオトメチックなものを描いてほしいなあ」という気持ちは常にあった。でもまとめて読んでみたら、これはこれでいいかなと思った。なんというかこの人の漫画には、人の心を揺さぶる大切な何かがあるような気がした。キヨコの頑張りっぷりが、けっこういい具合にキタのだ。まあセンチメンタルなあたりについては、併録されている「僕の右手、君の左手」で今回は満たすということで……。


▼エロ漫画

【単行本】「嬲 〜なぶりっこ〜」FraKctured Red/Black しろみかずひさ 富士美出版 A5 [Amzn:Red/Black

 ……これは凄いなあ。物語は、麻理果という一人の女性を、彼女を十年以上にもわたって手塩にかけて飼育し続けてきた兄の、麻理果を競売で見初めて人生唯一のメス奴隷とすることを誓った男・清彦の3人の姿を描いていくことで進行する。清彦は麻理果に奴隷契約をさせるも、兄のことが心に引っかかっている彼女を見て一つのアイデアを出す。清彦と兄でかわるがわる麻理果を調教し、その中で麻理果自身に主人を選ばせようというのだ。そして彼らの愛と肉の物語が始まる。

 作品内での描写はたいへんに激しい。麻理果は狂おしく雄のチンポを求め、二人の主人は彼女にザー汁を大量に注ぎ続ける。そして回を重ねるごとにテンションは上がり続ける中、あるとき転機が訪れ、それとともに三人の関係は変化していく。その中で描かれていく麻理果という女性の魔性にはゾクリとさせられるものがあるし、そんな麻理果に試されることによって二人の男の「愛」がその形をくっきりと表していく。そして愛と欲望が極限にまで膨れ上がり、テンションが高まったまま終わるラストには、正直なところ感動してしまった。雑誌で読んでいたときは1か月おきだったため、調教がエスカレートしていく様子を一気に味わうことができなかったが、単行本でまとめて読むと調教の進行具合や三人の関係の変化などもよく分かり、その真価が初めて分かったような気がした。これは研ぎ澄まされた、ピュアな愛の物語だ。飽くことなく相手を求め貪り続ける中でしかたどり着けない愛の姿を描いた物語だ。

 しろみかずひさという人は、たいへんなロマンチストだと思う。そしてこの作品も、ファックシーンは激しいけれども、とてもロマンチックな作品だった。ヌケるエロ漫画、萌えるエロ漫画はよくあるけれども、エロス表現を突き詰めたその先で感動できるエロ漫画はなかなかない。久々にそういう漫画に出会ったような気がした。

【単行本】「なめ蔵」 なめぞう コアマガジン A5 [Amzn]

 帯の「どぅしたら売れるんだー!!」という文字は悲壮なようだけど、添えられているイラストはそんな切迫感は全然なし。でもまあたしかにそんなに売れないんだろうなあとは思う。だってなめぞう作品は味付けが濃すぎるから。とはいえそこが好きなんだよねー。この人の描く漫画はとくに男キャラの、ものすごい暑苦しさ、テンションの高さ、空回りしまくる情熱が持ち味なのだが、それはこの単行本でもいかんなく発揮されていてとても面白い。リアクションとかいちいち濃いよなあ。明るいお話をやっていても「変態」だの「フェチ」だのいう言葉が脳裏をよぎる。

 それでこの単行本に収録作品で目立つのは、作画がすごくむっちりこなれてたいへんエロチックになっていること。なんだが画面いっぱいにむんむんとした熱気が漂ってて迫力あり。男キャラの顔を筆頭に、薄味なところなんて全然ないあたりがすごく好き。で、ラストに短い描き下ろし作品が入っているんだけど、そこに思わぬ情報が。書いちゃうとネタバレになるのかな。よく分からないので文字色を背景と同色で→「土木の神」の単行本も出るかもしれないとのこと。本当だったらうれしいねえ。

【収録作品】「チェリーボーイ白書 あの日の思ひ出」「絶頂にまいります」「演技と指導」「夢想+1」「2001年男の旅」「さよなら奥さん」「My Cheer Lady」「ワンダブル」「みちくさ」「蔵の外へ」

【単行本】「AFTER S」 天竺浪人 シュベール出版 A5 [Amzn]

 天竺浪人が挑んだ夢の女教師モノ。ここで描かれるシズカ先生は、普段はカタブツ、全体的な雰囲気も非常に地味、だけど放課後は複数の生徒グループたちによってさんざんに奴隷調教されているHな女教師だ。最初は抵抗を見せる彼女だが、生徒たちの激しい責めにじょじょに理性は崩れ、快楽を受け容れていき、楽しむような素振りさえ見せていくようになる。そんな姿に生徒たちも夢中。シズカ先生に惚れる生徒、遊びで肉便器として扱う生徒……といった具合に、肉欲の宴はみんなを呑み込んでいく。でも授業時はまったく乱れることなく、キッチリ厳しい女教師ぶりを発揮。なかなか強いシズカ先生なのであった。

 というわけで、全編これシズカ先生の痴態を描き続ける本作。これはもう、天竺浪人の「こんな女教師がいてほしい」という欲望が、ストレートに爆発しているといえる。この手の女教師輪姦モノって、けっこう「授業中にもやっちゃってタイヘンなことに……」みたいなふうに展開していくことが多いのだが、それをあえてしないところにこだわりを感じる。それをやってしまったらただの変態女。あくまで授業中は凜々しく、女教師としての顔を保っていてこそ、女教師を凌辱することへの欲求が満足されるということで。流されるまま、あくまで受け身なようでいて、その中でふてぶてしさを見せていくシズカ先生の丈夫差、あと彼女と生徒たちのやりとりがなかなか楽しかったりもする。エロシーンも濃厚。天竺浪人は絶対フェラチオスキーだなと思う。個人的にはかなり楽しめる女教師エンターテインメントだった。

 ところでAmazon.co.jp。「天竺浪女」とはどういう誤植だ……。

【単行本】「よいこの唄」1巻 竹下堅次朗 コアマガジン A5 [Amzn]

 ヤングサンデー連載の「カケル」などで活躍していた竹下堅次朗が、ガチンコのロリータエロ漫画を描き始めたということで、この連載が始まったときはかなり驚いた。確か自分でエロ漫画を描き始めたのは、自分で希望して企画を持ち込んだはずだったと記憶している。このお話は成績優秀でクラスの人気者な女の子・香坂理香さんが、同じクラスの暗い影を宿した少年・徳永誠くんによって、Hなことを仕込まれていくという物語。その中で二人の間には、幼いながらも愛情が芽生えていき……といった具合。キャラクターは、もうバリバリ小学生。表紙でもバッチリランドセルを背負っている。そんな感じではあるのだが、安易に小学生を使っているわけではなさそうなところには好感を持った。竹下堅次朗は本当に少女が好きそうだ。そして自分の描いているキャラクターにもちゃんと愛情を持っている。真摯に子供の性を描き、しかもエンターテインメントとしても成立させているあたり、立派だなあと思う。とかいうとしかつめらしい感じになってしまうが、香坂さんを始め、女の子たちは非常に可愛く描けてます。1巻となっており、本人は続ける気はあるそうだけど、今忙しそうだししばらく無理そうなのが残念。

【単行本】「早熟児」 海明寺裕 久保書店 A5 [Amzn]

 今回の単行本は「早熟児」をはじめとして、子供が大人の女性を肉奴隷化するというタイプのお話が多めで、なんか久々に海明寺裕が直接的なセックスシーンを描いているのを見たような気がする。とはいえやっているとはいっても、ここで主眼に置かれているのは「肉の悦楽」よりも、むしろ「精神的な屈服」のほうがメインであるように思われる。でも何気に各作品の結末は殺伐とはしてない。幸せそうでさえあるのは一つ特徴といっていいだろう。

 あとこの単行本でもう一つ目立つのが、海明寺裕が一時期よく描いていた「全裸スポーツ」モノとでもいうべきシリーズ。まあ実際には全裸ではなかったりすることもあるんだけど、ほぼ全裸、場合によっては全裸よりも恥ずかしげな格好でアメフトしたりチアリーディングをしたりといった具合。こちらは「精神的な屈服」というよりも、むしろ「精神の開放」といった感じか。トータルで見ると、どの作品でも「露出」「他人の視線」を効果的に使いつつ、大人の女性が自ら望んでしっぽを振るという状況に至るまでを描いている。そこまで持っていくための描写は周到で巧み。なんというか若者みたいにガツガツしない、大人の懐の深さみたいなものも感じる。とはいえ「全裸スポーツ」モノなんかは、大人の稚気という感じもして、これはこれで楽しい。

【単行本】「健全変態少女」 町野変丸 久保書店 A5 [Amzn]

 この単行本もヒロインは全部、最終兵器痴女ゆみこちゃん。マンネリといえばマンネリなんだけど、これはなんというか尊敬すべきマンネリとでもいうか。「あ〜んチコクチコク〜ッ」から始まってヘンな奴が出てきて道端でやるというパターンは全然変わらないのに、毎度新鮮な驚きと面白さがある。今回の巻頭作である「ウサギと亀頭♥」なんかを読むと、やっぱりこの人本当にすごいなと思う。まさか道端にあんなものがねえ。オチもスバラシイと思った。町野変丸でなければやらないようなダイナミックな展開。収録作品自体は快楽天に掲載されたものが中心で、作者あとがきでは「わりとソフトな内容」とか書いてあるけどこれがソフトなんだからなあ。いやまあ確かに町野変丸作品としては十分ソフトなんだけど。

【単行本】「Click me」 大井はに丸 ヒット出版社 A5

 阿ウンで活躍中の大井はに丸の初単行本。むっちりたっぷりした作画はなかなか瑞々しく汁気も多くて実用度は高い。線の滑らかさ、熱に浮かされたような女の子の表情の描き方などが気に入ってて、最近の新鋭ではわりといい感じ。ただこの人は巨乳はいいんだけど、上半身を脱がしたときに女性の肩幅を乳に合わせて広く描きすぎなところがあるのが気になる。出始めのころの「Click here」という作品のHシーンがずっと上衣を着たままで、この人なかなかおっぱい描かないな〜とか思っていたのだが、もしかしたら肩幅を意識してなるべく上半身は脱がさないようにしていたのかも……とか思った。


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