OHPトップ > オスマントップ > 2003年10月の日記より
このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。
日記形式だと、どうしても日にちが過ぎてしまうと大量の過去ログの中に個々の作品が埋もれてしまうため、このコーナーではダイジェスト的にまとめてみました。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則としてしませんので、普段日記を読んでくださっている方にとっては読む意味がないかもしれません。手抜きといえば手抜きなんですが、まあその点はご容赦ください。
なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でもどんどん入れていきます。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、わりと省略しがちです。
▼強くオススメ
【単行本】「妄想トラッカー8823」1巻 小田原ドラゴン 講談社 B6 [bk1][Amzn]
小田原ドラゴンらしい風味がたっぷりつまったいい本。主人公の8823(ハヤブサ)は世界一のトラック野郎。世界最大のトラック「カリフォルニアビッグサンダース4号」を駆り、ハイウェイを力強く駆け抜ける伝説の男。……という妄想を心の拠り所として生きている冴えない高校生男子・早房くんの物語。もちろんただ妄想しているだけだから彼にはカッコ良いところなんかみじんもない。内気でオドオドしてて要領が悪く、クラスに友達の一人もいない。そんな少年の情けない日常が描かれていく。
この情けなさが実にいい。ギャグなんだけどリアルでもあったりして絶妙な味を醸し出している。例えば8823の一番の悩み。それは学校で昼休みをどう過ごすか。一緒に弁当を食う友達のいない彼にとって、その1時間はまさに試練の時。クラスでみんなが談笑している中で、一人ポツンと弁当を食うのは耐えられない。だから彼は誰もこない体育館の裏で隠れるように食事をする。トラッカーになる妄想にふけりながらもそもそと弁当を食すその姿を、小田原ドラゴンは痛々しいものとしてではなく、ちゃんとユーモラスに描いてくれる。自分も高校時代、8823ほどじゃないけど友達の少ない、妄想にふけりがちな男子だったからこの感覚は分かる。分かるだけに痛くもあり面白くもある。あとこんな8823くんの姿が、学生生活編で終わらず、大人になってからのお話まで描かれたのがまた良かった。ラストシーンなんかも見事だと思った。終わらない妄想を胸に抱き続けながら生きる冴えない男。別に素敵ってほどでもないがそれはそれでいいじゃないですか。
【単行本】「capeta」1〜2巻 曽田正人 講談社 B6 [bk1][Amzn:1巻/2巻]
なるほど面白い。月刊少年マガジンで連載中のカート漫画。幼いときに母を亡くして父親とともに暮らしてきた少年・平 勝平太(通称:カペタ)。いつもいろいろなことを我慢して聞き分け良く暮らしてきたカペタのために、父親が手作りのカートをプレゼントし、カペタはそれにのめり込んでいく……というストーリー。最終的にはF1あたりまで登り詰めることを視野に入れてるっぽいけど、今のところはカートレース。家は貧乏なのでほかの参加者みたいに豪華なカートにも乗れないけれど、カペタは勘、および頭の良さ、そしてど根性で自分ならではのライディングテクニックも身につけていく。迫力のあるレース描写、魅力的なキャラクター作りなど、さすがだなと思わせるものがある。ヘルメットをかぶっているため口が露出しないので、表情に変化がつけにくいかなとは思うけど、その分目の輝きでモノをいわせてます。これ以降の巻にも期待。
【単行本】「エロバカ学級日誌」 Dr.モロー&スタジオ寿 司書房 A5 [bk1][Amzn]
あー、こりゃいいですわ。とある高校の4人の男子が「マン研」(実はマ○コ研究会)を作ってバカ丸出しな行動をしていくという作品。それに綾瀬川&秋月という男子教師2人も加わってドタバタする。やっていることは本当に他愛もないし馬鹿馬鹿しいんだけど、そこがいい。いかにもそこらへんにいそうな奴らの、そこらへんにありそうな青春絵巻って感じがするところが。最終話で彼らが再会して昔の想い出に浸るシーンとかは、ちょっぴりジーンときちゃったりもするし。それにしても女の子が全然からまない青春だなあ。ヌルい部活モノ、っていうか部室モノとか好きな人にはオススメです。マン研に部室はないけどね。
【単行本】「Cotton」 紺野キタ ポプラ社 B6 [bk1][Amzn]
なんともまあ美しい。表題作「Cotton」は、紺野キタが同人誌で発表した作品をまとめたもの。とある雨の日に偶然出会った奈月と理子の二人。その後で理子が、奈月姉の結婚相手の妹であったことが判明。理子は他人に心を開くことのない頑なな娘だが、なぜか奈月にはなついてしまったらしい。そして歳下だが美人で自分を見透かしているかのように思える理子に奈月はドギマギさせられるが、しだいに心を通じ合わせていく。これはいい感じに美しい女の子の友情物語。二人が距離を縮めていく間の感情の機微が繊細な手つきで描かれていて、とてもいい雰囲気。百合な作品ではあるけれど、ベタベタしすぎず、節度を持って清らかに描かれてるのがいいです。
▼一般
【単行本】「ガタピシ車でいこう!!迷走編」1巻 山本マサユキ 講談社 B6 [bk1][Amzn]
この巻からガタピシも新シリーズ。といってもやってることはまったく変わらない。凸凹コンビ、俺(山本)と金田くんが、オンボロ車を駆っていろいろしょーもないことをする日常。趣味にハマっちゃったどうしようもない人たちの姿が、カラッと明るく楽しく描かれていて面白い。かわいい女の子ももりっと出てきて、これがいい潤滑油に。あとこの人の単行本は毎回おまけがいっぱいあってうれしい。今回も読切「MINI宅配便」「香奈ちゃんのガレージ」「チャンネル31」に加えて、ベストカー誌で連載中の「日本裏名車道」や、企画ページと盛りだくさん。「モテたきゃキミもミニに乗れ!!」とか。そうか乗ればモテるのか……。本編の後に読むと白々しさ抜群。
▼エロ漫画
【単行本】「キミの名を呼べば」 甘詰留太 ティーアイネット A5 [Amzn]
エロいしラブラブだしセンチメンタルだし。このところの甘詰留太の充実ぶりは素晴らしい。この単行本の中では、表題作「キミの名を呼べば」が頭一つ抜けている。学校の便所に、生徒の性欲処理用として配属されている「便器3号」と呼ばれている少女。彼女に恋をしてしまった中川くんの、甘くて苦い恋物語を描く1本。感情移入してはいけない相手にどんどん惹かれていってしまう中川と、彼の恋慕により性欲処理の勤めに徹していれば抱くことのなかなった人間らしい感情を呼び覚まされてしまう便器3号ちゃんの、暖かくも哀しい触れ合いがしみる。ほろ苦い青春ストーリーとして完成していて、思わず泣けてくる。
あとこの人の場合は、描写の密度のおかげもあって恋愛描写のボルテージが高い。「奥さまの休日」では、単行本「奥さまは少女」[Amzn]に登場した年の差夫婦が登場。なんだかんだいって旦那様にメロメロな満子ちゃんの、幸せたっぷりな表情がとてもいい。巻頭作の「三人のマジョ♥」も、エロさとラブラブさ加減がいい具合に同居。味付けは全体的に濃いが、それを受け止める素材の強さもある。強弱の利いた肉感的な線、魅力的なキャラクターの目つき、表情。そしてストーリーの構成力にしっかりしたエロ。こういう人は貴重です。
【単行本】「視力矯正少女日記〜めがねのおんなのこ〜」 へかとん 晋遊舎 A5 [Amzn]
この人はいいねえ。たいへん可愛いくて、つい萌えてしまいがちなエロ漫画でございますよ。まず描線がいい。イマっぽく洗練されておりとても完成度の高い絵柄。丸みがあって柔らかい。そして出てくるキャラは単行本タイトルどおりめがねっ娘が大半なんだけど、それがほぼ全員ドジっ娘。もちろん天然。例えば自宅でも常にメイド服で町内名物になっている若奥様。例えばある日自分を助けてくれたあんちゃんが好きになっちゃってストーキングをかますドジ娘。猫耳ずきんで風邪引きの幼なじみに迫る女の子……なーんて具合。登場人物はみんな一本ネジが飛んでるみたいなんだけど、ラブラブなお話は多幸感たっぷり。可愛い絵柄でちょっとだけ逸脱しててというバランスが非常に心地よい。エロのほうも何気にけっこうしっかりやってたりするし。てなわけでちょっとヘンだけど、文句なくかわいいんでオススメしておきますですよ。
【単行本】「あ、ちっちゃいね」 EB110SS メディアックス A5 [Amzn]
こちらも可愛いのだ。「SS」が付く前の昔からこの人の絵は好きだった。アゴがまったくとんがってない、平ぺったい丸顔の少女&幼女たちがとてもかわいい。最近絵柄はいろいろ思考錯誤してる感じけど、単行本タイトルどおり、ロリに徹した作風は潔い。お話の面ではちょっと弱い面もあるけど、全4話入ってる幼女売春宿の少女と半端者な主人公のラブストーリーである「碧サマが一番」なんかはけっこういい雰囲気を作り上げていた。愛しさと切なさと心強さがいい塩梅。碧ちゃんがいじらしくっていいですな。
【単行本】「怪盗ブルマー」 北河トウタ 少年画報社 B6 [bk1][Amzn]
北河トウタとしては今のところ一番長い連載でありましょーか。全7話あります。この人の作品はキュートで可愛らしい絵柄、明るい作風、案外実用面でも有効といったところに特徴あり。この作品は就職活動がうまくいってなかったお人好しの女の子が、ブルマー姿の怪盗をやってるおねーさん二人組に見込まれて仲間に引っ張り込まれるといったお話。主人公の女の子がブルマー姿でHしているスキに、おねーさん二人が盗みを働くといった具合でございます。正直なところあんまり設定は生きてません。おねーさん二人の影は薄く、なんか主人公のねーちゃんが流されてHをしている様子ばかりが目立つ。でも好きなんだよねー。「いやよいやよも好きのうち」のユルいバージョンって感じのノリで、主人公がいい具合に流されていく様子が。北河トウタギャルは素直にかわいいし、健康的でいいと思いますよ。