オス単:2006年2月の日記より


 このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則として行っていません

 なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でも入ってくることがあります。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、取り上げないことが多いです。


▼強くオススメ

【単行本】「スミレ17歳!!」1巻 永吉たける 講談社 新書判 [bk1][Amzn]

 今週のにゅーあきば.こむの連載ネタにもしたんだけど、これはかなり面白い。どう見ても人形にしか見えない少女スミレが、後ろで彼女を操っていると思しき謎のおっさんとともに転校してきて、学校は騒然。でもおっさんが操っているはずなわりに、明るく活発で、普通の女子高生以上にかわいく見えてしまいさえするスミレのぺースに、周囲の面々はどんどん巻き込まれていってしまう……というドタバタギャグ漫画。

 まあ要するに1/1サイズの女子高生型腹話術人形がクラスメートになっちゃった!ってな話ということになるのだろうけど、後ろのおっさんがハイクオリティ。スミレはきちんと普通のキャラ同様に動くし、言動や行動もある意味まとも。そしてかわいくさえある。ムサいおっさんとかわいい女子高生。そのギャップの激しさがとても面白い。おっさんが操っていることは承知でありつつも、男子たちがついついスミレに恋しちゃったりする様子も馬鹿馬鹿しくて笑える。

 またディティールも良くて、誰もいない学校の階段であるにも関わらず、スミレが手すりに腰かけて座って降りてみたり。おっさんの徹底ぶりをさりげなく、かつ強く印象づける描写がいちいち面白い。あとスミレが新体操に挑戦する話とか、リボンでぐるぐる巻になりつつもがんばるおっさんの姿に思わず笑ってしまう。絵も何気に親しみやすくていいと思う。道具立て・話運びが面白いし、キャラも立ってて、ギャグのテンポは上々。とても楽しく読んだ。

【単行本】「変わってるから困ってる」 藤枝奈己絵 青林工藝舎 A5 [bk1][Amzn]

 やっと出ました初単行本。いやーめでたい。この人はヤングマガジンの別冊で描いていたころからけっこう気になっていた人で、わりとヘンな漫画を描く。それもあからさまにヘンってわけじゃなくて、そこはかなとなくヘンという感じ。絵のほうはヘロヘロしてるんだけど、その適度に力の抜けた感じがいい。なんかこう、ちょっとヘンな部分があるのは分かっていつつも、ルーズさゆえにほったらかしにしてそのまま来ちゃったって雰囲気がにじみ出ている。この作品集では表題作全7話と、「輝く人。」「大野のおじさん」「夢でお会いいたしましょう」「両親の手作り」を収録。

 で、この単行本のメインとなっている「変わってるから困ってる」は、あまり可愛くない消しゴムを作っている工場で働く、佐々さんという女の子の生活を描いたお話。彼女には盗癖があるし、同僚の男の水野は突然ブチ切れる暴力癖の持ち主。工場長もなんかよく分からん変態性欲の持ち主だったりと、それぞれどこかヘンなところを抱えている。でも全員日常生活に支障があるってわけではなく、「実はちょっとヘンなところもある」レベルに留まっていてる。お話のほうもアツいクライマックスとかがあるでなく、作画作劇ともにゆるい。そのダラダラした感じがなんか妙に楽しい。

 思えば藤枝奈己絵が別冊ヤンマガでやっていた「超能力者鈴木文子」もゆるいお話だった。これは力を使うと体調が悪くなるヘタレな超能力者のお話だったのだが、彼女が気持ち悪くなるので力を出し渋るうえ、能力自体もあんまり大したことがないというショボさがなんだか好きだったのだ。この作品も機会があったら単行本化してほしいものですが……。


▼一般

【単行本】「魔法使いのたまごたち」1巻 作:雑破業+画:石川マサキ 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 この前のにゅーあきばどっと.こむでのレビューはこれにしました。ダンデライオン魔法学校の同じ寄宿舎で暮らし、ともに魔法使いを目指して歩んでいく6人の女の子たちの物語を微笑ましく描いた作品。第1巻の段階ではまだ入寮してお互いのことを知り始めたくらいで、本格的な魔法修行とかには入ってないけど、雰囲気としてはなかなかのどかで楽しいです。女の子たちがおおむね明朗快活で、表情がイキイキしている。個性的なキャラ同士が仲良くしている様子は見てて心温まる。あと絵がやっぱいいなあ。エロ方面ではひぢりれい名義で活躍してた石川マサキだけど、あのメリハリの効いたツヤのある線は相変わらず完成度が高いし、一般誌向けにちょっとシンプルにした画風も整理されてていい感じ。お話全般に邪気や陰がなく、ほのぼの感たっぷりなのは雑破業のおかげかな。まだどういう展開になっていくか分からないけど、先の展開を楽しみにしてます。

【単行本】「双月巫女」1巻 アキヨシカズタカ メディアファクトリー B6 [bk1][Amzn]

 こちらもわりとゆったり系。近未来の火星にある神社の巫女であるヒメと、そのお友達で神社のお手伝いをやっているアキ。二人の巫女さんの生活を暖かく優しく描いていく物語。アキヨシカズタカは、ヤングキングでやっていた「Monkey Magic」のころはもう少しカッチリした感じの絵柄だったが、この作品では雰囲気に合わせてふんわりしたタッチに変えてきた。これがゆったり系なお話によく合っててなかなかのもの。巫女さんのヒメ&アキもかわいらしいし。お話のほうも、ヒメが神社から一歩も出てはいけないことになっている理由などをほのめかしつつ、少しずつ動いてきている。こちらも先が楽しみな一作。

【単行本】「でりつま」 山名沢湖 双葉社 A5 [bk1][Amzn]

 学生時代からの仲良しで、今は全員奥さまな3人の新妻ライフを描いていく日常コメディ。主役格は奥さまとは思えないくらいちびっちゃいももえさん。あとライターのたまよさん、教師をやってるすみこさん。1ページ1エピソードって感じで、楽しげなお話が詰め込まれていてほのぼのまったり。斜に構えたり夫攻撃に走ったりするでなく、それぞれのセンスで日常を軽やかに楽しんでいる様子が見ててたいへん微笑ましいです。なお「でりつま」は「Daily-TSUMA」の略。「デイリー妻」と書くとなんかエロっぽいけど、もちろんそういう作品ではまったくないです。

【単行本】「散歩もの」 作:久住昌之+画:谷口ジロー フリースタイル A5 [bk1][Amzn]

 「孤独のグルメ」コンビの最新作。平凡なサラリーマンである主人公が、折りに触れてそこらの町を散歩してみて、日常的ではあるけれどちょっといい風景を見つけていく……という物語。食い物という目玉的要素がない分、「孤独のグルメ」よりもさらに地味めに映るけれども、日常風景からよかった探しをしていく散歩の様子はゆったりした大人の味。緻密な風景や事物の描写はさすが谷口ジローという見事さ。当たり前のごとくハイクオリティなのが凄い。なおAmazonにはまだデータベース登録されてないみたいだけど、ISBNコードでリンクだけ貼っておきます。

【単行本】「チェリーナイツ」1巻 小田原ドラゴン 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 童貞男2人のわびしくも馬鹿馬鹿しい東京生活を描いたお話。主人公の江藤カオルは30歳目前。自分は物凄い勢いで女とやりまくっていると自称しており、彼を慕う後輩の田村にその話を繰り返し繰り返し聞かせている。しかし江藤には、田村しか自慢話をできる相手がおらず、風俗に行く勇気もなければ、金も友達もない。そんな江藤の話を信じちゃうくらいなので、田村も当然かなりのバカ。男としての夢が、ココイチのカレーにエビフライを6本トッピングすることだというようなレベル。

 というわけで、この二人のうだうだした日常を描いていくだけというお話で、ずっとくだらないことをやっている。ただ読んでいると笑える一方で、ちょっと切ない気分にもなってくる。江藤にしろ田村にしろ、バカだけど悪い奴ではないし、他人に迷惑をかけるほどのことさえできないくらい力も意気地もない。彼らの報われることのない生活を見ていると、なんだか薄ら寒くなってきたりもする。いずれきっと、江藤の嘘が田村にバレるときも来る。田村にまで見捨てられたら江藤はいったいどうなってしまうのか……。とか考えると何やらしんみりしてしまう。

【単行本】「ねこみの暮らし」 むっく メディアワークス A5 [bk1][Amzn]

 「とらのあなの美虎ちゃん」でおなじみ、むっくの最新刊。単行本の帯で美虎ちゃんがが「オススメよ♥」とかいってるのがなんかうれしい。で、お話のほうは、お金持ちだけどひきこもりなお嬢さま、小学3年生のねこみちゃんの日常を描いていくというもの。ねこみちゃんは、ひきこもりとはいっても別に内向的ってわけでもなくて、単純に学校に通うような愚民どもとはソリが合わないだけ。ぬいぐるみなどの耳をつかむとそれに命を吹き込んでしまう、ねこみの血筋に代々伝わる「みみ使い」の特殊能力で動くようにしたぬいぐるみたち、それからお屋敷のメイドさんらといっしょに、ドタバタした生活を繰り広げていく。

 と書くと「結局ぬいぐるみが相手なのかー」という感じで、寂しいお嬢さんみたいに思えてしまうかもしれないけど、ねこみは終始マイペースなので寂しいとかいう感じはとくにしない。ねこみを慕う同級生のくらみちゃんやメイドのナニーら、普通の人間のサブキャラも出てくるし。「とらのあなの美虎ちゃん」同様、まったりほのぼのしてて楽しい作品になってると思う。女の子仲良し話としても微笑ましいものがあるし。

【単行本】「からみ合う糸」 比古地朔弥 古川書房 A5 [bk1][Amzn]

 ちょっと前に発売されてたみたいなんだけど見落としてたー。この単行本には短編6本、「食べなっせ」「逃避行」「残骸」「愛のない」「アイドル×アイドル」「Sweet×Sweet」を収録。このうち「愛のない」が比古地朔弥の商業誌(コミックビンゴ)デビュー作だが、原稿紛失でコピーからの再現となったらしい。比較的古めの作品が多いけれども、もともとアマチュア時代から完成度の高い作品を描いていた人だけに、収録作はいずれもしっかり読めるものばかり。強弱のしっかりしたついたペンタッチは、作品から漂う艶めかしい雰囲気は独特。まあ続き物ではないので、比古地朔弥作品の中では読みごたえ的にはちと弱いほうかなとは思うけど、比古地朔弥の商業誌作品一覧とかも掲載されているのでファンなら押さえておくとよろしいのでは。


▼エロ漫画

【単行本】「しあわせぱんつ」 うさくん 茜新社 A5 [Amzn]

 最近COMIC LOで活躍中のうさくんの初単行本。初回限定版には特製ぱんつがおまけで付いてるらしいんだけど入手できなかったので通常版を購入。といってもまあ、ぱんつをもらっても保管に困りそうなんで別にいいんですが。

 で、お話のほうは基本的にロリ漫画なんだけど、この人の作品はすごく好き。絵柄については作者ホームページを見ていただくと良いかと思いますが、たいへんふにふにしててかわいらしい。この丸っこくて初々しさと甘ったるさ、それから遊び心のあるタッチは最近ではあんまり見ないタイプ。タイトルにあるぱんつ等の下着類のもこもこ感、ほこほこ感も独特。まさに皺汗ぱんつって感じですな。

 あとお話が基本的に、いい意味でばかっぽいのが素晴らしい。収録作品では例えば「衣装ポーカー」。ちょっとおばかさんなカップルが、道具や衣装、体位などを記入したカードでポーカーをやって、負けたほうがその組み合わせを使ってエッチなことをされるってなゲームをやる。その衣装が園児服にいぬみみとかだったり、はげかつらに鼻めがねだったり、エロっちいことをやりながらも馬鹿馬鹿しい味がある。

 もともと頭身の高い絵柄じゃないけど、ギャグなシーンになるとさらに頭身が縮む。その絵柄がいかにもキャラ者っぽいカッチリ完成された感じじゃなくて、なんかゆるゆるな雰囲気なのも気に入っている。この人の作品は、どれも邪気が全然なくって明るいのがいい。とりあえず作品の雰囲気をつかみたいって人は、とらのあなのサイトで連載されている「しあわせももりんご」を読むとよろしいでしょう。なかなかほかには見ないタイプの作風なんで頑張っていただきたいもの。「しあわせももりんご」も単行本化しないかなあ。

【単行本】「水の戯れ」 ほしのふうた 久保書店 A5 [Amzn]

 今回はアンソロジーの「貧乳」シリーズと、メガキューブに掲載された作品がメイン。「貧乳」シリーズは最近買ってなかったので読んでない作品が多くてうれしかった。作品のほうは、相変わらずロリロリな作品揃い。ほしのふうたの健康的で明るく暖かい絵柄で描かれた少女たちは、本当にむちゃくちゃかわいい。その無邪気な様子にはほのぼのさせられる。それでいながら案外エッチである点も見逃せない。柔らかな身体のラインの持ち主である少女が、身体をいじられてふにゃふにゃになっていく様子は、あんまりロリ者ではない自分でもけっこうぐっと来る。

 今回の掲載作品では、「レミィたん愛好会」が個人的には良かった。牧場の少女レミィたんが、友達の男女二人にメロメロにされていく様子がエッチい。それから「どんぐりと山猫」のパロディである、「きのこと山猫」は、ぬるぬるきのこが女の子にからみついていく様子がグッド。魔法学校の女の子の話である「ルナ・ルミナス学院物語」も、ドタバタ楽しくて面白かった。やっぱりほしのふうたのロリはいいなあとしみじみ思った1冊。

【単行本】「夜に虚就く」 掘骨砕三 三和出版 A5 [Amzn]

 掘骨砕三ファンとしてはおなじみ、下水街シリーズをまとめたもの。タイトルは「よるにうろつく」と読む。下水街シリーズの単行本はこれで2冊めで、いちおう予定としては3冊分になるとのこと。で、この下水街シリーズは、下水道の中の街で暮らす畸形な女の子や男の子たちの生活を描いていく連作。下水ということで糞尿が流れてたり、地上では考えられないような奇妙な生物たちもいたりするのだけれど、その生活はおおむね平和。みんなが寄りそうようにして独特な生活を営んでいる。そんな中で住人たちが絡み合う様子も独特。ナメクジを身体に同化させてそれを媒介としてさかってみたり、媚薬を湧出するうねうねした異生物をお腹に宿してみたり。

 掘骨砕三の絵柄はたいへんキュートでかわいいんだけど、ギミック的にはグロテスク。その取り合わせの妙が、ファンにとってはたまらない。畸形なキャラが多いんだけど、別にそれを悪意を持って描いているわけではなく、作者なりにかわいく描こうとすると自然にこうなっちゃうって感じ。だから虫とかがうにょうにょしてても、なんか妙に愛らしい。もちろんダメな人は全然ダメだろうけど、そこでオッケーという人は病みつきになること請け合い。ほかの人では描けない奇想の数々は本当に素晴らしい。いやー、やっぱすごいですわ。

【単行本】「勇気を出してはぢめての…」 奴隷ジャッキー エンジェル出版 A5 [Amzn]

 これまで単行本未収録だった作品を収録した短編集。今回の単行本はわりとスタンダードな奴とか凌辱モノが多いので、「0 PULL TOWN学園へようこそ」とかみたいな強烈なインパクトはないかなーと思うものの、奴隷ジャッキー独特のやわらかくてむっちりしまくった女体描写はやはり健在。エロを派手&濃密にやってるわりに、ヌケるかというと相変わらず微妙ではあるんだけど、瞬間瞬間の爆発力はさすがでやっぱ好きです。収録作品では「黄金ジャスティス」なる正義の味方を名乗って、夜な夜なホームレスを襲撃したりとかしていた男の悲惨な末路を描いた「セイギノミカタ」がぶっとんでて好き。あとは浪人生の兄と、彼を誘惑するツンツン妹のお話の続編である「浪★兄」は、オチがラブラブで普通にグッド。あとカバー裏によるとデビュー10周年だそうです。

【収録作品】「勇気をだして初めての…告白♥」「撮影会」「セイギノミカタ」「ねぇっ!ネェっ!姉っ!!」「ませませ♥」「これが正しい○学校のきょーしDa!!」「おはなし」「あ・ぶ・ない♥ほのかちゃん!!」「オトウト」「ぺったん娘ぉ!」「浪★兄」

【単行本】「ももいろひよこ。」 春風うにぽ 茜新社 A5 [Amzn]

 ずっと延期が続いてたけどようやく発売。ロリ系の作品を描く人で、今回の単行本には5本ほど入ってる、たぶん園児のさわちゃんシリーズがいい。ひょんなことから出会った幼女のさわちゃんと、ちょっとカッコイイおにいちゃんがエッチを繰り返していくうちにラブラブになっていくという内容。無理やりって感じじゃなくて、さわちゃんのほうもしっかりエンジョイしてる様子なので、まあ現実味自体は薄くとも、殺伐とせず楽しく読める。春風うにぽの作画はまとまりのいい描線で、テイストとしても明るく元気が良い。さわちゃんが「おじゃ魔女」系なコスプレをする回があるけど、絵柄的にも多少通じるところはあるかな。さわちゃんシリーズについては続きを読んでみたいけど、掲載誌の園ジぇるは上記のように9号めが最終号。どうなりますか。

【単行本】「愛の魔法をおしえて!」 犬星 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 なんか今日はロリ系の話ばっかしてるな……。といってもこちらは上の2冊よりは年齢層はもうちょっとばかし高め。少女でつるぺたという感じ。犬星のスッキリしてるけど甘味もたっぷりな絵柄はたいへんかわいらしい。あとわりとラブラブなお話が多く、安心して読めるのもいいところ。掲載作では3本掲載されている魔法少女モノな作品「魔法少女いちご」「魔法少女みんと」「さくらテスタメント」あたりがにぎやかでいい。ただ、いちご、みんと、さくらの3人がもう少し直接からみあうお話も読みたかったかな。エッチシーンでなくてもいいんで、掛け合いが多いと楽しそうかなあと。

【単行本】「変態少年」 早見純 久保書店 A5 [bk1][Amzn]

 早見純自身をモデルにしていると思われるキャラクター、「純」少年を主役とした短編作品をまとめて収録した単行本。純少年といえば、まさにタイトルそのものな変態少年。冴えない容姿、粘着質な性格、挙動不審な態度で女の子からはまったく相手にされないが、性欲は人一倍。クラスメートやその他の女子に対して悶々とした執着を抱き続け、主に自室で右手などを駆使してその性欲を紛らわす。その様子が実にねっちょり描かれていく。

 まあ正直なところ、「これは濃すぎて読めない」って人も多かろうと思う。純少年は、偶然見つけた鉄道事故でバラバラになった女性の右足の部分を拾ってきてそれをオナペットにしたり、女の子の使った楊枝を用いて血混じりの尿道オナニーをしたり、女性の下着をまとって演技しながらオナニーしたり……とたいへん浅ましく、キモい姿を見せつけてくるので。しかしそれがオッケーという人にとって、これだけ作者の性癖が赤裸々にさらけだされた、刺激的な作品群もなかなかない。あと純君の「生きるってことはなんてすばらしいんだ」っていうセリフと表情はとても素晴らしいので必見。なんだか生きる希望が湧いてきます。


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