オス単:2006年12月の日記より


 このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則として行っていません

 なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でも入ってくることがあります。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、取り上げないことが多いです。


▼強くオススメ

【単行本】「ムーたち」1巻 榎本俊二 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 これはスゴイなあ……。お話としては、虚山(むなやま)一家の父母、そして息子のムー男たちの日常生活、会話を描いていくというお話ではあるんだけど、これがもうとにかくシュール。思索的であり哲学的であり、しかも実用的でない。

 基本的に言葉遊び的なお話が多いんだけど、じゃあどういう言葉遊びをしているのかといえば、説明すると長くなっちゃうものばっかり。簡単なものとしては、「終わりの文字と始まりの文字が一致しなければ何をいってもいい」という、しりとりの反対的な遊びである「しりとらず」とか。外国人の名前を「デビット=アキラ」といった具合に、イメージだけで日本の名前に当てはめてみる遊びだとか。

 こうやって説明しやすいものはまだ序の口で、もっともっと風変わりな問答を、虚山一家は繰り広げている。日常的なものを、裏返したり、ひねくったり、あるいは馬鹿正直に真正面から突き詰めていったりするやり方がやたらハイレベル。「よくこんなこと思いつくなあ」「それでもってよくここまで突き詰めていくなあ」と感心させられる。それとこれ読んでると、なんか怖くもあるんですよね。親子の表情の微妙さ加減がものすごいし、会話のノリも乾いているけどうっすら不気味。そして当然のごとく受け入れていた認識をゆさぶるような会話内容。いやー、榎本俊二は天才ですわ。

【単行本】「ハチワンダイバー」1巻 柴田ヨクサル 集英社 B6 [bk1][Amzn]

 とても面白い。「エアマスター」「谷仮面」の柴田ヨクサルの最新作は将棋漫画。奨励会出身ながらプロ棋士になれなかった主人公・菅田は、それでも将棋が諦めきれず、賭け将棋で日銭を稼ぐ日々を過ごしていた。しかし「アキバの受け師」と呼ばれる女流真剣師に出会ってこっぴどく負けたことがきっかけで、そのプライドは散々に打ち砕かれる。その後、アキバの受け師さんがメイド派遣サービスで働いているのにバッタリ出くわしてしまった菅田は、受け師さんにずっぽりハマっていくと共に、より高い次元での真剣師の道を歩んでいくようになる。

 ってなわけで将棋+ラブコメ的な内容が展開されていくわけだが、その両方において、この作品は面白い。柴田ヨクサルの作品の特徴としては、すごくまっすぐ、ダイレクトで一本気なところが挙げられる。竹を割ったような作風は、読んでてすごくスカッとする。この作品についてもそれは同様。菅田は将棋に対してものすごく真摯で、その差しっぷり、のめり込みっぷりは見てて気持ちがいいし、受け師さんとのやり取りも同様。惚れた相手に対し、将棋を通じて接していこうという、不器用で愚直な態度がなんとも微笑ましい。

 受け師さんについても、ゴツいし愛想ないし、普通の萌え絵基準でいえばカワイイとはいいづらいんだけど、柴田ヨクサルの描写からは自分なりにかわいく描こうとしている愛が伝わってくるものがあるので、読んでるとちゃんとかわいく見えてしまう。肝腎の将棋シーンも白熱しているし、ラブコメシーンも独特のノリながら心トキめくものは確かにある。何より押しの強さが素晴らしい。力強い面白さを持ったいい漫画です。

【単行本】「竹光侍」1巻 作:永福一成+画:松本大洋 小学館 B6 [bk1][Amzn]

 松本大洋の新作は、ますます脂が抜けた、洒脱な時代モノ。江戸のちっぽけな長屋に越してきた侍・瀬能宗一郎の日常を描いていく物語。宗一郎は、幼少より剣の道に生きてきて、腕はものすごく立つが、性格は滅法変わり者。江戸に入るや否や、腰の刀を質に出して竹光に換え、長屋の子供と戯れる平和で呑気な生活に浸っていく。日がな一日蛸を眺めたり、その様子は呑気というか変人というか……という状態。しかし剣の道の暗黒面は、離れていこうとする彼を呑み込まんとし、予断は許さない、という展開。

 今回の作品は、松本大洋としては珍しく原作付きだが、その分、表現的な部分には力が入っている感じ。ゆるゆるとお話を進め、淡々とした枯れた作風でありながらも、ときおりハッと目をひくようなコマ割り、構図取りが多発。肩の力が抜けているようで、さりげなく技巧が凝らされているのがとてもカッコイイ。浮世絵チックでもあり漫画チックでもある絵作りも、なかなかやろうと思ってやれるもんでもないと思う。お話自体はまだあんまり進んでないけど、1巻を見ただけで、「松本大洋はやっぱうまいなー」というのが存分に感じられる。

 お話のほうはまだ得体が知れないところもあるんだけど、宗一郎の飄々としているようでいながら、心の中に潜んだ闇は深そうで、明るいほうにも暗いほうにも転がしていけそう。型にはまることのない、先の展開が読みにくい作品だけに、今後どういうふうな展開を見せていくのか、すごく楽しみです。

【単行本】「Yesterday,Yes a day」 岩本ナオ 小学館 新書判 [bk1][Amzn]

 少女漫画系では注目度の非常に高い、新鋭・岩本ナオの2作目。新鋭って言葉を使ったけれども作風自体はすでにすごく落ち着いていて、10年選手といわれてもなんら違和感がない。楚々としていながら愛敬もある上品な絵柄、ゆったりとした話運びなど、すごく完成度が高い。

 お話のほうは、母親が病気のため一人で頑張って生活している女の子・小麦と、彼女のおさななじみで最近都会の学校から出戻ってきた内気な少年・多喜二の生活および恋愛模様を描いていくという内容。お話はわりと淡々とした調子で進み、劇的な盛り上がりやら大事件とかはないんだけれども、自然体でお話をゆるゆる進めていく感じが気持ちイイ。

 恋愛模様のほうもわりと地味め。多喜二は小麦に恋愛感情を抱いているけど、小麦は多喜二を男として意識していない。そんな感情のすれ違いをなかなか巧みに描いている。うるさくないけど、気持ちがじょじょに高まっていく様子は伝わってくる。小麦には多喜二以外に好きな男子がいるのだけど、その恋模様については、見ててトキめくものもあり。あと個人的に好きなキャラは、小麦のおともだちですごく人のいいぽっちゃりした女子ルイちゃん。この娘さんは素直で心根が清らかで、見ていてなんだかすごく暖かな気分にさせられた。

 まあそんなわけで落ち着きがあって心地よい良作です。岩本ナオの作風はすでに完成されているので、あとはどんどん作品描いて、代表作といえる作品をモノにしていっていただきたい。期待してます。


▼一般

【単行本】「咲 −Saki−」1巻 小林立 スクウェア・エニックス B6 [bk1][Amzn]

 美少女たちが麻雀でバトルを繰り広げる萌え萌え麻雀漫画。主人公の咲は、勝つと怒られ、負けるとかっぱがれる家族麻雀で鍛えられたため、半荘やって必ずプラマイ0に収めるという麻雀が身に浸み込んじゃった女の子。そんな彼女が麻雀部に誘われてその特異な才能を見込まれ、その他の美少女雀師たちとともに、麻雀大会で戦っていくことになるという物語。

 まあそんなわけでもちろん麻雀をやる作品ではあるんだけど、牌の動きとか占術、戦略といった部分は細かく描かず、麻雀部分はかなり大ざっぱ。しかしこの作品の場合はそういうことはどうでも良くて、とにかく美少女たちが麻雀している姿およびしてない姿を楽しむのが主眼。つるんとしたかわいい顔つきだけでなく、やたら強調される股間、乳といった部分。

 学校の制服は、水平から見ても股間の尻の曲線までうかがえるほどの超ミニスカ。スカートの下のフリルが、上からの視点からでも見えるくらい短い。それでありながらぱんつは見せない。頑ななまでに見せない。巨乳キャラについては乳も強調。ぬれすけさせてみたり、制服の向こうの乳ラインが完全に透けるように陰影がつけられていたり。コスプレ麻雀も、なぜかやる。基本的にはライトな萌え絵でありながら、エロっぽさを振りまくあざとさは抜群。なんだかムチャだけど、心沸き立ち華やぐものはあります。このこだわりは今後も貫き通していってもらいたいもの。いわれなくてもやりそうだけど。

【単行本】「百合星人ナオコサン」1巻 kashmir メディアワークス A5 [bk1][Amzn]

 かわいい女の子のみすずちゃん、彼女の姉を名乗る電波系宇宙人ナオコサン、みすず弟、みすずちゃんの親友である柊ちゃんといった面々が繰り広げる日常ギャグ漫画。と書くとなんだかすげー普通みたいだけど、ヘンでかわいくて楽しい作品です。ナオコさんの突発的な行動がとても下らないし、随所に埋め込まれたさまざまな小ネタギャグや毒分が、読む人(主にオタク系)の心の琴線をピンピン刺激してくる。ギャグはふんだんに織り込んでありつつも、それをうるさく押し出してくることがないさりげなさもいい案配。「ここがこう面白い!」と指摘するのはちょっと難しいタイプの作品かもしれないけど、センスが良くて楽しい1冊です。なお初回版は主題歌入りの音楽CD付き。まだ聴いてません。

【単行本】「妹ガンダム」1巻 徳光康之 B6 [bk1][Amzn]

 ジオンをこよなく愛し、共にガンダムを倒す子孫を作れるお兄ちゃんをさがして彷徨う女の子・月蔵奈打(つきぐら・なだ)ムチャクチャな活躍をするというガンダムギャグ漫画。ガンダムがネタといっても時代は現代。最初は秋葉原に出現した奈打は、「ガンダム空手」と呼ばれる武術の使い手。ジオンへの妄想力をエネルギーに変えて、さまざまな奥義を繰り出す。彼女の前にたちはだかる敵に対して、素手でソーラ・レイをぶっ放したり、やることがいちいちダイナミック。さらに相手側のほうも、何もないのにホバークラフトしたりジャイアントバズを撃てたりする生身ドム少女・木槍保留二亜(きやりほ・るにあ)とか、こちらもすごくムチャ。そのムチャっぷりがとても面白い。

 徳光康之は重度のジオン好きとして知られているが、「どうなればジオンが勝てるのか」を日々考え続けているようで、その成果が作品の端々に現れている。もちろんそんなこと考えても無駄なのだが、無駄なことにエネルギーを費やしまくる、そのバカさ加減がなんとも清々しい。あとガンダムネタをいっぱいやってて、それが非常に細かいにも関わらず、知識ひけらかし的ないやらしさがないのもいい。すごくストレートにバカをやってくれるので、読むほうとしてもスカッと楽しむことができる。

 妹だからといって萌えるかといえばそこらへんは微妙なとこだけど、とにかくこれだけ馬鹿馬鹿しいことを、正面からやってくれているのは、ギャグ漫画として素晴らしいことだなあと思います。

【単行本】「ニ代目はこすぷれーやー」1巻 甘詰留太 白泉社 B6 [bk1][Amzn]

 ヤクザの組長の孫娘で、アイドルになれそうなくらい美人だけど、ズブズブなオタクコスプレ大好きな女の子、裕梨華、通称ゆーしーが繰り広げるドタバタコメディ。彼女のハツラツとして影のない魅力を、楽しく描いていくという感じの作品。若頭の慎之介をからめてラブコメっぽい展開も見せる。甘詰留太作品の中でも取り分けノリの軽い作品だが、その分気楽に読めるし、甘ったるい雰囲気も適度に漂わせてしっかり楽しい作品となっている。

【単行本】「こんこんここん」1巻 コゲどんぼ SBCr B6 [bk1][Amzn]

 田舎から都会に引っ越してきた転校生・日野西蓮。容姿端麗・頭脳明晰でパーフェクトな蓮だが、妖怪のこととなると正気を失っちゃうほどの妖怪マニア。そんな彼は転校先の学校でクラスメート・九条姫香に恋するが、狐の妖怪少女・ここんが蓮に「恩返し」をしようと田舎から追っかけてきたりして、ごちゃごちゃ賑やかな日常が展開されていくことに……。

 まあそんなわけで、片想い相手に妖怪マニアであることは隠しておきたいんだけど、やたら妖怪娘たちに好かれちゃってまとわりつかれる少年が主人公のドタバタコメディといったところ。登場するキャラたちは、みなコゲどんぼらしくとてもかわいらしい。とくにここんをはじめとする妖怪娘たちはちまちましてて愛くるしく、その娘たちに蓮がモテモテになっている様子は微笑ましいものがある。なお九条姫香およびその兄の和音は、「かみちゃまかりん」でおなじみのキャラ。ストーリー的にはまだまだこれからなものの、現時点でも十分楽しめるし、かわいいキャラを眺めているだけでほっこりした気分になれます。

【単行本】「天然華汁さやか」1巻 佐能邦和 講談社 B6 [bk1][Amzn]

 すごーくマジメそうに見えるけど、頭の中身はエロいことで一杯。教科書とか読んでてもエロいことにつながりそうな言葉があると敏感に反応しまくってしまう女の子、堤さやか16歳の日常をドタバタと綴っていくエロコメ系のギャグ漫画。絵柄がけっこうフレッシュでピチピチしており、エロ系のネタも、他愛ないけど押し出しは強い。絵柄的にはみやすのんきに近いけど、そこからも少し今っぽくした感じ。さやかのゴージャスな巨乳っぷりとかはなかなかええ感じだし、ノリが下らなくて、作風はカラッと明るい。わりと良さげな感じの人ではあるけど、これからの転がし方しだいかなー。うまくいけば伸びそうだが、雑誌の賑やかし的な無難な路線でまとまっちゃいそうな雰囲気もある。光るモノはあると思うので、うまく伸びていってくれると良いのだけど。

【単行本】「ドヒー!おばけが僕をペンペン殴る!」 押切蓮介 太田出版 B6 [bk1][Amzn]

 いろんなところに描いた短編を収録した作品集。ホラーネタをギャグにするというスタンスは「でろでろ」と同様。ちょっと間抜けだったりトボけてたりするノリが楽しい。今ほど描き慣れていないころの作品も含まれてるけど、そちらのほうがホラー的にはおどろおどろしい感じはあるかな。まあだからといって怖いとかいうのはなく、楽しく読めますが。

【単行本】「グリムのような物語 スノウホワイト」 諸星大二郎 東京創元社 A5 [bk1][Amzn]

 「グリム童話」を題材に、諸星大二郎流にアレンジした短編群を収録。ネムキでやっていたシリーズ(「トゥルーデおばさん」というタイトルで単行本化された)と同系統。元ネタを知らない話もけっこう多かったけど、ときにギャグ、ときにホラーと、独特のヒネリを加えた物語がそれぞれ面白い。ギャグをやるときの飄々としたノリ、ホラーをやるときの得体のしれない不気味さ、どちらも諸星大二郎ならではの味。古臭く見えるタイプの絵柄なので、若い読者の方はとっつきづらく感じるかもしれないけど、諸星大二郎作品はみな味わい深いものがあるので、機会があったらぜひ。


▼エロ漫画

【単行本】「めがね学校」 てりてりお コアマガジン A5 [Amzn]

 最近良くなってるなーと注目中のてりてりおの初単行本。ぷにぷにした絵柄でデフォルメ絵とかもうまく、見ていて楽しい作品を描く。とくにこの単行本では、幼なじみバカップルのちょいとフェチ入ったラブラブエッチ模様を描いた「TUNE-UP!野上ちゃん」前後編が良い。主人公の少年はショートカット&メガネフェチで、幼なじみの野上ちゃんがショートカットになったことで理性崩壊。いろいろエッチなことをおねだりしまくるようになっちゃうのでした、といったところ。。ドタバタしたノリが面白いし、二人のやりとりも見てて楽しい。あとちゃんとエッチシーンも充実しておりますし。

 とはいえこの単行本は、初期の作品も入っている分、完成度的にはまだまだな作品もあり。自分が今まで読んだ中でのてりてりおのベストは、メガストアH 2006年11月号に掲載された「南国バスバス」だと思っているのだけど、残念ながらそれは収録されていない。今後もどんどん描いていって、第2単行本もぜひ早いとこ出していただきたい。

【単行本】「エロマンガみたいな恋しよう」 ヤスイリオスケ 晋遊舎 A5 [Amzn]

 巨乳党待望の初単行本。この人の描く乳は実に素晴らしい。ボリューム感はもちろんのこと、張りとツヤ、それからもっちり吸いつく柔らかそうな質感など、巨乳好きにはたまらない。しかも動いているシーンがまた良くて、もにゅもにゅ揉んだり押しつぶしたり、ぷるんぷるん揺れるさまがこれまたエッチい。といきなり乳のことばかり書いたけど、乳をうまく描ける人だけに、そのほかの身体のパーツもむっちり感があってしっかりいやらしいし、女の子の顔立ちのほうも十二分にかわいい。

 お話のほうは、基本的にはラブラブなお話がほとんど。好き合う二人が濃厚なエッチをして、さらにラブラブになるってな感じ。そのため背徳感こそないものの、甘ったるく、ラブもエロも濃い、しっかり抜けるエロシーンが楽しめる。個人的な好みでいえば、せっかく乳が素晴らしいので、個々のパイズリシーンをもうちょっとねちっこく、できれば4ページくらいずつ使ってやってくれればほぼノー文句。まあそんなわけで、しつこいようだけど巨乳好きな人はぜひ。

【単行本】「甘くて危険な帰り道」 おがわ甘藍 松文館 A5 [Amzn]

 こちらはロリ系でエロい本。おがわ甘藍らしくおしりがちっちゃい女の子が、身体をくねらせて快感に打ち震える様子は、ロリ者でなくてもグッとくるエロチックさ加減。弓なりに反り返った背中や、喘ぎ声を抑えようと口に当てた手など、細長い手足など、身体の表情がそれぞれエロさを醸し出している。お話的には以前よりも軽めなお話が増えて、ずいぶんエロ的にこなれてきたな〜という印象を受ける。繊細さという面では以前のほうが良かった気もするけど、萌え度自体は上がって来ているかな。まあそんなわけで細っこい少女の痴態を楽しみたい人には好適な一冊であろうかと思います。

【単行本】「ラブごめ!」 ポン貴花田 双葉社 B6 [bk1][Amzn]

 ポン貴先生はうまいなあ……としみじみ思わされる一作。ラブラブで甘ったるいんだけどしっかりエロい。お話のほうは、不動産屋の手違いで同じ部屋に入居してしまった同じ会社の営業の田島と、受付嬢のあいかちゃん。それがきっかけで同居生活をすることになった二人だが、あいかはもともと田島のことが好きだったこともあって、日々エッチをねだってくる毎日。最初は戸惑っていた田島も、どんどんあいかにハマっていき、二人はラブラブ生活を重ねていくのでした、という感じ。

 いきなり会社でも評判の美人と同居、しかも最初っから相手が主人公のことを好き……という状況は、都合が良すぎではあるんだけど、なんで相手が主人公に惚れてるかという情報は3話めまで語らず小出しにして興味をつなぐ。途中で適度に引っ掻き回し役の昔の彼女とかも出てきて一波乱、でも雨降って地固まるというふうに持っていく展開もこなれている。何よりいいのがポン貴花田の華のある絵柄。成年マークなしで消しが大きいのもなんのその。グラマラスなボディ、ピチピチした肌の質感、ソソる表情で、エッチシーンもしっかりヌケるものに仕上げている。

 んでもってヒロインのあいかがとてもかわいい。いかにも素直な顔立ちで万人受けしそうなタイプ。人が良く無邪気で天然な性格も微笑ましいものがある。そしてラストのラブラブで甘ったるい締めも後味が良く、「ごちそうさま」って感じ。昔からうまい人だけど、キャリアを重ねる中で、最近はさらにブラッシュアップされているように思える。汎用性も安定性も高く、脂の乗り切った作家さんといえる。わりと幅広くオススメ。

【単行本】「ナイロン100%」 ナイロン ワニマガジン A5 [Amzn]

 最近のエロ漫画家さんは、初単行本だというのにうまい人が増えましたねえ。といったわけでこの人も初単行本。基本的にはスタイリッシュでスッキリした絵柄なのだけれども、肌にぴちぴちした質感があり、あえぎ顔も華やかでいろっぽく、エロ度も十分なものを兼ね備えている。カラーページの塗りもつややかで、むっちりした乳や、とろとろの液体描写がエロ心をそそる。

 お話のほうはわりといろいろ。恋人同士のラブラブエッチあり、輪姦あり、女子先輩2人が後輩男子とエロにふけったり、女装メイド×お嬢さま、幼なじみ……とバラエティに富む。話自体がすごく面白いっていうことはないけれども、どれもまとまってはいるし、下品にはならないけれども色っぽい。どれもきちんとヌケるレベルに達していて、お買い得感はある1冊といえそう。

【単行本】「HOT LIQUID」 高岡基文 ヒット出版社 A5 [Amzn]

 つややかなアニメ絵調の美少女絵と、かなりサイズのデッカい乳でもって、二次元巨乳好きにとって実用度の高い作品を送り出してくる高岡基文の最新単行本。高岡基文といえば長編になると構成力の弱さが出てしまっていま一つなのだが、この単行本は短編集なのでその点は心配なし。ストーリー的にも後腐れないものが多く、しっかり使える1冊に仕上がっている。巨乳度は年々高まっているが、そろそろアップサイジングは限界ラインに近づいてるかな? まあ今の絵でも「大きすぎる」と感じる人はいるだろうけど、張りのある乳描写は、やはり自分としてはツボを刺激されます。


ページの一番上へ