OHPトップ > オスマントップ > 2007年10月の日記より
このページは、「OHPの日記から、その月に読んだ単行本の中でオススメのものをピックアップする」というコーナーです。文章の中身は、すべて日記からのコピー&ぺーストです。加筆・改稿等は原則として行っていません。
なお、ここで取り上げる単行本は「その月の日記で取り上げたもの」です。「その月に発売されたもの」ではありません。だから古い本でも入ってくることがあります。ピックアップした単行本は多少分類してますが、これはあくまでページを見やすくするための便宜上の分類です。かなり適当に割り振ってますのであんまり気にしないでください。あとシリーズものの途中の巻は、取り上げないことが多いです。
▼強くオススメ
【単行本】「サイコスタッフ」 水上悟志 芳文社 B6 [bk1][Amzn]
おた☆スケのレビューで詳しく書きましたが、これは面白いです。読んでてとても清々しい。お話の概要については、リンク先のほうでしつこく書いたのでそちらを見ていただいたほうがよろしいかと思いますが、簡単にいえば超能力少年と宇宙人娘の物語。一見ごく平凡だがすごい超能力の持ち主である主人公・柊光一を、宇宙から来たやってきた美少女・桜木梅子が宇宙軍にスカウトするが……。
この作品でなんといってもいいのが、登場する光一・梅子の両キャラが、どちらもすごい能力を持ちながらも努力家であるという点。とくに持って生まれた超能力を使って人生を有利にするような「ズル」をしようとせず、ほかの人と同じようにちゃんと勉強も頑張って、人生を切り拓いていこうとする光一がカッコイイ。まあ持って生まれた才能をちゃんと使わないというのはもったいないといえばもったいないし、それが正しいことなのかは意見の分れるところだと思う。ただ、信念をしっかり持ち、自分に対して恥じることのない生き方をしようとしているところには、大いに好感が持てる。また梅子も最初は自分勝手なように見えるけれども、回を重ねるごとに頑張り屋さんで素直な性格が見えてきて、こちらもいとおしいキャラになっていく。
お話の構成もいい。「いきなり電波娘登場か?」とか思わせる出だしから始まり、その後の押し問答を楽しく展開。その間に二人の良い部分を印象づけていき、クライマックスでガガッと盛り上げ、ラストはきれいに爽やかに締めくくる。切なさと暖かさ、甘酸っぱさの入り混じるラストはなんとも心地がいいし感動もする。軽妙なテンポでお話を進めつつも、アツさみたいなものもちゃんとあるし、ユーモアやサービスも忘れていない。梅子のパンチラはたくさん出てくるが、心華やぐものの下品になることはない。
水上悟志は短編がうまい人だけど、この作品は1巻分で完結という適度な長さでちょうどいいボリューム感。お話をしっかりコントロールできてるし、すごくきれいにまとまっている。けっこうジーンと来るようなセリフも多い。水上悟志の作品の中では今までで一番イイんじゃないですかねえ。若いモンがちゃんと努力して報われる。いやー、いいお話じゃないっすか。「いい本読んだな」という満足感の残る一作。
【単行本】「俺はまだ本気出してないだけ」1巻 青野春秋 小学館 B6 [bk1][Amzn]
IKKIで連載中のオッサン漫画。40歳にして突然「マンガ家になる」と決意して、会社を辞めてしまったシズオ。別に絵の仕事をしていたというわけでもなく、娘もいるというのに、適当にドロップアウトしてしまったオッサンのしょうもない日常を描く。
というわけでシズオの状況は、正直なところ待ったなし。「どうするんだこの人……」という感じではあるのだが、シズオはときどき苦悩はしつつも、妙に楽天的でふてぶてしいところもあり、生活はユルく生ヌルく進行。ハンバーガー屋さんでバイトをし、ときどき持ち込みに行き、ときどき父親とケンカする日々。娘のほうは静観というか諦観というか。
もし実際にそういう状況だとしたら、あまりにノーフューチャーなんで絶望しそうにも思えるんだけど、この作品の場合はわりと気楽。テキトー感と絶望感がユルくいりまじってる独特な感覚がなんだか妙に面白い。それとシズオの行動・言動がいちいちしょうもないのも楽しい。絵的にあまりベタベタしない、淡々とした調子なのも良いところかと思います。なかなかいい味出してる個性派な作品。
▼一般
【単行本】「FRONT MISSION DOG LIFE&DOG STYLE」1巻 作:太田垣康男+画:C.H.LINE スクウェア・エニックス B6 [bk1][Amzn]
太田垣康男が原作だが、C.H.LINEの作画も太田垣康男とほとんど同じようなテイスト。ゴツくて力強くてアツさ、男くささを備えている。お話のほうは、大国が新兵器をふんだんに投入する「兵器実験場」ともいうべき島で繰り広げられる悲惨な戦争の様子を、リアルっぽく描き出していくというもの。人型メカなども出てくる近未来戦争ながら、「ゲーム感覚」といった感じはかけらもなく、人が戦場の狂気に煽られて、むごたらしい殺戮を繰り返す様子をありありと描き出す。力強い作画のおかげもあって迫力満点。骨太な内容で読みごたえのある作品に仕上がっている。
【単行本】「大江戸ロケット」1巻 作:中島かずき+画:浜名海 講談社 B6 [bk1][Amzn]
アニメ化もされた「劇団☆新感線」の舞台をマンガ化した作品。アニメのほうはコミカルなタッチが特徴だったが、こちらはちょっと木葉功一に似た感じの大人っぽい雰囲気のある画風で、アニメとはだいぶ違った印象を受ける。筋立てのほうは、天から降りてきた美女・ソラが花火職人の清吉と出会うところから始まり、清吉をはじめとする職人たちが、彼女のために月まで届く打上花火を作ろうとする……ということで大枠は共通。ただ、細部のディティールはちょこちょこ異なっている部分がある(舞台のほうは知らないので細かい部分の異同までは分からないけれども)。
で、漫画単体での出来がどうかというと、これはよく出来てるんじゃないかと思う。達者な絵柄は鮮烈な印象があるし、清吉や弟の駿平も魅力的に描けている。キャラがイキイキしているので、今後人情味を感じさせる演出にも期待ができそう。アクションシーンもなかなかのもの。とくに花火の打上シーンは爽快感がある。お話のほうはまだ序盤だが、読者をしっかり引き込むだけのものは持っている。漫画版だけ単体で読んでもけっこう楽しめるんじゃないでしょうか。
【単行本】「ちゅーぶら!」1巻 中田ゆみ 双葉社 B6 [bk1][Amzn]
下着大好きな女子中学生・葉山奈由が、周囲の誤解を受けつつも頑張って、友人らと共に「下着部」創設を目指して頑張る……というお話。そういう内容だけに当然下着シーンはいっぱい出てくるんだけど、キュートな絵柄のおかげでエロっちくなりすぎはせず、かわいらしいお話になっている。まあ「下着好き」というのが、周囲の誤解を受けて苦しい状況になったりもするので、ただ単純に「かわいい」「楽しい」だけでは済んではいないですが。でも下着シーンが多いということで華やかなんで、目に楽しいことは事実。あとこの作品では、わりと頭身縮めたコミカルなタッチを多用してきてるなーって感じはしますね。
【単行本】「阿佐谷腐れ酢学園 エマニエル編」 SABE ワニマガジン社 A5 [Amzn]
なんと4年ぶりの続刊にして完結巻。快楽天で細々と連載されていたギャグ漫画。常にブルマー着用の女の子・ブルマちゃんを中心とした、イカれた学園ライフを展開していくという作品。そのほかにも、ブルマちゃんの腹違いの娘で影武者的存在の日陰ちゃん、いつもペンギンを虐殺して回っているペンギン虐待女、フードの付いた服に異様なフェチズムを感じるフード女、肉欲に溺れるアライグマなど、出てくるのはみんなクレイジーなキャラばかり。
お話のほうは、学園内でものすごーくダラダラと展開されるけど、キャラがもう揃いも揃ってイカれているので、中身のほうもマトモになるわけはなく。SABE作品の中では、「地獄組の女」とか「世界の孫」に比べるといくぶんダイナミックさには欠けるかもしれないけど、下らなくて面白いことは確か。ヤバい人たちの躍動に、ニヤリとしたり爆笑したりする一作。
【単行本】「ゲヘヘのヌベコ」1巻 鈴木一世 講談社 B6 [bk1][Amzn]
ものすごいブスだけどフェラのテクニックだけは超一流。そんな女の子・ヌベコと、ものすごい怠け者でいいとこなしのフリーター・凡人(ぼんど)。バイトで一緒だったのがきっかけでくっついて、恋人同士となった二人の日常を描いていくストーリー。
基本的にはヤンマガでは多い、二人暮らしモノ作品で、なんてことのないダラダラした日常をコミカルに描いていくという感じ。最初はおおいに妥協しあってくっついた二人だが、一緒に過ごすうちに離れがたくなっていき……という関係性は、いかにもヤンマガ風。とはいえだんだん二人の関係から愛も感じられるようになってきて、下らないけど微笑ましい空間を作り出している。ヌベコも作中では「ものすごいブス」という設定だけど、絵で見るとそこそこ愛敬はあるし。クセはあるけどわりと好きな作品です。
【単行本】「劇画 信長公記」1巻 平田弘史 リイド社 A5 [bk1][Amzn]
織田信長の生涯を描いていく物語。相変わらず平田弘史の作画は豪快で力強い。ただお話的には案外軽いノリだったりもする。その理由としては、若き日の織田信長がとにかく助平でやりたがりであること。性欲が抑えきれず、最初は農家の娘とやりまくっていたのだが、それを平手政秀に禁じられて悶々。辛抱たまらんということで嫁をとることになり、斎藤道三の娘を迎えて、昼も夜も、内でも外でもパッコンパッコン。もちろん武将としての本道の話もしっかり描かれてはいるのだが、どうしても印象に残るのはその助平ぶりのほう。股間を切なそうに抑えながら「う〜!女とやりてえ〜!」「女のあの味はたまらねえ〜〜!!」とうめく信長像はなかなか新鮮。
【単行本】「ねくろまねすく」1巻 玉置勉強 幻冬舎コミックス B6 [bk1][Amzn]
ものすごい遊び人で女をコマしてはポイ捨てしていた主人公・阿美(アミ)が、恨みを買って刺され、死んでしまったと思ったら……というところから始まる物語。その後、アミはどうしてなんだか分らないが不死者になってしまい、マッドサイエンティスト眼帯娘のカタリナと、その妹である不死者のノラに拾われて、3人での共同生活が始まっていく。
というわけで、不死者の物語なんだけど、だからといってバリバリ戦ったりとかすることはない。カタリナのアパートに居候することになったアミは、なぜか女装させられて、そのままのんびり日々を送る。本当にとくに何をやるわけでもなく、日常はだらだらと過ぎていく。「それじゃつまらん」と思うかもしれないけど、読んでみるとこれは案外面白いです。
ぬるま湯的な日常はけっこう居心地良さげだし、何より時折アミが見せる優しい態度とかにドギマギしまくるカタリナがかわいい。絵に描いたような(描いてるんだけど)ツンデレっぷりが見てて楽しい。まあこの状態のまま行くのかは分らないけど、のんべんだらりとした感じのラブコメになってていいんじゃないでしょうか。
【単行本】「キミキス 〜スウィートリップス〜」1巻 糸杉柾宏 秋田書店 B6 [bk1][Amzn]
各所で展開中の「キミキス」漫画版の一つ。1話完結で各ヒロインのお話を描いていくという形式になっている。ヤングアニマルの東雲太郎は、1巻で1ヒロインって感じなので密度は濃いが、各ヒロインのパーソナリティを手っ取り早く把握したい人にとっては、1話で分かる糸杉版のほうが効率的。ゲームのほうをやってない人間にとっては、これはこれでありがたい。お話のほうも、1話完結ラブコメとしてそれぞれ楽しめるし。
【単行本】「つばめ陽だまり少女紀行」 松本規之 徳間書店 A5 [bk1][Amzn]
ニッポンの美しい風景を描き、そこで少女たちのちょっとしたエピソードを展開。特徴はとにかく絵が美しいこと。フルカラーで自然、そして少女たちを魅力的に描く。深みのある青、ピチピチした肌色、目の輝きなどなど、パッと目に飛び込んでくる美しさ。ただお話がいずれも弱いのは惜しいところ。ストーリーがほとんど印象に残らない。まあ美しい景色の中に、美少女たちがいる情景を眺めて楽しむといった感じでしょうか。その点においては満足感はある1冊だと思います。
【単行本】「ファンブル5」 桝田道也 SBCr B6 [bk1][Amzn]
「浅倉家騒動記」の桝田道也の最新刊。パッと見はゲーム系の漫画に見えるが、別にそうではなく、毎回お題を変えつつギャグを連発。「浅倉家騒動記」は、けっこうヒネリの効いたギャグが面白かったが、こちらもなかなかのもの。知的なギャグをノリ良く連発してきて面白い。絵柄のほうは「浅倉家騒動記」のときよりだいぶコミカルな、かわいいモノにしてきており、親しみやすくなったといえるのでは。現在はYahoo!コミックでやってるらしいけど、ギャグの才能ある人というのは貴重なんで、紙媒体のほうでも活躍の場が増えればなあと思います。
▼エロ漫画
【単行本】「しかって!双子姉妹」 ゆきやなぎ ワニマガジン社 A5 [Amzn]
表題作「しかって!双子姉妹」シリーズ全5話を中心に、全11本収録。「しかって!双子姉妹」は、主人公が隣に家に住んでる双子姉妹にモテモテでエッチをしまくり、さらにそこに母親に加わって……というエロコメディ。軽い内容ではあるけどハーレムラブコメとしてはわりといい感じで展開してて、気軽に楽しむことができる。この人の続きモノシリーズとしては、お話的にもかなり楽しい部類に入るのでは。
「しかって!双子姉妹」シリーズは2006年〜2007年の作品だが、そのほかは203年〜2004年の作品が中心。絵的にはこのころにはすでに完成されていて、今とほとんど変わらない。ただゆきやなぎの場合、エロ度的には2003〜2004年のころのほうがむしろノッていた感があり、今でも十分使えるな〜という想いを新たにした。このむっちりした肉感、ボリューム感のある乳や尻、それでいながらキュッとしまった腰……とエロさがぷんぷん漂っている。個人的には、サークルの女子マネの娘さんが男子たちに輪姦され、エロ漬けになっていく「恋するマネージャー」が実用度的にはイチオシ。好きな人の目の前で犯されて感じてしまう、女の子さんの模様がエロっちいです。
【単行本】「言葉だけじゃたりない」 春風道人 コアマガジン A5 [Amzn]
以前はつるぺた系のエロが目立っていた春風道人だが、最近では巨乳系も積極的にこなすようになってきて、巨乳好きな自分としてはヒット率が上がった。収録作品の中ではとくに「お姉ちゃん禁止令」が好き。やたら姉の体を求めてくるようになった弟に対して、エッチを禁止したら、今度はお姉ちゃんが欲求不満になって耐えられなくなりおねだりしてしまう……という内容。豊満なおっぱいが個人的にはグッとくるし、焦らして焦らしてその分より大きな悦楽に結びつけるという持って行き方も好き。突きまくられて喘ぎまくるお姉ちゃんの様子がエロっちくて、個人的なツボにハマりました。
【単行本】「やればできる子」 EB110SS 茜新社 A5 [Amzn]
いつもながらのロリ漫画。ぶっ飛んだ設定の作品はなく、いかにもそこらへんにいそうな娘さんたちがしっかりエロい目に遭うのが特徴。現実と地続きな領域でのロリを描こうとしているところがエロさを醸し出している。作者コメントによるとLOでは明るい作品は描かないようにしたとのことだけど、これはより「リアルに近い雰囲気」を出そうとしたとのこと。「リアル」ではなく「リアルに近い」ってとこがポイントですな。リアルっぽいけどファンタジーも入ってる。あと女の子たちがさほどヒドい目に遭うことがなく、個人的には安心して読めます。インモラルではあれど非道ではないのがいいです。
【単行本】「Dogwalker」 高岡基文 ヒット出版社 A5 [Amzn]
美少女陰陽師の鳴美が化物退治をしていく過程で、エロい目に遭ったりする妖怪ハンター系のエロ漫画。鳴美が巨乳美少女であるのに加え、ロリッ娘式神の加耶も使役。おっきいのも小さいのも楽しめるという構成。それで化物退治をしようとするが、逆に犯されそうになったり、実際に犯されたりしてしまう。後半ではさらに、鳴美と恋仲っぽくなってエッチもするように男子生徒と、この男子生徒に執着する姉も登場し、さらにヤリまくりんぐ状態に。まあこの手のお話としては非常によくあるパターンで、物語面の弱さについても相変わらず。とはいえ、高岡基文らしいばいんばいんな肉体描写はエロっちいし、触手・輪姦いろいろあって、その手のモノが好きな人には手堅く使える一品。