SABE
「地獄組の女」 全4巻(各巻990円) 久保書店
1巻 ISBN4-7659-0561-6 C0979 [bk1][Amzn] |
2巻 ISBN4-7659-0562-4 C0979 [bk1][Amzn] |
3巻 ISBN4-7659-0563-2 C0979 [bk1][Amzn] |
4巻 ISBN4-7659-0564-0 C0979 [bk1][Amzn] |
「阿佐谷腐れ酢学園」 ワニマガジン A5 [bk1][Amzn]
出版社:ワニマガジン
シリーズ:ワニマガジンコミックススペシャル
初版発行:2003/05/01
ISBN:ISBN4-89829-481-2 C0979
価格:本体857円+税
判型:A5
精神鑑定で「終わってる」と出た者だけが入学できる学校「阿佐谷腐れ酢学園」! そこに集まった終わった生徒たちが繰り広げる、どうしようもない日常を描いてくアブノーマル学園モノ。登場人物はヤクザの娘のブルマちゃん、その影武者としてヒットマンに狙われるブルマちゃんの盾として入学させられた日陰ちゃん、ウンコもりもりしまくりなウンコ太郎、校内に大量に生息しているペンギンを虐殺しまくっているペンギン虐待女……と、出てくるキャラは当然ヘンなのばっかり。
いちおう主役はブルマちゃんと書いてあるのだが、彼女にコンプレックスを抱きつつ愛さずにはいられない日陰ちゃんが物語の中心人物といっていい。ブルマちゃんにイジメられたり、彼女に対する征服欲に目覚めたり、アナルの快感に酔いしれたりと日陰ちゃんの人生は波瀾万丈。でも全体としてはまったりしているような気もする。そのほかのキャラではブルマを愛し、いつもフード付きの服を着込んでおり変態的な趣向の持ち主でもあるフード女もいい味を出している。閉じた世界の中で怪しい奴らが怪しいなりに、平和に蠢いている。そんな様子を見てニヤリとしたり脱力したり爆笑したりする作品。下らなくて大好き。
(2003/04/12)
「串やきP」 メディアファクトリー A5
コミックフラッパー(メディアファクトリー)掲載作品。
新たな安住の地を求めて、家族の待つ北極を離れ、海へ出ようとしたオオウミガラス。だが海は甘くなく、シャチに追われた彼は、ほうほうのていで日本のどことも知れぬ岸辺に流れ着く。その後、アワビ密猟帰りのあやしい人間の女に囚われたオオウミガラスは、羽の部分にペンギンの剥製の羽を装着され、「変なペンギン」として生きていけといわれる。オオウミガラスとしてのアイデンティティを失い、家族のもとへは帰れない。失意の彼は、やがて動物好きな兄妹に拾われ、「串P」という名前をつけられペンギンとして暮らしていくようになる……。
とか書いちゃうとタダのかわいそうなペンギンの話みたいなんだけどね。これがまたやっぱりフツーのお話に終わらるわきゃないのがSABEってもんで。オオウミガラスとして生きることができなくなった串Pは、生きていくうえでの目標を失い、ただ闘うことのみに生きがいを見出す者へと変貌していく。んでもって、付近のペットたちを植えつけられた羽で斬殺する、破壊者となっていくのだ。デパートの屋上のオーストラリア展で日本に連れられてきたカンガルーとの息を飲む凄絶なバトル。なんとまあ、これがどうやら動物格闘モノとして進んでいってしまうのだ。
この作品において特筆すべきは串Pの目。いかにもペンギンでございといったかわいらしさはなく、光を失い常に血を求めてギョロギョロしている。ペットのくせにこれだけテンパッてるっていうのはかなりな迫力だ。それから最初に出てきた密猟女。これもかなり動物に対して歪んだ感情を抱いているようで、串Pが戦闘マシンとして目覚めていくのをうれしそうに見つめる目つきはかなりヤバい。ちなみに串Pの飼い主である兄妹もそれぞれにヘンで、とくに兄のテンションの高さはかなり異様である。
これ書いている時点ではまだ1巻段階なのだが、これからどんなふうに串Pは闘っていくのか、そして異様な世界を見せてくれるのか。とても楽しみである。
……とかいってたら、メディアファクトリーがいつまで経っても3巻を出してくれません。どこか出してください。
巻 | ISBN | 初版年月日 | 価格 | 購入 |
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1 | ISBN4-88991-767-5 C9979 | 2000/12/01 | 762円+税 | [bk1][Amzn] |
2 | ISBN4-88991-799-3 C9979 | 2001/09/30 | 762円+税 | [bk1][Amzn] |
「BEAUTIFUL MONEY」 全1巻 ワニマガジン B6 [Amzn]
シリーズ:ワニマガジン・コミックス357
初版発行:1998/08/01
ISBN:ISBN4-89829-357-3 C9979
価格:800円(本体762円。1998年08月現在)
4コマ漫画を中心とする作品集。一編ごとのページ数が少ないため、「若尻傑作選」掲載作品ほどの、破壊力ある作品はないものの、ひねくれたギャグは健在。目が血走ってて底意地の悪いキャラクターたち、アナーキーな展開、ツボをつくギャグはヒット率高し。
俺としては、フード(食い物ではなくかぶるほう)に異様な愛着を持ち、フードを愛し、フードに生きる「フード女」のシリーズがかなり好き。あと表紙カバーをめくると如実に分かる、徹底的なペンギン虐待ぶりもかっちょいいぞ。3ページの掌編ではあるが「アウトドアへの道」はかなりナイス。「アウトドアー!」と叫びながら、人間をやめてアウトドア生活を送る人間の集団がスゲえパワフルで狂っててステキだ。
柱にW社社長の「売れない単行本は出さない」とのお言葉があるが、この単行本が売れれば「地獄組の女」とか単行本未収録の短編なんかが入った単行本も出るやもしれぬ(注:後に「地獄組の女」も単行本化された)。そんなわけでみんな買え買え。
▼収録
「ふとんの王国」
「ビューティフルマネー」
「BLOOMER 1999」 全1巻 ワニマガジン [bk1][Amzn]
出版社:ワニマガジン
シリーズ:ワニマガジンコミックススペシャル
初版発行:1999/10/01
ISBN:ISBN4-89829-457-X C0979
価格:本体857円+税
判型:A5
ワニマガジンからは2冊めの単行本。「ブルマー1999」「ブリード」「ブルマー2001」「みんなのおにいさん」「玉突き女」は近年の作品で、残りはけっこう前のもの。というわけで絵柄もけっこう違う。
この作品集で一番うれしかったのは、「スキーに行ったらね」が収録されたこと。不気味にひねくれた感じの男が運転手を務めるバスでスキー宿に向かった女の子。スキーと温泉と、地酒とフィリピンダンサー目当てだった彼女は、その宿でアヤシイ体験をする。布団ひきの女性はフィリピンからやってきたニホンジンカワダの現地妻。さらに客一人に対して一人付けられる外国人労働者。温泉に出没して女性を犯す虫のような姿のアメリカ人。実はSABEの作品を俺が初めて意識したのはこのあたりで、繰り広げられるあまりに異様な世界に圧倒された覚えがあった。今読み返してみてもかなりキレた作品である。
近作もなかなかいい出来のものが揃っている。印象に残った作品を軽く紹介していこう。
まずは表題作でもある「ブルマー1999」と「ブルマー2001」。ジャッキー・チェン、ブルース・リー似の兄弟の物語。舞台は1999年7月に壊滅的打撃を受けた地球。ブルース・リー似の兄は、女の子が全員ブルマーを着用した理想郷を日本に作り上げるべく奮闘し、いつしか「ら王」と呼ばれる支配者になっていた。兄弟ともにブルマー好きでありながら、兄はブルマーを来た女の子とヤるのが好きで、弟はブルマーを着てとんだり跳ねたりしている自然な姿の娘たちを愛する。このブルマーに異様な情熱を燃やしながら、主義の面でイマイチ噛み合わない兄弟の姿を、どうしようもなく下らないノリで描き出す。たいへんに馬鹿馬鹿しくて笑える。
「ブリード」はSABEには珍しく、シリアスな物語。将来に対する不安が遺伝にまで作用し、性的に不完全な人間しか産まれなくなった時代。この時代の人間は、成人になっても少年少女のようなやせっぽちな姿のまま。そんな中、一組のカップルが子供を作ろうと決心するが、その交配作業は男を完全に廃人化してしまうようなものであった。子供を作ることによって自分の生きる意味を確かめようとしたがために衰えていった彼の姿は、哀しくそしてどこか安らかでもある。作品の後味は寂寥感に満ちつつも、希望もわずかだけ残される。SABEはギャグだけでなく、こういう心に染みるセンシティブな作品も描くのだなあと感心した一作。
SABEにしてはだいぶSEXシーンが多くエロチックな「みんなのお兄さん」や、そのほかの作品もキレたギャグが安心して読めるレベルで作用していて面白い。SABEファンだけでなく買って損のない一冊。
▼収録作品
「ブルマー1999」
「ブリード」
「ブルマー2001」
「みんなのお兄さん」
「玉突き女」
「田舎の体育祭」
「スキーに行ったらね」
「みんなのアイドルまゆ子ちゃん」
「カミソリの玲」
「寒い夏」
若尻傑作選(上) 「君にやりたいほうだい」 全1巻 久保書店 [Amzn]
若尻傑作選(下) 「友達のいもうと」 全1巻 久保書店 [Amzn]
「あばよMY♥BABYぶっちぎり」 全1巻 久保書店 [eS!BOOKS]
タイトル | 初出 |
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エッチなことがしたい | 91年2月アクションカメラ4月号 |
抱いてよ先輩 | 90年9月アクションカメラ11月号 |
SABE様のアリガタイお言葉 | 描き下ろし |
悪夢の一夜 | 91年4月アクションカメラ6月号 |
言語道断!!アナルの神 高砂奇平太 | 88年9月バナナスペシャルNo.1 |
いやらしい上司キャプテン内堀 マイナス30度への挑戦 | 88年1月同人誌・コミックムニムニ創廃刊号 |
凌辱鬼 | 89年2月コミックマーマレード Vol.1 |
ブルマの男一八くん | 88年2月バナナスペシャルNo.1 |
ぼくの天使 | 89年10月キミがいるからボクがいる |
THE CAPTIVE | 88年12月秘密の花園Vol.1 |
「キミがいるからボクがいる」 全1巻 白夜書房 A5 [Amzn]
タイトル | 初出 |
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ぼくの天使 | 89年10月単行本用描きおろし |
言語道断!!アナルの神 高砂奇平太 | 88年9月バナナスペシャルNo.1 |
わがままっこともたかくん | 88年2月パンプキンNo.23 |
ブルマの男一八くん | 88年2月バナナスペシャルNo.1 |
THE CAPTIVE | 88年12月秘密の花園Vol.1 |
凌辱鬼 | 89年2月コミックマーマレード Vol.1 |
ねぶり狂四郎・満月殺法 | 88年8月同人誌・NARCOTIC・3 |
発情期・犬 | 88年1月同人誌・ぽん |
いやらしい上司キャプテン内堀 マイナス30度への挑戦 | 88年1月同人誌・コミックムニムニ創廃刊号 |
「初体験白書」 久保書店 [bk1][Amzn:旧版上/旧版下]
▼新版
シリーズ:ワールドコミックスMAX
初版発行:1998/11/25
ISBN:ISBN4-7659-2322-3 C0979
価格:930円(本体:886円)
判型:B6
印刷:モノクロのみ
収録:旧版収録作品+「悪夢の一夜」「抱いてよ先輩」「エッチな事がしたい」
「天使たちの午後II」 全1巻 白夜書房 A5 [Amzn]
初版発行:1989/12/20
ISBN:ISBN4-89367-129-4 C0079
価格:876円(1989年07月現在)
SABEの初単行本だがはっきりいって駄作。現在のアニメ絵系美少女ゲームのハシリとなった「天使たちの午後」第2作めのコミック化という、いかにもベタベタな仕事でSABEならではのオリジナリティはカケラもない。ゲームの「天使たちの午後II」が好きだった、という人以外は読む必要まったくなし。今となっては手に入れるのは難しいと思うが、探してまで買うことはないだろう。たとえ古本屋で見つけたとしても 、SABEを極めたくてどうしても全単行本を集めたいという人のみ買えばいいんじゃないだろうか。
▼収録
天使たちの午後II−美奈子−土曜日編
■作家名でオンライン書店を検索: bk1 / Amazon.co.jp
▼更新情報
2003/05/02……「阿佐谷腐れ酢学園」
SABE作品の魅力は、なんといってもキャラクターのブチ切れっぷりにある。血走った目、思いもよらぬ行動および言動。何をしでかすかまったく分からない意外性で、常に読む者を驚かせてくれる。それでいて、作品全体としてはある意味ほのぼのとしている。いろいろ読者をぶん回し、最後には気持ち良くスポーンと放り投げてくれる。「地獄組の女」なんかはその醍醐味を、思う存分に味わえる作品となっている。自暴自棄な感じでもあり、不思議とバランスがとれているようでもあり。本当になんというか、ちょっとほかにはいないタイプの珍しい才能だ。