「タイヤ」 吉田戦車

「タイヤ」

全1巻 マガジンハウス

 俺はかなり気に入っていて、オススメ度の高い単行本。「春ゴムのうなぎ煮」とか「コーヒー牛乳の7つの作り方」といった、ムチャクチャでなんにも役に立たない(というかそもそも目的自体が奇怪)HowToモノや、「蝶犬」という犬を使って蝶を取る風変わりな土俗の風習を描いた「ちょうちょをとる」など、怪作が多い。「木人の店」は、からくり仕掛けを内蔵した木の人形「木人」を作る店の話で、これも奇妙な風習モノだが、それでいてしんみりとした味わいがあって非常に面白い。ジャンキーな家族が、カレーを作ることによって団らんを取り戻そうとする「カレー」もおかしな作品で、実にいい。
 吉田戦車の漫画は一時期「不条理漫画」といわれたが、この単行本に収められた作品群がいちばん「不条理漫画」という言葉のイメージに近いかも。

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