山田芳裕単行本リスト
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■作家名:山田芳裕(やまだ・よしひろ)
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「考える侍」 [bk1:文庫版]
■出版社:講談社
■シリーズ:アフタヌーンKC
■巻数:全1巻
■判型:B6
■ISBN:ISBN4-06-321016-2 C0379
■価格:450円
■初版発行:1990/07/23
この「考える侍」は、彼が講談社で活躍していたころの作品。講談社→小学館へ移籍した人の単行本の常として、この「考える侍」も今では入手が難しいかもしれない。でも、すっごくかっこいい作品なので絶対にオススメしておきたい。
(この文章は1997年に書いたものだが、その後2000年2月に、「考える侍・やぁ!」の小学館文庫版が出たので入手は容易になった)
作品の舞台は江戸時代。主人公は浪人の富嶽十蔵。西洋の学問に通暁し、とにかく粋であることを信条とする十蔵がむちゃくちゃかっこいいのだ。富士山のかっこよさに魅了され三年間富士山を見つめ続けたり、物理学を応用して山賊を10人くらい一気にぶった斬ったりと。
ファッションにもこだわり、斜めのもみあげを先進的に取り入れたり。人を斬るシーンの描写もダイナミックでいい。身体の前半分と後ろ半分をぱかっと二つに切り離し、背骨などの骨格がきれいに見えるとか。
人から競争心を除く事はできん
それならば俺はこの世間と競う
俺に勝つような世間であれば俺は侍を捨てる
だが俺は世間より数段粋でいる
貴様には空にしか見えんらしいがな
このセリフに十蔵のポリシーが凝縮されている。豪快で痛快。十蔵がブツブツと呟く学問・哲学的考察。どこをとっても「粋」という文字が浮かび上がってくる。思えば、山田芳裕の講談社時代は、「粋」がその重要なテーマだった。「しわあせ」しかり、「大正野郎」しかり。そして、それが最も如実に顕れているのがこの「考える侍」なのだ。
「武士は食わねど高楊枝」、そんな空威張りにも似た、しかし「粋」であることへのこだわり。隅から隅まで粋に洒落のめしている。あまり古本屋でも見かける機会がないかもしれないが、見つけたら速攻でゲットするべし。すごくかっこいいぞ。
■出版社:講談社
■シリーズ:ミスターマガジンKCデラックス
■巻数:全1巻
■判型:A5
■ISBN:4-06-313288-9 C0379
■価格:583円
■初版発行:1992/04/09
山田芳裕、講談社時代最後の単行本。 この作品と「ザ・プライザー」ではコマの枠線は定規で弾かれているが、縦線が細く、横線だけ太いというなんか不思議な感じのものになっている。
平安商事の新入社員、加藤は侍であり会社狂だった。会社に行く前には4時に起き、日本刀で居合い抜きをする。6時には出社し先輩の机を掃除。さらには同僚が遅刻した責任を取って、指を詰めようとする強烈ぶり。肩ひじ張りまくった加藤が完全に突っ走ろうとするところを、絶妙の間合いで外していくスチャラカ社員が同じく新入社員の源だった。源をライバル視する加藤だが、源はどこ吹く風のマイペースぶり。
この話ではそのほかに世の中のすべてが退屈でしょうがなくつまらない日々を送っているOL、小鳩も重要キャラクターとして出てくる。しかし、なんといっても烈火のごとき武士サラリーマン・加藤の気合いの入りっぷり、源の抜けっぷりのコントラストが絶妙。「大正野郎」「考える侍」「しわあせ」ほどではないけど、面白く読める。
■出版社:小学館
■シリーズ:小学館文庫
■巻数:全1巻
■判型:文庫判
■ISBN:4-09-193322-X C0179
■価格:629円+税
■初版発行:2000/03/10
「考える侍」「やぁ!」が一冊にまとまって文庫化。この2作品に、ヤングサンデー増刊号平成7年(1995年)No.3に掲載された読切「グレイト2」がプラスされている。「グレイト2」は、バイクの全日本125ccクラスで一度は挫折した男が、モンスターのようにチューンナップされた自らの愛機を駆って再び復活するという物語。再びバイクにまたがり涙する男の姿が見せ場。