March

細かい砂のような 金色の粉末が
神秘な瞳に かすかに星ときらめく。




2005.03.31 眠りのなかで、仲間とつながれた綱のことを考える犬のように
帰り道、てくてく歩いていると前方に何か感じた。あれー?なんかあの人・・・と思いつつ歩き続けていると、ものすごい個性的なオーラを発していたその人はフジ子・ヘミング(+お付の人2名)だった。わっフジ子・ヘミングだ、と思いつつちょっとどきどきしながらちらちら見るとにらまれた(気がした)。ごめんなさい。1mくらいの間隔ですれ違ってなんかぽわーんとした。何かの映画で端役のフジ子・ヘミングの演技を見て出演者を全員くっていた彼女はまさにその通りというか、それ以上というか、すれ違った一瞬で人をとらえてしまうようなすごさを感じた。

なんかコンサートやるのかなーと思って家に帰って調べてみると明日フェスティバルホールでコンサートをするのね。ところでフジ子・ヘミングはお付の人たちと一緒にどこに行ったのかな。



映画『ドッグヴィル(Dogville)』(ラース・フォン・トリアー/2003/デンマーク)。ニコール・キッドマンがとても美しくて消えそうに白くて偽善者で傲慢であまりにかわいそうで辛い。閉鎖された世界はおとぎ話でまさに枠の中の物語。丁寧なナレーション。そこだけのルール、そこでの正義ですべてが完結する。欲望、嫉妬、暴力、権力、集団。直後に見た『メイキング・オブ・ドッグヴィル〜告白〜』(サミ・マーティン・サイフ/2003/デンマーク)は見ないほうが良かった。

映画『ふくろう』(新藤兼人/2004)。新藤兼人がすごい。92歳でこういう映画を作ってしまうのに驚く。大竹しのぶもいい。面白かった。


2005.03.27 角度をながめ、喜びに静かに喉を鳴らした。
昨日の遅寝がたたって午前中は二度寝しつつのんびり。

午後から家人と一緒に中崎町へ。佐々木さんとあきちゃんと合流して中崎ツアー。カヌトンで作戦会議。行きたかった雑貨屋 nino に行く。とてもかわいらしいお店。ホーローのカップとかアルミのカップとか欲しくなるけれど使い道が思いつかない(これが雑貨女子になれない理由)。この子もきっと家に来るよりもここにあったほうがしあわせかも・・・とあきらめる。いろいろぶらぶらしてから、(パン好きの)佐々木さんがふと「キャリエール アルザスに行く」と口走る。えっアルザスて天神橋ですが・・・。「関テレ見えてるよ」えっ見えてるけどわりと遠いですよね? で、なんと!アルザスまで歩く。わーすごい、ここまで歩けるんだーと感動。浮田方面に戻って鶏料理屋さんでゴハン。

帰ってから家人が「ああ!」と床にごろっとしたのでどうしたのかと聞くとカヌトンもゴハンした鶏料理屋さんもとても座席が狭くて苦しかったらしい。あっ家人以外みんなちいさめで気づけなかったね、ごめんね。

今度はお花見!


2005.03.26 日なたに忘れられた古い積み藁のように
乾燥した植物の、完璧な空ろ状態になりながら。

大阪城のガレージセールをのぞいた後、植木市を見る。いいなあ、春になるしいろいろ欲しくなる。とりあえずキンカンが候補。会期は長いし、また考えよう。帰りに淀屋橋付近にある期間限定水上カフェでお茶。外だったのでちょっとまだ寒かった。



2005.03.25 二人は黙った、そして無言で飲んだ。
漫画家ウィスット・ポンニミットくんのコミック『everybodyeverything』の発売を記念して、graf media gm にてライブイベント。

第一部はアニメーション上映、第二部はアニメーション上映をあわせたタムくんのピアノ演奏、という構成。はじまる前に『everybodyeverything』にサインをもらう。しかも名前入り。うふ。タムくんのアニメーションは何度見てもすばらしい。簡潔な世界にこめられた愛や成長の過程。初めて見た中では家と木のシーンからはじまるアニメが最高。泣ける、というか泣いた。すばらしい。夏のイベント時よりお客さんがいた。どんどん有名になってゆくのね。きっとずっとタムくんのマンガは好き。

最後のトークショーで驚いたのは FRAPBOIS とコラボTシャツを製作するとのこと。FRAPBOIS!

アニメーションの一部を以下のURLで見れる模様。
http://www.nhk.or.jp/dig/projects/wisuit/



2005.03.23 「泥と惨状と死を撮る」
映画『CAPA in Love & War(Robert Capa: In Love And War)』(アン・メークピース/2003/アメリカ)。報道写真家ロバート・キャパのドキュメンタリー。弾丸が飛び交うなか、軍服を着て、銃ではなくカメラを構える。銃は応戦できるがカメラでは手ぶらに等しい。けれど最前線で極限まで近づいて死の瞬間を撮る。誰にも撮れない瞬間を撮る。ライカを持ったまま死んだキャパは41歳だった。写真自体がやらせだという話もあるけれど、当時の状況下でそういった演出をしてまでも、キャパの写真が様々な意味を包括し偉大であり、写真を知らない私ですら写真の意味を考えたという事実。



映画『しあわせの法則(Laurel Canyon)』(リサ・チョロデンコ/2002/アメリカ)。優等生カップルがちょこっとハメをはずす話。とても退屈な映画。

愛・地球博に行かねば。モリゾーとキッコロが待っている。


2005.03.21 青いリスのように臆病な微笑
三連休の1日目と2日目は丹後半島の付け根にある日本三景の一つ、天橋立へ。行く前まで若狭湾にあるので福井だと思っていたら京都だった。大阪から車で休憩こみで約2時間半くらい。

天橋立内の松林の中にあるはしだて茶屋のあさり丼が絶品。智恵ぜんざい(「三人よれば文殊の知恵」の文殊堂がすぐ近くなのにかけて)も美味。よいお天気に恵まれて、松と白砂がすごくきれい。次に向かったのは元伊勢と呼ばれる籠神社(このじんじゃ)。神社についての知識はないけれど、ごちゃごちゃしてなくてすっきりシンプルで静かな趣のある神社。こんなまとまりのあるすっきりした神社は見たことない。ちょっと感激。旅館のカニづくしのお料理も美味しくてお土産にたくさんの干物を購入して満足して帰宅。



帰宅後、USJに来ていた姉一家と一緒にユニバーサル・シティ・ウォークにてゴハン。翌日の今日は、一緒に海遊館へ。たぶん3回目くらいだと思うのだけどやっぱり面白い。思いのほか楽しむ。

姉一家と一緒で何がたいへんかというと、それはやっぱり子供たち。みんな帰ったあと、家人と近所のカフェでコーヒーを飲みながらおとなふたりってラクチンだなあと痛感。


2005.03.16 その場に見たいと思うものを見させてくれるほど無関心なものを、
美しいと思う。

Romi-Unie Confiture のジャムを購入。購入したのは Sourire(スーリール)と Curiosite(キュリオジテ)。明日の朝、トーストと食べるのが楽しみ。「王者の朝食、賢者の昼食、貧者の夕食」というセリフがゴダールの映画にあった気がする。何の映画だったのか思い出せないけど。



AKI NARUJi accessories の雫耳飾りと雫ネックレスがかわいい。WEDDING のアクセサリーもかわいい。こういう感じいいなあ。


2005.03.15 ただひとつ水の上を走るなにものかのように。
有機野菜や無農薬野菜の宅配サービス Oisix を利用してみたのだけど、お豆腐もエリンギもトマトも発芽大豆も牛乳も卵もおいしかった。卵かけごはんは絶品。毎回頼むのはちょっと高いけどたまにはこういうのもいい。

映画『ブラウン・バニー(The Brown Bunny)』(ヴィンセント・ギャロ/2003/アメリカ)。アメリカ大陸横断ロードムービー。花の名前の女しか愛せない男。クロエ・セヴィニーにそこまでやらせていいのか、ちょっと驚き。ラストの説明は不必要かと思う。

今日のメインはアボガド丼。



2005.03.13 両側に太陽が輝いていた。
光線が床の上に霧のように飛び散って黄色い水銀のように小さな玉になるのを追いかけ回していた。

寒い。雪が降って驚いた。3月なのに。

中之島中央公会堂にて高橋悠治のバッハ「ゴルトベルグ変奏曲」演奏会。高橋悠治のまともな演奏(しかもソロ)て実は初めて聞く。いつもみたくふつうの格好でふつうに現れて、淡々と演奏する中で高橋悠治がそこで模索し産み出した音が私の耳に伝わると、あ、音楽て楽しい、と思える。指が思うままに気ままに、でも新しいものを探してる感じ。決してつまらない即興なんかではなくて、予想を裏切る音という意味で楽しい。「ゴルトベルグ変奏曲」のことをよく知ってるわけではないけれど、アンコールはシューベルトとショパンで(もちろんすごく上手なんだけど)、オリヴェイラの『神曲』のラストのカチンコ(=思考の停止)みたいだなーと思った。面白い。

中之島中央公会堂の中には初めて入ったのだけど、年季の入った不思議なきらびやかさ。言葉をかりるとこれが"大正期ネオルネッサンス建築"?というやつ?

南堀江のうわさの雑貨屋 某"s" へ行く。よくある小さなナチュラル系雑貨屋。でも値段のつけ方にモンダイあり。小さな糸きりはさみ 5000円とか、冷静に考えてそれはどうなのかなあと思う。アンティークとかそういうことじゃなくて、いくらで買い付けしたのかな、みたいな。そこの1Fにある喫茶店も目当てだったのだけどここはとても良かった。南堀江に行くとだいたいお茶する場所はワンパターンなので久しぶりにいい場所を発見。


2005.03.12 誰が、何ならば誰かの興味をひくと考えたのか。
昨日の夜は久しぶりに家人とライブに Calo Bookshop & Cafe へ行く。名古屋の Ett という男女のユニット。かわいくて歌の上手な女の子の歌は矢野顕子風。ギターも好感。ライブはいい。すてきなライブでとても楽しく過ごした。がんばってね、という気持ちをこめてその場でCDを購入。過渡期なのかいま新しいと思える音楽は不在だけれど、ミニマルでつまらないならこういう懐古感の方向のがアリなのかなと思った。

本日パンの日。谷町7丁目のブーランジェリー イエナ。高級な材料でなく普通に買えるもので美味しいものを、という信条らしいイエナはパンが安い。角食180円。白い小さなかわいらしいお店には高級なパンではなくかわいらしいパンが似合う。ブルディガラで働いていた方がシェフなんだそう。そして弁天町のボナペッティ!。イエナに匹敵する小さなパン屋さん。きれいに並べられたパンが雑貨店のよう。角食と山食を購入。パンを食べるのが楽しみ。

気のせいかもしれないけれど、大阪を車で走っているとやたら外車が多いので見たことない高そうな車の後ろとかにつくとどきどきする。ベンツやポルシェの8ナンバーとかにはぶつけたくない。大阪のひとって末広がりの「8」が好き? 車のナンバー買う人多すぎ。


2005.03.10 世の中に何があるのか調べてみたいから。
何が残っているのか。何が捨てられているのか。何が用無しになったのか。何が犠牲にならざるをえなかったのか。

ハービスエント内の VIA BUS STOP に寄る。リニューアルした VIA BUS STOP に寄るのは実ははじめて。フセイン チャラヤン、ウィルヘルム、アン ヴァレリー アッシュを堪能。見てるだけでしあわせ。なんてかわいい。無駄な装飾とヴォリューム感が最高(でも A.P.C.みたいのも好き)。アン ヴァレリー アッシュなんてかなりおしゃれメイド・・・とわくわく。高くてなかなか買えないけど、なかなか手がでないからこそ憧れる。

ロンブーの番組での YOU は子供ありのカリスマ主婦そのものだった。マルニの毛皮のジャケットにクロエのワンピース。私もマルニやクロエでかためた主婦になりたい・・・(なれないけど)。マルニとクロエはセレブ主婦の御用達ブランドなんだなあ。すてき。

映画『藍色夏恋(藍色大門)』(イー・ツーイェン/2002/台湾)。初恋に妄想を抱く人のための映画。空気が近いのでオドレイ・トトゥの妄想より共感できる。


2005.03.07 たるみのきた人々の群れ。狡猾なのか、愉快がっているだけなのか。
Lingkaran は雑誌は買ったことないけどweb版は見てたりする。「西のよいもの、使うもの」というコーナーがよい。いろいろ行きたくなる。

関西人というか大阪人になろうとしているけれど、愛知万博の記事を見たり関連して名古屋特集の記事を見たりすると少し郷愁の念にかられる。大阪の人が「ミナミの帝王」好きでも(ほんとに女の子もよく見てるよなあと感心する)、私はほんとはメ〜テレの「加藤家へいらっしゃい!〜名古屋嬢っ〜」とかのが見たい。いま「名古屋嫁入り物語」を懐かしく思い出した。この間ファーストリテイリングが靴のマルトミを吸収したとかいう記事を読みながら"靴のーマ・ル・ト・ミ"と口ずさんだ。シロガネーゼでなくてもシラカベーゼになりたかった。あ、こんな後ろ向きなことではいかん。大阪人になれるよう、まい進せねば。

映画『火垂』(河瀬直美/2000)。なんとなく2回目。東大寺二月堂のお水取りや、元興寺の万燈会の映像はきれい。でもやっぱり2時間44分は長すぎ。

初めてテンペを食べてみた。長細く切って焼いたテンペに大根おろしとぽん酢をあえて。結果、私は納豆が食べられないので納豆ぽい、という先入観(納豆を食べたことがないので思い込み)であんまし美味しく感じなかった・・・。野菜炒めに混ぜたりもっと味が分からないような調理方法にしたらよいかも。


2005.03.06 「男の人は自分と違う女を演じれば喜ぶもの。」
「夜から朝まで、私は演技ばかりしてる。面白いことって、みんな偽りよ。」

朝、靱公園を散歩。家人が突然野鳥に興味を持ち、そして私も感化されたため。ガイドブック片手に鳥を探しているとマヒワやシロハラぽい野鳥が。楽しい。そしてかわいい。ハトみたいな鳥は苦手だけれどウグイスやメジロみたいな鳥はかわいい。靱公園にもいろんな野鳥がいるんだなー。

mina perhonen の forest parade 柄スカートがかわいい。正面から見ると2本のレースがウエストあたりから裾の下まで垂れ下がって、かなり好み。メイドの雰囲気を集約しているとも思う。マンガ『シャーリー』(森薫)を読んだあとだけに興奮。メイドになりたい。

マンガ『監督不行届』(安野モヨコ)は衝撃作!カントクくん(庵野秀明)の行動が家人と酷似(カントクくんほどではないけれど)。擬音語を口に出して言わないで、て私も家人に言ってる・・・。突然安野モヨコの気持ちがいたいほど分かる。フロ嫌いに悩むとか・・・。自分はオタクじゃないんだけど、オタクのいる家庭で似てくるのかなあ・・・。マンガを読んだあとしばらく考え込む。

映画『神曲(A divina Comedia)』(マノエル・デ・オリヴェイラ/1991/フランス、ポルトガル)。ドストエフスキーの小説の登場人物、キリスト、ユダ、アダムとイヴ、ニーチェ、こういう人物になりきった患者が集う豪華な精神病院。引用に引用を重ね、迫真の演技の寸劇とコラージュ。罪の意識と神の存在。許し。唐突に現れる"カチンコ"で映画が途切れるラストはまるで予想しない展開で、理解しようと見ていた者をあっという間に現実に引き戻す。『ノン、あるいは支配の虚しい栄光』(1990)同様とても分かりづらい。けれどどうしようもなく魅力的で精神病院を舞台にした数ある映画のなかでは圧倒的にナンバーワン。



2005.03.04 きみの心は ぼくと同じくらいチューリツプだね
先日購入したパンデュースの食パンもフール・ドゥ・アッシュの食パンもタケウチともタカギとも違ってとても美味しい。朝の美味しい食パンていいなあ。特にパンデュースの食パンとキャリエールのジャムの組み合わせは最高。朝から2-3枚くらいイケそうな美味しさ。

今日は午後からお休みして用事を済ます。がんばってくれた家人のおかげで時間があまったので堀江に行く。2日前くらいからがぜん欲しくなっていた SOU・SOU の足袋シューズを購入するために。はじめて入った(というか初めてこんなところにあることを知った)SOU・SOUの店内はかわいい足袋シューズでいっぱい。悩んで購入したのは写真の"KO-MO-RE-BI"というシリーズ。家人にカニのようだと言われる。



そして勢いに乗って A.P.C. で散財。たまにはこういう日もあっていい。平日昼間のショッピングは楽しい。

最近、いろんな映画が案外面白く見れたりするのは大人になった証拠かなーとぼんやり思った。なんでも選別してるうちは子供だわーとか。映画でも本でも音楽でも。本といえば最近、東京・神保町が意外に都会だと知って驚いた。知って、といっても雑誌の中の写真を見てだけれど、行ったことのない私としては名古屋・今池の路地みたいなところを想像していたのでそのきれいさにびっくり。町屋や長屋の古本屋じゃないんだー。

映画『かまち Kamachi』(望月六郎/2003)。ストイックな話にできなかったのが敗因。

映画『17歳のカルテ(Girl,Interrupted)』(ジェームズ・マンゴールド/1999/アメリカ)。原作は『思春期病棟の少女たち』。ウィノナ・ライダーの色白さにほれぼれして、金髪のアンジェリーナ・ジョリーの病的な錯乱ぶりにくらくらする。不完全で甘いストーリーだからこそ少女映画なのではと思った。