January

その無煙炭のように黒い目を
均一な絶え間のない輝きで光らせている




2006.01.30 地獄に燃えているのは否定なのだ
南フランス・トゥールーズ近郊の名物料理"カッスーレ"に興味。乾燥白インゲン豆を一晩水で戻し、豚肉と鴨肉に塩を振ってポリ袋に入れ冷蔵庫で一晩おき、鍋に白インゲン豆・タマネギ・ニンニク・セロリを入れて1-2時間煮込む。さらに豚肉・鴨肉・ラード・タイムを入れ約2時間。グラタン皿に入れて焼き色がつくまで焼いたらできあがり。というとっても手間のかかる料理。もともとは白インゲン豆と鴨肉を入れた鍋を暖炉の前に一日中置いておくと夕方にはできあがっている、というのんびりした家庭料理。そういうのっていいなあと。

映画『シリー・シンフォニー物語(The Story of the Silly Symphony)』(クライド・ジェロニミ/1955/アメリカ)。短編ミュージカル・アニメーション・シリーズ「シリー・シンフォニー」について、ウォルト・ディズニー本人が各作品の解説を行う。音楽とのシンクロの面白さは抜群。秀逸だったのは「花と木」「風車小屋のシンフォニー」。たった数分の作品に息つくヒマもない愉快さと緊張感と幸福感。アカデミー賞短編アニメ映画賞に輝く名作が続々と紹介される贅沢な作品。

映画『ドナルドダック・ストーリー(The Donald Duck Story)』(ジャック・ハナー、ロバート・フローリー/1954/アメリカ)。ダック・ボイスのドナルドダック生誕秘話についてウォルト・ディズニー本人が作品の紹介を行う。この作品でドナルドダックは声が先にあったことを知った。キャラクターは声にあわせてアニメーターが創り出したとか。ミッキーマウスもそうだけどドナルドダックも案外性格が悪かったりして、そのいたずらぷり・デフォルメされた動作が楽しい。



2006.01.29 はるかに稲妻のように、チラと発見が、再発見が見える
第25回大阪国際女子マラソン。去年沿道で見ていて良かったので今年も見に行ってみる。ヌデレバもシモンも走ってるのをナマで見るとちょっと熱くなる。もらったハタをばたばたと振る。みんながんばっててエライ。



阪神百貨店での催し『全国有名駅弁とうまいもんまつり』。ちょっと前のJAFの会誌が駅弁特集ですでに気持ちが盛り上がっていたので行く気まんまん。会場はすごい人。お昼過ぎだとさすがに売り切れのお弁当が多かったけれど、事前にチェックしてた、酢飯の上に紅鮭としめ鯖をのせた、青森県東北本線 八戸駅"八戸小唄寿司"をゲット。家人は福井県北陸本線 福井駅"越前かにめし"。マルビルの前のベンチで駅弁をほうばる。外で食べる駅弁ておいしいなー。

近く映画公開予定の 群ようこ『かもめ食堂』を読む。かわいらしい本であっさり読める。フィンランド・ヘルシンキの片隅で『かもめ食堂』(Ruokala Lokki)を細々とオープンさせたサチエ(映画では小林聡美)。そこへミドリ(片桐はいり)が加わり、マサコ(もたいまさこ)が加わり、日常の小さな事件が物語の全体。映画化でこの作品を知ったので、物語の登場人物はすっかり小林聡美・片桐はいり・もたいまさこ、ヘルシンキの街並みを思い出しながら読み進めるのはぼんやり楽しい。映画もちょっと見てみたい。



今日の夜は阪神百貨店で買ってきた豆腐のみそ漬けといかの塩辛(だいすき)をつついて、自家製梅酒を飲む予定。たのしみ。


2006.01.28 絶対に純粋な、光に満ちたまなざし
家人が仕事で出たので午前中精力的に家事を遂行。掃除はいつもより念入り。買出しも念入り。新聞もJohn Cale『Sun Blindness Music』をかけつつ念入りに読む。朝から瞑想ドローンの休日の午前中。

ふたたび阪急百貨店。1Fで『N.Y. Chocolate Gallery』という催しをやっていて「ジャック・トレース」「クリストファー・ノーマン」「チョコレートモダン」が出店してた。ものすごくキレイなチョコ。あげるというより一緒に食べたい。

夜は昨日録画しておいたNHK世界美術館紀行『北欧 癒しのモダニズム フィンランド・デザイン美術館』を見ながら晩酌。40年前くらいの椅子やデザインがなんでこんなにいまモダンなんだろうとか思った。なかなか真面目で面白い番組。エーロ・アールニオがすごくかわいいおじいちゃんで好きになった。「TRIOLI」の椅子に惹かれる。

映画『美しき鷹』(マキノ雅広/1954/大映)。明治32年頃の北海道函館港が舞台。1954年の作品だと思うと面白いかもしれないけれど、若干中途半端な話。越路吹雪の視点から描いたらいいのに誰にもスポットをあてないので誰にも思いいれがない。オリジナル・シナリオだけにシナリオに力が入ってる感じ。

映画『ドリーマーズ(The Dreamers)』(ベルナルド・ベルトルッチ/2003/イギリス、フランス)。1968年・5月革命前夜のパリ。映画オタクのアメリカ人留学生と映画オタクでプチブルのフランス人双子。ゴダール『はなればなれに』を模してルーブル美術館を駆け抜け、「シャンゼリゼで生を受けたの」「第一声はなんだったと思う?」「ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン!」(ジーン・セバーグね)、オタクアメリカ人のアパートの机にはベルイマン『ペルソナ』のポストカード、オタクフランス人の部屋には毛沢東のポスター、模され挿入されるのを見て楽しいのは前半。後半は"映画オタクはひきこもりで、永遠に夢見がちで立派な大人にはなれません"という趣旨の映画。映画館で最前列に陣取り、席が後ろになるほど鮮度が落ちるんだ、と説明するオタクアメリカ人が「デートで映画を観るときは最前列には座らないんだ」と諭すシーンが心に残った。私てたいてい最前列・・・。



2006.01.27 読書の思い出で覆われた感覚
夕方ダッシュで阪急百貨店へ。SUQQU でファンデーションの替えを買わねば、と思ってお店に行くと金曜の夕方から夜にかけてのコスメコーナーの熱気。お姉さんに「アイシャドウの新色とかつけてみます?」「シャドウだけなら5分くらいで終わりますよ」と言われ調子に乗ってやってもらう。目の外側からオレンジ・黄色・緑(まさにSUQQUぽい渋色)の三色。なかなかかわいい(色目が)。で、軽く15分くらいかかってしまい、あわてて阪急から退散。

あきちゃんとNU茶屋町で待ち合わせてご飯。「GUMBO&OYSTER BAR」目当てだったけれど、待っていても空きそうになかったので予定変更。オーガニックや契約農家から仕入れた野菜がメインの「Real Tokyo Dining WaZa CHAYAMACHI〜NU chayamachi〜」(リアル・トウキョウ・ダイニングってちょっと・・・)へ。オーガニックPLUM(ようは梅酒)を飲みながら、"旬野菜のチーズフォンデュ"は、トマトやお芋やバゲットをこってりしていないおいしーいチーズの中へくぐらせる。チーズがすごくおいしい。お話しながらふたりでせせこましくチーズをつつく。"契約農園からの旬菜サラダ"と"契約農家からのトマトソースのパスタ"はどかーんと大量。たった3品で女二人で食べきるのが精一杯なくらい。あきちゃんとたくさんお話できたし、ゴハンはおいしかったし、満足して帰宅。

家人のお土産に、行きにジュンクで仕入れた「LiVES 2006 FEB.&MAR. vol.25」(特集:20代&30代のジュータク事情)という雑誌。帰ったら家人も同じ雑誌を買って読んでいた。がっくし・・・。同じ雑誌を同じ日に購入・・・。雑誌の中身はあーだこーだいちゃもんつけながら読むような内容。2人で読むとなかなか面白い。


2006.01.23 感覚も、知性も、心も、幸福も
カルフールブランドのカタロニア風ツナ缶。どんなものか引用すると"トマトとにんじんをベースにしたソースにピクルスを加えて爽やかで甘酸っぱい味に仕上げた、スペイン北東部カタロニア地方風のツナサラダ"。中は写真のような感じで、このまま食べてもなかなかおいしかった。次回買って使うならパスタソースとして?



中之島のダイビルがイースト・ウエストのツインビルとして生まれ変わる(2012年最終完成予定)。渡辺節設計の歴史ある近代建築が取り壊されるのも少し寂しいけど、寂しいのは私を含む外部の人たちで働いてる人たちは快適な新しいビルのがいいんだろうと思う。国立国際美術館ができて、関電ビルディングができて、分譲高層マンションもできて、2008年度の中之島新線の開通、大阪市立近代美術館(現在心斎橋展示室にある福田平八郎「漣」が見てみたい)の計画もあるらしいし、梅田では阪急百貨店の建て替えをしてるし、大丸も増床して、北梅田(大阪駅北地区)の開発、もっといろいろあるけどなんかキタにすごいパワーが結集してる。ちなみに中之島ダイビル・イーストの着工は平成18年度(2006年度)。もうそろそろ始まるのかな・・・


2006.01.22 夕方の光の中のリイイの庭。
黒い繁みの中の石像の白い太陽。動かないばら。私の新たなまなざし。

easy traveler(イージートラベラー)13号を立ち読み。特集は"Present"。そのなかで"いま贈りたいメイド・イン・ジャパン"に書いてあった山梨県にある黒富士農場の「たまごかけご飯のためのお醤油」に興味津々。たまごかけご飯好きとしては是非試してみたい・・・。

京都カフェ巡りや東京カフェ巡りなんかしていたのが懐かしい(振り返るとアホみたいに行ってた。お店はほとんど消滅したと思う)。そんな私のいま最も行くコーヒーショップはテイクアウトならスタバ、のんびり飲んでいくならタリーズ。毎回同じ大阪市内のオフィス街の店舗。オフィス街のコーヒーショップを利用するのは(梅田の中心とかなんばより)広くてきれいだから。 最近の人気カフェてどこなのかなあ。



2006.01.21 ただひとつの存在を愛するだけで足りる
一日入店券をもらったので、初めてのコストコ尼崎店へ家人と行ってみる。コストコ社のはじまりはカルフォルニア州サンディエゴ。世界中にある数百店舗のなかで日本では5店舗展開している会員制倉庫型店舗。大きなカルフールの隣にある大きなコストコホールセール。カートからデカい。そして店舗の中も広い。デカい商品(業務用スーパーのものよりももっと大きい)が天井まで木パレットのまま置いてある。勢いでやってきたけれど、どれもこれもデカいパックだったり液体洗剤は2リットル×2個での価格だったりミクロな私達は何を買えばいいか分からなくなる(気が小さい)。結局、アメリカンサイズのプレーンとシナモンレーズンのベーグル12個 682円、ドイツ生まれのカエルマークで有名なFrosch(フロッシュ)の食器&調理器具洗剤 500ml 3個 1122円、(こんなデカいサイズ見たことないという)クラフトのパルメザンチーズ 453g 866円 他、合計5000円くらいのしょぼい買い物。だってレジで前だった外国のおばちゃんは3万4千円も買ってたし、みんな万単位で買い物するのがコストコ流儀のようだったから。しょぼい私達はほんとに必要な買い物は隣のカルフールで買って帰る。

家人の行きたがっていた砥部焼のお店へ。藍で描かれた模様がきれいな砥部焼。器をいくつか購入。和な食器が欲しかったのでうれしい。家人も満足。よかったよかった。



ついでに梅田阪急で友達の出産お祝いのベビー服を買いにつきあってもらう。ちいさいちいさいかわいいお洋服。

アクティブデーの締めは梅田ガーデンシネマでの映画鑑賞。ドイツの影絵作家『ロッテ・ライニガーの世界』。3年の歳月をかけて製作された長編アニメーション『アクメッド王子の冒険(Die Acenteuer des Prinzen Achmed)』(1926)は「アラビアン・ナイト」をベースにした冒険活劇。いま見てもものすごくアヴァンギャルドな手法のアニメで細かく繊細な動きと影絵に魅了される。あまりに美しいレースのような服や宮殿。影絵ではあるけれど王子様やお姫様の容姿までが思い描けるような、イマジネーションが膨らむ、これがアニメーションの原点なんだと感動する本当に楽しいアニメーション。他短編傑作集として『カルメン(Carmen)』(1933)、『パパゲーノ(Papageno)』(1935)、『ガラテア(Galatea)』(1935)。ロッテ・ライニガーのセンスは単なる影絵作家以上のセンスがあり、心からすばらしいと思った。それほど影絵を知っているわけではないけれど、1920-30年代に活躍したロッテ・ライニガーを越える(斬新な)影絵作家がいるのかなと考えるほど、こんなに魅力的な影絵は見たことがない。



2006.01.20 キルトをはいた優雅な幻
最近のネイルサロンの広告写真の過剰ぶりがすごい(ネットより紙の媒体の広告)。スカルプにジェルに爪ピアス。ゴテゴテのジャラジャラで特殊メイクのよう。10本の爪全部に浮き上がってるいろんな動物とか(しかもファンシーでない)、だいぶやばい。でも面白い。

graf media gm で"奈良美智+graf『home』展"を見る。会場に家があり、その中にはいろんな人が持ち寄ったぬいぐるみがたくさん。奈良美智の作品を展示する家(展示空間)を graf が作るプロジェクト。いろんな人がかかわっているのにそこは奈良美智の大人キュートな世界。帰りに特製ポストにハガキを出してみる。home展のスタンプが押されて届くらしいので。



映画『みんな誰かの愛しい人(Comme une image)』(アニエス・ジャウィ/2004/フランス)。始まりも終わりもなく日常生活を切り取った、フランス映画らしい映画。


2006.01.17 愛し、苦しみ、生き、夢みることのすべて
谷町・からほり「蔵」本店にあるチョコレート専門店 エクチュア。バレンタインの記事の載ってるフリーペーパーを見て行きたくなった。美味しそう。ノスタルジック空間ここはベルギーのカレボー社のチョコらしい。カレボー社、ヴェローナ社、よく分からないけどそういう単語を覚える最近。

映画『秋津温泉』(吉田喜重/1962/松竹)。岡田茉莉子の出演百本記念作品。岡山県の山奥の四季の美しさと着物姿の美しい岡田茉莉子、そして撮影がすばらしい。日本にもこんな映画があったんだと感動する映像美。斜めや後ろからの人物のショット、窓に小さく映る岡田茉莉子の横顔、光の使い方、細かいことろまで行き届いた美しさ。時代に取り残されたのは女のほうで、若き日に心中をしようと言った男は世間の波にうまく乗って生きてゆく。空ろな目で彼方を見て、最期まで女として自分自身に妥協できなかった岡田茉莉子に涙が溢れる。ダメな男とダメな男から離れられない女の不倫物語は成瀬巳喜男『浮雲』とよく対比されるようだけれど、高峰秀子も岡田茉莉子もいいけれど、『秋津温泉』のほうがすごいかもしれない、と思った。まれにみる良質ですごい作品。



この『秋津温泉』は2006年2月25日にDVDにて発売予定。現在は吉田喜重DVD-BOXに入っているのみ。岡田茉莉子自身が企画した『秋津温泉』の演出を吉田喜重に依頼し、映画を撮った翌々年の1964年に二人は結婚。そしてその後、独立プロ現代映画社の設立。すごくどうでもいいけど、岡田茉莉子の印象て温泉がらみが多いような。


2006.01.15 私の愛するものの数がまた増え始めて来る
家人が見たがっていた、ジャック・ドゥミ監督没後15年企画、奥さんのアニエス・ヴァルダが監修したデジタルニューマスター版の『ロバと王女』を梅田ガーデンシネマへ一緒に見に行く。

映画『ロバと王女(Peau d'Ane)』(ジャック・ドゥミ/1970/フランス)。 ファンタジーメルヘンワールドミュージカル。フランスの童話作家シャルル・ペローの「ロバの皮」の原作をジャック・ドゥミが見事なカラフルポップなお伽噺の世界、夢の世界を創り上げる。カトリーヌ・ドヌーヴ着るの青や空や月や太陽の色とりどりのドレスがなんてきれい。ロバの皮を素直にかぶりつづける美しい王女様、ピンチを救う王子様、王女様のお花畑のベッド、しゃべるバラ、想像のなかでしかありえないラブリーワールド、王女様と王子様が草原をごろごろでんぐりがえりしながらお菓子を食べてはしゃぐシーンがとても愉快で、2人のドヌーヴが王子様のために歌いながら愛のケーキを作るシーンはとてもとてもキュートでしあわせ。こういう映画がいちばん好きだと強く感じる。宝石のような映画。



感動を抑えられない家人と私はめずらしくパンフレットまで購入。家に帰ってもロバと王女ごっこ。

先日新聞に載っていた"お餅茶漬け"を食べる。こんがりと焼いたお餅と同量くらいのご飯をお茶碗に入れ、お茶をかけて塩を少々ふる。シンプルでおいしい。この食べ方好きだなーと思いながら、(お餅茶漬けのようにシンプルかつパンチがあってまた食べたい)マックス・ニューハウスの60年代音源CDを思い出して聴いてみる。打楽器、残響音、微音、アール・ブラウン、ジョン・ケージ、モートン・フェルドマン、お餅茶漬け。オモチチャヅケって言いづらいね。


2006.01.14 変わらない場所でのわれわれの心の新しさ
お昼頃から家人と箕面の109シネマズへ。本日から公開の『THE 有頂天ホテル』。話題の新作を公開日に見に行くというのはとてもめずらしい。しかも前売り買ったのだけど、こういう話題の映画の前売りって一般1300円なんだと感激した。安い。知らなかった。せっかくのシネコンなのでホットドッグを食べながらカップルシート(しか空いてなかった)で広々とジャンクに観賞。

映画『THE 有頂天ホテル』(三谷幸喜/2006)。 大晦日のホテルアバンティが舞台。2時間16分の映画の中で起こる新年までの2時間16分の世界。テンポも速いし面白かった。映画館の中のお客さんと笑いの一体感。ちなみに三谷幸喜が朝日新聞夕刊のエッセイで触れていた美術の種田陽平は『キルビル』の美術のひと。

映画を見たあと、カルフールでお買い物。ワールドワイドな食材がたくさんあって楽しい。カルフールブランドのトマトや他野菜の入ったツナ缶も買ってみる。おいしいかな。

映画『ソウル・オブ・マン(The Soul of a Man)』(ヴィム・ヴェンダース/2003/アメリカ)。 1977年に探査機ボイジャーが乗せていたものの中にレコードがあった。ブラインド・ウィリー・ジョンソン、スキップ・ジェイムス、J.B.ルノアー。この3人の貴重な映像と現代のアーティスト達の映像を織り交ぜて描くブルースドキュメンタリー。マーク・リボーの「Dark Was The Night」のギターから心をつかまれる。ルー・リードやボニー・レイットのカバーもいいけど(ベックも意外とよかった)、原曲のブラインド・ウィリー・ジョンソン、スキップ・ジェイムス、J.B.ルノアー、彼等の曲や映像、雰囲気がものすごくいい。ブルースを知らなくても楽しくて豪華でわくわくする作品。もっと聴きたい。




2006.01.12 絵画空間とはひとつの壁だ
だが そこには世界中の鳥という鳥が自由自在に翔んでいる 奥の奥まで

献血しようと思ったら血液の比重が低くてできなかった。できないできるできないできないできないできるという感じでチャンスがあればチャレンジ。献血会場に行く回数は多いのにできた回数はなかなか伸びないなあ。

映画『大通りの店(Obchod na korze)』(ヤン・カダール、エルマール・クロス/1965/チェコスロヴァキア)。 第二次大戦下のスロバキア。ナチス・ドイツ軍によるユダヤ人の財産接収が進む。質素な家に住む夫婦にファシスト党の大物の義兄から善良なユダヤ人の老婆が営む店の経営権を渡される。派手な演出がない分想像がふくらむ。着々と完成へ向かう塔。善良で平凡なトーノの弱さや脆さ。ラストの夢の光景が切ない。彼の視界には彼の夢が広がる。

映画『トリコロールに燃えて(Head in the Clouds)』(ジョン・ダイガン/2004/アメリカ)。 美しいシャーリーズ・セロンを見たくて見たものの、ナチスやスペイン内戦という1930年代のヨーロッパをベースにした恋愛物語は『大通りの店』を見たあとでは薄い。ラストの辛さも比にならない。

映画『あこがれ』(恩地日出夫/1966/東宝)。 原作・木下恵介、脚本・山田太一、音楽・武満徹の純愛映画。当時のアイドル・内藤洋子はたいそう地味な女の子の役を演じ、脇役を加東大介、賀原夏子、沢村貞子らがかためるのでアイドルが目立たない。新珠三千代演じる先生のものすごいおせっかいぷりは見逃せない。賀原夏子の「お父さん!口に出してしまうと取り返しのつかないことになることもありますよ!」というセリフが実は最も印象的。ラストの海辺を田村亮と走るシーンも妙に中途半端。いろいろ言いたくなるのはきっと山田太一と製作会社の間に一悶着あったような想像をかきたてるから。それにしてもただのアイドル映画でもなく武満徹は手広いと思わせる作品。褒めすぎ?


2006.01.11 "このしるしと星々とに満ちた夜を前にして、
私ははじめて、世界の優しい無関心に、心をひらいた"

アクア堂島にある Cafe tous les jours でランチ。紅茶専門店 Tea House MUSICA の奥にある、たぶんMUSICA系列のイタリアン。広々空間で出てくるのは早いしなかなかいい感じ。頼んだランチセットはものすごいボリュームでおなかいっぱい。食後のチャイは Tea House MUSICA の紅茶かなあ、美味しかった。

2006年中に公開予定のフィリップ・ガレルの新作『Les amants reguliers』。前評判はあんまりみたいだけど、ガレルの新作なら見てみたい。いつ公開されるのかな。




2006.01.09 生の悲劇的な感情を、高揚の泉とすること
とつぜん書道。久しぶりなくせに生意気にもいい墨といい紙を使用(筆は普通)。目標は和歌や百人一首みたいな歌をさらさら書けるように。そして夢は大きく掛け軸。とりあえずは適当に大きな字から練習。書けない・・・。紙という枠を意識した小さなせせこましい字。あかん!ウェイン・ショーター曰く"マイルス・デイビスの言葉で好きな言葉『鳴っている音以上の音楽が聴こえてこない音楽ばかりでウンザリさせられることはないか?』"というのと同じで書いた字からなにも波及するものはない、とか初日の練習で考えてみた。・・・またがんばろう。書道ていつかブームになるかな・・・。



スーパーマリオをしていた家人にも書道をすすめてみる。家人の書く字は一生懸命さが伝わる素直な字。私の字はずるい字だなーと思った。



冬の午後の公園を歩いてみる。寒いのでちょっとだけ。



2006.01.08 男の力への意志に女の所有への意志が対抗する
お菓子が食べたくなって、静岡市の栗原あたりにあったハーブに囲まれた風光明媚な一軒家カフェ"PANTARITA"を思い出して、スコーンを作る。"PANTARITA"のスコーンは美味しかった。こねくりまわしすぎてあんまりふくらまなかったけど中はサクサク、きちんとスコーンの味。



大阪にいるのに行ったことのない住吉大社へお参りに。お正月も過ぎてるし、と高をくくっていたら晴れ着の女の子たちもいるし神前結婚式をしてるカップルもいるし結構すごい人出で驚き。住吉大社はすごく立派で広かった。



第七藝術劇場で『テオ・アンゲロプロスへの旅』という特集。アンゲロプロスといえば年末に PLANET studyo plus one で面白そうなのやってたみたい。アンゲロプロスの現代史と個人史によるアネテの回想映画『アテネ:アクロポリスへの三度の帰還』、マノエル・ド・オリヴェイラ『文化都市リスボン』、ヴァルター・ルットマン『伯林大都会交響楽』、ルネ・クレール『眠るパリ』など。アンゲロプロスとオリヴェイラだけでも見たかったなあ。情報収集してない・・・。下記はアンゲロプロスメモ。スクリーンで見てないのが多いのでいろいろ見たいけど時間が・・・。観てない『狩人』『蜂の旅人』あたり行ってもいいかも。

■ 『テオ・アンゲロプロスへの旅』@第七藝術劇場

料金:前売り3回券 3,000円
当日 一般・大学生 1,300円 高以下・シニア 1,000円

上映スケジュール

1/14(土)
PM12:40-PM4:32 「旅芸人の記録」
PM4:45-PM7:35 「エレ二の旅」

1/15(日)
PM12:40-PM3:30 「エレ二の旅」
PM4:30-PM7:22 「狩人」

1/16(月)
PM12:40〜PM4:08 「アレクサンダー大王」
PM4:30~PM7:20 「エレ二の旅」

1/17(火)
PM12:40-PM3:30 「エレ二の旅」
PM4:30-PM6:50 「シテール島への船出」

1/18(水)
PM12:40-PM2:42 「蜂の旅人」
PM4:30-PM7:20 「エレ二の旅」

1/19(木)
PM12:40-PM3:30 「エレ二の旅」
PM4:30-PM6:35 「霧の中の風景」

1/20(金)
PM12:40-PM3:02 「こうのとり、たちずさんで」
PM4:30-PM7:20 「エレ二の旅」

1/21(土)
PM12:40-PM3:30 「エレ二の旅」
PM4:30-PM7:27 「ユリシリーズの瞳」

1/22(日)
PM12:40〜PM2:54 「永遠の一日」
PM4:30~PM7:20 「エレ二の旅」

1/23(月)
PM12:40-PM3:37 「ユリシリーズの瞳」
PM4:30-PM6:44 「永遠の一日」

1/24(火)
PM12:40-PM2:45 「霧の中の風景」
PM4:30-PM6:52 「こうのとり、たちずさんで」

1/25(水)
PM12:40-PM3:00 「シテール島への船出」
PM4:30-PM6:32 「蜂の旅人」

1/26(木)
PM12:40-PM3:32 「狩人」
PM4:00-PM7:28 「アレクサンダー大王」

1/27(金)
PM12:40-PM3:30 「エレ二の旅」
PM3:40-PM7:32 「旅芸人の記録」


2006.01.07 ある感動の激しさはその対象の関数ではなく、
それについて人の持つ意識の関数である(そこから意志の必要)。

卵がたくさんやってきた。わーい。



(いつできるの?)丸井なんば店。地上12階、地下2階、上層階に複合型映画館、その下に丸井なんば店が入る。その丸井なんば店は間宮吉彦が空間デザインをするそうで、この先出来上がったら行ってみたい。ミナミは間宮デザインが多いけれど、丸井自体をやるなんてすごいなー。とか思ったけれどあらゆるところに間宮デザインは(特に関西には)あるわけで、ちなみに家のアイテムにも間宮吉彦はあったりして、ちょっと考えても間宮吉彦は超有名人だった。そうか有名人だから丸井をつくるのね。

Evan Parker、Paul Rutherford、Hans Schneider、Paul Lyttonによる1985年のライブCD『Waterloo 1985』(EMANEM 4030)を聞きながらお昼ゴハンとしてモチ入りお好み焼きを食べる。かっこいい(CDが)。

なんだかものすごくCDが欲しくなってアメ村タワーへ。やっぱりタワーはアメ村(しかあんまり欲しいのが置いてないので)。ニューミュージックの棚の前でいろいろ悩むけれど、GLIM や pole のような"儚く美しい"甘ったるいナイーヴ系のものでなく、もっとストイックでガツンとくる音。で、池田亮司『dataplex』(Raster-Noton)。ファーストやセカンドを聞いていた当時はすごくストイックに聞こえていたのに、いま聞くと頭上から足元から音が歩み寄ってくるような遊び心を感じて、あーこういう微妙な融合や堅固な中の微妙な柔らかさて好きだなーと思った。今さら感もなく、素直になかなか良い。『COMME des GARCONS / SEIGEN ONO』(SAIDERA RECORDS/SD-1001H)。「洋服が綺麗に見えるような音楽を」と川久保玲に言われコムデギャルソンのために作られた1987-89年の音源(オリジナルは87年から88年のギャルソンのショーの作品群)。サンバもワールドミュージックもジャズも現代音楽も、(そう言われると)ギャルソンを連想させテレビや雑誌で見たりした、まさにギャルソンのショーの様子が浮かぶ。Arto Lindsay、John Zorn、Bill Frisell、Marc Ribot、John Lurie 等参加。そういう意味でなかなか楽しいCD。

ところで今日はアメ村タワーにインリンがトークショーに来ていたみたいですれ違い。残念。家人と悔しがる。

帰ってから武満徹の映画『愛の亡霊』のサウンドトラック復刻版も楽しげだったかなあ、とぼんやり思った。そういえばトニー・ガトリフ『愛より強い旅』が公開中。大阪はシネ・リーブル梅田で公開中。『スパニッシュ・アパートメント』のロマン・デュリスが主人公(ロマン・デュリスて人気・実力ともにフランスNo.1だそうだけどそんなにいいかなあ・・・)。ジプシーものではないみたいだけどルーツミュージック+青春ロードムービー。どうしようかな。

ただいま「竹の音」のCDを聞き中。竹にも宇宙。渋い。いいなー。


2006.01.04 明るい穏やかな空。陽気。
あけましておめでとうございます。

年末からお正月にかけて家人と私の実家、三重・愛知と帰省。恒例の年末高級松坂牛のスキヤキからはじまり、暴飲暴食の日々。たくさんの甥と姪にお年玉もくばり、コメダ珈琲で休憩して(実家に帰るととりあえず盆も正月も開いているコメダに行く)、高速道路もあんまり混んでなくて雪にもあわず、昨日無事大阪に帰還。

今日は家人と近所の神社にお参りに行く。そのあとジュンク堂にいって本を片手にコーヒーを飲みながらのんびりタダ読み(すいません)。ゆるーい北欧本を読んでいたら Rosti(ロスティ)のカラフルなミキシングボウルが欲しくなる。デンマーク製のメラミン樹脂のボウル。底にはリング状ラバーがついていて使っているときに動きにくい。もともとはデンマークの建築家Acton Bjonがデザインしたらしく、とてもシンプルで機能的。あーそうだ、朝食のときにアーラ社の牛乳とかあったらいいなーとゆるくなった頭でゆるいことを考える。ちなみにアーラ社の牛乳パッケージのデザインはデザインホテルのデザインも手掛けるトム・ヘドクヴィスト。ブローティガンの「不運な女」もななめ読み。外に出るとものすごい寒かった。

昨日から「古畑任三郎ファイナル」を見ている。なんだかずっと楽しみにしていたのは朝日新聞の水曜夕刊に、三谷幸喜「ありふれた生活」のエッセイが連載されているからで、毎回リアルタイムな内容で年末からなんだか見たくて仕方なかった。なんとなく新聞で毎週目にする三谷幸喜のエッセイは「THE 有頂天ホテル」も見たい気持ちにさせられる。

高校の同級生Nちゃんから届いた年賀状にHPアドレスが載っていたのでいってみる。Nちゃんが結婚する2年くらい前に会ったきりなんだけど、なんだか知ってるNちゃんと趣味がぜんぜん違ってて驚く。ふと(同じく同級生の)旦那さんのブログがあったのでそこにもいってみると、私がいままで通過してこなかったタイプのブログで、そもそも現在のNちゃんの趣味が旦那さんそのままで、うーん、と思った。Nちゃんの旦那さん(クラスは一緒になったことがないのであんまり知らない)はラグビー部所属で有名大学に行って有名企業に就職してライヒを聞いていてブログには小難しいことがつらつら書いてある。いたって真面目に(そういう茶化さないブログをあまり知らない)。うーん。ていうか、なに、Nちゃんどうしちゃったの?みたいな感じにつつまれた。あれしたい、これしたい、てNちゃんいろいろ話してたのにな。うーん。