October

退屈とは過小評価された感情で
一種の情熱になり得る




2006.10.31 読みかけの本と足跡を残して
家人が2泊3日で出張中。

10月も終わりなのに相変わらず体調不良ですっきりしない。ていうかそもそももうすっきりしないのかも。約3ヶ月の間晩ゴハンを作ったのはたったの2回。ごめんなさい。最近急激にお腹が大きくなってきた気がする。ローライズのパンツやスカートならいけるかもと思っていたけどほんとにぜんぜん無理。着る服がなくなってきたー。

デロンギのヨーグルト製造機、ヨーグレッラを勢いで買ってせっせとヨーグルト製造。タイマーがタイマーでない(持ってるひとに共感してもらいたい)のが難点だけど、なかなかこれがおいしくできる。ヨーグルトをたくさん食べようと思ったのは、市販の薬が飲めないので自然にお通じがよくなるように。つわりがひどくて食べられなかった頃でも出るものが出ないのは苦しい。効いてるかといえば私の場合いまいちだけど、ヨーグルトをたくさん食べるのはよいことなのでたくさん食べる。一度にたくさんできるように容器がたくさんあるのだけど、全部はさすがに使わないので、これで何かできないかと思い、今日は試しに温泉卵ができるかどうか実験する予定。

出張に行く前、家人がチェコ映画『猫に裁かれる人たち』というDVDを購入。なにこれ?と聞くと「なんか内容見てもぜんぜん分かんない映画だったから買ってみた」と。アニメでないチェコの映画てあんまり見てないけど『ひなぎく』系のちょっと変わった系のが多いイメージ。私の場合、東欧の音楽に接するときのスタンスと似てる。ハマるとハマるんだろうなー。家人が見てないのに勝手に見ちゃった。ごめんなさい。

映画『猫に裁かれる人たち(Az Prijde Kocour)』(ヴォイチェフ・ヤスニー/1964/チェコスロヴァキア)。チェコ・ニューウェイヴ?コメディー?ファンタジー?相当意味不明なシーンが多い。子供たちの書く絵のセンスに脱帽。

映画『遠い日の家族(Partir Revenir)』(クロード・ルルーシュ/1985/フランス)。ユダヤ人の悲劇をラフマニノフのピアノ協奏曲に乗せて綴る物語。叙情的なセリフや雰囲気は好きだけれど。

映画『ゲド戦記』(宮崎吾朗/2006)。超失敗作。ジブリがかわいそう。


2006.10.28 今日の楽しみに対して
いつも明日の誇りを選ぶこと。

土曜午前中の定番となりつつある平岡珈琲店でカフェオレとドーナツをいただいたあと、南船場の美容院へ。だらだら長かった髪もカットとパーマをしてさっぱり。久しぶりにもかかわらず、担当のKさんが覚えていてくれてうれしい。ほぼおない年のKさんは話してると楽しいしかわいくておしゃれ。切るのも上手で安心。終わったあとカフェでタダ飲み。




待ち合わせた家人と南船場をふらり。マリメッコに寄り、雑貨屋さんで『日々』という、アルネやクウネルのような、"「食」を中心に日々の暮らしを考える"雑誌というか冊子というかミニコミ。飽きない程度にスローな読み物が好き。

映画『逃げ去る恋(L'Amour en fuite)』(フランソワ・トリュフォー/1978/フランス)。アントワーヌ・ドワネル物語最終篇。ジャン=ピエール・レオのダメ人生総集編。見れば見るほどジャン=ピエール・レオはタイプでない。あ、分かった、彼がタイプじゃないから作品にハマれないんだ。


2006.10.27 変わらない場所でのわれわれの心の新しさ
昨日は堂島ホテルの中の鉄板焼きのお店でお昼をゴチになる。最近客室の家具デザインを graf が手がけたりしてちょっとモダンに生まれ変わった堂島ホテルにはリニューアルしてからはじめて入る。前よりいい感じだけど、"ちょっといいホテル"て感じでもないような(宿泊はわりと高いから)。お店で頼んだのは特選フィレコース3800円。スープ、焼き野菜、フィレステーキ、サラダ、ご飯、味噌汁、香の物、デザート、コーヒー。フィレステーキはすごーくやわらかくておいしかったー。外でお肉を食べるの久しぶり。豪華なお昼のランチていいなあ。

トリュフォーの映画てたいして見てないけど、どういうスタンス?で見ていいのか私には分かりづらい。"普通"のトリュフォーの映画を受動的に見ていても正直面白くなくてでも前のめりで見入るほどかと言えばあんまりそんな気にならない。較べるところが違うかもしれないけどウディ・アレンのほうが分かりやすく面白い。気持ちが前のめりにいく、オリヴェイラとかタルコフスキーとかソクーロフとかビル・ヴィオラとか、特別好きなわけではないけどゴダールとかわりと気持ちが先行しやすくたぶんこういう映画のほうが素直に見られる。なんでかなー、映画について人と直接会話することってあんまりないので頭のなかで巡ってるだけ。

映画『私のように美しい娘(Une belle fille comme moi)』(フランソワ・トリュフォー/1972/フランス)。トリュフォーのガチャガチャしたコメディーはあまり好みではない。男女関係の面白さは理解できてもトリュフォーファンのこの作品に対する絶賛は理解できない。

映画『アントワーヌとコレット<二十歳の恋より>(L'amour vingt ans/Antoine et Colette)』(フランソワ・トリュフォー/1962/フランス)。オムニバス映画『二十歳の恋』の中の一作品。だからなに?と思ってしまうのはアントワーヌ・ドワネルにハマれない証拠。


2006.10.25 たくさんの船、風にはためくハンケチ



昨日は嘔吐&即ダウンで家人に頼んでせっかく買ってきてくれた雑誌『shortcoco.』を見れなかったので今日ゆっくり読む。spoon.の姉妹誌という、つまりspoon.ママのためのママ服&子ども服のファッション誌。家人に頼んだときに「わーきもい、spoon.主婦?」とかさんざん言われたけど(spoon.は立ち読みしかしたことないのに)、なんか表紙が mina perhonen をまとった母娘 in アイスランドだったりして興味あるじゃん?中見たいじゃん?だいたい家人だってモード&セレブ系キッズファッション誌『MilK Japon』喜んで買って大差ないのに。とか、買ってきてくれてありがとうとっても楽しんでます。

福田里香『ジャム食本』とかクリスティーヌ・フェルベール『小さなジャムの家』とか、ジャムを作るわけじゃないけど、ジャムに関する楽しそうな本てなんだかいいな。おいしそうなジャムの記事とか好き。

iPod みたいな携帯プレーヤーを持ってないのは使う機会がない(利用するような時間がない)からだけど、9800円のクリップ式iPod shuffle てなんか気軽でちょっと持っててもいいかもて思う。

なみちゃんもあきちゃんもご懐妊ということでとってもめでたい。みんな同い年で赤ちゃんも同級生になるぽくてなんかとってもハッピーな気分。いまだ体調はすぐれず晩ごはんも作れず家人に弱音をはいていたりするけどちょっと力が沸いてきた。

東京からやってきた人から浅草・満願堂の芋きんをいただく。なんて気の利いたお土産。芋好きとして名前だけは聞いたことのある満願堂の芋きん。さつま芋餡版きんつば。くどくなくてとてもおいしい。東京から数時間たってまだほんのり温かかったけど、買いたてのアツアツはもっとおいしいんだろうな。

映画『くもとちゅうりっぷ』(政岡憲三/1943/松竹動画研究所)。大戦中に製作されたという16分の白黒アニメ。(当時の背景を考慮すると)政治性があるアニメーションでありながら、歌いながら楽しそうに踊るてんとう虫の女の子を見ているとそんなことを忘れてしまう愛らしさがいっぱいで、激しい風や雨の嵐の迫力は1943年という時代を考えるとすごい技術。政岡憲三設計(!)によるマルチプレーンカメラによって撮影されたという、この流れるような美しいたった16分のアニメーション。すばらしい。




映画『奥さまは魔女(Bewitched)』(ノーラ・エフロン/2005/アメリカ)。ニコール・キッドマンの透けるような美しさが好きでニコール・キッドマンが出てるだけで興味がある(たとえばスカーレット・ヨハンソンには到底かなわない美しさをニコール・キッドマンは持っている)。ぼんやり見れる単純で楽しい映画て大事。


2006.10.22 すなわち不安と希望の二人だ。
「プレパパ、プレママのための育児セミナー」というのに家人と参加。母親教室もまだ行けてないのでこういうセミナー教室関係ははじめて。150組くらいのプレパパとプレママが大集合。週数的にたぶん私以上、7-8ヶ月くらいの妊婦さんが多かった。今日はパパの育児啓発みたいな内容。面白かったのは助産士さんの育児話と、赤ちゃん人形を使った沐浴体験やら着替え体験。本物の赤ちゃんの沐浴とか無事できるのか不安。家人はプロテクターみたいなのを装着して擬似妊婦体験をして椅子から立つのに苦労していたりした。3kgの赤ちゃん人形をちょっと抱いたり置いたりしていただけですでに腕が疲労。無事お父さんとお母さんになれるのかな。

FUDGE の表紙がクロエを着た太田莉奈だったので購入。ファッション誌についてここ1年くらいを振り返ると FUDGE 購入率が高い(間にFigaroやSPURとか特集の面白そうなのを選ぶ。琴線に触れず何も買わない月もある)。最新号に掲載されてる Chloe は圧倒的にステキでかわいいし mercibeaucoup, もかわいいし、セレクトしてる服が好みなのが多いんだけど、情報・カルチャー面は毎号超面白くないという難点もあり。ページの無駄、やめたほうがいいと思うくらいちょっとアレ。FUDGE て年齢的にどのくらいをターゲットにしてるんだろうと時々思うけどまだまだだいじょうぶなことにしよう。

クロエのバッグほしいなあ。


2006.10.21 霧の中で途切れた鐘の音を聞いたこと
今週体調良くならず。いつになったら吐かなくなるのか。ふと、自家製野菜のピクルスを作りたいなあと思った(もともとすっぱいもの好き/現在食べれないということはない)。にんじん、マッシュルーム、カリフラワー、ブロッコリー、たまねぎ、きゅうりなんかを熱いマリネ液で浸して冷ますだけ。材料を買いに行けるようになったら作ろう。

ちょっと前に「笑っていいとも!」に上野樹里がドラマ宣伝のために出演していて、そのとき着ていたワンピースがものすごくかわいくて、あれはいったいどこのワンピースだったんだろうと心の片隅に残っていて気になる。だれか(覚えててかつ)知ってたら教えてください。

mina perhonen と amadana がコラボした amadanaこたつ専用布団カバーがちょっとうらやましい(そもそも amadana がこたつを販売してるのをこれで知った)。でもうちはこたつは置かないことにしてるし・・・。chouchoの柄のカバーなんていいなあ。

なんとなくリンクを見てみたら「胎教に良い映画」という検索で来てくれてる方がいて、一体何の映画でヒットしたのかとどきどきしながら見てみるとイワン・イワノフ=ワノーと吉田喜重だった。吉田喜重・・・。

映画『空から赤いバラ(Fathom)』(レスリー・H・マーティンソン/1967/アメリカ)。ラクエル・ウェルチ主演。ラクエル・ウェルチの惜しみなく(無駄に)見せる胸の谷間や脚線美がいい。『恐竜100万年』なんかに較べると衣装はぜんぜんダメだけど。

映画『メゾン・ド・ヒミコ』(犬童一心/2005)。何か見るたびにオダギリジョーが出ている気がする。ポジション的には浅野忠信。

家人がYouTubeでのアニメーション発掘に凝っている。便乗して私も家人オススメアニメーションをへーと思いつつ楽しく見させてもらっていて、なんか(超古いんだけど)新しい人たちの名前を覚えるのって楽しいし付随していろんな名前が出てくるのも楽しいしそもそもそのアニメーションが楽しい。今日見ていて、すごく私好みだったのはレン・ライ(Len Lye)という人。 "A Colour Box"(1935)という作品もいいけど"Free Radicals" (1958)という作品がいい。動きを感覚的に楽しむこと。わくわくする。


2006.10.15 こうした瞬間は、必然的に私たちの意識や言語からこぼれ落ちる
家人が仕事の関係で朝から京都へ。

比較的午前中は動けるのでシーツを洗い布団を干し水まわりの掃除とベランダの掃除をする。とこれだけで疲れてしばらく横になるハメになる。妊婦がいかに疲れやすいか身をもって体験中。妊婦になると妊婦に優しくしようと思う。

お昼すぎに家人帰宅。用事のあるらしい同じ下京区の「まるき製パン所」のパン、買えたら買ってきてね、と言っておいたら買ってきてくれた。わあい。出来立ての食パンを食べてみると、ミミはふんわりお菓子みたいな甘さで中はしっとりもちもちきめ細やか、どちらかというと東日本的な食パンで懐かしい感じのするパン。美味しかった。生まれが中部地方だからか、関東のパンも関西のパンもどっちも好き(家人も中部地方出身だけどどちらかというと関西のパン好み)。味噌も赤も白も合わせもどれもおいしい。うどんや蕎麦も関東系の濃いおつゆでも関西系の甘いおつゆでもおいしい。どん兵衛もどっちもイケる。中途半端なのかもしれないけど私は夏でも味噌煮込みうどん(きしめんの)が食べたい人で白味噌や合わせの味噌ラーメンはちょっと苦手。




どうしても阪急の北海道物産展に行きたくて家人に同行を頼む。卯の花にしん漬けやらコロッケやらベーグルを買い込み、ベビー用品を少し見る。まだ買わないけどいざ買おうとするときまでにちゃんと選んでおかないとワケがわからなくなりそう。ところで子供服のブランドてぜんぜん知らないのだけど、ブーフーウーとかあるからムチャチャとかもあるかなーと思ったけどムチャチャはなかった(ような気がする)。もう少し自力で活動できるようになったら堀江の"3 feet high"をのぞきに行ってみよう。休憩してから帰宅。

映画『水の中のナイフ(Noz W Wodzie)』(ロマン・ポランスキー/1962/ポーランド)。当時28歳のポランスキーが祖国ポーランドに残した唯一の長編処女作品。見ている間、ベルイマンの『ペルソナ』や『不良少女モニカ』なんかの映画を思い出した。登場人物は倦怠期の夫婦と行きずりの若い男の3人。ベルイマンを持ち出すのは褒めすぎなのかもしれないけれど、そのくらい絵になるシーンが多かった。ヨットの上という隔絶された空間のなかでの3人の微妙な気持ちの揺らぎ。28歳でこんな映画を撮ってしまえるのがすごい。


2006.10.14 風景の美や心地よさにわれを忘れ、陶酔し、
意識を不分明にくもらせるとき

つわり第2波。木曜の昼すぎから嘔吐&ダウン。またかと思い涙。腰痛や腹痛は常にあったものの短かった復活・・・。でも第2波は短いと思いたい。

金曜、気分転換がてら久しぶりにスタバへ。つわり開始以来行ってないので2ヶ月ぶりくらい。今週から販売しているプレミアムホットチョコレートにしてみる。甘いものに限らず食べてみようという気はある。おいしーい。と思ったのもつかの間、あっという間にリバース(アホ)。第2波を抑えなんとか復活劇を復活させたいという切実な想い。

今日は家人とふたりで愛らしいお花のアレンジメントを抱えて graf のuさんに渡しに行く。来週退職されてしまうのでこうして graf で揃って会えるのは最後。結局午後から具合が悪くなって寝込む。家人にちょっと怒られる。

本棚にある本のほとんどは家人の本。なのでふと手にとって読む本も家人の本ばかり。山田風太郎『育児日記』。自身2人の子供の子育て記。山田風太郎の本て正直ちゃんと読んだことないけど数ページ読んで帯に書いてあるような"愛情たっぷり"とはちょっと違うような気がして家人に聞いてみる。家人曰く「山田風太郎て結構ひどい人として有名で、その山田風太郎の育児日記というのが面白い」ということらしい。そうなんだ、そう思って読みすすめると面白い。のんびりゆっくり読もう。

"子供の顔を見たらユーゼンとして父性愛生ずるかと思いしに、ちっとも生ぜず。上野博物館にある南米の土人の首を乾かしかためたやつみたいな顔を眺めながら憮然としている。"

"夜五十嵐家で麻雀しようとしたけれども佳織泣きわめきて啓子加わる能わず。従って麻雀出来ず。大いに腹をたてて牌を佳織の頭に叩きつける。啓子曰く「三十三になって、九ヶ月の赤ん坊とケンカするのか」と。"


映画『ニライカナイからの手紙』(熊澤尚人/2005)。蒼井優主演。『花とアリス』(2003)に近い雰囲気。竹富島てきれいなトコだなあ。ラストの母と娘の号泣シーンの安っぽさに興ざめ。やたら郵便局や郵便局員が出てくるのはタイアップ?


2006.10.11 誰かをあんまり崇拝しすぎると、本当の自由は得られないんだよ
パンデュースのベーグルが好き。もっちり加減が好み。小さめなのに朝一個食べると案外満足。パンデュースは野菜がふんだんに乗ってる惣菜系のパンよりベーグルや食パンが好き。

『チャーリーとチョコレート工場(Charlie and the Chocolate Factory)』(ティム・バートン/2005/アメリカ、イギリス)。原作はロアルド・ダールの児童文学『チョコレート工場の秘密』。カラフルなテーマパークにいるみたいな楽しい映画。ジョニー・デップもので 『ショコラ』(2000)に続きチョコが食べたくなる映画(チョコ欲する度としては 『ショコラ』のが上)。原作を読んだことはないのだけど、噂では田村隆一訳バージョンが面白いらしく、(かなりブームから遅れてるけど)読んでみたくなった。


2006.10.10 私の魂は臆病な魂ではない、
この世のあらしの中で震える魂ではない

ミナペルホネンの白金台のショップがこの10月でオープン6周年ということで、10月7日-22日で小さな写真展をショップで開催している模様。近くだったらぼんやり見に行くのにな。いつかこの白金台の聖地に行けるのかな。

弱音をはいて泣いてた9月中頃に、楽しい妊婦ライフていったいいつ来るんだろう、来ないなら自分で"楽しい妊婦ライフ"を作ってやると思って(やけくそ)、家人にユザワヤへハマナカのオーガニックコットン糸(これじゃないとヤダとワガママを言いつつ)を買ってきてもらってベビーベストを製作しはじめたのだけど、日によってできたりできなかったり、遠い記憶のかぎ編みで何度もほどいたりして細かい部分は大概だけどやっと完成。わーい。完成したこと自体がうれしい。




病人のように臥せっていた頃、家人にはファンデーションの詰替えを買ってきてもらったり(しかも男性には敷居の高い阪急コスメ売り場で)、ユザワヤで手芸用品買ってきてもらったり、いろいろ助けてもらって、私的人生の一大事にこうして優しくしてもらうと一生覚えてるだろうなあと思って感謝。

その家人がジョルジュ・メリエスやスチュアート・ブラックトン、エミール・コールなんかのトリックアニメを YouTube でたくさん見つけてきたので私も見てみたのだけど、そのアイディア溢れるトリックアニメはすごーく面白い。メリエスはいっぱい見てみたいなあと思っていたのでうれしい。家人曰くアニメーションの始祖スチュアート・ブラックトンやエミール・コールを見ていると見たことのあるウィンザー・マッケイを思い出す。あーこの系列なんだ。そうそう、ちょっと横道にそれて見ていた短編のミッキーマウスアニメーション『Mickey Mouse/Plane Crazy』(1929) の雰囲気なんかも大好き。目を細めていやらしく笑うミッキーのかわいさて今のミッキーにはないかわいさ。作品自体もデフォルメされた面白さで好き(パンティーがパラシュートになって危機一髪とか)。

映画『嵐が丘』(吉田喜重/1988)。吉田喜重がバタイユの「エミリー・ブロンテ論」に触発され、「嵐が丘」(エミリー・ブロンテ作)の舞台を中世の日本に置き換えたという作品。火の神を祭る山部一族に拾われた少年と山部の娘との運命の愛。死がふたりを別つとも男が鬼になろうともふたりの情念は消えない。松田優作の内に秘めた抑えた演技と、田中裕子の芯の強い女の強さを表した演技がすばらしい。下界と隔絶した、完全に非日常の世界を作り出したからこそ見える美学や真実。


2006.10.07 あたたかい呼吸を自分の頬に優しく感じながら
白バラ牛乳900ml、350円。ちょっと前に飲んだ夢みるくみたいな濃厚だけどさっぱりとは違い、濃厚であとを引く濃い味わい。クセになりそうな牛乳でとっても美味しい。ネーミングもパッケージもすてき。




うつほ日記のうつほさんのブログを見て、平岡珈琲店に行きたくなり、家人を誘って行ってみる。小さな店構えながら常連さんの多い店内も分かる気がする感じのよさ。何より注文したカフェオレは超好み。手作りドーナツも素朴な味わいで美味しい。ここ2ヶ月と少しくらいの間コーヒーやカフェオレの類はぜんぜん飲む気がしなかったのに、平岡珈琲店のカフェオレはそんな気持ちが一気に吹き飛んでしまうくらい美味しかった。家人はコーヒーを頼んだのだけど、家人も好みの味らしくてふたりして突如お気に入りのお店に。コーヒーもカフェオレも320円、ドーナツは1個120円という良心的お値段。営業時間的に土曜の午前中しか行けないのが残念。




午後本日引越しオープンしたての macaron を少しだけのぞく。TOGA のほぼフルラインナップもかわいかったし Peter Jensen のカットソーもジャケットもいろいろ欲しくなったけどお値段もはるので他にかわいかったカーディガンと靴下を購入。袋をさげて家に帰ると家人が「何買うてきたん?」攻撃。カーディガンと靴下を見せると「ANTIPAST(アンティパスト)やんかー、ほんでナンボしたん?」攻撃。いい歳したオジサンが私の好き系のブランドやらなにやらに妙に詳しいのもちょっと気持ち悪いのに・・・。そういえばちょっと前家人がひとりでアローズに行って戻ってきたとき「このシャツジャケットいいなーと思って手にとったら mina perhonen だった」と告白されたときもちょっと驚いた。オジサンなのにかわいい系に・・・?

CD『JOHN CALE/Dream Interpretation: Inside the Dream Syndicate Volume II』を聞きながら休憩。1曲目"Dream Interpretation"のドローンが好き。ジョン・ケイルのヴィオラとトニー・コンラッドのヴァイオリンの絡みあった音。ラストの曲でシンバロンという楽器でアンガス・マクライス(アンガス・マクリーズという表記が正しい?)とジョン・ケイルのギターと共演するのだけど、正直断然トニー・コンラッドとのほうがいい。ところでアンガス・マクライスが最初期のヴェルヴェットのメンバーだと今ごろ知った。その後に『GAVOUNA/Sting & Drum Machines』を聞いたら、なんともバリエーションのないひ弱な音。そんなに悪くないかもと期待して買っていただけに私好みのパンチはなくてがっかり。

映画『告白的女優論』(吉田喜重/1971)。浅丘ルリ子、岡田茉莉子、有馬稲子が同時進行する3つの物語でそれぞれ、女優とは何か?自分とは何か?欲望や心の底にある影や虚栄心を映しだす。ストーリー的には難解で前衛演劇的なシーンも多い。それぞれのシーンはそれぞれ面白いけれどそれを楽しむだけになってしまった。まだまだ吉田喜重初心者。


2006.10.04 ある感動の激しさはその対象の関数ではなく、
それについて人の持つ意識の関数である(そこから意志の必要)。

先日の週末、家人と散歩がてら出かけた植木市で買ったバジルとローズマリーとパセリ。帰ってから私は具合が悪くなり横になっている間に家人がきれいに寄せ植えをしてくれた鉢の写真。こんな感じの寄せ植えが欲しかったのでうれしい。朝ぼんやり見てなごむ。




靴が欲しい。ぺたんこシューズ。雑誌で見たレペットとギャルソンの千鳥格子柄のコラボシューズがすっごーくかわいい。でも4万越えするので非常に躊躇。

grafのuさんが今月退職されるという話を聞いてgrafへ会いに行く。お仕事中のuさん相手に少しおしゃべり。これからも仲良くしてね。退職してしまう前にもう一度くらいはgrafへ会いに行こう。

家人が早めに帰ってきたので夜ご飯は久しぶりの外食。時々お惣菜をテイクアウトする近所のビオのお店で身体にやさしい和食の晩ご飯セット。玄米ご飯もお惣菜もとっても美味しい。最近やっとお味噌汁が飲めるようになったのがうれしい(でもなぜか白かあわせのみ。赤派だったのに!)。日々だんだんハードルを越えていく気がしてうれしい。こうして目の前にご飯を出されると美味しくいただけるのに自分が作ろうとするとなぜか気分が悪くなるのが不思議。調理の手順とか考えると気持ち悪くなっちゃう。少しづつ作れるようになるといいけれど。

今日は立ったり座ったり動いたりわりと無理したせいかいつもよりキツめにおなかがはってかなり苦しい。おなかがはったときは安静に寝てなくてはダメとお医者さんに言われてるけどなかなか横になれないシーンのほうが多い・・・。


2006.10.03 きよらに咲ける その色愛でつ あかず眺む 野中の薔薇
今日は調子がいい気がする。そしてわくわくするニュースも聞いちゃった。

熊本県・シリカファームの"夢みるく"という瓶の牛乳。なぜか牛乳はつわりピーク以降わりとすぐに美味しく飲めてるのでたくさん飲んでる気がする。"夢みるく"は紙のフタをあけるとヨーグルトみたいなクリームが表面にできてるという、濃厚なのにさっぱりしてて美味しい牛乳。



北堀江のセレクトショップ macaron が今週末京町堀にお引越しということでお店できてるのかなーと調査に行くと内装とか間に合うの?という初期段階ぽくて週末オープンできるのか私が不安になる進み具合だった。カンテグランデも10月京町堀にオープンするし、いろいろ集まってくる感じがして楽しい雰囲気。

映画『盗まれた欲情』(今村昌平/1958/日活)。長門裕之主演、今村昌平デビュー作。大阪の河内地方を巡業する芝居一座。このすでに手慣れた感じのバイタリティ溢れる作品がデビューというのが驚き。




映画『鏡の女たち』(吉田喜重/2002)。吉田喜重に岡田茉莉子というだけで見た作品。広島の原爆を根底に三世代の女たちが広島へ旅立つ。灯籠流しの灯りが3人の女の顔をやんわり照らし出すシーンが印象的。深い深い愛情や言葉にできない悲しみ、喪失感、繊細な感情、吉田喜重はまだまだすごいなーと思わずにはいられない。


2006.10.01 無煙炭のように黒い目を均一な絶え間のない輝き
いつの間にか秋・・・。近くの小学校から運動会の音楽が聞こえる日曜日。

廃人のような生活から少しづつ復活のきざし(と自分に暗示)。寝ても起きても吐き気と戦い吐いて吐いてカラフルな胃液を出し喉を痛め血を吐き涙とよだれと鼻水を垂れ流しながらトイレを占領、栄養がかたよってるせいかすごい数の口内炎、耳痛、食べないと体力がなくなっていくのと頭痛がするのでがんばって食べるものの食べた瞬間リバース水を飲んでリバース、点滴も薬も効かず、この地獄のような日々はつわりのせいでへたれな私は朦朧と死ぬんじゃなかろうかと泣いてました。家人にとっても迷惑をかけていて、いつも仕事で帰宅が遅いのにずーっと早く帰ってきて助けてくれてお世話になってたいへん感謝。どうもありがとう。

というわけでただいま妊娠中。順調にいけば来年の春頃には産まれてくるはず。無事元気に産まれてきてくれますように。

廃人中に見逃したイベントやら映画やらいろいろはどうでもいいけれど、チャルカで10月28日に行われるイベント『お茶を飲みながら編むドイリー教室』行きたかったなー。なんて乙女で素敵なイベント。人数も少なかったしたぶん募集出した日に即日定員になったんだろうけれど行きたかったなーお茶しながらドイリー編みたかったなー(イベントまでに体調が良くなってるか分からないくせに)。

家人の漫画、サライネス『誰も寝てはならぬ』を5巻の途中まで読み中。大人のエッセイ漫画というか、ぼちぼちやってまっせ的な不思議な面白さというか、細かいところまでリアルで面白い漫画。『大阪豆ゴハン』も読んでみようかな。

絶不調のピークを過ぎてから気をまぎわらすように見ていた映画いろいろ。比較するようなラインナップじゃないけど、溝口健二の『残菊物語』はガーンとものすごい衝撃を受けて私の中の日本映画ナンバーワンくらいの勢いで感動。きっとお腹の中の人もゴテ健に感動したはず。(中の人ではアレなので呼び名を決めたいところ)

映画『ある映画監督の生涯 溝口健二の記録』(新藤兼人/1975/近代映協)。溝口健二を師と仰いだ新藤兼人による、溝口健二についてのドキュメンタリー。溝口健二ゆかりの人々39人に新藤兼人が直接インタビューをする。溝口健二入門編ではなく、溝口健二について私生活を含めより深く知るための愛のある作品。『東京行進曲』などのサイレント期の作品群の中のいまはもう目にすることのできないようなスチールの数々も想像をかきたててわくわくさせる。噂の田中絹代のインタビューが面白い。




映画『雨月物語』(溝口健二/1953/大映京都)。上田秋成原作「雨月物語」の中の"浅茅ヶ宿"と"蛇性の婬"の2編を題材にした小説の映画化。戦国時代を舞台に、人間の様々な欲を庶民に投影して描く。琵琶湖畔から船を漕ぎ出すシーン、源十郎が初めて訪れた時の朽木屋敷の様子、その女主人若狭、とても幻想的で美しく魅惑的。全体を覆う霊的な御伽噺の雰囲気。特に朽木屋敷はセットとは思えないくらいのリアルなお屋敷のセットは見とれてしまうほど圧巻。一瞬の魔力に誘惑された代償の大きさは失くしてみて初めて分かるという皮肉。ラストが泣ける。




映画『近松物語』(溝口健二/1954/大映京都)。近松門左衛門の姦通事件の浄瑠璃「大経師昔暦」の映画化。足を痛めたおさんが逃げる茂兵衛を泣き叫びつまづきながら追いかけ抱き合う迫真の演技に鳥肌を覚えるほど感動。すごい。同様にふたりが引き離される場面の体当たりの悲痛な叫びにもぐっとこみ上げるものがある。『雨月物語』と同じく宮川一夫のカメラは冴えわたり、尺八や拍子木を使った早坂文雄の音楽がすばらしい。香川京子の美しさも目を引くけれど、長谷川一夫がよい。




映画『残菊物語』(溝口健二/1939/松竹)。大掛かりなセットも感激ものだけれど、とても映画的で長回しで構図の美しい作品という印象。セットと俳優がそのまま雰囲気のなかで溶け込んでいて、俳優の顔をほとんどアップで映さない常に引いたカメラが誰かに感情移入するのではなく物語自体に引き込む。尾上菊之助(花柳章太郎)復活の「積恋雪関扉」の場面がぞくぞくするほど良いし、ラストの道頓堀川で役者達が豪華な船に乗り込み船先に立ち、両岸のお茶屋に挨拶をしてまわる場面なんてそんな時代のミナミ自体や光景に興味をひかれる。これが戦前の映画かと驚くほど面白く完成度も高い。すごい映画。




映画『皇帝ペンギン(La Marche de l'empereur)』(リュック・ジャケ/2005/フランス)。皇帝ペンギンの一年の生活。お父さんペンギンもお母さんペンギンも強いぞ。すべてを愛を語る儀式と見立てる目線とヘンな挿入歌(わりと台無しにしてるような)がフランスぽい。

映画『四季(Seasons)』(イワン・イワノフ=ワノー/1969/ソビエト)。チャイコフスキーの「四季」をモチーフにした約10分の作品。ノルシュテインが助監督として参加。壊れてしまいそうな美しい小さな幻想の世界。こういうアニメが大好き。

映画『大阪物語』(吉村公三郎/1957/大映)。中村鴈治郎、市川雷蔵、香川京子主演。溝口健二が撮影前に亡くなってしまったため吉村公三郎が意志を継ぎ監督した作品。当然だけど溝口健二が監督していたらもっと面白いものになっただろうなーとかそんな映し方しないんじゃないのかなーとか溝口健二ぽくないのがずっとひっかかってしまった。溝口健二と比較するのはどうかと思うけど溝口健二バージョンが見たかった。勝新太郎や中村玉緒も出演しているのだけど見てる最中はあまりに若すぎて気づかなかった。

映画『婦系図』(三隅研次/1962/大映)。泉鏡花原作、市川雷蔵主演。ベタな演出はぜんぜんいやではないけれど、ちょっとあまりに演歌調で途中で飽きてしまう。もう少し面白くできたような。

映画『落穂拾い(Les Glaneurs et la Glaneuse)』(アニエス・ヴァルダ/2000/フランス)。ミレーの『落穂拾い』を出発点に、リサイクルや大量消費、社会の矛盾など様々なテーマの映像を投げかけるドキュメンタリー。ミレーの『落穂拾い』の意味をこの映画ではじめて知った。テーマは重く、答えもひとつではない。

映画『落穂拾い・二年後(Les Glaneurs et la glaneuse... deux ans apres)』(アニエス・ヴァルダ/2002/フランス)。上記続編。続編がある必要性がよく分からない。

映画『フェリックスとローラ(Flex et Lola)』(パトリス・ルコント/2000/フランス)。パトリス・ルコントの映画はアタリとハズレが激しいけれど超ハズレ。セリフから何からなんて奥行きのない薄っぺらい愛の会話と行為。パトリス・ルコントとシャルロット・ゲンズブールで騙されてはいけない。

映画『フライ,ダディ,フライ(FLY,DADDY,FLY)』(成島出/2005)。岡田准一、堤真一主演。さわやかで楽しいお父さんの復讐劇。

映画『永遠の語らい(Um Film Falado)』(マノエル・ド・オリヴェイラ/2003/ポルトガル、フランス、イタリア)。父の待つボンベイへ向かいながら人間の歴史を辿る母娘の航海。ポルトガルのベレンの塔、ギリシャのアクロポリスの丘、エジプトのピラミッドなどで歴史学者の母は娘の質問に神話や伝説の物語を語る。カトリーヌ・ドヌーヴ、イレーネ・パパス、ステファニア・サンドレッリ、ジョン・マルコヴィッチが各自の言葉、フランス語、イタリア語、ギリシャ語、英語で恋愛や文明についての会話をするシーンが面白い。オリヴェイラのリズム感や映像の贅沢な感覚が大好きだと再確認する。強烈なラストの衝撃の余韻が残る。