foreign movie vol.12


Ali Baba et les quarante voleurse
アリババと40人の盗賊
Ali Baba et les quarante voleurs


監督 / フェルディナン・ゼッカ
1902年 / フランス


メリエスよりもう少しリアルなお伽話。同時期に活躍したトリック映画の巨匠フェルディナン・ゼッカ。1902年製作とは思えないわくわく感と、完成度もアヴァンギャルド度も高い作品。ゼッカの作品もたくさん見てみたい。


Le Voyage dans la lune
月世界旅行
Le Voyage dans la lune


製作・監督・脚本 / ジョルジュ・メリエス
原作 / ジュール・ヴェルヌ
撮影 / ミショー
美術 / クローデル、ジョルジュ・メリエス
衣装 / ジュアンヌ・ダルシ
キャスト / ジョルジュ・メリエス、ビクトル・アンドレ、ブルーエット・ベルノン、ドピエール・ファルジョー、ブリュネ、ケルム 他
1902年 / フランス


世界初のSF映画として有名。まさに魔法の映画。手作りのセットもトリックもすべてが愛らしく、びっくり箱のような楽しさでいっぱい。メリエスの作品をもっと見たいと思わせる短いけど壮大なかわいさの映画。


All About Eve
イヴの総て new!!
All About Eve

監督 / ジョセフ・L・マンキウィッツ
製作 / ダリル・F・ザナック
脚本 / ジョセフ・L・マンキウィッツ
撮影 / ミルトン・クラスナー
音楽: アルフレッド・ニューマン
出演 / ベティ・デイヴィス、アン・バクスター、ジョージ・サンダース、ゲイリー・メ リル、マリリン・モンロー、ヒュー・マーロウ 他
1950年 / アメリカ


田舎から出てきた若い娘イヴ・ハリントンが愛憎劇を繰り広げ演劇界のスター女優にのし上がっていくストーリー。無名時代のマリリン・モンローも脇役で登場。当初大物女優マーゴ・チャニング役にマレーネ・ディートリッヒの名前があがっていたそうで、これが実現していたらそれはそれで面白そう。偽善をふりかざし他人を利用し易々と欺いていくイヴの仮面の下の強烈なキャラクター、各人の巧みな心理描写にくぎ付け。内容が読めるのに展開にわくわくする。冒頭とラストの同じ授賞式のシーンの感じ方が全く変わるのが面白い。


The Awful Truth
新婚道中記
The Awful Truth


監督 / レオ・マッケリー
製作 / レオ・マッケリー
原作戯曲 / アーサー・リッチマン
脚本 / ヴィナ・デルマー
撮影 / ジョセフ・ウォーカー
音楽監督 / モリス・W・ストロフ
出演 / アイリーン・ダン、ケイリー・グラント、ラルフ・ベラミー、アレクサンダー・ダーシー、セシル・カニンガム、モリー・ラモント、エスター・デイル、ジョイス・コンプトン 他
1936年 / アメリカ


新婚カップルのドタバタコメディ。ドタバタといっても下品・ブラックユーモアとは一線を画す上品で愛の溢れる面白さ。単純なストーリーでお金の心配もなく現実の社会から遠ざかっている設定がそうさせるのかもしれない。うれしさのあまり「ステーキを3枚食べられそうだ!」というラルフ・ベラミーの台詞がとてもアメリカン。こんなに愛らしいヘンなケーリー・グラントははじめて見て楽しい。からくり時計との合成シーンはとてもかわいらしいけれど、特筆すべきは鬼ごっこする犬のスミス君や黒猫。犬猫の名演技が光りまくり。


I Want to Live!
私は死にたくない
I Want to Live!


監督 / ロバート・ワイズ
製作 / ウォルター・ウェンジャー
原作 / バーバラ・グレアム、エドワード・モンゴメリー
脚本 / ネルソン・ギディング、ドン・マンキウィッツ
撮影 / ライオネル・リンドン
音楽 / ジョニー・マンデル
出演 / スーザン・ヘイワード、サイモン・オークランド、ヴァージニア・ヴィンセント、セオドア・バイケル、、ウェズリー・ラウ 他
1958年 / アメリカ


実在の女性死刑囚バーバラ・グレアムの手記をもとにしたドラマ映画。冤罪事件がベースなのに、タイトルバック、作品の全体を流れるジャズや仲間内でコンボでダンスするシーンなどカッコいいシーン多数。主演のスーザン・ヘイワードの演技が壮絶で見たことのないバーバラその人に思えてくる。最後まで女として生き、女を貫いたバーバラに、同性として魅力を感じる。原題は「I Want to Live!」なのだけど映画を見ている限り「私は死にたくない」という邦題は、英語と日本語のニュアンスの違いを汲みとった上手な邦題だと思う。


Casablanca
カサブランカ
Casablanca


監督 / マイケル・カーティズ
原作戯曲 / マレイ・バネット、ジョアン・アリスン
脚色 / ジュリアス・J・エプスタイン、フィル・G・エプステイン、ハワード・コッホ
撮影 / アーサー・エディソン
SFX / ローレンス・バトラー
音楽 / マックス・スタイナー
出演 / ハンフリー・ボガート、イングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリード、クロード・レインズ、コンラート・ファイト 他
1942年 / アメリカ


2人の男(ハンフリー・ボガート、ポール・ヘンリード)と1人の女(イングリッド・バーグマン)の三角関係メロドラマの金字塔。同時に第二次世界大戦中にアメリカの国威発揚のための対独プロパガンダ映画。バーでドイツ兵に対抗して客がフランス国歌を合唱するシーンが印象的。「As time goes by」という曲がこの作品のテーマソングだと見てはじめて知った。「Here's lookin' at you kid (君の瞳に乾杯)」という名台詞もあまりに有名で感激まではしないものの、元祖が言うと違う。夜霧の空港、トレンチコート、ラストシーンのダンディーさ、古き良き時代の美しい映画。


Broken Blossoms
散り行く花
Broken Blossoms


監督 / D・W・グリフィス
原作 / トーマス・パーク
脚本 / D・W・グリフィス
撮影 / G・W・ビッツァー
出演 / リリアン・ギッシュ、リチャード・バーセルメス、ドナルド・クリスプ 他
1919年 / アメリカ


無声映画。リリアン・ギッシュ演じる薄幸の永遠の美少女ルーシーの美しさ、映像自体の美しさに釘付け。サイレントならではのオーバーアクション。リリアン・ギッシュの恐怖におびえる様子や無理矢理自分で作る微笑、残酷な死。文句なしに美しい彼女なしでは成り立たない映画。悲劇の結末はあまりにも詩的で静かで清らか。本作品はトーマス・バーグの短編小説集『ライムハウス夜景集』の一遍『中国人と子供』を映画化したもの。ラストシーンは後にゴダール『勝手にしやがれ』で引用される。


Spring, Summer, Fall, Winter ... and Spring
春夏秋冬そして春
Spring, Summer, Fall, Winter ... and Spring


監督・脚本・編集 / キム・ギドク
製作総指揮 / チョン・ホンジョ
製作 / イ・スンジェ、カール・ガウムバルトナー
撮影 / ペク・ドンヒョン
音楽 / パク・ジウン
挿入歌 / キム・ヨンイム(「チョンソンアリラン」)
出演 / オ・ヨンス、キム・ジョンホ、キム・ヨンミン、ハ・ヨジン、キム・ギドク 他
2003年 / ドイツ、韓


キム・ギドク(金基徳)の作品は初見。山奥の湖にうかぶ寺院。そこに暮らす和尚と小僧。春・夏・秋・冬、そして巡り来る春、5編からなる物語。人として生きて行くということ。リアリティはなくても(フィクションにリアリティが必要だと思わない)その四季折々の美しさは本物。「世界」を連想させないそこだけの小さな静かで優美な隔絶された風景、その庵を見下ろすように設置される仏像から見る風景が好き。


The Donald Duck Story
ドナルドダック・ストーリー
The Donald Duck Story


監督 / ジャック・ハナー、ロバート・フローリー
製作 / ウォルト・ディズニー
脚本 / ジャック・ハナー、テッド・バーマン、アルバート・バーティノ
撮影 / ウィルフリード・クライン、チャールズ・ボイル
音楽 / ジョージ・ブランス
出演 / 本人:ウォルト・ディズニー:内田稔、ドナルドダック:山寺宏一
1954年 / アメリカ


ダック・ボイスのドナルドダック生誕秘話についてウォルト・ディズニー本人が作品の紹介を行う。この作品でドナルドダックは声が先にあったことを知った。キャラクターは声にあわせてアニメーターが創り出したとか。ミッキーマウスもそうだけどドナルドダックも案外性格が悪かったりして、そのいたずらぷり・デフォルメされた動作が楽しい。


The Story of the Silly Symphony
シリー・シンフォニー物語
The Story of the Silly Symphony


監督 / クライド・ジェロニミ
製作 / ウォルト・ディズニー
脚本 / ビル・ピート
撮影 / チャールズ・ボイル
音楽 / ビル・ラーヴァ
出演 / 本人:ウォルト・ディズニー:内田稔
1955年 / アメリカ


短編ミュージカル・アニメーション・シリーズ「シリー・シンフォニー」について、ウォルト・ディズニー本人が各作品の解説を行う。音楽とのシンクロの面白さは抜群。秀逸だったのは「花と木」「風車小屋のシンフォニー」。たった数分の作品に息つくヒマもない愉快さと緊張感と幸福感。アカデミー賞短編アニメ映画賞に輝く名作が続々と紹介される贅沢な作品。


Die Acenteuer des Prinzen Achmed
アクメッド王子の冒険
Die Acenteuer des Prinzen Achmed


監督・影絵アニメーター / ロッテ・ライニガー
プロダクション・マネージャー / カール・コッホ
協力(背景) / ヴァルター・ルットマン
音楽 / ウォルフガング・ゼラー
1926年 / ドイツ


3年の歳月をかけて製作された長編アニメーション。「アラビアン・ナイト」をベースにした冒険活劇。いま見てもものすごくアヴァンギャルドな手法のアニメで細かく繊細な動きと影絵に魅了される。あまりに美しいレースのような服や宮殿。影絵ではあるけれど王子様やお姫様の容姿までが思い描けるような、イマジネーションが膨らむ、これがアニメーションの原点なんだと感動する本当に楽しいアニメーション。ロッテ・ライニガーのセンスは単なる影絵作家以上のセンスがあり、心からすばらしいと思った。それほど影絵を知っているわけではないけれど、1920- 30年代に活躍したロッテ・ライニガーを越える(斬新な)影絵作家がいるのかなと考えるほど、こんなに魅力的な影絵は見たことがない。


Carmen
カルメン
Carmen


監督・影絵アニメーター / ロッテ・ライニガー
1933年 / ドイツ


歌劇『カルメン』をモチーフとした音楽劇。 ロッテ・ライニガーを初めて見た作品。すばらしい。


Papageno
パパゲーノ
Papageno


監督・影絵アニメーター / ロッテ・ライニガー
1935年 / ドイツ


モーツァルト作の歌劇『魔笛』をモチーフにした音楽劇のパロディ。 どうやってこんなに曲とあった作品ができるのか不思議。


Galatea
ガラテア
Papageno


監督・影絵アニメーター / ロッテ・ライニガー
1935年 / ドイツ


ギリシア神話を元にしたスッペ作のオペレッタ(喜歌劇)『美しきガラテア』。


Peau d'Ane
ロバと王女
Peau d'Ane


監督 / ジャック・ドゥミ
脚本 / ジャック・ドゥミ
撮影 / ギスラン・クロケ
音楽 / ミシェル・ルグラン
出演 / カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン・マレー、ジャック・ペラン、デルフィーヌ・セイリグ、ミシュリーヌ・プレール 他
1970年 / フランス


ファンタジーメルヘンワールドミュージカル。フランスの童話作家シャルル・ペローの「ロバの皮」の原作をジャック・ドゥミが見事なカラフルポップなお伽噺の世界、夢の世界を創り上げる。カトリーヌ・ドヌーヴ着るの青や空や月や太陽の色とりどりのドレスがなんてきれい。ロバの皮を素直にかぶりつづける美しい王女様、ピンチを救う王子様、王女様のお花畑のベッド、しゃべるバラ、想像のなかでしかありえないラブリーワールド、王女様と王子様が草原をごろごろでんぐりがえりしながらお菓子を食べてはしゃぐシーンがとても愉快で、2人のドヌーヴが王子様のために歌いながら愛のケーキを作るシーンはとてもとてもキュートでしあわせ。こういう映画がいちばん好きだと強く感じる。宝石のような映画。


The Soul of a Man
ソウル・オブ・マン
The Soul of a Man


監督・脚本 / ヴィム・ヴェンダース
製作総指揮 / マーティン・スコセッシ、ポール・G・アレン、ウルリッヒ・フェルスベルク、ジョディ・パットン
製作 / アレックス・ギブニー、マーガレット・ボッデ
撮影 / リサ・リンツラー
美術 / リバ・ダニエルズ
出演 / ベック、イーグル・アイ・チェリー、ルー・リード、ニック・ケイブ、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン、ジェイムズ・ブラッド・ウルマー、サンドラ・ウィルソン、ルシンダ・ウィリアムズ、ロス・ロボス、ボニー・レイット、Tボーン・バーネット、マーク・リボー、ヴァーノン・リード、ローレンス・フィッシュバーン 他
2003年 / アメリカ


1977年に探査機ボイジャーが乗せていたものの中にレコードがあった。ブラインド・ウィリー・ジョンソン、スキップ・ジェイムス、J.B.ルノアー。この3人の貴重な映像と現代のアーティスト達の映像を織り交ぜて描くブルースドキュメンタリー。マーク・リボーの「Dark Was The Night」のギターから心をつかまれる。ルー・リードやボニー・レイットのカバーもいいけど(ベックも意外とよかった)、原曲のブラインド・ウィリー・ジョンソン、スキップ・ジェイムス、J.B.ルノアー、彼等の曲や映像、雰囲気がものすごくいい。ブルースを知らなくても楽しくて豪華でわくわくする作品。もっと聴きたい。


Obchod na korze
大通りの店
Obchod na korze


監督 / ヤン・カダール、エルマール・クロス
原作 / ラディスラフ・グロスマン
脚本 / ラディスラフ・グロスマン、ヤン・カダール、エルマール・クロス
音楽 / ズデニェク・リシュカ
出演 / イダ・カミンスカ、ヨーゼフ・クロネル、ハナ・スリフコワ 他
1965年 / チェコスロヴァキア


第二次大戦下のスロバキア。ナチス・ドイツ軍によるユダヤ人の財産接収が進む。質素な家に住む夫婦にファシスト党の大物の義兄から善良なユダヤ人の老婆が営む店の経営権を渡される。派手な演出がない分想像がふくらむ。着々と完成へ向かう塔。善良で平凡なトーノの弱さや脆さ。ラストの夢の光景が切ない。彼の視界には彼の夢が広がる。


Barbarella:The Queen of the Galaxy
バーバレラ
Barbarella:The Queen of the Galaxy


監督 / ロジェ・バディム
製作 / ディノ・デ・ロレンティース
原作 / ジャン・クロード・フォレスト(フランスのコミック)
脚本 / テリー・サザーン、ロジェ・バディム
撮影 / クロード・ルノール
プロダクションデザイナー / マリオ・ガーブグリア
衣裳デザイン / ジャクイス・フォントレイ、パコ・ラバンヌ
編集 / ヴィクトリア・マーカントン
出演 / ジェーン・フォンダ、ジョン・フィリップ・ロー、アンティア・パレンバーグ、ミロ・オシェア、マルセル・マルソー、デビッド・ヘミングス、クロード・ダウフィン 他
1967年 / フランス、イタリア、アメリカ


J=C・フォレストのSF劇画の映画化。おバカでエロくて最高にアホらしい。ジェーン・フォンダの無重力ストリップの冒頭からすばらしい。大統領からの指令によりデュラン=デュラン博士を捕まえるべくコスプレイヤー ジェーン・フォンダが立ち上がる。素っ裸もいとわないジェーン・フォンダもすばらしいけれど好き放題にジェーン・フォンダを扱うロジェ・ヴァディム(当時の夫)を評価。なんて楽しい映画。


Le Doulos
いぬ
Le Doulos


監督・脚本 / ジャン・ピエール・メルヴィル
製作 / ジョルジュ・ド・ボールガール、カルロ・ポンティ
原作 / ピエール・ルスー
撮影 / ニコラ・エイエ
音楽 / ポール・ミスラキ
出演 / ジャン・ポール・ベルモンド、セルジュ・レジアニ、ジャン・ドサイ、ミシェル・ピコリ、ファビエンヌ・ダリ、ルネ・ルフェーヴル 他
1963年 / フランス、イタリア


"いぬ"とは警察への密告者の隠語。暗黒モノでハード・ボイルド、男の友情と葛藤、正直敬遠しがちなのに、この映画は見てみたかった。登場人物が多く、ストーリー展開も意外と難解で翻弄される箇所多数。街を歩いたりという移動するシーンが多く、それぞれの雰囲気や静けさが格好いい。今まで見たジャン=ポール・ベルモンドの中でもっともミステリアスでいい男の役。最後まで何が起きるか分からない。フィルム・ノワール、ヌーベルヴァーグ云々、男がしびれたりするのはこういう映画なのかもと思った。


The Day The Earth Stood Still
地球の静止する日
The Day The Earth Stood Still


監督 / ロバート・ワイズ
製作 / ジュリアン・ブロースタイン
原作 / ハリー・ベイツ
脚本 / エドマンド・ノース
主演 / マイケル・レニー、パトリシア・ニール、ヒュー・マーロウ、サム・ジャッフェ、ビリー・グレイ、フランシス・ベイヴィア、ロック・マーティン 他
1951年 / アメリカ


一体のロボットを従えた宇宙人が円盤に乗って宇宙の平和を訴えにやってくる。反核。例のごとく男と女を絡ませるサスペンスタッチドラマ&SF映画の先駆的作品。モノクロながらラメ入り衣装を身にまとう宇宙人、ぬいぐるみ風ロボコップのようなロボット護衛。宇宙人にときめき、彼のやってきた本当の理由を聞かされて奔走する物分りの良い女性。大真面目に愛らしさをふりまく作品。


5x2
ふたりの5つの分かれ路
5x2


監督・脚本 / フランソワ・オゾン
製作 / フィデリテ、オリヴィア・デルボスク、マルク・ミソニエ
脚本 / エマニエル・ベルンエイム
撮影 / ヨリック・ルソー
編集 / モニカ・コールマン
衣装 / パスカリーヌ・シャヴェンヌ
音楽 / フィリップ・ロンビ
出演 / ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ステファン・フレイス、ジェラルディン・ペラス、フランソワーズ・ファビアン、ミシェル・ロンダール、アントワーヌ・シャピー 他
2004年 / フランス


離婚に至ったフランス人夫婦の別れから出会いまでをさかのぼった5つのエピソードからなる物語。オゾンの映画の色彩には心理の底まで見つめるような怖さがあり、その怖さはこっそり覗き見をするような怖さ。相変わらず水辺でのシーンが多く、浮気をしてしまうのも湖畔のそば。すべてをさらけ出すマリオンの肉体は決して美しいとはいえないけれど、下がりはじめた乳房、揺れる脂肪というセックス中に見せる迫力の肉体は見ているこちらが圧倒される。クローズアップした肌の変化のいやらしさ、美しく終わらせてしまいがちの単なるセックスにしない。オゾンの音楽の使い方はとても上手で、ベタベタなポップスやラブソング、チープなテクノ、しかしそれぞれが印象に残り、それぞれがオゾンの作品にふさわしい。


L'auberge espagnole
スパニッシュ・アパートメント
L'auberge espagnole


監督・脚本 / セドリック・クラピッシュ
製作 / ブリュノ・レヴィ
撮影 / ドミニク・コラン
美術 / フランソワ・エマニュエリ
音楽 / KOUZ-1
衣装 / アンヌ・ショット
出演 / ロマン・デュリス、ジュディット・ゴドレーシュ、オドレイ・トトゥ、セシル・ド・フランス 他
2002年 / フランス、スペイン


バルセロナへ留学するヨーロッパ各国からやってくる学生たちの同居生活。文化が入り混じる共同生活を上手に描いてゆくセドリック・クラピッシュのセンスが好き。スタイリッシュでもなく野暮ったくもなくセドリック・クラピッシュ オリジナル。バルセロナの街は絵画のように美しく空が青い。きっぱりした風景に混沌と悩む主人公や登場人物の姿が面白い。よい映画。


Swimming Pool
スイミング・プール
Swimming Pool


監督 / フランソワ・オゾン
製作 / オリヴィエ・デルボス、マルク・ミソニエ
脚本 / フランソワ・オゾン、エマニュエル・ベルンエイム
撮影 / ヨリック・ルソー
美術 / ウォウター・ズーン
音楽 / フィリップ・ロンビ
出演 / シャーロット・ランプリング、リュディヴィーヌ・サニエ、チャールズ・ダンス、マルク・ファヨール、ジャン=マリー・ラムール、ミレイユ・モセ 他
2003年 / フランス


悶々とさせる映画を撮らせたら5本の指くらいには入りそうなフランソワ・オゾン。『海を見る』や『サマードレス』、『まぼろし』とオゾンの映画には水が関わるものが多い。水が何を表すかというとカタチをなさない不安定さや水面にゆらゆらとはっきり映らない鏡(または水面下に動くものの曖昧さ)、エロティックな欲望。多少意味の分からないエロいカメラアングルや、体毛濃い目の男性のエロい下着姿も楽しみつつ、やっぱり(違う意味で)悶々とする。


A Woman of Paris
巴里の女性
A Woman of Paris


製作・監督・脚本 / チャールズ・チャップリン
撮影 / ローランド・トザロー
出演 /  エドナ・パーヴァイアンス、アドルフ・マンジュー、カール・ミラー、リディア・ノット、チャールズ・フレンチ  他
1923年 / アメリカ


画家の青年と美しい女のすれ違いの恋の物語。コメディアンのチャップリンしか知らないとこのチャップリンの出てこないチャップリンらしくない恋愛映画に驚く。白黒映画というせいだけでなく、光と影をものすごく感じる美しい作品で、ピエロでない素顔のチャップリンを見てしまったよう。「映画」らしい「映画」を見ているしあわせ。


Montparnasse 19
モンパルナスの灯
Montparnasse 19


監督 / ジャック・ベッケル
製作 / ラルフ・ボーム
原作 / ミシェル・ジョルジュ・ミシェル
撮影 / クリスチャン・マトラ
音楽 / ポール・ミスラキ
美術 / ジャン・ドーボンヌ
出演 /  ジェラール・フィリップ、リリー・パルマー、アヌーク・エーメ、ジェラール・セティ、リラ・ケドローヴァ 他
1958年 / フランス


夭逝の画家モディリアニの伝記映画。モノクロ画面で見る空ろな姿のジェラール・フィリップ、女パトロン リリー・パルマー、清純可憐なアヌーク・エーメの美形ぶりに目を見張る。海辺で愛を誓うジェラール・フィリップとアヌーク・エーメがうっとりするほど美しい。


One Million Years B.C.
恐竜100万年
One Million Years B.C.


監督 / ドン・チャフィ
製作・脚本 / マイケル・カレラス
撮影 / ウィルキー・クーパー
音楽 / マリオ・ナシンベーネ
出演 / ラクウェル・ウェルチ、ジョン・リチャードソン、パーシー・ハーバート、ロバート・ブラウン、マルティーヌ・ベズウィック 他
1966年 / イギリス、アメリカ


普通の小さなトカゲを巨大恐竜に見せる特撮技術にキュンとする(思い出したのはカレル・ゼマンのインタヴュー映画)。ハリーハウゼンもいいけれど、原始人の設定であるラクエル・ウェルチの(原始人役なのに)とても補正してないとは思えない丸い形のおっぱいはとてもきれいでかわいくてセクシー。男性でなくとも注目。キレイなおねえさんたちの豊満な胸や太ももをふんだんに見せる衣装、この無駄なお色気もすき。ストーリーはものすごくどうでもいいのにこんなに楽しめる映画てあまりないような気がする。


Clash of the Titans
タイタンの戦い
Clash of the Titans


監督 / デズモンド・デイヴィス
製作 / チャールズ・H・シニア、レイ・ハリーハウゼン
脚本 / ビヴァリー・クロス
撮影 / テッド・ムーア
SFX / レイ・ハリーハウゼン
音楽 / ローレンス・ローゼンタール
美術 / ドン・ピクトン、ピーター・ハウィット、ジョルジォ・デシデーリ、フェルナンド・ゴンザレス
出演 / ハリー・ハムリン、ジュディ・バウカー、ローレンス・オリヴィエ、クレア・ブルーム、マギー・スミス 他
1981年 / アメリカ


ギリシャ神話を軸にした英雄ペルセウスの恋と冒険の物語。「シンドバッド」シリーズの製作者チャールズ・H・シニアとレイ・ハリーハウゼンの黄金コンビ。そして本作品がハリーハウゼンの遺作。ファンタジーらしく物語はとんとん拍子に進み、英雄ペルセウスは男前、王女様はかわいらしく、テンポも抜群で飽きさせない。ハリーハウゼンのダイナメーションも冒頭から楽しめ、メドゥーサとの戦いのシーンでは興奮する。ハリーハウゼンの特撮技術、ストップモーションアニメはなんて面白くて愛らしいのだろう。