Japanese movie vol.1


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G線上の悲劇

製作・構成・演出・撮影・アニメーション / 久里洋二
音楽 / 一柳慧
1969年


一柳慧の音楽に久里洋二がアニメを考えた作品。この一柳慧の音楽がすばらしくて、私は出だしのヴァイオリンの音から大好き。それは久里作品と同様、絶壁に追いつめられていくような感覚と、突然場面が変わって狭い何もない部屋に閉じこめられる感覚。ゆらゆらとする線が音と一緒に突き進む。途中途中に出てくるCGも、その、無機質さを象徴するように感じられる。何度見てもすごいと思う。一柳慧のこの音楽のイメージはまさに久里洋二のアニメ。久里洋二以外にこんなもの作れなかったような気がする。そういえばロス・アプソン店長、山辺圭司もこの作品に興奮したと書いていたような。


二匹のサンマ
二匹のサンマ

製作・構成・演出・撮影・アニメーション / 久里洋二
写真 / 古川タク
音楽 / 山上路夫、いずみたく
音響効果 / 山崎宏
彩画 / 佐々木一恵、土井芳子
1968年


「ふたりのために世界はあるの」と歌う幸せな歌謡曲から始まる愉快な作品。お日様の絵がかわいらしい。いかだの上でサンマを焼く女。辿り着いた孤島でも来る日も来る日も女はもくもくとケムリをあげてサンマを焼く。久里洋二は「女は悲劇の人『妻』という座に憧れる。女はいかなる時でもサンマを焼くような強い生活力がなければならない」と言う。サンマのケムリは永遠の愛。たかがサンマだと思うなかれ。


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殺人狂時代(AU FOU!)

構成・演出 / 久里洋二
音楽 / 山崎宏
アニメーション / 久里洋二、古川肇
彩画 / 宇野淳子、土井芳子
撮影 / 久里洋二、古城紀久子、及村知子
製作 / 久里実験漫画工房
1967年


佐藤聰明『Mandara』を彷彿とさせるような低い低いうめきのようなオープニングの音から引き込まれる。多数の男達の不毛な死。走って警官を刺す男、しかし彼の上には大きな女が降ってくる。とある部屋での自殺志願者。ピストルで頭を打ち抜くも、口から弾丸と入れ歯を吐き出す。飛び降り自殺志願者。飛び降りている最中に窓から見た女に恋をして助けを求めるけれど救急車に突き刺さる。決闘のシーン。弾がはずれたと思って喜び抱き合う二人に、地球を一周した弾が二人を打ち抜く。孤島の男。やっと来た船に助けを求めるも、その船の下敷きに。ピサの斜塔に潰される男。雪山で骸骨なる男。結婚式の当日女殺される女。二度目に結婚した男は子どもに殺される。エッチな妄想をして妻に首をちょんぎられる男。ラストにも出てくるオープニングの音が、念仏だとやっと気づく。佐藤聰明『Mandara』ってお経だったのか。


人間動物園
人間動物園

製作・構成・演出・撮影・アニメーション / 久里洋二
音楽 / 武満徹
詩 / 谷川俊太郎
声 / 岸田今日子、水島弘
1962年


私が初めてみた久里洋二作品。一度見ただけでは何が起こっているのか分からない。どこまでが声でどこまでが武満徹の音楽なのかすらはっきりしない。檻の中の様々な男と女。女は男を傘でつついたり、鳥かごの中の男をつついたり、尻にしいたり、胸の谷間に小さくしまわれる(捕獲されている)。檻の外では男は女の車代わり。女性上位時代。この作品は1962年、世界の映画祭で11もの賞をとったという。初めての久里洋二作品は、私の中でかなりの衝撃を呼んだ。


AOS
AOS

構成・演出 / 久里洋二
音楽 / 一柳慧
イラスト / 井上洋介
アニメーション / 古川肇、林政道
トレス / 宇野淳子、佐々木一恵
彩画 / 菅原久子
撮影 / 久里洋二、古城紀久子、及村知子
製作 / 久里実験漫画工房
声 / オノ・ヨーコ
1964年


市松模様のタイルの上に置かれるびっくり箱のようなオモチャ。マッチ箱から出るのはマッチ棒でなく長い長い舌。家を屋根から現れるのは大きな眼球。オルゴールのネジみたいなものを回す男。中身は女の串刺し。階段を上って女の身体に吸収される男。見てはいけないようなものを見る感覚に襲われる。それは箱の中の密室的な出来事のようだから? 一柳慧の最小限の音が画面と呼応して不安にさせる。オノ・ヨーコの呻きとも叫びともとれる声が絶妙。


椅子
椅子

構成・演出 / 久里洋二
音楽 / 秋山邦晴
録音 / 奥山重之助
協力 / ビデオプロモーション
製作 / 久里実験漫画工房
出演 / 岡本太郎、谷川俊太郎、深沢七郎、永六輔、一柳慧 他
1964年


「なにもしていないと云う不安 それは現代人の姿です もし貴方がなにもない部屋に15分間座って居たらなにをします 考え事をしていますか 寝ていますか 狂人になりますか それをいろいろの職業の人々に来て頂いて撮影したのがこの映画です」 狙っているのかいないのか、谷川俊太郎や永六輔や一柳慧の様子は面白い、なんだか幼児の様子によく似ている。椅子で何かしようとする遊び心。久里洋二が何をするかって、それはもうお分かりのように、寝てしまう。ただ一人として微動だにしない人はいない。15分という短時間でも、人は何かしようとする。私は何をするだろう。


LOVE
LOVE(愛)

製作・構成・演出・撮影・アニメーション / 久里洋二
音楽 / 武満徹
詩 / 谷川俊太郎
声 / 岸田今日子、水島弘
1963年


一組の男と女。逃げる男に女はあらゆる手段をつかって捕まえようとする。使われている谷川俊太郎の詩には「あい(愛)」という言葉しか出てこない。男も女も「あい」という言葉のみ発する。「あい」という一言に込められた様々な感情。時には敬遠したような、情熱的だったり、嫉妬に狂ったような「あい」。最後に男は女に首輪をつけられて「わんわん」というかわりに「あいあい」と言いながら女に引っ張られていく。「あい」。


The Room
部屋 The Room

製作・構成・演出・撮影・アニメーション / 久里洋二
1967年


久里洋二作品には、せまい小さな白い箱がよく出てくる。その小さな世界であらゆる事が起こる。女の顔が部屋の横から出てどなってきたり、小鳥達が人の肉をついばんだり、列車が走りぬけたり、夫婦喧嘩が始まったり。ビリヤードの玉が部屋を突き抜ける時、ビリヤードの玉は色んな形に変化する。部屋の中で不思議な事が起こるのは、何も不思議な事じゃない。小さな白い箱の中の世界って、こんななのかもしれない。


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The Bathroom

構成・演出 / 久里洋二
録音 / 秋山邦晴、山崎宏
出演 / 秋山祐徳太子・その他
製作 / 久里実験漫画工房
1972年


コポコポというお風呂の泡のような音ではじまる作品。実写の早回し + 実写のストップ・モーション・アニメ + 少々のセル・アニメ。実写になっても相変わらず何もない部屋の中の無意味にすら感じる奇妙な出来事の数々。人間が掃除機になってお尻から吸い込む姿がアニメと同様、久里洋二テイスト。椅子に座る女。その女が手を動かす時に流れるミヨンという音が好き。自分の個展の様子もこの作品の中にはあって、当時の様子がなんとなく分かる。


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寄生虫の一夜

製作・構成・演出・撮影・アニメーション / 久里洋二
音楽 / 富田勲
1972年


緑色の色んな形態をした寄生虫達(恐竜のように見える)が人間をむさぼり食う一夜。寄生虫達の腹の中には人間の肉でいっぱい。70年代のこの作品は代表される60年代の作品と違って、無機質、ナンセンスさ、言葉にならないエロス、が、ほんの少し消える。残念だと思うのは、富田勲の音楽が、他の久里洋二作品で使われる武満徹や一柳慧に較べ、作品を殺している事。そんなのは期待してないよ、全てが悪いわけではないけれど、あまりにも主張しすぎな音に嫌みすら感じる。武満徹や一柳慧だったらきっとそんなつまんない音は作らないよ、とも思ってしまう。富田勲はやっぱり好みじゃないみたい。


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隣の野郎

製作・構成・演出・撮影・アニメーション / 久里洋二
音楽 / 秋山邦晴
1965年


赤い帽子の男と隣の青い帽子の男。赤い帽子の男は隣の音が気になって眠れない。隣の男はそれを知ってか知らずか部屋で泳いだり大きな音で音楽鑑賞したり楽器演奏したり飛行機の玩具を飛ばしたり、やりたい放題。ついに赤い帽子の男は部屋を引き離してひとりきり。と思ったら今度の場所はさらにひどかった。都会の喧噪がどんなものなのか。そこにはプライバシーもないのか。慣れてゆくのか慣らされていくのか。鈍感な方が生きやすい時代なのか。


黒い十人の女
黒い十人の女

監督 / 市川崑
脚本 / 和田夏十
製作 / 永田雅一
撮影 / 小林節雄
出演 / 岸恵子、山本富士子、宮城まり子、中村玉緒、岸田今日子、船越英二 他
1961年


リバイバルされお洒落さん達の間で話題沸だった映画。ピチカートの小西さんあたりが言っていた? そういうわけで見たわけでは全くないのだけど、面白かった。"現代社会の風"の雰囲気がよく見えて確かにスタイリッシュかも。船越英二のへなへなプレイボーイ役がよく似合う(船越英二は息子より素敵)。男は仕事がなくなったら終わりだ、とメソメソ泣く。女は強い。全部なくなっても以前以上に強く生きていける。妻でなくても、女優でなくなっても美しい個人として、生きていく。


完全なる飼育
完全なる飼育

監督 / 和田勉
原作 / 松田美智子
脚本 / 新藤兼人
製作 / 古里靖彦、有吉司
撮影 / 佐々木原保志
出演 / 竹中直人、小島聖、北村一輝、沢木麻美、塚本晋也、永島克 他
1999年


監禁。手錠。完全なる愛。この映画の評価が世間的にそれほどでなくても、私はこれだけのキーワードで十分なくらいドキンとした。「私を"飼育"して、"飼育"してほしいの」少女はみだれる。『飼育』という言葉が自分を貶め、蔑む言葉だとしても、それが快感の一端であることが分かる。完全な飼育から精神と肉体が結びついた完全な愛は得られるのか。飼育された側が果たして飼育したと言い切れるのか。少女役は小島聖。小島聖がすごくいい脱ぎっぷり、体当たり演技で好感。竹中直人との絡みもいやらしい。話の筋が云々ではなく、私は『飼育』という事に惹かれる。


The Girl Who Picks Flowers and The Girl Who Kills Insects
花を摘む少女と虫を殺す少女
監督・脚本 / 矢崎仁司
脚本 / 萬鉄子、TANYA GRASSLEY、矢崎仁司
製作 / 安藤浩之、伊豆田知子、西村隆、矢崎聰司、松元一郎
撮影 / PETER MORRIS
音楽 / ADOLPHE ADAM、SIMON FISHER TURNER
美術 / AYUMl ANABIKl BROWNING、青山雅子、小平中、倉地美奈子、JACKY HO、SUZANNE
出演 / ニコル・マルレーネ、川越美和、太田義孝、サイモン・フィッシャー・ターナー 他
2000年


矢崎仁司の作品は『三月のライオン』を見ただけ。共通するのは見始めの気恥ずかしさ。あらゆる気恥ずかしさを自分から排除していくうちに映画の中に入っていける。ロンドンを舞台に、戯曲「ジゼル」とかぶらせながら、4人の男女の色んな角度からの愛や絶望をのぞかせる。私には手を繋いで歩きたい女の子がいる。彼女とのそういう場面を想像するのは男の子以上に、はるかに私を舞い上がらせる。物事が変わる瞬間が一番美しいとサイモンは言う。けれど、感情の変わり目は? 終焉に向かう感情の変わり目は美しいと言えるか? 嫉妬するのと嫉妬されるのとどっちがいいかとカホルは言う。私が二股かけられてたら? 泣き笑いかな。オレンジ、イエロー、色んな色の綺麗な薬を気分で飲む事。気分。強いという事、弱いという事。はかないという事。もろいという事。やさしい、という事。


ニンゲン合格
ニンゲン合格

監督・脚本 / 黒沢清
製作 / 加藤博之
企画 / 土川勉、神野智
撮影 / 林淳一郎
音楽 / ゲイリー芦屋
出演 / 西島秀俊、役所広司、りりィ、麻生久美子、哀川翔、洞口依子、大杉漣 他
1998年


14歳で事故をして10年間の昏睡状態から目が覚めた青年。どこかで聞いたような設定。けれど、無理矢理感動話に持っていこうとはしない。出演者はやっぱりボソボソとしゃべって、ものすごく淡々とした感じ。家族がふえていく、窓からの様子が幸せそうでいい。「ねえ、オレ、存在した? ちゃんと存在した?」誰かが「存在したよ」と言ってくれれば、その人の中で自分は「存在」する。それがたとえ夢の世界でも、その人の中には自分が「存在」する(と思える)。どこかできちんとそういう証明が欲しかった。西島秀俊がすごくいい(いや好きだから)。『大いなる幻影』や『カリスマ』より、私はこの『ニンゲン合格』が好き。


大いなる幻影
大いなる幻影

監督・脚本 / 黒沢清
製作 / 堀越謙三、松田広子
撮影 / 柴主高秀
音楽 / 相馬大
出演 / 武田真治、唯野未歩子、安井豊、松本正道、稲見一茂、億田明子 他
1999年


映画の中は2005年という設定。映画美学校で黒沢清が教えている生徒や関係者をスタッフに起用し製作された作品。「消えて」という相手を一瞬で消し去る冷たい言葉。「またいつか」と自販機の前で別れる友人。「どこにいるの?」恋人の言葉に彼女を抱きしめてみても彼女の目は遠い。「ここってどこ?」「ねえ、このまま終わっちゃうの?」。自分はいるのかいないのか。意識をなくし消えてしまおうと思えばいつでも消えられる。ぽつりぽつりと話される言葉の中には現実も幻想もない。


カリスマ
カリスマ

監督・脚本 / 黒沢清
撮影 / 林淳一郎
美術 / 丸尾知行
音楽 / ゲイリー芦屋
編集 / 菊池純一
出演 / 役所広司、池内博之、大杉漣、洞口依子、風吹ジュン 他
1999年


カリスマと俗称される一本の木。拠り所であり帰る場所であり、教えを請うものであり、そういうモノがあるのは自分自身を固定する材料としては実はとても楽かもしれない。でも固執するのはとても怖い事であって、固定しすぎて自分がおかしくなっているのに気付かない。頼るものがなくなってもそれでも自分は生きてゆく。固定材料がなくなる時、人間はどうなるのか。ところで大学の生物学の教授役である風吹ジュンの生態系の話は中学生レベルの解説で大学教授であるわりに稚拙すぎてそれはちょっとあんまりでは、という気が。CUREと二部構成のような作品だけどCUREの方がはりつめていて好き。


cure
CURE

監督 / 黒沢清
出演 / 役所広司、萩原聖人、うじきつよし、中川安奈 他
1997年


精神的な怖さは引きずる。深夜にひとりで見たら、ハマった。怖い、けど、面白かった。自分の内面を吐露し、切迫している姿というのはなんだか怖い。自分の中のものを全部外に出してしまうと、自分というモノは単なる入れ物で、からっぽになってしまうのか。でも、からっぽになった人間は何も捨てるものがなくておそろしい。見た後の私の中の不思議な虚無感は何だろうか。


田園に死す
田園に死す

製作・監督・原作・脚本 / 寺山修司
製作 / 九條映子、ユミ・ゴバース
撮影 / 鈴木達夫
音楽 / J.A.シーザー
出演 / 菅貫太郎、高野浩幸、八千草薫、斎藤正治、春川ますみ、三上寛 他
1974年


見たいなと思っていて、だけど見る機会がなかったわけではなくて、実はこんなに面白い映画だと思ってなかったというのが正直な感想。白塗りの顔の役者が演劇風。画面に指さしてセリフを言う三上寛がすごいかっこいい。自伝的だからか、この映画の世界は決して広くない。塀に囲まれた限られた空間や、見てはいけない箱の中をこっそり見るような感じ。「キミがタイムマシーンにのって時間をさかのぼり、3世代前の祖母を殺したら、キミは生きてるか?」『私』はそれを確かめたい。自分の行動により明かにしたい。「だが、たかが映画の中でさえ、たった一人の母も殺せない私自身とは、いったいだれなのだ!」


独身者の機械
独身者の機械

監督 / 岩井天志
美術 / 小濱伸司
1996年


1997年イメージ・フォーラム・フェスティバルで一般公募部門審査員特別賞を受賞した作品。人形アニメーション。当時岩井天志は多摩美術大学生だと思うのですが、これはすごい。セリフはなく、人形や機械の動くノイズ−物音ノイズというべきか−が延々と散りばめられ、ノイズとともに流されるピアノ音がすごく効果的。人形にも周りの小物にも細部にわたり作者のこだわりが感じられる。人形達のまわりの空気は乾燥していて、手で触れるとザラザラしそうな感じ。岩井天志の頭の中をこっそり覗いているような錯覚がし、少し後ろめたいような変にドキドキするような気もする。人形少女が機械に犯されているようなシーンではエロスも感じた。


POSTMAN BLUES
ポストマン・ブルース

監督、脚本、原案 / サブ
出演 / 堤真一、遠山景織子、大杉漣、堀部圭亮 他
1997年


前作『弾丸ランナー』とは違って今度は自転車で走ります。でも、こちらの作品のほうは走る映像はそれほど多くはありません。『弾丸ランナー』とキャスティングがダブっているのも較べてしまって面白いです。分かりやすいパロディも素直に楽しい。強引な展開でもいいじゃないですか。リアルさを求める事にどれほどの意味があるのか、と考えてしまいます。小夜子(遠山景織子)にとって「約束」という言葉がどれほどうれしかったか、どれほど意味のある言葉だったか、沢木(堤真一)は分かっていたのですね。ちょっと救われないけど、ロマンティックなラスト、私はいいと思います。すてきな言葉が散りばめられた、すごくよい作品だと思います。


弾丸ランナー
弾丸ランナー

監督、脚本、主題歌 / サブ
出演 / 田口トモロヲ、Daiamond☆Yukai、堤真一、大杉漣 他
1996年


サブ監督の監督デビュー作品。この映画は延々と走る・走る・走る。ダメ男3人が3人とも、妙にかわいく思えます。走りつつ、綺麗なお姉さん見て思わず欲情したり、夢想したり、バカなんですけれど、かわいいんですよね。「俺、かっこわりぃ〜」と自己嫌悪に陥る堤真一にはまります。面白いのに、不思議にいい話なのです。「走るのって、すごく、気持ちよくって・・・」(田口トモロヲ)というセリフに思わず「清々しいなあっ」と思ってしまった自分はなんか間違っている、と後から思いました。


エンドレス・ワルツ
エンドレス・ワルツ

監督 / 若松孝二
原作 / 稲葉真弓
脚本 / 新間章正、出口出
出演 / 広田玲央名、町田町蔵 他
1995年


ジャズプレイヤー阿部薫と作家鈴木いずみの物語。監督は生前の二人と面識があったようで、かなり真実に近い映像なのではないだろうか。実は私は阿部薫の作品も鈴木いずみの作品も知っているにかかわらず、その人物像を全く知らなかった。わがままで、すぐ怒鳴って、すぐ機嫌が悪くなって、二人はすぐに喧嘩する。でも、離れられない。でも、好きなのだ。こういう関係が成り立つのは私にはまだ分からない(ずっと分からないかもしれない)。演じる町田康(町蔵)の阿部薫は切迫したものがある。でも、どうしても死に向かっているようで悲しい。サックスの吹き替えをしているのは柳川芳命。灰野敬二も阿部薫の想い出を語ることで出演。最後の阿部の詩はなんだか心に残った。阿部薫のCDを聞きつつ、映画のことを思った。


処女ゲバゲバ
処女ゲバゲバ

監督 / 若松孝二
脚本 / 大和屋竺
出演 / 谷川俊之、芦川絵里 他
1969年


見る前に抱いていた想像とだいぶ違って、かなり突き抜けた映画だった。ちなみに『処女ゲバゲバ』というこのタイトル、大島渚監督が特に意味はなくつけたものだという事です。
ほしのしっぽは何故生えた。ながれ星。
ほしのしっぽは何故消えぬ。ながれ星。
ほしのしっぽは何故こわい。ながれ星。
うーーー、あーー、うーー、あーーー。


青春の蹉跌
青春の蹉跌

監督 / 神代辰巳
脚本 / 長谷川和彦
原作 / 石川達三
出演 / 萩原健一 、桃井かおり、檀ふみ、河原崎健三、赤座美代子 他
1969年


恥ずかしながら、神代辰巳監督の映画はこれと谷崎潤一郎原作『鍵』しか見たことないです。ですが、桃井かおりが、ショーケンがもう、私の心をグッとつかんでしまいました。すかしてるようで、熱い。汗くさい。土くさい。青春。この作品は、神代監督が初めて日活外で撮ったものだそうです。ポルノという枠から出た最初の作品です。「エンヤートット、エンヤートット」とつぶやくショーケンに青春の虚無感を感じずにはいられない。傑作。


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爆烈都市 Burst City

監督 / 石井總亙
企画 / 戸井十月、泉谷しげる、石井總亙
脚本 / 石井總亙、秋田光彦
出演 / 陣内孝則、大江慎也、上田馬之助、大村真由美、泉谷しげる、町田町蔵 他
1969年


ものすごい映画。日本映画史上に残ると思われる(断言)。暴力にみちみちたパンクの世界。スターリンが、遠藤ミチロウがすごくて笑った。町田町蔵(INU)や山崎春美(ガセネタ)も出演してます。同監督作品の『狂い咲きサンダーロード』は私にはちょっとダメでした。