蓮古田二郎


しあわせ団地

しあわせ団地  タイトルどおり、舞台は団地。
 主人公は無職の夫と、だらしない夫のかわりにパートで生計をたてるその妻。
 働かないだけならまだしも、スキンヘッドの夫は身勝手で無思慮に行動する。
 足腰の弱い老女を背負って感謝されたのに味をしめ、人力エレベーター、エレベーターマンになろうと志したり、ペット禁止のきまりをかいくぐるため、拾った犬の毛を剃りあげて人間の子供のふりをさせたり。
 道具立ては団地になじむありふれたものではあるが、夫のひきおこす事件はかなり常軌を逸しており、時として悶絶するほどおかしく、情けない。
 そんな彼の後始末をする妻は、時々キレながらも、夫を見捨てることはしない。夫は時にはとてもひどいあしらいをしながらも、妻なしでは生きていけない。なんだかんだいってもこの夫婦は互いをとても必要としている。
 単行本1巻の最後に収録されている「玉手箱」はそれをもっとも端的に表現するエピソードだ。ラストシーンは結構泣ける。
 せせこましい団地の中にあるしあわせはやはり、それなりにささやかで取るに足りないものなのだろうか?
 いやいや、そうでもないらしい。

 絵柄はストーリーにマッチして、わりと小汚い感じだが、表現力は抜群。
 悪だくみをする夫の表情や、ちょくちょく登場する危ない脇役たちの濃厚な味わいは特筆ものだ。絵がうまいっていうのはこういうことだ、と思う。

講談社
シリーズ:ヤンマガKC
判型:B6
ISBN初版発行本体価格
4-06-339871-8 C9979 \505E2000/05/08\505
4-06-336905-6 C9979 \505E2000/10/06\505


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