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青年の名は上野鉄郎。ミラーボール工場に勤務している。 彼の行動は頑なな黄金律に支配され、一つのミクロコスモスを形成している。その内的秩序と彼をとりまく世界のマクロコスモスとの照応相関関係を描き出すことがこの作品を貫く重要な柱のひとつだ。 オリジナルのアイドルランキングを欠かさず作成し、ひいきのアイドルの順位の上下に心悩ませること。あるいはまた、歌手デビューを目指してアカペラの街頭ライブを無謀にも挙行すること。 そうしたしょうもない行動は当然に世界との軋轢を生じさせる。多くの場合は鉄郎の側に不利に働き、鉄郎はあうあう言って右往左往することになる。 しかしながら、彼の人並み外れた情けない行動が外の世界のルールを曲げさせることもままある。産業スパイを改心させたり、幽霊を成仏させたり、裏ビデオマニアに力を与えたり、と。 こうしたせめぎあいの連続により「おやすみなさい。」世界は、意外にも心温まるファンタスティックなワールドとなっている。単に内気な青年のうだつのあがらない生活描写には終わっていない。ことに最近のエピソードでは鉄郎が世界を変える場面が多く見うけられる。 そうしたドラマを楽しむのはもちろん、シンプルな画風ゆえにめだつディテールの面白みも忘れずに賞味したい。積み重なったエピソードが醸し出す、スモールワールドの魅力はしばし現を忘れさせてくれる。 表紙だけ見て「今更ヘタウマか?」などと思わずに、チャレンジしてみることを強くすすめる。 単行本はオマケ頁も充実しているため、連載でずっと読んでいるという方にもおすすめ。 講談社 シリーズ:ヤンマガKCスペシャル 判型:B6
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