呉世浩


水の国のアリラン

水の国のアリラン  神秘的なまでの薬効があるといわれる朝鮮人参。朝鮮人参は深い山にしか生えず、めったなことでは見つからない。人参は「心(シン)」と呼ばれ、それをを探す者をシンマンという。
 第一部「心」は、シンマン、峯(ボン)が念願かなって立派な人参を探し出すまでの物語。
 峯は幼い頃食べた人参の力で強壮になった、人参の申し子みたいな男であるが、残念ながらこれまでに一本の心を発見したことがない。目の前の心すら見逃すていたらく。そんな彼が愛する妻の病を癒すため、一人山に入り、神秘的な体験をする。
 無心になって探さなければ、決して目的に至ることはできないのだ……みたいな教訓が通奏低音的に盛り込まれているのだが、それは横においといて、注目してほしいのは韓国人作家ならではの表現や、描かれているなじみのない文物だ。美しい自然の描写、朝鮮半島の生活習慣、日本のマンガとは微妙に違うスタイルの画風。全般に非常に濃い感じがする。ことに、峯夫婦の営みが無駄に濃い。これが、朝鮮人参の力なのかぁ、としょうもないことに感心してしまう。
 第二部「龍の卵」は、自然と共に失われていく秘境の村の神秘と伝説を惜しむ作品。
 村の危機を告げる巫女(ムーダン)がテンション高すぎて自然が失われるとかどうとかいう前にそっちの方が怖い。
 なお、この作品には単行本未収録分があるはず。ヤってばっかりで仕事しない若夫婦の物語、と記憶しているのだが、これもすごく濃厚な感情表現が魅力的な作品だった。
 
講談社
シリーズ:モーニングKC
判型:B6
ISBN初版発行本体価格
4-06-328475-1 C9979 P520E1999/07/23\520

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