10/01 02 03 04 05 06 07 08 09 10

過去日記index / Mono index: 

  #25
00/10/01

QUICK REFERENCE


【単行本・漫画】
 
いくえみ綾「ハニバニ!」1巻 / がぁさん「背後霊24時!」1巻 / 星里もちる「本気のしるし」1巻/ 別天荒人「プリンススタンダード」3巻/ 津原泰水監修 「エロティシズム12幻想」(その1)/ 雁須磨子「どいつもこいつも」4巻/ 北崎拓「なんてっ探偵(はーと)アイドル」1巻 原作/ほったゆみ 漫画/小畑健「ヒカルの碁」9巻/ (仮)うぐいすみつる「ピンクのお部屋」/ 朝倉世界一「地獄のサラミちゃん」1巻
【雑誌】

 
近代麻雀 2000/11/1 ヤングマガジン No.44/ ヤングマガジンUppers No.20/ ヤングキングダム 11月号/ ヤングサンデー No.45/ モーニング No.45ビックコミックスピリッツ No.45 / YOUNG YOU 11月号 / FEEL YOUNG 11月号/ コミックバウンド No.2/ 近代麻雀オリジナル 11月号
etc.
「必殺からくり人」 第9話/ 第10話/ 第11話/ 第12話/ 第13話(完結)

 

00/10/10(TUE)

 たとえようもなくひどい物語



 蒼く大きな月が向こうに懸かっている。ギ
イギイが鳴く声が小さくこだまする海。キョ
ザは呪術師の男に所有されている少年だ。ウ
ルコギム(悪しき者)と呼ばれる男はキョザ
を隣村にいる貧しい両親から買いつけると、
供物として捧げられるよう、肉体を改造した
。まず手始めに呪術師は、キョザの手にはま
るように加工されたドラセナ樹で出来たそり
状の板を2本取り出すと、その1端を水に漬
け、すぐさま取り出すとそれを1本づつ、け
して外れぬようにキョザの両手に取り付け、
ゴムバンドでぐるぐる巻きにした。しだいに
ドラセナ樹の板に水が染み込むにつれ、ぴん
と反り返り膨張していく2本の器具。苦痛に
悲鳴をあげるも、外されることは決して無く
関節は軋みをあげキシキシと音をたて、半ば
気絶しかけなキョザの苦痛は毎晩続く。じっ
さいの話この段階で舌をかんで自殺するしか
この全身をつんざくような痛みからきっぱり
逃れる術は他に無い。キョザは耐えた。月食
の夜、呪術師をその両手で打ち殺すと、すべ
からくその屋敷から逃げ出した。伸びきって
今は何もせずとも地面に届くような長さにま
でなった両の手をぶかっこうにゆらゆら揺す
りつつ走るキョザ。「果物は取りやすいな。」(了)

 ↑の文章シリーズ(?)


 だんだん普通に書きたくなってきました。パズルみたいなものなんで書いてて楽しいことは楽しいんだけど、なんか、ワケわからなさ過ぎるよ…。そもそも読んでて楽しいのかコレ?

今日のからくり人 13話「終わりに殺陣をどうぞ」



 え―――、最後がこれ?相当に出来が悪いですね。やっぱ前話で力尽きてたか。

 12話「鳩に豆鉄砲をどうぞ」で幕府重鎮そして対立組織「曇り一家」の元締めである曇りの暗殺計画を立てたものの失敗に終わり、爆死して果てた時次郎であったが、それが引き金となってついに「からくり人」vs.「曇り一家」の全面抗争になる、といった、まあ最終話にふさわしいお話なんですけど…。12話ではあんなに上手く機能していた奇天烈演出がぜんぶ空回ってるような気が。

 藤兵衛 (芦屋雁之助)と曇り一家が送り込んだ刺客との戦いは水中カメラを使った堀の中での戦闘になるんだけど、動きが緩慢になるわ、見にくいわでさっぱりわからないし、結局水上で射殺されてるしなあ。天平は天平で自分の小屋ごと吹っ飛ばされてるのに外傷ないし、失明してるだけ。あの小屋、花火100発くらい転がってたよ。大爆発だったのに。ドリフのコントみたいに這い出してきやがってこの〜。そんでそんな状態で1発の花火抱えて曇り一家に乗り込んで爆死(=無駄死に)。ラストなぜか1対1となった仇吉と曇りなんだけど、そんな総力戦で毟りあいするなよ、という気もします。で、ラストは曇りの短筒vs.仇吉の三味線のバチ(笑)。しかも荒野のガンマン、決闘シーンみたいな演出でバチ投げつけて殺す(とほほ)結局相打ち、仇吉も曇りも死ぬんですが(鉄砲使ってるんだからバチには勝てよ>曇り)ウエスタン映画で枯葉が舞い散る演出ライクに舞い散るのが天平の花火で吹っ飛んだ障子の紙くず(…)なんか汚い現場だなあ…という印象でぜんぜんきまってないっす。

 へろ松ととんぼの2人は上方に逃げて助かり。正直これだけつきあってきたキャラとの別れのエピソードのはずなんですがシリアスにも見られないツッコミ所満載過ぎなダメ最終話でした。悲しくないよ〜とほほほ〜。

【雑誌】コミックバウンド No.2 10/24 エニックス


 こんなにピン合ってない雑誌の表紙初めて見た。まず注目は新連載2本から。太田垣康男「東方鬼神伝承譚ボロブドゥール」。宙に浮かぶ砦、「凶者」と呼ばれる罪人たちの肉体を原料として活動する「機神」。処刑の時をじっと待つだけの呪われた存在、罪人の一人であるアロンは、自分たちをこんな水牢の中に押し込めている僧兵たちに報復するための力、それも強大なる武力を渇望していた。幼い頃、姉を殺されたあの日から、ずっと。もし自分の命がこのまま終わるものならば、せめて最後には奴らと刺しちがえて死んでいきたい…。たぶん、タイ・ラオス・ベトナムあたりの宗教建築や風景にインスパイアされているだろう世界観の中に、機神なる異形の存在をぽおんと放り込んでいる画は正直かなり強くて、連載第1話としては大合格。もと医学僧らしい謎の爺さんの存在だとか、無垢な女って設定だろうヒロイン、ティタとかキャラ的にもきちんとみんな立ってるなあ、上手いなあ。あ、もう既に最終話まで入稿しちゃってる(!)みたいなんで、休刊とか(…)になっても最低単行本にはまとまるんじゃないかな―――。もう1本。金田一蓮十郎「アストロベリー」。月1シリーズ。地球にやってきた宇宙人科学者(?)とその失敗作人間2人、そして失敗作のサンプルとなった中学生(だと思うんだけど)桜まこの4人をとりまくコメディマンガみたいな感じだと思うんだけど、まだちょっと良くわからないですね。青年誌初登場なんでがんばります、なんだけど基本的に「はれのちグゥ」と変わんない感じです。月1でこのテンポ、大丈夫か?という気もします。で、作:ピエール瀧 画:漫★画太郎の「虐殺!ハートフルカンパニー」はやっぱり面白いなあ。ページめくるのがある意味これほど楽しみな漫画も珍しいっていうか。27ページあるんだけど実質10ページ描いてないだろうきっと。ミニマルテクノなコラボレーションって奴ですネ!チェキ!(氏ね>俺)作:森高夕次 画:藤代健「トンネル抜けたら三宅坂」も相変わらず面白いな。セリフのセンス、まんま「おさなづま」テイストだけど。思うにこの雑誌だとストーリー的にひっぱるような連載はしないほうがいいのでは…という気がします。そういった意味では2回目にして話の全貌見えてこなさすぎな土田世紀「吉祥寺モホ面」みやすのんき「もうひとつの世界」あたりはキツいな〜と。作:山崎かな女 画:日高トモキチ「PEACE ON LINE」は見せ方がぜんぜん上手くいってないな〜。何やってるのかわからない。作:南智子 画:きょん「フェチ研」はなんかよくわからないけどとりあえずおめでたい感じがええです。わかってるネ!

 企画コーナー。相変わらず最悪だ〜。ところでモンスーンテリングで文章書いてる伊藤寸って人!以下一部引用。

 借金まみれの中なぜか唯一無二のチャームポイントであるホクロを切除する事を決意した千昌夫が手放した千駄ヶ谷のスタジオに開いた口が塞がらないほどラグジュアリーなこども大人の王国もとい新オフィスをア・ベイシング・エイプに象徴される土地バブルから洋服バブルへのロング・ミックスはほぼ完了し、今は誰もが次なるレコード探すのにそっちのけで似たような曲かけて踊り明かすのに夢中なシチュエイションながら思うに、似たような曲でもいい曲と悪い曲はあって、いい曲は必ず僕らをまた別な場所に連れて行く。

 って一文読んでどう思いますか?しかも伊藤寸=ITOSOONだそうです。ははは。
 ここでのこの人の文章、全部が全部こんな感じなんですけど。困ったものです。ほかにコラムでとりあげてるの「映画版未来日記」だったりするしな(藁

【雑誌】近代麻雀オリジナル 11月号 竹書房


 あんまし書くことが無い。新連載×2。木村直巳「ムーンダスト」は、”月の粉”ムーンダストなる新種の薬、それを常用する事でギャンブル、とりわけ人間の思考を読むことで常勝が可能な麻雀において無敵となるドラッグを巡る物語、みたいな感じかな。海月屋とか、電池切れだとかのギミック設定は相変わらず上手い。原作:白川道 作画:花菱スパークの「病葉(わくらば)流れて」は漫画原作に向いてる作品な気がしないんだけどな〜。どう考えても白川道の文章の方が勝ってしまう気がします。ゲスト読みきりは沖本秀子「サードタイムラッキー」。

00/10/09(MON)

コルサコフ教授の憂鬱


 いいかい、まずかんじんなことは――そん
な、気楽な口調でコルサコフ教授は私に話し
始めた。ゆっくりと、諭すように。いっしょ
に思えるもの、それらのものの中から<真ん
中>を探し出し、つぎに<始まり>を、そし
て<最後>を探し出す事。重要な事は、ちょ
うど裏返しに見えるような出来事の全てが、
本当は1つの輪となって、繋がっている事な
んだ。世界に起こる諸々の事象に終わりなん
かない。全てはあるがままに続いてる。ただ
君の観測の方法によって君の周辺の物事はそ
う認識されるだけに過ぎない―――ひと通り
そんな事を言うとコルサコフ教授は美也ちゃ
んの手を握り、研究室の中へと消えていく…
美也ちゃんの背中の赤いランドセルも一緒。
「偽善」「姦淫」「虐殺」。私は自分の過ち
を激しく悔いた。「創造主どの、ほんのちょ
っとだけ、ほんの少しでかまわない。くたび
れ果てた私の前にその姿を現し下さい。きっ
とそのお情けによって魂は救われます。」ツ
ーツーツー。受話器の向こうの信号音。「最
愛の人よ。お前もか!!」教授の絶叫が声高
に響き渡る。「俺のお楽しみを邪魔するな!」

最期の時 his last moment


             
あの悲惨な強制収容所時代、わ
れわれ囚人たちが、唯一人畏れ
と尊敬の念を抱いて接した、ポ
ルコノーレ獄卒。ポップコーン
を食べながら様々な拷問の発見
や発明に日々努めた彼の数奇な
生涯。「邪悪、悪意、不誠実が
この世に満ちている限り、我ら
正義の実践者たる存在はいまだ
神との契約を完了できぬ。自ら
の存在、それは聖なる帰依。だ
から毎日全裸ですごすし、奴ら
はかまわず皆殺し。<聖なる書
>の信徒たちに憐憫の情を抱い
てはならない。邪悪な存在全て
に死を。天も地も全て消えさる。」

 【雑誌】YOUNG YOU 11月号 集英社


 えーと、久しぶりなシリーズ、鴨居まさね「SWEETデリバリー」。みちのくな感じのレスラー連中がでてきて何これ?とか思ってたら新郎新婦がプロレスマニア、そんで興業後のリング借りて挙式を、って展開みたい。新郎新婦の年齢に似つかわしくない自分自身そして周囲に対しての甘さと、レスラーたちの真摯さのギャップに悩むデコラちゃんであったが…でも単なるだめだめなヒト、って感じに描くんじゃなくて最後に結婚する2人についての理解も出てくるあたりがこのひとっぽいかな。山下和美の新シリーズ「昨日の君は別の君 明日の私は別の私」。人生の分岐点で別の道を選んだもうひとりの自分。ネットを通じて現われた彼女の生活は今の自分のそれとはあまりに違っていて…キツい話だなあ。けっきょくどちらの選択が正しかったか、という自己存在にかかわる問題になるので。岩舘真理子の「アマリリス」をロマンティックシリーズと呼ぶには抵抗があるなあ、な第7話。ドナドナのように売られていったつよしくんが哀れすぎまする。お話の傾向としては一時期のミステリー風味全開だったころから「子供は何でも知っている」「うちのママが言うことには」あたりのシュール&ほのぼの展開な作風に戻ってきてるんだけど、いくらなんでもここまでボケを過剰にしなくともいいような気がします。表面上はほのぼのコメディに見えるけど内容的には、もう恐ろしい領域まで来てる。素晴らしい!槙村さとる「Do Da dancin'!」は「昴」をまったく逆転させたお話だなあ…でも「昴」のが正しい気がする、などなど。そういえば山下和美「ゴースト・ラプソディー」って完結したんだっけか?

メモ:11/24発売の別冊YOUNGYOUに架月弥が描く。

【雑誌】FEEL YOUNG 11月号 祥伝社


 今月号は普通。「変身OLアラシ」の目白花子ってこないだモーニングで「月岡脳髄研究所」描いてた人か、ビックリ。ずっと読んでるのに一致してなかった。絵柄、描線変えてるし。ところで、これだけひっぱってこのラスト?という気がしないでもない。絵柄変えてる、といえば最初誰描いてるのかわからなかった小池田マヤ「チェリー」。童貞な彼とやったらなんか新鮮でドキドキしたっていう30過ぎなちえりさんの話なんすが、童貞とやるシーンにそのそのまんまさくらんぼ降らすというのはなかなか新鮮だけど不思議な表現だと思いました。マル。三原ミツカズ「DOLL」→高口里純「虹色仮面」→原田梨花「天子の分け前」って微妙な髪型漫画3連発だなあ。

00/10/08(SUN)

8 ( e i g h t )  

12345678
       ↓

渋谷 Book1stで本買った帰りにふ
と思いついて、当てずっぽうに隣
りのビル→そこは雀荘パンチ。久
しぶりだなあ&大勝ち。やっぱし
俺って無敵?勝負っても「勝ち」
しかないなら、けっこう退屈なも
のだよね。しかし牌積む時間勿体
ないと感じました。他のメンツ3
人ってつまり下僕なわけ、俺様の
ね。ははは。さっさと財布の中身
を渡すのだ。さて、お腹一杯。狩
りの季節終了。ダークな狩猟者の
気分は、もうヤメ。ふつーな自分
に戻って寝るのだ。お休みなさい。


果たして真相はいかに?あら久しぶり、なアナザグリンヘヴン#32
なんと、3ヶ月ぶりではないか。

みんな、これ気づいてくれてるんですよね…ふと不安になる。Ctrl+Aっすよ。

【単行本・漫画】原作/ほったゆみ 漫画/小畑健「ヒカルの碁」9巻 集英社

原作/ほったゆみ 漫画/小畑健「ヒカルの碁」9巻



 ああ、もう9巻だ。

 今回のお話は街の碁会所破り(?)ハンデ付き団体戦碁石洗いマッチのあたりから。

 そもそもヒカルは実力が遥かに上の左為という存在、もしくはほぼ対等な院生連中たちと互先で普段打ってるわけで、格下とはいえ、街の碁会所の腕自慢たちを相手にハンデを与えて打つことで劣勢を跳ね除け、プレッシャーに打ち勝つ精神力を身につけようというんでしょう。実際、3石置くというのがどれくらいのハンデになるのかはちょっと良くわからないんですが、ヒカルの成長を描く上でトレーニング方法を変えたというエピソードを組み込むあたりはやはりほったゆみ、上手いな、と思います。

 そして多面持碁。えーと相手の打つ手打つ手全てに対応してわざと引き分けに持ち込む、というのが持碁で、複数の人間を相手にするのを多面持碁という(らしい、詳しくないので始めて知ったが)んですが、それをヒカルとアキラ、2人に別の形でやらせることで一足先にプロの領域へと進み、ヒカルと戦う機会が無くなってしまった塔矢アキラとの現在での実力差を浮き彫りにしているんです。ここらへんもちゃんとした原作、って感じですね。

 この巻の捨てキャラ(^^;) 前の巻から引き続き登場は碁会所の強いオヤジ、グシャグシャっとやっていつも口アングリなイメージある人、タクシー運転手の河合さん、そして表紙にも登場な韓国の研究生、つまりプロ目指してるヒカルと同じような存在である秀英(スヨン)くん、この子は再登場するかも。そしてアキラと4面打ちやった都議会議員の秘書のヒト。(名前ないのか、このヒト。ぜったい再登場しないな、これだけキャラ立ってるのに…)

 そういえば、ヒカルの実力が本物になっていくにつれ、以前のような形での左為の活躍は見られなくなっていくわけで、左為の存在が不要になり、本当に背後霊化してしまう…といった話の流れは十分考えられます。というか「小さな胸騒ぎ」って明らかにその伏線だよな―――これからどうするんだろーなどと思ってみたりします。そういえば葉瀬中の囲碁部連中、この巻ではとうとう出なくなったなあ。加賀、筒井さんとか最終回くらいにならないと出てこないのでは。ホント、いいキャラガンガン切り捨て漫画です。ジャンプ掲載分では椿とか、もう退場してるしね。

【単行本・漫画】(仮)うぐいすみつる「ピンクのお部屋」 朝日ソノラマ

(仮)うぐいすみつる「ピンクのお部屋」



 うーむ。うぐいすみつる。(仮)がついてても、うぐいすみつる。妹さんオンリーかあ、どうしよう?とか考えてしまう人は多いかも〜じっさい。

 でも、これ面白いのだ。この人はぬるーい感じのファンタジー漫画描くよりは可愛い絵柄で見も蓋もない話描くほうが向いてるんではないか、と思います。「けしからぬ話」も面白かったし。
 内容としてははっきりいって田島みるく「本当にあった愉快な話」コンパチで下ネタオンリーって感じのものなんですけど、絵的にうぐいすみつるのほうが可愛らしいし、普通の人にも受ける感じだし、上手くやれば化けるんでは、と。化けてもすきま産業レベルだとは思うんだけどそれでもきっと充分大きいはず。

 ところで、これ掲載されてるの「ほんとにあった笑っちゃう話」っていう本なんだけど、世の中にはまだまだ知らない雑誌があるものだなあ。ほんとにあった怖い話増刊っていうけどどっちもみた事無いような気がします。朝日ソノラマは奥が深い。

 個人的に面白かったネタ〜。ネタバレになるんで具体的には書かないけど。「おーおーガオガオ」マジ?「コルセット、プシュ〜〜ッボテッ。」ボテッ?「1曲歌っていただけますか?」風流人。「アンケートも出したし」ええ弟や。「編み針。」ブラック・ジャックのエピソードみたいだな〜。

 そういえばココでもTONO&うぐいすみつる漫画描いてる…。うぐいす姉妹のページにある感じの1P漫画だけど。

【単行本・漫画】朝倉世界一「地獄のサラミちゃん」1巻 宝島社

朝倉世界一「地獄のサラミちゃん」1巻



 朝倉世界一がここまで息の長い作家になるとは正直、思ってもみませんでした。吉田戦車、若林健次らからちょっと遅れて作品を商業誌に発表しだした人、というのがあって、どちらかというと吉田戦車が切り開いていった不条理な展開、若林健次の作品の持つラフなタッチ、これらの流れを受けてデビューしてきた人、という認識があったんです。ペンネームもそんな感じだし。でも、デビュー当時からすでに作風確立していた吉田戦車とくらべると、やっぱりセンス先行な作家さんだなあ…という印象があって、だからそんなに長く活動できないんじゃないかなあ…と。

 でも違いましたね。このひとはスゴイです。

 おおまかなストーリー。地上で生活したくて閻魔大王であるパパのもとから家出してきたサラミちゃんが、ステーキハウスジュージューのぴょん子ちゃんのもとでバイトしながらお目当てのイカす牛肉卸売業者(笑)ビリーくんにいろいろアプローチ、とかそんな感じの内容。最初はどんな感じにお話をすすめればいいのかちょっと迷ってたと思うんですけど、お話が進むにつれて加速度的に可愛らしく微笑ましく、そしてちょっぴり奇妙なエピソード満載になっていくあたりは流石に朝倉世界一。だってサラミちゃん最初のころビリーくんに火を吐いて燃してたよ!

 ビリーくんにラブレター書いた話くらいがターニングポイントだったのかなあ、と。その内容も徹夜したわりには「地獄におちろ」だったりして、よく伝わったものだと思ってみたり。あとはやっぱりぴょん子ちゃんの死んだ両親帰ってくるネタ、涙見せないあたりがまたええ感じ、とか、すっぽんの話「残すなよ」「いただきます」ってセリフはスゴイなあ、とか、地獄ツアー、久しぶりの娘の帰郷にノリノリで自分の仕事見せる閻魔大王パパとかとか、いいエピソードありすぎ〜。あとサラミ追って地上にきた地獄時代の幼馴染、ゴクジと謎の存在(そもそも彼女は何?)なプラムちゃんとの2人旅の話とか。ええな―――。

 ComicCUEで描いてた「Sympathy for the Devil.」もそんなセンスでスゴかったけど、朝倉世界一の地獄グッズ、すごい欲しいです。単行本のオマケにシールついてるんですけど、サラミちゃんとかビリーくんとか、登場人物の絵柄じゃなくってぜんぶ地獄グッズばっかりなんですよね。わかってるなあ。

 あ、そういえば吉田戦車の作風を不条理と呼ぶのは個人的にすごく抵抗があります。しいていうなら…うそファンタジーか?

00/10/07(SAT)

 ああ、月曜が休みだからか。


 新しい雑誌いっぱい出てた。

 みんなが期待しているアレ。


 えっと、宗左近コレクション3連発。

 だんだんこの人の作詞センスわかってきたような気がします。とりあえず宇宙だったり、果てめざしたり、未来だったり、雪崩れたり(?)、ぜんぶそんなんじゃないの?

東京電機大学中学高等学校校歌「風よ光よ」 作詞 宗左近 作曲 中田喜直

 電子の愛は踊るのだ タントンタターンタントンタン
 陽子の祈りは歌うのだ ルンランルラーンルンランルン
 ぼくたち恋をする はるかなものへ ぼくたち夢を見る 見えないものに
 いつまでも 百歳までも
 タントンタターンタントンタン
 ルンランルラーンルンランルン
 ルンラン、ルンラーン

 前のとちっとも変わらない(^^;)生命の雪崩れってなんだろう?死んじゃうってことなのかな?

千葉県立幕張西高等学校校歌「透明に」 作詞 宗左近 作曲 三善晃

 苦しみからだって 涙という名の宝石がうまれる ←これはオッケー。
 裏切りからだって 明日という名のオーロラが生まれる ←(´ヘ`;)ハァ?
 絶望からだって 傷口という名の朝焼けが生まれる ←意味すらわかりません。
 
 ああ 宇宙船はゆく 透明に 宇宙船は愛のむこうまで ←むこうまで行くの?

 困ったものです。

市川賛歌「透明の芯の芯」 作詞 宗左近 作曲 三善晃(↑と同じコンビ。このタイトルも…)

 少女の乳首の尖きに富士とがり
 雲の岸に身を投げる少女の足裏
 尖がり始める少女の乳首の富士

 乳首尖らせたり自殺してみたり乳首尖らせてみたり。少女、たいへんです。

 いま 世界が垂直
 市川 芯の芯の透明

 どんなトコなんだ、市川。エスエフだ!

 情報提供:J-oの日記 さすがにオレの手柄じゃないっす)

【雑誌】ビックコミックスピリッツ No.45 小学館


 まずは巻頭、上條淳士「8 エイト」。久しぶりなはずなんだけど、そんな感じもしないのは近代麻雀オリジナルで伊藤誠「兎 −野生の闘牌ー」読んでるからだってのは内緒だよ!渋谷の真ん中、一等地に位置する区立宇田川中学に生徒は8人しかいない。しかも1人が死んで今は7人。来年廃校が決定しているそんな学校にやってきた転校生がひとり。こんな学校に彼は今ごろ何でやってきたのか。な話。とりあえず君たちは中学生ではないだろう。「バトル・ロワイヤル」とは別な感じでそんな感じ。菜々子&ニカ(TOY…)の2人はとりあえず可愛ええ。盛田賢司「電光石火」は笑ってしまったんですが。本人どこまで本気かはわからないんだけど、これギャグだよな―――、違うのかな…。えーと、顔に縦線入る漫画描かせたら日本一の佐々木倫子「Heaven?」。今回はホスピタリティについて。簡単に言うと、店側がお客様の満足を考えてどこまで奉仕するのかという線引きの問題について。おかしい、極めて真っ当なテーマについての回なのになんでこんな有り様に。「うちはなに屋だ…」って、ひじきの煮物客に頼まれた段階で疑問に思いやがれ。川合君のキャラばっちり立ったね、とか黒須オーナー今回も萌え〜とかそんな感じ。基本的に大好き〜。吉田戦車「学活!!つやつや担任」。吉田戦車、君が天才なのはよーくわかった、だから許して、な2本。卒業制作レリーフな父さん2人の元にじいさんばあさんが尋ねてきたぞ!「フンガ―――」「ヌホホホホ」「オホホホホ」いくさ、戦闘〜校長はだいじょぶか―――。これ以上ネタバレは忍びない。すまん読んで下さい。「昴」「最終兵器彼女」はやっぱりえーなーとか、「美味しんぼ」人間ポンプ出した意味はどこに?とか江川達也、先週〜今週の流れは絶対にやりたくってやりたくって仕方なかった事に違いない、悪意全開、だけどそれ以前にスピリッツとかヤンマガで出鱈目やり過ぎなんでそんなにインパクトなくて残念&自業自得だったり。山本康人「僕」はもう終わるねきっと。近代麻雀で「バード」終わらせた青山広美がこの枠のあとがまだよ、きっと、とか。

 ところで↑の文章よりひょっとしたら重要かもしれない情報がここに。11月末のスピリッツ新増刊号(Manpuku!とは違うのか)で描く作家陣!とりあえず列挙してみると松本大洋「ナンバーファイブ」、山本直樹「安住の地」、黒田硫黄(!)「セクシーボイス&ロボ」、伊藤潤二「阿彌殻断層の怪」、日本橋ヨヲコ(!)「G戦場ヘヴンズドア」、比古地朔弥(!)「まひるの海」、松永豊和(!)「エンゼルマーク」、稲光伸二「ポイズンニードル」、茶屋町勝呂「あざ」、唐沢なをき「漫画家超残酷物語」、小野塚カホリ「SHIMI」、滝沢聖峰「ガンズ&ブレイズ」、森田信吾「SEIJI」、石川賢「アサシン」、本秀康「話すリス」、しりあがり寿「カリスマアシスタントB&W」、竹谷隆之「チキショ」、渡辺浩弐+岡崎武士「アトランシティー」(3DCGコミック?)、相原コージ「もにもに」、さそうあきら「富士山」、平凡&陳淑芬+坂元裕二「Blue Note 藍―調」、林田球「ドロヘドロ」など。あと常盤響の写真とか企画も結構凄そう、ってどうーですか奥さん、以上、興味ある順くらいに書き出してみました。さあコピー&ペーストしやがれ。どこから集めてきたんだ、といった凄すぎメンツです\(゚o゚;)/月刊なのか隔月刊なのか、季刊なのか、年刊なのか。とりあえず月刊か隔月刊だったらたいへんにスゴイことだと思うんですがどーですか。カラー広告下に各作家、描いた原稿の一部が載ってるんでここらへんも参考に各自判断してみてください。とりあえず俺は買うね。ぜったい。

【単行本・漫画】北崎拓「なんてっ探偵(はーと)アイドル」1巻 小学館

北崎拓「なんてっ探偵(はーと)アイドル」1巻


 超・完・璧!!全ての謎は解けた!爺ちゃんにナニかけて!

 ………えーと。かけだしアイドルグループ、トリコロールの3人がなぜか行く先々で殺人事件だとか盗難事件だとかまた殺人事件だとかなトラブルに巻き込まれるも、メンバーの1人、天然ボケ&ジミ系(…)な白瀬アキラの推理によって事件を解決していく、といったお話。ちなみに残りのメンバーは巨乳&お姉様系な青井梨奈、ロリ&つるぺた系な赤坂可奈子ちゃん(なぜこの子だけちゃん付け)の2人。

 とりあえずこのタイトルセンス!初めて聞いた時にはそりゃあもうたまげたけど、よく考えてみるとこれ以上ない素晴らしいタイトルだ!だって、一瞬でどんな漫画かわかるじゃん!なんてっ探偵でアイドルだよ!もうこの段階で勝ち確定!考えてもみてごらんなさい、これが凡庸極まりなしなタイトル、たとえば今でっちあげた「Detictive Idol〜トリコロールの事件簿」とかじゃぜんぜんダメでしょ。「なんてっ探偵アイドル」のほうが1万倍くらい素晴らしいよ!八幡和俊「チョベリバ緋牡丹お嬢さま」、稲留正義「ヨガのプリンセス プリティーヨーガ」に匹敵するよ!ってそれは誉めているのかい?

 それはともかくとして、シャワーを浴びないと頭の回転が速くならない、だからそういうシーンが出てくる。うむ、極めて自然。誰も異論を唱えられない完璧な設定。だから、もっと徹底しないとダメダメ!こういうところをキッチリとやることで読者との信頼関係(?)が産まれるのです。あと、それぞれ学校が違うんで制服で3人揃い踏みなシーンが出来ない。これはちょっと設定における欠点だと思うのでここらへんは論理のアクロバットでなんとかのりきってぜひ全員同じ学校とかすぐ隣の学校とか、そんな感じでやってもらいたい。アキラちゃん転校させてもOK。同級生の男は正直どーでもええ。

 そもそも、少女・レディース漫画では当然のように昔っからあった(「パズルゲーム★はいすくーる」シリーズとか、やおい系な「○○迷宮」シリーズまで)萌え、もしくはラブコメ要素+ミステリー漫画といった作品が少年・青年漫画になかった事自体が不思議です。ある意味「ふたりエッチ」ライクなコロンブスの卵的作品。ほっといても売れそうですね。

 単行本表紙の梨奈ちゃん、腹出すぎな気がします。ちょっと。

00/10/06(FRI)

最近更新量


 かなり多いような気がするんですけど、文章書いてる時間的にはむしろ以前より短くすんでいる気が。これくらいなレベルの文章だったらダカダカ書けるようになりました。だいたい2時間で4000文字くらいは書けます。書くこと大体決まってれば。でも、しばらく経ってから読み返してみるとダメダメ文章だったりするんで結局当然の様にかなりの分量書き直すはめになります。ちなみに昨日のからくり人についての文章、そうとう変だったんでさっき直しました。だいたい1日寝かせておいたあとの文章だったらそれなりな感じになってるのでは、と思います。

ところでさ―――


 モーニング掲載、せきやてつじ「ジャンゴ!」の原案:アーヴィックって誰だ?「ホワイト・ジャズ」のジェイムズ・エルロイみたく犯罪暗黒小説書いてる人間かな、知らないけど。とか思ってさんざサーチエンジンで検索かけてみたのが馬鹿みたい。アーヴィック=ABIK、逆さに読んだら木葉、ってことで木葉功一の原作ペンネームなんでした。どーりで。ニュースソースはここ(10月5日14時42分)本人自らの書き込みなんで、間違いないでしょう。

【単行本・漫画】雁須磨子「どいつもこいつも」4巻 白泉社

雁須磨子「どいつもこいつも」4巻


 ああ、そういえばこの漫画は自衛隊漫画だったのだなあ、アーミーガールズコメディ。などとやっと気づいた「どいつもこいつも」4巻。月刊メロディ毎号買ってるから読んでるんだけど単行本にまとまると嬉しい、本当に嬉しい。わ―――い。  今回のエピソードは、島田三曹、ゲイの江田くんに世話を焼く、乙犬、風邪引いたけどやせがまん、立花ニ曹のお見合いですって?、乙犬、銃剣道大会で頑張る、江口の過去、乙犬モテて朱野複雑な思い、な6話で―――す。

 こうやって書いただけでも明らかなんすがラブコメ色満載です。それも幼すぎる感じの。可愛ええのお。なんと言っても朱野の「とっ、友達です」「デートに行かないで下さい」「ふっ、2人がいい」ですね。は―――。前々から思ってたんだけどこの漫画、自衛隊舞台なんですけど実質的には全寮制の学園漫画ですよね。しかも高校じゃなくて中学(笑)。だって、バレンタインデーで初恋の告白、お花見、体育大会、みんなでプール、初めて2人でデート。収録されたエピソード、みんなそんな感じのお話だし。

 同時収録されてる(”原案協力”の文字瞬間で消えた、当たり前だ)川崎利江子さんの「自衛隊・ドキドキ取材レポート」にも書いてあるんすけど駐屯地に隔離されての集団生活、ある程度決められた生活スケジュール、階級重視な上下関係、上にも書いた全寮制な学園生活に近いものはやはりあるんでしょう。

 だからといって、ここまで学園学園せんでもいいとは思うんですが、物語全編を漂う初恋テイスト。登場人物全員20をとーに超えてるよ。でも、そーしないと雁須磨子漫画のいいところは出てこないのか。だからこれでええのだ。
 しかし、普通科男子の連中はどうしてこう悪役でイモ〜って感じに描かれているのか。不幸だ。今回も相変わらず影薄すぎ(第1回からの準レギュラーなのに…)な小牧君とか。最後ちょっとあったけど。

 つーわけで脇役一人一人にまでなんか感情移入してしまう、へっぽこスクールデイズ漫画(違うか)「どいつもこいつも」オススメです。

bk1で「どいつもこいつも」4巻購入する方はココクリックたぶんぜんぶはやらないけど、本当にオススメでオンラインで購入可能な作品にはリンク貼っておいてもいいかも。とか思いましたので。

「どいつもこいつも」1〜2巻/3巻/「いちごが好きでも赤ならとまれ。」/「SWAYIN' IN THE AIR」/「御破算で願いましては」/「ワンコインクリア」1話/2話/「よろめきの昼下がり」/「タオヤオ」/「さわやか」

00/10/05(THU)

 ネタバレ全開なんだけどこのページ見てるひとで気にするひといるんかいな


 ってのはもち新條まゆ「快感・フレーズ」だっ!最新巻の15巻読んだよ。なんかね、愛音、レイプされてた。オハリ。

 つーとつまらんか。人気絶頂のリュシフェル。この状況を苦々しく思っているライバル大手プロダクション社長(名前忘れた)はヴォーカルであり、リシュフェルの中心人物である咲也を潰すため、彼の恋人兼、曲作りのパートナーでもある愛音の存在に目をつけた。そう、レイプするのだ。(なぜだ)しかも、その方法はといえば!社長自ら愛音を食事に誘う。勿論超高級フランス料理かなんかのディナー。→いきなり店内でクロロホルム&拉致。(大胆すぎ…)→目覚めるとそこはいかにも高そうなホテルのスイート。→社長自らレイプ。ちなみに社長は若くてけっこう美形。そして何回も。どうです。この超・ハイ・リスキーな計画は!そんなもん、社長自らやらんでもどっかの不良に金握らせてやらせ!と思ってしまいます。やっぱりこう、レイプされるにしても相手は美形+なんか高そうな雰囲気の場所で、というヘンテコな不文律に支配されてる作品で、じっさい、ここらへんがたいへんに重要なんだろうなと思いました。路地裏とか空き倉庫とかでこ汚いガキに、じゃダメなんですね。レイプされてる時もお姫様〜。しかし、そんなに抵抗してなかったよ、愛音。「上の口では嫌がっていても〜」なんて実際にはほとんど聞かない台詞そのまんまな感じ。ええのか。そんでこのあと愛音はショックのあまり自殺未遂するんですが、なんか風邪薬大量に飲んでたな―――でもひと箱くらい。そりゃ未遂になるわな、と思いました。う〜ん、すんばらしく面白い!

 少女コミックもコンビニで立ち読みしたけど(買わなかった)最終回は次号掲載でした。今回は卒業式。そう、愛音と咲夜、まだ高校生だったよ!驚きだ。スタジオにフェラーリでやってくる男が高校生なんて…。最初の頃はとーぜん免許なし!だったよ。いいのか。あ、卒業式に桜が満開だったりとか、かんじんの式のシーンとかはほとんどなくてほとんど2人でやってるだけだった、というのは秘密だよ!ってこの漫画ならばとーぜんのことですか。

う―――む。


 雁須磨子「どいつもこいつも」4巻とか北崎拓「なんてっ探偵アイドル」1巻とか書きたいネタはあるんだけどからくり人が良すぎで書きすぎた。明日にまわします。

 あ、そういえば明日は所用でちょっと忙しいと思うんで、更新量はきっと少ないな〜、という事で。

今日のからくり人 第12話「鳩に豆鉄砲をどうぞ」


 う―――む。超傑作。脚本・演出・そして緒形拳、すべて最高!もともと必殺マニアの間で伝説として語り継がれているエピソードなんですが、それにしても素晴らしいなあ…。脚本は早坂暁。第11話に引き続いての登板ですね。この人の書く話はキツい話ばっかり。

 時次郎(緒形拳)が突然みんなの前から姿を消した。「自分が姿を消している間、みんなはアリバイを残しておくように」という書置きの内容から、時次郎が何かとんでもない事を企んでいるのではなかろうかとからくり人一同は心配する。

 早坂暁の脚本がどう上手いのか。そもそも主人公クラスでありながら、夢屋時次郎という男の存在は謎に包まれていた部分ばかりでした。なぜ彼は八丈島送りになったのか。などなど。ここではほんのわずかな手掛かりをもとに時次郎の居場所、その目的を探るべく東奔西走するからくり人たちの様子、そして彼らがみつけたわずかな手掛かりを通してそれら今まで語られてこなかった時次郎の人間像が少しずつ明らかになっていくという物語構造になっているのです。

 たとえば、時次郎が入れ込んでいた女郎はかつての時次郎の幼馴染で許婚だった相手と瓜二つ。そしてその女郎が腹痛を起こして倒れた時、彼女が女郎と知りながら必死に手術してくれた蘭学者を時次郎がいたく尊敬していたという事、そして蛮社の獄、蘭学者狩りで彼の師であった高野長英が捕まった事を苦にして彼が自害していたという事、そしてその医者の敵を討つべく、蛮社の獄の中心人物である鳥井耀蔵らを暗殺する計画を時次郎が練っているという事。

 それらの手掛かりがやっと1点に収束し、時次郎が三十三間堂の天辺から墓参りにやってくる鳥井を遠距離ライフル(火縄銃なのに!しかもスコープ付き!届くのか)で狙撃しようとしている事がわかる。ただ時はすでに遅し、曇り一味による警備のため、時次郎の潜んでいるお堂には近づけない。仇吉らは時次郎の思いを無にしないために自身のアリバイ作りをするしかなくなるんです。

 たとえば演出。はっきりいって変なことばっかりやってるんだけど、それが少しも不自然ではなく物語の中で機能しているあたり、スゴイです。たとえば銃職人の老人と天平との会話のカットで急にハンディカム映像風の画面、つまり天平視点の映像になるところとか。時代劇なのに。ほかには時次郎の元許婚で幼馴染の女と仇吉との会話中、昔時次郎と遊んだ思い出が女の脳裏にフラッシュバックしてくるシーンで本当にパーッと光が差し込んできたりとか。異様なんだけどなんか神々しく、綺麗なシーンでした。

 時次郎の準備も万端、鳥井たち暗殺すべき幕府要人も一同に会し、いよいよライフル発射。しかし、その弾丸はたまたま軌跡をかすめて飛んできた鳩に命中。ターゲットである鳥井は無事逃げおおせてしまい、もはや時次郎にはどうする事も出来なくなってしまうのであります。「負けてくやしい花いちもんめ…」子供の頃幼馴染と唄った童謡を口ずさみながら全身に火薬を塗りたくる時次郎。そして最後の一服。床に落ちる煙草の火。

 三十三間堂から聞こえる爆音を遠くに聞きながら悲痛の表情を浮かべるからくり人たちの顔・顔・顔。終劇。

 これだけ完成度の高い時代劇ドラマ、なかなかないな。中盤ちょっと中だるみな回は全てこのエピソードのための準備だったかもしれない、というくらい素晴らしい出来。

 ところで、登場カット数ほとんどない(6カットくらい)それでも鳥井耀蔵役の岸田森の存在感はスゴイなあ。この人、必殺シリーズ重要エピソードに悪役としてたびたび登場しては主役を食っていく人なんだけど今回は緒形拳とナイス勝負でした。

 あと、1回も触れてなかったけどシリーズ全体を通して、へろ松役の間寛平もとてもいい仕事をしていました。彼ははっきりいって阿呆な子なんですが、殺しのプロフェッショナル集団になる事のない、あくまで家族的繋がりによる殺し屋組織であったからくり人という組織の中には欠かせない存在だったと思います。

 いよいよ次回は最終話。全滅ラストだってことあらかじめわかってるんだけど、観たらきっとやりきれない気分になるんだろーなー。

【雑誌】ヤングサンデー No.45 小学館


 あー、「なんてっ探偵アイドル」買いに行かないと。な、北崎拓のアレ。ことごとく仕事が流れてる理由が「死人が出た」ってのはマズいだろなトリコロール3人が街角でナンパされ。と、思ったらファッションモデルのスカウトですって!瓢箪から駒な仕事なんですがとーぜんながら楽屋の着替えは全裸全開、つーことで北崎拓よく思いついたね、な回でした。あ、また人死んだ。久しぶりだな、山本英夫「殺し屋イチ」はついにイチと垣原&三郎コンビ、第一種接近遭遇。イチの姿見た垣原の「え〜〜〜っ?!」って台詞とエクスタシー!な表情が素晴らしい。そういう問題じゃぜんぜんねーんだが。とことん自分の快楽優先な人間だなあ。これ、面白くない?な読み切り(前編)ロドリゲス井之介「GTR」。特攻服で参上な派遣大工、龍ニと竜也。見た目はアレだが凄腕な2人。欠陥住宅ネタみたいだけど物語のテンポ無視なくだらなギャグはこの人の味か。これ、最近始まった作品のいくつかよりぜんぜん面白いよ。柏木ハルコ「ブラブラバンバン」はキレイに終わっているけどもうちょっと長くても良かったな。ラストページ、ついにいくとこまでいった芹生さんでした。新井英樹「The World Is Mine」は(案の定)神話的展開になってきたな。この作品ってリアリズムなんか追求してる作品ではないよね。

【雑誌】モーニング No.45 講談社


 安定。エピソード完結2本、「部長島耕作」「カバチタレ!」。それぞれの作品の持ち味がしっかり出てる。良い意味でも悪い意味でも。あ、ベタで塗ってある人は無事に出ていた。せきやてつじ「ジャンゴ!」はまた意表つきまくりな展開。原案:アーヴックってのは具体的にどういうことなのかが気になる。原作が存在してるわけじゃないんだよね?ずいぶん久しぶりだな、な2回目、目白花子「月岡脳髄研究所」は大手企業ネタ。企画室とは名ばかりのリストラ候補社員隔離部屋、ってつまりはセガのパソナルームまんまですね。サイコドクター終わったんでその後継作品としてもうちょっと登場回数増えるかも。前後編72ページです。守村大「花のうた」は絶対もう出ないと思ってたムーミン再登場。宝くじ当たった時のムーミンのポーズ、なんだこりゃ?「大空に羽ばたくぜ〜」ってイメージか?これだけで大笑い。ところでこっちも好調な、三宅乱丈「ぶっせん」。やっぱみさきさん、ええわ―――。和製ボニー&クライドはダメだろ〜(悲惨な最期を)空想シーンでも雲信死んでるよ!しかし、「ピンクィうさぎ」のバニーさんネタだけで当分持つかもしれない。意外な展開だ。高橋のぼる「リーマンギャンブラーマウス」はなんと、まぐろ子を捨て、男のもとに走った彼女の母親登場。久々の親子の邂逅。しかしもはやまぐろ子にとって母親は憎しみの対象でしかなかったのだ…。あれ?なんかええ話だぞ。不思議だ。お母さん、ふつーな名前だ、とか思ったら、まぐろ子本名じゃないよなさすがに。で、驚くべき真実が明らかになってる福島聡「DAY DREAM BELIEVER」なんですが、これ次回で最終回なんじゃないか、単行本1,2巻同時発売って全2巻ってことじゃないの?って感触全開なんですが。限りなく不安なんだけどたぶんそーなんだろうなーと。次号クライマックス、って書いてあるし。次号から始まる木葉功一の新連載、「ルビー・ザ・キッド」ってこの枠に入るんじゃないの?って思うし。業田良家の新連載「百人物語」ってひょっとして「えの素」枠?ってこれも不安になる。

00/10/04(WED)

濡れていくんだ…ふ―――ん。


 TINAMIX
,10/1更新分、「青少年のための少女マンガ入門」は新條まゆ「快感・フレーズ」。やはりこれくらい無軌道な作品でないとメガヒットは飛ばせない!という事がはっきりとわかる作品なんでは、と思ってます。今出てる少女コミックで最終回なの?それだけ買うか(笑)。しかし、当然のように触れられてるけど新條まゆのマンガってレイプだの監禁だの拉致られるだのレイプだのレイプだのそんなのばっかしだ。「あなた色に染めて…」みたいなのかもしれんけど、それがレイプになるあたり、なかなかに侮れない気がします。スゴイね。最新短編集タイトル「あなたに繋がれたい」…。

 結局の話、「囚われの姫様を美形な盗賊がさらいに来る」みたいな王道少女漫画的シチュエーションの快楽原則暴走+シナリオ手続的ショートカットが究極的に極まると拉致&レイプつーものになるんかなあ…などとぼんやりと考えてます。

 ところで、新條まゆ「快感・フレーズ」に並ぶトンデモ恋愛もの少女漫画として、宮城理子「花になれっ!」にも同じ匂い感じるよなあと思ってる今日この頃。なすがまま、なされるがままにも程がある!つー話ですか。

 しかし、この2つの漫画、絶対に単行本買わないだろうな。

e t c.


 あにてんぷ
さん、大量更新だな―――とか。セルシェードやらせたら、ワタナベさん国内で敵なしなんではと個人的に思ってます。センス的にはけっこうアレな人だけど。ココとかココとかココとか。いちお書いとくとこれ、ぜんぶ3Dだよ。おっとこれ、昆童夢の妖精ボンテージマンガみたいっすね。

 こないだ話題にした超々短篇広場2周年記念イベント、ベスト60掲載ですが、作品が全て出揃いました。読むべし。

 「泣くようぐいす」最終回は凄まじかったなあ…。

今日のからくり人 第11話「私にも父親をどうぞ」


 今日は明らかに出来がいい回、のはずなのだが…。今日は花乃屋仇吉(山田五十鈴)とその娘、とんぼ(ジュディ・オング)中心のエピソード、というかからくり人サイドではほとんどこの2人しか出ていない。最近ぜんぜん出ない時次郎(緒形拳)なんか今日1カットしか出演してなかったような。

 仇吉と2人、花乃屋へ戻る帰り道で親子連れの様子を見かけたとんぼはふと自分の父親がどんな人間だっただろうかと思う。(なぜ今さら急に…思わなければ良かったのに)なんとか今までは誤魔化していた仇吉だったが、とんぼの気持ちは固く、ついに仇吉は今まで誰にも話してこなかった出生の秘密、なぜ仇吉は八条島送りになったのか、その時既に身篭っていたとんぼは誰と仇吉の子供なのかをとんぼに語ることを決意した。ここからの過去回想が30分くらい。ひ―――。

 簡単に書くと、とんぼが生まれる以前、深川芸者として人気者だった仇吉が付き合っていた相手は売れない浮世絵師、今では人気絵師として名を馳せる存在となった歌川延重。貧乏絵師としての暮らしにうんざりしきっていた延重は長崎奉行に取り入るための人身御供として仇吉を差し出した。騙されて眠り薬を飲まされ、貿易相手として来日していたオランダ人に無理矢理に抱かれた仇吉は「毛唐に抱かれた女」として芸者を辞めざるを得なくなった。子供に石を投げられたりする描写をきっちり入れるあたりが酷い(T_T)転がるようにどんどん最低な生活に身をやつしていくある日、長崎奉行一行の行列の中に延重の姿を見つけた仇吉は短刀片手に行列の中に斬りこんでいくが2人を殺す事は出来ず、そのまま八丈島送りとなる。つー感じ。必殺シリーズの売りの1つである光と影の演出駆使したカット割りとかもの凄く力入ってる回(ムダカットぜんぜんない)なんですが過去の回想シーンまで現在の山田五十鈴が演じてるんでちょっとそのへんが厳しすぎ〜というか。「この芸者いくつなんだオイ。現役?」って思ってしまう。ソストフォーカス画面にかけてるような気もするけどそれでもちょっとな〜。で、その時身篭ってた子供がとんぼ、なんだけど時代背景的にオランダ人とのハーフの子供なんて不幸になるに決まってる…ってことで手ぬぐい咥えながら石を腹に叩きつけて自ら流産しようとしてるカットとか、キツ〜。

 その回想と同時進行しながら、島抜けした仇吉が再び江戸に舞い戻ってる事を知った延重らが自分らの過去の悪行を知っている仇吉に殺し屋を差し向けたりしますが、結局仇吉が長崎奉行と延重の2人を殺して終わり。

 ところで、殺しの場にとんぼも居合わせるんですが、わざわざ延重を殺す前、とんぼに「おまえの父親はオランダ人ではなくってこいつだ。」っていってから殺すとこがなんとも。どう考えてもジュディ・オング、オランダ人と日本人のハーフには見えないんで当然なんだけど。娘の目の前で母親が父親を殺す話ざんした。

【雑誌】ヤングキングダム 11月号 少年画報社


 私屋カヲル「青春ビンタ!」。うーむ。私屋カヲル→佐野タカシの流れがぜんぜん不自然じゃない内容。ブラ買おうと思ったら小学生向けな可愛えーの店員に勧められたりして悩み中なももかちゃんが貧乳フェチの痴漢に遭遇、「もまれたらこの小さな胸も大きくなるんでは…でもイヤだし…」あれこれあれこれ。別にヤングキングダムに来て作風変えたわけでもないのにこの馴染みようはいったい。ま、基本的に女の子の裸描くの大好きな作家さんだってのが大きいかも。竿尾悟「渚」。夏をあきらめて…って、遠泳訓練中、くらげの群れに大・遭・遇。慣れるためとはいえ、水着の中にくらげ入れるか〜にゅるにゅるってなんつーアレな状況なんだ!大石まさる「みずいろ」は次回最終回なのかな?ヤングキングで引き続き始まる新連載、「りんちゃんクッキーのひみつ」の広告オマケ漫画が楽しい。これ、クッキング漫画なのだろうか。

00/10/03(TUE)

S e V e N


      
あんたらにはぜったいにわか
らないことなんでかいてしま
おう。あんなぶさいくとおれ
さまがつきあうだなんてから
だめあてのあそびだってこと
くらいだれにでもわかるんじ
ゃない?いますぐさよなら。 ←さいごのあたりがくるしいね。

ところで


 ヤングマガジンと間違えて、三和出版から創刊された月刊ヤングマン(笑)コンビニのレジに持っていった人、全国に何人くらいいるのかな〜。明らかにパチモンテイストなロゴがいっそ清々しい。内容については新田五郎さんとこで紹介されてます。(→ここ。)やっぱりな。

 忘れてました。きのう1個目のネタは黒書刊行会10月1日付けの日記から引用させていただきました。昨日分の日記にもその旨追加しておきます。すみませぬ。

 ところで、黒書刊行会さんの(この表現で正しいのだろうか)日記、泡沫の日々は凄まじく良いのでみんなも読むと良い。日々の更新をたいへん楽しみにしているサイトの1つなのです。が、読んだ後だいたいしょんぼりしてしまう。なんでこんなに濃いのだろう。なんでこんなに鋭いのだろう。日記で取り上げてるブツもブツならそれについてのコメントも的確すぎなのです。こういう感じの日記をぼくは書きたいなあと思ってこのページを始めたつもり。でも力量不足でこんな感じになってしまってるんでした。がっくし。

 この日記に関しては早乙女零さんがぜんぶ書いてるってことでいいんでしょうか?

「サトラレ」


スタジオジブリで映画化だって!
実写だけど。監督は「踊る大捜査線」の本広克行。映画化されるエピソードはやっぱり、オツアン「泣ける漫画」でも大人気だったあの第4話、「サトラレには向かない仕事」みたいですね。それにしても佐藤マコトさん、単行本もまだの作家さんなのに正直大抜擢ですね。驚きです。

今日のからくり人 第10話「お上から賞金をどうぞ」


 今回もあんまり出来良くないな〜。お上から出る隠れキリシタン摘発の20両という賞金を目当てに、ある男を隠れキリシタンとしてでっちあげようと企てる十手持ちたちの話。悪役の一人が同じように誰かの密告によって両親を処刑されている男、という設定がちょっとからくり人らしいけど、その男が完全に悪として描かれてるあたりが惜しいかな〜もっとやりきれない感じにしたほうがよかった。緒形拳もスケジュールの都合からか、前回同様ほとんど出ていない。ところで森田健作。今日も今日とて花火の導火線に火をつけたまま相手に向かっていくというのは無茶すぎるな〜人間爆弾か。運良く間に合ったから良いけど。あと3話、たぶん明日からは濃そう。

【単行本・漫画】津原泰水監修 「エロティシズム12幻想」(その1) エニックス

津原泰水監修 「エロティシズム12幻想」

 

 けっこう前に買って電車の中でちょっとずつ読んでいたのだ。えらい時間がかかったのは、睦月影郎だの由紀かほるだの館淳一だのそーゆー人が参加してる小説アンソロジーではぜんぜんないんだけど、それでも単語的にはそんな感じのがずらずら並ぶんでちょっと読みにくかったからか。よわよわ。12幻想の名前どおり参加作家は12人。安孫子武丸、有栖川有栖、北原尚彦、京極夏彦、菅浩江、竹本健治、津原泰水、新津きよみ、牧野修、皆川ゆか、南智子、森奈津子(50音順)。ミステリー、ホラー、SF,少女小説まで、ジャンル的にはバラエティに富んだ作家たちを揃えている。

 わりに面白かった / 興味があった作家の作品から紹介。

牧野修「インキュバス言語」

 まずは牧野修。近年、長編としてはホラー作品の発表が続いている牧野修だが、この「インキュバス言語」はアンソロジー「SFバカ本」などで発表されたもののような言語芸的作品。なんとなくこのメンツの中では斬り込み隊長の役目、って感じがするな。日本刀持って読者に斬りつけてくるようなイメージ。どんな作品かというと賢くもなければ馬鹿でもなくもちろん一流でもないこの俺が毎日飽きもせず通っているのはつまり二流の会社で繰り返してるうちに俺はどんどん腐っていく二流の人生二流の家庭二流の俺いやだいやだいやだそんな毎日うんざりしてる俺家に帰りたくもない俺はバーに立ち寄ってそこに居たのは天使そんな天使がいきなり俺の唇天使の唇重ね合わせ舌捻じ込んで流し込まれる言葉つまりそれは言語これ以上はネタバレ。始めに言葉ありき。

 ホントにこんな感じ。


森奈津子「翼人たち」

 これは素晴らしい。

 「死後も人の魂が残っている世界」「魂は存在していない世界」「前世は存在している世界」そのほかいろいろ。主人公大場未来子は自分が存在している世界を、ほんのわずかなずれ、1ミリの何兆分の1というずれによって様々な世界が多層的に積み重なっているものだと認識していた。今まで自分と同じ世界の住人だと思っていた友人は、ほんのちょっとしたきっかけによって、自分のいない別の世界へとジャンプしてしまう。そしてもう戻ってはこない。クラスメイトで親友の桃枝と同級生でゾッとするほどの美少女麗子。彼女たち2人も自分が知らないうちに別の世界へと旅立ってしまった。「同性と愛し合える、という世界」へと。
 タイトルの「翼人たち」は「同性と愛を交わした人間」には、背中に目には見えない翼が存在するという、同性愛者同志の秘密に由来する。華麗というよりは、可愛らしく滑稽な感じで描かれているそのイメージ。しかしそれが読んでいる人間の胸を打つのは、やはりそのことについてきちんと真剣に考えているこの作者の作品だからであろう。切実でちょっと切ない。ええ話や。


菅浩江「和服継承」

 和服の持つエロチシズムについて女性の一人称で描かれた作品。幻想的な事はまったく起こらない話ながら、艶やかな文体で書かれるそれはめっちゃ官能的。ひょっとしてこのアンソロジー買うような人はこういう作品望んではないかもしれないけど、俺は凄いと思うな。


有栖川有栖「恋人」

 40を迎え、周囲の友人が次々と結婚していくにもかかわらず、一向にそういう話を訊かない男、岩淵。彼は20年前、友人の別荘で出会った「恋人」との思い出を胸にずっと生きていくんだと心に誓っていたのだ…。この人の作品って基本的にミステリ的には不必要なほどにロマンチシズムを物語に導入している作品ばかりで、正直そこらへんが気になるか気にならないかで作品の評価も別れそうな人だと思うんですが(デビュー作「月光ゲーム」犯人の動機とかもね)その甘いロマンチシズムがいい感じに働いてる作品なんでは。


皆川ゆか「荒野の基督」

 これは吃驚。名前は知ってたけど、今までぜんぜん読んでなかった作家さんでイロイロ書いてる人だな〜という印象しかなかったんだけど、上手いなあ。会社を辞めてみたものの、家族、そして近所の人の手前、今までのように出勤してるふりをせざるを得ない男。彼がとくに向かう当てもない通勤電車の中で出会った女子高生とのうんぬんくんぬんの話、なんだけど突然に挿入されるギリシャ神話だの基督だののエピソードが面白い。でも、このアンソロジーだったらもっとアクロバット的な終わりかたしたほうが面白かったかも。純粋に文章的に興味深かった作品。


津原泰水「アルバトロス」

 「白い兵隊」たちの手によって島中に埋め込まれた地雷。もはや身動きもままならなくなった南海の孤島、その集落を舞台に、戦禍による狂気によって近親姦に走るププカ、イルル、ラウラらの様子を描いた短編。この人の短編は本当に短編だなあ、11ページ。この作品においてププカ、イルルら、そして「少佐」が何者であるかは描かれる事はなく、その戦争が何なのか、「敵」とは何なのかも書かれない。そこらへんが幻想なのかなあ、と思う。実際、ププカらが異世界の生物、たとえば作品冒頭で「……ププカ……ププカ……と鳥がさえずるような声で呼んでいる。」と描写されているとおりに鳥のような生物の話としても読めるあたりとか、果実、蜜など、トロピカルで南国な形容しか使われてないあたりも実験的な作品。

 

【雑誌】ヤングマガジンUppers No.20 講談社 


 ええと、前半ダイナミックな展開のアクションもの連発→中盤に向かうにつれてギャル率増加→どっちなのかがサッパリわからん「0リー打越くん!!」→「iドーモ」+「G‐taste」のコンボで〆。みたいな構成。わかりやすい。まずは巻頭カラー新連載、原作:田中芳樹 作画:梶原崇「黒竜の城」。中国・明朝を舞台に武将亦失哈(イシハ)とその部下たちを描いた歴史ロマン、なのだろうか。まだ導入部なのでよくわからない。とりあえず今回、亦失哈(イシハ)たちは領土探索中に雪山で遭難して怪しげな城に迷いこんだところあたりで終わっている。ところで主人公のイシハ(漢字めんどくさくなった)、幼少時の外見とか女真族の出身とかで「女武将?」とか勘違いしてたが男って書いてあった。「愛と戦いの物語」ってキャッチフレーズついてるんだけど愛って何なんだろうか?今後に期待。あ、そっか「ゾンビ忍者バクチカ」の人か。押川雲太郎「不死身のフジナミ」2回目も相変わらずバカアクションだな。三池崇史監督作品とかそういうののテイストを狙ってるのだろうか?短期集中だけど、な新連載、アッパーズ初登場なタイム涼介「ハウスボウラー」。世界初のビジュアル系プロボウラー告知モンド(こくちもんど)とボウリング雑誌新米女性記者のお話…な気がする。はっとりみつる「イヌっネコっジャンプ!」。ういういういういういって、ラスト2ページの展開なんだこりゃ楽しいな。桑原真也「0リー打越くん!!」は水着テニスとラブコメ回想、そして悲惨な現実の三つ巴〜。こんなマンガ他にないよな…堂高しげる「iドーモ」はなんか女子マラソンネタ。高橋の金メダル確定してから描いたわけはないので…このネタ良いんだか悪いんだか。あ、腰痛悪化のため一色まこと「ピアノの森」は3号お休みだそうです。新連載第5弾はなんか「OH!スーパーミルクチャン」らしいよ。

00/10/02(MON)

 ふつーだな。


 ええと、こことかこことかこことかここですが(at スタジオ春草withちゃわんむし)、こういうのってやっぱし背景にハイライト置かないとダメなんでは―――などと考える。基本でしょう。
(元ネタ提供:黒書刊行会 泡沫の日々2000年10月1日

 太田出版「マンガ・エフ」「マンガ・エロティクス」(・が入るのが正式名称なのか)ページの掲示板、「F & EROTICS SQUARE」に華倫変が書き込みしていてビックリ。(2000/9/29)意外とまだ若いのにもビックリ。えっと、ヤンマガ一瞬連載「デッド・トリック」やっぱり単行本出なかったな―――以来久々の作品がマンガ・エフ1月号に掲載されるみたいです。よく考えてみると、たしかにマンガ・エフに華倫変ってピッタリ。適材適所か。

 レビュにしろ、そのほかの文章にしろ、Webで読む文章は1画面に収まるくらいがベスト、と思っていて、その意味でこの超々短編広場にあるものはたいへんに参考になります。とりあえず順次掲載な過去作品ベスト60は目を通しておいても損は無いでしょう。今は11位〜60位までが掲載。ベスト10+総評は明日、10/3掲載の予定です。これぐらいのクオリティの文章が毎日ここに書けたらいいな〜と思ってるんですが。相当に精進しないとダメかにゃ。

 角川ミステリーDXで清涼院流水「ジョーカー」が漫画化されるらしい(噂だけど)ですが、誰が漫画化するのか詳しい情報を御存知の方はいないでしょうか?なんで「カーニバル」シリーズとか「コズミック」じゃないかというと、やっぱり人死に、多すぎだからでしょうね。スケール(だけだけど)も異様にデカ過ぎだし。しかし、よっぽど度量の大きな作家さんか何も知らないまま連れてこられた人でない限りこの仕事は受けないな〜。逆に美味しいか?でも「鳥幻坊」シリーズも漫画化したくらいだから問題ないのかなあ。いっしょにするなって感じですか?
 清涼院流水、伝奇もの的トンデモ感ではないところでトンデモな人だからラストとかどーすればいいのか。そのまま書くのか。でも誰がやるんだろ?ながいけん、とり・みき、おおひなたごう、上野顕太郎、なんとなく新井理恵、名前忘れたけど「グラビテーション」の人とか。これは絵柄的連想。ほかに誰かこれは!って人、いますかね?

今日の必殺からくり人 第9話「稼ぐなら江戸へどうぞ」


 今日は珍しくぜんぜん見どころが無い回。緒形拳が(たぶん)スケジュールの都合かなんかで出演してないのが原因か。いや、脚本的なヌルさもあるかも。
 次々と江戸へ出稼ぎにくる地方農民たち。人口の爆発的増加を防ぐため政府は「人帰しの令」をもって田舎へ出稼ぎにきた人間たちを強制退去させる事にした、な話。で、一緒に田舎に戻されたはずの恋人が何の手違いかいつまで経っても帰って来ない。これはおかしい、ということで江戸まで再びやってきた朴訥な地方農民の依頼で、行方をくらましたその恋人探しをすることになったからくり人なんですが、まあこの作品なんで当然の如く(?)恋人は女郎としてなぜか売られた後だったりするんですね。つまり人帰し担当の役人と女衒、口入れ屋が組んで「江戸に残れるようにしてやる」と口車に乗せた女を次々女郎として売っていたわけ。ちょっとからくり人テイストなところは売られた女が「田舎で食えなくなるかも知れない不安を抱えて生活するくらいだったら女郎に身をやつしても江戸で食うだけは食える生活の方がいい」って言うあたりですかね。
 おかしい、緒形拳の抜けた穴を埋めるべく、依頼人自ら調査始めた時には「こいつ、死に確定」と思ったんだけどな〜。結局最後まで生き残って挙句恋人まで身請け出来てしまいましたあの田舎もの。
 ところで今日の森田健作、花火でおなか破裂させてたよ。そんな馬鹿な。カエルみたいだったよ。

【単行本・漫画】別天荒人「プリンススタンダード」3巻 ワニブックス

別天荒人「プリンススタンダード」3巻



 1年ぶり。とはいっても最近ちょうど買い始めたばっかりだったのでちょうど良かったのだじつは。

 「プリンススタンダード」ってタイトル通り、正統な王子様としての自分とは何ぞや?そうだ、つまりは大冒険!とか思い立ってお城を飛び出した王子、スタア=スクリーム=シックスショット(長い。以下スタア王子)なんですが、そもそも王子が国ほったらかしでホイホイ大冒険してたら国もすぐ滅びるわなそりゃってことで、つまりは大前提からして大間違いなまま「大冒険の旅」に出かけたスタア王子の話…だったんだけどな最初は。

 というのはあまりに天然ボケで何にもできん子、なスタア中心だと話が進まない進まない。というかスタア王子、表表紙に登場してたの1巻だけだな…あとはどんどん扱いが小さくなってる。と、いうわけで現在は王族の肉を食らうと永遠の命と美貌が手に入るかも〜という迷信(?)を信じて王子の命を狙ってる、つもりがいつのまにかお仲間みたいな展開に…な女魔法使いキッドとそのライバル、ラッパ&ベルボとバカ亜人3人組、直情型の警備隊員リジィなんかが、スタア王子の周りでぐるぐるじたばたといった感じのストーリーであります。

 最新巻の3巻だと一見フラフラしてる優男、でも時々異様に鋭いのはなぜなんでしょ―――な謎の警備隊員、ヒカルが登場したり、スタア王子も警備隊になぜか入隊したり、とかの展開。ところで王子、みそっかすなマゾ亜人、サーゴくんよりぜんぜん台詞少ないよなあ…主人公なのにそれでいいのか。ゴジュータワーにさらわれ中なキッド&ラッパが何もされずにぜんぜん無事な世界でそもそもカニバリズムネタ成立するはずも無いよなあ、わはは。

 単行本オマケのカラーイラストにしても単行本ラストに収録な扉絵コレクションにしても、カバー外したところにあるデフォルメキャラな登場人物たちにしても、とりあえず画として達者すぎなんでたまりませんね。単行本全体の装丁もかなりキマってる印象だし。物語的には中心となるべき王子が動かないままに周囲がガンガン動いて流されてく、みたいな感じでストーリーとしてのダイナミズムは微塵も無いんだけど、それでも絵になんか、いいもの感があります。ううむセンス良いなあ。今現在オタク的センス最大出力、な作家さんのうちの一人だと思います。

 ところでハウンドさん、1巻の途中までだけど、顔が綺麗な男だと勘違いしてたなあ。

【雑誌】近代麻雀 2000/11/1 竹書房


 つ、ついにこんなフリーにまでネゴシエイトに来たか勇午、と思ったら違った。当たり前だ、な巻頭カラー。赤名修「クロム・ハート」。前々から思ってるんだけど竹の編集はどこから作家を引っ張ってくるのか。そういうコネクションについてはすごいのかも知れない。内容は、まあ普通。ところで青山広美「バード」だけど次回で最終回だそうでここらへんのあっさり感はかなり勿体無いとは思うんですけど、竹だけに、ダラダラ連載続けると単行本出なくなる可能性があるんで全2巻か3巻くらいでキレイにまとまれば、まあいいんじゃないかな〜と。今回はバードの新自動卓天和炸裂しまくりな内容です。福本伸行だったらバード天和の種明かしだけで半年くらいは最低持たせるね、と思いました。間違いなく、「蛇」の持つイカサマ師的な思考からは遠く離れたマジシャン的仕掛けでバード天和は行われてるんでしょうけど、どうやってるのかは正直想像もつかないな〜。押川雲太郎「根こそぎフランケン」も、もう終わりが見えたかな。フランケン→バードときて、天獅子悦也「むこうぶち」も実はけっこう熱いな〜。裏世界麻雀3連発って感じですよね。実在の(たぶん)現役最強クラスプロ、安藤満との闘牌が熱い鎌田洋次「天翔ける」は安藤亜空間と羽音亜空間のぶつかりあい、足の引っ張り合いの消耗戦へと。これでこの2人以外の人間があっさりタイトル取ったら面白いんですが、って普通そうなりそうなイメージ。ラストで羽音が見せた亜空間破りの秘策は昔安藤満本人が原作担当してた「阿羅漢」でライバルキャラが見せたわざチョンボに匹敵しますね。と、いうか公式戦では限りなくマズい印象が。相変わらず充実安定。

【雑誌】ヤングマガジン No.44 10/16 講談社


 西暦2199年!!ってことでハイパーコズミック新連載な「AGOGEN2199」。まさか次回作SFになるとは思いませんでした、なしきり直し。ところで何でも"宇宙"だの"スペース"だのつけりゃいいってもんじゃないだろ、なんですけど、この作品だし、いいみたいです。次回も宇宙を舞台にガンバるぞ!おー!CLAMP「ちょびっツ」はもうちょっとあざとくってもぜんぜんオケーですよ奥さん。やっぱりOS無し、な展開ですがぜんぜん動かないわけじゃあるまいし、なんとかなるだろーとか思ってしまう俺でしたマル。どこまで大丈夫なのかのラインをまだ手探り中なのかな、な印象。阿部秀司「エリートヤンキー三郎」はヤンキーフィルター通したクラブ描写、って感じだ。いくらなんでも日本刀片手はないだろーとか思ったり。松本光司「クーデタークラブ」は絵依子さん自分の部屋に呼んであれこれ。ちょこっとテコ入れ気味?カイジは勝負の勝ち確定してないのに「ひょお〜〜〜〜っ…」とかバカっ面で大喜び、だからダメですね。人間は退化する生き物だ。ラストマンはまたこんなオチか。スタア学園の扉絵はいったい?な感じ。

00/10/01(SUN)

 超ローテンション。


 アルコールの力でも借りないとどーにもならんかも。でも結局酩酊状態で書いた文章ってべつに面白いわけでもなくて単に自分が面白がれる基準値が低くなってるだけ、な気がするなあ。とりあえずスピードは出るけどヘロヘロ文章か。こんな文章書くのに4回も書き直してるなあ…。

 サイトのデザイン、また微妙に変えたり、BBS新しいのにしてみたり。テーブルタグはほとんど使わない構成になったな〜。

 「おまかせピース電気店」の45話、単行本未収録のファミ通ネタのやつ今ごろ読んだ。これ掲載された頃はチャンピオン、ちょうど目を通してなかった時期なんで今まで未読だったんです。「おまピー」としては出来、別に普通な回だと思うけど、まあ、貴重かもしれないのでとりあえず幸せだった、としておこう。ネットにあったんだけどURLは隠しとく。

 昨日買ったはずのいくえみ綾「ハニバニ!」1巻と聖千秋「ヘプタゴン」が見つからないなあ…見つけて読んだら感想を書く(予定)。あと今日かどうかわからないけど書く予定のブツはがあさん「背後霊24時!」1巻とか星里もちる「本気のしるし」1巻とか。

 これ
これ。ファミレスウエイトレスの概念をはるかに超えてるな〜などなど。

 見つかったので書いてみよう。

【単行本・漫画】いくえみ綾「ハニバニ!」1巻 集英社マーガレットコミックス

いくえみ綾「ハニバニ!」1巻



 うーむ。表紙からだと内容の予測つかないかもしれません。主人公は17歳の女子高生兎野ちよ。ちなみに”うのちよ”と読む。すげえ名前。
 ええと、クラスに1人くらいいそうな感じのおサル顔、サイズも小ぶりな元気っ子、だけど恋する対象にはちとどーかな、キャラ的には申し分ないけど、な彼女がいきなしフラれるとこからスタート、なお話です。精神的にはけっこうタフネスな感じのちよちゃん(別のちっちゃい子に非ず)なんですが好きな相手に「うす気味わるい」だの「見てんなや、ブス!」だの「キんモ〜〜」だの「超ウザ」「マジでキモい」「2度と来んな」うわ〜たしかにコレは落ち込むわ。と、いうわけでこの作品の出だしは「神様 あいつを ころしてください」だったりするわけです。コメディ作品の中にこういうフレーズ当たり前のようにポコッと入れてくるあたりがいくえみ綾作品なのかな。

 そんなシドイ扱いうけても元気に追っかけまくりだったりする彼女だったりするんでぜんぜん平気なんですが。で、ちよちゃんを振った相手ってのが椿心(つばきしん)って名前のクールネスで性格悪、でもルックス良しで女子に引く手数多、な男だったりします。

 そんなある日、フラれ娘なちよちゃんと彼女を振った張本人、椿がたまたまバッタリ、そして謎の閃光。そこから話は大回転。わけがわかりませんか。そうでしょうそうですね。宇宙人、地球不時着UFO、地球生命体にのり移り〜といったドトーの展開。つまりは特撮系なSF話になるんです。ウルトラマンとかなんだとか。地球ではカタチを保てない宇宙人が椿の体を自分の容れ物としてチョイス。まるで卵から孵った雛鳥のごとく、ちよちゃんになついてインプリンティング。ここに外見同じな2つの性格、「意地悪&クールな椿」と「フレンドリー&天然ボケな心サマ」が誕生する…って感じ。でもあくまでラブコメ。不思議感〜。

 「心サマ」が出現するのはちよの前だけで、夜中にちよの家にひそかに遊びに来たりしてなんとなく椿との仲が進展してるような気がするんだけど、ここにいるのはあくまで「心サマ」なんで当の椿は「なんか最近身体ダルい」とか「記憶が飛ぶなあ…」とか思ってるだけだったりとか。「椿」「心サマ」、2つの異なった人格(宇宙人でも人格でいいよね)の板ばさみでいろいろジタバタするちよちゃんがなかなか楽しい作品です。

 いくえみ綾、上手いな〜。キャリアけっこう長い人なのに見せかたとか細かいギャグ、モノローグのセンスとかどんどん進化していってる気がします。長期連載にはならなそうなんで、全2巻くらいかな、と思ってます。

【単行本・漫画】がぁさん「背後霊24時!」1巻 秋田書店ヤングチャンピオンコミック

がぁさん「背後霊24時!」1巻



 うーん、がぁさニズム。すっごくこの人の作品らしいなあ。この前にOURSで描いてた「だいらんど」とくらべるとヤングチャンピオン連載作、ということでそれなりなシーン、毎回あるんですけど、それを含めて全てががぁさんっぽい、というか。この独特な垢抜けない体型がなんとも。

 ま、いいか。お話。「おかしい、死後の世界なんか信じてなかったのに…」な16歳、金子まさるはなんか死んじゃって背中に羽根は生えるわ頭上に輪っかは浮かんでるわ。で、急激な人口増加にともなう天国、地獄の空き待ちの時間潰しのためにとある人間の一時的背後霊を務めることになっんですが、彼が憑いた相手ってのがなんか謎な女の人、憑いた初日早々に剃刀でリストカットゴー!だったり縄吊ってついでに首も、だったり錠剤山盛りボリボリ飲もうとしたりとか、背後霊としてはいきなりお役御免になりそうな有り様。で、背後霊な彼が現の彼女を説得するために使う得物がハリセンだったりしてく、くだらない〜。

 考えてみるに、背後霊は宿主から遠く離れられない運命にあるわけで、つまりは彼女のプライベート丸見え。なんとなくハートフル・ファンタジーのような外見でも実はジャンル:覗き、盗撮ものとしても機能してたりするあたり、面白いです。設定自体に独特のシュール感が炸裂してるというか。昔っから一筋縄ではいかないストーリーの話ばかりの人ですけど。

 ほかにも半透明ジェル状な淫魔、おなじく背後霊仲間のソフィー。いくらなんでも「ヘンな所にヘンな生き物飼ってるんです〜」はないだろ、なウブ過ぎ新入り背後霊っ娘(なんでも「っ娘」つければいいと思ってるな)とかいろいろヘンなキャラ出てきて楽しいです〜。でも、この巻最大のギャグはお酒でグッタリ、もうどーにでもできそうなみちよさんに、とりあえずアンモナイトトッピング、なシーンでしょうね。いくら化石好きだっていっても、それがリピドーに直結してるのかよ〜。なんとも絶妙な変態さです。

 おまけ、半裸全裸のみちよさんと化石生物の絡み合いのセンス。うーん、素晴らしい。

【単行本・漫画】星里もちる「本気のしるし」1巻 小学館

星里もちる「本気のしるし」1巻



 今いちばんヤな感じの漫画かも。

 文具メーカーに勤務なサラリーマン、辻は社内恋愛とかもそれなりにこなしつつも退屈な毎日をなんとなく過ごしている人間。その醒めきった視線は自分含めた周囲の人々、自分の人生、全てに関して向けられ、何についても真剣に向かい合うことが出来ない。今関係を持ってる2人の女性、年下であまりに自分中心なみっちゃんの幼さにも、年上の細川さんの不自然なまでの気遣いにも、どっちにも微妙な居心地の悪さを感じている。
 そんなある日、深夜のコンビニで出会ったどこか行動がおかしい美女、葉山浮世。直後コンビニ前の踏み切りで車がエンスト、パニックに陥った彼女を助けた事で辻の人生の歯車は少しずつ狂っていったのだった…みたいなお話。

 題材としてはある種のサイコものといってもいいかもしれないんですが、ストーキングだの、暴力衝動だの、そういったある意味特殊なサイコ・エリートを描いたものではなく、ひょっとするともっともっと身近な「自己責任能力が皆無な人間」「ウソをつくことに平気な人間」を題材にとったのが鋭いんではないでしょうか。出会ってしまった事がこれ災い、というか。フツーな何か、しか今まで無くって醒めきってしまってる辻みたいな男にとっては、理不尽で無軌道で後先考えない、その場しのぎの嘘ばっかりな人間、葉山浮世は致命的な毒なのかもしれません。「ひょっとすると自分を今まで見たことの無い地平に連れてってくれるんでは?」とか思ってしまうから。口では迷惑がっていってもどうしようもなく彼女にひきずられている辻の姿は滑稽で哀れっす。いくら美人だっても、身体の関係もまるでないんだぜ〜。

 でもこれ、でもよく考えるとどうしようもなく身持ちの悪いジゴロな男にさんざ貢いだ挙句にカード破産、なOL、みたいなありがち話逆転させただけなのかなあ…でも葉山浮世だけでなく、その他の主人公、関係持ってる2人の行動について心の中でひとりツッコミ入れてる辻にしても、その2人、細川さん、みっちゃんにしても、自分の思いと行動が一致してなかったり、あまりに心と直結しすぎて他者の事をまるで顧みてなかったり、バランス的にはガタガタな人間ばかりです。じつは唯一バランスが取れてるのは怪しげな商売営んでる脇田だけだったりして。行動と思考が一貫してるのって彼なんだけなんですよね。すべて正論吐いてる、というか。辻に対しての嫌がらせ(?)にしても辻自身の心にある偽善とかそんなものの匂いを嗅ぎ取って、のことなんでしょう。

 しっかし、これほど目に意志がこもってない登場人物ばかりの漫画ってのも珍しいかも。居心地悪い感じがたいへんにいいです。

InternetExplorer5.0 / Netscape6 PreviewRelease2で確認しています。

この日記へのリンクは diary0010a.htm#0010XX でお願いします。(XX:半角10進数2桁で日にち)

home