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01/07/21(SAT)
こんないちにち
朝になったのでコンビニ出かけてウルトラジャンプとかお菓子とかいろいろ購入した。レジの前に並んで順番待ちしてると前の人の様子が微妙におかしい。髭は伸び放題、どうにもこ汚い外見に焦点合ってない瞳、心ここにあらずという感じでふらふら立っている。「なんか、マズイ人なのかな……君子危うきに近寄らず、くわばらくわばら」と一瞬思うも買ってるもの見て疑問氷解。ファミ通と飲み物買ってた。きっと昨日の朝からずっとFFXやってるのね。そりゃ、目も虚ろになるわな――。今知ったんだけど、今度のFFってキャラ喋るのね。
昼になったのでまた出かけた。家の近くに公園があって、公園の周囲は植えこみで覆われている。ちょっとした死角になっているそこから見るからにヤンキーな人が唐突に登場したのでちょっと驚いた。そのまま歩いていると、「あの――すみません」と声をかけられ、どきどきしながら振り向く。
「記念写真撮ってもらえません?」
い、いいけど、ここ、30坪くらいでベンチやら何やらあるだけの本当にただの公園だよ?何の記念?
心の中でそう呟きながら、もう1人登場したヤンキーな人と肩組んでピースサイン出すヤンキーな人の写真撮ってあげる。
別れ際に「ありがとうございました」って言われた。いい人たちだった。
……しかし、何の記念だったんだろうか。
夕方になったので飲み会に行く。ちょっと遅刻した。
夜になって帰宅した。そういえば今日はTBS深夜で「サバイバー2」の始まる日だ。東京ローカルな話題ですみません。
番組内容を簡単に説明すると全米各地で行われたオーディションに合格した16人の個性豊かな老若男女が、わざわざ特別チャーターしたオーストラリア空軍輸送機で原生林に降ろされ、そこで42日間の生き残りゲームを行う、といったものだ。
生き残りゲームとはいってももちろん殺し合いするわけではなく、ゲームの勝敗そしてメンバーの投票結果によって追放者が決まるというシステムになっている。役に立たない人間、周囲の和を乱すとみなされた人間は早々に追放されるし、逆に目立ちすぎてもダメだ。また、メンバー間で同盟を組んで自分の身の保全を図ったり、とサバイバルというよりも心理ゲームの様相が強い。その点が「電波少年」の「15少女漂流記」などとは明らかにスタンスが違う。次々と切り替わるカメラアングルからも明らかなように、画面に映っていないだけで同行スタッフは山ほどいるのだ。
また、編集が素晴らしく良くできていて、例えばあるシーンが流れたと思ったら、その時どのようなことを感じていたかを参加メンバーが語る個人インタビューのカットが挿入されたりする。カットカットに登場する各人が何を考えてどう行動したのかが非常にわかりやすいつくりになっている。オーストラリアの自然を写した空撮の出来も最高レベル。ただ全員が全員素人なんでしかたないんだけど、ヘボヘボだしゆるゆる。テント組んで初日の夜にいきなり猥談大会始まったりして緊張感がね――。
しかも家作るとかの集団作業はじまると性格悪むきだしにする人間や、たいして知識も無いくせになんとなくリーダーシップとって失敗したりと、全員が全員すげえだめだめなんで見ていて楽しい楽しい。インタビューだと個人攻撃大会だし。ゎ−ぃゎ−ぃ
虫が沸いてるイチジク無理やり食べて吐きそうになったり、あげく火すら満足に起こせない(あらかじめ練習しておけ!)ボンクラたちがくだらんゲームやって勝ちチーム負けチーム決定〜負けチームから1人追放〜。司会のジェフがねちねち嫌味言って投票はじめ。
自分勝手だとかさんざん影で言われて自分以外全員一致で決着。すげ――なぁ。
最初のサヨナラは傍若無人な女看守・デブでした。たしかにガンガン嫌われていた。そして心にもなく泣いて見せる残りメンバー。ゎ−ぃゎ−ぃ
デブ「私よりチャラチャラしたのいっぱいいたじゃないの。こんなの絶対納得いかないわ!」だって。
楽しいなあ。来週も見ようっと。ゎ−ぃゎ−ぃ
【単行本・漫画】 野中英次「魁!!クロマティ高校」 2巻 講談社
暴力吹き荒れる学園を舞台に、個性豊かな生徒たちのふれあいを描いた作品。
――素行不良という理由でかつての同級生たちに卒業式への出席を禁じた荒谷二中校長。
この振る舞いに我慢ができなかった加藤優は松浦悟とともに、自分を腐ったミカンとして追い出したかつての母校、荒谷二中へと乗り込む。放送室を占拠した加藤は校内放送での謝罪を校長に要求する。ここでの加藤の台詞は歴史に残る名台詞であると思う。
「取り消せって言ってんだよ!卒業式まであと5日だ。けど、その5日はこいつにとって二度とやってこない中学生活なんだ。あんたたち、こいつの身になって物事考えたことがあんのか。『うちで勉強してれば学校に来たことにしてやる』冗談じゃねえよ!こいつには学校に行く権利があるんだ。そして、おまえらには、たとえあと5日でもこいつを学校へ来させて、いいこと悪いことをちゃんと教える義務があるんだ。俺のお袋を馬鹿にしたこと、沢井の権利を取り上げたこと、手をついて謝れ!!」
全校放送で校長に謝罪させ、あふれんばかりの加藤コールの中、放送室から姿をあらわした加藤を取り押さえんとする警官隊、身体をはってそれを止めようとする金八の台詞、「こらあ、俺の生徒になんばしよっとか、きさ―」、護送車で警察に連行される加藤、その車を追いかける加藤の母親、その時バックに流れるのはこの、
シュプレイヒコールの波 通り過ぎてゆく
変わらない夢を流れに求めて
時の流れを止めて 変わらない夢を
見たがる者たちと戦うため
(中島みゆき「世情」)
………万人にお勧めしたい作品です。泣けます。
【単行本・漫画】 野中英次「課長バカ一代 子供用」 講談社
この作品の凄まじいところはやはり人間の心の奥底に潜む闇、そして狂気についての容赦無い描写でありましょう。デーモンたちの無差別合体による大量殺戮、それが何時自分の身に降りかかるかもしれないという恐怖から次第に理性を失っていく人類。悪魔特捜隊に連行され、拷問のあげく惨殺された美樹の母親の亡骸を見つけた明は拷問士たちにむかって絶叫する。
「おれは、からだは悪魔になった……だが、人間の心を失わなかった! きさまらは人間の身体を持ちながら、悪魔に! 悪魔になったんだぞ! これが! これが! おれが身を捨てて守ろうとした人間の正体か!」
「地獄へおちろ人間ども!!」
そして、美樹を救出するべく牧村邸に向かった明が目にしたものは……
神とは、悪魔とは、そして人間存在とは、というテーマを壮大なスケールで描ききった奇跡の作品です。この作者にももうこんなものは二度と描けないでしょう。
本当に凄いです。
【単行本・漫画】 小野敏洋「ネコの王」 1巻 小学館
――かつて、世界に魔法はあった。
魔法の源であるマナが枯渇、すたれた魔法文明の代わりに機械文明が台頭した世界が舞台の魔法ファンタジー。見た目的にはほとんど現代日本とかわらないけど、かつて魔女の使い魔として知性を与えられたネコだけは普通に言葉を喋ってたり、法機と呼ばれる魔法機械がときおり見られたりするちょっと変わった世界を舞台に、なぜだか人間なのに「ネコの王」に選ばれてしまった小学生・修と、うやむやのうちに修のお目付け役となった黒猫・セロの活躍を描きます。
小野敏洋の漫画の上手さといったら、もうたまんないくらいで、キャッチーなセンスと煩悩がきちんと同居した絵柄できちんとアクション描くことのできる数少ない作家さんだと思います。少年向け作品にエロをすべりこませるこの人の手腕といったらスゴイものがあるね!
単行本表紙の猫女神様と、カバーを外したところにある古麻子ちゃんのイラストが小野敏洋の属性をわかりやすく表してるっつーか、つまりは爆乳orつるぺたロリの二択なのね(ほかにも属性あるけどそれは別名義の話)とか、主人公なのに修描いてありません、とかそんな感じ。ネコの王の力を手中に収めんとするライバル猫カナガキ率いる軍団との法機メカバトルアクションやらで「わぁ、ちゃんと少年漫画だ!」と思ってると第4話いきなり肌色ホーダイぷるぷるホーダイだったりして、この人はホントにもう!
すげ――美味い作品です。
そういえば、なんとなく検索してるうちにこんなページ見つけました。じつは小野敏洋、「電撃ピカチュウ」250万部売ってアメリカポケモンフリークの間では英雄、神様扱いなのでした。
【単行本・漫画】 加藤元浩「Q.E.D.………証明終了」 10巻 講談社
まるまる1冊使って「魔女の手の中に」というエピソードやってます。
登場人物たちの心理に焦点をおいた重層的プロットが売りのこの作品、たしかに派手なトリック中心、解決編になったら動機やら何やらが唐突に判明するようなありがち推理漫画とは一線を画している……というのはすでに何回も何回も書いてることですね。
今回の話は2層構造。
MIT在籍時代の燈馬がたまたま知り合った2人、ぐーたら研究者のエドと、エリート女検事・アニー、同時進行するそれぞれのエピソードに燈馬がかかわっていく、といったものになってします。
「なぜエドは研究から逃げ回っているのか?」といった日常的な謎、そしてアニーが担当する、どう考えても妻が犯人以外ではありえないという状況での男性射殺事件、この2つの謎を通して、探偵役である燈馬、エド、そしてアニーのそれぞれが精神的に成長していく、といった人間ドラマになってるのがすごいかも。2つの謎の真相はもちろん明らかにされて終わるんだけど、決してそちらに物語のウェイトが置かれているわけではありません。
人物の表情描写などは正直そんなに上手い人ではなく、パターン限定された表情しか描けない感じなんですが、それでも毎回ぐっと引き寄せられるストーリーテリングは流石の一言です。ミステリ漫画の中ではこの人だけ別次元なことやってる気さえしますね。
ラストの展開にはちょっとビックリ。元気少女の水原さんが登場しないぶん、ちょっと湿っぽいエピソードでした。
01/07/23(MON)
引き続き
正直言ってこのトピックについて僕が何か書く資格あるのかという気もしますが、瀬名秀明氏SFセミナー講演録発表その後について。
事のこれまでの流れについては→ 01/07/20 の日記参照。
まずは野尻抱介さん周辺における意見。
これは野尻抱介リファレンス・マニュアル掲示板・野尻ボードにおける瀬名講演録に対する野尻抱介さんの発言あたりから発言を辿ってみてください。
あと、ふぢーさん日記、floating
voice 7月22日ぶん。
前述した、01/07/20 の日記
における僕の発言も引用されてます。
個人的に瀬名秀明氏に気を使っている感じは別にしないのですが、SFセミナー講演録について「乖離している」と評されたのは、前半部分と後半部分で瀬名氏の立場が明らかに変わってしまっているのがその原因だと思ったので、その事実も踏まえて内容を読んでみたつもりでした。
講演前半部分では「SFファンに相容れない自分」、後半部分では「仲間には入れないかもしれないけれど、それでも何か手助けが……」と編集者もしくはプロモーター的立場でのSF界にたいする意見なのだと思えたのです。
だから、ふぢーさんの
また,わたしは思うんですが,仕事に対して十分な報酬が与えられるべきだ,というのは雇われ人的発想ではないでしょうか。作家の発想と雇われ人の発想が同じでは夢が無さ過ぎるので……。
という意見についても、「講演後半部分における瀬名氏の意見は作家としての自分から出た発想ではないのだろう」と、僕には思えるのです。
それに、誰がどう考えても「そんなこと、なんで瀬名さんが心配してるの?」って不思議に思うだろう講演後半の提案について、たとえば、1500万円の個人資金提供うんぬんにしても(なぜ急にそんなことを……)、具体的に挙げられた朝日新聞の5段抜き広告という展開方法にしても、SF的には間違いなく外部であろう僕の目から見ても「え――っ!」って狐につままれたような気分になる不思議なもので、まさしく「ドリーマー」という印象を受けるんだけど、どうなのかなあ。僕なんか逆に瀬名さんの純粋さを感じるところであります。
野尻ボードにおける野尻抱介さんの発言にも関連してくるんですが、自分が好きなジャンルがそれなりに栄えていてほしいと思う理由の一つには、シリーズ途中でいきなり単行本が出なくなったり、雑誌掲載のまま単行本としてまとまらなかったり、ということが避けられるかもしれない、というものがあるんです。
特に書き下ろしという形をとることの多い小説単行本の場合、数ヶ月かけて書いてみたものの、それがいきなり一文の得にもならないままお蔵入りというケースが往々にしてあって、たとえばシリーズラストまで書いたものの本としては1冊で終わりな古橋秀之「ソリッドファイター」シリーズとか、全3部予定してたものの、2冊目書いても出なかった田中啓文「緊縛のジェラ」シリーズとか。この2人はその後なんとかなってるケースなんですが、駆け出しの時ってこれ相当キツそうだと思うし、下手したら予定されてたはずの収入がすっぱりなくなったことで作家生活続けられなくなるケースだって多そうです。あと、ずっと単行本にまとまらない例でいえば牧野修「月世界小説」シリーズとか。
もちろん、ここらへんは読者の問題というよりも編集者、そして出版社の覚悟の問題ではあるんですが、無い袖は振れない、というのも間違いなくあります。ある程度ジャンルそしてレーベル的に潤っていれば、そういう余力も持てるかな、と。
瀬名氏講演後半におけるいくつかの提案(現在SFセミナーのサーバが落ちてるんで具体的には引用できません)の中で、「今後5年間『これはSFではない』と発言しないようにしよう」ばかりが取上げられてる気がするのですが、「あと10人SFに強い優秀な編集者を増やす」ってのと「創元・ハヤカワのSF文庫はぜんぶ買う」の重要度はじつは高いのではないかと思います。
ところで、瀬名秀明氏がSFやめるということが具体的にどういうことを示しているのかについてはよく考えてみるとさっぱりわかりません。
次回作がいきなり科学のかの字も出てこない和製クーンツだったりとか、もうノンフィクションしか書かないとか、新本格だったり純文学だったりしたらビックリしますが、そんなことはまずないでしょう。
SFから遠ざかるってのは単に「SFセミナー」なり「SF大会」なりに参加・出演しないってこと言ってるだけなのかもしれませんね。
01/07/24(TUE)
「これはSFではない」
瀬名秀明さんは予想を超えてヒートアップしてしまったようで、こんな結論に至ってしまいました。
ここで取上げられているのは野尻ボードにおけるここらへんからの発言、そしてふぢーさんの7月22日づけ日記、そして2ちゃんねるSF板「瀬名秀明、SFに決別宣言」(このスレッドを立てたのは俺ではありません)あたりです。
そのほか、この件についてのコメントとして、
・ありさとの蔵
7月23日日記
・蟻の城
7月23日日記
・GigiGagaOurForceField
Project 世迷い事
7月23日
ともにSF系日記更新時刻に登録されているサイトではありますが、有里さんにしてもshojiさんにしても、SFファンという感じではなさそう。瀬名さんいうところの外部からのコメントになるのではないかと思います。
深井龍一郎さんについても同じく外部からのコメントかな。個人的には「『これはSFではない』といわないようにしよう」というのが「言論の自由が制限された社会」になるのかどうかといえば、それは疑問。瀬名さんがSFファンを統治してるわけではないので。これはあくまでSFファンという共同体に対する提案でしょう。講演での瀬名発言においても「今日、この場で全員で申し合わせる(笑)」ってきちんと(笑)入ってるし。
あ、それから、「そういうものだ。」とかヴォネガット引用するから、ふぢーさんつっこまれるんだ、と思った。当の瀬名さんにしても、野尻ボードとふぢーさんとこ、そして2ちゃん(藁、この3つをもって「ウェブSF業界」とするのもなんだよな――と思う。WebSF業界全体で10人くらいなのだろうか。そして、もうちょっと落ちついたいほうがいいような気がします。編集が重要というのは本当に同感。いくら素晴らしい作品が産まれたとしてもそれを正しく評価してきちんと売るための土壌が出来上がってなければどうしようもないと思うので。
それにしても、傍から見てて本当に不思議だと感じるのは、SFが売れてないというならばとりあえずSFファンの人たちだけでもいっぱい買っとけば?という気がすることで、たとえばSF系と漫画系の更新時刻一覧に登録されてる日記見ていても、雑誌、単行本合わせて漫画系サイトのほうが買ってる量使っている金額ともに多いような気がしてなりません。買支えという発想はないのかな。漫画系のヒトに多そうな読む読まないにかかわらず出たら即買いな人、SFファンの中にどれくらいいるのでしょうか。
追記
愛・蔵太さんのヘイ・ブルドッグ(7月23日の本日の言葉/仮想日記)にもとりあげられてますね。
同じ投資するなら自分の名前冠につけたSF大賞設立したほうがいいのではないか、という愛・蔵太さんの意見には僕も賛成です。
この方法だと、瀬名提案の中の「出版社の枠を超えてクリエイター集めて展開させる」という側面はなくなるし、「SFクリエイターたちの心をひとつに!」みたいな感じにもならないんだけど、1,500万円を資金に展開させるアイデアで有効そうなもの考えると、現実的にはこれくらいが無難かなあ。賞金それだけ出すんだったら新人賞じゃなしにプロの応募も可能なSF大賞とかにしておいたほうがいいような気がしますね。
大賞作品の映像化前提でスポンサー探すという提案にもまったく同感で、映像化することによる宣伝効果というのは本当に大きくて、やっぱりアニメとか映画とかせめて深夜枠で実写化しないと、一般の人には広がらない気がします。
本だけあっても売れません。
「メビウスひみつきち」→「見下げ果てた日々の企て」 改名はこのページで告知、新サイト名募集→投票という手段によって決定しました。
「見下げ果てた日々の企て」は略してMHK部門。このほかの候補としては「未必の故意」、「蜜柑・干し柿・鰹節」、「Mad
Howling Keypancher」、などがありました。くわしくは「このページの名付け親になろう!」掲示板、そして投票 参照のこと。
なにやってるんだろう、ちょっと前のわしは……。
【雑誌】近代麻雀ゴールド 9月号 竹書房
佐藤正「燃え燃え建設 トーゴー愚連牌」がなんだかすごい展開になってて、来月で最終回(;´Д`)「人違いだ 人違い殺人がおきたぞ!!」←こんなセリフあるか!あとベテラン勢はやはりすごいね――ということで六田登「眠り玉三郎」が面白いです。麻雀部分はどうでもいいんですけど、物語冒頭の婚約者に対するサディズム描写がええ感じです。読み応えあるよね。安達哲(原作:有元美保)「ギャル雀」はちょっと展開的に失速かも。ほんとに有元美保が原作書いてるみたいで、安達哲漫画だったらもう2歩も3歩も踏み込んで下司極まりなく救いない描写しないとあかんのでは。福本伸行「天」。ずっとアカギの説教漫画になったままですが、案外悪くないです。重い言葉使えるってのはやはり武器になるんだなあ。破戒僧麻雀漫画、萩原はっさく「じゃんでらでん」と沖田龍児(原作:安田潤司)「無限 - MUGEN -」の2本が最終回。誌面の雰囲気変わるのかな、と思ったら、次号から桑沢アツオ連載開始だったりして、ズバリ、裏!ヤクザ!桜井!という感じでやはりぜんぜん変わりません。
01/07/25(WED)
アクセスアップ!
よ――し、今日もばっちしアクセス数稼ぐぞ――!!
メガドライブのソフト全部持ってる元セガ広報部、竹崎忠さんじゃないんだから(長い前振りだな……)漫画については出る漫画出る漫画全部は買えないっすね。ただ、いるとかいらないとか、そういう計算とは別の感情で買い物する場合も当然あるので。
本人も嫌がるしその雑誌にも迷惑かかると思うんで、それが誰か、どの雑誌なのかは秘密だけど、雑誌愛するあまり広告スペース自分で取ろうとした人間知ってるからなあ……もちろん本人一文の得にもなりません。大赤字です。思いのみの大暴走。「個人じゃダメです」って断られたけど。そういう強烈かつ特殊な例、知ってるだけに「愛情ストレートに表現というよりは議論に走りがちなんだな……」との印象持ってしまったのかもしれません。
2ちゃんSF板瀬名スレッド、煽り発言少なくてみんな冷静ですね――とか思いました。きちんとみんな話をしている。あ、>54書いたのって勿論僕じゃありません。
【雑誌】 月刊アフタヌーン 9月号 講談社
まずは期待と不安入り混じる新連載、鶴田謙二(原案・設定:GAINAX)「アベノ橋魔法☆商店街」。一瞬わからなかった。カラーページのあるみちゃんずいぶん大人っぽいな――とか思ったら、神社から5年前の回想シーンに入るんですね。舞台は大阪、慢性的客不足によって取り壊されそうな寂れ町、アベノ橋商店街。「風水のバランスの問題や、世界崩壊の序曲や!」玄武・青龍・白虎・朱雀の置物探すためにサッシ、あるみちゃん、2人のコンビが商店街を右往左往する……みたいな物語、なんでしょうか。あるみちゃんの表情・行動がやたら可愛ええのと、女の子キャラが魅力的なのがええ感じです。男キャラは全員キャラ立ち過ぎだけどな――。毎号これが載ればどんなにいいことか、といきなり期待なんですが、ホント、不安で、心配でなりません。もう、読んじゃったしなあ。いまさらどうしてくれるんだよ、ちゃんと連載してね……。そして、こっちはシリーズ連載、能條純一「弁護士 響渡流」。え、これで終わり?響渡流、なんかした?とビックリしました。………この終わりでホントにいいの?植芝理一「夢使い」。誰もがたんなるロリコンだと思ってた橘っすが、今回なんか奴が主役だな(笑)燐子ちゃんとのボケツッコミコンビで登場→不思議時空発生→「転装!!」→「電刃爆裂!メタル・インパクト!!」ダメだ――そのままだ――。面白いんだけど、やっぱどんどんダメ漫画になってくな……。黒田硫黄「茄子」。おっと、後編に続いていたのか、な江戸時代編。ご法度の初物茄子見咎められて大抜刀、天狗侍vs.斬られ同心決闘の一幕。なんというのか、鮮やかな殺陣に終わらない血生臭いラストでありました。前半登場の4人が結局どうなったわけでもなく、悪夢の一夜がもう一回ぶり返してそのまま終わり、という非情さがスゴイですね。そしてこっちも時代物、沙村広明「無限の住人」。久しぶり、偽一と百琳姉さんサイド。いろいろと残酷な事実判明の回、ずばり、短すぎですね。鬼頭莫宏「なるたる」。「今月はもえます!!」って扉に書いてあるよ。燃え?萌え?つー感じですな(笑)ひぐちアサ「ヤサシイワタシ」は流石にこれネタバレしたらあかんだろ、という展開。書きません。北道正幸「ぽちょむきん」。先月号で誉めたと思ったら今月これだよ……。
01/07/30(MON)
夏休み
5日間更新サボってしまいました。
久しぶりのレビューは爽やかな3冊を、どうぞ。
まずは幻想四海関連。
掲示板で色々書いて、それについて7/24付けの日記でもレスもらってたんですが、更新止まってたせいで返答できませんでした。まずはスミマセン。
さて、問題の7/24付けの日記なんですが……。
う――ん、ビックリするくらいにダメだな――。もう、本当に驚愕ですね。真剣に長文書いて出来あがってきたの、これですか?本当に?!
「SFに関してはまず現実科学としてNASDAがちゃんと飛ぶロケット作ることから始めればいいのでは。あんなもんに夢はたくせません。
」というCr3+さんの言葉について、この記述こそがみのうらさん怒らせた元凶だと思ってる方、ひょっとしておられるかもしれないんですが、それはちょっと違うかも。たまたまこの記述読んだ時、みのうらさんの怒りが臨界点に達しただけで(もちろん後述の麻耶さんご指摘のようにみのうらさんが怒るの無理なさそうな危険コメントだったことは間違いないのですが)、問題の根はまだまだ他、もっと深いところにあると思うのです。
その問題についてはBooks BY 麻耶 の麻耶さんが【ネットケンカの極意(3)】として7月27日付けの日記でまとめられてます。いわゆる幻想四海6月のメインイベント×2(藁、岡田斗司夫「フロン」晒しあげオタオタ事件+それに関連したタニグチリウイチさん中傷事件についてです。実のところ、ここらへんのテキスト読んで楽しい気分になるのって当のCr3+さん以外にはいないと思うんだけど、そこらへんがわからないのかなあ……とずっと不思議でした。少なくともただの勘違いからかかわりのない他人を中傷するような記述したわけで、普通、正式に謝罪しそうなものなんですけど、どこにもそんな記述はありませんでしたし。たぶんCr3+さん自身は悪意がないただのネタのつもりだから当然許してもらえるものだと自分勝手に判断したのだろうけど、そうした部分に垣間見られるCr3+さんの幼児性こそが読んでいる人間をカチンとさせるものだという気がします。参照:「タニグチリウイチってどうよ?」の>>173〜177とか。タニグチリウイチさん批判する目的のスレッドなはずなのになぜかここだけ逆転していたりするところに注目。
もともとCr3+さんのスタンスについて、僕が疑問を感じ始めたのは昨年の10月、ちょうどみのうらさんもリンク張ってる同人女子についてのCr3+さんのテケトー分析に遡ります。現在では修正済みでありますがその第1稿であるところの、お世辞にも対象に対して敬意をまったく払ってない小馬鹿にしたようなテキスト読んで、「うわ――、毒舌!」とビックリしたのもつかの間、同人女子、達人代表として例に挙がっていたのが日刊オードリーのオードリー羽田さんだったのでさらにドビックリ!! 「羽田さん、男だろ(;´Д`) 」 掲示板でやんわり修正の旨伝えておいたんですが「夫婦のサイトだと思ってました。」というCr3+さんの訂正コメントにもイマイチぴんとこなかった記憶があります。とにかく、そんな中途半端な知識で知らない分野について語っちゃうんだ……というところにビックリしたのは確かです。ちなみにこの時にも2ちゃんでスレッド立って、Cr3+さん問題のテキスト修正しまくりでした。自分の文章に対する責任、覚悟みたいなものは当然のように見られませんでした。
というのが、これまでの事件の経緯の説明です。
というかここに挙げた例以外でも、過去ログ読んでると腹立つ記述めちゃめちゃ多い稀有なサイトだと思うんだけど、それは僕の気のせいでしょうか。■サイトの基本姿勢■に「今までも単純に人を傷つける目的の悪意剥き出しテキストは書いていませんでした」と書いてはあるんだけど、そのすぐ上、■みのうらさん■のところの記述からは明確な悪意が漏れ出していたりして、無自覚に悪意垂れ流してるほうが性質悪いのがわからんのか!といいたくなります。喧嘩売ってきた相手であるみのうらさんにいい感情持てないのは重々理解できるんだけど、戦略的にここで悪意露呈したらマズイというのがわからんのかな?まったく、Cr3+さんのテキストについてはこちらの思考では計り知れない部分があります。理解不能っ!つーかな。
■毒舌・煽り■に関しても、「どうして自分が煽られたのかわからない」ならば、それって毒舌でも煽りでもなくて、「自分が何書いてるのかわかってない」って事じゃないの?と思いますが、いかがか。そもそも、毒舌、煽りであることを意識した発言吐くんだったら当然返ってくるだろう反論、批判の言葉についても予想済みであるのが普通だと思うんですが、どーかなあ。そこらへんの理論武装しないまま暴言吐いてテキスト慌てて修正したり、開き直ったりするから、みんな呆れてるんじゃないのかなあ、そんなことを考えてしまうんですが、Cr3+さん、どう?
最後に、□返答・スズキトモユさん□について。
「箱に閉じこもったアンタッチャブルなモノ」って何すか?時限爆弾とかですか?5年間引き篭もり中の連続殺人犯とか?(不可能犯罪だ!)
なんとなくその言葉からは興味本位に弱者を叩くといった印象を受けてしまうんだけど、気のせいですか?なんか物言いが不透明に感じられて不思議で仕方ないんですが、「自分より偉いところにいる人なので煽り基本で好き勝手書いただけ」と同じ感じで弱いのも平等に叩くってことなのかなあ。いまいちわからないですね。なんだろうなあ、このもにゃもにゃ感は……。
他人のサイトだということは重々承知な上で、キツイこと言うと、正直、幻想四海、リンクにコメントつけないでいいですよ。このままのスタンスでCr3+さんが幻想四海続けてもどうせあと2ヶ月くらいしたら同じこと繰り返すのは目に見えているし、腹立てないでリピーターとして来ているみなさんはそもそもCr3+さんの文章読んでないのではないでしょうか。
頑張ればなんとか起死回生できるはずだった7/24付けの日記の内容も結局は「Cr3+さんがわかってないことだけはこちらに伝わってきた」内容だったしなあ。保護者でもなんでもないんで、いちいち指摘突っ込みなんかしないですよ、面倒くさい。
ぜひCr3+さんにはプロのライターとして活躍してもらいたいと思います!だってほら、プロ、アマについての幻想理論でいうならば、ReadMe!の順位下のサイト(たとえばウチ)のウェブマスター全員、Cr3+さん叩き放題にできて、それにCr3+さんは反論できないってことになるからな――!
ほら、自分がおかしいこといってるってわかるでしょう?
【単行本・漫画】 黒田硫黄「茄子」1巻 講談社
ひょっとしたらあなたの近くにいるかもしれない、自称「漫画読み」な人間がホンモノか否かを見極める方法を教えよう。
「黒田硫黄の作品についてどう思う?」 彼ないし彼女にこう尋ねてみればよい。
作品の好き・嫌いはともかく、少なくとも現在の青年漫画を守備範囲にしていて作家・黒田硫黄がアンテナにひっかかっていないような奴はすべて口だけのニセモノである。「え、誰?」 そんな言葉が聞こえてきたら、鶏のようにキュッと首を捻ってやろう。
そんな不穏な考えすら沸いてくる天才・黒田硫黄の待ちに待った単行本。「大日本天狗党絵詞」以来だから、講談社からの単行本としてはなんと4年ぶり?!
さて、タイトルからしてヘンテコなこの「茄子」。実は名前通り「茄子」をテーマにしたオムニバス漫画だったりして、つまりはどの話にも最低1コマ「茄子」が登場するとかいうもの。この緩やかすぎるしばりを受けて黒田硫黄の変幻自在の筆致は冴え渡る。
「大日本天狗党絵詞」にも登場したような髭のインテリ中年親父を軸にしたお話なのかと思いきや、唐突にスペインを舞台にした自転車レースの話になったりとか。しかも1話1話の密度が濃密きわまりない。
「短編作品とは長編作品で使えるだけのアイデアを使って簡潔に仕上げた作品のことである」っていうことはずっと考えていることで、前述の自転車レースの回、「アンダルシアの夏」なんかはこれだけで楽々長編にまとめられそうな贅沢な話なんだけど、これといって特になにも起こらないようなお話描いただけの回も、なぜか黒田硫黄作品に限っては深く深く心に刻まれて永く余韻を残す。なぜだろう?
例えば、第7話「4人」なんか髭親父がただ上京したっていう話で本当にただそれだけのストーリー、それでもさりげなくきらりと輝く会話のセンスによって物語はずっと心に残る。 「一日千キロ いったりきたりでございます」 なんて、いいんだ!いいよねえ。
思春期もの2話、「空中菜園」の高橋さんは親父とのからみで再登場(2巻に収録)するんだけど、「ランチタイム」出演のダメ若者2人、国重さんと有野君もまた出てくれないかなあ。いい、いいばかり言ってるけど、本当に、すごくいいんだよ。
漫画というメディアの持つ表現力がどれくらい奥深く、豊穣なものなのかが凝縮された1冊。これで黒田硫黄の存在を知ったという人は、ひきつづき「大王」買って、そして現在唯一の長編連載作である「大日本天狗党絵詞」
1巻/2巻/3巻/4巻 ( これあつかってない段階でBk1まったくダメダメ(;´Д`)
)を買おう。これ全部買っても4,000円しないんだよ。物の価値は金額では計れないと言うけれど、それにも程があるよ、まったく。
【単行本・漫画】 岩館真理子「月と雲の間」 講談社
さて、岩館真理子。
これだけキャリア長くて、しかもこれだけ安定しないで作風を変化させつづける作家さんも珍しいのでは、と思うんですが、そんな岩館真理子の最新単行本は講談社モーニング新マグナム増刊連載の母子コメディ。
「表紙に偽りあり!」ってのは一読後誰もが感じることで、正しくは表2の部分、つまりは表紙めくったところにあるおばさん百面相が正解なんでした。この表紙は主人公のお母さんの20数年前の姿。詐欺だ――!
10年前に夫と離婚、現在は娘のほなみと2人暮らしのお母さん(名前はなんだ?)、そして父親と同居中、たまに会いに来るもう1人の娘みのり、(一応)この3人を中心に進行していくお話はなんとも例えようもないもので、たとえばこの作品をリアルなおばさん生態コメディと捉えることも可能だし、かつてはあった、そしていまはもうなくなってしまった家族たちをテーマにしたシリアス作品だと捉えることもできる。また詩的な言葉に彩られたセンシティブなストーリーとも読めたりして、岩館真理子の描く世界はまるで万華鏡の中のように角度によってころころと姿を変えて読むものを魅了してやみません。
このなかでは小銭にぎりしめてコンビニにお月様買いにきたるっちゃんのお話である第3夜が秀逸だと思うんだけど、別にこれといって何もない第5夜だって楽しい。もちろん基本はコメディなんだけど、たとえば第6夜の冒頭でよその子供のお父さんの姿をじっと見つめるるっちゃんの後ろ姿がしめすようにシビアな現実はずっとそのままあるし、それでも……。
岩館真理子の現在到達してる地平は間違いなくこの人にしか辿りつけていないところで、それを目にしておくことは決して損ではありません。YOUNG
YOU不定期連載の「アマリリス」も合わせてチェックを。
同時収録「いつか、どこかで雨の日に」は、しかしなんぼなんでもワケわからん話でした。「キララのキ」直後でミステリアス風味詰め込みすぎだったのかも。
【単行本・漫画】
あさりよしとお「なつのロケット」 白泉社
やっと単行本になりました。
夢物語でなく、小学生たちがきちんとロケットを作るお話です。
ここでいうところのロケットとは、作品冒頭でも登場するペットボトルロケット、もしくはモデルロケットみたいなものじゃなくて、「衛星軌道に乗ることが出来る」ロケット、ということで、このあたりは技術面のシミュレートを担当している宇宙機エンジニア・野田篤司氏の巻末解説にくわしい。
実践中心で教科書を使わない型破りな授業をする女理科教師に触発され、心を宇宙へと向ける小学生・泰斗とその仲間たちがペットボトルなんかじゃない、本物のロケットを作ろうと思いつくところから物語ははじまる。秘密基地と呼ばれる戦争中の砲台跡を実験所に作業は進み、やがて泰斗たちのみならず、謎の転校生・三浦、鉄工所の親父・木下など、様々な人物たちの思いは1台の小型液体燃料ロケットへと結集していく。
――そしてラストシーン、真上、見上げればそこに。
もう1本の巻末解説、「夏のロケット」著者である川端裕人の言葉にあるように、1990年代始めから前世紀末にかけて非情に微妙だった日本の宇宙開発事業、そんな空気の中からロケットをめぐる物語はいくつも産まれてきて、たとえばそれは野尻抱介「ロケットガール」、前述の「夏のロケット」だったりするのですが、そのラストを締めくくるのがこの「なつのロケット」。僕たちがかつてもっていた宇宙への思い。この作品は失われてしまったそんな思いと見上げれば真上にある宇宙とをもう一度「結び合わせる」ためのものだったのかもしれません。
ヤングアニマルというどう考えても場違いなフィールドで、ひょっとしたら世界が終わってしまうかもしれなかった夏に描かれた物語。たかだか130ページくらいの中篇ともよべる作品ですが、20世紀の最後の年、あさりよしとおがこんな話を描いていたというのは記憶の片隅に留めておいてもいい。そんなことを思いました。
01/07/31(TUE)
なつやすみ
―― 茹だる夏 現実(うつつ)を穿つ 凶夢(まがつゆめ)
ということで(なんじゃそりゃ)すっかり回復のレビューではこのページらしくナイトメアな3冊を、どうぞ。
【単行本・漫画】 富沢ひとし「ミルククローゼット」3巻 講談社
「エイリアン9」以来ずっと、富沢ひとし作品における表現レベルはどんどん冴え渡り、まさに究極的、先鋭化の極みに達していると思うのですが、ひところあんなに彼の作品を持ち上げていたサブカルな人たちはいったいどうして「ミルククローゼット」もしくはウルトラジャンプ連載中の「プロペラ天国」にコメントしないのでしょうか?そんな疑問が頭に渦巻く今日この頃であります。
とはいうもののその気持ちわからないでもなく、箱庭的な学校を舞台にいわゆる悪夢と現実を行きつ戻りつしていた(ように見えた)「エイリアン9」とくらべると、悪夢的平行宇宙に行きっぱなしで帰ってこない、この「ミルククローゼット」は物語を追うのが大変、連載で読んでいてもわからなくなること多いし、正直読んでいてつらい時もあります。
「読者の許容量を軽々と飛び越えてしまってるよなあ……」と感じることも多い作品です。
(人を選ぶだろうけど)可愛らしい表紙(表1)のカラー葉菜ちゃんにしても、一見可愛く(?)思えるかもしれない裏表紙(表4)にしても、それはやはり見せかけで、だいたい裏表紙にあるジェリービーンズみたいなの全部しっぽ族じゃん!げ――!!
正直、現代の漫画におけるエログロ表現の極まったところにこの作品が位置しているのは間違いないと思います。ミルク隊の面々がつかまって卵を無理やり産まされるシーンとか、ボロボロにやられる亜利沙ちゃん、潰されて手足ちぎれるハカセ、奇怪な世界を徘徊する異形の生物たち、そして、世界は腐っていき……。
ホント、凄まじいの一言。こんなのほかにはないね!
考えようによっては表紙カバー取ったところにみえる、ミルク隊3人が全裸でお尻つき合わせてシッポすりすりしてるイラストこそがこの作品の全てを表しているような気すらします。ロリキャラを残酷箱庭宇宙に放してそこで何が起こるのかを傍からそっと眺める感覚。もちろん、趣味が良いとはいえない、むしろ悪趣味の極みを突っ走ってる作品であることは間違いありません。でもこんな世界は、富沢ひとしにしか描けないものなんです。
この巻の内容としては葉菜ちゃん復活とか。ネタバレしないで書くの非常にむつかしい感じですね。
巻末付録、平行宇宙でのもう1人の葉菜ちゃん亜利沙ちゃんの話、「ミルクの休日」にみえるほのかな残酷性、耐えられない不安感も凄まじいです。
【単行本・漫画】
井上雅彦監修「異形コレクション 夢魔」 光文社文庫
久しぶり、異形コレクション。
「夢魔」のタイトルらしく夢をテーマにした作品が25篇、収録作家は50音順に朝松健、安土萌、飯野文彦、井上雅彦、浦浜圭一郎、江坂遊、奥田哲也、かんべむさし、菊地秀之、久美沙織、倉阪鬼一郎、五代ゆう、小中千昭、小林泰三、霜島ケイ、竹河聖、田中哲弥、新津きよみ、平山夢明、深川拓、藤掛正邦、牧野修、村田基、森真紗子、山田正紀。
この中で個人的に注目しているのは五代ゆう、小林泰三、田中哲弥、平山夢明、牧野修あたり。700ページくらいあって、全部は読めていないんですけど、とりあえず気になった作品+αくらいを。
・ 平山夢明「怪物のような顔の女と溶けた時計のような頭の男」
<静かになってもらう>必要が生じた<獲物(ゲスト)>を拷問の果てに処理するのを生業とする男、通称MCと、彼の前に獲物としてあらわれた継ぎ接ぎだらけの顔を持った淫売女、ココ。彼ら2人の愛の物語とも読める残虐かつ奇怪な1篇。
平山夢明こそが現在読むべき作家である、とは前々から思っていたことで、長ったらしくも奇妙なタイトルのこの作品を読んでその思いはさらに強固なものとなりました。とにかく吃驚。
井上雅彦いうところの「原色の暗闇」とは平山夢明の作風を例えるのにまさにピッタリな表現で、解剖学そのほか多岐にわたる科学的知識そして猟奇犯罪者たちの記録、それにデルモンテ平山名義で見まくったジャンクホラービデオのZ級感覚を加えてミキサーでこなごなに混ぜ合わせたかのような独特の作風は、漆黒の闇を描いてきた既存のホラー作品のそれとは大きく異なっているように感じられ、物語を構成する1つ1つのパーツとって見ると全てがジャンクで組みあがっているように思えるのにそれでいて奇妙な静寂感、気品のようなものも不思議に感じます。また、ホラーだけにとどまらずデュアル文庫「少年の時間」で書いていた少年SFの出来もすごく良かったのでジャンル問わずもっとガンガン書いてもらいたい作家の1人ですね。
・ 田中哲弥「げろめさん」
20枚くらいの掌編。しかしながらどうしようもなく吐き気を催す強烈かつ奇妙な物語で、「いったいなんでこんなものが書けるのだ…」といつも不思議に思います。コストパフォーマンス激悪に時間かけて書いてるんだろうとは思うんですけど、それにしても……。
身重の妻を抱えたサラリーマンが携帯電話を探して夜の学校に迷い込むくだりの唐突さはまるで内田百フ(ひゃっけん)の短編にも似て、これは本当にすごいと思うんだけど、世間的にはいつものように無視されて終わりなんだろうな、とやりきれない気分になる。また傑作と思ったからといって、何回も読み返すかというと、文章濃密な上に本当に気分悪くなる描写多いのでそうは読み返せない。じつはひどく奇妙な恋愛話。
・ 小林泰三「脳喰い」
「現実とはいったい何か?」というのはこの人の作品によくとりあげられるテーマでなんですが、この作品も夢と現実の境界をテーマにしたもの。なんと、外宇宙SF。ラスト、2人の台詞が決まっててカッコいい。
そのほかによかった作品として、「眠り姫」と題された藤掛正邦のカタツムリ写真+詩のセット、伝奇ホラー書かせたらやはり上手い霜島ケイ「夢憑き」、どこか幻想芝居を観覧してるような印象をうける五代ゆう「どっぺる・げんげる」、これでもかという感じの言葉の奔流が素晴らしい力作、朝松健「妖霊星(ようれぼし)」など。気になった人としては浦浜圭一郎。牧野修「いかにして夢を見るか」はいささか小品にすぎたかもしれません。
今回はテーマがテーマだったせいか、バラエティに富んでいて、読んでて楽しかったです。
【単行本・漫画】 新堂冬樹「血塗られた神話」 講談社文庫
メフィスト賞受賞作家の中では新堂冬樹ってなんでこの賞から出てきたのかわからない、異質の存在だと思うのですが、そんな新堂冬樹のデビュー作が講談社文庫化されたんで読んでみました。
債務者を自殺に追い込んだことがあり「悪魔」と呼ばれ怖れられる街金融経営者・野田秋人。彼の周辺の人物をまきこんでおこる連続猟奇殺人に立ち向かっていく野田の姿を描いたこの作品ですが、ゾッとするような悪意の表現については上手いです。たとえば事件の発端、死体の肉片の欠片とともにゴキブリを封じこめたタッパウェアが野田の元に送りつけられてくるあたりの描写とか。
前述したように、なぜメフィスト賞受賞作なのかわからない、フーダニット、ホワイダニットなどというミステリとは一線を画した作品で、いわゆる暗黒小説のカテゴライズになるのかなあ、確かにラストの捻りはちょっと驚いたけど、登場人物もともと少なくて、けっこう死んじゃってるしなあ……という感じで、あまりそんな人いないと思うのですが、この作品にミステリ的要素を期待しても仕方ない気がします。人間の魂の暗部を描く新堂冬樹の筆致を楽しむためのものです。
第2作である「闇の貴族」の拷問シーンがすごいらしいんで、それも楽しみです。
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