>>トップページ

site search help

  comic novel magazine etc.

comic

古谷実「ヒミズ」 4巻(完結)
荒木飛呂彦 「ストーンオーシャン ジョジョの奇妙な冒険第6部」 12巻(75)
木多康昭 「平成義民伝説 代表人 下之巻」(完結)
comic さくいん

magazine

ヤングアニマル No.14
近代麻雀オリジナル 8月号
magazine さくいん(更新停止中)

novel

ジャン・ヴォートラン(訳:高野優)「グルーム」
アーヴィン・ウェルシュ(訳:早川敦子)「マラボゥストーク」
中島らも「今夜、すべてのバーで」
うえお久光「悪魔のミカタ 魔法カメラ」
うえお久光「悪魔のミカタ2 インヴィジブルエア」
米田淳一「ホロウ・ボディ」
法月綸太郎「法月綸太郎の新冒険」
アーヴィン・ウェルシュ(訳:池田真紀子)「エクスタシー」
novel さくいん

etc.

陸上防衛隊まおちゃん 第2話「初出動のまおちゃん!」
朝霧の巫女 第2話「入学式異変」
映画「STARWARS エピソード2 クローンの攻撃」
円盤皇女ワるきゅーレ 第1話「天女のいる銭湯」
あずまんが大王 第15回


 2002/7
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

02/07/11(THU)

○「根こそぎ底値」

・古谷実 「ヒミズ」 4巻(完結) [bk1][amazon]
 古谷実は本当に天才だな……この人がこんなにすごくなるとは、まるで想像ができませんでした。
 ついに最後のタガが外れ、「きっかけ」を求めて街を彷徨う住田、茶沢の存在も、彼の底無しの絶望を救うには至らず……という最終巻。全ての希望を失った人間の行動をここまで見事に描いた作品はめったにないと思います。家出した後の住田の行動は突拍子もないように見えて、それでいてリアル。これはすごいです。
 また、ひょっとすると読み逃してしまいそうですが、住田の妄想(忍び寄る死の影の象徴である一つ目の化け物)が現実世界を侵食しているあたりにも注目です。最後の夜ボート小屋のドアを開けたのは誰だ? そして、その描写をラストに持ってきた意味は? ということを考えてみるのもよいかもしれません。
 そういえば、これは3巻感想の時にも書いたことですが、雑誌掲載時、ラスト近くの展開を読んでいた時にまず感じたことは、醒めた狂気や妄想が現実を侵食していく様の描き方が、ジャン・ヴォートラン「グルーム」と共通しているな、ということでした。せっかくなので↓に感想を書いておきます。

 とりあえず最終ページがまるまる書き直されてるというのは確認したのですが、その他の加筆分についてはヤンマガ捨ててしまったため、わかりません。書き直しといっても緻密に描きこんだだけで内容自体に変化はなかったと思います。

■book【単行本・小説】 ジャン・ヴォートラン(訳:高野優)「グルーム」 文春海外文庫  [bk1][amazon]

ジャン・ヴォートラン(訳:高野優)「グルーム」  12歳の少年ハイムはアルゴンキン・ホテルにフロアボーイとして勤務する。ポルトガルから来たメイドのアノンシアータに色目を使ったり、607号室に常駐する淫乱症のミセス・アーバンクロンビーを10ドルチップとひきかえにエンパイヤ・ステート・ビルディングのてっぺんへと昇らせてあげたりしながら(比喩表現)日々の勤めを終える。彼はこの仕事が好きなのだ。
 しかし、それは全て妄想だ。現実世界のハイムは片足に障害を抱えた中学の美術教師であり、社会とうまく折り合いをつけることができない。年老いた母親とふたりでひきこもったような生活を続けるハイム、彼はごっこ遊びのような、歪んだ自分だけの「世界」を作り出し、その中で自分の中の満たされない部分を充足させる。しかし、やがて妄想世界がその範囲を拡大させて、アルゴンキン・ホテルの住人たちがハイムの姿を借りて現実世界に顔を覗かせた時、彼の狂気がおぞましい事件を引き起こす……

「パパはビリー・ズ・キックを捕まえられない」、「鏡の中のブラッディ・マリー」(まだ読みはじめたところだが……)に続くヴォートランの第4長編。第1作である「赤い投票」は邦訳されていないようだ。
 社会にうまく適応することができないひきこもり青年の内面世界の暴走が引き起こす悲劇を扱った作品であるが、作品の中でメタフィクション的に交錯する、妄想/現実の描き方が抜群にうまく、読んでいて幻惑させられる。
 たとえば、この作品の中では、現実、妄想、それぞれの世界が完全に独立して存在し、瞬時に切り替えられるといった単純な描き方はされていない。現実世界の中で妄想に生きる主人公を同様に扱った牧野修「だからドロシー帰っておいで」のように、現実世界における視点が狂った主人公以外の視点であるといった描かれ方も選択されていない。現実のハイムが、アルゴンキン・ホテルに勤務している自分の中のもうひとりのハイムを自覚しているような描写も出てくるし、ミセス・アーバンクロンビーが本当な何なのかを、ホテルマンであるはずの妄想世界のハイムがわかっているような描写も登場する。つまり、年齢の異なるふたりのハイムの内面、その境界はひどく曖昧なもので、その曖昧さは作品世界そのものを次第に侵食していく。なんせ登場人物の中のひとりは現実/妄想、どちらの住人だったのかわからないままに終わるのだ。読んでいて眩暈すら感じた。

 また、「パパは……」における、妙に噛みあわない登場人物間の会話などもこの作品の中では失われている。この作品の現実において、まともに他者と会話しているのは唯一真っ当な人間だといえる女刑事のサラ・ドッドルドーだけであり、それ以外はほとんど会話とも呼べないレベルのものであると思う。ディスコミュニケーションのレベルが行き着くところまで到達している。

 社会の歪みをシュールな形で体現したキャラたちを登場させることで、殺伐としたことが平然と行われるその内容にどこか軽やかな印象を与えていたように感じるヴォートラン作品であるが、この「グルーム」はそのシュールな部分のほとんどをハイムの妄想世界の産物にすることで、ずっしりとした、やりきれない読後感を産みだしている。後味だけでいうならば前述の「パパは……」のほうが軽妙でよいのかもしれないが、作品から与えられた衝撃の度合いで言えば、格段にこちらのほうが高い。とにかく、読んでいてくらくらしてくるのだ。

○【ANIME】 陸上防衛隊まおちゃん 第2話「初出動のまおちゃん!」 (→公式

 50円くらいだなあ。
 黒田洋介にしても赤松健にしても、思いつきではじめてみる / とにかくいろいろ投入してみる / わりかし自己のリピドーに忠実 / あざとすぎても(゚ε゚)キニシナイ!! などなど(あくまで想像です)、いわゆる「安すぎ」作風の作家さんなんですが、ひとりだったら100円ショップレベル、ふたり合わさったら相乗効果でさらに半分! 50円くらいになったよ――というアニメでありました。BGMのピアノは誰が演奏してるんだ…… しかし、いくらなんでも安すぎないか。
 「はじめてのおつかい」meetsエイリアンつー設定も、盲点といえば盲点なんですが、分別のある大人ならこんな企画立てないよな――と思いました。まおちゃん@こやまきみこがぴーぴー泣くのを聞いて楽しんだりするのかなあ、とぼんやり考えてみた。しかし、赤松キャラの再現度はきわめて高い。あとは、たぶん毎回可愛いエイリアン。3DCGももれなく安いね……アプリ付属のサンプルデータそのまま流用、という感じだな(;´Д`)

 来週からは藍青にもどろう……

○【ANIME】 朝霧の巫女 第2話「入学式異変」 (→公式

 頑張ってるのはわかるけど、やっぱ、むつかしいね…… 原作知らない人は「巫女萌えアニメ? それにしちゃ中途半端」とか思っちゃうだろうし、原作ファンの人は「再現度がね……」と思うだろうし。個人的には水墨画っぽくない妖怪(しかたないけど……)に違和感を感じてしまいました。あと、展開、駆け足すぎないですか?

02/07/12(FRI)

○「予感でする留守電かよ……」

・荒木飛呂彦 「ストーンオーシャン ジョジョの奇妙な冒険第6部」 12巻(75) [bk1][amazon]
 荒木先生にも困ったものだな……
 スタンドのルールが荒木先生だけにしかわからない種類のものになってから、どうにもギャグにしか思えない、しかし、荒木先生が描いてるから、それだけで有無を言わせないだけの迫力はある(編集の人も圧倒されてるのかな?)。でも、やっぱりさっぱり意味はわからない……という昨今の展開ですが、この巻でトドメをさしましたな。
 3つしか新しく物を憶えられないから忘れたくない記憶は身体に書いておくといった、いかにも「メメント」なスタンド登場して続き、というこの巻の展開なんですが、また、とんでもない荒木物理理論での解決だったし(2進法かよ)、単行本タイトル通り、あっさり脱獄かよ……で吃驚です。
 しかし、一番の驚愕はストーリー後半、アナスイとウェザー・リポートの脱獄道中2人旅に登場したディズニー訴訟にチャレンジスタンドだよなあ……ジャンプ掲載時にちゆでも取り上げられてましたが、自分のオリジナリティに絶対の自信を持つ荒木先生にしかできない種類の挑戦であります。セリフのほとんどが大爆笑だったよ…… 臨時ニュース「突然、ミッキーマウスが失踪しました」、「自由人の狂想曲なんだよ」、「ゴッホの自画像です」、「感動しましたね、わたしのこと?」 こんなに世界がシュールすぎていいのか。スタンドの射程とか確実にどうでもよくなってるな……

■book【単行本・小説】 アーヴィン・ウェルシュ(訳:早川敦子)「マラボゥストーク」 スリーエーネットワーク  [bk1][amazon]

アーヴィン・ウェルシュ(訳:早川敦子)「マラボゥストーク」  なんだか凄いものを読んだ気がする。

 僕の親友、元サッカー選手のサンディ・ジェイミソンとふたりきりでアフリカの密林を旅する。醜悪な形をした巨大な嘴で腐肉を漁るあの忌まわしい鳥、マラボゥストーク(アフリカハゲコウ)をこの大地から殲滅するのが旅の目的だ。やつらは殺し屋だ。やつらの狙いは混乱をひきおこすこと。1匹残らず殺さなければ。もっと、深く、深く、潜って……
 しかし、それはすべて妄想。 植物状態でベットに横たわったきりのロイ・ストラングは、自分で身動きひとつできないという過酷な現実から逃れるために、意識の奥底に作り上げた妄想のアフリカで怪鳥マラボゥストークを狩る日々を送っている。

 彼の意識は表層から3つの領域に分かれている。聴覚のみが機能し、両親や兄弟、友人らなど見舞いに訪れる人々の声を聴く事しかできない現実世界 / 生まれてから植物状態の現在に至るまでの回想 / 友人サンディとともにマラボゥ狩りに勤しむ妄想世界、この3つだ。
 心電図のように刻一刻とその位置を変化させていく彼の意識をそのままなぞるような形で、現実←→回想←→妄想を行き来しながらストーリーは進行していく。主人公ロイの内部で邪悪のシンボルとされているマラボゥ鳥を根絶やしにすることを目的とした、妄想パートにおけるメタフォリックな冒険ファンタジーが、虐待が虐待を生んで弱いものがさらに弱いものを叩くといった不幸の連鎖が平然と行われる腐りきった過去の記憶と絡み合い、もつれ合い、回想パートの時間軸が現在へと近づいていくにつれ、なぜ彼が植物状態に陥っているのかという謎もあらわになっていく。それに加え、記憶の奥底に封印したまま忘れたい忌まわしい記憶がそのまま復讐にやってきたような過酷な現実が襲いかかり、そして……
 これは「まえがきにかえて」と題されたウェルシュ本人へのインタビューで書かれてることなのでネタバレにあたらないと思うのだが、中盤以降の展開で登場し、この作品のテーマの根幹をなすトピックとなるのは、ウェルシュの故郷でもあるエディンバラで1980年代に行われた、女性に対する性的虐待を扱った「ゼロ・トレランス」キャンペーンである。そしてウェルシュ本人がこの作品の中で最も訴えたいことは「他人を傷つける人間たちは、えてして、自分自身が過去に傷を受けた人間であること」。その言葉はラストの展開へとそのままつながっていき、ジャンキーのバッド・トリップ小説かと錯覚しそうな妄想描写に彩られた物語の印象は完全に反転する。どこまでも重くのしかかってくるようなテーマがその姿をあらわす。

 たぶん「トレインスポッティング」の印象が強すぎたせいだろうか、ドラッグカルチャー周辺の若者像を描いてたまたま脚光を浴びた作家程度にしかアーヴィン・ウェルシュのことを認識していなかった気がする。しかし、それは大きな間違いで、(手法的には少々荒っぽい気はするが)重厚なテーマを様々な方法で調理してみせんとする、文学の形式に挑戦的な才気溢れる作家だと今は認識している。

「フィルス」も買ったからそのうちに読もうと思う。

 アンナ・ピンスキーの手による巻末解説、そして早川敦子の訳者あとがきを先に読むのはまったくおすすめできない。この作品に隠されたテーマ、ラストの展開をそのまま書いてしまっているからだ。

02/07/13(SAT)

○「よく知らないが、ガイナらしくよ?」

「STARWARS エピソード2 クローンの攻撃」観てきました。

 なんというのか、いろんな意味で吃驚。こんなアバウト脚本でええのだろうか。ええのだろうな……
 画面の隅から隅まで何かがいっぱい動いてるもの凄い映像で、ツッコミどころ満載のストーリー演ってる感じでした。考え無しに行動して絶体絶命に、という展開ばかりじゃないのか!? 旧三部作の内容もぼんやりとしか憶えてなくて、エピソード1も「ジャージャーうるさい、死ねよ」ぐらいしか印象残ってない状態でいきなり行ったのだけど、そこがよくなかったのかなあ。楽しくなかったわけじゃなくてむしろ大爆笑しながらみてたりしたんですが、ほかのお客さんとはちがった観かただったのかも。
 アミダラ女王(現元老院議員)暗殺計画の黒幕を暴くため、10年ぶりに彼女と再会したアナキン君とオビ=ワンさんが警備と捜査を担当する……と、簡単に言えばそんなお話なんですが、それにしても行き当たりばったりと自分勝手しかないストーリー展開だよなあ。アナキン君って、評議会の命令を唯のひとつでも守ったのだろうか……!? 旧三部作ご存知の方なら周知の事実ですが、のちにダース・ベイダーとなる彼がフォースの暗黒面に堕ちていく様子が描かれてるこのエピソード2なんですが、久々に再会した昔馴染みの年上女性にいれこんでる高校生にしか見えないような気がする…… アナキン君にしても、なんだかんだ言いながらあっさり彼の愛を受け入れてみるアミダラさんにしても、同年代の異性がそばにいないからインプリンティングされちゃってるだけなんじゃないでしょうか。って、そんなこと言っても詮無いんだけどな……。
 ジェットコースター・ライドやら、筋肉番付やら(世にも無駄な大ピンチ)、とにかくいろいろ動いてる大乱戦、そしてラブ・ロマンスにチャンバラと、てんこもり感覚とはこのことか! とばかりに詰め込まれていて結構楽しめましたが、本気なのかなんなのか判断に苦しむ頭悪いシーンも満載で、真の意味での娯楽作とはこのことかも!? と同じく思いました。
 しかし10年の月日を経てジャー・ジャーの出世著しいのには驚きました。この人ただの道案内役じゃなかったの? 評議会はよほど人材に困ってるとみえる。あと「SPA!」誌上でルーカスにインタビューしてた中原昌也が言ってたとおり、マスター・ヨーダとドゥークー伯爵(クリストファー・リー)の殺陣は老骨に鞭打って、という感じでたしかに老人虐待なのかもしれません。カッコよすぎで素晴らしかったですけど。

 あまり寝ないでいったら観終わったあとひどく具合悪くなってしまって早めに帰宅。なんせ、財布落としても気づかなかったくらいだからなあ。今までの人生、生活に直結した貴重品についてはほとんど無くしたことなかったのに。よほどダメダメだったのだろう。ちなみにバーのお姉さんに拾われて無事戻ってきた。かなりヒヤっとしました。

○【ANIME】 円盤皇女ワるきゅーレ 第1話「天女のいる銭湯」 (→公式

 なんでここからスタートなのかがわからないストーリー展開だな……キャラデザ担当した介錯の手による漫画版と同じく、ワルキューレ乗った円盤が時乃湯に墜落したところから素直にはじめたほうがいいと思うんだけど。じゃないと、なんで「僕の魂の半分は……」なのかも、なんでワるきゅーレがワルキューレに変身するのかも、猫ミミメイド星人の真田さんはいったい何者なのかもわからんよ……

 第1話を見て、続きがチョー気になった、というか、「?」がいっぱい頭に浮かんだよね。これは、続けて見ていくしかない。(第1話のキャプつき)

 そうかなあ……内容がさっぱりだから顔見世だけしてみてもダメな気がするんだけど。来週は見るつもりけど、それ以降感想書くかは未定。様子見です。

○【雑誌】 ヤングアニマル No.14 白泉社

 巻頭カラー、柴田ヨクサル「エアマスター」。インドから無事帰還した伸之助の強さの理由がわからないな……行動パターン読める相手でないと勝てないのなら小西の強さもたいしたことないのかもと一瞬思ったけど、常識埒外No.1である坂本ジュリエッタと良い勝負していたような気もした。うーん、微妙な展開だ。 文月晃「藍より青し」。サーヴィス回続く(w 今回はちかたん。彼女がでてきた、つーことで、半剥けスク水登場確定なんですが、とうとつに同級生2人出してるよオイオイ……と思った。そんな状態で会話すなよ! とも思う。まったく…… そして、これはヒドイ(w 竹下堅二朗「Bless You!」。 サッカーW杯ブラジル優勝記念ということで「ブラ汁」。この液体はいったいなんですか? という汁系エロ漫画の展開そのままやりよる。暑さに脳がヤラれましたか? と心配してしまいそうな素晴らしいお話ですね!

○【雑誌】 近代麻雀オリジナル 8月号 竹書房

 漫画に関してはほとんど触れる気がしない。「39」に娘さんキャラが登場しそうな感触があったのと上野顕太郎「星間麻雀」が載ってたくらいか。しかし、田村光昭の原作をコミカライズする必要性がどこにあるというのだろうか、この21世紀に(よく使う言い回しだな……)。フーテンなんて単語ひさしぶりに見ました。しかし、全体的に「いつの時代!?」感のつきまとう雑誌であることだ。
 第14回最強戦・作家雀豪大会に「無限の住人」沙村広明が初参加していて、巻頭カラーページの集合写真、中央あたりにその姿が確認できます。そういえばきちんと顔見たのはじめてで、「おひっこし」巻末に載ってる半実録漫画の自画像よりいい男なんじゃ? と思いました。倉田真由美が2位入賞していて、本格的に幸舞い降りたのか、この女に? とか思った。ちょっと憎い(嘘 先月の「何を切る!? 2002」で5索切る人間のセンスがわからない……あ、赤入りだったら三萬切ってオッケーかも、とは思った。でも四萬引きのロスがでかすぎるから個人的には2索切る。今月の
 二三三五六七八九467889 ドラ:西
 これ、問題になってるのかな? 一見一通になりそうだけど、その実、平和のみで終わりそうな手牌であります。
 4索持ってる意味がわからないから、これ切ればよいのでは? 5索入ったら8索雀頭に固定して一通目見ればいいだけの話で、7索引いたらあきらめて平和。一萬引いても一通目。多少ロスが生じてもそのぶん高くなりそうなら問題ないでしょう。

02/07/14(SUN)

■book【単行本・小説】 中島らも「今夜、すべてのバーで」 講談社文庫  [bk1][amazon]

中島らも「今夜、すべてのバーで」  そういえば、読んだことがなかったので、手にとってみた。面白くてすぐ読み終えた。

 吉川英治文学新人賞受賞作。
 18のときから17年間欠かさず酒を飲み続けた挙句、立派なアルコール中毒だと自己認識するに至り、しかしそれでも酒を止めることはなく、ついに肝臓を壊して病院入りすることになった男の入院から退院するまでを描いた、簡単にいってしまえば、アル中闘病小説であります。

 主人公である売文家、小島容(いるる)が、著者である中島らものそのまま分身であることは明白で、それについては先に読んでいたドラッグ各種に関するエッセイ集「アマニタ・パンセリナ」(集英社文庫)、「アルコール」の項にくわしい。実際に中島らもが連続飲酒に陥ってしまったきっかけが、演出:大林宣彦、東京乾電池の面々や原田貴和子らがキャスティングされているミステリー劇の脚本が上がらなかったことであるというのもそのままで、なんと、その脚本が上がったのは公演の4日前だそうだ。それはひどい。
 さらにすごいことには、この本を書いていた頃、つまり実際の退院から1ヵ月後には、事務所のマネージャーとして登場するさやかのモデルであろう、わかぎえふの前ですでに飲酒を再開していたということで、真実ひどいと思った。酒盃傾けながらこのラストシーン書いてたのかよ―――。

 そんなことを考えると、この作品の後半に登場する担当医師赤河と主人公小島のアルコール中毒、ひいては人間が何かに依存するということについての討論は、自己矛盾を抱える中島らも自身のエクスキューズとも取れるわけで、一種のデウス・エクス・マキナにも思える、それに続くラストの展開は、こうありたいと願う中島らもの理性部分のあらわれなのかもしれません。ちなみにその後、中島らもはアルコール依存症に加え、鬱病と躁病で再入院することになるのでした。

 目の前の誘惑に対してあっさりと折れてしまう、どうしようもない人間を主人公に、偽悪的なタッチの一人称で書かれた物語ながら、それでも嫌味には感じられず、小島容という弱い人間にどこかシンパシーを覚えてしまう、絶妙の匙加減が素晴らしい作品だと思います。筆致の制御が上手いなあ。

 ところで、この作品のタイトルもすごいですが、この人の作品はタイトルセンスに秀逸なものが多いように感じます。たとえば、「永遠も半ばを過ぎて」、「人体模型の夜」など。

02/07/15(MON)

■book【単行本・小説】 うえお久光「悪魔のミカタ 魔法カメラ」 電撃文庫  [bk1][amazon]

うえお久光「悪魔のミカタ 魔法カメラ」  発売直後に買って70ページくらい読んだところでなぜか中断していたのを思い出して最後まで読んでみた。

 6年前、「妹が宇宙人にさらわれた」らしい高校生・堂島コウの元に、亀甲縛りっぽいボンテージ・ファッションのロリ娘がいきなりやってきて言うことには、「あなたの魂を、いただきにあがりました」
 彼女は《知恵の実》なるアイテムを使って自らの望みをかなえた人間の魂を回収するのが仕事な悪魔っ娘であり、それは2日前の全校集会における教師《ザ・ブルマ》山崎の不可解な死にかかわるものらしい。写真を傷つけることで被写体を殺すことができる悪魔アイテム《ピンホール・ショット》を使って願いをかなえた人間がいて、その疑いがコウにかかっているのだ。
 自分にかけられた濡れ衣をはらすため、日炉理坂高校《みすてりぃサークル》の個性的なメンバーをまきこんだ捜査が開始された。

 西澤保彦のチョーモンインシリーズにおける超能力犯罪と同じく、《知恵の実》にもそれぞれ発動条件が設定されていて、たとえば今回の事件で使用されたアイテム《ピンホール・ショット》では、懐に隠すことはできなそうなサイズ / 呪い発動の有効時間は9分 / 顔を含む半身が写っている必要がある / 服装を変えると無効、というもの。撮った写真を傷つければ被写体が死ぬわけだから完全犯罪にこれ以上うってつけのアイテムはないように感じられるが、では、衆人環視の壇上で有効時間の9分を超える説教をしていた教師を殺すにはどうすればいい? というのが事件のポイントとなる。

 巻末あとがきに「ミステリーとして書きはじめたけど途中で挫折して好き勝手書いた」との作者コメントが載っているけれど、たしかにそのとおりで、犯人もすぐに判明してしまい、それ以降やけにどろどろとした展開が続く。
 ミステリとしての出来はどうか? といえば、真相は読者の盲点をつくもので、比較的フェアであると思った。悪魔アイテムを使って犯人がかなえた願いとは何か、という謎についてもきちんと答えを用意されていて、なるほどと感じた。では、なぜ「比較的」なのかといえば、主人公サイド以外の視点から事件を眺めたらどうか? というのがちょっと怪しい気がするから。まったくといっていいほど警察は機能してないよね……いいのかなあ。

 主人公である堂島コウをはじめ、登場人物全員が狂っていて感情移入がまったくできないというのもすごい。なんかしらないけどカミングアウトしまくってるのもすごい。性別関係なく(!)フィジカルな接触による擬似血縁関係が多数生まれてそうな雰囲気がするのもすごい。なんとなくいろいろ犯罪っぽい。ミステリだからいいのか。いいんでしょうか。いいんでしょうか。いいんでしょうね。

 そういえば、「探偵退場 / 探偵誕生」という第3章のタイトルはなかなかいいと思いました。

■book【単行本・小説】 うえお久光「悪魔のミカタ2 インヴィジブルエア」 電撃文庫  [bk1][amazon]

うえお久光「悪魔のミカタ2 インヴィジブルエア」  ひきつづき読んでみた。

 前作後半においてあまりにどろどろさせすぎたのを反省したのか、今回は殺人ではなく不可解な状況の中での美術品(+人間)消失事件を扱う。しかし、罪の多寡に関係なく《知恵の実》使って願いを叶えたことを認めたら魂取られてしまうというのはなんとなく納得できない。路線変更したからしかたないのかもしれないけど、今回の犯人と前回の犯人では罪のレベルがえらくちがうような気が……それは「死」ではないと繰り返しことわられてはいるけれども、うーむ。

 不可解な消失事件、ではあるけれども、今回使用された悪魔アイテム《インヴィジブルエア》は、簡単に言ってしまえば物質透過スプレーなので消えてしまったこと自体には謎はない。トリックのポイントは消すことはできても実体は残る大理石像をいかに運び出したかというところにある。前作と比較すればミステリ的要素は少なくなっていて、むしろ物質透過アイテムがもたらす中盤以降の大混乱を描くのがポイントになっているような気もする。警備担当がメイド部隊でよかった……というところでしょうか(w

 前作と同じく、中盤ほどで犯人が誰かは明らかになり(そもそもレギュラーメンバー以外の登場人物がほとんどいない)、それからは堂島コウはじめとする《みークル》の面々とアイテムを自在に操る犯人との対決が描かれるという展開になる。この巻以降もこの形式で書かれるのかな。

 また、前作におけるどろどろさ加減が別の方向性にそのまま変換されたような気もしていて、舞原(姉)がしらないあいだにネコ耳少女になったり、いまいち影が薄かった「全校生徒にレズカミングアウト」小鳥遊譲が巫女装束で登場したり、舞原家メイド部隊の面々がストーリーに投入されたりと、なんかすごいことになってる。警察だのなんだの国家権力がまったく及ばない舞原家完全自治ワールドでの事件になってるのもものすごい。
 細かいところだけど、「仲間意識って重要だと思うんだ」とか言いながら《みークル》Tシャツを作ってきて配る堂島コウの頭の中身を見てみたいと思った。お前、仲間だなんだいってるのはどの口だ! この口か! ホント、狂ってるよなあ……

 あまりに中途半端キャラだった《部長》はいきなし完全リストラされたんでしょうか? 意味なし傍点多すぎなところもすごい。(さすがに既出だろうが)あきらかにまちがってる挿絵もすごい。

02/07/16(TUE)

■book【単行本・小説】 米田淳一「ホロウ・ボディ」 ハヤカワJA文庫  [bk1][amazon]

米田淳一「ホロウ・ボディ <プリンセス・プラスティック>」  しかし、へんな小説…… 「エスコート・エンジェル」の続編。なかなか面白くて、すぐに読み終えました。

 一介の暗殺者相手に人間型戦艦が立ち向かってた(酷い……)前作の印象は無敵モードのシューティングゲームなんですが、国際犯罪機関の手によるバイオテロが新淡路市を襲う! みたいな今回の物語の印象はロールプレイングゲームのたらいまわしシナリオかなあ。ワームホール技術気軽に使わないせいか(前作では切符までワームホールにしまってたからな……)いちおう敵組織と戦力拮抗してるみたいに思えるのですが、その実、シファとミスティのコンビが意味なくうろうろしてただけという気もします。
 そもそも、ラストにあんな危機的状況迎えるくらいなら、その前にさっさとなんとかしとけばいいのに……勝てるのに! とは、ほんのちょっとだけ思って、女子パーティー御一行、暖炉を囲んで夜の恋話(こ・い・ば・な♥)とか、「くそ! かわいいぞ!」とか、そういうのは事態を終結させてからやってください。こんなにマターリとした展開のパニック小説は初めて読みました。この非常事態に本屋のイベントなんか行く理由がどこにあるんだよ!

 描写のアンバランスさ加減にドライヴかかってきた! というのも特筆すべきことで、たとえば、都市をパニックに陥れてるはずの特殊粘菌・羽化体の外見描写を「天使を思わせる純白の」レベルで済ましてしまってるのは流石にあんまりだと感じました。たった10文字!? 香椎さんが着てるレオタードの素材描写に半ページ使ってるのに……
 そのほかにも、余裕でひとつの国を滅ぼせる軍事力をもった空母が乗っ取られてしまうという緊迫した展開を、たった2ページであっさり終わらせたかと思えば、それに続く早瀬局長の愛車紹介に3ページ使ってみたり、で、「これからの展開でこの車が何か重要になるのかな?」と不思議に感じてると、何事もなかったかのように路面電車に乗り換えて内閣調査庁に向かってみたりして、何が書きたいのかイマイチよくわかんないなあと思いました。(いや、きちんと再登場したし、伏線にもなってるんだけどさ……)

 クドルチュデスさまに合わせたせいでしょうか、そういえば新登場のキャラ全員が全員ハジけてました。レオタード姿でお菓子を食べてるトコしか思い出せない、「やなこと言っちゃったわねン」な語尾が特徴の(小池一夫に影響受けてるにちがいない)香椎さんとか、前回ちょっとだけ登場の「あるでしよ♪」「でしでし」のクドルチュデスさま、「わたしは娼婦……」とかずっと考えてるアツコさんとか、皆さん、いいかげんにしてください!

 前作では無味乾燥気味だった台詞にもこの人なりの味が出てきてるみたいで、なかなかよいです。ココロ震えた台詞としては「真実なんてイデオロギーよ」かな。ぜんぜん意味わからん。

 カラー口絵のクデルチュデスさま@緒方剛志なんですが、いくらなんでも怖すぎだと思われます。独身男の妄想じゃなくて、悪夢(nightmare)だよね……

○【ANIME】 あずまんが大王 第15回 (→公式

 わお、おもしろい!! 「木村家の人々」、「みたみた?」、「未確認奥さん」、「ガチガチ」、「結果発表」の5話。

 なんかね、ともがすごくいい。元気のムダ使いがすごくよい。「体・育・祭」2周目。クラス全員に焼肉って、いったいいくら賭けてるんだ…… 鷹の爪談義。ツインチョーク攻撃。神楽のレーゾンデートル。黒いだけじゃダメなのだ…… 隣でそんなに真剣になられると引くよね…… ともの率直過ぎる物言い、「この足手まといが!」 10kmマラソンって、長いね…… 不思議なバトン。 「マイワイフ」 「利発そうなお子さんだ……」 木村奥さんに陰謀の香り。じつは天使。
 当日。「あんた、なんか得意なものあるのか?」 よく考えるとひどい。 「わたしは、太ってへんで……」 さらっと復讐。神楽ととも、バカコンビ。 実行委員長。なぜ木村が!?(去年も思ったが) 玉入れ。使えない3人。あ、男子がいる! 玉転がし。 「プゲッ!」 ちよすけは動物っぽい鳴き声が似合うなあ…… 障害物競走。大阪、粉だいすき! 顔を拭け。女子騎馬戦。 「最悪の組合せだ……」 というか、普通ちよすけ上だろ…… 大阪、右がわからない。 「プゲーッ!!」 「キュルキュルキュル」 ちよすけ、魅惑の怪鳥音(w 木村の奥さん、ULW(Unindentified Love Wife)にあらず。借り物競争。 「バカ」 いた! 「ヒエヒエヒエ、キエ――!!!(発声不可能)」 ちよボイス、素晴らしい! かおりん至福の時間。って、毎年あるのか…… 千尋たん、隠れキャラなのに。二人三脚という名前のラヴラヴショー。これぐらいの演出だったら控えめでよいかも。ほどけなくていいかも〜 男子といっしょに走るのか…… 鯛焼きぶんのカロリー消費。ラストスパート! 結果発表。人間失格、ゆかりティーチャー。 「……なぜ」
 まったく、素晴らしいできでしたね。

粉パフパフ現実世界に存在! 木村の奥さん@大原さやかいや、やっぱ、よみファンだから……

02/07/17(WED)

○「関係ない、けっこう滑稽な意見か……」

 星雲賞コミック部門の「プラネテス」受賞については、まあ、べつにどうでもいいかな…… そんなに思うところはありません。

 たしかに、現在連載中の作品がノミネートされていた段階でレギュレーション違反なんでしょうけど、「一瞬のきらめき」であることがよくある漫画について「完結作に限る」という規定を何の疑問もなく適用し続けてきたことのほうが不思議というか。今までそれがなぜ問題として表面化しなかったか? と考えると、やはり「運営サイドは何も考えてないのだろう」と、思わざるをえません。もしくは、やっぱりお祭りレベルなのかな、と思います。気のせいでしょうか。(去年の受賞作、さくらだったし
 そもそも候補作を全部読んだうえでの投票でない段階で、大会参加者対象に行うSF作品知名度調査くらいのものでしかないような気がするんだけど……星雲賞に権威うんぬん、ということについてはほとんどピンときません。そんなものがいるの? というよりは、このシステムでそんなものがありえるのかな?
 今年のコミック部門候補作に関しては一応すべて読んでいるのですが、単純に衝撃度の高さでいえば、明智抄「死神の惑星」がダントツに高かったように、個人的には感じました。ひょっとすると、この人がSF作品商業誌に発表できる機会ってこれが最後なんじゃないか、と思ってたりするので、最後のはなむけとして星雲賞取ってもよかったかも。失礼かなあ。でも正直、明智抄のハードSFを載せられる懐の深い漫画雑誌が現在あるのか!? という気はしてしまいます。ビーム? しかし、居場所がないひとだ……

02/07/18(THU)

○「叩いて、木多来て、痛た……」

・木多康昭 「平成義民伝説 代表人 下之巻」(完結) [bk1][amazon]
 あっさり完結。(→上之巻の感想)(→元ネタ解説
「つらいつらい、漫画家なんかなるもんじゃない(オゼゼはいいけど) 俺は1年365日×20時間働いてるんだ、もうヤメだ! オレは自由だ!」みたいなことをさんざホザいてたジャンプ「幕張」時代からうってかわって、打ち切り決まってからのアガキが楽しいマガジン時代を象徴する作品で、木多康昭の負の心意気みたいなものが堪能できる。この巻まるまる打ち切り決定後に描いたものだという段階でかなりすごい。
 シャクレ、馬男、呪術師、すべてのネタがデタラメとしか説明できないが、とくに最終話における野放図かつ(むしろ野放しか……)担当編集諸氏に対する嫌がらせとしか思えない内輪ネタ、人間の心の醜さ(しかも呪詛として完成させないまま思いつきレベルで吐き出されるもの)が、このようなフリーキーな形でギャグ漫画として昇華されるとは、なかなかスゴいと思う。
 木多康昭をたんなるパクリネタ散りばめ作家と認識されてる方もおられるだろうが、ここまで気が狂ったことを平然とアウトプットできるというのは(普通は内なる理性が物語にオチを求めるから)、それだけでやはりものすごい才能だと思う。
 しかし、果たして、次回があるのだろうか?

○【ANIME】 陸上防衛隊まおちゃん 第3話「空の防衛隊 みそらちゃん」 (→公式

「藍青」が休みだったから。あれ、けっこう面白いよ……!?

「……であります!」の女の子、空の防衛隊二等空尉築島みそらちゃん入隊エピソード。
「今日のまおちゃん」のコーナー。 「びしっ、びしっ」 敬礼の練習に余念がない。心底クダラネー。可愛いものには可愛いもの。ハムラビ法典のようだ。三島一等陸佐あらため担任、ということで、触角メガネ@長沢美樹が先生へとジョブチェンジしたよ! モールス信号で会話。このネコ耳さんはどなたで!? (1話見てないから) 「いろいろ教えてあげたいタイプかも……」 命名:みーくん。しかし安い3D……「みたいなもの」じゃなくて、そのもの。警戒警報発令で「可愛いエイリアン」観測。やけにお遊戯会っぽいピアノと微妙に居心地悪い変身シーン。各マスコミに連絡。子細隠さず孫の活躍を報道してくれい! 空に逃げられた〜防衛できないよ〜 なんか飛んできた! 翼に乗ってるよ〜 うわ、なんか飛んでる!! 「めっ!」 終了。じじいも満足。真似っこしいが! 3人出揃ったあと、再来週からの回が問題かな? 52円。

02/07/19(FRI)

■book【単行本・小説】 法月綸太郎「法月綸太郎の新冒険」 講談社文庫  [bk1][amazon]

法月綸太郎「法月綸太郎の新冒険」  そういえば読んでないなあ……と思ったら、ちょうど文庫化された。ラッキー。

 法月綸太郎にしては珍しい、しかし、たいへんにこの人らしい鉄道ミステリ「背信の交点(シザーズ・クロッシング)」、ポルターガイスト現象を扱ったTV番組に、ミステリー作家→ゴーストハンターとして出演が決まった綸太郎が遭遇した怪事件「世界の神秘を解く男」、女の飛び降り自殺現場に出くわした葛城警部の物語「身投げ女のブルース」、殺人事件の容疑者には別の連続殺人事件の容疑者逮捕中継番組に映っていたという鉄壁のアリバイがあった……という「現場から生中継」、交換殺人もののニューエスト・モデル「リターン・ザ・ギフト」の5編に「イントロダクション」なる綸太郎と穂波話を追加収録した短編集。この人の書くものにはやはり好感が持てるなあ。

 とにかく高レベルで安定、すべてが粒揃いな出来の作品集なのだが、もし選べといわれれば「背信の交点(シザーズ・クロッシング)」と「身投げ女のブルース」の2編を推す。
 急病で倒れた館長の代理として穂波とともに「全国図書館司書のつどい」に出席する羽目になった綸太郎が、帰りの中央本線の中で遭遇した夫婦ものの片割れの不審な死を扱った「背信の交点(シザーズ・クロッシング)」は、鉄道を舞台にしたミステリでありながら、これまでの列車ものとはちがった使い方をしているのが面白い。副題はコーエン兄弟の映画「ミラーズ・クロッシング」から取ったそうだが、感傷的な部分と滑稽さと悪意がないまぜになったような人物の心理描写は、彼らの映画のそれとちょっと近いような気もする(そんなに観てるわけではないが)。ラストの処理も上手いと思う。
 この短編集、唯一の異色作である「身投げ女のブルース」は、「パズル崩壊」で登場した葛城警部を主役に、そして法月警視をサブに配して進行する物語で、綸太郎は警視の影のアドバイザーとして、間接的にストーリーに絡むことになる。衝撃度でいえばかなり高いのではなかろうか。「パズル崩壊」収録の実験的作品からの延長線上にあるような物語なので、できればこちらを先に読むのがいいと思う。

・ ところで、探偵の一存で救急車を呼ばない、というのはいかがなものかと思うのだが、どーか。首と胴体がはなればなれとか、死後硬直バキバキとか、腐ってるとか、そういう場合ならともかく、死にたてのほやほやならば脈がなかったとしても一応呼んでみるのが人として正しいのでは!? と思う。蘇生するかもしれないじゃないか! 死体を前にして探偵宣言はじめる「四月は霧の00密室」よりはマシだが……あれは心底ひどいと思った。
・ 穂波って、やっぱりニッキー・ポーター的役割なんだろうか。
・ 「文庫化にあたってのメモ」まるまる使って、フィッシュマンズのこと書いてる。よほど好きだったのだなあ。個人的には「ロングシーズン」がいいと思う。何回も何回も聴いた。

02/07/20(SAT)

○「変態 → 異端へ」

 池袋ジュンク堂にて行われた「SFは活字の宇宙」に行ってきた。

 ハヤカワJコレクションの「どーなつ」、「海を見る人」刊行記念トークセッションとのことで、北野勇作と小林泰三のおふたりがSF、ホラー、ファンタジーについてとことん話す……といった企画のはずであった。
 しかし、話題にのぼったものといえば、「宇宙大作戦 → カーク船長のズル / その名前変更に意味があるのか」、「カラーテレビをはじめて見て吃驚した」、「鉄腕アトムがきらいな子」、「ウルトラマン → 帰ってきたウルトラマンって、別人やん / ゼットンのどこが宇宙恐竜なのか / 『ΑΩ』の『ヘアッ!』って何?」、「親じゃないんだから小説の登場人物に名前つけるの面倒くさい(親みたいなものだと思うが……)」、「田中麗奈と7秒話した(またか……)」、「嘘は書かない、ただし誤魔化す」、「リボンの騎士」、「小林泰三が指輪みたいなハリポタみたいな(グチャドロの)ファンタジー連載する予定の生本という雑誌(どこからでるのだろうか?)」、「イカ星人」、ほかにもいっぱいあったと思うけど、まあ単なる雑談になった。
 そういえば「かめくん」やら「ΑΩ」や「玩具修理者」、「密室・殺人」やらの話題ばかりだったせいもあってか、「Jコレクションの話題を……」と必死で路線変更しようとしているSFマガジン塩澤編集長の姿がひどく印象に残った。
 初めてお会いした方がほとんどだったのだけれど、SF系日記更新時刻に登録されてるサイトの方々がたくさんお見えだったので、たぶん今夜か明日あたりにこの話題がそこらじゅうの日記で書かれるのでは。詳しくはそちらを参照のこと……と、ひどく他力本願であります。

 セミナーや大会など、SF系のイベントに参加されてるような方々とはひょっとしてお会いすることもあるかも……と考えていて、実際その通りだったのだけれど、松本楽志さんとお会いできたのは予想外で吃驚もしたし、嬉しくもあった。じつは楽志さんが昔やっていた「ぱらでぁす・かふぇ」を自分なりに真似してはじめたのがこのページなのだ。結果的にはまったく別物になってしまったのだけれど……。あと、ジュンク堂でコミック担当されてる田中さんがこのページ読まれてたというのも衝撃だった。誰が読んでるのか本当にわからない。ただ、だらだら書いてるだけのページなのに…… 嬉しくもあり、恥ずかしくもあり、でもやっぱり恥ずかしいほうが勝るかなあ。

 その後、近くの喫茶にてちょっとお話。楽志さん以外はSFの方だと思うのだけれど、なぜかミステリの話題になっていた。そして飲み会へ……みたいな展開で、いったん別れてその後合流しようかと思ったのだけれど、疲労たまってて明日朝から用事あるということもあって、そのまま帰ってしまった。すみません…… ということでこれから寝ます。

■book【単行本・小説】 アーヴィン・ウェルシュ(訳:池田真紀子)「エクスタシー」 角川海外文庫  [bk1][amazon]

アーヴィン・ウェルシュ(訳:池田真紀子)「エクスタシー」 「ロレイン、リヴィングストンへ行く」、「幸福はいつも隠れてる」、「懲りない」の3編を収録した中篇集。

 心筋梗塞で倒れたロマンス作家がその病床で夫の不実を知り、担当看護婦とともに復讐を企てるという「ロレイン、リヴィングストンへ行く」は作品の中に挿入される人気シリーズ「ミス・メイ・クラシカル・ロマンス・シリーズ」の内容が作家レベッカの意識の変化により、いわゆるロマンスものにありきたりな展開から次第に欲望に忠実な展開へと少しずつ歪んでいく様が描かれるのが愉快な作品であるし、タイトルからまるで想像できない、サリドマイド禍によるアザラシ肢症を負ったひとりの女とドラッグ中毒の男のお話、そして女の復讐譚であり、男の純愛物語でもある「幸福はいつも隠れてる」は、陰惨極まるストーリーが奇妙に感傷的なラストへと変容するさまが印象的な作品である。でも、読んでいてとくに気持ちいいわけじゃないんだよな……

 ということで、「このひとの作品としてはそんなにデキがよくないんじゃ……」と思ってたんですが、ラストの「懲りない」がなかなかよかったので、評価的にかなり上昇しました。

 デビュー作である「トレインスポッティング」と近しいものを感じるこの「懲りない」は、愛のない結婚生活に陰鬱になってるひとりの女の人生と定職にも就かないままにドラッグとレイブの毎日を過ごしているろくでなしの男の人生が偶然に交わるまでの過程をふたりの視点を交錯させつつ丹念に描いた作品で、とくにダメ男ロイドのパートがよい。ドラッグにまみれながらも陰惨になりすぎず、ただただダメであるその日常は、たとえるならば古谷実「グリーンヒル」で描かれるどうしようもない日々の生活にドラッグを加えた感覚に近いかもしれません。(ただしこちらはセックスには不自由していない) どうしようもなく満たされない、内面の空虚さに対する心の叫び、そしてそれを独特のユーモア感覚とともに吐き出すあたりの呼吸はちょっと似ています。

 ところで上でも述べたようにアーヴィン・ウェルシュ作品の中には、ドラッグにレイヴ、暴力とセックスに満ちたダメ人間達の日常がひんぱんに登場しますが、それらの描写に加えて食べ物の描写が多いというのも特筆すべき事柄なんじゃないかと、ちょっと思います。たとえば「懲りない」のロイドがアシッドやりながらイチゴぱくつくあたりとか、ブッとんだ毎日送りながらも週末に向けてきちんと野菜スープこしらえるくだりとか。ヘロヘロになりながら「俺、ひとっぱしりデリ行って、イチゴ買ってくるわ」と宣言するシーンはたいしたシーンじゃないのに爆笑しました。「話してる暇ないんだよ。食い逃げの最中だから……」ってのもいいよね。ここらへんのことは「トレインスポッティング」感想のときにも書くつもりです。

 しかしながら、「ロレイン、リヴィングストンへ行く」は変態趣味が過ぎる気もするし、「幸福はいつも隠れてる」はただ陰惨なだけの気もするし、「懲りない」も悪くないけど、「トレインスポッティング」読めばそれでいいような気もするので、総合的にはさほどおすすめしません。これ読むならほかの読んだほうがいいと思います。ウェルシュ作品第2弾として文庫化するのは中途半端な作品集だと思うのですが、なぜこれだったんだろう? 作者の技量の幅を見せるという点においては、第2長編「マラボゥストーク」とか短編集「アシッドハウス」文庫にしたほうがまだよかったような気がします。なぜこれなのだろう?

 about this file

InternetExplorer5.5 / Netscape6 で確認しています。
この日記へのリンクについて
 □ 日にちにリンク:ページ上部のカレンダー、リンク張りたい日にちにカーソルを合わせ、「新しいウインドウを開く→アドレスに表示されるURLにリンクしてください。
 □ レビュにリンク:MONO INDEX / QUICK REFERENCEからリンクしたい項目にカーソルを合わせ、「新しいウインドウを開く」→アドレスに表示されるURLにリンクしてください。

home