>>トップページ

site search help

  comic novel magazine etc.

comic

上連雀三平「アナル・ジャスティス 肉棒射精編」
上連雀三平「飲尿女神」 1巻
祭丘ヒデユキ「コングラッチュレイプ♥」
ももち麗子「とびら」
もみじ拓 「もみじ拓傑作選 紅葉」
新井理恵「LOVELESS」 2巻(完結)
comic さくいん

magazine

ヤングアニマル No.15
ヤングキングOURS 9月号
magazine さくいん(更新停止中)

novel

イアン・マキューアン(訳:宮脇孝雄)「最初の恋、最後の儀式」
有栖川有栖「孤島パズル」
アーヴィン・ウェルシュ(訳:池田真紀子)「トレインスポッティング」
novel さくいん

etc.

幕張メッセ「世界最大の恐竜博2002」
あずまんが大王 第16回
陸上防衛隊まおちゃん 第4話「空と陸は一つです」
朝霧の巫女 第4話「巫女委員募集中」
映画「 es [エス] 」
映画「海辺の家」
町田で飲み会
あずまんが大王 第17回


 2002/7
SUN MON TUE WED THU FRI SAT
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

02/07/21(MON)

○「着せ替え・支え・化石」

 早起きして「世界最大の恐竜博2002」に行ってきました。

 なんというのか「骨」でした。当たり前だけど。
 全長20m強クラスの全身骨格が立ち並んでる光景は勇壮で素晴らしかったですが、ふと視線を下におろせばチビっ子がうじゃうじゃいるのでした。夏休みははじまっている。……って、並んでる段階でお子様パーセンテージ50%くらいはあって、ヘソから下あたりの空間人口密度がやたらに高かったです。子供がなみなみ注がれたプールに腰まで浸かってる感じ。

 あれだけの数の骨を見る機会はなかなかなくて、実際にも興味深く楽しかったと思いますが、じっくり眺めたとしても存外時間が持たない(まあ、骨見るだけだから)のと、会場案内にあるディノレストランというのは実質コンビニ(am/pm)なんで、ちょっとショボい気がする、というのはあります。アロサウルスやセイスモサウルス、ディプロドクス類の骨眺めながらワイングラス傾けて今宵は……なんてことしたい人いるのかわかんないですが、できません。
 やけに品数充実していた会場出口ディノショップでおどる11「幸せきょうりゅう音頭」(注:「おどる11」とは、ハロー! プロジェクトシャッフルユニットのうちのひとつ。→参照:構成メンバー)や、マスコットキャラであるところのセイモくんグッズ(チョロQっぽい「RUN! RUN! セイモくん」とカスタネット)など、どう考えてもいらないものばかり買って帰る。セイモくんが片隅にちょこんといるだけのおどる11うちわや、おどる11ノートブックセットなんかも売っていた。なんでもいいのか。

 そういえば、今ってブロントサウルスって言わないんだね、アパトサウルスって言うんだ……とオマケの恐竜豆知識。草食竜だから豆食うのかな。

 その後、東京まで帰って池袋で飲み会。さっき買ったいらないグッズはすべて参加メンバーへのオミヤゲとした。だって、いらないから……
 新田さんが「幸せきょうりゅう音頭」もう買ってたら、その場に持ってたりしたらどうしよう……と思ってたけど、まだ未入手だったようでよかった。ちなみに、未開封のまま渡したから「幸せきょうりゅう音頭」がどんな曲かはぜんぜん知らない。飲み会の話題がほとんど漫画についてばかりで驚いた。いつもはわりとそうならないのだけれど。

02/07/22(MON)

■book【単行本】 上連雀三平「アナル・ジャスティス 肉棒射精編」 フランス書院  [amazon]

上連雀三平「アナル・ジャスティス 肉棒射精編」  オー、クレイジー。
 やっと手に入った。フランス書院の先行販売で手に入れられなかったので、その時入手できた人とおよそ1ヶ月のタイムラグが生じてしまった、この「アナル・ジャスティス 肉棒射精編」(実質2巻)ですが、前作である「アナル・ジャスティス」が発売されたのが1997年だから、もう5年も昔のことになる。いろんなカタチで待ちに待った。やっと出た。

 なんだか俺の預かりしらないところでフタナリ革命(レボリューション)が起こっていたらしく、物語はタマのついてないフタナリ美少女達が集う「女の子のための勃起倶楽部」そして、タマの悦びを追及する少年達(もちろん見た目は美少女)が集う「玉部」、相反した思想を持つこの2つのクラブの間で、主人公である痴女装少年七緒のココロはゆれうごく……みたいな展開になる。

 あまりに複雑にジェンダーが入り組んでいるため、一読した限りでは何が行われているかまったくわからないかもしれない。ページの中では、とにかく、ちんちんが乱れ飛んでいるし、でも、舞台は女子高のはずだし、流麗なタッチで描かれる物語世界はちょっと百合入った学園もののソレとコンパチだし、でも、やっぱりちんちんだらけなんだよな……

「そこは おちんちんが乱立し タマが縮みあがり 精液が降りそそぐ 享楽の…… 男の子の花園だったのです」
「どーしたんだろ なんか最近あたし変だ 気がつくとタマのことばかり考えてる タマがしゃぶりたい」
「さみしいわね 同じおちんちんを持つ者同士なのに」
「男の子が女の子のカッコウをしていてもかまわない 男の子なのにフェラチオが得意でもいいって 堂々と胸をはっていえるようになってほしかったから そしていつか…… 男の子ばかりの女子高を作るのが先生の夢なの」


 犯す側(まあたいてい♂)、犯される側(同じくたいてい♀)、どちらのキャラクターに感情移入して読むかというのは、(通常あまり意識はされないが)エロマンガを読む上でじつは重要なポイントなんじゃないかと考えているのだけれど、こと、この作品においては複雑に交錯したジェンダーがどちらサイドの視点に立って読むかという決定をやすやすと許してはくれない。
 だから、感情移入キャラの射精/絶頂が引き金となって現実世界へと覚醒するはずの性ファンタジー世界から抜け出すことができないまま、ぐるぐるうねる狂気に満ちた世界の中、どこまでも沈んでいくような麻薬的な読後感が得られる気がする。こんなものはほかにないのではなかろうか。

 上連雀三平が、サンデーGXで「ネコの王」連載、電撃大王で「G-onらいだーす」連載中の小野敏洋の別ペンネームであることは周知の事実であると思うが、巻末に収録された実録漫画、上連雀三平→グルマン笹塚「99年8月のこと」では、おのとしひろ名義で描いたポケモン漫画「電撃ピカチュウ」の海外版大ヒットでアメリカはサンディエゴにサイン会に行ったときに様子が描かれている。ちなみに、こんなだったらしい。「よーし! 小学○を犯すぞ――!!」とうだうだいってるだけのネームが清々しい「妊娠マシーン」、テックジャイアン掲載、絶空創刊記念イラストも収録。

■book【単行本】 上連雀三平「飲尿女神」 1巻 ワニマガジン社  [amazon]

上連雀三平「飲尿女神」 1巻  皆さんは「飲尿女神」ってご存知ですか? 知らね――YO!!

 月のキレイな夜、自分のおしっこをコップに入れて窓辺において置くと女神様が飲みにやってきて、悩みを解決してくれる……という、これだけでもなかなかスゴい設定なのであるが、そのうち当然のように直接口つけて尿を飲むようになって、小学○が出てきて、お姉さんも出てきて、男の子ばかりの女子高が実現されたりして(あれ? 見た目女の子ばかりの男子校かな? ま、どっちでも同じか……)多分にクレイジーきわまるその設定は、ドライヴかけてどこまでも暴走していく。

 これは「アナルジャスティス 肉棒射精編」とも共通するのであるが、上連雀作品の特有のテイストとして、インモラルなものがあっというまに異化されて世界設定の前提となり、その歪んだ世界の中でなんとなくいいお話っぽいストーリーを展開させる、というのがあると思う。
 だから、幼馴染の仲よし3人組のふたりがレズの関係になってしまったことを思い悩む少女に女神様が与えた解決策が「ちんちんを生やすこと」だったりして、その1本のちんちんを仲立ちとして3人の友情が復活したりするし、(終盤のストーリー展開にちんちん生やさなければならない必然性などどこにもないことにも注目だ)、姉ポルノ規制法によって弾圧を受けた人間たちが地下に潜るなんて展開そしておしっこによる現実世界の改変なんて異常な状況打破が当たり前にできるし、「年下の姉」とかいう謎概念だってぜんぜんへっちゃらだ。

 この1巻の中心エピソードになるだろう、女装男子たちの花園に転校してきた普通男子美和(よしかず)くんのラヴ♥ストーリーは「アナルジャスティス 肉棒射精編」とほぼ同一の世界を下敷きにしたものであるが、絵柄的により洗練を増しており、やはり読んでいて頭が狂いそうになる。素晴らしい。ただ、第6話「おれタチの射【精】肉【棒】祭(カーニバル)」冒頭にて、あっさり美和ちゃん化してしまうあたりがちと物足りなくもない気もするが…… しかし後半の展開はクレイジーのひとこと、恐ろしいことになっている。

 消しの多さについては……うーむ。黒ベタにするとディルドーっぽく見えてしまうというのがあって、それはかんべんして欲しいなあと思ったけど、我慢できないこともないかな。可愛らしい絵柄の中をおちんちんが乱舞しまくるという表現のギャップが面白い作品ではあるんで、若干そこらへんの素晴らしさが抑制されてしまってる気がするけど……どうなのだろうか。

 今回取り上げた上連雀作品、片方気に入った方は残りのほう買われてもまるで問題ないと思います。ここにしかない狂った世界。

■book【単行本】 祭丘ヒデユキ「コングラッチュレイプ♥」 普遊舎  [amazon]

祭丘ヒデユキ「コングラッチュレイプ」 「レ研 − 神速レイパーども −」 (→感想)の祭丘ヒデユキ新作。

「その……僕みたいな「目指す位置は江頭2:50」みたいな未来のない芸風の漫画家なんかと」
「……」


「放尿新世紀 父子(パピこ)天国」におけるエロ漫画家・祭犯プデユキの台詞。的確極まる自己認識だ……
 一流のレイパー目指して今日も頑張る女の子、小笠杷ちゃう乃(おかされちゃうの)を主人公にしたシリーズ連作がコミックマオに移籍してからの2話、古代レイプ文明の遺跡を宮城にて発掘中の「プ研」(レイプ研究会)の面々が呪いに遭遇したりしていろいろ、な「第1話 ハムナプトラ宮城」と、おバタフライ夫人やら犯ヒロミやらが登場するそのまんまな「第2話 レイプをねらえ!」をはじめとする、とにかく効率の悪い / ワケがわからなすぎる / 基本的に無理がある、の三拍子が揃った作品が並ぶ。笑いを取るまでのネタ的コストパフォーマンスが悪すぎだと思われる。
 そのほか、クーデター政府と市民勢力の争いを描いた作品(嘘)「ソ連 〜ソープランド連邦共和国〜」、「寿司の穴」から逃亡したにぎるちゃんに刺客の魔の手が迫る寿司ネタ勝負アクション巨編「江戸前! にぎるちゃん」、わけわからなすぎるメイドラヴ♥話「超上流階級伝説 芳賀U太(26) ベルサイユの孫」、別れ話の3時間後、精神にたいそうダメージ受けていたのではと推察される自虐話「放尿新世紀 父子(パピこ)天国」、ストーリーの説明がまるでできない、エロマンガ島の王位継承者問題を扱った気狂いストーリー「罪と罰からはじめよう」など、強烈な作品が並ぶ。
 ただ、強烈といってもエロ的に強烈なわけでなく、何がしたいのか、どうしたいのか、読者の困惑レベルがかなり強烈なのだ、という気もする。面白いんだけどさ――「何コレ?」と思う人はいっぱいいるだろう、そういう作品である。かなりネチっこいエロエロ描写あるわりには、これ、本当にエロ!? とは思ってしまったりもして、じつは「代表人」の木多康昭と近しいセンスを持った人なのではなかろうか。

「デジカメ・下着・少女達」、「2pieces」、「Chips 〜チップス〜」、「Kisses」など、普通のエロ作品が混じっているところもまた奇妙な感じで、そう、それはまるで、江頭2:50が普通に演技してるのを見たときのような違和感で……

02/07/23(TUE)

本購入 / 気になるチェックリスト 2002/08

・気になった新刊チェックリスト 2002/08 に移動。

△【ANIME】 あずまんが大王 第16回 (→公式

 文化祭話2周目。なかなかにえかった。「くみあわせ」、「降臨」、「かわいい」、「注文」、「宣伝効果」の5話。

 ちよ父が踊って迫った。なんだったのだろう。文化祭2周目。絵にかいたようなボンクラクラス。 「せいとのじしゅせいをそんちょー、とかいうので」 教師もボンクラ。ちよ父は飛ぶ。 「放課後だ!」 目安箱 → 5円玉 足し算。 「もーおちおち飲んでられねえ」 あれ? 大阪が寄ってきた! 今週は3Dだ。ぬりかべを所望。理由はない。起き上がれなくて死ぬ。ホームラン。 「それが……」 他クラスとの差別化を図る計画。 「ちよちゃんショー」 「なります!」 ツインテール+天才+100点+金=ちよすけ 「そんなんじゃありませんのだ!」 神楽、影薄いなあ。 神楽=とも 大阪が光線を発してる! 動物死骸喫茶で逆転ホームランや! 毎回のことだけどさ、男子の画がないね…… 大阪、文字通りの解釈。最近、かおりんの露出にリミッターかかってて塩梅がいい。かみねこvs.ねここねこの夢芝居。このごろとも株が上昇してきたよ。ちよすけがキーキー言ってる。お父さんによる仲裁。 「間に合った〜」 「お父さん帽子やで〜」 よく考えると妄想世界の住人だったな…… 榊嬢はねここねこ被る。かおりんと千尋たん(隠れキャラ)の手による特別コスチューム。じたばたばた。うわ、マジ可愛い!! その体操は誰にむけてのだ!? リアル金田朋子っぽいね! アイキャッチはメガネメガネ。にゃも登場。可愛らしさにメロメロメロメロメロになる。もう夢中! お持ち帰り! って感じ。担任だけが歪んでる法則。木村も登場。ユー! ♂はお呼びでない。ぞんざいに応対する神楽、奇矯な行動に出る木村。黄色い救急車を呼べ! 身長発表。よくわかんない演出だ…… 千尋たんに台詞があるなあ。あれ? ちよすけ、マジで可愛くない!? 繰り返しギャグ。宣伝効果抜群。ちよ父飛んでる。抜け殻とネコ。なんとなく納得。

そんなんじゃありませんのだ!!ちよすけペンギンにメロメロ休憩に行ってくるで――!!

 来週、クリスマスだって。このクソ暑いのに……

02/07/24(WED)

○「区間限定店幻覚」

 そっか、しばたさんでも1時間くらいはかかるんだ。何の方針もないままいきなり作りはじめたのだけど、それでも2時間はかからなかったと思うから、そんなに大差ないのかな……

 ちなみに太洋社のコミック/文庫発売予定一覧から気になった本をそのままコピペしてきて手作業でちょっとだけ加工 → bk1検索窓に書籍タイトルそのまま放り込んでbibidコード調べる、みたいな感じです。
 たしかに単純作業で自動化できるならそれにこしたことはないけど、そもそも月1しかやらない作業だし、最適化のためにどこまで労力をつぎ込むべきなのか、悩むところだなあ。

■book【単行本】 ももち麗子「とびら」 講談社  [bk1][amazon]

ももち麗子「とびら」  問題提起シリーズだ、逃げろ!!

 累計で250万部も売ってるももち麗子の人気シリーズ<問題提起>ですが、まあ、なんともうしましょうか……
「女の問題提起」なんてのも発売されたくらいで、ひょっとして提起ブーム? そういう作品の存在にクエスチョンマークを掲げろ!

 両親が離婚寸前、身体が弱いためか友人作りも上手くいかず、しかたなく入ったあぶれモングループの中で漠然とした閉塞感と無力感に苛まれながら毎日を過ごす女子高生を主人公に「自殺」という重いテーマを扱った、この「とびら」ですが、チミは読んでる人間の心をブルーにさせるためだけに描いてるだろ………と思わせる描写が満載です。まあ、いつものことだけど。

 酷いいじめを受けつつリストカット癖もあるクラスの女子にある種の共感を覚えて、友人づきあいを始めたことがきっかけとなり、主人公は自殺を考えるようになるのですが、ひょろっとした色白手足に切り取り線がいっぱい(……)あるようなその暗い女の子を「アスパラ」とかいうキツいあだなで呼んだりして、主人公も無自覚に無神経なんだよね……べつに親友でもなんでもないのです。 そして、ももち麗子らしい鬼気迫るいじめ描写もいつものごとく非常に嫌な感じに仕上がっていて、「このゴキブリ女!」と殺虫剤を顔にまかれたりとか、道端のスピード写真ボックスで無理矢理オナニーさせられた挙句撮られた写真で強請られたりとか、本当にもう勘弁してください。
 で、さんざ読者の心をブルーにさせた挙句、これもいつものように「え!」と驚くおざなりかつ安直な解決が待っているので、かなりショボーン、「嫌な光景見せられただけなんじゃ……」と心の中にもやもやしたものが……たしかに問題提起にはなっているのだけれど…… これはシリーズすべてに共通するテイストで、でもそれって、サイコホラーのソレだよね……

 女生徒を体育倉庫に連れ込んで全裸にしたあげく自分のちんちん触らせて「どうだ、先生は勃起してないだろう! だからお前のことを女とは思ってないんだ、だからこれは生徒指導なんだ!」みたいな、セクハラ問題に関して無限に寛大な解釈をする狂体育教師が登場する「なみだ」にしても(そもそもテーマがセクハラなんだからもっと微妙な問題を扱え! それは確実に性犯罪だろう)読者に対するダメ押しの嫌がらせとしか思えない後味悪ラストが炸裂するドラッグ問題提起「めまい」にしても、問題そのものを真剣に捉えて結論出すわけじゃなくて、問題そのものを嫌に描くことで読者にショックを与えてるだけにすぎないんですよね…… いろいろ真剣に考えさせられた児童虐待問題提起漫画の傑作、ささやななえ(原作:椎名篤子)「凍りついた瞳」をちょっとは見習え!!

 リリー・フランキーが昔、「震える舌」という映画についてコラム書いていて、それは破傷風をテーマにした難病ものをなぜかエクソシストっぽい演出でオカルト恐怖映画っぽく仕上げてしまったというシドい作品らしいのですが(未見)、問題提起シリーズってずばりコレじゃん! と思いました。「○×はいけない」、そんな結論言って終わりならば「実録レイプ裁判」とコンパチレベルですよ。 「レイプはいけない」 ほら同じだ。

 悲惨な家庭に育ったことが原因となり援助交際でしか生きる術を知らない少女が少年と出会って新しい自分に生まれ変わる話「あやまち」を同時収録。こちらはそんなに悪くないと思うけど「吉岡さん、また残飯あさってる」みたいな描写がやはりあって心がたいへん暗くなります。

02/07/25(THU)

■book【単行本・小説】 イアン・マキューアン(訳:宮脇孝雄)「最初の恋、最後の儀式」 早川書房  [bk1][amazon]

イアン・マキューアン(訳:宮脇孝雄)「最初の恋、最後の儀式」  英国作家イアン・マキューアンのデビュー作品集で、「立体幾何学」、「自家調達」、「夏が終わるとき」、「劇場の大将」、「蝶々」、「押入れ男は語る」、「最初の恋、最後の儀式」、「装い」の8短編が収録されている。

 この人の作品ははじめて読んだのだけれど、きわめて変態的で、とても楽しかった。

 収録タイトルを気に入った順からいくつか挙げれば、「夏が終わるとき」、「蝶々」、「最初の恋、最後の儀式」、「装い」、「自家調達」あたりになるだろうか。
 社会やら周囲の環境やらさまざまな形で抑圧を受け湾曲した登場人物たちの意識は、性と死、エロスとタナトスの間を揺らぐような歪んだ形の衝動として物語の中へと登場する。それはたとえば、「夏が終わるとき」に登場する「ぼく」の、擬似母ジェニーに対する感情とそれに続く衝動的な行為や、服装倒錯者で小児性愛者でもある元舞台女優に引き取られた少年の物語「装い」における、家庭内の倒錯した生活と、クラスメイト女子へのほのかな恋愛感情に心揺れたりする健全な学校生活の間で戸惑い葛藤しながら悲鳴をあげる少年の精神の叫び、であろう。

 また、その衝動が単純な形をとって物語にあらわれないほうが面白いのではと感じて、性への興味で心が張り裂けそうな14歳の少年がとりあえず10歳の妹に手を出して満足してみる話(タイトルそのままだ)「自家調達」はこの人の出世作らしいし、たしかに近親相姦を軽くポップに描いたという点において当時はセンセーショナルだったかもしれないが、現在の感覚でいうとたいしたことないと感じる。青い性衝動に突き動かされる少年の心の描写についてはいやらしくてとても面白いが、物語全体の味わいとしては若干ストレートに感じられてしまうのだ。

 その点、恋人と自分のセックスによって誕生した妄想の怪物が現実世界に発現したのではないかと悩み怯える若者の一夏の物語「最初の恋、最後の儀式」は奇妙な味わいがしてとてもよかった。シッセルの父親が鰻の罠を仕掛けるくだりのどうしようもない無力感も面白いと思う。

 さまざまな歪んだ形をとって物語の中にあらわれる衝動を見つめる視点自身がさらに歪んでいて、奇妙な形での事実の湾曲や省略が行われているというのも興味深い。ぐねぐねと何重にも捩くれたこの奇妙な感覚は、たとえば津原泰水「ペニス」における公園管理人の一人称語りとも共通したものではないかと感じた。また、ひきこもりで小児性愛者の青年が幼い女の子を殺すまでを淡々とした筆致で綴った「蝶々」を読んでいる時、まず連想したのがPDF短編集「†」(じゅうのけつらく)収録の「天使解体」であったことも最後に書き添えておきたい。

 ブッカー賞受賞作である「アムステルダム」を今読んでいるのだが、なんだか洗練されていて驚いた。

△【ANIME】 陸上防衛隊まおちゃん 第4話「空と陸は一つです」 (→公式

 また「藍青」休みだよ〜 つーことでこっち。重心据わってなくてヨタヨタしてるOPもなんだかいいな、と思えてきた。ヤヴァイ。
 まだふたり。爺ふたりが罵り合う。正直言って、こいつらは鬼畜だと思うね。 「エイリアンと戦うより緊張したであります〜」 マスコミの餌。しかも、戦ってないって! そっか、生徒会長だったのか…… ゆるゆる触角メガネ、職員室で悶えます。合法的押しかけ女房。 「な――んてネ! エヘヘ、エヘヘ」 陸と空は相容れないから仲良くしちゃダメ! とか爺ふたりがホザく展開。思い悩む8歳児ふたり。あ、(可愛い)エイリアン来た。美空ちゃんはどこで変身してるのだろう? なんか、いっしょに防衛したら強かった! オハリ

△【ANIME】 朝霧の巫女 第4話「巫女委員募集中」 (→公式

 あっさり巫女委員会の話になってる。巫女装束で登校するっつー異様なシチュエーションに反応してるのが柚子だけで、ほかの面々はえらく淡々としてるのがええですな。サブタイどおり新入委員勧誘ばなしなんですが、それにしても、千佳の毒舌冴えまくりですな(w 委員長風三つ編眼鏡っ娘があらわれて天津をさらってった! こら、告りイベントってヤツですか!? というお話で、まあちがうんだけどね……ギャフン!! いわゆるひとつの超・超・超・超・マニアック娘さんで、使えなさそ――でも増えた。そんな感じ。ん〜悪くないですよ。前の15分が飛び道具なんでワリ食ってるとは思うけど。

02/07/26(FRI)

■book【単行本・小説】 有栖川有栖「孤島パズル」 創元推理文庫  [bk1][amazon]

有栖川有栖「孤島パズル」  切ない伏線の張りかただなあ…… これはなかなかよいです。

 法月綸太郎、歌野晶午あたりと同じく、よく考えてみると有栖川有栖作品もほとんど読んでいなくて、デビュー作である「月光ゲーム」と、作家編で短編集がいくつか、「ブラジル蝶の謎」、「ロシア紅茶の謎」、「ペルシャ猫の謎」(読みかけ)あたり。江神&アリスシリーズは読んでみようと思っていて、次は「双頭の悪魔」あたりに手を出してみようかと考えてます。

 英都大学推理小説研究会のメンバーであるぼくこと有栖川有栖(アリス)とマリア、そして江神部長の3人は、奄美大島の南にある孤島、嘉敷島で一夏をすごすという計画をたてた。その島にある、マリアの叔父の別荘、望楼荘にお招きにあずかったのだ。バカンスだけではなくその島には宝捜しというイベントもついている。5年前に逝去したマリアの祖父、鉄之助が、時価5億円はくだらないだろうというダイヤモンドをその島のどこかに隠したというのだ。島のあちこちに点在する木彫りのモアイ像がダイヤのありかを示すカギとなるらしい。推理研の面目躍如とばかりに張り切るアリス、マリア、江神部長の3人だったが、折悪しく台風の接近により全員が望楼荘に閉じ込められた夜、銃声が響き渡り、そして何者かの手によって無線機が破壊された。
 隔絶された絶海の孤島の中、惨劇が幕を開けた。

 端正な作りのパズラーで、非常に堪能しました。たとえば、もっと疑心暗鬼になっても良さそうな閉ざされた空間内での殺人事件の最中に、あんなふうに中原中也の詩を使って月の下のボートのシーン描いてしまうあたりなんか、ありえなさそうなロマンチシズムに満ちていてとてもいいと思いました。静かで、物悲しくて、感傷的な雰囲気がとてもいいです。集団心理を考えるとたぶんそうはならないんじゃないかと思うけれど、その非現実的なところが青春の儚さみたいなものを際立たせているのかもしれません。

 で、そんなことを考えながら読んでいると「読者への挑戦状」が用意されてたりして、つまりは今まである種の青春小説の装いを見せて読者の目の前にあったものが、すべてパズルのピースだったことがわかるわけで、この伏線の隠し方は非常に秀逸だと感じました。とくに第3章「自転車パズル」におけるぬけぬけとした伏線の置き方が素晴らしいと思います。よく考えられた、端正極まりない構成の作品です。

 考えてみると「十角館の殺人」にしても「8の殺人」にしてもこの人のデビュー作「月光ゲーム」にしても「密閉教室」にしても、ある種の青春ストーリーに本格推理のエッセンスを導入という形式の作品ばかりで、「新本格って、最初はそうだったんだな……」と思いました。ひどく歪んだものばかりみたいな印象があるのは、僕の単なるかんちがいなのか、綾辻行人がやりすぎたのか、麻耶雄嵩がデビューしたからか、メフィスト賞の罪の部分なのか、はたして、どうなんでしょうか?

 光原百合の手による解説は本当にラブレターで驚きました。架空の存在である名探偵に「死なないで」って言ってもなあ…… 気持ちはわからんでもないが。

02/07/27(SAT)

○【映画】 「 es [エス] 」 (→ 公式

 映画観てきた。最近多い。

 というわけで、「 es [エス] 」観てきました。これはシドい作品だねえ……
 映画としての出来は悪くない、とくにずっと持続する緊張感についてはすごいと思うのですが、やっぱりひどいお話だよなあ。

 1971年、スタンフォード大学心理学部で行われた「模擬監獄実験」(参照:→実際の実験の様子)の記録を題材に映画化した作品らしいのですが、要はそれなりの「役割」を与えられ、それを生かせる状況が用意されれば、たとえそれが普通の人間であろうとも容易に狂気に走り、他者に平気で残酷な振る舞いを取ることができるということについて非常に衝撃的な形で映像化して見せた作品です。ショック映画ですね。

 それなりの報酬を餌に新聞広告によって集められた人間達が無作為に「看守役」、そして「囚人役」に分けられ、大学内に作られた模擬刑務所の中で2週間集団生活を送り、それぞれの心理を記録する。「囚人は看守の全ての指示に従わなければならない」をはじめにたった6つのルールが設定されているだけの、各人が理性的に振舞えさえすれば何ということもなく終了するはずの心理実験は、囚人役の挑発的行動を鎮圧しようとした看守役たちの行動を皮切りに、どこまでも陰惨な方向へと暴走をはじめるのだった……

 たしかに衝撃的な作品ではあるんですが、そこらへん歩いてるような普通の人間を何日もしないうちに人殺しに変えてしまう戦争というシステムについてそれなりに理解できていれば、「まあ、こうなるだろうな」という感想しか持てないし、特に斬新なことを言ってるわけではありません。結末だって「あれ?」という感じで、ここ最近話題にしてるももち麗子の作品から受ける印象にひどく近しい。とくにセクハラ問題扱った「なみだ」にえらく似てる気がして、ひょっとすると感覚的にシンクロしてこの作品観に行ったのかなあ。

 テーマよりもむしろ感心したのは、登場人物たちの性格設定の巧みさで、気弱で饒舌、しかしどうしようもなく孤独な人生を送っているキオスク店員や、気弱そうな外見ながら陰湿で根に持つタイプであっさりファシズムに走る危険極まりない男、看守役のベルス(「踊る大捜査線」で故伊藤俊人氏が演じていた爆弾犯にそっくり)、看守役の中で唯ひとり理性を保ちつづけられていたスタパ斎藤似の人など、個性豊かな面々が状況にきっちりハマって非常に嫌な空気を醸し出す、見せ方は違えど「12人の怒れる男たち」みたいな密室劇の雰囲気があるな、と感じました。

 しかしながら、こんな危険な実験を行うには大学側スタッフの人数があまりに足りないのではないか? 模擬刑務所内の状況と並行して語られるヒロイン、ドラのエピソードの意味がわからなすぎる、どう考えてもあの女は頭おかしいよ……みたいな部分もあって、シナリオ全体を通してみるとひどく歪な印象です。しかし、あのラストシーンはいったいなんなのだろうか。

 あまりの怖さに号泣してる女の子もいたぐらいで、衝撃度の高さではなかなかこれ以上のものはないだろうという作品です。ショック映画だと思って観る分にはいいのではないでしょうか。
 集団狂気を避けるためには、孤独な存在でありつづけるほかはないと個人的には考えているので、これを観たからといって特に思うところはない――そこらへんも、ももち麗子作品に似ています。この作品を見て人間の精神の暗い部分を目のあたりにしたからといって、その人間が同じ状況に置かれて理性的に振舞えるようになるかというと、やはり疑問なんですよね。

 印象に残ったシーンは、「弱虫」かな。しかし、ひどい……

○【映画】 「海辺の家」 (→ 公式

 口直しとして「海辺の家」観てきました。
 これは素直にいい作品です。うっかりすると大泣きの危険があるのでちょっと注意が必要かも。

 20年間勤めてきた建築事務所をクビになり、その上余命3ヶ月との宣告を受けた建築模型デザイナーが、今は別の人間と再婚した元妻に引き取られている16歳の息子とともに、海辺の家を建て直し、最後の夏を過ごそうとする、寿命残りわずかな人間が最後に残す仕事は……という、黒澤明「生きる」+1度は失われた家族の絆回復みたいな、まあ、ひどくわかりやすいお話です。でも、脚本としてはなかなかよくできているんだよね…… 何のために用意されたのかよくわからなかったエピソードもきちんとラストに向かうパーツのひとつとして機能していて、これにはちょっと驚きました。

 あとはやっぱり役者陣の好演かなあ。主人公ジョージを演じたケビン・クラインの素晴らしさもさることながら、ドラッグ漬けで身体中ピアスだらけ、黒アイシャドウでマリリン・マンソンとか聴いてそうな高校生サムを演じたヘイデン・クリステンセンがとても良くて、情けないことにこの人がエピソード2でアナキン君演じてた役者さんだとは気づきませんでした。エピソード2では天狗になってる若造、というイメージしかなかったんですが、こっちは素晴らしかった。明日にも自殺しそうだった前半と後半ではぜんぜん別の人間になってるし。もちろん元奥さん演じたクリスティン・スコット=トーマスもよかったし、お隣の奥さんと娘さんもよかった。なんだか皆さんとても頑張ってたなあ。

 抜けるように青い太陽、打ち寄せては白く砕ける波など、海辺の風景もとても美しかったし、文句つける部分がほとんどない作品だと思います。何気に下ネタで笑いとってるあたりも好印象です。
 意外に思える人もいるのかもしれないのですが、直球で泣けるような映画、大好きなんですよね…… 小説はちょっと歪んでないと受け付けない気がするのが不思議なんですけど。

△【雑誌】 ヤングアニマル No.15 白泉社

 沢松綾子が「藍青」葵たんコスプレしてる……って、それっぽい和服着てるだけなんだが。扉画を長谷川眞也が描いてる。漫画は唐突に横浜中華街デート。3次元とセル画の葵たんはなかなかええけど、漫画のはそうでもない。ショボーン。 柴田ヨクサル「エアマスター」。はええな、ひょっとして最終決戦? みたいな深道ランキング登録者全員参戦の廃墟バトルロイヤル開幕。来るだけムダ、枯れ木も山の賑わいな人間がいっぱいいるのだが……チャリの子とか。ラスト、みんなお待ちかねのあいつが強引にやってきた! でも戦う気あるんだろうか? 原作:あかほりさとる 作画:板場広志「マウス」。なに、アニメ化決定? とかそんな話になったら急にエロがなくなるのか? それがあかほりの生きる道なのか? 氷室芹夏「月紅」の紙面から滲み出て来るような下品さにはほとほと舌を巻く。高橋雄一郎「teach!」の展開は、なんですかコレ?

02/07/29(MON)

○「幾日町田も友達待ちにくい」

 これは昨日のこと。町田で飲み会。

 なんせ久しぶりに行くからどれくらいの時間かかるのか忘れてしまった。Yahoo! 路線情報で調べてみたら約1時間くらいでなんとかなるはずなんだけど、目の前でドアが閉まったり変な出口から出たりしてどうせ要らない時間使うに決まってるんで1時間15分前に家を出た。……けど、集合場所たどり着くのにやっぱり迷い道して遅刻、でもその遅刻は1分だったんだけど、着いた瞬間に「全員揃った、じゃ行きましょう」と言われて驚いた。なんかもう、ルーズの欠片もない集まりだ。

 さて、何話したっけ……

・ やはり、ももち麗子。いや、べつに話さなくてもいいんだけど、やっぱり衝撃作だし―― すっかり忘れてたけどこのシリーズって講談社漫画賞取ったのだよなあ……と思い出させられた。 → 山名沢湖さんからの御指摘により調べてみたのですが、第25回講談社漫画賞にノミネートはされたのだけれど、高屋奈月「フルーツバスケット」に負けた、「ラブひな」は勝ってた、というのが事実でした。訂正します。
・ 同じく漫画賞つながりで「ラブひな」がラブコメの新たなパラダイムを切り開いた?(酔ってたからニュアンスが違うような気がしてるのと、それについては個人的にそこまでとは思えない)
・ レッド松つながりで「陸上防衛隊まおちゃん」
・ さっさと視聴中止してる人がいて、それはいいけど、俺にふった本人としてはその見切りは早すぎなのでヒドイと思うのであります! とかぼんやり考えてみた(責めてるつもりはぜんぜんなし)。
・ 今月号のガンダムエース巻末に掲載されてる安彦良和&高千穂遙対談のエンドレス堂堂巡りループ(帰りがけにコンビニで読んで「こんなにボリュームのある不毛会話は久しぶりに読んだ……」と思った。筒井康隆の短編「最悪の接触(ワースト・コンタクト)」レベルである)
・ 「こいつは偽善者だ!」という漫画家の名前を挙げてみよう! それが意図的なものなのか天然のものなのかという区分もあるな――ぶっちゃけ、高橋しんとか。
・ しかし、なかなか美味しい店だ。 
・ 「テキストサイト大全」に関連して、もっと裾野のほうに目を向けてみても面白いのではとかなんとか、つまりはスタンス的に中途半端なところとかアクセス数的に弱小なところとか。ネットウォッチ板@2ちゃんで叩かれて消えたサイトにその当時の心境を語ってもらうというのも読んでみたい気がして、でもこれは個人的な要望(しかも、その本を俺は読んでいない、これから探してみます)
・ それに関連して帰りの小田急急行で新田さんと話したことなんですが、オタク的なポジションに自分を置きながらも文化的に薄い / しかも濃くなろうと欲することもとくにない、そんなハンパな人々に目を向ける何かがあってもいいような……
・ ここらへんはアルコールの所為か、あんまし憶えてない。

■book【単行本】 もみじ拓 「もみじ拓傑作選 紅葉」 講談社  [bk1][amazon]

 もみじ拓 「もみじ拓傑作選 紅葉」 「紅陽」、「哀愁のシキシマン」、「かいじゅうの背番号」、「キリエ(前/後編)」の4作品を収録した短編集。どの作品も凄みがあります。
 すべての作品のどこかに、父と子の関係がモチーフとして使われているのがわかる。もみじ拓の中でこれは言わなければならないことなのでしょう。
 無感動、無関心、父親への反抗という、わかりやすくありがちな思春期を歩んでいる高校生紅陽と、工場勤めの彼の父親、そして紅葉のクラスのからかわれ役鴨志田、この3人を中心にした物語である表題作「紅陽」は、なんともストーリーの説明がしにくいお話で、不良たちのいい玩具にされている鴨志田を見て見ぬ振りしてる複雑な感情、父親に対する思いの変化など、子のタイプの物語としてはありがちに過ぎる要素をとんでもない方法で調理して奇妙にホロ苦い味わいに仕上げてみせる。

「哀愁のシキシマン」、「かいじゅうの背番号」の2作は、ほぼ同一な世界設定の中で視点の方向を180°変えたような、言うなれば表裏一体ともいえる作品で、これもネタバレになりそうで非常に説明むつかしいのだけれど、「哀愁のシキシマン」では好きな女の子がまばゆく輝いて見えるという現象に対してひどく意表をつく(そもそもタイトルでばればれという話もあるが……)方法で調理してみせ、またもホロ苦い読後感を残す。「かいじゅうの背番号」も同じく、今度はゼッケンの縫いあとから、読者の意表をつくような、奇妙な物語をつむいでみせる。(やはりタイトルでばればれという話もある)

 前後編240ページというボリュームの中篇「キリエ」は、凡庸な自分を自覚する高校生紅葉が、彼の前にあらわれた、徹底的に個人主義を貫き通し、ライブハウスで「ひとり叫ぶ詩人の会」みたいなことをやっている同級生キリエ(本名:青木太郎)のすさまじいまでの生き様に影響を受けつつ、でも……という話で、抑圧された精神の解放ともいうべきキリエの詩とパフォーマンス、それに同時並行して描かれる主人公紅葉の淡々とした無力感の対比が味わい深い作品。SF的なギミックが使われることはなく、きわめて日常的な物語ながら、やはりどこかに特別なものを感じます。

 素晴らしいんじゃないでしょうか。

02/07/30(TUE)

■book【単行本】 新井理恵「LOVELESS」 2巻(完結) 小学館  [bk1][amazon]

新井理恵「LOVELESS」 2巻(完結)  素晴らしい、素晴らしすぎる、後藤マンセー!! ユーはストーカーの輝ける星だ!!
 しかし、いくらなんでもネームが多すぎる…… 下手なライトノベルより文字数多いんじゃないのか――! という完結巻。これまでの内容については →1巻の感想を参照するのこと。

 1巻読んだときは気づかなかったのだけど、これってひょっとすると新井理恵版「ハッピー・マニア」? とか思いました。
 だって、シゲタにさらにサイコを加えてヤバい感じにしたら薫香(くにか)になるし、どこまでも一途な男タカハシをストーキング&ラブ♥アタック!(ある意味サーチ&デストロイ・自分が)な変態に加工すれば後藤になる。そんな感じだ。あとはまあ、5倍くらいにネームを増量して1コマ内でボケとツッコミを完結させれば、この「LOVELESS」になるんじゃないのかあ。

 たぶんコミックドラゴン読者に対する嫌がらせ、ノーモア3次元女性! こんなんだったら恋なんかいらない! みたいな、ギガ最悪ラヴ漫画、「タカハシくん優柔不断」→1巻 / →2巻感想)とくらべてみると、この「LOVELESS」のなんと真っ当なことか!  前述の薫香&後藤の狂人馬鹿ップルはじめとして、登場人物の全員が全員頭おかしくて、何が何だか……ですが、各人の主張については実は一貫していて読んでて嫌な気分にはならないし、男女間における幻想をすべて廃した上で、ではどのような恋愛関係を構築していけばいいのか? という問題についてある種の回答を提示している作品ではないかと思います。その点において、21世紀の恋愛漫画スタンダードと呼んでいいのではないでしょうか。……ごめん、ちょっと言いすぎ。

 しっかし、尽きること無き性的欲望をストーキング&セクハラというストレートかつ一方通行な手段で発散させる後藤の純愛っぷりには吃驚だネ!!

後藤 「だいたい女ってさあ なんでそう バージンにこだわるんだよな――?
   減るモンじゃあるまいし!!」
蛯名 「いや 減るよ ……という月並みなツッコミと共に 君はそれ以上に童貞喪失にこだわりすぎているという意味合いのコトを彼の神経を逆なでることなく伝えてあげるためには一体僕はココで彼に対してどういう言葉を返すべきなんだろうか……」(内心ツッコミ)
 
(エビちゃんの童貞喪失指南)

後藤 「弁当といえば食欲!! 食欲といえば性欲!! どちらも同じ「欲望」に掌られた同一ライン上にある人間の本能!!
   これで何かが起こらないほうが不自然だと言えよう!! なぁ!?」
蛯名 「さあねえ どうなんだろう もうなんだかさっぱりダヨ」 (弱気ツッコミ)

 (お昼になっただけで妄想花盛り。ちなみに、ともに1コマ内の展開である)

■book【単行本・小説】 アーヴィン・ウェルシュ(訳:池田真紀子)「トレインスポッティング」 角川海外文庫  [bk1][amazon]

 アーヴィン・ウェルシュ(訳:池田真紀子)「トレインスポッティング」  順番が前後してしまった。ドラッグとアルコール、セックスと暴力に明け暮れながら、将来の希望もなくそれどころか明日生き延びられるかわからない、絶望的な日常を生き抜くエディンバラの若者達の生態を、タペストリーのように編んだアーヴィン・ウェルシュのデビュー作。これはなかなか素晴らしいと思う。

 物語は43の断章ともいうべきショート・エピソードの集合体として構成されており、エディンバラの若者達――失業保険詐欺で食いつなぎ、ドラッグに耽溺して、クラブでナンパした女と寝る、そんな無意味で刹那的な毎日を送るクズたち――の視点を次々と切り替えながら、エデインバラにおける労働者クラスの悲惨な現実を描き出すことに成功している。  いつまで経ってもヘロイン中毒から抜け出せないパーフェクト・ジャンキーのレントン、ひどく性質の悪い女たらしのシック・ボーイ、理由無き暴力と自己顕示欲の塊、恐怖支配の男・ベグビー、一度たりとも他人を傷つけたことはないけれど、こと窃盗とドラッグについては止められない心優しきシャイボーイ・スパッド、主要な登場人物のほとんどが感情移入できないような人格破綻者ながら(友人になれそうなのはかろうじてスパッドくらいか?)、読んでいて嫌な気分にならないのはとても不思議なことで、そもそも、各断章で扱われてるテーマだって、ドラッグの禁断症状や酒場での無意味な暴力、エイズ、窃盗、いきずりのセックス、死、明日への不安、etc.etc... 決して愉快なものではない。でも、青春小説の味わいはたしかにあるんだよなあ……なぜだろうか。

 たぶんそれは、物語のメイン視点として据えられるジャンキー、レントンが内省的で自己言及的な物言いを繰り返すところや、家族や友人達とのさまざまな形での別れ(単純な死別だけでなくHIV陽性などの理由により近い将来の別れを予見させるシーンなど)が描かれているところにあるのかもしれない。
 また、前述したように断章によってストーリーをみせるという構成を採用することで、若者の生態観察的な雰囲気を出すことに成功していて、それにより学園を舞台にした1話完結の青春漫画を読んだ時の感覚と近くなっている気がする。

 これは自分ながらムチャクチャな意見だと思うのだが「動物のお医者さん」っぽい雰囲気がないこともないと感じた。

 ハムテル ←→ レントン  二階堂 ←→ シック・ボーイ  漆原教授 ←→ ベグビー  チョビ ←→ スパッド  うーん……

02/07/31(WED)

△【ANIME】 あずまんが大王 第17回 (→公式

 月日が経つのは本当に早いなあ……もう2年目のクリスマスですよ。ということは、あと何回かでマヤーイベントに突入するわけで……そしたらもう受験あって終了じゃん。「大阪の怪談」、「気分転換」、「師走」、「すごいサンタ」、「クリスマス会」の5話。まあ、そんなにいうこともなかった。地震速報テロップが入ってちょっとムッとしたけれど、でもまあ、べつにこの回だったから、どうでもいい……

「かわいいパンダの写真集」。 パンダたん……♥ そんなもん、需要があるのだろうか。天才なのにパンダの白黒わからへん〜 よみとも加わってどちらがベースカラー? だとかそんな談義。不毛会話を打ち切るためのちよすけ手腕。つながらない会話。なんで怪談になったのか、展開がよめねえ…… パンダ → 走馬燈 → 怪談とコンボ繋がるという事は、大阪は走馬燈を死のイメージで捉えてるということで、言葉の意味は承知してるということだよねえ。ボケレベルになんとなく一貫性がないような。 「師走」 言葉ネタでずっとひっぱるのはつらいね〜という話だな…… 暗黙の了解を破ったちよすけに制裁の魔の手が! ワンモア・リピート。 「飽きた」 ええのだろうか。 「キエ――!!(怪鳥音)」 いかにもおざなりな神楽の出演シーン。ワイワイサッカー。男子いねえなあ…… さんざ怯えさせて楽しむ。アイキャッチはメガネメガネ(リプライズ)。 「カッコつけてる場合じゃないでしょ!」 食い物じゃないとだめなのか…… 時に。ちよすけ制裁。今回悲惨な役ですね。しらないけれど、クリスマスだった。サンタ信じてる人間が飛び級してくる気はしないが…… サンタはものすごく速い。ちよすけバックのタータンチェック柄は「つっくりましょ〜♪」思い出したりするんで鬱。喋るちよ父。冴えない演出。 「100兆円」 100億万円がいいな。てっぺんのお☆様。そんなもんほしいのかよ。トナカイの実存に関するディベート大会(1vs.いっぱい)。 「バカじゃない! バカじゃないぞ〜!!」 いまさら。いつしかクリスマス。ストーリー展開に余韻がねえよなあ…… トナカイの肉体的欠陥をあげつらうサンタ。 「きっと、なんか、べつの……」 カラオケボックス。あきらかに声優が歌ってるねえ…… だって、桑島法子やん! でも、Club Rie-Rie な田中理恵はジャイアンでしたよ。ボエー。あ、なんかいる。

 あずまんがの典型的ダメ演出回な印象だなあ。そうはいいつつ、いっぱい書いてしまったが。

そんなに貼りたい画がないのでとりあえず……ある阿呆の生態

△【雑誌】 ヤングキングOURS 9月号 少年画報社

 そんなにいうべきことがない。六道神士「エクセル・サーガ」。学園編突入。はぁ…… しかも続きやがるぜ。 二宮ひかる「ベイビーリーフ」。この人の描く未成熟な女の子の身体って、そんなにピンとこないんだよなあ、というのがまずあって、正直言うと「うーん……」と思うところはある。これは個人的な好みの問題なんですが、やっぱ、オフィスラブの人だよな――とか。 脚本:田畑由秋+画:余湖裕輝「コミックマスターJ」。なんで業界全体の売れ行きが盛り返すのかぜんぜんわかんないんですが…… たしかにあのページでは笑ってしまいましたが、これって「飲尿女神」で女神様におしっこ飲ませて姉ポルノ法なんとかしたのとぜんぜんかわんないじゃねえかよ! とも思う。主婦連との対決という展開はないのね……作品の出来でなんとか、とかそういうのはないのかよ――とか思ってショボーンとする。コミックマスター星に帰ってください。

 about this file

InternetExplorer5.5 / Netscape6 で確認しています。
この日記へのリンクについて
 □ 日にちにリンク:ページ上部のカレンダー、リンク張りたい日にちにカーソルを合わせ、「新しいウインドウを開く→アドレスに表示されるURLにリンクしてください。
 □ レビュにリンク:MONO INDEX / QUICK REFERENCEからリンクしたい項目にカーソルを合わせ、「新しいウインドウを開く」→アドレスに表示されるURLにリンクしてください。

home