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02/08/01(THU)
「幹部以下、下位文化」
わりかしどうでもいいけど、OURS今月号の「エクセル学園」元ネタについて。
・ 「君ん家は―― 我が校よりアメリカに近いな!」
蒲腐博士の目がヘンなのはヒラマツ・ミノル「アグネス仮面」マーベラス虎嶋より。エクセル・エルガーラがタッグ組むという展開も、アグネス仮面・マチルダ仮面のソレそのまま。
・ 「あれは…… デンプシーロール」 → 森川ジョージ「はじめの一歩」
・ 「ああ 光が見える」 → 小山ゆう「スプリンター」
・ 「先生! バスケが……」 → 井上雄彦「スラムダンク」
・ 「光速!! 右ペン速攻」 → 松本大洋「ピンポン」
・ 「ナンテツイテナインダ」 → 吉田聡「ちょっとヨロシク!」
・ 「ざわっ」 → 福本伸行「賭博黙示録カイジ」
・ 「その技を2度使ったら」 → すがやみつる「ゲームセンターあらし」
・ 「そのシルエットは!」 → 宮下あきら「魁!! 男塾」
・ 「人が鳥に――!?」 → 島本和彦「男の一枚 レッドカード」
・ 「カバティ」 → うすた京介「セクシーコマンド−外伝 すごいよ!! マサルさん 」(これは自信がない)
・ 「オレは人間をやめるぞォォォーッ」 → 荒木飛呂彦「ジョジョの奇妙な冒険」
・ 「右上スミ小目!」 → 原作:ほったゆみ 作画:小畑健「ヒカルの碁」
【単行本・小説】 スティーヴン・ミルハウザー(訳:柴田元幸)「イン・ザ・ペニー・アーケード」 白水uブックス [bk1][amazon]
3部構成になった中短篇集。
・ 第1部「アウグスト・エッシェンブルグ」
19世紀後半のドイツを舞台に、精巧極まりない自動人形を作ることにとりつかれてしまった少年アウグスト・エッシェンブルグの半生を描いた中篇で、人間の完全再現を人形の中に求める若き天才アウグストと、アウグストのやっている事を誰よりも理解しつつ、それが大衆には受け入れられなくなるだろうことも知っているしたたかな秀才ハウゼンシュタイン、このふたりを物語の軸に、完璧なるものを唯々追い求める天才の苦悩を描いた物語である。
完全シミュレートを目標とするアウグストはいうなればバーチャ的な追求であり、デフォルメによってその人形にしかない怪しげな魅力を付加するハウゼンシュタインの方法論は乳揺れ、パンチラ装備のDOA的といえるのかもしれない。作者であるミルハウザー自身がどちらに感情移入しているかといえばもちろん天才アウグストのほうであろうが、天才を理解しつつも同時にそうはなれない自分も理解していて、孤高の存在でないがゆえに天才が持ち得ない大衆へのアピール能力も有する秀才を傍らに配することによって天才という存在を立体的に描くという方法論はわりとありがちなもの(たとえば、映画「アマデウス」におけるモーツァルトとサリエリの対立の構図)でありながら、非常に上手く機能していると思う。まだ読んでる途中なのだが、視点の位置こそ違えど、これはミルハウザーのデビュー作「エドウィン・マルハウス」におけるマルハウスと物語の書き手ジェフリーの構図にちょっと近いものがあるかもしれない。物語冒頭の幻想的な紙人形達の描写もよかった。
・ 第2部「太陽に抗議する」、「橇滑りパーティー」、「湖畔の一日」
女性を主人公にした短編3作。わりに普通な小説で「精緻なつくりもの」を思わせるミルハウザーらしさからはちょっと外れた作品群だと感じた。
申し分ない夏の日に家族で海へと出かけた一家がビーチで少年と遭遇する物語、「太陽に抗議する」は、どこまでも瑞々しい夏の日の描写と、内面の苛立ちをそのまま外にあらわしたような、夏の日にまったくふさわしくない少年の外見描写の対比が面白いし、「橇(そり)滑りパーティー」(ちょっと悩んだ)、「湖畔の一日」は、ともに普通小説でありながら過剰な描写によって幻想の領域まで足を踏み入れんとしているところが面白いと思う。
・ 第3部「雪人間」、「イン・ザ・ペニー・アーケード」、「東方の国」
うってかわってこちらはいかにもミルハウザーっぽい短編が3作並ぶ。
「雪人間」とは雪だるまのこと。街中が白い雪で覆われたある日、そこかしこで見られるだろう雪人間たちを題材に、何かの情熱に浮かされたかのような子供たちの表現の暴走を幻想的に描いた作品。作り上げた当人たちは登場させず、その結果として街角に並ぶ雪人間たちの描写にとどめているあたりがとても素晴らしい。芸術に対する狂おしい悦びを描いた、第1部「アウグスト・エッシェンブルグ」とも共通するような作品である。
表題作「イン・ザ・ペニー・アーケード」は、かつてそこには魔法があった、しかし、それはすでに解けてしまった……という空間を再び訪れた子供の心境を綿密に綴った作品で、とてもミルハウザーっぽい作品である。しかし、過剰な描写だ。
「東方の国」は「三つの小さな王国」における「王妃、小人、土牢」と「展覧会のカタログ」にも近い手法を用いた作品で、ありえないような東方の国の風俗について、エキゾチックに綴った断章の集合体、ともいうべき作品。ただし、メタ的な仕掛けはない。
たしかに、ミルハウザーの作品は素晴らしいのだけれど、執拗な描写によって読者に幻惑感を与えるその作風は弱ってるときに読むには向いてないな……と感じた。これは個人的な好みの問題であるが、皆川博子作品のような、短いほんの言い回しひとつで読者を幻想の世界に誘うような作品を愛する自分としては、少々相容れないところはある。
凄い作品だということが頭ではわかるのだけれど。
02/08/02(FRI)
「ウイ ラヴ 雷雨」
愛してません。16:00くらいから物凄い雷雨。まるで天上の何かが壊れたみたいにいろんな物が降ってくる。心臓に悪いからはやく止んでください。あまりに怖いから、つい更新してしまった。
【雑誌】IKKI vol.11 小学館
無闇矢鱈な過剰さが薄れてきていろんな意味で普通な雑誌になってきた、と思うのですが……巻頭にある窪塚洋介インタビューはなんとかしてください。標記のゆらぎについては別にどうでもいいと思いますが、そもそもこのページデザインした人は、タイポグラフィーというものが何のためにあるのか理解してるんでしょうか? インタビューの本文読む気無くさせるものに仕上げてどうするのだ。しかし、いつまでたっても、デザイン / レイアウト的に頭の悪い雑誌だよ。
黒田硫黄「セクシーボイスアンドロボ」。老人は同じ言葉を繰り返すものだ。 原一雄「麦わらドリル:タンドリー」。いろんな意味で中川いさみだ、微妙な感じだ。 小田扉「スペース・アポロン」。下手したら最近週に2本くらいこの人の新作読んでる気がして驚くのだが…… なんかよーわからん話だ、いつもだ。UFO墜落事故で亡くなった人たちの魂を体内に宿した宇宙人ジジイ(ドミネさん)と、(いちお)ヒロイン桃川、ぼんくら若人揚山の3人が、その魂を成仏させるため右往左往する……みたいな話だと思うのだけれど、まだよくわかりません。だいたい桃川と揚山はなんでこんなことしてるんだろ。 唐沢なをき「漫画家超残酷物語」。ダメに向かうトキワ荘だ―― 安田弘之「守って!愛しの王子様」。「友達少ないから 当然マンガは得意なのだ……」 天は万物を与えた美人委員長にものごっついオヤジが守護霊としてとり憑いてるのを発見してしまった霊感少女の物語。オヤジ霊の顔に似合わぬ純情っぷりがサイコー。あんなセクハラしといて今さら…… 何の解決にもなってないような気がする飄々としたラストも楽しい。 韮沢早はだんだんネタ的につらくなってきた。 菊池直恵(旅のお供:横見浩彦)「鉄子の旅」。うわ、騙されてる…… レールクイーン候補とか言われてのこのこやってくる女も女か。ということで、22歳保母のきなこちゃんが旅のお供として増えた、なんだか普通っぽい旅になった、という感じであります。 しかし「ドロヘドロ」とくらべると「アトランシティー」は陳腐だなあ…… 嶽本野ばらが「カルピス・アルプス」というショート・ストーリーを書いてます。
原作:阿佐田哲也 作画:原恵一郎「麻雀放浪記 凌ぎの哲」。またずいぶん大胆なアレンジだね――ということで、単騎のタンクロウやら達磨やらが全員若者になってるよ……原作だと全員ジジイな気がしたが。ニッカボッカなんかも出てこなそうだ。えらく変わりそうだけど、この人の原作脚色に関しては、だいたい面白く仕上げてくるから文句つける気しません。 福本伸行「アカギ」。べつにドラが乗ろうがなんだろうがほとんど関係ない気がするんだけどな…… なぜに鷲巣センセイは和了もしないうちからこんなに自信満々に大威張りしてるんでしょうか。さらしてる分すりかえてチョンボとかにしちゃえば問題ないんじゃないの? とか思った。それくらいアカギならやるだろ。 片山まさゆき「牌賊! オカルティ」。準決勝C卓は無頼堂、些渡の速攻派2人と、夏月、岬の手役派2人という顔合わせ。岬が存外カッコいい。夏月はあいかわらず強引だな〜(w 天獅子悦也(原案:安藤満)「むこうぶち」。絶対再登場しないと思った野上の秀が拘置所から出てきたYO! ということでvs.傀の復讐戦がはじまるわけなんですが、どうせ負けて実刑食らうハメになるんだろな――と激しく予想ができる展開だ。出所してまず甘味屋に寄る所はリアリティある。 尾上龍太郎「東の一極星」。べーしっ君かとちょっと思った。モー娘。ネタと「巨人の星」パロの強引な結びつけ。
02/08/03(SAT)
【書籍】 東浩紀×大塚英志責任編集「新現実」 vol.01 角川書店 [bk1][amazon]
東×大塚対談、評論、全ての文章について一応目を通してみたのですが(自分でも意外なことに)やたら腹が立ったので全面的に書き直してみることにしました。すみません。最初に書いたレビュについても残しておくことにします。
→こちら。新海誠「塔のむこう」、西島大介「サーフィン・オン・サイン・ウェーブ」の漫画2作品感想もこっちにあります。
きちんと文章に起こすとあまりに長くなりそうなので、箇条書きで短くまとめます。
□ 対談:東浩紀×大塚英志「工学、政治、物語」 パートA
・ 大塚英志がネット巡回、メールのやり取りなどをしていない、というのがやはりネックになってる気がする。自転車に乗ったことのない人間が「それって、どんな感じ? 便利? 危険じゃないの?」と言ってるみたい。それについては、まず乗ってから語ってみても……という気にはなります。
・ この「新現実」が10,000しか刷ってなくて、しかも実売どれぐらいになるのかわからないのなら、2,000人くらいは毎日見に来る人がいるこのページだってそれなりに有効なメディアですよ。紙メディアに対する信望が強すぎる気はするなあ。
□ 佐藤友哉「『世界』の終わり」
・ 本当に駄目だ、この小説は……
・ ここにうだうだと書き連ねられてること全ては、僕が友哉タンに月100万円あげたりとか、舞城王太郎や西尾維新より友哉タンが売れたりした瞬間に消失するレベルのことなんで、まずはそこをなんとかしてください。そんな安絶望をえんえんと読ませるなよ! 主人公である友哉タンのバイト先であるパン工場にいる、自分と同じ自給で働く / 30代後半の / 独身オヤジのことについて「彼を観るたびに気が滅入る思いになる」(原文ママ)と書いてあるけど、君の絶望はもう沢山だから、そのオヤジに小説を代筆してもらってください。
・ 笙野頼子の自虐小説に見られるようなワンダーが欠片もないんだよな……
・ 妹についてのトラウマはまあ事実じゃないんだろうけど、事実じゃないとしたら、逆に腹が立つ嫌な書き方だな――
・ 「『世界』の終わり」なのか「世界の終わりの終わり」なのか、ハッキリしろ!
・ 花売りの少女、単純に故郷に帰ればそれで問題解決するような気がするのだが…… なぜ、いつまでもしてるのだ。
□ 白倉由美「しっぽでごめんね」
30歳になる漫画家が別れた妻の前で回想するしっぽのある少女の思い出。
・ 俺を困った気分にさせるぜ。
□ 対談:東浩紀×大塚英志「工学、政治、物語」 パートB
・ これはひどい。
・ 「ほしのこえ」とブロッコリーが対極にある、みたいな、わかったようなわからないような言説を東浩紀はどうしてするかな……それって、個人制作と企業、それだけじゃないのか?
・ 新海誠の凄さはまず彼の作業効率の高さにあると個人的には考えていて、作家性がどうの、という問題だけでもない気がするんだよな…… だいたい巻頭に載ってる「塔のむこう」だって、こと表現レベルで言えば、高橋しん「最終兵器彼女」のほうが数段次元が上ですよ。
・ 「ほしのこえ」を持ち上げようとするあまりか、「ぼく自身はコゲさんの作品に作家性は感じない」、「たとえば明日、木谷社長が会見を行って、『実はコゲどんぼは七人でした。しかもチームメンバーはすでに三人入れ替わっています』とか言っても、ぼくはまったく驚かない」とコゲどんぼのことを東浩紀は評しているのだけれど、「ぴたテン」読んだ上でお前はそんなこと言ってるのか……と激しく思う。萌えパーツの組合せでストーリー組んでたら、あんな無意味にどろどろした展開にはならないですよ。あんなの、私的な感情噴出以外の何物でもないと思うけどなあ。介錯が「じつはひとりでした」とか「5人です」だったりするのはべつに驚きません。東浩紀は、でじこ他のキャラデザでしかコゲどんぼの仕事見てないんじゃないのか?
・ 大塚英志のほうが主張に一貫性があります。
・ ここで使われてる「ノベルズ」という表現が何を指してるのかよくわからない。ライトノベル+講談社ノベルスあたりなのか?
・ 東浩紀言うところの、「純文学系小説」の組み方、「ノベルズ」小説の組み方の違いを受けて、大塚が「それ(=ノベルズの組み方)はほとんど吉本ばななという気がする」と言ってるけど、じゃあ、そんな分類当てはまらないのではないだろうか。だいたい直木賞選考委員やってる渡辺淳一の作品「失楽園」だって、どちらかといえば東浩紀言うところのノベルズの組み方で書かれた小説になるわけで、それは書き手の選択に寄るものでしかない。そんな単純なものではないです。
・ 才能がないとは思わないけど、佐藤友哉の作風は講談社ノベルスの流れから見れば、むしろ、いかにも出てきそうなものではないかと思います。麻耶雄嵩とか浦賀和宏とか。ヘンではあるけれど、突然変異体なわけではないでしょう。
□ 評論:佐藤心「オーティマズムが機能する 『月姫』から見たギャルゲー運動とその空間」
TINAMIXのひとだった――
ここに書いてる人たちの才能の方向性はてんでばらばらな気がするんですが、なんでこれらをひとつの流れみたく括って論じようとするかなあ。連絡取りやすい人集めて雑誌作りました、意味合いは後からつけるのでぜんぜんへっちゃらです……という印象でした。
正直に書いてしまえば、これで880円取るのはちょっとないな、と思える内容です。こんなんでなんで自信満々になれるのだろう。
02/08/04(SUN)
「股、脚、頭」

パニックアタック「大人になる呪文」 1巻 [bk1]
うわあ、これは強力だな――。
最近の気分をあらわすのにぴったりの単語として「手続き省略」というのがあると思っているのだけれど、ずばりそんな感じの作品。両親が海外に赴任しちゃって妹とふたりっきりの毎日となったロリコン兄と、お兄ちゃん大好き! な、妹・未由たんのドキドキ♥ライフを描いてみた……というお話であります。で、なんで「大人になる呪文」かといえば、未由たんは通信教育で一人前の魔女っ娘を目指してるからで、その理由というのも、大人になる呪文使ってお兄ちゃんと結婚するためなのでした。 「はやく大きくなりたいよー」 そうですか。
魔法使うためには眼鏡&ネコ耳装備だったり、魔法使えるようになるためにはエッチなあれが必要で、当然のように兄が協力(という名の肉棒欲望発散)だったりして、いろいろありっぱなしですね。また、通常時の挙動もくるくるじたばたあたふたころころ、なんかもう、スゲエよ…… カルピスの原液煮詰めて飲んでもぜんぜんへっちゃら! という方にオススメしたい。同じ妹萌え兄貴視点漫画でも、吉田基已「恋風」は手続き型、こっちは省略型だと自分の中では分類してます。

河下水希「いちご100%」 1巻 [bk1][amazon]
ある日立入禁止の校舎の屋上に足を踏み入れた主人公の前にいちごのぱんつの女の子が降ってきた! という凄まじいツカミのせいかしらんが、ひょっとしてパンチラ漫画と認識されてる? と思いますが(第1話扉画ラフなんか、すごいよね〜)、実のところ極めて忠実にラブコメ漫画の王道パターンを守って組み立てられた作品で、桃栗みかん名義で発表された「あかねちゃんOVERDRIVE」とかにおけるハジけた作風とはずいぶん変わってます。ジャンプのラブコメ部門を担う主力として認知されたんでしょうか? 出世したなあ……
とくに取り得なさそうな主人公 / 普段は地味 → 眼鏡取ったら美人 / もうひとりの女の子は快活で行動派 / ワキを固めるのはモテ系+そうでもない系の友人ふたり うーむ、凄いなあ。ということで、きっちり王道タイプの手続き型少年誌ラブコメでありました。

尾玉なみえ「少年エスパーねじめ」 1巻 [bk1][amazon]
じつは尾玉なみえの作風、微妙に苦手だったりするのですが……
古来より続く白エスパー(秩序)、黒エスパー(混沌)の戦い……ということで、秩序を乱す暗黒エスパーたちを懲らしめるため、白エスパーである響ねじめ(と猫エスパーのすぱな)が、もっと性質わるいことするお話。
この人の描くものは説明つかない部分が多すぎて、そこが面白くもあるんだけど、なんかすごい怖い。夢に見そうだよ…… とくにエスパロイドうーほー登場エピソードはもうホラーですよ。しまわれちゃうんだよ…… 高枝切りハサミ持った女の子とか怖! 「それを聞く権利 私にはありそう」 ぶるぶる。読み切り版「純情パイン」も収録。自虐ネタも満載(次の巻ではどうなるんだろ……)。カバー取ると金色。

凛野ミキ「冥界落語」 2巻 [bk1][amazon]
都市王のジジイ、マンセー!! 「筋金入りのロリコンじゃ―― 世界狙えるロリコンじゃ――」 なんか、彼、すごいよね
……
どうにもス・ナ・オじゃない五道転輪王がメンバーに加わったりしてるんですが、ギャグレベルとしてはちょっと安定、かも。
02/08/05(MON)
【単行本・エッセイ】 倉阪鬼一郎「活字狂想曲」 幻冬舎文庫 [bk1][amazon]
ハードカバーでエッセイ買うのを未だ躊躇してしまうどうしようもない貧乏性な自分、文庫化したので購入。
某印刷会社にて文字校正を勤める暗坂くんの11年間に渡る会社生活の様を綴った、(本人言うところの)ある現実不適応者の記録であります。読んでて胸が締め付けられそうになります。
もちろん、この本に登場する暗坂イコール倉阪鬼一郎なわけで、この本は彼の半自伝でもあり、同時に現実不適合者たる彼が会社という組織の中にいかに自己を埋没させ、目立たぬように生き延びるか、というサバイバルの記録でもあります。
このとき倉阪鬼一郎は短編集「地底の鰐、天上の蛇」にて(自費出版だけど一応)デビューを果たしていたわけで、怪奇小説家としての自己と会社組織の一員たる自分という存在との間でどう妥協点を見出して、敬愛する怪奇小説とは別の次元にある悪夢状況の中でいかに生き延びてきたかがあらわれていて、とても興味深いです。「スローガン斉唱」だの「漢字テスト」、「指差呼称」だのは、まあ厳しいものがあるね……
ところで、退職についてはともかく、過労死だの墜死だの病死だの、後半に向かうにつれ、死にまつわるエピソードが頻出するようになるのにもいろいろと思うところがあった。ルーティン・ワークによって稼動する戦場(とうぜん死ぬこともあり)という感じだなあ、でも、そんなものかも……
ところで、この人はなんでこんなにジジむさいのだろうか。この本は倉阪鬼一郎が29〜36歳までの記録のはずなんですが、こんなの50弱の人間が書いたものだといっても誰も疑いません。
02/08/06(TUE)
【単行本・小説】 牧野修(脚本:ポール・W・S・アンダーソン)「バイオハザード」 角川ホラー文庫 [bk1][amazon]
さすがにあんまり買うことのないノヴェライズ本なんですが、担当したのが牧野修なんでチェック。
映画版「バイオハザード」(skip intro)って、本当にこんなストーリーなのかなあ。サイト見る限りにおいては、たしかにこんな感じではあるんだけれど…… こんなラストでええのだろうか。
牧野作品に登場する女性キャラといえば、電波(狂気)or マッチョ、というのが定番なわけで、これは長編デビュー作であるところの「王の眠る丘」(→感想)からぜんぜん変わってないわけですが、なぜかノヴェライズであるはずのこの「バイオハザード」までそんな感じで書いてあるので驚きです。
巨大企業が地中に作り上げた極秘研究所<蜂の巣>内で研究されていたウイルスの漏洩事故が発生、その緊急事態を受けて<蜂の巣>内部へ潜入した特殊部隊S.T.A.R.Sの隊員達を待ち受けていたものは! というストーリーで、まあ「バイオハザード」ということもあって、当然ゾンビなわけですが、その生ける死者達をマッチョガール1(お色気担当)のアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)、マッチョガール2(純粋殺戮担当)のレイン(ミシェル・ロドリゲス)のふたりが喜々としながら惨殺しまくるシーンをえんえん描いてるだけの小説という話もあります。まあ、ノヴェライズなんでしかたないけど…… しかし、これでレインがゴスロリ少女だったらメフィストで連載はじめたシリーズとぜんぜんかわらんがな。しかもこのふたり、雑魚ゾンビは素手で首へし折って殺したりするんだよね…… せめて初期装備のナイフぐらい使おうよ――
わりに急ぎ仕事? という印象の作品でした。しかし、カプランはいったい……
最近のこの人の作品読むならば「傀儡后」(→感想)、「呪禁官」(→感想)あたりがオススメです。
物語が完全表層化して文章の麻薬純化が進んだ「傀儡后」の中にこの人が現在持ちうる凄さがいちばん出ているのではと思うのですが、そのかわり多分にわけがわかりません。でも楽しい。
なんと! 驚愕のよみスペサル。正月明けに「やあ、諸君」だもんなあ……こいつは予想以上にすごい女子だぜ!!
「うきよみ」、「裏切り」、「ワクワクワクワク」、「仲間はずれ」、「ゴー」の5話。
ねおおさか可愛い。 「どうだったかね」 こいつは何者だ〜 ちょいと北へ。White Illumination. キラリン! 眼鏡も光る。白くて友達だけど黒いよ。好きなものは食すの法則。あずまんがなりのサービスカット? バイーンバイーンと。 「バカ――!!」 甲殻類で太りますか…… 成吉思汗とか…… 「あっしは知りやせんぜ」 美味いならお仕置きじゃ〜 すけべ〜!! 白いの、知ってる知ってる! どこぞに流れ行く白いのと茶色いの。 「信用がたおちやな、キミ……」 こんどは2つ! あれ? とも可愛いな。自慢再開。茶色いのが飛ぶ〜 器用にちゅるちゅる、好きだからって…… 大騒ぎや〜 すげ――アングル――!! 両手持ち。この学校じゃ体罰黙認されまくりやね…… ガラクシゲームCM。適当な作画で回転したよ! アイキャッチはまたまたメガネメガネ。
マジカルランド。大阪って意外にアクティブなんかね。ともは元気でいいね。よみの引き立て役として対比した演出にしてるんだろうが。なぜかは知らないけど銀河バック。よみ私服。OLだ!! こっそりわくわく。瞳には子供のころの輝き。家で読めばいいのに…… 「へっくし」 イメトレ。無効。涙。正解。わーい。しょんぼり。嫌がらせ。裸で睡眠。哀愁。それにしても神楽の影が薄いなあ。これが最終話への伏線になるわけだ…… わ、巨大化した――!! 雪。なんとなくいい感じでエンディングかと思いきや雪合戦、とも雪を食う。榊さんの動き、カッコいい――!! キャハハハ、キャハハハ、でええ感じラスト? と思いきや、ちがった。 「バカ」


02/08/07(WED)
【単行本・小説】 乃南アサ「殺意・鬼哭」 双葉文庫 [bk1][amazon]
とある刺殺事件について、ふたつの視点を通して描いた作品で、加害者の独白によって綴られた「殺意」、被害者の独白によって綴られた「鬼哭」の中篇2作を1冊にまとめたもの。なかなか面白くて一気に読んでしまった。
いわゆる犯人当てなどという類のものではないため、作品内容について気兼ねなく書いてしまっても多分問題ないだろう。
主な登場人物は加害者である真垣徹と、被害者となった的場直弘のふたりである。ふたりが出会ったきっかけは真垣徹の高校受験であり、その時家庭教師としてやってきたのが的場直弘である。それ以降も的場は真垣家の人々と家族ぐるみでつきあいを続け、職につき、家庭を持ってからは先生と生徒の関係ではなく互いに親友として友達づきあいをしてきた、はずだった。
加害者視点の「殺意」は、的場を刺殺後、あっさり逮捕された真垣の獄中での心の動きを過去の回想を交えながら描いたもので、ここで重要なのは彼の内側に芽生えた「殺意」がいったいいかなるものであったのかが事細かに説明されているところにあろう。それは不意の衝動的によるものでもなく、利害関係や正義感といった類のものでもないところがポイントだ。そう、それはもっと強固で揺るぎない。
うってかわり被害者視点の「鬼哭」は、刺されてから死ぬまでの的場の意識の流れを回想を交えながら描いたもので、言うなれば今際の際の走馬燈そして、最期の心の叫びといえる。死ぬまでのたった3分の時間を独白、回想交えながら180P弱もの文章量を使い描写する執拗さは圧巻で、とくに被害者の幼児的ともいえる自己中心性そしてあきらかに間違っている自分に対する評価は読んでいて非常に腹立たしい。ちょっとだけ「殺されて当然か?」と思ってしまうくらいだ。されど、極めて理性的に自己の内面で殺意を育ててきた加害者・真垣と比較して、情動的で場当たり主義である的場は卑近である分だけ哀れに感じられるし、程度の差こそあれこういうタイプの人間は私達の周囲にもたくさんいる。その種の人間全員が万死に値するかといえばそんなわけはないだろう。しかしまた同時に真垣が的場殺害の意志を持つに至った経緯についても理解できなくもない。われわれ読者にできることはどちらに正義があったかを測ることではなく、ただ起きてしまった事を眺めるだけ、という感じだ。
あまりに互いの内面が異なってることに的場が気づけなかったことが一番の原因なのだろう。決してわかりあえない存在同士の長きにわたる交流が生んだ悲劇、と片付けてしまうのはあまりに安直にすぎるだろうか。
読者が最も知りたいだろう情報についてわざと最小限しか与えないというのはなかなか上手いと思う。ただ、「殺意」ラスト近く、間垣の心に芽生えた感情についてはちとやりすぎかと思う。そのまま静かに終わらせてみても問題なかったように感じるのだが、これはあくまで個人的な好みの問題であろう。
【ANIME】 藍より青し 第14話「賄 〜まかない〜」 (→公式)
なんか忘れてると思った。
慌ててほぼ1週遅れで感想アップしてみたものの若干興味が薄れてきてるのもまた事実で、でもだからといって「熱血電波倶楽部」に鞍替えするほどでもない。つまりはどっちもそんなに関心なし。さて、これからどうしようかな……
「なんか、新婚夫婦みたいだね……」 朝っぱらからのう。ということで、出会い頭にタックルかましてくる危険な女、繭たんが「お料理学んで家庭的な女の子に〜そんで花菱様とラヴラヴ♥作戦〜」を決行、とばっちりうけた葵たんが賄いさん呼ばわりされてシクシク、というお話。 「料理といっしょに、繭も食べちゃうゾ!」 な、なんて幼い思考…… やっぱマトモな人間はティナたんだけだ――というのが露になりまする。あまりに無神経な物言いに繭たん株↓↓大幅ダウーン。もうムカツキキャラにチェンジですか、はえ〜なあ。しかし、なんでまた当面のライバル(?)である葵たんに直接習いにいきますかね…… しかもメイド服着ますかね…… 繭たんは桜庭グループのこと知りませんかね…… というあいかわらずのテケトーストーリーで、これが「藍青」。誰がこんなにシーツを使ってるんだ、こんなにあるなら業者にまかせろよ! と思ったりします。 「花菱様〜すごいでしょ〜」 それは日常業務なり。そして妙子たんの無自覚な一言が葵たんの精神をますます追い詰めていくのでした。ぶるぶる。 「繭、こんなものを学ぶためにここに来たんじゃありませんわ!」 キエ――!! このジャリん子を誰か殺せ――!! 雅たんの小粋な後フォローがきいたりしてなんとなくいい感じに終わり。まあ、馬鹿話なんだけどね……

ところでアニメ久しぶりに見たら原作葵たんのデブっぷりが際立つね、と思いました。アニメのほうが好きになってしまった。
02/08/08(THU)
【単行本・小説】 佐藤友哉「クリスマス・テロル」 講談社ノベルス [bk1][amazon]
吃驚! なんと犯人は、犯人は俺でした!(ネタバレ) 本当だよ!
佐藤友哉(友哉たん)の密室本で、今まで発表してきた「フリッカー式」、「エナメルを塗った魂の比重」、「水没ピアノ」、いわゆる「鏡家サーガ」には属さない作品。この本からいきなり読み始めてもかまわないし、問題はないと思うが、できるならば既刊の「鏡家サーガ」全て読んでからこの作品を手に取ることをおすすめしたい。そのほうがラストの衝撃は大きいはずだ。
奇妙な衝動に突き動かされ港に停泊中の貨物船の中に潜り込んだ(いきなりだな)女子中学生、小林冬子が、船の行き先である孤島で体験した奇妙な事件を扱った物語で、密室本だけあって、たしかにそういうネタはある。孤島にはいわくありげに塔が聳え立ってたり、記憶障害の少女、奇矯な性格をした正体不明の双子など、キャラ立てもしっかりできている。「脱皮なんて青春小説じみた第二幕を渇望するには自分は少々怠慢すぎるというのが、自己分析の結果だった」(p.10)なんて奇妙な友哉たん的言い回しも健在だ。しかし、終章における衝撃はまたぜんぜん別のところから飛んでくる驚きなんだよねえ……
「新現実」vol.01に掲載された新作中篇「『世界』の終わり」とやはり気分は地続きなのだな……という感じで、「『世界』の終わり」については正直どうしようもない出来だと思いましたが、この「クリスマス・テロル」についてはなかなか面白い作品だと思いました。それは多分、視点の位置の問題かな。まあ、面白いとはいっても、普通の小説の面白さとはもちろん次元が違うのだけれど…… そういえば、きちんと終章まで読み終えてからこの文章読む人とそうでない人ではこのレビュの受け止め方もぜんぜん変わるのだろうか。
しかし、あの終章を読み終えた上であえて言わせてもらうならば、残念ながら友哉たんの小説を構成する要素全ては呆れるほどに浅薄だと思う。たぶん平均的な人よりはひねくれていたり歪んでいたりする小説を好んで読む自分ではあるけれど、友哉たんの小説における歪みというのは単に手持ちのパーツがあまりに少なくて、強引に物語の中に要素をはめ込もうとしているが故に生じた歪みだと思う。客観的に考えて、知識の欠落による偶然の産物にすぎないのでは、と思うのです。勉強が……というと偉そうに聞こえるかもしれないから言い換え、作家としてやっていく上で必要だろう情報のインプットが致命的に足りません。
そういえば最近、笙野頼子「初期作品集 極楽|大祭|皇帝」という本をえらく時間かけながら読んでるわけですが、そもそも笙野頼子ってデビューしてから本が出るまで10年かかってて、しかもその間にユニットボックス3段分の原稿がボツになったと書いてある。群像新人賞受賞した「極楽」なんてものすごい作品なのにそれでもこうだ。こんな悲愴なこと真似しろとか鬼みたいなことは当然言わないけど、最近愚痴りまくりの友哉たんの姿見てると「もうちょっと何かやってみてからそういうこと言っても……」とはちょっとだけ思います。しかしまあ、それも後の祭り。
装丁を担当しているのは「水没ピアノ」に引き続いて笹井一個さんで、これはなかなかよいと思う。
【ANIME】 陸上防衛隊まおちゃん 第1話「日本は自分が守ります!」 (→公式)
ちょっとずつ補完。なるほど、たしかに掴みは強力だったのだな……という第1話でありました。
宇宙から飛来してくる「かわいいエイリアン」から防衛隊(自衛隊)は日本を守ろうとするも、相手が可愛いものであったことから国民の非難が集中、そこでハムウビ法典よろしく「かわいいものにはかわいいものを」とばかりに小学2年の娘っ子3人組に日本をエイリアンから守る外敵防衛の任を与えた……みたいなお話で、「エイリアン9」の3人組を陸・海・空に分けて、虫かごの中の昆虫観察続けるような冷えた視点を「はじめてのおつかい」見る感覚にすりかえたような作品でした。
たしかに面白い。面白いのですが、この1話みるだけで満足、ほとんどおなかいっぱいな企画なんじゃないのか? とも思います。広がりはさっぱりなさそうだな…… 鬼瓦まお@こやまきみこのふえふえボイスはやはり強力……ですが、築島みそら@吉川由弥もなかなかよい。重心がよたよたしてるOP作画もなかなか面白い。BGMのピアノはなんなのだろう。


【ANIME】 陸上防衛隊まおちゃん 第5話「海の防衛隊 シルヴィア」 (→公式)
バビーン!! こいつらは自分が何から日本を防衛してるのかしらなかったのか…… でも、やっぱりわかんないのね。「ラブひな」に出てきたたまちゃんが可愛いエイリアンだったことがわかった、でも卵に手紙を入れるなよ! という投げやりなお話です。サブタイどおりシルヴィーちゃん登場、というエピソードで、いきなり金魚タイプのかわいいエイリアンだったんで陸と空の2人には無力〜みたいなアレ。そして3人目のジジイが! 「ふふふふ…… その、ま・さ・か・デース」 で、「ホンカン」口調の堀江由衣が出てきた。そんだけ〜
02/08/09(FRI)
「見事なカタカナとゴミ」
ちょっと気になって、01/08/10〜02/08/09までの1年間に書いた日記の総文字数を調べてみた。
別ファイルに移した分は面倒なんでカウントせず、diary0xxx.htm の中の日記部分文字列だけをエディタにコピーしてカウントさせてみたら、原稿用紙換算で2,084枚、総文字数にして650,000くらいだったが、エディタからの応答が今なくなったので、詳しくはわからない。し、しまった……でも、もうやり直さないぞ。
【単行本・小説】 霧舎巧「五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し」 講談社ノベルス [bk1][amazon]
いやあ、霧舎先生はすごいですよ……
「私立霧舎学園ミステリ白書」シリーズの第2弾。タイトル通り、今月はアリバイ崩しがメインとなるエピソードである。
しかし、この装丁はすごい。KSSあたりから出てる学園ものエロゲのノヴェライズ本とタメはるくらいの出来、というか、ものすごく買いにくい気がするのですが、それは僕の気のせいでしょうか。しかも内容にぴったり。
前作「四月は霧の00(ラブラブ♥)密室」(→感想)には霧舎学園入学案内がついてきましたが、今回はなんと霧舎学園の学生証(琴葉たんの)がついてきます。あとがきではああ書いてますが、12冊目にはきっとフィギュアがつくのでしょう。
ゴールデンウィークの最中だというのに、メール出すだけのためにわざわざ学園までやってきた琴葉と、彼女にむりやり付き合わされた棚彦、そして、なぜか死体を見つける(こいつが真犯人なんじゃないのか?)自称名探偵(じつは狂人)・頭木保の3人がパソコン教室の奥で女性の全裸死体を見つける。その死体の全身にはピンク色のペンキがべっとりと塗られており、その左胸には同じく水色に塗られた矢が深々と刺さっていた。その光景は直前に琴葉が受信した謎のメールに書かれていたピンクのハートと水色の矢にまつわる伝説に酷似していた。やがて捜査線上に浮かび上がった犯人には犯行時刻のアリバイがあって……
芸能コースがあるから、きっと! と思ってたら、案の定グラビアアイドルとか、超人気アイドルグループ「エミュー」(芸能界で生き残れそうもない名前である。食用だ)ヴォーカルだの、新メンバーが出てきた。彼らの登場により、霧舎先生のラブコメ観というものがいかに独特なものであるかが再確認できた気がします。無自覚のまま文章の中へと滲み出てくるオヤジ的感性と童貞的感性(女子の描写は唇・胸・太もも。しかしこのふたつがなぜミックスされるのだろう?)、時代とズレまくってる独自の言語感覚(「とっちめてやる!」とか「江戸っ子」とか平気で出てくる)、ふたりの仲は別に進展してなさそうなのに、いきなりいろんなこと期待してみるヒロイン琴葉、進展してないはずなのに……唐突に進展したことになるいきなりな展開(ラストページはすごいよ!)などなど、今回も霧舎フィルタを通した独特のラブラブ♥ミステリが繰り広げられます。冗談抜きに、あと10話読もうかなという気にちょっとだけなった。慣れるとクセになりそうです。
きちんと論理的な解決がなされるミステリ部分の出来もあいかわらず悪くない出来ですが、なぜ、そんなことをわざわざしたんだろう……と不思議な気持ちになるのもいつもと同じくで、きちんとしたパズルがきわめて異常な形で物語の中に出現する感じ。
特に今回のお話では、計画的犯罪(アリバイ崩しだからね)にもかかわらず、ゴールデンウィークの最中、学園のパソコン教室にやってくる物好き3人というかなりイレギュラーな要素を計画の中に取り込んでる気がするし、そもそもアリバイを証明するには用意した物的証拠が弱い気がするし……ということで、きわめてちぐはぐな印象を受けました。ひょっとしたら何か読み落としがあるかもしれませんが、これはかなり奇妙な犯罪計画なのでは、と思います。
これは霧舎巧作品だけにいえる事ではありませんが、パズルとして組上げられる際に犯罪としての必然性が失われてしまったよなミステリを読んだ時、多少困惑してしまいます。強引で大掛かりな叙述トリックの場合には多少なりとも作品世界が揺らぐ場合多いので、さほど気にならないのですが、そうでない場合は「なんでそんなことを……!?」とやはり思ってしまうのです。
もちろん、事件の犯人が論理的な手段によって導き出せる段階で非現実的なものだなんてことは理解していますが、面白いけど困惑してしまうようなものは多いね。
【単行本・日記】 森博嗣「毎日は笑わない工学博士たち」 幻冬舎文庫 [bk1][amazon]
べつに他人の日記なんか読まなくてもいいんだけどね……
森博嗣のWebサイト「工作浮遊室 ミステリィ制作部」にて書き綴られた日記をそのまま本としてまとめたもので(現在、日記は終了)「すべてがEになる」に続く第2弾。でも時系列的には「すべてがEになる」の前で、「すべE」が1998年の1年間のこと、こちらは1996年8月〜1997年12月分の日記を1冊にまとめたものになります。
時期的には「私的詩的ジャック」〜「夏のレプリカ」出版、「今はもうない」〜「黒猫の三角」執筆のあたりですね。この頃はミステリもそれなりに読んでいて、軽い感想が書いてあったりします。ミステリ作家としての付き合いがはじまったせいか、国内もののウェイトが若干高いようですね。西澤保彦とか。
「すべてがEになる」では、柳沢教授ミーツ森助教授みたいな描き下ろしオマケ漫画を山下和美が描いていましたが、今回は「森さんとわたくしとか」という漫画を山本直樹が描いてます。山本は森むく(森博嗣の同人誌時代のペンネーム)の大ファンだったそうだ。しかしハードカバー版にオマケとしてついてきた森むく時代の漫画作品については一部収録されていないみたいで、ちょっとだけ残念。1983年作品である「のんたくん」だけ巻末掲載されてます。
しかしこの人の日記読むといつも腹が立ったり羨ましかったりして困ります。
だって、書くの速いよ! 「有限と微小のパン」、これ原稿用紙換算で1,000枚くらいある大作なんですが、「さすがに1ヶ月かかりましたね」と書いてあって、ギャフン! しかも兼業作家…… いろいろとアンビヴァレンツな思いを抱いてしまう人なんですが、この生産効率の高さに対するジェラシーってのはあるね! でも最近のVシリーズについては、流石にざっと書きすぎだと感じてて、この人も少ないインプットから再生産する人だから、そろそろネタ的に枯渇してきてる気も(ちょっとだけ)します……
02/08/10(SAT)
【単行本・小説】 西澤保彦「人形幻戯 神麻嗣子の超能力事件簿」 講談社ノベルス [bk1][amazon]
超能力者問題秘密対策委員会出張相談員・見習いな和服ロリ少女、神麻嗣子ちゃんを主人公にしたチョーモンインシリーズ最新短編集。メフィスト掲載の「不測の死体」、「墜落する思慕」、「おもいでの行方」、「彼女が輪廻を止める理由」、「人形幻戯」に、書き下ろし「怨の駆動体」を加えた6篇が収録されてます。
「甘く蕩けるような謎にくるまれた、苦いまでに美しく澄み切った論理!」と、帯にはあるけど、そういう感じでもないと思うんだよな―― 「甘く蕩ける」部分。
ありえないような不可能犯罪が起きて、普通のミステリならば「どうやって?」となるところを全て「それは超能力の悪用によってです」と片付けてしまい、「じゃあ、誰が能力者で、何のためにそんなことを?」と、謎の持つ意味がスライドしてしまうところがこのシリーズの新しさで、ここらへんは密室構成の原理はすべて念動力という潔さが売りの第1短編集、その名も「念力密室!」読んでみると実感できるかもしれません。
単純なトリック解明に落ち着きがちな不可能犯罪ものを、極めて情動的な感情の流れをトレースするような動機解明ものへと転化させてしまうあたりの力技はやはりこの人ならではのものだと思います。能力者たちの心の動きは、理性では決して割り切れない類のもの、心の奥底に眠っている暗い感情の噴出なわけで、当然読後感はそんなに良くないわけですが(このシリーズに限った話ではないが……)そんな物語空間の中に容赦なく狙いすましたような無垢で可愛らしいロリっ娘投入するあたり、「西澤保彦、やはり鬼畜だな……」と思ってしまいます。ひどいよね。
個人的には「おもいでの行方」、「彼女が輪廻を止める理由」の2作がとくに良いと感じました。
気がつくと2時間記憶が抜け落ちていて、自分のいるマンションの部屋には友人の死体が転がっている……という奇怪な体験をしたOLの話「おもいでの行方」は、ずばり記憶消去能力者の仕業、なんですが、ではなぜ、そんな中途半端な時間だけ記憶を消したのか? など、奇妙な辻褄の合わなさが事件のポイントとなり、それがそのまま友人関係を巡る歪なれど納得できないことはない情緒的な動機へと繋がっていきます。この結末の処理はなかなか見事。
「彼女が輪廻を止める理由」は冒頭に出てくる「傘は天下の周り物……」という言葉の意味が、さまざまに形を変えながら物語の中にあらわれるその見せ方が非常に上手い作品です。事件としては同僚の死の光景が何回も何回も心の中にイメージとしてあらわれるという怪奇現象(もちろん能力者によるもの)に悩まされるアルバイト女性と、とあるきっかけから彼女に声をかけられた遅塚聡子の話で、これもラストの処理がきわめて上手い作品です。
そういえば、このシリーズには全体を通して、登場人物たちの関係を巡るとある謎が仕掛けられてるわけで、今回もいきなり読んだら何のことかわからない展開が若干含まれてます。いちおう自分なりに推理したはずなんだけど、すっかり忘れてしまった。「転・送・密・室」の感想読んで思い出しました。そういや、そうだったな…… 完全に結末まで展開を読みきったわけではないですが、若干ブルーな終わり方になりそうで嫌だなあ……でも、西澤保彦だしな……
・ 表紙イラストは、これ、編集者の阿呆さんだよね…… 水玉蛍之丞のイラストは遅塚さんだけ妙にオバさんくさく、しかもやつれてるのでイメージに合わないなあと思ってしまう。ほかはええと思うけど。「おもいでの行方」にある頭にアボくん乗せた嗣子たんカットは可愛い。
・ うえお久光「悪魔のミカタ 魔法カメラ」(→感想)がやけにどろどろしてたのは、ひょっとしてこのシリーズの影響かしらん、などと思った。超能力 → 知恵の実、嗣子 → 悪魔っ娘、使用は観測できるけど誰が使ったかは特定できない、など共通項はわりに多い気がしないでもない。
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