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02/08/21(WED)
つーか、公式ページくらいないのか、この雑誌は……
基本的にこの雑誌をもって現代のミステリを語るのは非常に抵抗があるというか…… 読み切り作品のほとんどがはっちゃけた作風ゆえ、日頃あまりミステリ小説を読んでない人間にこの本を読ませて「どう?」と感想を聞いてみたい今日この頃であります。
二階堂黎人「白の魔術王」。メフィストが出てくると「ふ」と「は」の小説内含有率が異様に高くなる。P30なんか、このページの半分くらいが「……ふふふふふふ。ふふふふふふふふふふふふふふふふふふ(中略)……ふふふ……ふふふふふふ。」なんで困ります。ほかの表現方法はないのか。 中村うさぎ「天使の代理人 九頭竜神社殺人事件」。挿絵が明智抄。無駄遣い…… 明智抄にジェンダーかなんかネタにした短編書いてもらったほうが、正直、マシな気がするのだが。 はやみねかおる「虹北恭介の帰還」。あ、小学生だったはずなのに、いつのまにか「高校編」に! 響子ちゃんが育ってるよ…… ヘンなキャラがいっぱい出てきてるが「霧舎学園」ほど歪ではない。霧舎先生のスゴさが再確認できた。2本立てなんですが、どちらかといえば町内会映画ネタの「殺鯉事件」のほうがよかったかな。 貫井徳郎「探偵は誰?」。吉祥院先輩シリーズで、人気作家である先輩が書いた原稿を読んで探偵役が誰か当てる、というのが今回の趣向。まあ、パット・マガーの向こうを張って書いたのだと思われます。なかなか面白く、よく考えてみると数少ない普通のミステリ作品なんですが、うーん、ごにょごにょ。すれるって、嫌なことですね。 高田崇史「山羊・海苔・私」。意味不明なタイトルは「矢切の渡し」の洒落。千葉千波の事件日記シリーズなんですが、これってミステリじゃないよねえ……パズル小説とも言いがたいぞ。しいていえば論理パズル的な状況を強引に現実世界の中に出現させるシュール小説というか、今回は論理パズルの有名問題、川渡り問題を扱ってます。しかし、そんなシチュエーションはないだろう…… 諸星大二郎「濁流」。ミステリじゃないです。内田百フの密度を異様に濃くして鬱々とした描写で全編埋め尽くした感じの幻想小説。 田中啓文「私立伝奇学園高等学校民俗学研究会II 黒洞の研究」。え、顧問の藪爺来ないんだ……というフィールドワーク合宿、なんですが、いくらなんでも駄洒落ウェイトが高すぎだと思われます。この人にそんなこといっても仕方ない気もするんですが、しかし、それでも。 牧野修「ディープスロート」。破壊の女神が男達をブッ殺す! という非常にウキウキと書いてる姿が見えるような、そんな作品。今回の話では、久しぶりにみた、最近エロ漫画にもなかなかない「女スパイ、電極拷問」みたいなシーンの印象が強すぎて、最後「?」でした。きちんと読めなくて、正直申し訳ない。しかし、セックス&バイオレンスですよ。古屋兎丸の挿画はもうちょっと描き込んでくれると嬉しい。 西澤保彦「神麻嗣子の超能力事件簿 一本気心中」。わりと小品。
ところで西澤保彦といえば、佳多山大地「往復電子書簡 RALLY」第3回のゲストとしても登場していて、これがすごくよかった。西澤保彦「聯愁殺(れんしゅうさつ)」(→感想)を題材として取り上げているわけですが、第1回鮎川哲也賞最終候補作だった「聯殺」のラストがエッセンスとして「聯愁殺」に継承され、無関係な人間が同じ建物から投身自殺するというメインプロットが「仔羊たちの聖夜」(→感想)に用いられているというあたりが興味深かった。ただ、当然ながらネタバレ全開なので「聯愁殺」未読の方は読まないほうが賢明でしょう。 巽昌章「論理の蜘蛛の巣の中で」。たぶん、ペインキラーさんも言及されてた気がするんですが、「匣の中の失楽」、「バイバイ、エンジェル」 → 西尾維新「クビシメロマンチスト」という影響の図式はないな、と感じました。西尾維新、佐藤友哉、佐藤ケイあたりのすごいところは、出力するものに対する知識的なバックボーンがほとんどないにもかかわらず、ああいうものがいきなり出てきてしまうところだと感じているので。しかし、まあ、結局は笠井潔論を書きたかっただけ、西尾作品についてはどーでもいい、みたいな感じもしますが……
長くなった、こんなの、誰が読むのだ。
02/08/23(FRI)
【単行本・漫画】 小田扉「そっと好かれる」 太田出版 F×COMICS [bk1][amazon]
四の五の言わんと、これは買ってくれ。「こさめちゃん」(→感想)に続く、小田扉第2短編集。
小田扉(→小田置き場)の作品に関して、その魅力を説明するのは非常にむつかしい。こと、漫画というジャンルの中では比類するものがないのだ。
俺提唱するところの「ダメという概念」漫画というジャンルに分類されるべき作家、それは古賀亮一だったり(今は亡き)ながいけんだったり、G=ヒコロウだったりするのだけれど、超絶的な言語感覚にて狂騒的な笑いを巻き起こす彼らの芸風と小田扉の芸風ではやはり明らかに何かがちがう気がする。あくまで、絶妙に意味不明な登場人物たちの行動理念によってどう表現すればいいのかわからない微妙な空間を作り上げるセンス、と評すればいいのかな。たしかにダメ感覚なんだけど、田丸浩史とか小野寺浩二みたくストレートではない、どこまでも迂回しつづけるような感覚というか。うーん、むつかしい。
他ジャンルの作品で似てるものといえば、たとえば、「一人の男が飛行機から飛び降りる」(bk1/amazon)、のバリー・ユアグローの超短編に出てくるような奇妙なミニマル・シュール感覚とか、村上春樹と柴田元幸が訳した超短編小説集「Sudden Fiction(村上春樹・小川高義訳)」(bk1/amazon)、「Sudden Fiction2 世界編(柴田元幸訳)」(bk1/amazon)に収録されてる(個人的には世界編のほうがヘンテコで素晴らしいと思う)奇妙な味わいとしか表現できない短編の持つ感覚に近い気がする。作品の中で起こるいろいろなことに説明がなされないまま読者がほっとかれてしまうところが似ています。
タイトルだけでも小田扉センスの素晴らしさは伺えるので下に書いておこう。同人作品には写植打ってないところも「わかってる!」という感じで素晴らしい。いい仕事。でも正直、装丁だけはイマイチ。
「そっと好かれる」、「学び舎大戦争」、「高枝さん」、「古野さんのワールドカップ」、「サイボーグ大作戦」、「子供で雪の子」、「マシンガンでぶっ放せ」、「お知らせ怖し」、「飽きのこない」(以上、商業作)、「バルコニー知らんぷリ」、「世界一周スクール☆ウォーズ」、「ロングT」、「エレクトロねえさん」、「大江戸君」、「宇宙温泉」、「革むくじゃら」、「放送塔」(以上、同人作)、「留学」(描き下ろし)の18短編を収録。でも、160ページ弱。短!
【ANIME】 藍より青し 第17話「漣 〜さざなみ〜」 (→公式)
褐色ロリ、剥けた――!! あれ? ドジっ娘眼鏡が主役のはずだが……
結論:やっぱ、アニメの「藍青」はすごいよ! みたいな、スタッフの底力を感じたエピソードで、葵たんと薫様の仲を悪意なき天然から今まで幾度となく危機に晒してきたドジっ娘眼鏡妙子たんが「私にとって、先輩ってなんだろう……!?」みたいなことを唐突に考えたりするお話でありました。桜庭家の専属役立たずメイドとしてさんざっぱら世話になっときながら、自らを泥沼的状況の中に追いやるような! と、見ているこちらまで不安になってしまう後先考えない妙子たんの行動はひたすら清々しい。一挙2本放映だった今夜のエピソードはともにギャルゲの分岐後という感じでしたね。妙子シナリオは、夜店デート → 人気のない神社で…… という感じ。いったい、いつの間にメガネフラグが……!?
海の家に露天風呂って普通あるものなの? などと、頭の中に疑問が沸きまくり。肌色出すためには手段を選ばないな! という内容で、自らのレーゾンデートルを懸けて、褐色ロリが剥けたりしました。いつのまにか天然タラシになってる薫様の八方美人っぷり、あちこち手を出しとけっぷりはまさにジゴロの領域に……… 桜庭屋敷はいつしか肉欲の館に! しかし、葵たんと雅たんの入浴シーンはなかった…… 画竜点睛を欠くとはこのことだろうか。


原作漫画におけるわざわざ見開き使った花火オチの見せ方には超絶脱力〜 流石にあれの再現は不可能だった。これ以上(以下)は存在しないよ!
【ANIME】 藍より青し 第18話「同衾 〜どうきん〜」 (→公式)
で、こっちはティナシナリオ。なんかもう、ティナ、これにて終了〜みたいな感じだな……
金絲猴(きんしこう)撮影のために動物園に行くことになったティナと薫様でしたが、ドタキャンされまくって、いつしかふたりきりに…… 恋人にまちがえられてドッキリ! 動物園の不思議アトラクション「愛の冒険城」でドッキリ! (なんでこんなものが動物園にあるんだ……) 大雨で電車は普通に、雨宿りできるところ探して入ったカラオケボックスはどう見てもラブホで(なぜまちがえるのだ……!?) → そのまま同衾〜 みたいな、「うわあ、俺いつのまにこいつを攻略してたんだ――― フラグはいつ立ったんだ―― みたいな唐突な展開。 「じゃ、(風呂)いっしょに入る?」 うわあ。困ったものだな……
「ちゃ〜らり〜〜ん!」 こん平っぽくテンション馬鹿高い妖精さんに導かれたティナさんのウェディングドレス姿やら、ラブホ内でのティナと薫様の「お前、それはくどいてるのちゃうんかい!」みたいな天然会話やら、見どころは多い。しかし、薫様はいつティナを攻略したのやら。足滑らしてティナ嬢押し倒した時の「ギヨリロリン〜♪」みたいなSEが素晴らしかったです。葵たんのことはちっとも頭に浮かばないのね…… まったく、刺されかねませんよ、薫様は……
これにてティナ終了〜みたいな、ヴォーカル曲でエンディング突入して終了。どこでフラグ立ったかわかんないから、また最初からやらないと…… いや、本当に、次回から出ないみたいな演出ですよ……平気で出てくるのに……


次回は褐色ロリの逆襲エピソード。褐色・ロリ・剥け・メイドですよ! なんじゃそりゃ。葵たんの印象薄!!
02/08/24(SAT)
【単行本・小説】 西澤保彦「麦酒の家の冒険」 講談社文庫 [bk1][amazon]
西澤保彦の未読本を少しづつ消化していこう計画が発動されたので感想を書いてみる。というか、これ途中まで読んでたんだけどな……
タックこと匠千暁を中心にしたシリーズの1作で、時系列的には「彼女が死んだ夜」(→感想)と「仔羊たちの聖夜(イヴ)」(→感想)の間に位置する物語。
先の事件で受けた心の傷を癒すため夏休み高原ツアーに出かけたボアン先輩はじめとするいつものメンバー、しかし帰りのドライブ中に車はガス欠になってしまう。車を捨てて夜の山道を彷徨う一行の目の前にあらわれたのは無人の洋館で、がらんとした内部にあったのは1台のベッドとクローゼットに隠された冷蔵庫、その中にはきんきんに冷えたエビスのロング缶が96本と凍らされた13個のジョッキだけ。果たしてこの山荘は何のためのものなのか…… ホロ酔い加減の4人は推理をはじめる。
突拍子もない発端から論理的推論を幾通りも導き出すといういわゆるアームチェア・ディティクションもの究極系を目指したものであり、作者あとがきでも触れられている、ハリイ・ケメルマン「九マイルは遠すぎる」の趣向を長編にまで拡大して書かれた作品であるようです。
ただ、その試みが成功したかというと非常に微妙で、こういう趣向ならば、大量のビールとベッドだけが用意された山荘、というありえないような設定がいかにも納得できる真相の一部分だった、という図式が成立するのが望ましいような気がするのですが、そういうわけでもなかったのがちょっと残念で、やはりいつもの<酩酊(=妄想)推理>でした。
そもそも、<酩酊推理>は、酔いの勢いにまかせて比較的近しい関係にある人々の魂の暗部を(勝手に)想像するみたいな部分にこそ味があると考えている自分にとっては、その味がうまく生かせていないのではないかなあという気もします。こういう趣向にしてしまった以上、それは仕方のないことなのですが……
この作品で上手くいかなかった部分(実質タックとタカチ、この2人の推理合戦になってしまうあたりとか)の雪辱戦が最近作の「聯愁殺(れんしゅうさつ)」(→感想)だったのかもしれません。
02/08/25(SUN)
【単行本・小説】 西尾維新「クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識」 講談社ノベルス [bk1][amazon]
でも今日はいーちゃんの本だったりして。
「クビキリサイクル」で第23回メフィスト賞を受賞した「京都の二十歳」西尾維新の第2長編。
天才ばかりが集う孤島で起きた密室殺人(前作「クビキリサイクル」)から2週間が経ち、私立鹿鳴館大学キャンバスに戻った「ぼく」こと、戯言使い・いーちゃんの前にあらわれたのは京都を震撼させる連続殺人鬼、人間失格・零崎人識(ぜろさきひとしき)だった。彼との出会いがきっかけとなり、級友・葵井巫女子(あおいい・みここ)と送る平和な日常は脆くも崩れ去っていった……
はっきりいってしまえば(個人的には)そんなに西尾維新を評価しているわけではありません。
この人の作品の中で用いられている手法の斬新性については、それなりに理解しているつもりで、それは、表面的に見れば単なる萌えキャラに映る個性豊かな面々の裏側にどろどろとした感情を用意して、物語全編を覆ってえんえんと捲くし立てられるいーちゃんの戯言がその魂の暗部をくっきりと浮き彫りにさせる、みたいなものだと思うのだけれど、やっぱ青臭いし、冗長に感じられてしまいます。未整理なまま過剰に出力される戯言がハレーションを起こして、この奇妙な雰囲気を作り上げている、というのもわかるし、たしかに面白いんだけど、「言葉としての完成度は低いままに作品として世に出てしまった小説」という印象を受けてしまうのです。なまじ速筆なのが仇になってるのかなあ。作者の分身キャラたちによる思考の垂れ流し(言葉が悪いですね)になってしまってるのは、同じく速筆な森博嗣作品と共通している感覚だと思います。
語り手である戯言使い・いーちゃんの壊れっぷり、非常に大胆な伏線の張りかたなど(青春)小説としてもミステリとしても評価すべきところは多いような気がするのですが…… この長さあればもうちょっといろいろ書ける気がする。たとえば、同ジャンル(?):キャンパスライフ実は裏側どろどろミステリならば、西澤保彦「彼女の死んだ夜」(→感想)くらいの密度が欲しいと感じます。もうちょっと見せ方工夫して最適化できていればなあ。
【単行本・小説】 西尾維新「クビツリハイスクール 戯言使いの弟子」 講談社ノベルス [bk1][amazon]
間髪入れずに読了。しかし、この表紙絵は強力だな―――
いったい、このシリーズはどこに行ってしまうのだろうか…… とある女子高生を学園から救い出す、というのが人類最強の請負人・哀川潤の今回の仕事で、しかし、それは問題ないとして、なぜ、19歳大学生男子のいーちゃんが女装セーラー服姿で学園に潜入しなければいけないのか、ぜんぜんわかりません。というか、偽造IDカードが必要になるような厳重な警備の中、ただセーラー服を着ただけの男が(ウィッグくらい着けてるにしても)やすやすと潜入できる気もしないんだけどな…… 哀川さん、正気!? あまつさえ自分も着てるし。
そんなこんなで(ありえない作戦だ)学園に潜入したいーちゃんが可愛い女子高生たちにかこまれてハイスクールライフを満喫〜 みたいなお話になるわけもなく、傭兵化した殺戮大好き! 女子が襲いかかってくるわ、オマケのように密室バラバラ殺人が起こったりするわ、なんかもう、たいへんですよ。
凶暴な娘さん相手のアクション活劇、そして戯言、という感じで、だらだらしてないぶん密度濃くてなかなか楽しかったです。ミステリ的なポイントでいえば、前作「クビシメロマンチスト」のほうが圧倒的に上だし、物語内におけるいーちゃんのポジションも微妙に変化している気がするけど、いったい、どこに向かうつもりなんでしょうね…… なんとなくですが、うえお久光「悪魔のミカタ」シリーズの第1作から第2作への変化にも近いものを感じました。
また、読んだ人全員もれなく解けそうな密室トリックに関しては、森博嗣「笑わない数学者」における「逆トリック」へのオマージュなのかな、とちょっとだけ思ったとさ。マル。
02/08/26(MON)
【ANIME】 円盤皇女ワるきゅーレ 第7話「脱線皇女ライネ」 (→公式)
回想シーンからスタート。ワルキューレと真田さんが心穏やかに宮殿の庭園を散歩してるところに幼女が駆け寄ってきて確信犯的に真田さんに嫌がらせしてみたりする。それは真田さんにとっては忌まわしい悪夢の記憶で、そんな高飛車で性格悪なもうひとりのヴァルハラ皇女ライネ@飯塚雅弓がワルキューレ追っかけて地球へとやってきてドタバタしまくる、というのが今回のエピソードであります。
ワるきゅーレをヴァルハラ星に連れ帰って元のお姉さまに戻してみせるため、和人とワるきゅーレの仲引き裂き計画を発動させてみせるライネさんなわけですが、その計画というのが、秋菜、ハイドラに変身して和人を誘惑しまくるというもので、わかったような、わからんような…… 普通の発想なら和人に変身してワるきゅーレにひどいことして嫌われてみるとかだと思うんだけどな…… 和人が本物と出会った瞬間に破綻する計画だよなあ。
アラビア〜ンなBGMに乗ってくどいくらいに繰り返されるライネの全裸変身バンクや過剰なまでのお風呂シーンなど、やたらにえろかった前半パートとくらべて、フルーツ牛乳など小道具使ってなごみムード醸し出した後半パートは、あーでも、ワルキューレに戻っていっしょに入浴とか、あんまり変わんないかな…… ハジけまくったあげく〆だけしっとり、というのはこの作品のパターンで、ほとんどのギャグはベタベタだけど、されど安定。

【ANIME】 円盤皇女ワるきゅーレ 第8話「猫耳慰安旅行」 (→公式)
な、なんつー話だ……
真田さんのネコミミ光線によって強制的にヴァルハラ王家侍女部隊の一員にされたネコミミメイドの皆さんはやっぱり私生活においてもいろいろ気苦労が耐えないようで「こんな仕事もできないのか、ネコミミ生やせばいいってもんじゃないよ」とか会社で叱られたりしている。そんな彼女たちの日頃の労を労うため慰安旅行にて海に遊びに行くお話。く、くだらね―― どんなエピソードだよ…… しかも全編えらいローアングルなんですけど。
大喜びでバス乗りこんで「にゃー!」とか鳴く。車中では私服ネコミミメイドの皆さんが振り付きでED曲歌い踊ったりしてる。マイク回ってきた秋菜@千葉紗子もついのせられて「ボエ〜〜♪」とか歌う。「お菓子、お菓子〜」とかドタバタしてたワるちゃんは「オエ〜〜」とかなる。
海についたらついたで「か、可愛すぎる〜」といつものお約束があって、先週出てきたライネが案の定フラフラ不時着、なんとなく合流する。しかし、ネコミミだらけのビーチって、すごい光景。海でも英単語勉強してるリカの単語帳と現実の光景がシンクロしたりとか、ライネの近眼ネタ、そんなライネの暴走を抑えるため封印解除されたハイドラ@西村ちなみの水着がぱっつんぱっつんになって食い込みまくるエロネタなど、無理矢理に詰め込まれまくったネタたちが楽しい仕上がりの回でありました。旅館の宴会にて浴衣姿のネコミミ部隊が「あにゃん あにゃん にゃ――ん」と踊りまくったりとか、ベロベロになったライネがワルキューレに変身して下ネタ披露、それを真田さんが必死になって止めるだの、盛り上げるだけ盛り上げたラストに花火が上がって、それをしみじみと眺めながら〆。
なんでしょうね、これは……



02/08/28(WED)
【単行本・小説】 西尾維新「クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言使い」 講談社ノベルス [bk1][amazon]
レビュの順番が前後してしまった。絶海の孤島に財閥令嬢が住んでいて、退屈しのぎに5人の女性たち―――科学、料理、占い、絵画、工学、それぞれの分野でトップに立つ「天才」たちをその島に招待する。そこでスタートする、密室・首斬り殺人の連鎖! みたいなお話なんですが、なんというのか、混沌レベルが異様に高い小説です。
工学分野の天才美少女、玖渚友(くなぎさとも)の冴えない友人、いーちゃんこと「ぼく」の一人称によって事件は語られていくのですが、たとえば、いーちゃんと玖渚友の関係とか、そもそも玖渚友は何者なのか、など、読者が普通知りたがるだろうことがまったく語られないあたりや、事件が島滞在の3日目から語られ始めることに何か意味が…… など、情報提示のスタイルとしてはかなり奇妙なのでは思います。これはたぶん天然で、いろんなことが語られてはいるんだけど、それが何の意味を持つのかは、わかったような、わからないような………そんな感じ。登場人物たちがわかりやすく色わけされてたり、メイドが出てきてしかもなぜか三つ子だったり、されど、各人に格別見せ場があるわけでもなく、キャラがただ立ってるだけで印象的なエピソードが用意されることなく終わるあたりは帯に推薦文を寄せている清涼院作品っぽい気もします。また、天才たちの発言がそのまま作者である西尾維新の考えてることとコンパチになってるあたりは森博嗣作品の特徴に近く、まさにメフィスト賞作品を読んでメフィスト賞に応募してきた若い世代の作品、という印象を受けました。
ミステリ的にも微妙に奇妙で(なんだこの言い回し)、だいたい、これだけ奇怪な登場人物たちがひしめいていれば、殺人があってその首が斬られていようがべつだんどうでもいいような気がしてくるし、事件自体のインパクトはほとんどありません。登場する密室だって、「密室? 言われてみれば、そうかも」レベルのもので、そもそもこんな連中ならば、誰かひとりくらい瞬間移動できてもおかしくないような気さえします。
そういえば、ラスト近くの展開において、一応ヒロイン役の玖渚といーちゃんの見せ場的シーンがあるのですが、そのシーンをロマンチックなものとして成立させるための条件づけからして非常に強引なルールメイキングによるものだったりするのがなかなか印象的で、たしかに論理的ではあるんだけどリアリティは完全に消失している、いーちゃんルールによって世界すべてが構築されている物語ではないかと思います。
無自覚にとても不思議な小説で、最近作に近づくほど、その点では真っ当になってきているのではないでしょうか。
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