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02/09/21(SAT)
【ANIME】 藍より青し 第21話「風気 〜ふうき〜」 (→公式)
やっぱ、2番からのOPは違和感あるな―― 葵たんが風邪ひいて桜庭屋敷はしっちゃかめっちゃかさ! というストーリーで、ひとりダウンしただけでここまでひどいことになる不条理、いかんせん君ら、何も出来なさすぎでしょーという思いでいっぱいであります。 「薫様……」とかうわごと言うな。1日2日くらい家事サボってもたいして何も起こらないと思うが…… そういえば最近ヒロインの座が危うくなってきてたような葵たんですが、今回のお話ではいろいろな部分で葵たんの魅力が出てたよ。怖いとことか。超安定の作画に「オイオイ……」という展開、「今だけは、葵だけの薫様でいてください」 やっぱ「藍青」。

【ANIME】 藍より青し 第22話「帰省 〜きせい〜」 (→公式)
薫様とお出かけ。でも目的地は秘密〜 「薫様、意地悪ですぅ」 ヒント:カボチャの煮物+だし巻卵じゃむつかしい気もするけど、仏花で気づくんじゃないのかな、普通。葵たん、にぶいよ…… というわけで、ストーリー前半:薫様、墓参りの巻でありました。 「俺の母さんだよ」 ザザ――(背景を流れる落ち葉) いったい、どこにそんなものが…… ちょびっと登場したかと思えば、ピエロメイクですか。繭のコメディエンヌとしての実力はなかなかのものであった → そしてひとり家へと帰される屈辱。ちかたんはお泊りなのに…… 帰省して葵たんが1日いないだけでうなされるなよ―― 内輪のお月見パーティーなのになぜ看板まで用意する…… 団子がない。 「葵ちゃん……」 「薫様……」 前回今回と葵たんの眼球がデカすぎてちょっと怖い。 「待って、待って葵ちゃん」 「サヨナラ サヨナラ」 戻ってくるのが1日延びただけでこのていたらく。実家うんぬんの事情がわかってるなら理解もできようが…… 雅たんの携帯なり直接実家なりに電話してみろYO! なんでいきなり行こうとするのだ。雅たんといっしょに実家へゴー! 雅さんの心情吐露。やっぱ無神経な娘だな>葵たん 薫様に対する嫉妬から葵たんしごいてたのかよ、オイ! >雅 どっちもどっちか…… 計算してみるにそれなりの年齢と見受けられるが、なぜ雅たんはここまでボディコン風味なコスにこだわるのだろう? バビュー! と高速を駆けていったよ。次週(だっけか?)に続く。

02/09/22(SUN)
【単行本・小説】 法月綸太郎「密閉教室」 講談社 [bk1][amazon]
しかし、屈折しまくってるなあ……
ある朝早く、ドアは内側から目張りされ、内側から窓に錠がかけられている密閉された教室の中で1人の高校生が死体となって発見された。そして昨日まで教室にあったはずの机と椅子48組がすべて消えていた。自殺か? 他殺か? 誰が? なぜ? どうやって?
異様なムードの青春ミステリで、さまざまな欠落とありえないような設定が、147もの断片に切り刻まれた物語として極めて不安定に組み立てられ、崩壊寸前のバランスでぎりぎり成立しているところがひどく面白いです。
法月綸太郎といえば、「後期クイーン問題」で苦悩しまくる探偵であり作家でもあるのですが、この「密閉教室」は、探偵・法月綸太郎が登場以前に発表された唯一の作品であり、被害者の同級生である工藤順也を探偵役として配することによって、青春ミステリにおける「クラスメイト死んでるのに探偵気取り」問題をさらに付加させて、その苦悩、煩悶の度合いを高めています。
そもそも級友が亡くなった直後、その死の真相について自信満々に自分の推理披露してみせるなんざ、考えるまでもなく「オイオイ……」な行動なわけで、この作品ではそれを自覚したうえであえてやってるところがいいですね。なんとも嫌な雰囲気。
探偵役である工藤に対立する存在として用意された、ネロとあだ名される担任教師・大神の設定もなかなかすごくて、青春小説にありがちな教師と生徒の対立が アンチミステリ者 vs. ミステリマニア という図式にすりかえられてしまってるところがかなり変であります。そういえば、この担任教師、クイーン「チャイナ橙の謎」を読んで激怒した挙句、窓からどぶに投げ捨てたというエピソードを持ってたりするのです。
その他の教師、生徒たちの性格設定もどこかエキセントリックで、そんな不自然な登場人物たちにより繰りひろげられるひどく現実味に欠ける物語が、なぜかほろ苦い味わいの青春小説に成り得ているあたりが非常に不思議です。
こんな面倒なことをなぜしなければいけなかったのか、そもそも必然性のかけらもないお話で、しかし、その歪みこそがこの作品最大のポイントなのではと感じます。ミステリという手法を使うことで、青春ものがこんな風にも描けるのだというひとつのサンプルかも。
【ANIME】 プリンセスチュチュ 4.AKT「ジゼル」 (→公式)
→第4話ストーリー
あ、そっか。あひるとるぅって、これがほとんどはじめての会話なのか。 「これって、寂しいって気持ちなのかな……」 「お前は、俺だけの人形でいろ!」(ちがうか) 少しずつ心を取り戻していくみゅうとに苛立ちを隠せないふぁきあ。 「いいのよ、みゅうとはお馬鹿さんのほうが」 るぅもそうか、なんか人形マニアが多い。見習いクラス落ちしたあひるたんも無事初級クラスにもどれたようで、まずはめでたい。 「よーし、あひるといっしょに見習いクラスに転落よ!」 この娘さんの友情もなんか歪んでるよね。「私と、結婚っ!」 猫先生もいいけど、伴奏のペンギンっぽいのもえらくダンディ。見えない人間と話してたと思ったらどこかに消えてしまったみゅうとの奇行を目撃したあひるはたまたま出くわしたるぅとともに彼を探すことになったわけで…… しかし、すべてにおいて隙がない出来。極端な破綻もないぶん、きちんとまとまりすぎな感もあるけど、やっぱクオリティ高いよなあ。どこキャプっても絵として成立するのはすごい。かわいい絵柄にえらくミステリアスな雰囲気、死、そして終わりを想起させるストーリー、素晴らしいですね。みゅうとを死の誘惑から救うためにるぅが何のためらいもなく踊り始めるあたりの唐突さも素晴らしい。この展開はサブタイにもなってる「ジゼル 第2幕その1」からなのかな。何の説明もありませんが、そこらへんの抽象性も逆によい。終盤における、るぅと死少女たちのバレエ対決に枚数もっと使えたらさぞすごかったろう。


【ANIME】 プリンセスチュチュ 5.AKT「火祭りの夜に」 (→公式)
→第5話ストーリー
しかし、おもろい。いちばん美しい踊りを披露したカップルに黄金の林檎が贈られるという町の伝統行事「火祭り」にみゅうとを参加させないよう、みゅうとを図書館地下に閉じ込めてしまうふぁきあであったが…… というお話で、みゅうととともに踊るために祭り会場で待つるぅ、彼を監禁したふぁきあ、みゅうとを巡るストーリーの中では立ち位置の異なる2人が、プリンセスチュチュの手によって少しずつ人間的な感情を取り戻していくみゅうとに対する戸惑いという点については同じような反応を見せるあたりが面白い。チュチュの手によって救い出されたみゅうとが自分と踊ってくれるのは嬉しいけれど、彼の心の中にあらわれた慈しみという感情に困惑して逃げ出してしまう複雑なるぅの心理描写なんかは一筋縄でいかないようでいいですね。結局、人形が好きなんだよ…… 彼女のため、そしてみゅうとのため、あひる(=チュチュ)したこと全てが徒労、余計なお世話に終わる可能性もなきにしもあらずなわけで…… 人間性の回復が果たして本当にそのまま幸福へと繋がるのか? というお子様向けとは思えない主題があるのかな、と思いました。バッドエンドならばきっとそーだよね。

02/09/23(MON)
「昼、大蒜を九人煮る日」
なんでないのかまるで理解不能だった眼鏡のレンズ片っぽですが、ティッシュの箱の中から無事発見されました。流石にそんなとこ探さないよなあ……
「翻訳SFファン度調査」結果。
『愛はさだめ、さだめは死』(87) ジェイムズ・ティプトリー・Jr.
『カウント・ゼロ』(87) ウィリアム・ギブスン
『たったひとつの冴えたやりかた』(87) ジェイムズ・ティプトリー・Jr.
『スキズマトリックス』(87) ブルース・スターリング
『いさましいチビのトースター』(87) トーマス・M・ディッシュ
『蜂工場』(88) イアン・バンクス
『死者の書』(88) ジョナサン・キャロル
『モナリザ・オーヴァドライヴ』(89) ウィリアム・ギブスン
『ソフトウェア』(89) ルーディ・ラッカー
『ウェットウェア』(89) ルーディ・ラッカー
『ディファレンス・エンジン』(91) ギブスン&スターリング
『ホワイト・ライト』(92) ルーディ・ラッカー
『セックス・スフィア』(92) ルーディ・ラッカー
『どろぼう熊の惑星』(93) R・A・ラファティ
『タンジェント』(93) グレッグ・ベア
『フリーゾーン大混戦』(94) チャールズ・プラット
『シェイヨルという名の星』(94) コードウェイナー・スミス
『ラッカー奇想博覧会』(95) ルーディ・ラッカー
『ヴァート』(95) ジェフ・ヌーン
『アインシュタイン交点』(96) サミュエル・R・ディレイニー
『ハッカーと蟻』(96) ルーディ・ラッカー
『つぎの岩につづく』(96) R・A・ラファティ
『第81Q戦争』(97) コードウェイナー・スミス
『火星夜想曲』(97) イアン・マクドナルド
『スペアーズ』(97) マイケル・マーシャル・スミス
『三つの小さな王国』(98) スティーヴン・ミルハウザー
『時空ドーナツ』(98) ルーディ・ラッカー
『ゾッド・ワロップ あるはずのない物語』(98) ウィリアム・ブラウニング・スペンサー
『宇宙消失』(99) グレッグ・イーガン
『順列都市』(99) グレッグ・イーガン
『祈りの海』(00) グレッグ・イーガン
『キング・ラット』(01) チャイナ・ミーヴィル
『オンリー・フォワード』(01) マイケル・マーシャル・スミス
ラッカーでかせいでる。ギブスン、スターリングあたりは正直内容をほとんど憶えてないのですが、一応チェックしておきました。

加藤元浩「Q.E.D. ……証明終了」 13巻 [bk1][amazon]
超安定。自らの引き抜きを賭けて燈馬とビル・ゲイツっぽい男が騙し合いをする「災厄の男」、極楽に行くために建てられ、その中で持ち主の大地主が消失したという伝説を持つ「黄泉の塔」、大地主の娘である婆さんがその塔の中で死体となって発見された事件を扱った「クラインの塔」の2作を収録。
「災厄の男」。エイプリルフール・クラブ、今年は開催されなかったのかな? とか、初代Windows開発にかかわったって、その時燈馬いくつだよ! とかいろいろツッコミどころはあります。でも、面白い。しかしやはり、「警備主任、そんな重要なこと伝えとけよ!」とか「領海に関する知識をオランダ大使が持ってないはずはない」という気はします。謎解きメインにしたお話ではないので問題はべつにありませんが……
「クラインの塔」。なんと、館もの。奇怪な事件が起きただけの歴史も無い塔が村おこしの役に立つ気もしないが…… 気味悪いだけな気もする。しかし、伏線を画で見せるその巧みさにはいつも感心します。上手いですねえ。

ゆうきまさみ「パンゲアの娘 KUNIE」 5巻 [bk1][amazon]
これにて完結。単行本だけ読むと連載終了はかなり直前に決まったのかな? という感じで、物語終盤になって、ばたばたと大ざっぱに風呂敷畳んでみた印象受けますが、実際には10週の猶予があったみたい。ゆうきまさみの実力、ネームバリューを持ってしても、どう落ち着くのか、何が起こってるのかわからない物語を少年誌で連載するのはむつかしかったということでしょうか。
クニエと陽の姉さん女房関係よりは、乗馬用鞭で叩かれたり嫌がらせにも似た意地悪を連発されながらも心の底から嫌そうなわけではないシルビアさんとサードの関係を面白いなあと思ったりして。なんというのか、大人――
【ANIME】 最終兵器彼女 第12話「ラブ・ソング」 (→公式)
うーむ、たぶんアニメ的ショック表現の頂点は、第9話「アケミ」(→感想)だったわけで、ここいらについては原作における暴走の方が凄まじい気がします。ストーリーについても正直、駆け足展開だしね。完全最終兵器化したちせたんの音声が人間バージョンと死神バージョンで2重化するあたりの表現も、同じことフォント変えで見せていた漫画版のほうがインパクト大でした。
あらかじめ書いておきますが、たぶん最終話感想は文句になるんじゃないかと思われます。これは原作に対する不満でもあるのでアニメとしての出来がどうの、という問題でもないのですが…… 「しゅうちゃんのこっこがほしいよ」 再構成されてやってきた死神モードちせが、人間時代のちせの記憶を掘り起こしたりするあたり、目の前の存在が何者か揺らぐあたりの表現はすごいと思うんですけど、ここらへんを正面と真横からのカットだけで構成したのはちといまいちかな―― なんか文句ばかり言ってますね…… 「ねえ、殺していい? 誰でもいいから、殺したい!」 空から爆弾が降ってくる。 すごいよな―― もっと派手に爆発させてもええのに。町1つくらいなら滅ぼしてもいいです。制服の中からミサイルごろごろカットと並んで高橋しん(そしてアニメスタッフ)の才能を感じます。

02/09/25(WED)
受験回。また無難にまとめたもんだね…… 「進路相談」、「合格祈願」、「ファイト」、「勉強会」、「ともと大阪 運命の日」の5本。
なんかしらんけど、在庫一掃セールみたいですな。残り物のネタを黙黙と消化。とうとつにはじめる謎々合戦。アニメで漢字ネタはあつかいがむつかしいの―― 大阪参上。即答即答即答即答。適当きわまるちよすけの回答。 「何! 正気か!!」 あいかわらずひどいティーチャーさんですね―― お父さん枕、どこぞで売ってないのかな―― ネコジャラシ&熟睡。 うわ、いつのまにか年明けた! 淡々とネタを消化中! 初詣。 「凶!」 「きっともう、だめなんだよ……」 いくらなんでもセンター試験に割り箸は持参せんだろう。 「前から言おうと思ってたんですけど……」 思ってたのかYO! 「これを使えば大学なんて……」 大阪、最初で最後の大激怒。 結論:ともはダメ。自作のお守りってご利益あるのかな―― お父さん登場。 「3年って、あっというまやな――」 そうですね。神楽、なんとなく合格。君は眩しいよ…… ぺらぺらの封筒。中に「だめ」。大阪持参の封筒はぺらぺら。ぎにゃー! 平和のシンボルが飛んでいる。落ちるは禁句。壊れた。次週は最終回&よみスペサルだ!! 今回と同じく淡々とした最終回になりそうでそれがたいへん恐ろしい――

02/09/26(THU)
【単行本・小説】 倉阪鬼一郎「内宇宙への旅」 徳間デュアル文庫 [bk1][amazon]
面白いなあ…… しかし、この人がサーヴィス精神発揮させるとどうしてこんな話になりますかね。また、なんでこんな話をデュアル文庫の読者に読ませようとしますかね。だってこの話、特殊小説家・倉阪鬼一郎42歳の帰省話ですよ。いったい、誰が喜ぶというのか……
黒彩社という聞いたことのない出版社から書き下ろし中篇の依頼を受けた特殊小説家・倉阪鬼一郎はたいへん乗り気だった。信じられない額の取材費、資料代が前払いされるという好条件もあったが、担当美人編集者であるアニメ声のジェシカ・ハーパー(「サスペリア」主演女優)、宇野あずさたんに萌え萌えだったのだ。
彼女の依頼である「読者の意識の変容を迫り、作者の内部にある空洞が読者に憑依するような物語」の執筆を開始した倉阪だったが、「内宇宙への旅」と題したその中篇を執筆していくうちに、小学生時代の自分の記憶がどこか後付けされたもののように平坦であるという事実に気づいた。自らの記憶を辿るため、故郷である伊賀の地を取材する倉阪であったが……
すべてにおいてこの人らしい作品で、前半分そのまま使った作中作「内宇宙への旅」には当然のように仕掛けあるし(泡坂妻夫「ヨギ・ガンジー」シリーズみたいだ)、ラストの崩壊感もいつもの感じ。でも、徳間デュアル読者にそれを読ませますか? みたいな印象です。この本、若い人が読んだらどう思うのかな―― ぜひ聞いてみたい気がします。倉阪先生(そして編集)にも困ったものだな…… 面白いけど。
ブギーポップっぽいの書くつもりが、なぜかちんちん勃起させた同級生を電気椅子に括り付けて燃す話になった(w「BAD」(→感想)に引き続き、表紙イラストを担当した槻城ゆう子ってどこかで聞いた名前だな……と思ったら「素っ裸の幸せ。」(→OHPオスマン)の人でした。気づかなかったよ。
【ANIME】 最終兵器彼女 第13話「そして、ぼくたちは恋していく」(完結) (→公式)
はわわわわ〜 なんというシュールアニメだ―― 空からツララが降ってきて―― すべては津波に飲み込まれ―― 空ではちせたん大暴れ―― 陸ではシュウジが男泣き―― 上は洪水、下は大火事なあに? (答え:世界の終わり)みたいだな……
この最終話に対して「納得できない」とかその種類の文句は、この俺が許しません! 12話までえんえんみてきて、まともなラストがありえそうな物語だと、真剣に君らは思っていたのですか? この作品、「最終兵器彼女」は今世紀最高のシュールアニメとして人々の記憶に残るにちがいない。(あまりにあんまり、許容範囲を超えてシュールなので一瞬で忘れ去られてしまう気も同時にしますが……)
原作、アニメひっくるめてこの作品の凄まじいところは、ちせとシュウジの恋愛のトッピングとして、周囲の友人、両親、日本国民、ひいては地球人類、いや、地球上の全ての生命体、地球そのものまでまるまる犠牲にしてみせたことで、単なる田舎の高校生恋愛話を、惑星規模のホロコーストを隠し味にして描いてみせるという前代未聞、異常なレベルの表現エスカレーションにのみありました。だからもう、ストーリーがとか、物語の背景がとか、そんなつまらないことは考えちゃダメ! 「Don't think.FEEL!」って、昔のカッコイイ人も言ってます。考えちゃだめなんだよ……
でも個人的には、原作における「地球を捨ててふたりで宇宙にトンズラ」エンドのほうがさらに後味悪くて良かったのに――と思いました。シュウジが両親見捨てて逃げるあたりも描かないと!(ここらへんの変更はアニメスタッフの良心なのだろうか……)
ところで、やっぱり文句(w 第1話「ぼくたちは、恋していく」感想にて高橋しんの偽善性についていきなりいちゃもんつけてる俺なんですが、ぶっちゃけこの人が「いいはなし」だと思って送り出してくる物語のほとんどは「よさそうな雰囲気のはなし」にすぎなくて、よく考えてみると、かなりの確率で「いいはなしではない」ところが高橋しんの真骨頂なんだと思います…… でもそれを高橋しんは「いいはなし」だと信じて疑わないんだよね…… こんなに性根がやらしいものばかり描き続けているのに…… なんかこう、素晴らしく無自覚だ――


02/09/28(SAT)
【単行本・小説】 飛浩隆「グラン・ヴァカンス 廃園の天使 1」 ハヤカワSFシリーズJコレクション [bk1][amazon]
う――む、正直、評価がむつかしいというか……
<夏の区界>。そこはネットワーク上に存在する仮想リゾート地<数値海岸>の一区画であり、南欧の海辺をモデルに構築された電脳空間である。人間の訪問が途絶えて1,000年が経過した<夏の区界>の中では取り残されたAIたちが――「永遠に続く夏休み」――終わることのない夏の1日をえんえんと繰り返してきた。
しかし、突如としてその夏休みも終焉の時を迎える。足だけで作られたような奇怪なプログラム群「蜘蛛」が<夏の区界>に出現、空間の全てを無化しはじめたのだ。そして、生き残ったAIたちの決死の攻防戦がはじまった。
なるほど、こういう問題につながるのか……と驚き、しかもジェットコースター的展開でなおかつ叙情性にあふれたラストは素晴らしいと思いました。総合レベルで考えてもひどく達者な人だと思うのですが、ところどころひっかかって読了までずいぶんかかってしまったのは、たぶん「なぜ、AIを登場人物たちとして据えてこのような物語を書くのか」という思想性において足りてない部分がある気がしたからでしょうか。
たとえば、きらびやかで瑞々しい五感の描写ですが、なぜAIたちが揃いも揃って官能や味覚をキーワードとして自らの感覚描写をしているのでしょうか? 人間社会と同じく、AIたちにもそれぞれ世界の中での役割が割り振られているわけで(むしろ機能的には特化されてるはず)ならば、その役割に沿ったそれぞれの表現方法を用いるのが普通なのではないでしょうか。ほかにも「蜘蛛」の感覚がジュールにそのまま伝播する、みたいな描写があるんですが、そういうのって本当にあるのかな? と疑問に感じます。プログラムレベルがずいぶん異なりそうなのに。<夏の区界>なり<数値海岸>にいるAIたちの間で感覚コンパチというのは頷けるのですが……
たしかに表現レベルは高く、素晴らしいと思うのですが、その質が小説世界からは乖離してしまってる印象を受けました。細かい部分でなにか釈然としない感じ。わざわざ仮想空間を舞台にしてAIたちを主人公に物語を構築するわけですから、小説表現自体も新たに再構築されるべきだと思います。だから、お話としては面白いのだけれど、よく考えて小説として評価すると「う――む……いまいちわかんない」という、前述したものになってしまうのです。
ハヤカワJコレクションの先行ラインナップの中では、牧野修「傀儡后」(→感想)に最も近しいイメージの作風なのですが、「傀儡后」には「物語を極限まで空疎化させて麻薬的文章表現という外部だけで小説を構築する」という作品全体を通しての試みがなされていたように感じます。その点でこの作品はちょっと弱いかなあ。また、ジュールとジュリー、ふたりのエピソードである第1章が終わるとすぐに「蜘蛛」による破壊がはじまってしまうので、<夏の区界>自体にはまったく思い入れが抱けない、というのもちょっと弱い気がします。
そういえば、「どこか懐かしい未来」という感覚では秋山完の作品にもちょっと近い部分があるかもしれませんね。たとえば隔絶された環境での攻防戦を描いた「リバティ・ランドの鐘」とか。(→感想)
【単行本・漫画】 華倫変「高速回線は光うさぎの夢を見るか?」 太田出版FxCOMICS [bk1][amazon]
華倫変 イズ デッド!! あっ、間違えた、逆、逆!!
湾曲しまくったフィルターを通して本格ミステリのようなものを描いた怪作「デッド・トリック!」(→単行本未収録漫画のページ内コンテンツ「デッド・トリック!」全話リスト)で読者をおおいに脱力させた後(わりとあっさり終わって単行本にもまとまらなかったが……)ヤンマガ誌上から姿を消し、増刊・赤BUTAを経て、マンガ・エロティクス(F)に活躍の舞台を移した天才変態漫画家、
華倫変本人の思い入れも強いらしい、多重人格少女である岡山三奈と彼女に淡い思いを抱く少年西野の関係をメインに据えた「あぜ道」、「下校中」、「木々」の3部作がこの単行本の白眉なのだと思います。三奈の抱えるいくつものパーソナリティのうち、淫乱人格であるところの「ミレマ」が無茶するせいで、彼女の中にいる残りのふたりが深く傷つくあたりの描写は本当に鮮烈で、「あぜ道」における闇の中のおんぶシーンなどは特に深い印象を心に残します。やはりこの人の描くものには凄みがある。
ただ、「カリクラ」によく出てきた、ものすごくいい加減に描いたような独特な味わいは薄れていて、その点においては「ねむる部屋」、「コギャル 危ない放課後」、「酒とばらの日々」のほうがこの人らしい作品ともいえます。完成度が高まるにつれてストーリー的には他の作家にも描けそうなものになってしまうんですよね。
女の子の部屋をネット配信するのが仕事の男が「上からの命令」でいつも寝てばかりいる少女を犯りにいくというお話、「ねむる部屋」は、貧乏くさくダークで居心地が悪くなるような、ひきこもり少女の言動がすばらしくよい感じの作品。おめかし服が魔法少女かアンミラか、というひどく浮いたものだったり、「ヘッヘッヘッ」と卑屈に笑うところもよい。ハメ録りビデオのインタビュー内容がどこまでもダークに、そしてシュールになっていくというお話である「コギャル 危ない放課後」、飲んだくれて犯られまくる壊れ女の描写が徹底的な「酒とばらの日々」、ともに登場する女がどうしようもなく、まるでバクシーシ山下のビデオを見ているようなジャンクなリアルさがそこにあるように感じました。テーマ未消化っぽい作品ではあるものの、奇妙な倦怠感が滲み出ているような気がして、そこがけっこう好き。
CGを使った最近作、「とかく
【単行本・漫画】 よしながふみ「西洋骨董洋菓子店」 4巻(完結) 新書館 [bk1][amazon]
これにて完結。
橘、小野、エイジの3人は心のどこかに暗い部分を抱えていたわけで、そんな彼らがたまたま集った洋菓子店「アンティーク」を仲立ちとして自己回復していくさまが素晴らしく見事に描かれています。
とくにこの最終巻における、今までの伏線が1点に収束していくあたりの描き方は本当に巧みで、登場人物たちの心の描く軌跡がとても美しい。漫画における心理表現のトップクラスに位置するものではないかと思います。これは間違いなくよしながふみの代表作になる作品で、今読み返してるうちになんだか泣いてしまってこれには自分でも驚いた。
また、心の裏側にダークなものを抱える彼らの脇に純真な天使役として千影を用意した配役の妙というのもあると思っていて、ともすればどこまでも暗くなっていきそうな物語が彼の存在で救われていると思います。いいキャラだ――
画的には白と黒の使い方に長けている人ですが、心理描写としても光と影の対比で見せる作家だと思います。
お、めずらしく手放し大絶賛モードですね……
02/09/29(SUN)
【単行本・小説】 パトリック・マグラア(訳:富永和子)「スパイダー」 ハヤカワepi文庫 [bk1][amazon]
なかなか面白かったです。読んでるうち、くらくらと眩暈に襲われそう。
カナダでの療養生活を終えてロンドンへと戻ってきた私は20年前の忌まわしい記憶を回想する。気難しくそして身勝手だった父親はパブで知り合った娼婦のヒルダと共謀して優しかった私の母親を殺害したのだ。その後、家に住み着いたヒルダは厚かましくも母親の服、下着をつけて我が物顔に振舞った。罪悪感の欠片も感じられないふたりに激しい怒りを覚えた私は綿密な計画に従ってヒルダを殺した。当時の様子をノートに書きつけることで私は混濁した記憶を辿っていく。私の「物語」はしだいに揺らいでいき、その奥底から恐ろしい「本当の物語」が浮上してくる。
ふとしたはずみで脳の連係が「はずれて」しまい、無意識には何一つ出来ない主人公のデニス(スパイダー)というまったく信頼を置くことができない人間を語り手に据えたこの物語は、ある種の強迫観念に支配されているような錯綜した筆致で描かれる現在の状況、そして主人公の「手記」という形式をとった母の死を取り巻く20年前の状況、これら2つのパートが繰り返され、「実際には何が起こったのか」という謎がしだいに明らかになっていく、という構成を取っているのですが、比較的真っ当に思える「手記」内容にしても、主人公が見ているはずもない事実が当たり前のように書かれていたりするので油断がなりません。
若島正氏による巻末解説にも書かれていることですが、真実はどこにあるのかを探りながら読み進めていく感覚は「叙述トリック」もののミステリを読んでる時の感覚に近いと思います。ただこの作品の場合、語り手であるデニスが妄想狂ともいえるキャラクターであるがゆえ、真実の中に隠れた嘘を探すというよりは、妄想の中に隠れた真実を掘り起こすという作業に近くなっていて、そこがなかなか面白いと思いました。
逆にいえば、小説内妄想パーセンテージが高いため、そして真実を明らかにする探偵役が不在であるがゆえ、ばたばたと世界が反転していくような崩壊感が味わえるわけではありません。デニスが意識的に避けている事柄をつなぎ合わせていくことによって最終的な真相が容易に予想可能であることを考えると、比較的わかりやすい部類の物語であるとは思うのですが、読後の爽快感があるわけでもなく、ミステリよりは幻想小説愛好者向けの作品だと思います。当たり前ですね…… 狂気と妄想のタペストリー、ぐねぐねと捩れた物語が読みたい人にオススメ。
ミステリの分野でこれに近い作品ということで綾辻行人「人形館の殺人」という名前がまず頭に思い浮かびましたが、ミステリ好きの人の間でこの作品の評判があまりよろしくないらしいことを考えるに、やはり妄想とミステリの相性はよろしくないのなあと思います。個人的には大好きで、読んだ当時「なんと革新的な作品だ!」と感激したものですが…… 「仕掛けのための仕掛け」といったトリック技巧が凝らされた作品(たとえば、折原一作品とか)よりはむしろ文学的必然性があるように感じます。
【ANIME】 藍より青し 第23話「決意 〜けつい〜」 (→公式)
夜の高速、雅たんのBMWが駆けて行く――みたいな、そんで桜庭屋敷は険悪なムードでいっぱいさ! と思ってるうちに夜が明けた。というか、葵たん探しにいったんだと思うぜ、普通。なんかこう、微妙にズレてるんだよね、演出が……
桜庭家の別荘訪れた薫様が葵たんといっしょに訪れたのは思い出の地、縁結びの社で、ロリ形態葵たん+薫様の回想がはじまる――みたいな展開。それにしても齢片手くらいにして初対面の男の子、「様」づけで呼んで、あまつさえ翌日の段階で 「薫様は平気なの? 葵といっしょにいたくないの?」 とか訴えますか? この娘さんは…… 薫様のそんな告白を約束の樹の下で聞いたかと思えば、ビュー! とか突風吹き荒れて、なんかそんな鍵、持ち歩いてるし〜 葵たん…… 何、この陳腐な展開…… 「って、朝まで」 「ふたりっきり……」 「なんだか、新婚旅行みたいですね」(こ、この女は……) 「薫様、あ――ん」 「俺、ちょうどそうしてほしいと思ってたんだ」 「美味い……」 「あ――ん」 ムキ――!! 萌えか? 萌えなのか? このアニメは…… そして、お背中流し〜 「またひとつ、夢がかなっちゃった」 もう、見てられない…… ある意味究極アニメだなあと思いました。まあ、葵たんに縁談話が持ち上がったという展開なんですが、どこの馬の骨かもわからん男(薫様)+得体の知らない娘っ子たち(ヤンキー+ドジ眼鏡)桜庭屋敷に同居させて擬似ハーレム形成させてた段階で放任にも程があったよなあと思ってみました。次回、最終話に続く。
【ANIME】 藍より青し 第24話「葵 〜あおい〜」(完結) (→公式)
ということで、桜庭の本家に乗り込んで葵パパと対峙する決意をした薫様と葵たんでしたが…… すごい! 桜庭の家紋がバックに控えてるよ! 「ブアァカな男だ」 葵パパ@内海賢二燃え〜 「大丈夫ですよ、お父様は薫様を認めました」 え、そうなの! 折れるの、はやっ!! たった2、3分でオッケーなのかYO!! なんじゃこの安いストーリーは!! と、大爆笑してしまいました。 「お前が生まれた日、空は抜けるような青だった……」 いきなり何を言い出すかと思えば…… 葵パパは最高だな。最後にして主役ふたりを食いました。流石の貫禄です。おもろいな―― というか、葵たんも雅たんも連絡くらい入れておけよなと思ったりします。なんかこう、なんかこう、なんかこうズレてるよね―――それが「藍青」世界なのだが…… 鈴木と佐藤が引っ越してきたら最低だよ……と思ったら褐色ロリまで引っ越してきてとんでもないことだ…… 妙子たんまでが聞いてないのか…… どいつもこいつもいきなりだ! 「やれやれ……」 葵たん、オパーイ気持ちいいよ。もう1回やってほしいなあ…… 舞い散る夜桜の下、脳にくるバビ展開があって、なんとなく良さげに終了〜
いい雰囲気ではあるのだけれど、よく考えると狂いまくった安ストーリーと、高レベル安定した作画の組み合わせが絶妙でありました。半年つきあってみたけど、なかなかすごい作品でしたね。狂気に満ちたいちゃいちゃ馬鹿ップルアニメとして、歴史に刻まれてもいいと思われます。毎話毎話コンスタントに面白かった。


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