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G=ヒコロウ「みんなはどぅ? メガキューブ」
comic さくいん

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magazine さくいん(更新停止中)

novel

ナンシー関「秘宝耳」
ナンシー関「冷暗所保管」
シェイマス・スミス(訳:鈴木恵)「わが名はレッド」
麻野一哉 / 飯田和敏 / 米光一成「ベストセラー本ゲーム化会議」
西澤保彦「人格転移の殺人」
ホルヘ・ルイス・ボルヘス+アドルフォ・ビオイ=カサーレス(訳:木村榮一)「ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件」
桐生祐狩「夏の滴」
イアン・マキューアン(訳:宮脇孝雄)「セメント・ガーデン」
novel さくいん

etc.

超重神グラヴィオン 第1話「巨神の棲む城」
プリンセスチュチュ 8.AKT「戦士の泉」
キディ・グレイド 第1話「Depth / Space」
第3期ギャラクシーエンジェル 第3話「シャッフルフレンチ・デザート抜き」/ 第4話「スペシャル前菜・メインディッシュ抜き」
プリンセスチュチュ 9.AKT「黒い靴」
行った:DASACON6
第3期ギャラクシーエンジェル 第5話「特製ミルフィーユのビックリサンド」/ 第6話「はぐはぐハグ鍋」


 2002/10
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02/10/11(FRI)

○「目に余るカルマアニメ」

□ 今期レビュ書こうかと思ってる作品
・ プリンセスチュチュ 継続。卵の章以降は未定。
・ ギャラクシーエンジェル まあ、ガラクシサイトだから……
・ 灰羽連盟 雰囲気ものに終わりませんように……
・ キングゲイナー 意外? 手が回らなかったから今までレビュ書いてなかったんですが、これから追いつく。

■book【単行本・コラム】 ナンシー関「秘宝耳」 朝日文庫  [bk1][amazon]

ナンシー関「秘宝耳」 「週刊朝日」の人気連載、「小耳にはさもう」文庫化第5弾。
 芸能人の注目に値する発言を消しゴム版画に合わせてとりあげたもの。

 文庫化までに1年半くらいのブランクがあるため、すでに遠い過去の記憶として抹消されそうになってる事柄も多く扱われていて吃驚する。たとえば「カリスマ美容師」とか。そんなこと本当に起きていたのだろうか。宇宙人に植えつけられた偽りの記憶のようである。

・ 生きざま  小倉智昭 / 羽賀研二 / 西田ひかる / 滝沢秀明 / 石田純一 / 桜庭あつこ
・ ある認識  土田晃之(U-turn) / 笑福亭鶴瓶 / 郷ひろみ
・ ポジション問題  薬丸裕英 / RIKACO
・ 天然の先  長嶋一茂 / 華原朋美
・ 虚構世界  国分太一
・ 俺宇宙  木村拓哉 / 大橋巨泉 / 山下真司 / 松崎しげる
・ お前が言うか  沢田亜矢子 / ヨーコ・ゼッターランド
・ 下のほうで  サッチー騒動関連

 コラム内容を適当に分類してみようかと思ったのだけど、すぐに飽きた。


 この本でいちばん吃驚したのは長嶋一茂のスゴさであった。「ノストラダムスの七の月が終わって、もう大丈夫だと思ったので――」元マネージャーとの結婚を決意したのだそうだ。もうすごすぎる。「ちびまる子ちゃん」あたりの登場人物のようだ。漫画世界の小学生発想と素で張り合う男。
(勝ちたくはないが)なんとなく敗北感に打ちひしがれた。

■book【単行本・コラム】 ナンシー関「冷暗所保管」 文春文庫  [bk1][amazon]

ナンシー関「冷暗所保管」  こっちも。週刊文春人気連載コラム「テレビ消灯時間」の文庫化第4弾。

「秘宝耳」とほぼ同時期に連載された内容(1999〜2000)ということもあって、扱われている事項に共通する部分は多い。たとえば「秘宝耳」レビュでも書いた「カリスマ美容師」関連の顛末とか。(カリスマなのに無免許 → 受験頑張るぞ! → ドラマの題材になって一気に陳腐化) そのほか、「キムタク」、「はなまる」。
 しかし、一連のサッチー騒動については意識的にセーブしてるだろうか、意外にもとりあげられていなかった。それはまあ、テレビ番組に関するコラムで、ワイドショー的話題についてのコラムではないというフォーマット上の問題でもあるような気がするし、前巻「夜間通用口」ですでにネタとして使い終わっているのかもしれない。どうだっただろうか? 忘れてしまった。

 この巻の内容で私を震撼させたのはムツゴロウこと畑正徳氏に関するコラムであった。
 それは、フジ「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」においてムツゴロウ氏がライオンに中指を食いちぎられた映像がそのまま放映されたことにふれたものなのであるが、動物好きとして一般認知されてる人々とムツゴロウ氏のメンタリティの間には、決して渡る事のできないような深い深い溝があるような気がしてならない。そしてそんなムツゴロウ氏をたんなる「動物好きおじさん」として認識してしまっている人々が普通に存在するだろうこともまた私を震撼させる。精神の異形性においてムツゴロウ氏は私たちの手の届かない領域にまで達してしまった人、という印象を受けるのだが…… ちなみに文章のここにだけ敬称がついているのは、もう平伏さざるを得ないからだ。
 えっと、この番組って終わったんでしたっけ?

 著者が亡くなった直後に出る本の巻末解説仕事というのは非常にむつかしい気がするが、この文庫における竹中直人の文章は心を打ついいものだと感じた。竹中のロマンチシズムがすごくよく出ている。ナンシー関という存在について淡々と書いた「秘法耳」におけるいとうせいこう解説も悪くないけど。
 そういえば、ナンシー関が亡くなったことで大食い番組も実質の終焉を迎えたような気がする。自粛問題というのもあるけど、彼女以降、大食い選手権について書こうと思える勇気あるコラムニストがはたしてあらわれるのだろうか?

○【ANIME】 超重神グラヴィオン 第1話「巨神の棲む城」 (→公式

 えらく古風なでっかい城にえらい人たちが招かれた。メイドさんだらけだった。仮面の男が出てきてドッキリした。なんか女装して忍び込んでいた(なぜだ)。バレバレだった。警備部隊もメイドだった。BGMがまぬけだ。集団で着替え中だった(なぜだ)。え、もうロスト!? 怪しい部屋だな―― カヲルくんみたいのが出てきた。 「きみは、ぼくと同じだね」 「なにいってんだ……」(もっともだ) あきらめた。 「いま地球は危機に瀕しています」 「あの男は何を言い出すのだ」(もっともだ) 外宇宙からの侵略者だ! 携帯は切っておけ!! 爆乳が揺れた―― 何の疑問も抱かず乗り込む男。その捨て台詞は誰に向かって吐いてるのだ!? でかいロボットだ! ドリルドリル。が、合神ですか!? おいてけぼりだな、おい…… この大富豪さんは相当オモロいね! 合神した!! 終わった!!!

 脱力&大爆笑アニメですね…… なんというのか、ヴィジュアル系大富豪&カヲルくん(偽)のほうが断然目立っている気がするんですが、女装忍び込み野郎が主役なんですよね? バイクにまたがる爆乳姐さんのケツが無駄にえろい気がするんですが、そんな需要あるのかな? という気もちょっとだけします。しかし、主人公はグラヴィオンのどこにいるんですか? やっぱカヲルくん主役なんじゃないの?

爆乳姐御ミツキ@浅川悠と琉菜@池澤春菜ここは、あえて大富豪(w

○【ANIME】 プリンセスチュチュ 8.AKT「戦士の泉」 (→公式

 ガラクシ関連のもろもろでこっちはずいぶん遅れてしまった。

 心を(勝手に)取り戻されたかと思えば、今度は奪われたりして、みゅうとさんも大変ですなあ。プリンセスクレイルに変身してる時の記憶はどうやら失われているみたいで…… 「今度近づいたら、ただじゃおかないからな!」 ふぁきあさん@殺すモード! 今後の展開にはるぅさん本人も疑問の御様子。 「ぐわあああ」 アヒルモード。なぜにイグアナがレオタード着てるのか? 不良少年の思わぬ優しさにふれてドッキリ! どきどき♥みたいな。パン屑ぐらいで懐柔されるなYO! 「もう、言葉では、みゅうとは止められないのか……」 マント羽織って出撃だ――!! ふぁきあさん、カコイイ――!! 役者さん揃い踏みですな! とにかく面白すぎる――― ふぁきあさんは変身しないでも強いのね…… スポットライトまで当たりはじめましたよ! 去っていった…… 「しりたい心」が戻ってきて悶えるみゅうとさん。 「どうしてなの、チュチュ……」 ドロッセルマイヤー氏の鬼畜っぷりがすがすがしい(w しかし、素晴らしいな――

血の儀式矢鱈にえろいクレイルさん「みゅうとを殺して俺も死ぬ――」(ちがうか)

02/10/12(SAT)

○「ネーターがばれれば、ガーターね」

ひどい、ひどすぎる、今日の回文……

・ 結局、ネタバレがどうの、という話でもないような。「お前ら、勝手にムラの掟つくってガーディアン・エンジェルみたいな真似してんじゃねえよ!」みたいな感じではなかろうか。ある意味では「『これはSFではない』と言わないようにしよう」発言を巡る反応に似ていた。
・ 表4のあらすじ紹介に犯人が書いてあったり(石田衣良「うつくしい子ども」はそうだった。まあ、問題はないが……)、巻末解説でがんがんネタバレされてる時代ではあるが……
・ 本当に面白いものばかり読んでるわけじゃないからなあ…… 一発ネタが消えたら、はい終了〜、という本もあるのです。
・ 自分ではそれなりに気を払うけど、他人に強制はあまりできない。無意味なリンク流入を避けるため、よほどの場合だけメールで尋ねてみる、くらいの姿勢でいいのでは。
・ ぶっちゃけた話、まっさらの状態で読書したいならばまず回線を切ってカバーを隠して解説を封印してから読まなきゃダメかも。
・ 発言の内容と発言者の性格とは別問題。
・ えらそうなこといいながらも、ついつい書きすぎてしまうこともあって、たとえばウチのページの「魁!!クロマティ高校」 2巻レビュ「課長バカ一代 子供用」レビュなんか、ものすごいネタバレである。要反省。
・ べつにギャラクシーエンジェルは見なくていいと思います。

 天使の階段(日記)02/10/09 界隈の発言にコメント。どれがどれかは適当に判断してください。

 ところで、回避不可のネタバレとしていちばんすごいのは(前にも書いたが)やはり、高橋しん「最終兵器彼女」第1話だろう。なんとこれはタイトルを聞いた瞬間にネタバレになる。ちなみに、いまネタバレになった(w 単行本で読む段階でもう不可なのだ。
 これをネタバレされずに読むことができたのはスピリッツ掲載時に「あ! 高橋しんの新連載だ」と思いながらもタイトルを確かめないまま最後まで読んだ人間だけであった。いやあ、今思えばあれは幸福な体験だったなあ……

■book【単行本・小説】 シェイマス・スミス(訳:鈴木恵)「わが名はレッド」 ハヤカワ・ミステリ文庫  [bk1][amazon]

シェイマス・スミス(訳:鈴木恵)「わが名はレッド」 「Mr.クイン」(→感想)で衝撃のデビューを飾ったシェイマス・スミスの第2作。うーむ、困ったものです……

 犯罪組織を裏から操るレッド・ドックなる男が世にも遠大なる復讐計画を実行するというお話で、奇想天外なパーツによって組まれた罠が次々と連鎖してターゲットを破滅へと追い込んでいく過程を描くという構成は前作「Mr.クイン」とまったく同様のパターンなんですが、主人公の犯行動機がまるで異なることを考えるに、描き方についてはやはり変えてみたほうがよかったのではないでしょうか。

 前作の感想においてこの作品の読後感を、「『刻命館』、『影牢』、『蒼魔灯』あたりのトラップバトルゲーム上級者のプレイを見ている感覚」と例えたのですが、それは事故死に見せかけて殺す計画を手強いゲームだと認識し、ターゲットたちには感情移入をまったくしないクインだからそうなるわけで(だから人をゲームのコマのように扱える)、強烈な怨嗟をその動機としているレッドのケースにその雰囲気はそぐわない気がします。
「こんな手の込んだことをなぜ?」というホワイダニットについても、一応それなりの理由付けはなされるわけですが、まず、狙う相手がちがうんじゃないのか? という気もしますし、準備期間を20年もかけるような計画にも思えません。序盤の計画においてあんなに慎重に動いていたレッドが後半になったらいきなり自ら乗り込んで行ったりするし…… なんか、ちぐはぐ。

 計画のイレギュラー要素として登場するいわゆるお邪魔キャラ(「Mr.クイン」における辣腕女事件記者)は今回も用意されていて、しかも前作を超えるなかなかすごい設定だったりするわけですが、2人とも思考のパターン同じだからいちお繰りひろげられる頭脳戦も単純な味わいだし、なんかしまらないんですよね。
 お話としてはたしかに面白いんですが、小説としてみるとなかなかないくらいに下手っぴ。見てるはずもないシーンを当たり前のように語る半分神の主人公視点もあいかわらずであります。
 結局、人がどう動いたか、については書けるけど、人がどう考えたか、についてはまったく無頓着な(または書けない)作家さんなんですよね…… ゲームのコマが動いてるのを見てる以上の感覚はないような気がします。

 ながきにわたる陰惨な復讐計画、みたいなのを書かせたら、たぶん日本人のほうが上手いんじゃないでしょうか。横溝正史のあれやこれやとか、斎藤澪「この子の七つのお祝いに」とか。あ、横溝賞の第1回受賞作がこれなのか。知らなかった。

02/10/13(SUN)

○「再会、冷淡だ、団体、例会さ」

 ところで、これは昨日のこと。
 上京中の本野智さん@肺炎時計を主賓に迎え、池袋で飲み会。
 残りの参加メンバーは、しばた@OHP本田健@本田健の植民地新田五郎@ふぬけ共和国・マンガ渡辺僚一@半端マニア、立ち読み屋(敬称略)そしてスズキ@MHKという濃縮果汁を還元しないままさらに煮詰めたような濃すぎる布陣であった。
 飲みの席では初顔合わせになる新田さんと渡辺僚一さん、この漫画ファンタジスタ2人の競演はとくに素晴らしいものがあった。いいものをみた。「味覚一平」(ヒマつぶし) とか「グルマンくん」(新田さんとこのレビュ)が話題になってたのはたぶんはげしく食って飲んでいたからだろう。 「そのティラノの体はハンバーグの具で作ってあるんだ」 そうですか……
 よく考えてみると、「グルマンくん」連載の時点では「キン肉マンII世」で華麗なるカムバックを果たすゆでたまごの姿なんか想像もできなかったんだよなあ。しかもエヴァと同時期だったのか。そういえば、ながしま超助の新作「ジェット上司」とかも話題になってた。
 えっと、ほかは…… ぜんぜん憶えていない。ただ楽しかったという曖昧な記憶しか残っていない。

■book【単行本・企画本】 麻野一哉 / 飯田和敏 / 米光一成「ベストセラー本ゲーム化会議」 原書房  [bk1][amazon]

麻野一哉 / 飯田和敏 / 米光一成「ベストセラー本ゲーム化会議」  原書房からいきなり本が届いていて驚いたのですが(なんでウチの住所を知ってるのかと思った)、カエルブンゲイのアライさんから贈っていただいたものでした。(→「ベストセラー本ゲーム化会議」専用ページ) 10/18(金)には新宿ロフト・プラスワンで「ゲームクリエイターになる方法」なるイベントも予定されてるみたいです。

「ベストセラー本をゲーム化したならば、それはいったいいかなるものになるのだろうか?」というお題について、3人のゲーム作家たちがあれこれ妄想するという本で、最後に挙がるゲーム企画書内容にしても実現可能かといえばそうでもないものが多く、むしろベストセラー作品の構造を分析した上で、その中に流れるルールを明確にして評価するという作業になっています。
 単方向メディアである書籍を双方向メディアであるゲームに変換するということは、ベストセラー作品のエッセンスを抽出してまったく別の形に作り変えるという作業なわけで、それはたとえば、季節はずれの河豚の白子を食べたいという夫婦に仔牛の脳みそを料理して食べさせた海原雄山(「美味しんぼ」)の仕事に近しいのかもしれません。まえがきにもあるように「新しいタイプの書評本」なのかも。

 しかし、よく考えてみるとベストセラー本を僕自身読んでないという根本的な問題があって、きちんとわかってるかというと心もとない。とほほ。読んだことあったのって、舞城王太郎「煙か土か食い物」、テリー・ケイ「白い犬とワルツを」、中原昌也「あらゆる場所に花束が……」、高見広春「バトル・ロワイアル」だけでした。半分くらいベストセラーじゃないような……
 ほかにとりあげられている本としては、「世界がもし100人の村だったら」、「愛のひだりがわ」、「冷静と情熱のあいだ」、「チーズはどこに消えた?」/「バターはどこに溶けた?」、「模倣犯」(ネタバレするとのことなのでここだけ読んでません)、「あらしのよるに」、「虹」、「新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論2」、「PLATONIC SEX」、「新「親孝行」術」、「痛快!憲法学」、「FOCUS」(写真誌の)の全部で16作品。

□もろもろの雑感:辻仁成の作品ってほとんど読んでないんですが、そんなに文章ダメなんでしょうか。「チーズはどこに消えた?」/「バターはどこに溶けた?」って、何についての本なのかも知りません。食品管理の本じゃないんですよね。「白い犬とワルツを」についてはむしろ老人生活シミュレーションのほうが内容にあってる気がしました。微妙なところでプレイヤーの思い通りには動かないキャラを操るゲーム。苦労して同窓会に出かけても面倒になってそのまま帰ってきたりする(w あ、いかにもすぎるんで「バトル・ロワイアル」は逆にむつかしいお題になってる、と思いました。ゲームゲームしてない本セレクトしたほうが逆によかったかもしれません。

■book【単行本・漫画】 G=ヒコロウ「みんなはどぅ? メガキューブ」 コアマガジン  [bk1][amazon]

G=ヒコロウ「みんなはどぅ? メガキューブ」  こと、テンションの高さにおいては比類なきレベルを誇るコストパフォーマンス激悪作家、G=ヒコロウひさびさの新刊。

 前作「不死身探偵オルロック」(→感想)もすさまじかったけど、今回もものすごいものがあります。たぶん、普通の人が1日で読んだら具合悪くなって真夜中うなされる。4ページ/dayくらいのペースが好ましいかもしれません。それほどまでの激高テンション。まるで隣に江頭2:50がいて、四六時中リアクションとりまくってるかのような…… たかだか2Pの原稿を4〜5ヶ月落としてたりするのもたいへん気になって、この人はいったいどうやって食ってるのだろう……と思いを馳せてみたりします。日記漫画「Gセンセーのなつやすみ。」みると案の定FF11にハマってる御様子で、なんかもう、だめだこりゃ。

 極北漫画としてスゴいものがあるので、ぜひに買ってみてください。 「熊さんが……」

○【ANIME】 キディ・グレイド 第1話「Depth / Space」 (→公式

 後藤圭二初監督作品。キャラクターデザイン担当している門之園恵美って、後藤圭二の奥さんなのか。

 ひとことで言ってしまうのもどうかと思うけど、まあ普通。作画安定してて女の子かわいいし、接近戦得意とするパワータイプお元気少女+情報戦担当のロリ少女コンビがおぱんつ見せながらエージェントとして活躍するという内容は王道ともいえるものだし、ストーリー運びだってたいへんわかりやすい(わかりにくくなりようもないけど)。
 ただ、第1回ということを差し引いても台詞が説明的すぎませんか? という気はします。アクションシーン以外はぜんぶ世界設定説明だからなあ…… かなり萎えます。とほほほ。
 総合的にみれば決して悪くない出来だと思いますが、さして心にフックする部分もないような気がします。うーむ。後藤圭二、作家性という部分ではちょっと淡白な人ですね。「ナジカ」があんなに盛り上がったのはBGMの力が大だった、ということも再確認できました。

エクレール@永田亮子これも伝統っぽい(w pizza屋のコスで乗り込むエクレール@永田亮子+リュミエール@平野綾

02/10/14(MON)

○【ANIME】 第3期ギャラクシーエンジェル 第3話「シャッフルフレンチ・デザート抜き」/ 第4話「スペシャル前菜・メインディッシュ抜き」 (→公式

 ん――、困ったものだな…… いちおガラクシファンな自分ではありますが、贔屓目にみてもそんなに面白くないような気が。
 エンジェル隊の面々の性格から細かい設定まで(蘭花の髪飾りが武器になるとことか)過不足無く盛り込んでた第1話、2話の出来とくらべてシナリオの出来がイマイチだと思うんですよね。あえてかもしれないんですが笑いの定石を外してて、しかもそれが有効に機能してる気もしないのです。

・ 第3話「シャッフルフレンチ・デザート抜き」

 隊員全員が出頭しなければはじまらないエンジェル隊・ツインスター隊合同会議。しかし、会議の開始時刻になってもミルフィーユは会議室にあらわれない。こんないい加減なことでは隊の解散も辞さない! とのお達しに青ざめるエンジェル隊の面々+ウォルコット中佐であったが、ミルフィーユの姿はどこにも見当たらない。途方にくれるウォルコットの頭にある名案が浮かんだ……

 やむにやまれぬ事情(?)によってなされる変装によってエンジェル隊の面々がシャッフルされてしまうというサブタイ通りの内容で、いうなれば、第2期第11話「彼岸への回転寿司」(→感想)の裏返しパターンというか。変装というか扮装というか仮装の中に各人が互いをどう見ているかがあらわれてたりして(総じて悪意)なかなか面白いです。
 ただ、ミルフィーユに変装するウォルコット中佐という最大級な反則技が最初に炸裂してしまってるせいか、その後の展開のインパクトがひどく弱まっています。だから最後のオチなんかずいぶん当たり前のところに落ち着いてしまったようで、なんだか尻つぼみな印象を受けます。
 たとえば、比較的無理のない変装からはじまってだんだん無理矢理になっていく展開(たとえば、ミルフィーユを蘭花が → 蘭花をミントが → ……)にしたほうが笑いの定石的にも正しいような。まあ、これは前述した通りに定石をわざと外してみたのかもしれませんが、その試みが成功したかというとちょっと疑問でしょう。

ウォルコット中佐@藤原啓治はみんなに愛されてると思う。いいキャラ。キチガイ映像

・ 第4話「スペシャル前菜・メインディッシュ抜き」

 さて問題の第4話。「メインディッシュ抜き」だからね。

 たぶん、ショタコンビ+メアリー少佐の人となりそして日常の紹介を目的として書かれたシナリオなんでしょう。
 軍人として日夜強化メニューをこなし、ロストテクノロジーに対して常識的なアプローチを試みるツインスター隊が、事態を強引に収束させるエンジェル隊のデタラメなアプローチの前に敗れ去るという、まるでトンビに油揚げをさらわれるようなある意味無慈悲な展開をやってみようという試みもたいへんわかるのですが、やっぱ常識人メインに据えられてもつまんないよねえ……というお話であります。シヴァ皇子とかクーデターとかのシリアス展開や常識的な何かはここでないガラクシで見せてくれ! とか思ってしまうので。アニメのガラクシではやはりお気楽な狂気のみをみたいのです。
「ぱにょぱにょデ・ジ・キャラット」の人が監督なだけに無理な相談なのかもしれないんですが、脚本陣はなんとか頑張って、ガラクシでしかありえない世界を見せてもらいたいものだと願います。ショタがどうのではなく、こんな普通な話をガラクシとしてだすのはやめてください。いりません。あと、パフェパフェうるさい。

ショタコンビ。うわ、エンジェル隊の面々ついに貼らなかった。

■book【単行本・小説】 西澤保彦「人格転移の殺人」 講談社文庫  [bk1][amazon]

西澤保彦「人格転移の殺人」  あれ? よく考えるとこの話って、上でもふれた第2期ガラクシ第11話「彼岸への回転寿司」(→感想)そのままだな…… シンクロしている。

 舞台はカルフォルニア州S市。国籍、年齢、性別、すべてがまちまちな人間たちが居合わせたファーストフード店を突然の大地震が襲う。天井倒壊の危機から逃れるため、客と店員あわせて6人は店内にたまたまあったシェルターらしき建物の中へと逃げ込む。ところがそこは「入れ替わりの環」なる人格交換施設で、その後6人の人格はある法則に乗っ取ってつぎつぎと入れ替わっていく。そして隔絶された施設の中で連続殺人事件が起こる。いったい犯人は誰の人格で、凶行の動機は何なのか?

 説明のつかない装置によって奇怪なルール縛りになった閉空間の中で起こる犯罪を扱った、いわゆる西澤保彦SFパズラー作品の代表作で、解くのが面倒そうだったのでいままで積読でした。ただ、ひとたび読みはじめたら面白くてあっという間だった。
 作品の傾向でいえば「七回死んだ男」、「瞬間移動死体」(→感想)、「死者は黄泉が得る」(→感想)、チョーモンインシリーズの「幻惑密室」あたりに近く、ミスディレクションとして誘導の方向を惑わすのではなく、いうなればミススライドになってるのがこれら作品に共通する特徴なのかも。

 物語に登場する日本人留学生の心情に関する考察などは西澤保彦の実体験に基づくものでしょうし、自虐告白小説「黄金色の祈り」(→感想)に書かれていることがある程度のパーセンテージ真実だとすれば、ラストの展開も西澤保彦本人の願望が投影されたものなのかもしれません。ということで、ラストの後味がめずらしく悪くなっていないので、「七回死んだ男」、「瞬間移動死体」くらい、万人に薦められる作品でしょうか。

 ただ、近年の西澤保彦作品にみられるような、人間存在に対する圧倒的な不信がさまざまな形(動機、トリック、ストーリー展開)をとって作品の中に噴出してくるところが好きな自分としては微妙に物足りないような部分もあって、初期作品の中では「完全無欠の名探偵」やら「殺意の集う夜」のほうにむしろ惹かれます。

02/10/15(TUE)

■book【単行本・小説】 ホルヘ・ルイス・ボルヘス+アドルフォ・ビオイ=カサーレス(訳:木村榮一)「ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件」 岩波書店  [bk1][amazon]

ホルヘ・ルイス・ボルヘス+アドルフォ・ビオイ=カサーレス(訳:木村榮一)「ドン・イシドロ・パロディ 六つの難事件」  幻想文学の巨匠であるボルヘスが、同じく幻想文学を得意とする作家カサーレスと組んで書き上げたチェスタトン風探偵小説連作短編。

 探偵役を勤める男の名前がドン・イシドロ・パロディということから、なんだかすべてがわかるような気がしたりして…… チェスタトン「ブラウン神父」シリーズのような不可解な謎が提示されて、それに安楽椅子探偵であるイシドロ・パロディが合理的な解決を与えるという作品構造も、全体に流れる雰囲気も探偵小説のそれなのに、ミステリマニアが期待するようなものとはきっとぜんぜんちがってる、きわめて奇妙な作品であります。

「美濃牛」にはじまる殊能将之のシリーズに登場する名探偵・石動偽作(いするぎ・ぎさく)のモデルとなったのがこのイシドロ・パロディであるという前知識があったのでいちど読んでみたいと思っていました。
 実際、大農場を舞台にした「雄牛の王」という作品の中にクレタ島の伝説にふれたくだりがあったりして、これが「美濃牛」発想の元になったのかもしれません。発売時期から推察するに殊能将之は原書で先に読んでいたのでしょうか。

・ 「世界を支える十二宮」
 ただの理髪店店主だったイシドロ・パロディが身に覚えのない殺人罪で投獄されてから14年の月日が流れた。そしてその長い月日は思慮深げな光を目にたたえた脂肪太りの中年男にイシドロを変えた。そんなイシドロのもとに新聞記者であるアキレス・モリナリが面会に訪れた。彼は誤って人を殺してしまったらしい。
 まず、投獄中のイシドロのもとにそんな相談をよせる理由がわかりません。なぜなんだ? (2話以降については、いちおう口コミが広がったからとのことで納得いくのですが) そこらへんの説明はまったくなし。安楽椅子探偵のもとに依頼人がやってきて、さっぱり要領の得ない事件のあらましを饒舌口調で喋りまくるという展開はこれ以降の話にも引き継がれるわけですが、ちょっと気を抜くと、いや、真剣に読んでもそれがどんな事件なのか理解に苦しむのがこのシリーズの特徴でしょう。
 イスラム教ドゥルーズ派入会儀式の最中起こった殺人事件を扱うこの話についても、奇跡の仕掛け自体を取ってみればきわめて真っ当なものなのですが、「紅茶だけで3日間すごしたあげく黄道十二宮図を暗記して(会社を病欠までしてモリナリは暗記していますが、牡羊座から魚座まで12憶えるだけなのになにゆえそんなに必死なんでしょう?)別荘の中をぐるぐる歩き回る」 という儀式の内容についてはシュールでわけがわかりません。
・ 「ゴリアドキンの夜」
 これは(比較的)わかりやすいお話。ノンストップでひた走る《パンアメリカン急行》の中、ロシア皇女ゆかりのダイヤが盗難に遭い、ふたりの男が命を落としたという事件の真相を巡るお話で、その嫌疑をかけられたそそっかしくて気取りやの舞台俳優が依頼人となるのですが、モンテネグロというこの男の語る事件のあらましがいかにも自意識過剰で、現実誤認に満ち満ちたものとしてわざと書かれているところがひどく可笑しいです。ちなみに、その語り口のせいで難事件になっただけ、という気もしますが…… ちなみにこれ以降の話にもモンテネグロはセミレギュラーとして登場することになるのですが(冒頭、[主要登場人物] が楽しい)、なんだか、どうにもとぼけた存在であります。
・ 「雄牛の王」
 これも意味がわからなすぎる…… 奇行で知られる前衛詩人と大農場領主夫人との不倫関係が記されているらしい手紙の束が紛失してしまった事件を発端にした殺人事件を扱ったお話で、「私見、小水」やら「パンと魚の公唱歌」なる奇怪な詩集を発表している(ちなみに版元は試験管出版社)前衛詩人が依頼人であるがゆえに語られる事件のあらましがぜんぜんわかりません。そもそも前衛詩人が不倫相手の旦那の大農場に招待される理由もいまいちぴんとこないし、そこで起こったこともまったく判然としません。物語があまりにあやふやすぎて、一応なされる合理的な謎の解決もその中に溶けいって正直どうでもよくなります。
・ 「サンジャコモの計画」
 これも比較的わかりやすい作品。勲章受勲者であるサンジャコモの完璧なひとり息子と、毒を飲んで死んだ娘を巡る物語。まあ、気づけや、という話なのですが…… いちばん一般向けの話かもしれません。
・ 「タデオ・リマルドの犠牲」
 あ、あまりにシュールすぎる…… まるで何かいけない薬でもやってるかのように脱線を繰り返す依頼人の話は迷走の極みに達して要領を得ないどころの話ではありません。3回読み返してもまるで理解できなくて、真相を読んでからもう1回読んでもやはりわかりませんでした。
 だいたい、 「ある日、遊び人たちが金物屋の女主人が飼ってる猫に赤いペンキを塗っておとなしく遊んでいたんです」 やら、 「ハート型に切った紙に次のような文章を(もちろん、匿名で)書いたんです。(爆弾ニュース。J・Mと一日おきにくっついてるのは誰? 答。下着姿の下宿人=ホテルの泊り客)私はそのふざけたビラを自分の手で配って歩きました」 (匿名の意味ないだろう……) やら、なんですか、これは? こんなのがえんえんと続きます。そもそも、なんでこいつが事件の依頼人なのかもわからないし、探偵役であるイシドロ・パロディでさえうんざりしているのがうかがえます(w あきらかになる真相もいまいち謎。
・ 「タイ・アンの長期に渡る探索」
 前の話がすさまじすぎたせいかずいぶん普通に感じられる作品。雲南にある秘密の湖から盗まれたという護符の宝石を追ってはるばるブエノスアイレスまでやってきたという魔術師タイ・アンについての物語なんですが、なぜゆえ20年近くも南米にいるのかまるでわかりません。疑問。ひょっとして、物語の中に中国趣味を強引に導入したかっただけなのかな……

○【ANIME】 プリンセスチュチュ 9.AKT「黒い靴」 (→公式

 →第9話ストーリー

 なんかもう、テンポ早い早い。
「知りたいこころ」を取り戻したみゅうとを軸に、あひる、るぅ、ふぁきあの3人が織り成す苦悩のメリーゴーラウンドが回転しはじめた印象であります。小中千昭脚本の回で、たとえば円環形を辿る物語構造なんかは面白いと思うのですが、るぅの絵しか描けなくなってしまった美術少女まれん@葉月絵理乃の扱いやエデルさんの存在に対するネタバレなんかの見せかたについてはちょっとおざなりすぎなんじゃないかいう気もして、うーん…… 贅沢? ああ、でもあと4回か〜 これくらいの勢いで物語を回したほうがいいのかもしれませんね。どうなんでしょうか?
 ところで、プリンセスクレイル変身カットよりは周りを飛び交うカラスや渦巻く羽のカットがカッコいいな、と思ったりしました。猫先生に憧れる山羊子先生が「メー」としか鳴かなかったのもなかなかよい。

美術少女まれん@葉月絵理乃プリンセスクレイル。周囲を渦巻くカラスの羽がよい。

02/10/16(WED)

■book【単行本・小説】 桐生祐狩「夏の滴」 角川書店  [bk1][amazon]

桐生祐狩「夏の滴」  第8回日本ホラー大賞長編賞受賞作。
 まさか、こんな話とは思わなかったな―― いい意味で期待を裏切られた、この上なくグロテスクでインモラルな作品。

 舞台は緑に囲まれたN県の地方都市。車椅子の少年を中心とした本好き仲良し小学生グループを中心にしたお話で、地方博の大失敗により夜逃げ同然に転校していったグループの1人を尋ねて旅に出る冒頭のくだりなんかは、たとえばキングの「スタンド・バイ・ミー」をほうふつとさせるし、少年たちのちょっととぼけた会話は那須正幹・前川かずおの「ズッコケ3人組」シリーズを、語り手である僕、車椅子の少年、勝気な少女の3人に置きかえたような印象を受けます。少年少女たちが一夏の体験を通して成長するという爽やかな物語のように勘違いしてしまいそうなんだけど…… ホラー大賞だからね、ぜんぜんちがいました。

 不気味な雰囲気の少女に対して執拗に繰り返されるクラスぐるみの苛め、まるでそんな事実なんか存在しないかのように続くTVの人気(やらせ)ドキュメンタリーシリーズ「とっきーと3組のなかまたち」、大流行する「植物占い」、「伝統工芸博覧会」の大失敗によって抱えた大負債、植物相を研究しているという謎の青年、etc.etc...

 どこか郷愁を感じさせるような瑞々しい少年の語り口によって、どこまでもエスカレーションしていく鬼畜な展開を描くという点においては、ジャック・ケッチャム「隣の家の少女」(→感想)とも共通している部分を感じましたが、とっちらかった前述の物語パーツ群によって先のストーリー展開の予測がまるでできないところはちがうかな。中盤までどんな話なのかまるでわからなくてドキドキしました。拡散しきった物語をきわめて大ざっぱにまとめあげたような荒唐無稽なラストが楽しい、インモラル・アホ・ホラーですね。

 青春小説といえなくもない「バトル・ロワイヤル」が「こういうことを考える作者が嫌い」「不快をもよおす」と、大顰蹙を買って落選、で、この作品が受賞するというのもよくわからない選定基準ですね。読者に与える嫌悪感のレベルでいえばたぶんこの「夏の滴」のほうが圧倒的に上だし、こんなあほなことよく考えるなあ……といたく感心したのですが。あれ? だから受賞したのかなあ。よくわからなくなってきました。

 主人公たちの知識量がいきなり増えたかのような唐突な真相の提示については(「なんでそんなこと知ってるんだ!?」)もうちょっとなんとか……と感じましたが、ラスト100ページくらいからはじまるめくるめく(トンデモ)急展開には吃驚。悪趣味でアホで、なかなかよいのではないでしょうか。

02/10/17(THU)

■book【単行本・小説】 イアン・マキューアン(訳:宮脇孝雄)「セメント・ガーデン」 早川書房  [bk1][amazon]

イアン・マキューアン(訳:宮脇孝雄)「セメント・ガーデン」  英作家イアン・マキューアンの長編第1作。短編集「最初の恋、最後の儀式」(→感想)に続く作品で、そのせいもあってか、モチーフとして連続している部分が多いように感じる。面白かったけど、続けて読まなかったのは正解かも。

 ぼくが14歳の夏、塗り広げたばかりのセメントの上に突っ伏して父さんは死んだ。心臓の発作だった。その翌年には母さんも死んでしまい、ぼくと姉さんは母さんの死体をコンクリート詰めにして地下室に隠すことを思いついた。そうしなければ親なしになったぼくたちを大人たちが引き裂いてしまうと思ったからだ……

 愛情も罪もすっぱり欠落したような、じゃれ合いの延長的近親相姦(「自家調達」)、服装倒錯(「装い」)、死体遺棄(「夏が終わるとき」、「蝶々」)、かりそめの楽園(「最初の恋、最後の儀式」)など、前述したように短編集「最初の恋、最後の儀式」から連続するモチーフは多い。というよりは、短編集の中で用いたエッセンスすべてを総動員させて長編作として仕上げたのがこの「セメント・ガーデン」といっても問題なさそうだ。
 端正かつ神経質な文体で紡がれた瑞々しくもグロテスクな物語は、重苦しく嫌な雰囲気に満ちたものであるが、ときおりその中から、わけのわからないブラックユーモアがまるで何かの発作のように噴出したりしてどうにも奇妙。たとえば、母親の誕生日に余興で倒立した姉の下着の端から陰毛が顔を覗かせているのを発見したぼくが興奮のあまり情熱的なテノールで「グリーンスリーブス」を熱唱するシーンなんか、馬鹿馬鹿しすぎて爆笑してしまった。どこまで本気で書いているのだろうか?

 この人の作品が持つ、時の流れが消失してしまったような奇妙な感覚、少しずつ、しかし致命的に淀んでいく水槽の中の水のような息苦しいムードはなかなか面白いと思う。
 それにしても、真っ当な大人が登場しない小説ばかり書く人だ……

02/10/19(SAT)

○「意外か? 疑問形の意見も議会外」

「ムジカ・マキーナ」読了。しかし、まだ「妻の帝国」も「夏の硝視体」も読めてないし、「グラン・ヴァカンス」もざっと再読したいのでした。さあ、どうしましょうか…… 課題図書以外のものを読みすぎた感もあるなあ。ところで、DASACON6の会場がどこなのかもまだわかってないんですが、辿りつけるのかな。 ……まあいいや、なんとかなるでしょう。

 Web日記なんかコピペ改変でぜんぶやっちゃえばいいと個人的には思ってるんですが、ダメ? Remixレビュサイトって銘打っとけばぜんぜん問題ないんじゃないでしょうか。

02/10/20(SUN)

○「よいこ、鉄板テンパって来いよ」

 課題図書である高野史緒「ムジカ・マキーナ」、佐藤哲也「妻の帝国」読んで、話題になるかもしれないから飛浩隆「グラン・ヴァカンス」(→感想)再読して、SFマガジン収録短編「夏の硝視体(グラスアイ)」も読んで、あとまあ、漫画で話題になりそうなのものもさっと思い出せるよう復習してひょっとしたら麻雀するかもしれないから谷口亜夢「雀鬼サマへの道」も読み返して、と2時間睡眠で頑張って流石にくたくただったけど、そんなには意味なかったな…… なるようになる感じでした。

 夕食出ないとのことだったので何か食べてから行こうと思っていたのだけれど、国立西洋美術館でやってる「ウインスロップ・コレクション」見てから参加する人が何人かおられたのでそこで合流して上野で蕎麦食べてからいくことになった。松本楽志さん@天使の階段もなぜかいて(というか、俺のほうがなぜかいたのだ)、旬の食材、鮎の食べ頃についてちょこっと話をしてみた。昨日も書いたのですが、個人的にはどうでもよい、「侍魂クローン」乱立時代にあった騒動と同じレベルでどうでもいいし、べつにいいんじゃないの、金とってるわけでもないし……と思う。(何のことか皆目見当つかない人はそのまま読み飛ばして問題ないです)
 ついでということで楽志さんがウェブマスターやってる超短編マッチ箱のミニコミ版1号と2号を売ってもらったのだけど、ひどくデザインが可愛らしくてなかなか良さそうなものだった。そういえば、参加者でいっしょに蕎麦食べたたなかさん@たなかのおとの作品も掲載されていた。超短編ってなんだか面白そうだ。

 いきなりの土砂降り。コンビニで傘買ってきてもらって上野駅までなんとか辿りついて水道橋駅についたころにはもうほとんどやんでいたんだけど(そういうものだ)、なんせ本が重いし濡れると嫌だから徒歩7分くらいの道のりにタクシー使って会場に向かう。でも運転手さんに道程の説明がうまくできなくてちょっとうろうろした。ついた。その土砂降りの関係で予定時刻30分押してのスタートとなるらしいので同室となった方々と適当に語らいながら時間を過ごす。架空戦記とかアニメとかエロゲとか、この段階でもうすでにズレているような気もした。まあよい。多忙を極めてそうなのに京都からはるばるいらしたらじさん@求道の果てと初対面。

 さて、時間になって大広間に集合。当初は隠れキャラに徹しようとの思いがあって後ろのほうでこそこそしてようとしたのですが、計りしれないレベルの勘違いによって広間の前後をまちがえ、知らない間になぜか最中央最前列を陣取っていたのには自分でも驚いた。まるでやる気まんまんみたい。隣の席のらじさんとともにツマミないままやたらにビール空けてこの時点でなかば終了していたような気がした。自己紹介ちょっと苦手で気分を紛らすためさらにビール空けてものすごくトイレに行きたい。でも、自己紹介が長いんだよな…… 面倒だから漏らそうかなと思ったけど(嘘)流石にトイレ行ったよ、いちばん前から、途中で抜けて。恥ずかしい。恥ずかしいからさらに飲んで、もう、何回も行った。困ったものです。

 ゲスト企画。これは事前に予測できたことではあるけれど、佐藤哲也、高野史緒御両名の創作姿勢の違いが際立ったインタビューではあった。ものすごく自覚的におちゃらけでないパロディ的組み立てをして作品を作っていく佐藤哲也氏と宇宙からの啓示を受けて(w 自分のミーハー心を端正な作品として昇華させる高野史緒女史、この段階でかなり酔ってたから自信ないけど、大まかにはこんな印象かなあ。
  このころには血中を流れるアルコールのせいで気が大きくなっていて、佐藤哲也氏にツッコミ入れたり(×:松本大洋「Tokyo tribe2」 → ○:井上三太「Tokyo tribe2」 従兄弟どうしだし、読んだ感触は似てると思います)、高野史緒さんにはくだらない質問までしたよ(Q:「ムジカ・マキーナ」に登場したDJフランキーのモデルはいるんですか? A:Frankie Goes to Hollywood だそうです。フランキー・ナックルズか、そっちか、と思ってたんですが)。なんか、参加してるじゃんと自分でも驚いた。いまでも驚いている。漫画関係話題では佐藤哲也氏が「ONE PIECE」とか「HUNTER×HUNTER」みたいなジャンプ漫画読んでるというのはちょっと意外でした。「ヒカルの碁」とか「ボボボーボ・ボーボボ」とか、どう? とか質問してみてもよかったですかね。ちょうど朝陽館にはカンヅメ状態のジャンプ漫画家いたらしいし。誰かはわかんなかったけど、富樫だったら面白かった。その後サインまでしてもらうミーハー。ファン行動は慎むべしというポリシーがあったはずなのに…… 先行販売されてたJコレクション新刊である高野史緒「アイオーン」は売り切れだった。まあいいや、すぐ読めないから。

 企画もサイン会も終了した時にはもうへろへろで真ん中あたりに座ってそこらへんの人と適当にコロニーを形成してお喋りした。「SFファンの交流を考える会」も開かれてたけど、脳の関係上参加できなくて、佐藤哲也さん、高野史緒さんゲストと歓談コロニーでもないこことはいったい何なの? といういつもの飲み屋の馬鹿話を若干漫画以外のジャンルにスライドさせた感じのダメトークだった気がします。ああ、かわんないなあ。誰だろう、そんなに憶えてないんだけど、そのままお喋り続行のらじさん、遅れて参加のひろさん@DEATHぷにタニグチリウイチさん@”裏”日本工業新聞!!タカアキラさん@Takaakira say -webpage、なんだこりゃ、いわゆるオタクなんとか世代トークというやつですか、とほほほ。一応断っておくと、ものすごく適当なことばっかり話していて、2分くらい立ち読みしただけの舞城王太郎新刊「熊の場所」についてえらそうに批評していたのは自分でもあきれた。嘘ばっかりついてたのであんまし本気にしないでね…… あと、ひろさんの得体の知れない活躍には驚いて、(ちょっとだけ「極悪がんぼ」っぽく) 「この人は、ビッグになるかも……」と感心させられた。自己紹介の時にはおられなかった愛・蔵太さんの姿もお見かけしたんですが、今回はニアミスという感じでした。

 なんかオークションも参加したよ。出品されてるものの相場もよくわかんないし、まさか参加するとは思ってなかったけど、イアン・マクドナルドの「黎明の王 白昼の女王」、グレッグ・ベア「無限コンチェルト」「蛇の魔術師」落とせてうれしかった。これ3冊で1,000円ちょっとならかなりお買い得なんじゃないでしょうか。よかったよかった。あとやっぱり漫画の出品に関しては漫画者的レア物件持っていっても仕方ないのだな……と感じたので次回以降もし参加して出品しようと思った場合には気をつけようとここに書いておこう。
 あ、佐藤哲也本としてハードカバー版「イラハイ」+「沢蟹まけると意志の力」セットが出品されていたんですが、これはちょっと頑張りすぎかなと思いました。たしかにレアだけど、3,000円くらいかな……

 さすがに疲れきってu-ki総統タカアキラさんあたりのイリア話聞きながら広間で寝ようと思ったけど、ものすごく寒くて風邪引きそう。なんと、きちんと寝部屋に帰って3時間くらい睡眠。爽やかに目覚めたら大広間はすごく汚くて掃除してイベント宣伝+閉会式で終わり。でもルノアール行って朝食食べつつ昼ぐらいまでだらだらと話す。やっぱりSFの話題にはならなくていつもの感じの馬鹿話。楽しめていただけたのだろうか?

 やっぱり体温的には低くて、こういうイベントにたまたま参加したからといって急に自分の世界が開けるとか趣味的共通項の少ない人といきなり交流が図れるかといえばそんなわけはないと思うわけで、まあ気が合いそうな人間と話す感じになるわけなんですが、生粋のSFマニアな人たちとまたちょっとちがったお喋りするコロニー形成の一端担えればそれはそれでいいんじゃないのかなあと思いました。そんなものですよね。

 そのほか感じたこと。

・ 志村さんのちよ父折り紙。こういうのが即興でできるのか、すごいな……
・ そのちよ父ぬいぐるみ(でかいやつ)を持ってきたタニグチ氏。なにゆえ?
・ 秘書猫ミーコをはじめてみたよ。
・ Webでの印象といちばんちがったのはおおたさん@mouming morningかなあ。「へええ、この人が日記にレシピを書いてる人か……」と思いました。わりとハジけてる人だった。
・ あ、書き忘れてたけど、おおたさんから100円で森奈津子「耽美なわしら」1〜2を競り落としたのだった。いや、あれは競りじゃないな、投げ売りというか。
・ オークションで悶える姫川みかげ氏
・ 1冊1時間とか、そんなペースで読めるわけないじゃないですか…… それなりに睡眠時間を削ってるのです。
・ セングラRePure。

 このほかにもいろいろ思うところはあったけど、まあ、こんなものかなあ。昼頃帰ってきて寝て起きて今日のガラクシまだ見てないんですよね…… これから見る。なんだか好評みたい。

 あ、行ってきたのはDASACON6ですよ。

○【ANIME】 第3期ギャラクシーエンジェル 第5話「特製ミルフィーユのビックリサンド」/ 第6話「はぐはぐハグ鍋」 (→公式

 これぐらいの内容維持できればいろんな意味で問題ないんじゃないでしょうか。けしてブラックじゃないけれどじゅうぶんシュールなお話に仕上がってるし、日曜の朝っぽく各人各様のキャラも描けてたりしていい感じ。

・ 第5話「特製ミルフィーユのビックリサンド」

 →ストーリー紹介

 データディスク回収というミッションでエンジェル隊の面々は崩壊寸前の惑星に降り立った。なんだかよくわからない理由で柱に顔突っ込んで抜けなくなったミルフィーユをあっさり見捨てて(……)逃げようとした一行であったが、ミルフィーユ紋章機で来たためどうしようもない。惑星崩壊までタイムリミットがあと10分、エンジェル隊の面々の精神も崩壊をはじめた……みたいなお話。
 うーん、そつがない出来。毒担当:ミント、シュール担当:ヴァニラ、奥義担当(嘘):蘭花に、存外パニックに弱いフォルテという構図もきっちり描けてて基本に忠実。細かいギャグもてんこもりでたいへんガラクシっぽいです。髪ドリル、惑星破壊○×はもちろん、フォルテはんが吼えるとことかもなかなかによい。そういえば、ミントの耳ぴくレベルにミルフィーユの花も自己主張してるな……

めちゃめちゃ強引な展開……シュール担当:ヴァニラたん「惑星破壊〜」

・ 第6話「はぐはぐハグ鍋」

 →ストーリー紹介

 こっちもすごい。可愛らしくもシュール極まる展開で、脚本:小林靖子か、なるほど〜
「親切すれば人型妖精がお礼に来る」という奇妙なルールにしばられた惑星にやってきたエンジェル隊一行を巡るお話で、フォルテはん+ミルフィーユメインエピソードなんですが、すごいレベルでダイナミックかつちょっと落語っぽいオチもきれいに決まっててなかなかいいですね。ショタコンビ+メアリー少佐の出番もこれぐらいで上等。まだパフェパフェ言って鬱陶しいけど…… そういえば、そのしわ寄せ食らったジョナサンパトリックガストの汎用悪役3人組の扱いがあんなふうになったのは正直悲惨だと思われます。とほほ。
(たぶん、ブロッコリー業務構造改革(pdfファイル)とかの影響もあるんでしょうね。第4期とかなさそうな雰囲気、とほほ×∞)

あいかわらず男運ないな――お礼にやってくる妖精。たいへん可愛らしい。とんだとばっちり。

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