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02/11/01(FRI)
「SFは彼方に、田中は笛吸え!」
ところでこれは昨日のこと。
なぜか時間が合わなくて遅めの朝ご飯食べたあと何も食べないまま夕方になったので待ち合わせの場所へと向かった。なんとか接近遭遇完了して今度は第2待ち合わせで新宿行きなわけなのだけれど「紀伊國屋書店(本店)って、東口だっけ?」とか2分前くらいに確認しておきながらなんとなく西口から出てしまう。約束の時間に5分遅刻。だめだ――
で、今度は会場である紀伊國屋サザンシアターに行くんだけれども南口なんてほとんど行かないからかなりうろうろした。「紀伊國屋」って書いてあるのにぜんぜん違うビルに入ろうとかしてた。だめだめだ――
あ、出かけたのは、Jコレクション刊行記念フォーラム「新世紀SFの想像力」ですよ。
なんとか辿りついたら見たことのある顔の人がいっぱいいて、例えば浅暮三文さんやら志村さんやらそのほかいろいろ。浅暮さんとは講談社ノベルスから12月に出る密室本についてのお話とかした。ふと横見たら東浩紀と小林泰三を足したような見た目の人がいて「誰だか今は思い出せないけど、絶対この人知ってる」と心の片隅でプロセス使って一生懸命ポンコツ記憶引き出してたら15分後くらいに「あ! 山賀博之だ!」とやっと気づいた。なぜ思い出せなかったのだろう。あ、いきなり敬称略だ。
座席は予想の他埋まっていて、でも前のほう100人位関係者席だったんじゃないかな―― 著者近影とかそういうので見かける方々がたくさんおられました。黒猫もいた。このビルが燃えたら日本のSFはどうなるのかな――とちょっと思った。
一言でいうとスケジュール的に無理があるイベントで、パネラーが6人とか7人とかいて、40分で何が話せるというのか? パネルディスカッションというよりは実質Jコレクション作家顔見世興行的なものになってしまっていたと思います。
西島大介氏の手によるOPアニメも用意されていて(御本人も会場に来ていて販売ブースでTシャツ売ってました)、この人の作風らしく淡々と可愛らしい雰囲気の映像作品で、なかなかの力作だと思うけど、2時間イベントのOPとしてはちょっと長かったような。音楽フェードアウトさせても1分くらいにまとめたほうがよかった気がします。社長の挨拶とかもあった。これも長い。このころ実はおなかぺこぺこで腹の虫が鳴いて鳴いて困った。というか、すごい恥ずかしかった。自分の肉体はなかなかいうことを聞かない肉体で、ぜんぜん鳴り止まない。どこまで聞こえたのだろうか? 両隣の人くらいで大丈夫だった気もするけど、腹筋に力いれて鳴らないように頑張ったりして無駄に疲労した。正直、個人的な事情により、SFどころの話ではなかった。(すみません)
第1部「最先端科学とフィクション」。パネラーの方々は、野尻抱介 / 小林泰三 / 林譲治 / 平谷美樹 / 菅浩江 / 神林長平(特別ゲスト)で、Jコレクション執筆陣の中でもハードSFというジャンルに区分される作品を書いている方々による「最先端化学を自作にいかに取り入れるか?」みたいな内容のディスカッションだったのですが、平谷美樹、菅浩江、神林長平が入ってるのはちょっとちがうな……という気もしました。半分半分くらいにわけないといけないわけでこのような組み合わせになったのだと思いますが神林長平なんかどう考えても言語実験とか幻想方面の人なのでは? 少なくとも計算できるようには書いてないだろうと思いました。むつかしいですね…… 神林氏がトンデモなことを言って(「素粒子それぞれがユニークな存在であってほしい、そのためにはどうなればいいかというと、素粒子ひとつひとつに花子とか太郎とか名前をつけよう、素粒子自体が個性を主張してくれればいいというような」でしたっけ?)、それをうけて野尻、小林の両氏が「うーむ…… なんと申しましょうか……」となったところが非常に印象的でした。
幕間。朗読:北野勇作+サックス演奏:田中啓文によるパフォーマンス。台本担当は牧野修で題名は「闇を娶る」。はじまるまではタイトル読めなかった。ごにょごにょって書いてお茶濁したくなる気もするけど、正直、さむざむしい内容だったような気がします。牧野修に台本書かせる段階でいかがなものかと(どれだけ台本に忠実なものだったのかはわからないのですが)。(Jコレ参加してないけど)田中哲弥に頼むとか、自分でも言ってたけど北野勇作本人が台本書いたほうがよかったですね。あと、マイクいらない。
第2部「想像しえないことを想像する」。パネラーの方々は、北野勇作 / 牧野修 / 佐藤哲也 / 飛浩隆 / 高野史緒 / 田中啓文 / 山田正紀(特別ゲスト)の7人で時間は同じく40分。きちんとオチの位置に配置されていた田中啓文の姿が印象的でした。進行役の塩澤編集長いわく、「Jコレ参加メンバーの中で、ハードSF以外の方」だそうで、なんだか残り物を十把一絡げ、みたいですね…… 「1部と2部にはヒエラルキーの差がある」と牧野修も申しておりました。第1部メンバーとちがって、芸風の違いこそが唯一の共通点みたいな面々なんで、どう進行すべきなのか塩澤編集長も頭抱えたんじゃないでしょうか。なんかぐだぐだでした。困ったら北野氏に振って、オチは田中啓文、という印象。そういえば、飛浩隆がどんな人なのか、はじめて目にした気がします。
第1部、2部通して興味深いこと言ってたのは野尻、小林、牧野の3人かな。佐藤、高野のふたりについてはDASACONで話した内容とほぼ同じだったので除外しています。
カーテンコールがあって終了。DASACONの時からひどく気になっていた佐藤哲也氏の革パンツに加え、神林長平氏のビニールパンツにも注目が集まりました(注:個人的に)。また、全身黒のこのふたりの間に白い服装の菅浩江が立ってるものだからまるでオセロのようでたいへん素晴らしかった。
この間もずっとお腹がぐーぐー鳴っていてとても大変だったので終わったらすぐご飯食べに行った。
ここまで書いてなかったのだけれど、打ち合わせのためたまたま上京していた漫画家の山名沢湖さんとも御一緒させていただいていて、どうやら山名さんは「なかよし増刊○○やすみランド」掲載の読切作品が単行本にまとめることになったらしくて、おめでたい♥ヽ(´ー`)ノ 表紙候補のラフスケッチも何点か見せていただいたりした。11月26日発売の少年エースにも読切「ホシスミレ」が載るとのことで(好評だったらシリーズ化?)、そのうちこの人はブレイクしてしまうのだな、とぼんやり考えた。単行本は来年1月発売とのこと。
煮込みチーズハンバーグとライスのセットを頼んでもりもり食べたら口の中いっぱいに煮えたぎった肉汁が広がって口蓋を火傷して皮がべろべろになってしまった。それまではおなか減りすぎて無口だったのに今度は別の理由で無口になった。
お別れして、埼京線の待ち時間に上あごの内側を舌でごにょごにょやってたら火傷したところの皮がまるまる剥がれて指で引っ張りだしたらそれはまるで湯引きした魚のように真っ白で、勿体無いからそのまま食べた。
02/11/02(SAT)
【単行本・小説】 舞城王太郎「熊の場所」 講談社 [bk1][amazon]
舞城王太郎初の短編集。「群像」に発表されて第15回三島由紀夫賞候補作にもなった「熊の場所」、同じく「群像」掲載「バット男」に、書き下ろし「ピコーン!」を加えた3編を収録。
発売からちょっと時間経ってしまったのは直後くらいにAmazonに注文入れたもののなかなか届かなかったからで(とほほほ)キャンセルしてそこらへんの書店で買うか他のネット書店に注文しなおすかすればよかったのだけれど、どうせほかにも読む本あるし面倒だしでそのままほっといたら今頃きた。到着後あっというまに読了。
収録されている作品すべてがなかなか面白くて、読ませる物語を書く能力はたしかにある作家だと思います。言葉の使い方については時折奇妙に感じられるところもあるけれど、饒舌体で綴られた文章自体に勢いがあるからさほど気にはならないし、その幼さがそのまま味になっているような気もします。「ひょっとしたらわざとやってるのかな?」とも思ったけど、(一応)文学賞作家である奈津川三郎を語り手にした「暗闇の中で子供」(→感想)も似たような感じだったからやはり天然でこれなのだろうと思い直しました。
収録作品の中でいちばん好みだったのは表題作「熊の場所」。同級生の「まー君」が猫殺しであることを発見してしまった「僕」がその恐怖を克服するため「まー君」と対峙することを決意し、そして実行するというこの物語は、奇妙な叙情性をたたえ、不思議と心に残ったし、一風変わった共犯関係ともいえる「まー君」そして「僕」の緊張感溢れる関係性の描き方もなかなか上手い。
ただ、ラストの幕引き直前で息切れしてしまったという印象があって、せっかくここまで日常から幻想を紡ぎだすことに成功していたのがひどく勿体無いように感じました。外部から唐突にあらわれたオチで最後を誤魔化さず、ふたりの関係をきちんと描き出せればもっと素晴らしいものになったのではないでしょうか。原稿用紙100枚くらいの中篇で使うには惜しいネタのような気もします。
ぼこぼこの金属バットを振り回して周囲を威嚇するもののあっさり反撃食らって殴られたり蹴られたりするあわれな浮浪者「バット男」の物語でもない「バット男」は「熊の場所」と同じく、作品の主題となるものの象徴として「バット男」が扱われる物語で、これもなかなか面白い話ではあるもののやはりラストの処理に唐突感が否めない気がします。この人の作品はどうも最初のほうの特異な文体がラストに近づいていくにつれてだんだん普通なものになっていくような気がして、その点ちょっと作家体力がない人なのかもしれません……
書き下ろし「ピコーン!」は妙な見立て殺人が不意にあらわれて驚愕。この短編集から舞城王太郎を知った人を講談社ノベルスから出ている作品に導くためのサンプルケース的作品なのかもしれません。しかし、いきなりな展開。
これは前にも書いたことですが、自分の中で舞城王太郎はヴォネガットとかジョナサン・キャロルとかと同じ位置付けに置かれる作家で、細かな突拍子もないエピソードの集積がもたらす混沌が素晴らしいと感じているのですが、そこが短編集になるとちょっと弱く、前述作家たちの短編集読んだときとも似た読後感でした。けして悪くはないけれど長編作品のほうが好みではあります。
あと、この3編で1600円という価格設定はちょっと高めな気が。売る上での戦略的都合もあったのでしょうが、せめて5編ぐらいは収録して欲しいと思われました。
気がつくと近代麻雀のレビュすらもサボりぎみ。 みやわき心太郎「人気麻雀」。オカルティックな話だなあ…… 植物に他家の当たり牌を通してもらうという荒業が炸裂した前作(?)「植物麻雀」ほどブッとびではないものの、わけのわからない話。しかし、みやわき心太郎の見る世界はこんななのかもしれない。行った場所がすべて繁盛するという超能力を持つ(本人無自覚)看護婦が主人公の物語なんだけど、入ったシフトで急患が連続して押し寄せるって、それはむしろ死の女神様なんじゃないのか、と思った。どう表現していいのか言葉につまる物語で、 「急患です!」 「えっ!!」 「急患です」 「ああっ!」 などいかれたリフレインにも大爆笑。両手で乳首のあたりに一筒を抱え持って微笑むというどうにも品のないオヤジセンスな扉絵といい、なんとも形容しがたい。ところで、みやわき心太郎は桜井章一によって人生を狂わされてしまった人間であることは間違いなく、この作品にもじつは桜井章一を出演させたかったけど編集サイドの賢明な判断により止められたのではないかと邪推している。 そして、最終章(後編)である高橋のぼる「ジャンロック」。すさまじいの一言。今まで読んできたこの人の作品の中でいちばんすごい展開だ。面白くすぎるから実写で映像化してくれ! ほかの作品もそれなりに盛り上がってはいるんだけど(予想を覆す展開の「アカギ」とか)、この2作品でじゅうぶんお腹一杯。丼5膳くらいは余裕でいただけます。
02/11/03(SUN)
「無関心・寄付・不謹慎か? む……」
文学フリマ、はげしく駄目イベントでした…… 理由は以下。
・ どこのスペースにどんなサークルが参加してるか、何を売っているのかの一覧を書いたペーパーすら用意されてないので、自分が購入したサークル以外の情報がわからない。今でもぜんぜんわからない。次回につなげる気がないのだろうか(まあ、予定はないわけだが……)
・ 午後の1時過ぎくらいだろうか、会場となったカルチャーセンター青山内のいちばん広いスペースでいきなり喧嘩腰に近い討論がはじまってたいへん往生した。
最初は誰かわからなかったのだが(ひょっとして友哉タン? と思ったがそんなわけはなかった、あんなに老けてるわけがない)「重力」第1号編集責任者である鎌田哲哉氏と大塚英志氏の(こっちはわかった)ふたりだった。はじめは状況がぜんぜんわからなくて、そういう討論イベントが予定されているのかと思ったが、どうもそうではないらしい。鎌田氏によって会場で配られたコピー数枚を読んで経緯を判断するに、「参加者各位」として大塚英志が参加申込者にあらかじめ配った文学フリマ参加要綱の中の 「11/3より半年以内に第2回開催の事務局が皆さんの手で発足しなければ、参加費の余剰金をアフガニスタンかどこかに全額寄付して、その領収書のコピーを出展者に送付して、このイベントは第1回目にして終わりになります」、「どこに寄付するのかはぼくの思いつきで、その時点で決めます」 という部分、さらに文学フリマの運営がヴォランティア労働によってなされることが当たり前のように捉えられてることに対する疑問を主催者である大塚英志、そしてそれらの文意にまったく疑問を感じないままサークル参加した人々に対してぶつけていたようだ。(あまりに部屋が混雑していたうえ、いちど抜けたら再び部屋に入れず聞き取れなかった部分もあり、詳しくはわからなかった)
そういう内部のゴタゴタはただ買いにきた客には関係のないことだし(そもそもそんな事は知る由もない)、その討論が行われた時間、その部屋では本が売れなかった/買えなかった。これはあまりにひどい。どこか別のスペースを用意してそこでやるか(カルチャーセンター青山内には用意できないだろうが)、会場前か会場後にやってほしいと思う。その部屋にスペースを取っていないサークルの中にはそんな討論が行われていたことすらわからなかった人間もいただろうし、正直これではまったく意味がないと思う。部屋に入ることの出来なかった間、窮屈な廊下で待たされてたいへん疲労した。
・ 佐藤友哉+西尾維新+太田克史(イラスト:舞城王太郎 / 表紙絵:笹井一個)のコピー本「タンデムローターの方法論」、午後刷りのものを入手したが、たかだか午前中と午後で50部ずつ刷った本を売るのになんであんなに手間取ったのかまったく理解ができなかった。そこそこ捌けるのなんかあらかじめわかってるはずなのに列の誘導にしてもブースでの対応にしてもあまりに不手際だったと思う。お釣りくらいさっさと出せ! とか思った。
友哉たんについてはまあ自虐的な普通の若者、という印象でべつに思うところはそうないけれども、「何か一言」と言われて(そんなこと要求してるあいだに列を捌け)、とくに言いたいこともなかったので「がんばってください」と答えたら、隣にいた黒づくめの若いみうらじゅんみたいな人に「そういう応援のメッセージはいいよね(いらないよね)」と言われていささかカチンときた。コピー本1500円も出して買った人間に対してかける言葉がそれなのか……。
なんかもう、いらない部分で疲弊したイベントであった。ほとんどのサークルは純粋に自分の本を売る機会ができたぐらいの感覚で参加したのだろうと思うのだが(個人的にはそれぐらいでいいと思う)、主催者サイドが何を考えて運営してるのかわからない部分が多く、その不用意さによって幾つもの参加サークルや会場に足を運んだ人間がないがしろにされていたような気がするイベントでした。友哉たんの両隣で参加してたサークル悲惨としか言いようがないしね…… もっと、配置を考えろよ……
小部屋の集合体だったりやたらに廊下が狭かったりと会場選びの段階から問題があったような気がしますし、全般的にインターフェイスが悪すぎとの印象でした。たかだか70サークルざっと見渡すだけなのになんでこんなに苦労しなければならなかったのかわかりません。
【同人誌・小説/エッセイ】 佐藤友哉 / 西尾維新 / 太田克史(イラスト:舞城王太郎 / 装画:笹井一個)「タンデムローターの方法論」
佐藤友哉、西尾維新の短編に加えて太田克史(編集者J)のエッセイ、本文イラスト(落書き)と英題担当:舞城王太郎、装画担当:笹井一個と、やけに豪華なメンツが揃ったコピー本。68ページで1,500円。高いのか安いのか。
・ 佐藤友哉「灰色のダイエットコカコーラ(短縮版)」
なんじゃこのタイトルは…… なんじゃこの内容は…… まあ、いつもの感じ。
北海道はクソ田舎なので文化というものがまったく存在しません / 友人も馬鹿ばかり / 自分には何の才能もない / bk1から本がこない / 物干し竿の大安売り〜、二本でー、せんえん / 僕の祖父は覇王やでえ / 人間狩りだ! / 酒鬼薔薇ラヴ! / ラヴラヴ! / 産まれてすみません / ピカー! / それでは、さようなら――!! 以上。
なんと申しましょうか…… 舞城王太郎と西尾維新を意識してるのは痛いほどわかるのですが、このふたりの作品からそのまま影響受けてそのまんまの文体で書くのは友哉たんの作家としてのプライドは何処に? と感じてしまう作品でありました。あと、最近フォークナーを読みはじめたのかな? とも思った。
唐突に登場する巫女子たん的言い回し(「十九歳にして百億円ゲット! ただし人生ゲーム」)や、ノワール文体にていきなり挿入される舞城だか中上健次だかよくわからん祖父の人間狩りエピソードなど、まあ、困ったものであります。たしかに、いーちゃんの短編とくらべれば興味深く、面白い作品ですが、やはり志はどこまでも低いという印象です。手の届くあたりからの借り物だけで自分の作品構成しちゃうところが友哉たんにはあるからなあ…… わざわざ同人で出す新作がこれかと思うとがっかりですが、新現実掲載の「『世界』の終わり」よりは面白いです。しかしこれ、小説と呼んでいいのだろうか。
・ 西尾維新「明けない夜とさめない夢」
イイジマという名前の田舎出身大学生が孤高の存在ともいえるアサクラという少女との出会いにより変わるお話。
饒舌体に文章費やされてしまうので基本的にこの人の作風に短編作品は向いてないように感じます。枚数の関係からか、これといってドラマもない淡々とした話になっていて、しかも、ラストをあんな風に落としてしまっている。そういえばオチの意味がしばらくわからなかった自分はかなり鈍いなと思いました。
・ 太田克史「リタラチャー No.3」
これはエッセイ。簡単に言ってしまえば、「佐藤友哉、そして西尾維新、君らはたんに本格ミステリを形式として利用しただけでしょ? だからミステリファンの自分にとっては君らの作品はだめだめだわ。君らがそんなじゃ綾辻や京極を見出した先輩編集者に俺が勝てないじゃん?」と書いてあるだけ。そんなこと、一読すれば自明のことだと思うのですが…… 「本来ありえない虚数の時空に広がる虚数の青春」 とか、 「われわれは皆が皆ネット上でコードネームでお互いを呼び合いながら」、「愚にもつかないお喋りをビットとして撒き散らしている」 など、よく意味がわからなかったり、うーむ、なんともはや…… だったりする表現がそこかしこにみられて読んでいて困った気分になります。まあ、大急ぎででっちあげた文章なのでしょうし、参加してる全員が全員そうなので逆に統一感はとれてないこともないのですが……
最後の5行に「あなたたち」という記述があるということは、友哉たんも講談社とは切れてない、という意味でしょうかね?
ものすごく正直に書いてしまえば、この内容のコピー本に1,500円とるのはさすがにないなと思いました。全部で100部しか刷ってないらしいからたしかに貴重本ではあるけどね……
舞城王太郎の落書きもいつもの感じ。文学フリマは「FREE MARKET」じゃなくて「FLEA MARKET」(蚤の市)ではないか? という舞城の指摘は正しいような気がする。フリマだと中古本売らなきゃいけないような。ものすごいミス、というのは表紙らしいです(→笹井一個日記君)。訂正済み。
02/11/04(MON)
「目に青葉、カバオアニメ」
回文がきわめて適当になってきた…… ところでこれは昨日のこと。
日記では厳しいことばかり書いてしまった気がするけれど、もちろん腹の立ったことばかりではなく、松本楽志さんともお会いできたし(ちなみに、持っていったワインはラベルにカメレオンが書いてあって面白いかもという理由だけで買った安物なので味についてはまったく自信がない)、三五千波さんともほんの少しお話できて新刊も買えた。ありったけのバックナンバーを送っていただいたり、贈呈本として「ベストセラー本ゲーム化会議」(→感想)を戴いたりしてお世話になったカエルブンゲイのアライユキコさん、「ベストセラー本ゲーム化会議」の著者にひとりでもある、こどものもうそうの米光一成さんにご挨拶できたのも嬉しかった。友哉たん本行列で自分の2人前に並んでいたのがMystery Laboratoryのmatsuoさんだったので驚いた。やっぱきちんとチェックに来てるんだ…… あと、ふらっと浅暮三文氏がやってきていたのがなんとなく意外に感じられて面白かった。
最近なぜかいろんなイベントに足を運ぶようになった気がするけれど、たしかに大好きな作品は数あまたあるし、敬愛する作家としても何人もの名前が挙がるわけだけれども、では直接会ってみたいのかといえば、そういうものでもない、なに話せばいいのかわからなくて困ってしまうということがわかりました。作品を通してだけの交流だけで充分満足だよ……というか。そういうの参加するのはちょっと控えて、淡々と感想あげるだけのサイトに再び軌道修正しようかな、とも考えました。
昨日の文学フリマだって、ほとんどの参加サークルについては何の文句もないし、落ち度があったとも当然思えないわけですが、大塚英志をとりまく状況や佐藤友哉をとりまく状況が歪に見え隠れして(ここだけ敬称略)、そこがどうにも居心地悪かったような気がします。ただ淡々と売り買いする現場みたいな感じだったら多少の不手際も気にはならなかったと思うのですが。
昨日も書いたとおり、佐藤友哉本人については個人的に思うところはなく、ちょっと自意識が強くて自虐的なところのあるいまどきの若者なのかな、くらいの印象しかないのですが、自分が過保護に扱われてるということについて無自覚かつそれが当たり前のように思ってる節はあるような気がしています。講談社ノベルス作家で重版かからなかったのが自分だけなわけでもあるまいに(重版かかる作家のほうがむしろ少数派だろう)。あんなこと書いてた「クリスマス・テロル」(→感想)は結局2刷りかかったじゃないか。
あと、これはあくまで未確認情報であることを最初に断っておかなくてはならないわけですが、今回のコピー本「タンデムローターの方法論」については太田克史氏がかかわってることから講談社にあるコピー機を使って印刷され、費用についてはまったくロハ、というのを小耳に挟むにつれ「うーむ……」と思ってしまいます。それで1500円か……
うわ、また長くなった。もう、そういう愚痴はやめようと思ったのに。3時ちょっとすぎに文学フリマ撤退して疲れたから渋谷の喫茶で体力回復。にんじんジュースって普通に美味しいと思うけどな―― その後、品川IMAXシアターでSPACE STATIONを観る。なかなか面白くて、とくに宇宙好きの人だったら必見の映画だと思った。これは3D映画で、いろいろ映像が飛び出してくるわけなんですが、中央上手の絶好のポジションに座ることができたせいか見え方としてかなり良好だったようだ。前の席(観客席に傾斜がついているので下のほうに見える)に座っていたチビっ子が、こちらに飛んでくるオレンジを必死で取ろうと手をばたばたさせていたのが微笑ましかった。まさか、本気で取れるとは思っていないだろうが…… ところで、打ち上げシーンの爆煙の動きが立体的に見えるところがとてもよくて、爆発シーンだけずっとみたいな、とか思った。その後、アンナミラーズにはじめて入って女の子眺めつつ3時間くらい話して帰った。たいへん疲れた1日であった。
【ANIME】 プリンセスチュチュ 11.AKT「ラ・シルフィード」 (→公式)
→第11話ストーリー
物語冒頭で愛の宝石をエデルに渡してたのは誰だったのかな? 「俺は、俺だっ!」(ちょっとちがうか) とか呟きながらひとりでくるくる回ってるカッコマンに萌え〜 ふぁきあ株急上昇↑↑ 「俺がみゅうとを守る」 心がもどってもガラクタ人形レベルな王子様みゅうとを取り巻く3人の心の動きの描き方はあいかわらず上手いと思うのですが、物語の説明があまりに丹念になされてしまってるがゆえに視聴者がストーリーについてあれこれ想像する余地が失われてしまってる気もします。これはまあ、作品の序盤から懸念されていたことですが、プリンセスクレイルが愛の宝石にしたことをドロッセルマイヤー氏が物語の外側からそのまま解説入れるシーンなどはメタ構造としてたしかに面白いし親切設計ともいえるのですが、丁寧に解答が示されてしまうぶんミステリアスな魅力は失われてしまうわけで…… 諸刃の剣だといえるでしょう。比較対象にすべきかどうか悩むところですが、「少女革命ウテナ」における方法論とはまるで逆なんだよな――
ところで、いまいちクレイルさんに萌えないのは「ワーオ!」という感じのあの決めポーズがどうにも志村っぽいからではないか? と思います。


【ANIME】 プリンセスチュチュ 12.AKT「闇の宴」 (→公式)
→第12話ストーリー
傷つき破れたできそこない騎士ふぁきあとチュチュが急接近♥ 加藤奈々絵声はけっこう萌えるな……と思った。もう一方の烏姫+木偶人形のカップルは破滅へいよいよまっしぐら! という感じで、まさかクレイルがあんなふうに語りかけるとは驚いた。つまり筒井康隆「朝のガスパール」みたいなことをアニメでやってるわけですが、こういうことやっても混乱しないようにくどいくらいに説明入れてるのかな。やたらに都合良く登場して物語を新たな局面に誘導するエデルが外部から物語を操作する存在(ドロッセルマイヤー氏)の意志によるものだというのは前回の感想で書いたとおり諸刃の剣だとは思うけど、やはり面白い。ふぁきあ株↑↑ というのはあいかわらず。いつのまにか、あひる+ふぁきあのカップル物語になってるのは意外でしたね。できそこないコンビの頑張りが物語を牽引していくという構造は定石ともいえるものなのだけれど、序盤の展開からは想像できませんでした。
ところで、心を失ってふたたび人形にもどったみゅうとが及川光博化していたのには驚きでした。これはクレイルさんの趣味なんでしょうか?


【ANIME】 第3期ギャラクシーエンジェル 第9話「ぼったくりサラダバー」/ 第10話「エンジェルバナナのたたき売り」 (→公式)
ん――、やはり5人絡ませてドラマ作りできる技量がないとガラクシ脚本は書けないのかも……
この第9話、10話で脚本担当した金巻兼一という人、第1期では「廃校のテリーヌ思い出仕込み海賊風」、「恋の小籠包ルージュ風味」、「サルのサルベージコンボ」、「Downtown Soulfood ODEN」の脚本を担当した人で、エンジェル隊メンバー単独エピソードもしくは展開にひねりのない話しか書いてない人なんだよな―― 第2期の「びっくり点心」、「禁断ムニエル魅惑の山かけ」あたりはなかなか頑張っていたと思うのですが、今回は、うーむ…… (参考:→ギャラクシーエンジェル研究室 ここはすごいです)
・ 第9話「ぼったくりサラダバー」 →ストーリー紹介
蘭花さんメインエピソード。性格が素直すぎるせいなのか、男絡みの話か何かにしないかぎり、単独で動かすのはむつかしい娘さんなんですよね…… 花の咲き乱れる惑星に置き捨てられたウェイトレスロボというシチュエーション自体はなかなかいいと思うのですが、いかんせんストーリーに広がりがなさすぎであります。なんか、もうちょっとネタが用意されてるのかと思ったのですが。しかし、この紋章機弱いなあ……
そういえば、メイドロボの形状見て、あ! 「みのりの日々」だ! と思った人は多いんでしょうね。


・ 第10話「エンジェルバナナのたたき売り」 →ストーリー紹介
うーん、やっぱり全員バラバラに動くわけね…… 金持ちの婆さんに身売りされてがっかりかと思いきや給金上がってばんばんざいのエンジェル隊がある意味大活躍するというお話で、まあとくに言うことがありません。安いエピソードでした。 ヴァニラさんの台詞 「安心の4枚重ね」 だけ冴えてたかな。 あ、 「後半、出てないよ――」 もか。
02/11/06(WED)
【ANIME】 オーバーマン キングゲイナー 第1話「ゲインとゲイナー」 (→公式)
はげしく面白い。キャプチャするため2回目みたらまた新しい発見があって結局通して見てしまう。脚本の出来がいいんだなあ…… 台詞の1つ1つに含蓄がある。テンポよく次々場面転換しながら世界設定と事の発端みせていくあたりの呼吸なんか素晴らしく上手いです。
とはいうものの、「エクソダス主義者」だの「シベリア鉄道警備隊」、「ドームポリス」、「ピープル」、「ミイヤ祭り」、「オーバーマン」などなど世界設定やらわかんない単語多すぎて、第1話みただけだといまいち掴みきれない部分あるかも。実際、最初勝手に予想していたストーリーとぜんぜんちがっていて驚きました。まさか、街ごと夜逃げする話とは……
ひきこもりのあまりネットゲームチャンプとかになってる眼鏡少年が、無頼っぽい男無頼っぽい男の口車にのせられていいように使われるというストーリーで、そこらへんで拾ってきた少年にいきなしオーバーマン操縦させてみたりと、よくよく考えてみると勢いだけで展開させてるような物語運びがすごいです。でも、面白いんだよね…… あんな状況で「キング」とか名のっちゃうゲイナーくんはなかなかいい性格だと思いました。図々しい! そして、ヘボい。みさかいない格好して学校の教室までやってきちゃうアデット姐さん@林真里花がとにかく素晴らしくてたいへん感動しましたが、何かヘンな薬でもやってるの? と、不安になるくらいの勢いでイッちゃってるホログラム・ミイヤ様@中西裕美子も危うげでよいです。というか、娘さんキャラ全員よすぎ〜 ガウリ隊の男なんざ、リーゼント君以外憶えてません。


【ANIME】 オーバーマン キングゲイナー 第2話「借りは返す」 (→公式)
「ぼくは、エクソダスってのが、大嫌いなんだ!!」 って、さっきまでの戦闘はいったいなんだと思っていたのか、ゲイナーくんは……
オーバーマンって布っぽいところが可愛いですよね。着ぐるみモビルスーツというか、着るスタンド(ジョジョの、念のため)というか。 「シベリア鉄道の恐怖政治はもううんざり! 自由の地、ヤーパンめざして南へ行くぜ!」 そんな感じに街ごと夜逃げしてみる皆さんでしたが、ガハハ親父の敵オーバーマンがあらわれましたとさ! という展開。今回もいいように使われるヘタレ主人公ゲイナーくんがとっても哀れであります。しかし、娘キャラいいな―― この猛吹雪の中、あられもない格好で前回から引き続き登場のアデット姐さんがケツ打った痛みに悶えてるかと思えば、まちがいなくアデットさん小馬鹿にしてそうな後輩隊員ジャボリ@田村真紀とか。 「頭悪いんだから」 「踏んづけてやる!」 「やめてっ、お姉さま」 まったく、素晴らしい――!! 泥だらけになりながら一目見ただけの「ゲイン様」追っかけるあの鼻眼鏡家庭教師だけはちょっとわからんが…… 肝心の姫様はまったく気にならないのだろうか。ひどいやつであります。



02/11/07(THU)
【ANIME】 オーバーマン キングゲイナー 第3話「炸裂! オ−バースキル」 (→公式)
「一生懸命頑張ってオーバーマン撃退したのに誰もほめてくれないよ――」とか言って登校拒否してるゲイナーくんにみんながみんなで「学校に行け!」とお説教するお話。どうみても幼女な(8歳くらい?)アナ姫にまでマジ顔で叱られて恥ずかしくないのか(;´Д`) 「貴様たちが来るから!」 敵に責任転嫁してみたり。 「だからって、学校来なくていいわけないでしょう?」 コクピットでも説教される男。 「学校には来なさい!」 それがすべて。
一方、アデット姐さんによる内部潜入作戦とゴリゴリラ隊長ヤッサバさんの直接オラオラ攻撃の2重作戦に出るシベリア鉄道警備隊であったが…… しかし、自分の能力べらべら口に出して言わなくてもいいのに。じつは着るスタンドであるということが判明したオーバーマンですが、 「動け、時っ!」 いきなし「ザ・ワールド」かよ―― ゴリゴリラがディオ様かよ―― どうすんだこれから? とか思いました。 「エクソダスなんかするやつは、3・7・5・6・4だ――!!」 なんでファスナー開いたんだ!! ゴリゴリラとへたれ君の戦闘はおいといて(おいとくな)、アデット姐さんと無頼ゲインさん(幼女の観客つき)の 「死ぬくらいなら、俺の子供を産め!」 「ええっ!?」 とかいうお口アングリ展開はいいよね。 「女にも選ぶ権利はあります」 アナ姫様もたいへんいいお味。
オーバーマン戦、肉弾戦ともに回り込むはがんがん動くはで見ていてとにかく気持ちいいです。


【ANIME】 オーバーマン キングゲイナー 第4話「勝利の味はキスの味」 (→公式)
面白いように挑発に乗って賭け拳闘でゲインと戦うハメになったへたれゲイナー・サンガ君。掛け率40倍とかついてて(;´Д`) そんなの勝てっこないじゃん…… リング外では鼻眼鏡家庭教師と整備女の戦いもはじまったりして(個人的にはどっちもいりません)。
いっぽうゲイナーくんに敗北したことで部隊内での地位が危うくなったヤッサバさんは部下に陰口叩かれたりして大ショック! そんなところをアデット姐さんにかばわれて感動のあまりその場で大号泣。なんていいキャラだ!! よーし、今度こそいいところ見せちゃうぞ――と、アデット連れてラッシュロッドで単身乗り込んでったヤッサバさんでしたが…… 時間止まったら人間死んじゃうんじゃないかと思うのだが…… この世界の物理法則がわからん。 時を再始動させる条件としてヤッサバさんはキングゲイナーとの決闘を要求して再バトルスタート。しかし、なぜにここまで濃い顔アップが炸裂するのだ。 「ぐわ――っ、使い切れなかった!」 大爆笑。へたれ君も素晴らしい――! 「でや――っ、しまった!」 「カッコつけるからでしょうが」 「ご褒美くれ――!!」 結局、キス目当てのお馬鹿さんふたりによる決闘だったような…… しかし、地回りヤクザさんのよくわからんオーバースキル使用でひとつの命が助かった。えかったえかった。(どんな展開だ)


いかん、はからずもヤッサバさんいいツラ特集になってしまったよ……
02/11/08(FRI)
【単行本・小説】 倉知淳「壺中の天国」 角川書店 [bk1][amazon]
非常に楽しく読みました。驚くことに「星降り山荘の殺人」以来、4年ぶりとなる長編だったそうで(またその2年後に読んでるわけですが……)、短編ばかりでなく長編ももう少し書いてみてもいいと流石に思います。しかし、この人の書く長編作品はなんか微妙に変ですね。
平凡なベッドタウンを舞台に連続撲殺事件が起こるというお話で、いわゆるミッシング・リンクもの(実質プロファイリングものだが)なのですが、犯人からのものだと思われる電波怪文章が流布されたり、占いに完全依存する女子高生、過食障害の家事手伝い、新聞の投稿マニアなど、被害者たちが「現代社会の病理」(うわ、陳腐な表現)を浮き彫りにするような存在だったりするのが独特、と書いてはみたものの、実際にはもっとヘンテコなお話です……
電波系ミッシング・リンクものならたとえば、牧野修「アロマ・パラノイド」みたく神経に突き刺さってきそうなぐねぐねとした雰囲気になりそうなんですが、材料として電波系の困った人々を使いながらも物語の核となっているのはシングルマザーの子育て奮闘記とも呼べそうなもので、主人公である未婚の母・牧村知子の関心はもっぱらひとり娘の実歩にあるところが面白いですね。事件そのものはわりとどうでもよく、主婦たちが怖がって家を出たがらないから仕事であるクリーニング屋の配達が忙しくてしかたないとかそんな程度なのです。また、探偵役の関心も事件そのものにはなく(事件に興味津々なのは知子の父親など、周囲の人々だけ)、そもそも誰が探偵役になるのか最後まで確信が持てませんでした。しかし、変な話だ。
普通という枠組みからちょっとだけ外れた人々を描かせたら倉知淳はやっぱり上手くて、その語り口も軽妙ですらすらと楽しく読めます。2段組で440ページ弱あるからたぶん原稿用紙換算にして1,000枚超える作品なのではと思うのですが、ぜんぜん重くありません。
たしか、倉知淳は自分の作品を「フェイク本格ミステリ」だと称していたような気がして、たしかにこの作品も微妙にどこか外されているような気がします。しかし、それら全てが笑うポイントとして機能していて読んでいてとても可笑しい。落語っぽい語りのセンスを生かした変化球本格ミステリという印象の作品です。被害者たちの共通点にものすごくくだらない伏線が張ってあったのにはなかなか吃驚して「お馬鹿でたいへん素晴らしい!」と思いました。爆笑です。
02/11/09(SAT)
【単行本・小説】 エドワード・D・ホック(訳:木村二郎)「サム・ホーソーンの事件簿 1」 創元推理文庫 [bk1][amazon]
田舎暮らしの老医師サム先生が訪ねてきた飲み友達をお神酒で歓迎しながら自分が過去に遭遇した奇妙な事件の思い出を語り始めるという短編連作。シリーズ初期12編にくわえ、ノンシリーズの同じく不可能犯罪ミステリ短編「長い墜落」を収録。
EQMM(エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン)1974年12月号に第1作「有蓋橋の謎」が掲載されたのち、年2〜3作のペースで発表されたシリーズであり、現実の時間経過と物語内でのそれがほぼ同期しているので、第1話において開業したばかりで新参者だったサム先生がこの本最後のほうでは町にすっかり馴染んでいるような描写があって、読んでいてたいへん心がなごみます。
しかし、いくら半年に1度程度とはいえ、こんな田舎町で不可能犯罪ががんがん起こってそのたび住人が逮捕されてしまう(もちろん住人が犯人でないケースもありますが)というのは如何したものか? レンズ保安官はその点についてどう考えているのだろうか? とかちょっとだけ考えてしまいますが…… 1920年以降、牧歌的雰囲気の古き良きアメリカ風俗描写とド派手な不可能犯罪が物語の中に奇妙に共存して、しかもフレンドリーな物言いでその事件が語られるという、ちょっと不思議な味わいの短編集です。
自然観察のためノースモントの町に滞在していた男が下宿先だった水車小屋の焼け跡から撲殺死体で発見され、郵送中の手提げ金庫から日誌が消失したという事件を扱った「水車小屋の謎」におけるホワイダニットの切れ味、野外音楽堂で行われた独立記念日祝典の最中、どこからともなくステージにあらわれた怪人物によって町長が刺殺されるという事件、「呪われた野外音楽堂の謎」における犯人の動機などが印象的でした。衆人環視のロブスター小屋の中から脱出するはずだった魔術師が喉元をかっ切られて殺されていてしかも凶器が見つからないという「ロブスター小屋の謎」もよかったかな。
ただ、中にはかなり無理があるお話もあって、たとえば、100年後に開封されるというタイムカプセルの中から死体が発見されるという「農産物祭りの謎」あたりはミステリの謎という点においてはたいへん魅力的なのですが、なにもそんなところに隠さないでもそこらへんに埋めればいいじゃん、とか思わずにはいられません。ちょっと笑ってしまいました。
気軽に読めてなかなか楽しい作品であります。気が向いたら2巻も読もう。
【ANIME】 オーバーマン キングゲイナー 第5話「シベリアに光る目」 (→公式)
サブタイ、絶対ちがうよなあ……「俺は漢だ! ヤッサバさん」とかそんなお話ですよね。
囚われの身となり、もはや後がない身となった我らが(そうなの?)ヤッサバ隊長、父母の死のてがかりはと詰問にやってきたゲイナーをあっさり気絶させて脱走。 「どけどけ〜!!」 盗んだバイクで走り出す〜 しかし、こんなド派手な逃走劇わざわざ選ばないでもいいのに…… 前回もらったキスはどうした? というやっぱりへたれなゲイナー君は逃げられたことひた隠しにして自分だけで処理しようとする。リスク・マネージメントの基本がなっとらんね…… 「戦う男の美学というやつを教えてやる〜」 「見ろ――!!」 しかし、やってることは逃走 → 投身自殺じゃないですか! 透明オーバーマンブラックメール出現により「我、遁走ニ成功セリ!」(の予定)だったものの、下克上にあってヤバイ雰囲気。でも強い男だからぜんぜんへっちゃら。 「窮地にあっても道を開くゾ! 嬢ちゃん!」 カッコいい〜惚れた〜!! 養父がわりの親方にこき使われてる辻占いの嬢ちゃん救ってみたものの人質取ったと勘違いされて 「俺は男だぞ!!」 大暴れ。 「こうなったら、俺ひとりでエクソダスを止めてやる!」 やぶれかぶれ。 一方ガウリ隊はばたばたやってるゲイナーくんを呼び寄せてものすごい作戦を決行する。それはあまりにも、あまりにも非道な…… どうもゲイナーくんは毎回毎回ものすごくぞんざいに扱われてる気がしないでもない。今回なんかデコイ以下の扱いだよ…… 「キングゲイナーなら、やってくれるさ!」 これでお亡くなりになったら気まずいことこの上ないのだが…… 「俺は、勝つ!!」 カコイー!!! 住人総出かよ、ヒデ――!! 「俺は、弱いわけないだろ――!!」 混乱してるのか、助詞までちがってる――!! ヤッサバさん――!!!(涙・涙・涙) うわ、もう容赦ないですね…… (中略) さらに、容赦ないですね……
結論:ヤッサバさんは素晴らしい!!! 吃驚マークがいっぱい。「真珠夫人」における大和田伸也の如く物語序盤を盛り上げてくれました。これだけのキャラなんで流石に後半再登場すると思われます。その瞬間を刮目して待つことにしましょう。でもこれで本当に退場だったらどうしよう……(泣



いかん、またもやヤッサバさんいいツラ特集になってしまったよ……
02/11/10(SUN)
【ANIME】 プリンセスチュチュ 13.AKT「白鳥の湖」(完結) (→公式)
これにて「卵の章」完結。チュチュそして騎士ふぁきあの連合軍とクレイル最後の一騎打ちとなる最終話で、ものすごくストレートかつオーソドックスな展開に終始したのが逆に意外でした。
たしかに作品としてみれば非常に美しい終わりだったのですが、チュチュとクレイルのバレエ勝負によってあまりにあっさり決着がついてしまうラストといい、「あらかじめ決定されている物語結末に必死に抗おうとする登場人物たち」という開始当初の(たぶんだけど)作品主題からはちょっとずれたところに着地してしまった印象を受けました。世界そのものを崩壊させなければいけない展開になりそうだし、続編「雛の章」制作が正式にアナウンスされた段階できっとそんなふうにはできないだろうな、ということはあらかじめ予想できたのですが、うーむ…… ドロッセルマイヤー氏がストーリーに介入してきたりしてもっと鬼畜でショッキングな終幕になるのだとばっかり…… 続編がなければたとえば物語要素の完全消失など(たとえば猫先生の記憶が誰にも残ってないとか)激しい喪失感を伴なうラストになっていたのかもしれませんね。
そういえば、素晴らしい男っぷりを発揮して急激にいいやつ化、物語終盤で株が↑↑急上昇したふぁきあとくらべると、みゅうとのキャラとしての弱さはちょっと惜しかったかも。心を取り戻したときにもうちょっと活躍してれば再び心を喪失した時の哀しみが際立ったのにと思います。人形王子に終始してしまった印象で、みゅうとよりむしろエデルさんのほうに感情移入して終わりというのはどうかな、という気もします。
非常に誠実に作られた作品だと思いますが、あまりに全てが理路整然と語られてしまってるがゆえ(ラストにおけるエデルさんの扱いはよくわからないけれど……)、爆発する部分もまた失われてしまったのかもしれません。
さまざまな意味において綺麗にまとまった作品でしょうか。
ナレーション@岸田今日子とドロッセルマイヤー氏@三谷昇の起用は大正解で、ふたりの好演が物語を引き締めていたような気がしますね。



【ANIME】 超重神グラヴィオン 第4話「塔の中の姫君」 (→公式)
でかい月だ…… そして、へぼいストーリーだ…… 幽霊の正体見たりなんとやら、というお話なんですが、合体ロボのメンバーあたらめて紹介するのってどうよ? とか思った。誰が乗ってるのかわかんないメカと合神って、戦ってて不安じゃないのか。しかも、今まで隠してた理由もわからない。これから最終話まで1話に1個ずつ必殺技使い捨てにしていくのだなあ……とちょっとだけ感慨も覚えた。今回の話は、隠れ主人公サンドマンさんが特に活躍しなかったので印象が薄いのかなあ。いや、やっぱりテキトー極まる脚本が…… 前回登場のちびメイドズ(+α)がいきなりシャワーシーン披露してたのは快楽原則に忠実すぎでちょっとだけ微笑んでみたけれど、これといってべつに興味もなかった。
【ANIME】 灰羽連盟 第3話「寺院 話師 パンケーキ」 (→公式)
奇妙な世界設定とか背景美術に助けられてる気もしないでもない。要所要所に心に留まるカット用意してるあたりは上手いけれど、比較的流すカットの構図なんかはずいぶんと単純なものになってしまって(真横ばっかり)、歩きながら会話するシーンなんかなんだかトゥルーラブストーリーやってるみたい。とほほ。FLASHで再現できそうなアニメであります。
制作自体はずいぶんハードなスケジュールみたいなんで、大変なんだなあ……とも思いますが、とくにクーが向こうから駆けてくるとこなんか、あからさまに駄目カットだ! と吃驚、ひさびさに見た。やんなきゃいいのに。
この回の見所は思うように羽動かせなくて顔赤らめるラッカでしょうか。可愛い。しかし、なんで子供って人参が食べられないのだろうか。

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