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勝田文「あのこにもらった音楽」
竹内元紀「Dr.リアンが診てあげる」 2巻
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霞流一「デッド・ロブスター」
高田崇史「試験に出ないパズル」
黒崎緑「しゃべくり探偵」
黒崎緑「しゃべくり探偵の四季」
novel さくいん

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第3期ギャラクシーエンジェル 第11話「病みつきクルミパイ」/ 第12話「天使のごった煮 味くらべ」
漫画における「物語性」に関する考察
行った:京フェス2002


 2002/11
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02/11/11(MON)

○「以下、身の上鵜呑みかい?」

 回文が苦しくなってきた……

・ おジャ魔女どれみドッカーン! 第40話 「どれみと魔女をやめた魔女」見ました。

 どれみの選択する未来を象徴するように繰り返し登場する五叉路カットを見て、横尾忠則が最近取り組んでる「Y字路シリーズ」を連想しました。ひょっとして、すこし前まで東京都現代美術館でやってた「森羅万象展」見てインスパイアされたのかも。標識とかの使い方もちょっとそんな感じです。

・ blog

Q: 問題は何を満たせばblogといっていいのかよく分からないということですが……。(ちびぼーどのしばたさん発言)

 日々更新されるあまたの個人ウェブサイトと大差ないものだと思いますが、cgi生成によってページ更新の労力が軽減されている → 新規参入者の負担が少ない、ページ読者のコメントが記事に並列されて表記される、という形式がポイントなのかなあという気がしています。ここらへんの見解はわかば日記@赤尾晃一氏の11/10における見解とほぼ同じ。後者がとくに重要なのでしょう。
 ただ、記事をクリックしないと寄せられてるコメントが読めないBloggerの形式よりは記事下にコメントがそのまま併記されるtDiaryの形式のほうが閲覧者参加型という思想をそのまま体現していて美しいと思います。ちびぼーど使った今の自分ページ形式も好きなんですが、こちらに移行してみるのもいいかな――と考えてます。

・ 「物語問題」に関する整理

 については、明日回しに。ちょっと考える時間がほしいので。そうなると、また回文を考えなければいけないのか…… そろそろキツくなってきた。

○【ANIME】 第3期ギャラクシーエンジェル 第11話「病みつきクルミパイ」/ 第12話「天使のごった煮 味くらべ」 (→公式

・ 第11話「病みつきクルミパイ」 →ストーリー紹介

 ネタのかぶりについてもっと気をはらってシリーズ構成してみるべきだとは思いますが、この話だけみれば別に悪い出来でもなかった。普通+くらいでしょうか。
 着ぐるみ着たら死んでしまう難病と診断された(虫眼鏡で)ミントたんの受難を描いたエピソードなんですが、エンジェル隊の面々がわかってやってるかどうかが気になる。さすがに知らなかったらしいけど、そうでなかったら自殺幇助だもんなあ…… 入院中のミントの異様なちびっこさ、またそれに見合わない(実年齢にも見合わない沢城みゆきのおばはんボイスが堪能できるお話でありました。 「はかない人生でしたわ!」 「あ、あ〜ん、でもでも〜」(じたばたじたばた) フォルテはんの電柱着ぐるみもたいへん気になる。人間とは思えない体型だ……

病室にいるミントたんは異様にちびっこいのぅ……

・ 第12話「天使のごった煮 味くらべ」 →ストーリー紹介

 ミス女兵士なるテキトーなイベントを巡って醜い足のひっぱりあいをするエンジェル隊の面々の姿を描いたエピソードで、まあわかりやすいですな…… ぱにょぱにょ化したシナリオで低年齢層をターゲットに狙う第3期ガラクシらしい展開のお話なのかもしれません。たとえば物陰から顔のぞかせて「うししし」ほくそえむ蘭花+フォルテの描写とか。わっかりやす――い! これも見返してみたら悪くない出来のお話で、普通+くらいでしょうか。しかし、オチについてはわかりにくいのかも(助けなければ任務失敗でミス女兵士には選ばれない、でも助けたら間違いなくエンジェル隊全員のウリを兼ね備えてるこの人がミスに選ばれるというはっぽうふさがり状況)。蘭花さんのケツとかミルフィーユの馬鹿唄とか 「生き地獄」 とかそれなりに見所あり。って、またヴァニラさんですか。最近、待遇がよい。

蘭花さんのケツ、その1。正直、最近のミントたんへのあつかいはひどすぎ(w
 「ぜんぜん、出てないよ――!!」 アイキャッチのショタコンビはもはや自虐の領域に。

02/11/12(TUE)

手抜きだな――「長いがな……」

 長くなった。しばたさんの日記で話題にされた「昔の漫画は物語性が強くて熱中できたが、今の作品は物語性が薄い」と考えている人についての問題。

 まず考えなければいけないことは、その人が「漫画をずっと継続して読んできた上でそのような結論を下している人」なのか、「昔は読んでいたけれど、最近そうでもなくて、たまに目を通してはああ駄目だ、と感じた人」なのか、という問題で、前者の場合はカタルに値する問題になるけれど、後者の場合はその人の興味が別に移っただけ、という気もします。
 これは漫画に限らないことで、かつて熱中してたことをある程度のスパン置いて再びはじめた場合に感じる違和感の原因を対象に求めてしまうことはよくあることだと思います。熱中できないことのエクスキューズを漫画自体に求めてしまい、物語性が薄いから熱中できないのだ、と結論づけてしまうわけです。これは時代によって主流の移り変わる漫画/小説/音楽/映画などのジャンルにおいてとくに顕著な傾向なのではないでしょうか。
 そもそも、その人が昔夢中になって読んだ作品を今再読したとして当時と同じ熱狂を得ることができるのか? という問題もあります。作品を記憶に甦らせる時、「面白かった」という感情までも同時に再現させてしまう。そして作品の詳しい内容については次第に記憶が次第に失われていき、反復の結果として残るのはただ「面白かった」という感情の記憶だけ、というのもよくあるケースだと思います。
 過去のある時点と現在とにおいて漫画における物語性の強度比較をするならば、過去と現在、両者の基準となる時点からそれぞれ1年分ずつくらいの漫画を用意して読み比べた上で結論を出さなければきちんとした答えは得られない気がします。人間の記憶はそれほどまでにあてになりません。

 ここで、「物語問題」に関する整理に書かれた事柄に対する僕自身の回答へと移行。ここからは箇条書きにてざっと書く。(時間がないから)

▼前提部分に関する考察

・ 問題になったケースの場合「エンタテインメント性」と同義なのだろうと推測するが、ドラマツルギーがきちんと成立している、万人の納得するストーリー展開が繰りひろげられる、あたりでもいいような気がする。

▼最近の漫画は本当に物語性が薄いのか

・ 前述したように、かつて熱中して読んだ名作は記憶の中で確実に美化されている。また、ノスタルジーを完全に切り離した上で作品を評価するのはたいへんに難しい作業である。
・ 全体的なレベルの問題についても同じく。過去の漫画の場合、現在でも復刻版もしくは文庫化されて入手可能な名作が比較の対象になるケースが多いはず。たとえば唐沢俊一がネタとしてとりあげているような(好美のぼるとか)現在、ある意味面白くなってる駄作漫画も山ほどあったはず。
・ しかし、全体を平均してみれば物語性(=エンタテインメント性でも可)は薄くなっている。それは、単純なエンタテインメントという面だけでは捉えられない種類の作品が商売として成立するような市場が形成されたからである。これは萌え漫画に限らず、猫・犬・文鳥などのペット漫画、女の問題提起漫画、主婦の公園デビュー漫画、アンソロジー漫画(しかもパロディ4コマとか)などなど。

▼本当に「最近の漫画は物語性が薄い」と認めた場合における考察

・ これは漫画に特有の現象ではなく、個人的な作業で制作可能なジャンル全てに起こる現象である。こけたらえらいことになる大資本映画などではなかなか起こらない(まず企画が通らないから)。自主映画、自主アニメならある。
・ 小説の場合は遠い昔に同じ事が起こった。

▼「物語性が薄い」と確定した場合のリアクション

・ それはあくまで平均上のことなのでさして問題はない。コンビニ置きなどによって、各種サプリメントや機能性食品の市場は拡大したが、それをもって「最近の食品は味気なくなっている」とは呼ばないのと同じ事であろう。
・ ただ、漫画が個人的な作業という弊害もあって、物語のパワーは衰えていないのに絵柄の古さで受け入れられなくなってしまうというケースも存在すると思う。集団作業である映画、アニメなどの場合若い感性を導入させることが可能なので歳いってもなんとかなるケースもある。たとえば「キングゲイナー」なんか、物語だけをとってみれば江戸時代舞台にしても成立しそうなお話で、上納金の辛さに集団で夜逃げしたコミュニティが地回りヤクザの追っ手に付け回される話に変換可能。最近は妹を傷物にされた兄がでしゃばってきて、忍者まで登場した(w

以下、オマケ。

▼「最近の漫画でも物語性の強いものは昔と同じくらいある」と仮定した場合における、「薄まった」と感じる人が多くなっている理由

○ その人が今の漫画についていけていない。読解力、感性の不足。
○ 単純にその人が漫画を読んでいなくてイメージだけでモノをいっている。
× 物語パターンが消費され尽くし、読者が慣れた。
? 生半可なフィクションを凌駕する現実。
○ 受け手の感受性の変化。
? 想像力の減退。
○ 嗜好の多様化による、特定の個人に対する作品のヒット率の低下。
△ 雑誌数の増加による有力作品の分散。
○ 出版点数の増加により個々人が漫画をカバーしきれなくなった。
○ 他の娯楽の充実による漫画の相対的な地位低下。
× 漫画が高度化したことで間口が狭くなった。
○ 「物語性の強い漫画が減った」のではなく「物語性の薄い漫画が増えた」。

▼「本当に物語性の強い漫画が減っている」と仮定した場合における、その原因として考えられるもの

○ 「物語」以外の部分で勝負する作品が増えた。またそれを受け容れる土壌が成立した。
? 実際に作品レベルが落ちている。
○ 作り手の感受性の変化。
? 漫画家育成力の低下。
? 誰にでも分かりやすい作品が減った。
? 目につきやすい特定ジャンルの衰退→物語を語るフィールドが少年誌から青年誌へと推移?
△ ジャンルの細分化により、個々の作品における内容の幅が狭くなった。
? 作画技術に対する要求のハイレベル化→物語に割く時間の現象。
? 作画の精密化に伴う情報量の増加→ついていけない読者が増加。
○ 作品の長大化。話数、単行本巻数が増加した分、一話一話の内容が薄まっている。
? 社会の変化。フィクションとの対応の複雑化。

■book【単行本・小説】 霞流一「デッド・ロブスター」 角川書店  [bk1][amazon]

霞流一「デッド・ロブスター」  紅門福助シリーズ最新刊。タイトル見ておわかりのように、今回は海老尽くし。

 劇団「建光新団」のメンバーたちのもと、木彫りの恵比寿えび様が送りつけられてきた。差出人は先頃死亡した劇団主演男優の神山だった。深夜、小学校のプールで全裸という格好で溺死した神山の死には謎が多かった。そして、コンクリートを流し込んだばかりの工事現場中央に置かれた、まるで逆エビ固めをかけられたように背骨を折られた死体が………

 足跡のない殺人、見立て、アリバイトリック、奇怪な凶器、そして論理的な犯人当てなど、こんながちゃがちゃした話が本格要素満たしてるというのはたいへん意外で驚きました。もっとも、この人の作品はそんなのばっかしで、確かにそういわれてみれば消去法なりなんなりで犯人限定できるけど、そんなトリックは使わないだろう…… とか、そんなヘンな人はいないだろう…… とか思ってしまいます。探偵や登場人物たちの興味が殺人事件そのものにはなく、もっぱらテーマとなる動物(今回は「エビ」)に強引に向かされてしまってるのも奇妙なところ。 「エビとカメルーンは関係が深いんですよ」 「エビとカルメンは関係あるのか?」 など、執拗に繰り返されるエビ談義は読んでて脱力でありました。

 そもそもミステリというジャンルからして小説としてかなり歪められたもので、見立て連続殺人を扱ったこの作品なんぞはその最たるものだと思うのですが、ただでさえ奇怪な事件を扱ったストーリー展開のほとんどがさして根拠もないエビ探しで埋められている。なぜ、こんなものを書くのでしょうか? たいへん不思議です。

02/11/13(WED)

○「blog old」(反則)

・ blog問題まとめ (blog★ブロッグ@ネットwatch板) 

 blogの件はまあ、上記スレなり、そこかしこで言いつくされてしまった感があるのですが(しいてあげれば→BlackAsh 11/13)、「ひょっとして一般の人が見てるインターネットと僕の見てるインターネットもちがうんじゃないの?」と怖いことに気づいてしまいました。m.e.s.h.―メディア環境学研究室の人たちのネットに対する感覚のほうが、一般の人の感覚に近いわけで、やっぱり自分は未開の地に暮らすネット原住民なんじゃないかなあという気はしてきました。いるけれど、いないものにされそう。アメリカ大陸発見! みたいな。前からずっとあったよ。
 しかし、意外だったのは、ハイパーメディア文化史の研究者である武邑光裕氏に師事してメディア環境学を学んでいる人たち(→メンバープロフィール)のほとんどが自身のWebサイトを持っていないという事実でした。そんなものなのか……

■book【単行本・漫画】 勝田文「あのこにもらった音楽」 白泉社  [bk1][amazon]

勝田文「あのこにもらった音楽」  勝田文(かつた ぶん)初コミックス。たいへん素晴らしいなごみ漫画であります。

  18才の少女、その名も梅子は幼くして母親と死別、今では母の幼馴染だった梅木旅館(ちなみにここで生まれたからこの名前、安直)に引き取られ、実の家族同然にすこやかに育つ。旅館のひとり息子、軽〜い性格の蔵之介は32にもなってふらふらと近くの音大でピアノの非常勤講師したり、離れでほそほそと音楽教室開いたりしてお気楽に暮らす。
 そんなある日、今までずっと音信普通だったドイツ人の父親が梅子の前に姿をあらわして……

 都心からずっと離れた片田舎、梅の畑に囲まれて建つ梅木旅館を舞台におくる花鳥風月音楽ストーリーで、絵柄もお話もほんぼのとしていて読んでいてたいへん心が和みます。いい感じだ。初の単行本ということで、最初のほう、ものすごくちまちましてるコマ割りが最後のほうではだんだん大ゴマ使えるようになっていったりして漫画家としての成長がうかがえるあたりも楽しい作品であります。登場人物たちはほとんど全員可愛らしい性格なのだけれど、蔵之介のこだわりの無さは逆にすごくて、そんなだからエマがあんなふうに歪んじゃったんじゃないの? と思ったりします。彼女くらいが普通というか。廉太君は便利だね(w
 なかなかよろしいのではないでしょうか。

■book【単行本・小説】 高田崇史「試験に出ないパズル」 講談社ノベルス  [bk1][amazon]

高田崇史「試験に出ないパズル」  スラリ・サラリ・パサリの天才高校生である千葉千波くん、そして物語の語り手である八丁堀(ぴいくん)、その友人の慎之介の3人が日常空間に幻出した不条理な論理パズル的状況を解き明かしたり解き明かさなかったりするシュール短編集。《9月》「山羊・海苔・私」からはじまって《1月》「もういくつ寝ると神頼み」までの短編5作に加え、有栖川有栖の手による巻末解説「火のないところでパズルを燃やせ」を収録した「試験に出るパズル」(→感想)の続編であります。

 最近作になればなるほど、シュールさ加減に磨きがかかっていて、たとえば「山羊・海苔・私」(2002/09)においては、古典的な川渡しパズル(→こういうの)を無理矢理に物語の中に出現させてみたりします。
 つまり、「あなたと二人きりでボートに乗ってるところ見られたら誤解されちゃうじゃないの!」だの、「待ってる間、ワンちゃんがいたらイヤ」だの、「オールなんて握ったら手が荒れちゃうから1回しか漕がない」だの、文句をつけまくる人間が出てきて、しかも2人乗りのボートが1艘とくる。たいがいにしろ!
 そこまでして全員川を渡る必要がある気もしないし、ちょっと遠くても橋を使ったほうがいいのではないだろうか……(そもそも、いちばん近い橋まで1km以上ある状況なんてあるのだろうか? ちなみに柴又帝釈天近く)しかし、そんな阿呆な状況を強引にやってしまうところにこのシリーズのすさまじさがあると思います。
 さんまのスーパーからくりTVご長寿早押しクイズみたいに勝手なことをほざきまくるお達者老人たちの名字と名前を一致させたりする(老人たちは仲間の名前を絶対に言い間違える。 「それは面妖な!」 「あなたが信じようが、信じまいが、事実です」 そうなのか)「もういくつ寝ると神頼み」、連絡員の女性が持ってきた本の内容が麻薬の買い手を示す暗号になっているという「クイーン犯罪実験室」収録の短編、「国会図書館の秘密」と同じ状況がそのままおこる書き下ろし「八丁堀図書館の秘密」(そのまんまか)と、異様なお話ばかりで非常に楽しめます。
 収録作の中でちょっと毛色のちがった「粉雪はドルチェのように」は、最初期の作品らしく普通にリリカルで心暖まるお話だったりするのですが、小説としてはやっぱりヘンテコで、クリスマスの聖歌隊に参加する小学生男子女子の自己紹介が24人、「○×△子です!」みたいな調子でえんえんと続きます。読んでいてのけぞりました。

 ミステリかといえば、首を捻ってしまいますし、言うなれば「パズラー」という言葉の意味を完全に誤解して書いたような小説でしょうか。論理的に謎が解ける小説ではなくて、論理パズルをそのまま小説化したもの。前者と後者が似て非なるものであることは読めばわかると思います。なんなのでしょうね、これは……

02/11/14(THU)

■book【単行本・漫画】 竹内元紀「Dr.リアンが診てあげる」 2巻 角川書店  [bk1][amazon]

竹内元紀「Dr.リアンが診てあげる」 2巻  ひょっとすると、0.7下ネタ/コマ(!)くらいあるのではなかろうか?
 この2巻だけで確実に500下ネタはクリアしているはず。ギネスクラスだ! いったいどんな漫画だYO!

 とりあえず下ネタとくだらない展開以外はまったくないので「物語性」という観点でいえば瞬間却下であることはまちがいない。ストーリーがないから書くこともない。とりあえず1巻感想でも読んでみてください。ストーリーの進展とかそういうものはまったくなくて、ここにあるのは下ネタばかり。
 しいてあげるならば…… ロリ(ニセ)女医が怪しげでいやらしげなインチキ治療をしにくるという連載当初の設定がまるごと忘却の彼方に旅立たれてしまったため、主役でありながら影薄いどころか省略までされてしまうという憐憫キャラにDr.リアンが落ちぶれ果てたあたりでしょうか。だって、エロ要員としてまったく用無しなんだもん。自らの存在証明として脱いで悶える岡崎&もみじの汚れコンビと、しれっとした表情でととんでもないボケをかます直人くんが大活躍しますが、肝心のリアンと師匠は…… ふと考えてみるに、同級生キャラ岡崎のほかに増えたキャラがよりによってくのいち、というのはたいへん不思議で、ひょっとしてこれは作者の性癖? マ、マニアック〜 ところで、たいへん読むのに時間がかかる本で(下ネタばかりだから)で、これはきっとG=ヒコロウクラス。

02/11/15(FRI)

■book【単行本・小説】 黒崎緑「しゃべくり探偵」 創元推理文庫  [bk1][amazon]

黒崎緑「しゃべくり探偵」  ひさしぶりに読み返してみたけれど、やはり面白い。傑作だと思います。

 極東の国にはこんなものがあるんですよ……と、ベイカー街221b訪ねるような生粋のシャーロキアン諸兄に教えてさしあげたいホームズパロディの極北。東だったり、北だったり。「ボケ・ホームズとツッコミ・ワトソンの冒険」とあるように、大阪は東淀川大学の貧乏学生、和戸(わと)と保住(ほすみ)のふたりが漫才形式にて繰りひろげるホームズものっぽい展開の日常ミステリ連作であります。

 英文学専攻の守屋(もりや)教授のゼミ旅行でイギリスに旅立つことになった和戸君が遭遇するさまざまな事件の真相を安楽椅子ならぬ自分の下宿でうだうだしてる保住君が見事に解き明かすという内容で、旅費調達のために紹介された払いが良すぎる奇妙なバイトを巡る「番犬騒動」、メンバーのひとりが買った高価な書籍の紛失を巡る「洋書騒動」、留学中の英文学部女講師が刺殺されたいわゆるダイイング・メッセージもの「煙草騒動」、無事帰国した和戸にふりかかるドッペルゲンガー事件を扱った「分身騒動」の4部構成になっています。前述したように一種の安楽椅子探偵ものになっているのですが、「番犬騒動」ではオーソドックス(?)な漫才形式、「洋書騒動」では渡英中の和戸の日記から真相を見破るという構成、国際電話を使って事件のあらましを伝える「煙草騒動」では料金勿体無いから早口になってたりして(w そして、ラストを飾る「分身騒動」では同じく自分のドッペルゲンガーがあらわれた同行メンバーの証言から真相を推理するというように、1編1編その語り口に趣向を凝らしてあるあたりもたいへん楽しいです。

 気軽に手が出せてとても楽しいミステリ作品でこれは本当にオススメです。じつは続編「しゃべくり探偵の四季」文庫化と同時に5刷が出たらしく、地味にロングセラーだったりするので、けっこう嬉しい。

■book【単行本・小説】 黒崎緑「しゃべくり探偵の四季」 創元推理文庫  [bk1][amazon]

黒崎緑「しゃべくり探偵の四季」  その続編。

 ワトソン役である和戸のイギリス旅行を巡る4つのエピソードで構成されていた前作「しゃべくり探偵」とはちがい、ばらばらの媒体に発表された短編に書き下ろしを加えて1冊にまとめた作品集となっています。「騒々しい幽霊」、「奇妙なロック歌手」、「海の誘い」、「高原の輝き」、「注文の多い理髪店」、「戸惑う婚約者」、「怪しいアルバイト」の7編を収録。
 シリーズのホームズ役を務める保住があちこちに自ら足を運んで得意の名推理を披露するという構成になっているせいか、前作においてほぼ出ずっぱりだった和戸君は今回あまり登場しません。そこらへんがちょっと寂しいかも。また、保住が金髪だった(染め直すのが面倒なのかだんだん黒くなっていくんですが)のも驚きでした。そんな頭をしてたのか……

 個人的に気に入ったのは、保住君すら物語に直接登場しない異色のエピソードである第5話「注文の多い理髪店」、保住、和戸のふたりが学園祭で怪しさ爆発の模擬店を開く第6話「戸惑う婚約者」の2編。
「注文の多い理髪店」は、保住から聞いたというヤクザ幹部殺害事件にまつわる推理を、散髪屋の大将が客としてやってきた刑事に漫才口調でひとり語りするという落語のようなエピソードで、しかも端正なパズラーとして仕上がっているので再び驚愕。これはなかなかすごいです。中学生料金で10年間も髪を切りにやってくる保住もものすごいと思いましたが(w 学園祭に「ギリシア式棺占い」なる意味不明な模擬店を出した和戸・保住のふたりが占いというか人生相談というか真相推理をして、相談者というか依頼人の兄の奇妙な行動の裏に潜む謎を解き明かして御代を500円いただくという話「戸惑う婚約者」は、いかにもインチキくさい格好でわけのわからないまま相談者(依頼人)の応対をする和戸君(彼はなぜか君づけしたくなる)がよかったかな。

 ほかの作品もなかなかよかったのですが、「保住君の夏の思い出」と銘打たれた「海の誘い」と「高原の輝き」はぜんぜん漫才っぽくないので逆に戸惑いました。だって、保住が標準語使って犯人追いつめたりするんですよ…… オーソドックスにいい出来なお話なんですが、やはり違和感があるかも。普通のミステリだからかな。

 すぐ読めてとても楽しい。こちらもたいへんオススメです。
 しかし、いしいひさいちの各話タイトル漫画がないのはちょっと、いや、かなり寂しい。本当にぴったりだったのに。

02/11/16(SAT) 〜 02/11/19(TUE)

○「よいな……見ないよ 」

 諸般の事情から一睡もしないまま京都に出かけたら疲れた。比較的死ぬかと思った。とはいうものの1限目の「日本SF新人賞受賞者鼎談」は遅刻して聴く事ができなかった。その後合宿会場でお見かけした井上剛さんはマッシュルームな見かけの方で驚いた。妻子もちで趣味のバンド歴長し、なるほど。という印象。 2限目「アブノーマルSFの世界」の前に会場に到着。仮想愛玩用人造美人専門誌 i-doloid 編集長の河村親弘氏をお迎えして、大森望氏を聞き役に、イアン・ワトソン「オルガスマシン」、柾悟郎「シャドウ・オーキッド」がコアマガジン社から出るに至った経緯を伺うという企画だったんですが、柾悟郎についてのトピックはほとんど出なかったな(w 河村親弘さんはいかにも白夜→コアマガジンというノリの人で(勝手なイメージですが)、話としてはとても面白かったんですが、結構アバウトでも本は出るんだ――みたいなイアン・ワトソンへの原稿依頼話よりは、i-doloid誌の人気企画らしい「ラブドールと行く廃線探訪」のほうがSFだと思いました。「21世紀の快楽リニアモーションホール」ってのもすごい。(→「オルガスマシン」表紙の人形造形担当した荒木元太郎氏仕事) 3限目「明智抄インタビュー」は…… あとがき漫画における明智抄と御本人のお姿があまりに一致していて驚いた。インタビューの内容についてもなかなか興味深かったが、明智抄をずっと追いかけてるコアなファン以外にはなにがなにやらだったかもしれません。ちなみに僕は明智抄作品の半分くらいしか読んでない人間で、行きの新幹線の中で「死神の惑星」再読して「砂漠に吹く風」読んでからのぞんだのですがそれでもシリーズ間の関連についてわからない部分あったからなあ。読んでない人間に明智抄の魅力を伝えるというのを前提に、ときおり深い質問も交えるという構成のほうがよかったような気がします。SF好きな人が漫画を読むときにもSF漫画読んで、しかも明智抄に手を出すかというと、そうでもない気もしますし。もちろん、ネタバレなしでやるには難しいというのは理解できるのですが、実質ほとんどの作品絶版だから予習するのも大変だ、という感じですし…… 誰も知らないことを前提に話が進められていた4限「非英語圏SFの現在」はなかなか興味深い内容で、この時点で相当睡魔に襲われていたわけですが、それでも眠らなかったのだから、やはり面白かったのだと思います。司会を担当した高野史緒さんの進行にたいへんそつがなかったのもよかったかな。
 合宿企画前にご飯。この頃かなりおかしくなっていて、立地的にくわしそうならじさんに先導されてカレー食べに行ったら「スパイス!」とか思ったこと全部口に出ていて自分でも驚いた、けど、いろいろ麻痺してるのでとめる気もない。眼鏡のレンズ片方なくした? とドキドキしたりコンビニ寄ってカフェインドリンクと栄養ドリンク買って合宿会場でいきなり飲んだり飲み残しのドリンクをコンビニで買い物した袋の中にぶちまけて怒られたりした。多少回復したような気が。
 合宿1限目「ジェンダーSF研の部屋」。割り当てられた寝部屋がここなのだが、企画が終わらないと寝られないということか…… 「ΑΩ」が第一回Sense of Gender賞にノミネートされたのを不思議に思った小林泰三氏が「ジェンダーってなに?」みたいなこと質問しにきてて、なんか入門編みたいな展開になってよかった…… と思ってたらやおいとかの話に移行して男女間ではいろいろちがうのね―――みたいなことを再確認した。なんだっけ、攻めと受けが反転するのを称して「リバ」というのをはじめて知った。なるほど。しかし、話が濃かったのでドリンク剤の効果がもはや途中で切れて襖の前に退避してぐったりする。いただいたお菓子を食べる元気すらなかった。短い効果であった。足して600円ではこんなものか。 合宿2限目「漫画の部屋」。なんとなく行かなきゃいけないような気がしたが、もはや眠くて眠くて…… 代表の方に断って後ろのほうで寝ながら参加した。代表の方があまり自信がなさそうに進行していたので何かあったら助け舟出そうかと思ってたら京都の丸善かどこかでコミック部門の仕入れ担当してる方など参加者の方々が充分以上に濃かったので安心して寝る。 その後、「もう1つの『玩具修理者』〜アジマリカム公演ビデオ」+「『奇跡の詩人』論評」にやってきた小林泰三氏に「あ、寝てる人がいる」と言われながらも寝る。劇団版「玩具修理者」はうつらうつらしながら部屋の後ろからみて、「奇跡の詩人」になったら起き出した。いやあ、奇跡の詩人はすごいなあ。よくこんなの真顔で放送したなあ。これみたら、こういうこと書きたくなるのもわかるなあ。でも、きっとコアなSFファンの人々より、日木流奈に癒されたりしちゃってる人の数のほうがきっとずっと多いよね…… たしかにホラーだなあ、と思いました。あまりの衝撃に元気になったので(w 河岸変えて(部屋移動して)「ライトノベルの部屋」に。野尻&小林のファーストコンタクトシミュレーション行くのも楽しそうだったのですが、脳働かない状態でいってもしかたないかなあと思って別のところにしました。ライトノベルなのかヤングアダルトなのか。三村美衣氏が中心となって語っていたから「ほう……なるほど……」と聞くしかなかった。そして企画終了と同時に布団勝手にしいて死亡。4時間気絶。
 起床、大広間でちょっと話して、軽いエンディング → からふね屋という喫茶チェーンで朝ご飯だけど、いつもの10倍くらい客がいるから(たぶん)ぜんぜんこない。だらだら話す。せっかくなので京都観光で高いところ上って降りてつ、疲れる。しかし、あんな真紅の紅葉ははじめて見たのでそれはよかったような。いろいろ駆け足で観光終了。新幹線乗り込んで、通り道なのでついでに実家に寄ってダウン。翌日の月曜日は全身筋肉痛だった。まだ身体は重いけど。本も読めなくてジル・マゴーン(訳:高橋なお子)「踊り子の死」読んだだけ。正直に書いてしまうと面白いのかどうかよくわからなかった。

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