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02/12/01(SUN)
「威嚇・道路・朗読会」
「一人の男が飛行機から飛び降りる」[bk1][amazon]、「セックスの哀しみ」[bk1][amazon]の超短編作家、バリー・ユアグロー氏(→公式サイト)の朗読会+トークショーに出かけてきました。場所は青山ブックセンター、ユアグロー作品の翻訳を手がけている柴田元幸氏がゲストでした。
たいへんきちんとしたイベントで、内容は濃かったです。感情込めて自作を朗読するユアグロー氏の姿はまさに「リーディング」というよりは「パフォーマンス」で、「や、役者やな――」と思いました。これで自分にもうちょっと英語力があれば…… 同じく、今度は自分の翻訳を朗読する柴田元幸氏の姿にも人柄がうかがえるようで、見ていてたいへん心がなごみました。なぜかしりませんが日米朗読合戦みたいな企画になってましたね。
奥さんといっしょに来日中のユアグロー氏は日本の食文化を堪能されてる御様子で 「イザカヤ…… ロバタ……」 とか言ってました。偏ってるような気もしないでもないけど、美味しければいいのかな。ガタイがでかくて精力的、男性ホルモン分泌盛んでそのかわりおでこのあたりが少々寂しい印象の方で、篠有紀子「花きゃべつひよこまめ」の熊井さんにめちゃめちゃ似てるんですが、マイナーすぎる形容でしょうか? 魅力的な人でした。
「芭蕉+チャンドラー+ディズニーで面白いものができるのではないかと考えた」、「鈴木清純、深作など、日本のヤクザ映画も好き」、「北野武の大ファン」、「どんなドラッグをやってるんだ? と作品を読んだ人間から聞かれた」、「ハリー・ポッターって知ってるか? とエージェントに言われて子供向けの作品をはじめて書いてみた」などなど、興味深い話をたくさん聴くことができた。 「探偵小説と夢には共通点があって、とにかく物語がどんどん進んでいく」 というのは最初意味がわかりませんでした。わけのわからない状況に主人公がどんどん取り込まれていくということをあらわしてるのだと思いますが……(いまいち確信が持てません) 理解できないのは自分にチャンドラーはじめとするハードボイルド小説の素養に欠けているのが原因なわけで、やはり読んだほうがよさそうだな、と感じました。
ユアグロー氏の次回作は「Haunted Traveller」で邦題は「憑かれた旅人」の予定。柴田氏による翻訳はほとんど終わってるみたいなので、そのうち出るのではないでしょうか。楽しみ楽しみ。
吃驚することの多かったイベントでたいへん満足しましたが、いちばん驚いたのは「浅暮さん、好きそうだな…… ひょっとしたら、来るかもな…… 質問とか、するかもな……」と思いながら、横見たら本物がいて、本当に質問してたことでした。「ナイスクエスチョン!」って、ユアグロー氏に言われてた。予想があまりにぴったり的中したので、ちょっと感動しました。
そのあと浅暮さんとちょっとお茶を飲んで帰った。酒飲んでない浅暮さんとお話したのははじめての気がします。今後の予定とかもいろいろ伺ったのですが、ここに書いていい話かどうか不明なので保留。
【ANIME】 オーバーマン キングゲイナー 第12話「巨大列石の攻防」 (→公式)
そうか、エクソダスの道程ももう半分来ていて、今は中国あたりなのだな…… 地表が雪に覆われてるせいか、進度が想像できなかった。ヤーパン到着後のビジョン(大規模農業経営と販売ルートの確立)を語るサラ。どうやらキングゲイナーは農業機械として用いられる予定らしい。 ガ━━Σ(゚Д゚;)━━ン! 俺って農奴? とショックを受けるゲイナー君でありましたが、やっぱこの子はパシリが似合ってるなあ…… そうこうしてるうち、ストーンへンジみたいな巨大遺跡に遭遇して、案の定セントレーガンのゴレーム2体駆って登場したアスハム+ザッキなんすが、敵も味方も好き放題してるうちになんか、すごいのが登場したYO! 「怪物か恐竜にしか見えないものだ!」 そのとおりだ! 自立式巨大オーバーマンって、そりゃ怪獣ですがな。急激に特撮映画化してみました。重力操るとかで巨石がんがん飛ばすんですが、全員プチッ! とか潰されてもおかしくないような恐ろしい状況であります…… 「あたしがいっしょにいてあげるんだから、言うこと聞きなさい!」 サラさんがオーバーマンと会話まではじめて、さて、どうなることやら…… アスハムさんまでやってきて、ゲイナー君はやきもき、という引きでしょうか? しかし、ヤーパン忍法、1話でその存在が忘れ去られましたね。
敵も味方もそれぞれの思惑でばたばた動いてて、まるで噛み合ってないところが、なんだか面白いです。好きだなあ。謎の提示、という印象の回でしたね。 「……の、ようなもの」 ゲイナー君は細かいなあ。もっと、おおらかにいこうぜ!

02/12/02(MON)
【ANIME】 第3期ギャラクシーエンジェル 第17話「野望貧乏棒々鶏」/ 第18話「数珠つなぎ手打ちそばつなぎなし」 (→公式)
・ 第17話「野望貧乏棒々鶏」 →ストーリー紹介
なんというのか、ストーリーの前提と展開が完全に乖離したいかにもガラクシらしいお話。全編にわたって完全に無視されるノーマッドの存在がポイントか。こんなしょうもない話のゲストキャラとしてDr.マック@井上和彦、Dr.マッコイ@千葉繁の2大ベテランを用意するその無意味さもこの作品っぽい。ツチノコ原人@青野武やマンボウモドキ@井上喜久子みたく、心底無駄に矢鱈豪華つーか。
政府と軍部が(慰安旅行の行き先巡って)大喧嘩。支援物資の供給を絶たれたエンジェル隊は困窮を極め、生活費を稼ぐためヴァニラは雪降る街角で露店を開く。しかし、店に並ぶのはわけわからないものばかりで売れるはずもなく、凍えたヴァニラはひとりの老人の前で倒れてしまう。 「どうせあたしらゴキブリだもん……」 (日曜朝っぱらから、またヘヴィーな……) ほんのわずかな食料でかろうじて飢えを凌いでいるフォルテ&蘭花&ミントの前に特大ケーキを焼いたミルフィーユがあらわれる。聞けば、昨日から美味しいバイトをはじめたという。仲間に銃突きつけて(w 紹介をせまる3人だったが……
皮肉な運命から別離したふたりの兄弟。50年の時を経て、その運命の糸は再びもつれ、絡み始めた……… みたいな内容といえなくもないけれど、それがこんな形になるのがガラクシらしいところ。クラシックの静謐な調べにのせて、生き別れのマッドサイエンティスト兄弟が再会を果たすというストーリーのはずがなぜこんな展開に…… 「ニラ、美味しゅうございました」


ふと思ったけど、ヴァニラのナノマシンは風邪で機能しなかったのだろうか……(意味ないなあ)
・ 第18話「数珠つなぎ手打ちそばつなぎなし」 →ストーリー紹介
シャッフルネタはひかえなされ、と先週書いたような気が…… しかし、これは傑作でしょう。ハッピーされどシュールでわけわからん導入部からさらに展開して限りなく狂気にドライブしていくこの呼吸がガラクシの醍醐味。
ストーリー説明は、いるのかな…… 全員連れだってピクニックに出かけたエンジェル隊(仕事は?)。なぜか数珠繋ぎになって崖からぶら下がっている。転がった「何かの丸焼き」を追って崖から足を滑らせたミルフィーユを助けるべく全員が手を差し延べたせいでそうなってしまったのだ。
強引な責任転嫁、醜い罵り合い、無意味な回想、意味不明な台詞などなど、シュールかつ人としてまちがった(……)展開がポジション的ヒエラルキーに従ってえんえんと続き、やがて臨界点突破! 大爆発! という異常なお話でありました。脚本担当はガラクシ初参加のときたひろこ、絵コンテ・演出がガラクシベテランの荒木哲郎という組合せで、やっぱし荒木コンテは素晴らしいね…… 「1、2、3、ダ――ッ!!」 という蘭花さんの掛け声からはじまる目眩く怒涛の爆裂展開、これは実況参加したかったなあ……



まあ、フォルテの姐御が何気にいちばんすごいわけですが……
挿入歌「Happy Holiday」はドラマCD「飛び込んできたTWIN・STAR」
[amazon]収録。ものすごく萌える楽曲なんですが、ヴォーカル曲はこれしか入ってないエンジェル隊ミーツショタコンビ(設定は微妙に違うけど)ドラマCD買うのはちょっと勇気いるかも。しかし、各キャラのヴォーカルソング聴いた上で見るのとそうでないのではガラクシの味わいはぜんぜん変わるような気がするんで(とくにミルフィーユとか)、ヴォーカル曲コレクションである「ギャラクシーエンジェルde SHOUT!」[amazon] 聴いてみるのもまた良いものかと思われます。
02/12/03(TUE)
【単行本・漫画】 羽生生純「サブリーズ」 エンターブレイン [bk1][amazon]
羽生生純3連フィーバーのうちの1冊。1995年〜1996年にコミックビーム連載された作品でいきなり単行本としてまとまった。この人の描くものにはやはり凄みがあるな……
3人のスタッフによって運営される地方紙「サブリーズ」。メインに取り扱うネタは超常現象で、彼らは全国を飛び回って、「不自然現象」を取材していく。
70過ぎたら成長が止まらなくなるという、人里離れた寒村の女たちに伝わる血の呪いとそれにまつわる忌まわしき風習を扱った第1話「コツのお穴入り」(前・後編)は、「楢山節行」を怪獣映画化したようなスペクタクル巨編で、「こんなものを描くのは羽生生純だけだろう」と思うし、このまま超常現象活劇を続けるのか、と思えば、「現実改変オアダイ!」という自己破滅願望の塊編集長の内面そして彼ら3人のパトロンとなっている狂った金持ち夫婦の実存に迫る内容にスライドしていったりする。また、編集長以外の2人もそれぞれの内面に何かを抱えていて、「サブリーズ」サイエンススタッフである紅一点、土満座百合メインエピソードである第6話「私はそのとき金色に光るものを」における、退路を断ちながら獲物を少しづつ追いつめていくような厭展開はこの作品白眉といえるかもしれません。ラストの処理など、たいへんこの人っぽい。
登場人物たちそれぞれの内面描写が日本を揺るがすスペクタクル活劇に転化されるあたりの呼吸など、じつは黒田硫黄「大日本天狗党絵詞」[bk1][amazon]にも匹敵する傑作ではないかと個人的には考えています。たいへんにオススメ。
【単行本・小説】 G・K・チェスタトン(訳:西崎憲)「四人の申し分なき重罪人」 [bk1][amazon]
えらく時間かかったけど、やっと読めた。しかし、完全に理解できたかどうかは自信がありません。
チェスタトンのほとんど最晩年に位置する小説作品で、「詩人と狂人たち」とブラウン神父シリーズ第5短編集である「ブラウン神父の醜聞」の間に出版された中篇集で、「穏和な殺人者」、「頼もしい藪医者」、「不注意な泥棒」、「忠義な反逆者」の4作品を収録。
新聞記者ピニオン氏に<誤解された男のクラブ>会員たちが自らの奇妙な体験を語るという構成のこの作品は、ブラウン神父シリーズにおける逆説的な論理展開を増幅、拡大したような4つの物語によって構成されています。
エジプト近隣の小国に就任したばかりの総督が狙撃された事件の真相を巡るホワイダニット「穏和な殺人者」、奇怪としか形容ができない1本の樹木をこよなく愛する芸術家と担当医の物語「頼もしい藪医者」、不手際な盗みを繰り返す大実業家の息子の心理を描く「不注意な泥棒」、極限まで抽象化された小国の支配者サイドと反政府勢力サイドの奇妙な物語「忠義な反逆者」、収録された物語のすべては奇妙なパラドックスに彩られたもので、なんとも不思議な読後感が味わえます。これ読むとあの馬鹿馬鹿しいトリックのおかげでブラウン神父シリーズがわかりやすいものに仕上がってたことがわかりますね。第4話「忠義な反逆者」なんか、あまりに抽象的で判然としない展開が続くので読むのに4日くらいかかった(w
巽昌章による巻末解説「チェスタトンと魔法の庭」は非常に秀逸な内容で、チェスタトン作品が人を不安に陥れたり、または抽象化されて現実離れした観念的な世界イメージへと変換された風景小説であるという指摘はなるほど、と感じました。
02/12/04(WED)
【ANIME】 灰羽連盟 第6話「夏の終わり 雨 喪失」 (→公式)
急いで書かないとまにあわない―― 天真爛漫なチビっ子灰羽さんクウがメインのエピソード。と、思ったら……
転生待ちの少年少女たちがグリの街に灰羽として孵化しているんじゃないかと思ってるんですが。生と死の中間的存在である灰羽にとっては死が町の外に出ることであり新たな形の生を得ることである、みたいな感じでしょうか。森が西にあるというのもわかりやすい暗示だしね。レインコートと鳴り止まない鐘の音がそのまま野辺の送りみたく見えたのは非常に上手い演出だと思いました。
いつまでたってもこの町にいるレキさんは償わなければならない罪が重いのでしょうね。レキ=轢死とか、そんな気もします。


【ANIME】 灰羽連盟 第7話「傷跡 病 冬の到来」 (→公式)
あれから1月。クウのことが心の傷となってずっと憂鬱な気分でいるラッカさんの身体に起こった変調のお話。
「街の祝福」とか「まだらの羽」とか「罪つき」とか、そんなフレーズも飛び出してきました。最終話でレキさんが昇天できるのかどうかがたいへん気になります。ラッカさんは巣立てると思うのですけど。
2話連続放映でスケジュールとしてキツそうですが、なかなか頑張っていたと思います。台詞のセンスがいいから安心して見ていられるというのもあるかな。「羽袋」とかそういう小物センスもなかなか素晴らしいです。

02/12/05(THU)
なんでしょうね、この鬱まっしぐらなお話は…… たいへんに素晴らしいです。
冬の朝、凍える息、羽から滴る赤褐色の薬、クウの形見分け、と出だしからブルーになるような展開が続いてドキドキしますが、ひたすらそんなのが連発されます。羽袋つけてるラッカさんは可愛いね。はしゃいだ子供たちが道を駆けていくシーンなんかもいい感じ。 「わたしに、何の意味があるの?」 「わたし、できそこないの、灰羽だから……」 古着屋のお兄さん、いい人じゃないですか。 「ルアッキィ――!! 今日絶対いいことあるよ!」 ずけずけと無神経な女から逃げるように店から飛び出していくラッカさん。黒い染みの広がる羽。烏。 「わたしの、居場所なんて、どこにもない……」 痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛痛。烏の鳴き声に呼び寄せられるかのようにラッカさんは西の森へと向かう。音楽がいいなあ。後先考えない人ですね……
「わたしなんて、いなくなっちゃえばいいんだ」 「そうだ、あの時」 「無理だよ、でもありがとう」 「鳥の姿をしているけど、ずっと昔、どこかでわたし、あなたを知っていた気がする」 台詞のセンス、いいなあ。ラッカさん役の声優さんはなかなか頑張ってると思います。訥訥とした喋りがいい感じ。



【ANIME】 灰羽連盟 第9話「井戸 再生 謎掛け」 (→公式)
ちらほら雪が舞いはじめ、いまだラッカさんは井戸の底、という続き。てっきり生きようという意志をなくしてしまったのかと思っていたよ。サンダル拾って上がってきてあげればいいのに…… ラッカさんは精神的に危ういな―― 妙に意固地になってるし。だから呪われているのだろうか。告白大会がはじまりましたよ。 「罪憑きってなんなのですか? わたしは罪人なんですか? わたしが見たのは本当のことなのですか?」 (………) 「わたし、どうすれば……」 お次は謎掛け大会。やっぱり自殺願望少女なんではなかろうか。しかし、なんともいえない雰囲気だ―― 指もじもじのヒカリさんが可愛いです。レキさんの複雑な思いの描き方など、やはり脚本としては飛び抜けた出来ですね。


02/12/06(FRI)
「国のSF ←→ 笛吸えの肉」
国内SFファン度調査やってみました。結果は300作品中、84作品を読了。そこそこ読んでましたね。
追記:V林田さんところだったのか…… 最初は気づかなかった、すみません。しかし、これは労作ですね。
トップが京極夏彦の「姑獲鳥の夏」なのには驚き。みんな読んでるということに驚いたのではなくSF認定されてることに衝撃を受けました。「姑獲鳥の夏」についてはまだミステリなんじゃないかなあ。ちなみに「魍魎の匣」ならSF、「狂骨の夢」は本格ミステリ、「鉄鼠の檻」は吉四六とんちばなし、「絡新婦の理」は若草物語で、「塗仏の宴」は茶番劇だと思います。(怒られそうだ) 殊能将之「黒い仏」については問題ないでしょうね(w
ネタ切れの時にたいへん重宝。助かりました。
・「バイオハザード」(02) 牧野修(脚本:ポール・W・S・アンダーソン)
・「傀儡后」(02) 牧野修
・「太陽の簒奪者」(02) 野尻抱介
・「グラン・ヴァカンス」(02) 飛浩隆
・「妻の帝国」(02) 佐藤哲也
・「海を見る人」(02) 小林泰三
・「どーなつ」(02) 北野勇作
・「蚊-か-コレクション」(02) 飯野文彦/小林泰三/田中哲弥/田中啓文/牧野修/森奈津子
・「サムライ・レンズマン」(01) 古橋秀行
・「戦略拠点32098 楽園」(01) 長谷敏司
・「ふわふわの泉」(01) 野尻抱介
・「ペニス」(01) 津原泰水
・「銀河帝国の弘法も筆の誤り」(01) 田中啓文
・「ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ」(01) 滝本竜彦
・「虹の天象儀」(01) 瀬名秀明
・「黒い仏」(01) 殊能将之
・「ぬかるんでから」(01) 佐藤哲也
・「AΩ」(01) 小林泰三
・「かめくん」(01) 北野勇作
・「三人のゴーストハンター 国枝特殊警備ファイル」(01) 我孫子武丸/牧野修/田中啓文
・「イリヤの空、UFOの夏」(01) 秋山瑞人
・「西城秀樹のおかげです」(00) 森奈津子
・「病の世紀」(00) 牧野修
・「タツモリ家の食卓」(00) 古橋秀行
・「ピニェルの振り子」(00) 野尻抱介
・「異形家の食卓」(00) 田中啓文
・「ぼくらは虚空に夜を視る」(00) 上遠野浩平
・「月の裏側」(00) 恩田陸
・「レキオス」(00) 池上永一
・「猫の地球儀」(00) 秋山瑞人
・「コールドゲヘナ」(99) 三雲岳斗
・「偏執の芳香 アロマパラノイド」(99) 牧野修
・「蘆屋家の崩壊」(99) 津原泰水
・「やみなべの陰謀」(99) 田中哲弥
・「バトル・ロワイアル」(99) 高見広春
・「カニスの血を嗣ぐ」(99) 浅暮三文
・「クロスファイア」(98) 宮部みゆき
・「幻惑密室」(98) 西澤保彦
・「水霊 ミズチ」(98) 田中啓文
・「肉食屋敷」(98) 小林泰三
・「天使の囀り」(98) 貴志祐介
・「ブギーポップは笑わない」(98) 上遠野浩平
・「風車祭(カジマヤー)」(98) 池上永一
・「E.G.コンバット」(98) 秋山瑞人(原作:☆よしみる)
・「プリンセス・プラスティック」(97) 米田淳一
・「ソリッドファイター」(97) 古橋秀行
・「レフトハンド」(97) 中井拓志
・「人獣細工」(97) 小林泰三
・「敵は海賊・A級の敵」(97) 神林長平
・「光の帝国 常野物語」(97) 恩田陸
・「ステーシー」(97) 大槻ケンヂ
・「異形コレクション」(97) 井上雅彦監修
・「アナザヘヴン」(97) 飯田譲治/梓河人
・「星界の紋章」(96) 森岡浩之
・「MOUSE」(96) 牧野修
・「ブラックロッド」(96) 古橋秀行
・「Sinker沈むもの」(96) 平山夢明
・「人格転移の殺人」(96) 西澤保彦
・「玩具修理者」(96) 小林泰三
・「SFバカ本」(96) 大原まり子・岬兄悟編
・「七回死んだ男」(95) 西澤保彦
・「ムジカ・マキーナ」(95) 高野史緒
・「バルーン・タウンの殺人」(94) 松尾由美
・「ブラック・エンジェル」(94) 松尾由美
・「真珠たち」(94) 久美沙織
・「姑獲鳥の夏」(94) 京極夏彦
・「クラゲの海に浮かぶ船」(94) 北野勇作
・「戦争を演じた神々たち」(94) 大原まり子
・「くるぐる使い」(94) 大槻ケンヂ
・「パプリカ」(93) 筒井康隆
・「最後の伝令」(93) 筒井康隆
・「大久保町の決闘」(93) 田中哲弥
・「朝のガスパール」(92) 筒井康隆
・「昔、火星のあった場所」(92) 北野勇作
・「リング」(91) 鈴木光司
・「メルサスの少年」(91) 菅浩江
・「絹の変容」(91) 篠田節子
・「惑星P-13の秘密」 (90) 高橋源一郎
・「アド・バード」(90) 椎名誠
・「アクアリウムの夜」(90) 稲生平太郎
・「山の上の交響楽」(89) 中井紀夫
・「残像に口紅を」(89) 筒井康隆
・「クラインの壺」(89) 岡嶋二人
・「ノーライフキング」(88) いとうせいこう
02/12/07(SAT)
「来い! サイン会内簡易サイコ」
意味わかんないけど、まあいいや(投槍)。しとしとと冬の小雨がぱらつく中、渋谷Book1stで行われた羽生生純サイン会に出かけてきました。この人のファン層って正直まったく想像ができないのですが、わりに渋谷っぽい服装の若者たちが順番待ちの階段に群れてました。はじめて生で見る羽生生純は当たり前ではありますが、まったく普通の青年でした。持参した単行本にサインと奇怪な生物のイラストを入れてもらってたいへん満足しました。さらっとしたいい感じのサイン会でしたよ。
その後、シネセゾンに移動して公開初日の「CQ」を観る。 「"セクシー&キュート"ロードショー!!」 って、ぜんぜんそんな話じゃないYO! 内気な映画青年の痛々しすぎる恋愛話でした。
舞台は1969年のパリ。B級スパイアクション映画「ドラゴンフライ」の完成も目前となったある日、メッセージ性を重視する監督と、わかりやすいオチを求めるプロデューサーが大喧嘩をして、その結果、監督はクビになってしまう。編集マンとして(実質助監督だろう)この作品にかかわってきた主人公ポールはプロデューサーにせっつかれて作品のラストシーンを新たに考えることになったものの、プレッシャーが重くのしかかってまったく思いつかない。必死で考えているうちにポールは女スパイ役の主演女優に惹かれている自分自身に気づく。果たして映画は完成するのだろうか……?
いっしょに観た人の話ではまんま「バーバレラ」のパロディになってるらしい「ドラゴンフライ」のキッチュで能天気なノリと、素直に心情を吐露できるのは部屋に据えたカメラの前だけで、同棲してる恋人ともちょっとずつうまくいかなくなっていくみたいな、見てると心が痛んでくるような主人公パートが完全に乖離したり溶けあったりしながら進行していく、たいへん奇妙な感覚の映画でした。
「ドラゴンフライ」のことばかり四六時中考えている主人公はやがて、夢の中でドラゴンフライと競演してみたり、あまつさえ白昼夢さえ見るようになります。これはつまり、現実と虚構の境が失われていくというメタ的な展開になるわけで「どのようにラストしめくくる気なのだろうか……」とはらはらしながら観ていたわけですが、なるほど、これが正解なのではないでしょうか。
役者の人たちの頑張りも好印象で、お祭り騒ぎの中で映画撮ってる連中の中でひとりだけどこまでも暗い雰囲気の主人公ポールを好演していたジェレミー・デイヴィスもよかったし、女スパイドラゴンフライ演じてるときもすっぴんのときもどっちも可愛いヒロイン、アンジェラ・リンドヴァルもすごくよかったです。
しかし、この映画内映画である「ドラゴンフライ」、絶対にヒットしなかったのだろうな、と思います。たしかにポールは頑張ってたけど、むしろ鼻持ちならないあの若手監督のほうがきっとヒット作に仕上げてた気がします。世の中の無常だなあ(w
脚本・監督担当したローマン・コッポラは「地獄の黙示録」のフランシス・フォード・コッポラの息子で、CMとPVの制作会社をやっているらしく、今までにFatboySlim「Praise You」ほか数々の有名作を手がけている人。そのせいもあるのでしょうか、この映画も断章で構成されてるような部分がちょっと目につきました。
そういえばこの人、手塚真にどこか似てるような気もしますね。「星くず兄弟の伝説」あたりのノリとどこか感覚的に近い部分があるような気がします。
02/12/08(SUN)
「野郎ども! デモで戻れども、でもでも道路や……」
もうひとつ、「偽コミックファン度調査」 。
これならば結構いけるかと思いきや、そうでもありませんでした。むう。結果は116/180タイトル。以下、読んでいない漫画。こちらのほうが傾向が如実に出ている気がします。日渡早紀「ぼくの地球を守って」を読んでいないというのはわりかしカミングアウトかも。
・「ぼくの地球を守って」(日渡早紀)
・「WILD HALF」(浅美裕子)
・「カードキャプターさくら」(CLAMP)
・「幕張サボテンキャンパス」(みずしな孝之)
・「ここはグリーン・ウッド」(那州雪絵)
・「ハンサムな彼女」(吉住渉)
・「私立T女子学園」(竹田エリ)
・「のらくろ」(田河水泡)
・「ベルサイユのばら」(池田理代子)
・「はいからさんが通る」(大和和紀)
・「午後3時の魔法」(垣野内成美)
・「ふしぎ遊戯」(渡瀬悠宇)
・「星の瞳のシルエット」(柊あおい)
・「こもれ陽の下で…」(北条司)
・「吸血姫 美夕」(垣野内成美)
・「雷火」(藤原カムイ)
・「コインロッカーのネジ。」(こなみ詔子)
・「ロダンのココロ」(内田かずひろ)
・「海の闇、月の影」(篠原千絵)
・「月の子 MOON CHILD」(清水玲子)
・「聖伝−リグ・ヴェーダ−」(CLAMP)
・「あさきゆめみし」(大和和紀)
・「八犬伝」(碧也ぴんく)
・「マリー・ブランシュに伝えて」(やまざき貴子)
・「最遊記」(峰倉かずや)
・「月詠」(有馬啓太郎)
・「ご近所の博物誌」(わかつきめぐみ)
・「たとえばこんな幽霊奇談」(楠桂)
・「一清&千沙姫シリーズ」(柳原望)
・「KaNa」(相楽直哉/為我井徹)
・「特務戦隊シャインズマン」(橘皆無)
・「ゴーストハント」(いなだ詩穂/小野不由美)
・「妖幻の血」(赤美潤一郎)
・「REN-AI 恋愛」(高河ゆん)
・「あやかし歌姫 かるた」(片山愁/工藤治)
・「辣韮の皮 萌えろ!杜の宮高校漫画研究部」(阿部川キネコ)
・「霊能探偵ルナ&サイコ」(にしの公平)
・「17歳のリアル」(かわちゆかり)
・「スパイラル・オーヴァ」(才谷ウメタロウ)
・「コンビネーション」(聖りいざ)
・「1/4×1/2(クォート&ハーフ)」(篠原烏童)
・「神様の言うとおり!」(折原みと)
・「CANON(カノン)」(潮見知佳)
・「人魚の首」(大橋薫)
・「きらきら馨る」(高橋冴未)
・「桃花源奇譚」(皇なつき/伊丹姿子)
・「セシリア・ドアーズ」(江ノ本瞳)
・「超次元遊郭 花天楼」(なるしまゆり)
・「天上の虹(持統天皇物語)」(里中満智子)
・「瓦礫の楽園(エデン)」(吉川博尉)
・「恋人たちは進化する」(なると真樹)
・「蛍のあかり」(福原鉄平)
・「ホワイト・ガーデン」(獣木野生)
・「鬼外カルテシリーズ」(碧也ぴんく)
・「7×7−D (フォーティナイン・デイ)」(加賀未春樹)
・「魚の目(さかなのめ)」(黒井貴也)
・「十二夜戦士」(かわみなみ)
・「BAD GIRL」(酒井美羽)
・「不思議の学園の住人達」(辻よしみ)
・「夢幻夜想」(佐々木みすず)
・「茶吉尼−ダキニ−」(穂実あゆこ)
・「うぇるかむ!」(あゆみゆい)
・「アンジェリク」(木原敏江)
・「CROSSBONE'S DETECTIVES<クロスボーン探偵団>」(箱田 真紀)
【単行本・小説】 西澤保彦「ファンタズム」 講談社ノベルス [bk1][amazon]
西澤保彦最新作。講談社ノベルスからはひさびさのノンシリーズものになるわけだけれど、やっぱりいつもの西澤保彦という気もします。「夢幻巡礼」(→感想)あたりの読後感と似てるかな。
印南野市で女性ばかりを狙った連続殺人事件が発生して、現場には消そうともしていない犯人の指紋、そして遺体の口の中に押し込まれた前回の犯行が記された新聞記事が遺される。しかもそれ以外の痕跡はまるで残ってない。まるで、その場から幽霊のようにその姿をかき消して逃げたかのように……
残忍な犯行を繰り返すサイコキラーパートと遅々として進まない捜査状況を描く警察パートの2つがカットバックによって描かれるという物語構成はたとえば、貫井徳郎「慟哭」(→感想)だし、「有銘継也」なる犯人の姓名が最初から提示されているという大胆極まる趣向は、我孫子武丸「殺戮に至る病」などの先行作品を意識したものでしょう。(ひょっとしたら「メビウスの殺人」のほうかも)
しかし、それらの作品を読んでいる自分でも、ラスト近く明らかになる事件全体のヴィジョンは衝撃的で、こういうのにはすれてるはずなのに素で驚いてしまいました。また、全ての真相が明らかになった後にふたたび嫌な感じが襲いくるあたりの呼吸もたいへんこの人っぽくて、悪意が悪意を罪が罪を呼ぶ無限の悪循環が引き起こされるという構図の提示は「聯愁殺」(→感想)あたりから引き継いでるムードなのかもしれません。
著者からのコメントにもあるように、 「西澤保彦なりの幻想ホラー小説の方向性を模索して」 できた作品で、事件の全体像で読者を驚かせるために書かれた作品だともいえるでしょう。ただ、西澤保彦本人のトラウマもそのまま材料として使われていて、たとえば、「留学先で必死になって勉強した結果、ネイティブに近くなって平凡な存在になりさがる」あたりの体験は西澤保彦自身のものではないかという気もします。犯人の口から能弁に語られるビートルズの歌詞を巡る解釈談義なんかもなかなか面白いです。
【単行本・小説】 浅暮三文「殺しも鯖もMで始まる」 講談社ノベルス [bk1][amazon]
著者コメントによれば 「密室トリックははじめての挑戦」 だそうで、それどころかミステリ自体書いた経験ほとんどなさそうだな……という浅暮三文最新作。講談社ノベルス20周年記念の密室本であります。
地中の空洞の中で奇術師は餓死していた。窒息死ではなくて? という密室殺人に、ダイイング・メッセージの「サバ」、容疑者たちが閉じ込められた雪の山荘で起こる密室殺人ふたたびにまたも謎のダイイング・メッセージ「ミソ」。
それら奇妙なふたつの事件を「ギリシャ語のようにちんぷんかんぷん」な外国の常套句で喋りたくるハーフの青年葬儀屋が解決する、というなんともいえないムードの作品であります。
けっこう無理矢理な密室トリックと、殺しを扱いつつもどこか飄々とした雰囲気は都筑道夫の「なめくじ長屋」シリーズ [bk1][amazon]
あたりと通底してる部分があるかもしれません。
しかし、ミステリに対する思い入れがあるのだろうかといえば、そうでもなさそうなところもまた面白くて、最初の密室トリックは印象に残ってるけど正直、犯人が誰だったか思い出せません(w 「衝撃の犯人!」というかたちのカタルシスはほとんどないと思われます。探偵役の青年がわけわからんクリシェを饒舌体でべらべら喋っているうちに事件が解決するという言葉遊び+懐かしい感覚の大技密室トリックの変化球ミステリであります。
たとえば、ジョナサン・レセムみたいな感じの作品書くのがこの人にはむいてるんじゃないかな……という気が個人的にはします。嘘臭くて安くて洒落てるデザインの装丁も○。
02/12/09(MON)
「中の藪、株屋のかな?」
「群像」1月号掲載、佐藤友哉たんの新作「藪れません」読みました。
評論家による新たな方法論提示を受け、その実践を作家が披露するという評論と小説のコラボレーション企画、「現代小説・演習」で、第1回の小説部分担当したのが友哉たん。
そもそも第1部:石川忠司「絶対的『肯定』の小説、絶対的『不信』の小説」が非常にむつかしいお題で、その中では、芥川龍之介「藪の中」(→青空文庫アーカイブ)における登場人物たちの認識の食い違いをさらに推し進めて、誰もが信頼できない語り手であり得るような小説、たとえば、パトリック・マグラアの妄想一人語りが多層化させたような、各々が異なった現実を認識しているような小説のヴィジョンについて書いているわけですが、具体的にそれがどんなものになるのか、というとよくはわからないんですよね。「ヒカルの碁」が例として挙げられてたり、バラエティに富んだ面白い評論ではありますが、前半と後半では主張が変わってる気もします。しかも「締め切りは1週間後!」って、それはキツすぎる仕事でしょう。身体張らなきゃいけない若手芸人仕事みたいであります。で、結局いつもの友哉たん作品になって、「無理でした……」だから、「藪れません」でした。これは友哉たんに対する、大作家養成ギプスのつもりなのかな? しかし友哉たんが来月再登板するのかは不明なのでした。
【ANIME】 オーバーマン キングゲイナー 第13話「ブリュンヒルデの涙」 (→公式)
あまりにもあんまりなので、このキングゲイナーは動かないキングゲイナーですね……とか思ってしまった前半でしたが、後半持ち直したのでほっと胸をなでおろした。なんか、アメリカあたりの富野マニアが作ったバッタもんという感じでした。
未知の能力を秘めた初代ミイヤのオーバーマン、ブリュンヒルデと遺跡ミイヤの町を巡ってそれぞれの思惑が交錯する、というエピソードなんですが、この前後編はやっぱり怪獣ものでしたね。「この子を殺さないで!」って叫ぶ少女役がサラさんでありました。次回、不定形オーバーマンが登場するみたいで楽しみ。


【ANIME】 第3期ギャラクシーエンジェル 第19話「竹取御膳」/ 第20話「さまよえるねこまんま」 (→公式)
・ 第19話「竹取御膳」 →ストーリー紹介
「竹取物語」+育児ネタという構成のエピソードで、任務ほったらかしで母性本能発揮しまくるエンジェル隊メンバーが描かれる。小林靖子脚本なのにどうにも普通。
・ 第20話「さまよえるねこまんま」 →ストーリー紹介
こっちも普通。エンジェル隊ネコ化ネタ。当たり前のようにミルフィーユに乗って移動するミントさんはなかなかよかった。まあ、たしかにネコなんですが、人間扱い、欠片もしていませんね(w あとは流石に電球じゃパンチ弱すぎなのでは、とか。中途半端なり。
今日のは2話とも、コンテのセンスが古臭さすぎのような。
02/12/10(TUE)
【単行本・小説】 鳥飼否宇「中空」 角川書店 [bk1][amazon]
第21回横溝正史ミステリ大賞・優秀賞受賞のデビュー作。人魚伝説扱った「非在」(→感想)の前作だったのにこちら読まないままだったのでシリーズ補完のため手にとってみました。
南九州は人里離れた原生林の中、竹林に覆われたその名も竹茂村という小村があるという。
現在、そこでは数十年にいちどしか咲かないといわれる竹の花が見られるらしいとの話を聞いて、植物写真家である猫田夏海と彼女の大学時代の先輩で「観察者」(=暇人)の鳶山は現地へと足を運ぶことにした。老荘思想を奉じる12人の村人たちが静かに暮らすその村でひさびさに外部から客人を迎えた酒宴が催された翌日、村の共同財産である猪が何者かに射殺されるという事件が起こった。しかしそれは次なる惨劇の幕開けにすぎず、次には村長の片腕となっていた男が同じように矢で射られ、鋭利な刃物で首をはねられるという無残な姿で発見される。そして、通夜の席でもまた……
竹尽くしの話だから「中空」。竹取物語と老荘思想と。宗教的思想に縛られた人々の暮らす閉鎖的なコミュニティの中で起こる連続殺人という趣向の物語で、しかしちょっと現実味に欠ける話だと思いました。てっきりそこがポイントだと思いながら読み進めていたのですが…… 村長、猫田、そして鳶山の3人がそれぞれ異なった事件の真相を提示する終盤の推理合戦もそんなに盛り上がらないし、鳶山が指摘する隠されたこの村の秘密に関してもあらかたの読者は予想できているような気がします(むしろ、ストレートすぎるのが逆にミスリードになってるような…… まさか、こんなオチではないだろう、というか)。メインのトリックについても単なる錯誤にすぎない気がしてちょっと興ざめでした
リーダビリティはきわめて高く、読んでる間は退屈しない作品ですが、やはりいろいろ粗が目立つ気がします。ただ、「非在」のほうが格段に面白くなってることを考慮すれば、成長著しい作家であるとはいえるかも。
【単行本・小説】 チャールズ・ブコウスキー(訳:柴田元幸)「パルプ」 新潮文庫 [bk1][amazon]
「俺は安くないぜ」
「いくらだ」
「1時間6ドル」
「そんなに高いとは思えんが」
初ブコウスキー。とにかく楽しい作品です。
いろんな意味で安すぎる自称名探偵ニック・ビレーンのもとに 「赤い雀を探せ」 だの 「死んだはずの作家セリーヌを探してくれ」 だの珍妙な依頼が次々舞い込み、致命的なポカをしてヤケ酒あおって(すぐ忘れたり)、競馬場に通ったりしてるうちになんとなく事件が解決してしまうというというZ級シュールギャグ・ハードボイルド。これが遺作というのは相当にすごい人だと思いました。そんな作家がいるのか……
物語がポップかつ無軌道な展開を見せる中、ときおり挿入される主人公ニックの呟きはそのまま作者ブコウスキーの人生観を代弁しているかのようで、なかなか身につまされました。宇宙人まで出てくる話なのに! 愛すべきパンク老人の作、という印象ですね。ラストの展開なんか大好きであります。
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