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comic さくいん

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magazine さくいん(更新停止中)

novel

西崎憲「世界の果ての庭」
野崎六助「異常心理小説大全」
マーガレット・ミラー(訳:文村潤)「狙った獣」
貫井徳郎「被害者は誰?」
北野勇作「北野勇作どうぶつ図鑑 その3 かえる」
北野勇作「北野勇作どうぶつ図鑑 その4 ねこ」
連城三紀彦「夜よ鼠たちのために」
鴨志田穣 / 西原理恵子「アジアパー伝」
ローレンス・ブロック(訳:田口俊樹)「泥棒は野球カードを集める」
マーガレット・ミラー(訳:菊池光)「まるで天使のような」
有栖川有栖「スイス時計の謎」
novel さくいん

etc.

爆竜戦隊アバレンジャー 第10話「アバレリーガー金縛り」
爆竜戦隊アバレンジャー 第11話「アバレサイキック。ブヒッ。」
爆竜戦隊アバレンジャー 第6話「アバレアイドル老け娘」
爆竜戦隊アバレンジャー 第12話「アバレノコギリ、京都を斬る!」
爆竜戦隊アバレンジャー 第13話「アバレてチョンマゲ!」
エアマスター 第7話「二度と言わせるな!」


 2003/5
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03/05/11(SUN)

○【特撮】 爆竜戦隊アバレンジャー 第10話「アバレリーガー金縛り」 (→公式ページ

 →ストーリーあらすじ

「かなしばり」ではなくて「かねしばり」。脚本担当は浦沢義雄 、なので独特の不思議ギャグセンスが味わえる異常な回でありました。台詞のセンスがとにかく素晴らしい。 「マッシュルームカット…… 時代遅れの髪型〜 これを利用してテキトーに〜」 お前、なんでヘアスタイル事典なんか読んでるんだよ! いっぽう恐竜やでは幸人が新メニュー「カレーフルーツポンチ」を自信満々に披露、そのまちがったゴージャスぶりに全員ひいてしまう。 「金持ちの勘違いれす〜」 「お、オレ、こんなものいらないよ!」 お話の脈絡がこれっぽっちも見当たりません。
「アナザーアースの連中を時代遅れのマッシュルームカットにして大笑いしてやる!」 きわめてアバウトに命を与えられたと推測されるトリノイド:銀行+熊+マッシュルーム=バンクマッシュルームのキノコ攻撃により人々(なぜか通りかかった関取、警官、老婆)は次々マッシュルームカットにされていく。それがなんなんだよ! 出動したアバレンジャーとトリノイド、バーニア兵が入り乱れる混戦の中、バンクマッシュルームのキノコ攻撃を打ち返した謎の外人がいた! その外人は大リーグホームラン王のバッキー・バンズで、自らの攻撃を受けマッシュルームカットになってしまったバンクマッシュルームはバーニア兵にまで笑いものにされたショックで逃げ帰る。お忍びで来日していたバンズの目的はカリスマ整体師である幸人を探すことで、彼の治療により持病の腰痛が無事全快したバンズは大リーグ専属の整体師として幸人をスカウトする。金によって自らの生き方を変えることをよしとしない幸人はその申し出を断るが……
 なんだか書いててワケわかんなくなってきました。拝金主義に対する批判をテーマとしたエピソードなのかもしれないのですが、なんでマッシュルーム? なんで大リーガー? めちゃめちゃでありまする。脚本はもとよりコンテ、演出ももれなく狂っていて、わざと安っぽい2Dアニメ多用してみるところ、お金を投げつける無駄遣い攻撃の対抗策としてアバレブラックが持ってきたのが「貯金箱」(これで受ける)だったりと、はげしくなんだそりゃと言いたい。やっぱりアスカは阿呆な子なんじゃないでしょうか。いままでの展開まったく関係ないままに大暴れして倒してしまうあたりのアバウトさもすさまじいですね。それにしても 金袋両手に 「ヘイ、ユキト〜 オカネならいくらでもある〜 カネだ! マネー! マネー!」 といいながら駆けてくるバンズのカットはいいな〜 奇怪な爽快感があります。まったく、なに考えているのでしょうか。まさに狂気の産物でたいへんにすばらしい。

金で身動きとれないさまをそのまま視覚的に表現(wに 「ヘイ、ユキト〜 オカネならいくらでもある〜 カネだ! マネー! マネー!」

○【特撮】 爆竜戦隊アバレンジャー 第11話「アバレサイキック。ブヒッ。」 (→公式ページ

 →ストーリーあらすじ

 えみぽんメインエピソード。めずらしい。マッシュルーム&銭ゲバ攻撃だった前回の作戦があまりにもあんまりだったせいか、今回はしごく真っ当な侵略ストーリーになっております。
 笑里(えみぽん)の元気がない。聞けば、親友である若菜の様子がヘンとのこと。いつもテストで最下位争いしていたはずの彼女が突如100点をとるようになり、しかも彼女が超能力らしきものを使っているところをえみぽんは目撃したというのだ。予備校へと向かう若菜を尾行するえみぽんと凌駕(アバレッド)の前で若菜は豹変した。 「テンサイキック様の邪魔をするヤツは許さない」
 えみぽん主役というのもめずらしければ、アナザーアース侵略が無事成功しそうなマトモな計画であるのもめずらしい。悪しき能力を植え付けられたあげく洗脳を受けた子供たちが正義の戦隊の敵となって立ちはだかるというあらゆる点でソツのないストーリーでありました。トリノイドはテンサイ+サイ+超能力=テンサイキック。テンサイは砂糖大根のテンサイと天才のダブルミーニングだと思われます。サイキックサトウダイコンなる洗脳アイテムも登場してる。
 それにしても思うことは、えみぽんみたいな性格と外見の場合成績悪くてもなんとかやっていけそうだけど、若菜みたいに内にこもる性格でおとなしくてでも可愛くてというタイプの子が成績悪いというのはなんか、つらいな――ということでした。ラストにおけるクールな幸人の発言も、まるで意味のわからない、でも気持ちは伝わる凌駕の励ましもともにいい感じだと思いました。ひとり爆竜探しの旅にあっさりと送り出されたアスカはじつは嫌われてるのでは…… などとも思いました。洗脳された生徒たちに取り押さえられたえみぽんが無理矢理サイキックサトウダイコンを食べさせられるシーン、若干無理があるらんるのセーラー服シーン(私服できてる生徒ばかりなのだが……)、もうちょっとエロく描けてたらもっとよかったかな(嘘) ラストのバカオチはすごかったですね。

いささか無理のある3人の変装(コスプレ)に当惑を隠せないえみぽん。

03/05/12(MON)

○【特撮】 爆竜戦隊アバレンジャー 第6話「アバレアイドル老け娘」 (→公式ページ

 →ストーリーあらすじ

 順番がちょっと前後してしまいました。この回も浦沢義雄脚本で、らんる(アバレイエロー)エピソードで彼女が元アイドルだったという衝撃の事実(唐突である)が判明するというエピソード。
 TVでオンエアされている人気アイドル・リリアンの曲を口ずさんでいる凌駕にらんるがいきなりの告白。 「わたし、元アイドルだったんだも〜ん」 リリアンが歌ってるのはアイドルユニット「D★shues」のデビュー曲「ベラカミ」で、らんる演ずるいとうあいこはこのユニットのメンバー。今回登場するらんるが同期だった人気アイドルのリリアンを演ずる宮崎瑠依も同じくこのユニットのメンバー、D★shuesをプロデュースしてるのは秋元康で、「ベラカミ」は「KISS ME ODAIBA」の応援ソングでした。「アバレンジャー」フジ系列じゃありませんけど。ところで「ベラカミ」ってどこまで一般認知されてる単語なんでしょうか? (いちおう書いとくと意味はディープキス
 それはともかくとして、またもアバウトに作り出されたっぽい(ミケラの仕事っぷりにはいささか疑問の余地がある)トリノイド:石榴+ロバ+バキュームポンプ=ザクロバキュームが街ゆく娘さんたちの若さを吸引してしまい、吸われた娘さんはみんな老け娘になってしまう……という悪夢にも似た展開のお話で、序盤であっさりリリアンがふけてしまったのち、いわゆる老婆のコスプレ状態がえんえんと続き、みていてなんともいいようのない暗い気分になりました。きつい脚本だな―― 人知れず自殺した娘さんがいそうであります。らんるのアイドル時代プロモーション映像なんかあったらもっとよかった。とびきり恥ずかしいヤツ。

キツすぎる老けリリアン映像。ショック!

03/05/13(TUE)

■book【単行本・小説】 西崎憲「世界の果ての庭」 新潮社 [bk1][amazon]

西崎憲「世界の果ての庭」  第14回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。

 最初にイギリス庭園に興味を抱く小説家と日本近世文学のアメリカ人研究者のふたりが出会った。 / 私と父を捨てて若い恋人と逃げたはずの母親がいきなり帰ってきてこう言った。「あたし若くなる病気にかかったのよ」 / 敗戦を迎え、ビルマの収容所を脱走した日本兵が辿りついたのは「駅」という奇妙な建造物だった / 日本の言語学の始祖富士谷成章と御杖の父子の仕事に関する評伝 / 江戸末期、謎の辻斬りが本所深川を震え上がらせた ……なる物語。

 いくつもの独立したエピソードが同時に進行していってラストでそれらが交わるという、いわゆる並行叙述法なる手法はたとえばバリンジャーなどミステリの分野でよく使われるものですが、ファンタジーの分野でその手法を成立させるにはどうすればいいのか、という小説なのかもしれません。55章に分断されたいくつもの物語のパーツを空間の中に置いていった、という印象を受けました。たぶん「駅」の構造が作品自体の構造をもあらわしてるんじゃないかと思います。
 文章はさすがに達者で、使われてる表現のすべてが腑に落ちるものですし、ぐっとくるような表現が点在していて楽しく読めました。たとえば、 純白のスノードロップ。優美なアイリス。一本でも空間に句読点を描くことができる花たち。 など。

 現実と幻想のウェイトをどこに設定すればいいのかよくわからないあたりの不安定さも魅力なのですが、母と駅、ふたつのエピソードのインパクトと比較して辻斬り話のインパクトが弱いのが少し気になりました。もっとぎりぎりでバランスを保つくらいの設計のほうが揺らぎの幅が広がったような気がします。小説の構造自体がテーマになっているので物語の吸引力が失われてるのはしかたがないのかも。眺めてると楽しい、短編小説のバランス細工のような作品でした。

 そういえば、この人の訳した、コッパード「郵便局と蛇」 [bk1][amazon] は読もう読もうと思いつつまだ手を出せてません。タイトルからして最高に面白そうなんですが。

■book【単行本・評論】 野崎六助「異常心理小説大全」 早川書房 [bk1][amazon]

野崎六助「異常心理小説大全」  異常心理を題材にした小説作品を体系的に論じた評論+ブックガイド。

 3部構成にわかれており、「多重人格ミステリー・ツアー」と題された第1部ではダニエル・キイス「24人のビリー・ミルガン」、ロバート・ブロック「サイコ」などが、「シリアル・キラーたちの肖像」と題された第2部ではトマス・ハリス「羊たちの沈黙」、マイケル・スレイド「グール」などが、「異常心理小説・ア・ラ・カルト」と題された第3部ではパトリシア・ハイスミス、ルース・レンデル、ジム・トンプスン、マーガレット・ミラーらの作品がとりあげられています。

 じつは、多重人格ものにもシリアル・キラーものにも(平山夢明作品くらいサービス精神が旺盛なら話はべつだけれど)そんなに興味が湧かない人間なので第3部が目的。最後にルース・レンデル作品の登場人物はいつも騒々しく発狂していて、パトリシア・ハイスミス作品のそれは静かに発狂している。マーガレット・ミラー作品のそれは静かに発狂して、そして微笑んでいる。という指摘もあって、ああそうかも、と思いました。(この3人の作品をそんなに読んでるわけじゃないけど)ストーリーテリングに長けてしまっているがゆえにレンデル作品はそれほど嫌なものではなくなってしまっているという指摘にも、なるほど。なかなか興味深い本でした。白水社から出てるドッペルゲンガーアンドロジー「ダブル/ダブル」 [bk1][amazon] はやっぱり買おうかな。パトリック・マグラア、ジャック・ケッチャムがまったく言及されてないのはそういえばちょっと不思議。

 発売時期が時期だったせいか(1997年)「酒鬼薔薇聖斗」という現実に浸食を受けてたりするのは、野崎六助本人も「無様だ」と書いてるけれど、やっぱりそうかも。やめておいたほうが無難だったかもしれません。虚構はあくまで虚構だけのままに。

03/05/14(WED)

■book【単行本・小説】 マーガレット・ミラー(訳:文村潤)「狙った獣」 ハヤカワ・ミステリ文庫 [bk1][amazon]

マーガレット・ミラー(訳:雨沢泰)「狙った獣」 ※ bk1、Amazonリンクは現在入手可能な創元推理文庫版のほうに張っておきます。

「あなたの顔が真ん前に、本当にはっきりとよく。しかし、なにか変だわ。あ、わかった。あなた、怪我をしたんだ。額が割れて、口から血を吹いて、血、血、血が、血だらけ、血だらけ……」

 巨万の富を持ちながら孤独なホテル暮らしをするオールドミスのヘレンは恐怖から電話機を払い落とした。イーヴリンと名乗る知らない女が無残な惨殺死体となったヘレンの姿を水晶球の中でみたというのだ。そういえば、手持ちの紙幣もたびたびなくなっているような気がする。その女が盗んだんだ! ヘレンは財産管理人のブラックシアにイーヴリンに関する調査を依頼した。

 サイコ・サスペンスの傑作。いや、サイコ・サスペンスとして認識されてしまっているのが不幸なのかも。ミステリとしてみても大傑作であります。1955年にアメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞を受賞した作品で、物語全編を流れるおだやかならざる異様なムード、心に突き刺さってくるような痛い痛い台詞、そして鮮やかな結末の反転、と優秀なミステリ要素すべてを有した作品のような気がします。驚愕のラストののち、再読してもう1回驚くことうけあいですね。巧みに張り巡らされた伏線はけっこうすごいです。
 狂言回し的な役割を与えられ右往左往するブラックシア、いい年をしてぶらぶらしているいかにも生命力が弱そうなヘレンの弟ダグラスをはじめとする男性陣とくらべ、女性陣のインパクトがとても強くそして…… な印象なのはいかにもこの人の作品らしいですね。

「どうしたんです? 私が怖いんですか? 私、誰にも害を加えるつもりはありません。ただハーレイの赤ちゃんを見たいのです…… 私にもまたハーレイの赤ちゃんができるかもしれないのです」 言葉が、扉の隙間から、さわると死ぬ毒の滴のように、漏れてきた。

「いまにつかまえてみせるから」 と、イーヴリンは周囲の壁に向かってつぶやいた。 「いまにつかまえてみせるから」 憎悪で、口の毛が、長く濃くのびた。

 彼女は笑い出した。普通の笑いでなく、胸を引き裂き、のどをかきむしる爪を持った響きだった。苦痛に耐えかねて、彼女は街によろけでた。

 たいへんすばらしい厭表現ばかりであります。

■book【単行本・小説】 貫井徳郎「被害者は誰?」 講談社ノベルス [bk1][amazon]

貫井徳郎「被害者は誰?」  大人気作家にして容姿端麗、頭脳明晰、ただし性格はお世辞にもいいとはいえない吉祥院慶彦が究極のフーダニットに挑む! という構成の安楽椅子探偵短編連作。「プリズム」(→感想)にてバークリー「毒入りチョコレート事件」の現代流アレンジに挑戦した貫井徳郎が今度はパット・マガーの一連作品に挑んでみた、という印象で、タイトルなんかそのまんまですね。
 完全黙秘する被害者の手記から豪邸の庭に埋められていた白骨死体は誰かを当てる「被害者は誰?」、寮内不倫に脅迫状が舞い込んだ! 見ていたのは誰だ? という「目撃者は誰?」、吉祥院が学生時代に遭遇した事件を描いたノンフィクション原稿の登場人物たちの中から仮名になっている吉祥院は誰かを当てる「探偵は誰?」、そして書き下ろしの「名探偵は誰?」、4編が収録されています。

 手記ものの「被害者は誰?」、「探偵は誰?」2作がいいかも。これは出来の問題というよりはやりたいことがわかる、という意味においてですが。パズルが組みたい人なんじゃないかという気がしてならないので、このような軽妙なミステリ書くほうが向いている気がします。下手に重いテーマ扱って、それでいてトリッキーだから怒っちゃう人も少なくはないんじゃないかと毎回思うんですよね。

○【特撮】 爆竜戦隊アバレンジャー 第12話「アバレノコギリ、京都を斬る!」 (→公式ページ

 →ストーリーあらすじ

「♪京都〜大原三千院〜♪」 これいじょうないくらいにわかりやすい導入だ! 京の町を切り刻む巨大ノコギリ! そのときアスカもそこにいた! この人は徒歩で京都まで辿りついたのだろうか。健脚ですね…… 「ブヒ〜 ごめんなさーい」 泣いてる(鳴いてる)えみ豚を置き去りに全員で京都に向かうことにしたアバレンジャー一行でしたが…… という京都ロケ前後編。
「感じたんです…… 今一瞬、爆竜の気配を!」 うわ、太秦の映画村だ! 観光三昧。うわ――、こんなショーまでやってるよ! なんで天草四郎と戦ってるんだよ! それはともかくとして。京都を騒がす巨大ノコギリの正体はジャンヌに操られているディメノコドンだった! ついでに(でもないけど)ギガノイド第3番「時間」までもが出現。古都を食い荒らしはじめた。 「よし、ダイノボンバーだ!」(いきなりだな……) と、思ったらギガノイド「時間」の攻撃によりアバレンジャー3人は江戸時代に飛ばされてしまった! どうすんだ、帰れないぞ! という展開。
 アスカ vs. ジャンヌ、ブラキオ vs. ギガノイド「時間」、ディメノコドンのノコギリ vs. ティラノのドリル、そして江戸時代にタイムスリップしてしまった3人、と異様に盛りだくさんな内容。豚のはずのえみぽんとひさしぶりに登場のスケさんまでもコスプレで登場して(ちがいます)、かなりとんでもない感じ。

○【特撮】 爆竜戦隊アバレンジャー 第13話「アバレてチョンマゲ!」 (→公式ページ

 →ストーリーあらすじ

 やっとおいついた。京都ロケ編続き。
 笑姫(えみぽん)の命を狙う刺客たちを退治するため江戸時代でも変身してみせる3人。一般人相手に大暴れ(うっかり殺してしまいそうだ)。いっぽう作戦の大成功を祝って記念撮影してみたリジェ、ミケラ、ヴォッファは自分たちの姿が写真から消えかかってるのを目にした。江戸時代に飛ばされた凌駕たちが頑張って歴史を変えてしまったらしい。このままでは自分たちの存在が消滅してしまう! あせりにあせったミケラは苦肉の策として再生トリノイドたちを江戸時代に送りこみ、アバレンジャーたちを亡きものとする作戦に出た! 龍之介(スケさん)はここでもいるだけだった!
 えみぽんの意外な活躍で状況打開という展開は前にもみたような気がするけれど、どうなるかと思われた前回の内容をよくもまとめたなあ、感心感心という印象でした。しんみりさせる部分あり、暴れあり、別れあり、とたいへんソツのない出来。 「もしもどれなくても、この時代で前向きに生きて、ぜったい子孫を繁栄させて、未来で舞ちゃんを守るよう言い伝えます!」 凌駕のよくわからない前向きさが輝いてましたね。ところで、ジャンヌがディメノコドンさえ呼びもどさなきゃじゅうぶん勝てた気がするのですが…… スケさんの正体が気になる。アバレシルバーにはならないのだろうか?

03/05/15(THU)

■book【単行本・小説】 北野勇作「北野勇作どうぶつ図鑑 その3 かえる」 ハヤカワ文庫  [bk1][amazon]

北野勇作「北野勇作どうぶつ図鑑 その3 かえる」  カメリがとにかくかわいい! ということで、「カメリ、行列のできるケーキ屋に並ぶ」を読みましょう。毎日カフェにやってくるヒトデナシにケーキを出してあげたい、そのためにはまず自分で買って食べてみなきゃ! ということでマントルの丘にあるケーキ屋さんにカメリは向かうのでした……というお話なんですが、北野勇作独特の理系どうぶつ残酷キュート路線が極限まで極まってますね。このシリーズは大好きです。オススメ。

 そのほか、異形コレクション掲載の「螺旋階段」、「楽屋で語られた四つの話」、「怖いは狐」という役者+怪談話ともいえそうな3作に「生き物カレンダー 五月〜八月」が収録されています。六月の「カエル通信システム」がいい感じ。怖い+可愛い1冊でした。

■book【単行本・小説】 北野勇作「北野勇作どうぶつ図鑑 その4 ねこ」 ハヤカワ文庫  [bk1][amazon]

北野勇作「北野勇作どうぶつ図鑑 その4 ねこ」  こっちはSF。

 かつて「東京」と呼ばれていた遺跡を復元しようとしている「墓掘り」のぼくと景子と田宮教授とその光景の物語「手のひらの東京タワー」はこの人らしいノスタルジック・サイバーパンクSF。あの怪獣のヴィジョンと現実が錯綜する感覚がヘンテコでいい。未整理にすぎるような気もするけれど、でも面白い作品。「蛇を飼う」はスプーン曲げ少年を主人公にした幻想譚という感じの作品。「異形コレクション 月の物語」初出の「シズカの海」は月であり猫であり生と死にまつわる曖昧で残酷なお話。これはたいへんいいと思います。満腹感のある1冊でした。

■book【単行本・小説】 連城三紀彦「夜よ鼠たちのために」 ハルキ文庫 [bk1][amazon]

連城三紀彦「夜よ鼠たちのために」  おお、どうぶつつながり。ハルキ文庫で再刊されてるのしらなかったから、図書館にてジョイ・ノベルス版を借りてしまいました。よって、ハルキ版に追加収録されている「代役」、「ベイ・シティに死す」、「ひらかれた闇」3篇は未読のまま。やはり買わないとだめかもしれません。

「二つの顔」、「過去からの声」、「化石の鍵」、「奇妙な依頼」、「夜よ鼠たちのために」、「二重生活」の6篇を収録。
 まず最初にトリッキーな物語骨格ありきな人だというのはこちらの勝手な推測なんですが、それはたぶん当たってるんじゃないかな―― 残りの空間を埋める血肉にあたる描写部分があまりに達者であるがゆえに、凡百の作家には無理がありすぎて使えないだろうプロットも平気で叙情性高いものに仕立て上げてしまってるところがすごいと思われます。「化石の鍵」のオチなんかしらじらしいとしか形容のしようがなく、あきれて物が言えません。この人、そんなことぜったいに考えてないよ……

 ついさっき自分がこの手で殺して裏庭に埋めたはずの妻の死体がはるか遠く新宿のホテルで発見されるという奇怪な事件をその夫の一人称で描いた「二つの顔」、ありふれた誘拐事件の背後に潜んでいた驚愕の真実を描いた「過去からの声」、ありえないほどに錯綜したプロットが奇妙な余韻を引く、「信子」を殺された男の復讐譚「夜よ鼠たちのために」、4人の男女の愛憎に満ちた奇妙な関係の顛末を描いた「二重生活」がよかったかな。

 ドアノブの鍵を交換したばかりで誰も侵入できなかったはずの室内にいた車椅子の少女が何者かに首を締められていたという一種の密室事件を扱った「化石の鍵」は前述したようにオチのつけ方があまりにもあんまり。(密室の解明ののちにさらに訪れるサプライズのためにこんなふうにしてしまうのはこの人らしいけれど)探偵であるオレが受けた奇妙な二重依頼の真実を描いた「奇妙な依頼」は、登場人物が絞られてしまってるがゆえに狙いが読めてしまう部分があったので若干の減点。えらそうなこと書いてますね。

 異常心理とかそういう部分にはさほど関心がない人ではないかとふんでるんですが、トリッキーなプロットを成立させる設定のためになぜかサイコ・サスペンスっぽい手触りの作品に仕上がるのは不思議であります。(異常動機になりがちだから)昨日レビュ書いたミラー「狙った獣」(→感想)だって、この人が書いてもまったくおかしくない話なんですが、たぶん製造工程はまったくちがうのではと思われます。たとえば、短編「戻り川心中」(→感想)みたいな話をミラーが書くことはないだろう、というのが両者の資質の差でしょうか。

○【ANIME】 エアマスター 第7話「二度と言わせるな!」 (→公式

 坂本ジュリエッタ編決着。うーん、今回もわりと普通かな―― 「エアマスター」の面白いところって、独特な台詞センスとともに格闘の緊張をいかに緩和するかというギャグ部分のセンスにあると思ってるんで(月雄のときの蓮華との絡みとか、ジュリエッタにマキが襲われた後なぜか連れだって居酒屋にいくとことか)、格闘に純粋化させて後フォロー削るときわめて普通の作品になっちゃうんだよな――と再確認しました。今回のエピソードではマキパパ佐伯とジュリエッタが居酒屋で乾杯するシーンははずしたらあかんでしょ、という感じ。解説役もできれば月雄+麗一あたりにお願いしたかったところであります。
 次回はちょっと早めの海水浴エピソード。美奈の一世一代大ハジケ+崎山登場+マキの砂浜バトル(戦うマン)というテンコ盛りであります。ちょっと期待。アニメでカイは削られちゃったのかな――

03/05/17(SAT)

■book【単行本・旅行記】 鴨志田穣 / 西原理恵子「アジアパー伝」 講談社文庫 [bk1][amazon]

鴨志田穣 / 西原理恵子「アジアパー伝」  世界をまたにかけて活躍するカメラマンを目指して単身タイに渡ったカモシダ青年の半自伝…… というか、とびっきりのダメ人間物語ですね。奥方の西原理恵子がとほほなおもろい夫婦漫画を担当しております。
 サイバラ漫画はいつものように面白くて、文章スペースは下1/3くらいに追いやられてたりしますが、カモちゃんの文章の出来も悪くないです。かなり好き。たしかに拙いといえば拙い文章ですが、心に訴えかけてくるものはたしかにあって、身も蓋もなさすぎる内容なのに叙情性やら「生きる」ということの意味やらなにか深遠なテーマがそこから仄見えるような印象を受けてしまうのはもっとも身近にいる人間からの影響でしょう。カモちゃんはサイバラとくっついたおかげでこういうものが出せるようになったのだと思います。

 石丸元章の文章を狂騒的なアッパー文体とするならば、こちらは淡々と底が見えないダウナー文体。日本人なのに月20,000円しか稼げずタイ人大家族の家に居候の身の上、貧乏ゆえに日本料理レストランで80バーツ(約300円)の和定食すら食べられないという悲惨な境遇ではそうなっても無理はないかもしれません。また、タイという国における人の命の安さが諸行無常さに拍車をかけていそうであります。先がまるで見えない閉塞した状況の中で、それでも快楽を求めてしまう人間たちの姿を描いているという点においてはアーヴィン・ウェルシュ「トレインスポッティング」(→感想)と相通ずるものがありそうですね。そういえば、「トレインスポッティング」も半自伝だ。第2話「カワヅさんの夢」、第3話「おともだち」なんかは気分的にほぼコンパチ。

 はじめてビデオカメラ担ぐというど素人がカンボジア政府軍とポル・ポト派ゲリラの戦場に叩き込まれる(しかも月給40,000円……)「雇われて戦地へ」、真性ダメ人間・鴨のせつない恋愛話「ぼくの一目惚れ」(この幕切れはなかなかくるものがあります)、「キミらの命の値段はいくらだ?」と尋ねたくなるすさまじいお話「ゲリラとの遭遇」どれも読みごたえがあります。
 ちょうどお手ごろになったかな。文庫にてこのシリーズは揃えてみようかと思います。

03/05/18(SUN)

■book【単行本・小説】 ローレンス・ブロック(訳:田口俊樹)「泥棒は野球カードを集める」 ハヤカワ・ミステリ文庫 [bk1][amazon]

ローレンス・ブロック(訳:田口俊樹)「泥棒は野球カードを集める」  いきなり途中から読みはじめ。追いかけなければいけないシリーズがまたも増えてしまったのでした、マル。

 1年前までの泥棒稼業が嘘のように古本屋主人として真っ当な暮らしを送るバーニイにある危機がおとずれた。新しい大家が法外な家賃を要求してきたのだ。古本屋からのあがりではそんな金額とてもまかなえきれない、しかし店は手放したくない。やむなく犯罪部門の能力を総動員して家賃不足分の穴埋めをすることを思いついたバーニイだったが、首尾よく忍び込んだ高級アパートの浴室には男の全裸死体が転がっていた。さらに、コレクター垂涎の野球カードセット盗難事件の容疑までもがふりかかってきて……

 泥棒探偵バーニイシリーズ第6作。盗みの腕はピカイチなれど、もって生まれた凶運から忍び込んだ先々でとんでもない事態が待ち受けていて、ストーリーはとんでもない方向へとどんどん進んでいく………という展開はたとえば、ウエストレイク描くところの不運なる天才犯罪プランナー、ドートマンダーシリーズあたりを彷彿とさせますが、ドートマンダーシリーズがドタバタ展開を楽しむユーモア・ピカレスクとすれば、バーニイシリーズは奇妙な事態の真相を解き明かすことに主眼が置かれたミステリ風味で仕上げられているのがポイントかも。 「名探偵 みなを集めて さてといい」 といいますが(→参考)、泥棒であるバーニイが(しかもその素性は全員にばれている)一同に介した容疑者を前にして「さて」と自らの推理を披露しはじめるという相当に馬鹿馬鹿しい展開がすばらしいです。内部から鍵のかけられたバスルームに横たわる男の全裸死体、額には銃創があって、凶器となった拳銃は見つからない、といった密室殺人がいきなり登場するあたりも面白いですね。

 スー・グラフトンや野球カードに関する薀蓄を交えながら泥棒探偵バーニイの活躍を描くその軽妙な筆致は、たとえば細野不二彦の漫画を読んだ時と近い感覚がある、と例えればわかりやすいでしょうか。(じつはローレンス・ブロックのセンスのほうが若干若い)軽妙洒脱な文章で綴られるユーモア・ピカレスク・ストーリーにミステリ的謎解きを導入するという点においては伊坂幸太郎作品とも共通してるかも。まあ、伊坂幸太郎はこのシリーズを読んでいることでしょう。伊坂ファンにもおすすめ。

03/05/19(MON)

■book【単行本・小説】 マーガレット・ミラー(訳:菊池光)「まるで天使のような」 ハヤカワ・ミステリ文庫 [bk1][amazon]

マーガレット・ミラー(訳:菊池光)「まるで天使のような」  これはなかなか面白い。ハードボイルドタッチで描いた心理サスペンスといった印象の作品であります。

 カジノで無一文になった私立探偵のジョウ・クインは荒野のど真ん中で車から放っぽり出された。やむなく近くにある宗教団体<天国の塔>の扉を叩いたクインは<祝福尼>なる尼僧からパトリック・オゥゴーマンなる男の所在を調べてほしいとの依頼を受ける。彼女が隠し持っていた120ドルを依頼金として調査をはじめたクインは意外な事実を知る。石油会社の事務員をしていたオゥゴーマンは5年前の嵐の夜に出かけたまま戻らず、川に沈んだ車の中からはオゥゴーマン本人のものとみられる血痕がついたシャツの切れ端が発見されたというのだ。事故死という警察の見解に疑問を感じたクインは事件の洗い直しをはじめる。

 禁欲を旨とする新興宗教団体のコミューンと閉鎖的な田舎町の間を私立探偵が行き来しながら5年前に起こった不可解な事件の真相を探るという物語で、いわゆる「最後の一撃」的驚愕の真相がものすごいです。
 ところで、以下は余談。p.16におけるクインと祝福尼のやりとりであります。

「クイン」
「クイン。罪(シン)と韻が合うわ。悪いしるしかもしれないわね」
 クインは、笑み(グリン)、回転(スピン)、魚のひれ(フィン)とも韻が合う、と言いかけたが、祝福尼はそっけない口ぶりで罪(シン)がもっとも適合していることは明らかだ、と言った。(p.16)

 これ、どこかで目にしたことがあるな――と思って調べてみたらポール・オースター「シティ・オブ・グラス」の中で、登場する探偵の名前がクインとクィンでほぼ同じだったので気がついたのでした。ちょっと長めの引用をしてみます。

「ええ、クィン。Q-U-I-N-N」
「なるほど。ふむふむ。なるほど。クィン。ううむ。ふむ。実に興味深い。クィン。きわめて響き豊かな言葉だ。双子(トゥイン)と韻を踏みますな?」
「そうです。双子(トゥイン)と」
「それと、私が間違っていなければ罪(シン)とも」
「間違っていません」
「それと、中(イン)―― n ひとつのin ―― とも、宿屋(イン)―― n ふたつのinn ―― とも。そうですな?」
「そのとおり」
「ふうむ。実に興味深い。この言葉、実にいろんな可能性が見えますな。このクィンという言葉、この本質(クィディティ)のそのまた……精髄(クィンテッセンス)。たとえば、すばやい(クイック)、それに羽根ペン(クィル)。それにニセ医者(クワック)。それに奇癖(クワーク)。ふうむ。にやっと笑う(グリン)と韻を踏む。当然親族(キン)とも。ふうむ。実に興味深い。それに勝つ(ウィン)。そしてひれ(フィン)。そして喧騒(ディン)。そしてジン。そしてピン。そしてブリキ(ティン)。そして容器(ビン)。魔神(ジン)とすら押韻する。ふうむ。うまく言えば、been とも。ふうむ。さよう。実に興味深い。あなたのお名前、いたく気に入りましたぞ、ミスター・クィン。あっちこっち、実にいろんな方角に、いっせいに飛んでいく名です。」
「ええ、私もそう思うんです」

 偶然でしょうか? ハードボイルドタッチに変奏された小説という点でこの2作品は共通していて、だからオースターの意識的な引用なのかな、という気もします。

03/05/20(TUE)

■book【単行本・小説】 有栖川有栖「スイス時計の謎」 講談社ノベルス [bk1][amazon]

有栖川有栖「スイス時計の謎」  臨床犯罪学者・火村英生シリーズ最新短編集。ダイイングメッセージをあつかった「あるYの悲劇」、首無し死体ものである「女彫刻家の首」、タイトルどおり密室ものの「シャイロックの密室」、純粋論理フーダニットの表題作「スイス時計の謎」の4編が収録されています。

 うーん、悪くはないんですが、微妙にひっかかるところがあって、同じくロジック主体でクイーン好きな法月綸太郎短編はまごうことなき本格! と思っても、こちらは首をかしげてしまうところがあります。
 メインとなる謎に関する伏線によって作品のすべてが構成されている、というのが極私的な本格ミステリ観なわけで、だから自分には、「今はもう失われた青春に対する有栖の感傷」なども事件の伏線として盛り込んで書けないものかな……などと感じられます。たとえば、「あるYの悲劇」冒頭部分や「スイス時計の謎」における有栖の胸に不意に去来したクラスメイトだった女生徒の記憶など、「ロジックにセンチメンタルをくわえてみました、ご賞味ください」 みたいで、それはちょっと楽してるんじゃ? と思ってしまうのです。ロジックからセンチメンタルを導きだそうぜ――

 ロジックとトリックの質についてはアベレージを叩き出してると思うのですが、たとえば導入部、ラストの〆など、小説としての処理に釈然としないものが残ります。ロジックやトリックだけを拡大して小説化する方向で作品を書いてくれるとうれしいのですが…… 「あれはいったいなんだったんだ?」 と思う部分が個人的感覚では多すぎるんですよね。

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