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ポピー・Z・ブライト(訳:柿沼瑛子)「絢爛たる屍」
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03/06/23(MON)
「増刊欲しいし……本買うぞ!」
bk1、Amazon アソシエイト参加で本代くらいなんとかならないものか?
それはかなりむつかしいものがあります。
まず第1に、「単価が安すぎて本では儲けにならない」、第2に、「習慣的に本を買うような人間は習慣的に本屋にも行くから、そこですんでしまうだろう」、第3に、「アソシエイト申し込んでる人間は自分のところから買うんじゃないかなあ」(注:Amazonでは紹介料カウントされるものの規約違反です) あたりが理由でしょうか。
なんとかするための方法としてまず考えられるのが、「ミステリ系サイトをやめてみる」。
本なんかちびちび売っててもらちがあかないので単価が高くてしかも売れそうなものの感想を書く。現在放映されている作品ではなくDVD化されたあとでレビュをする(肝心!)アニメ・映画感想サイト、もしくは発売直後の作品感想を書くゲームサイト、ちょっとマイナーなCDレビュー、あとは個人向け開発アプリケーションの使い勝手を書くサイトなんかよろしいのではないでしょうか。そして、そのアガリで本を買う。本末転倒かもしれませんが、効率という面でいえば、それがベストだと思います。
もし、読書系サイトを続けたいのであれば、「本屋で買いにくい本だけをとりあげる」。
ずばり、エロ漫画感想サイト。これは売れます。ウチのページでも上連雀三平「アナル・ジャスティス」、「飲尿女神」(→感想はここいら)ばかり、どれだけ売れたことでしょうか。エロゲのように定価と実売価格との間に差がないところも素晴らしい。つまり、「どこで買っても同じで、買いにくい(もしくは売ってない)本をとりあげる」ということであります。
表紙書影など、引用の範囲内でスキャナを駆使(これが重要、ただし会社から閲覧可能な配慮も必要かも)、面白げな文章も書いて毎日更新すればかなり売れるのではないでしょうか。じつはほとんど同じ理由から、固定客さえつけば洋書専門のオススメサイトなんかも上手くいくのではないかと思ってます。これも本末転倒ですか……
第3に、「お布施とかご祝儀だとか、そういうものだと割り切って、銭が投げやすい環境を作っておく」。
つまり、リンクのありかたについて(ここではAmazonを例に出しています)。個別商品リンクには期待しないでサーチボックスを使いやすい位置に設置しておくということが肝心。リピーター、しかし趣味は一致しない、なんてことはよくあります。「自分がオススメした本以外」が売れるものだと認識しておくのが吉でしょう。ウチは採用してませんが、OHPのページ右端に表示されてるライブリンクなんかもいいかもしれません。それでもまあ、あまり期待しないほうがよいかも。
ここまで書いておいて肝心なところを伏せておくのもなんなのでぶっちゃけますが、ウチのページの場合、bk1、Amazon 足して月あたり3,000〜5,000円くらいはいただいております。ハードカバーと漫画単行本、小説の文庫合わせてだいたい3冊買えるくらいでしょうか。これぐらいのレベルでも読書系サイトの中ではけっこう上位だと思います。中堅読書サイトではbk1、Amazon合わせても1,000円以下/月くらいなんじゃないかと推測。
ちなみに、今まで売れた商品で比較的お値段高めだったものは、家族計画 ~絆箱~ フルセット版(DVD) 、ウォークラフトIII英語版(日本語マニュアル付き)、新スター・トレックDVDコンプリート・シーズン2 ― コレクターズ・ボックス、Visual Studio .NET 2003 Professional アカデミック(CD)であります。本売って儲けるのはたいへんだな――
参考:■アマゾン:アソシエイトを語るスレ2 / アマゾンアソシエイトを語るスレ3品目
眉唾も多いですが。
追記と訂正(6/24)
bk1 については、TOPページに「自分で買っても3%分のbk1ポイントがつきます!」と書いてあるくらいで、参加サイトが自分のところから買ってポイント貯めても規約違反にあらず、Amazonアソシエイトでは規約違反となります。(参照:Amazonアソシエイト・プログラム運営規約
5.紹介料「乙のサイト上のリンクを通して始められたセッション中に乙の個人的な利用や再販または何らかの商業的使用を目的として、乙は商品を購入してはなりません」) ただまあ、bk1についても実質3%の値引きと同じになってしまうわけで、規約違反ではないものの微妙にグレーゾーンなのでは、という気がします……
昨日の段階では思いつかなかったんですが、スマートで買いやすい雰囲気である程度インターフェイスデザインも整ってるボーイズラブ系小説/漫画レビュサイトはじめて大手にのしあがれれば、たぶんものすごく売れるんじゃないかと。
03/06/24(TUE)
【単行本・小説】 ポピー・Z・ブライト(訳:柿沼瑛子)「絢爛たる屍」 文春文庫 [bk1][amazon]
「わたし」ことアンドリューはちょっとした理由からロンドンを離れてはるばるニューオリンズまでやってきた。バーからバーへとはしごしてビールとエキゾチックな街の雰囲気を楽しんだ。心からくつろいで、目を閉じると部屋が回っていて、もういちど開けると彼の顔が目に入った。その声は優しくて、鋭くて、朦朧としたわたしの意識をナイフのように切り裂いて飛んでいった。彼の名前はジェイといった。わたしたちは男で、わたしは脱獄した連続殺人鬼、ジェイは少年を犯して殺して食べる異常性欲者だった。わたしたちは理想のカップルだった。
ロンドンの少年愛殺人鬼とニューオリンズの人肉食殺人鬼が結婚するというお話で、全編、アナル! 殺人! それを喰え! 装丁はけっこう普通なんですけど、これはエグいな―― 酸鼻極まるという表現がありますが、この小説は酸っぱいよ! お耽美倒錯スプラッタ特濃風味、という感じであります。得体の知れない熱気が渦巻いていて、熱に浮かされたように読み終えてしまいました。
ポピー・Z・ブライトが1996年に発表した第3長編であるこの作品、今までの発行元から出版拒否されたといういわくつきのものだそうで、たぶんそれは、ヴァンパイアとかデーモンといった超自然的な存在を登場させなかったから。つまり、シリアル・キラーたちの行動があまりにもあんまりなので、超存在レベルになってしまっているのですね。
物語冒頭で描かれる「わたし」ことアンドリューの脱獄方法からしてすごい。「バキ」の死刑囚、「ジョジョ」の登場人物もかくや、という驚愕のイリュージョンであります。こんなの読まされた段階でこれが真っ当な小説なわけもありません。とにかくお馬鹿すぎ。
そして、そんなありえない展開が、嗅覚そして味覚を極限まで増幅したかのような官能的な文体で綴られて、甘く爛れた臭いを発する地獄へとニューオリンズの町は変容してしまいます。ニューオリンズはポピー・Z・ブライトの出身地なんですが、こんな風に自分の故郷を書くなよな――とかちょっと思ったりして。これじゃ変態妖都です。
シリアル・キラーの変態ゲイカップルのほかに登場するのもヴェトナム移民の美青年と破滅型の中年作家の同じくゲイカップルだったりして、とにかく男・男・男・男! 400ページ弱の本文中女性の台詞がたぶん片手の指で足りたりして、男の園は花盛り! であります。映画評論家、滝本誠の解説は超超超超ふるっていて、これが最後の一文。
アナル、マイ・ロンリープレイス、悲しいな。
今年の俺内流行語大賞、ランクイーン!
03/06/30(MON)
「母のアニマ、マニアの母」
「結んだハンカチ 〜ティールロヴァーとチェコアニメ〜」 観てきました。上映会場は新宿武蔵野館2・3・4。
チェコアニメの母(らしい)ティールロヴァー作品を中心に、ボーイズ編 / ガールズ編 / ファミリー編 / アダルト編 の4プログラムが用意されてるわけですが、とても全部は観られないのでとりあえずボーイズ編を。
・ クリムト「ブラッディ・ヒューゴ」
ロマンポルシェ。のロマン優光そっくりな人が鞍馬にまたがって悪行の限りを尽くすという西部劇パロディで、そんな必要性さらさらない、娘さんが洗濯するシーンまでも律儀にコマ撮りしてたのが面白かったです。小道具すべてを学校体育倉庫にあるようなものですませてるセンスも秀逸。参加メンバーの中ではこの人だけ若い人みたいです(72年生まれ)。「竹下パフォーマンス・秘芸水戸黄門」あたりの自主制作作品とパッションは共通している気もしました。
・ クリムト「金の魚」、「おじいさんの物々交換」
民話紙芝居によるチェコ老夫婦生活白書×2、でしょうか。「金の魚」が強欲で、「おじいさんの物々交換」がのんき。えんえんと同パターンを繰り返すストーリー展開に徹夜明けの睡魔が……
・ セコ「僕の友達はチクタクいう」、「本棚の世界」
「僕の友達はチクタクいう」は、捨てられたクマ人形と壊れた目覚ましがクリスマスの夜に出会って仲良くなるお話。続編「卑怯者、出てこい」もあるそうです。片足がなくて松葉杖ついてるクマ人形が、カンボジアあたりの地雷被害者みたいでちょっと痛々しすぎるのでした。本棚の中で展開するさまざまな物語を描いた「本棚の世界」もそうなんですが、ちょっと冗長に感じられる部分もあるかも。
・ ティールロヴァー「ミーチェク・フリーチェク」、「仕返しの日」、「結んだハンカチ」
いよいよ真打ち。「ミーチェク・フリーチェク」は拾ったボールを自分たちの子供代わりに育てようとする老夫婦とボールを狙う悪い凧の物語。ズルそうな顔をコロコロと変える凧と無表情にケツを突き出す老夫婦の対比が面白かったです。しかし、チェコの老夫婦が取る行動は読めません。拾ったボールを勝手に育てる老夫婦とさらって子供凧の遊び道具にしようとする母親凧のあいだにほとんど差異は見られない気がするんですが、善悪の境界はどこにあるのか? などと考えてしまったり。「仕返しの日」は個人的ベスト作。物を大事にしない子供に腹を立てた道具たちが真夜中に仕返しを図るというもの。本人ではなくピラピラした子供の写真と戦うのが面白いですね。またもコロコロと変わる表情が楽しい。色彩センスもかなりカッコいい。トリの「結んだハンカチ」はママのいいつけを意味するハンカチの結び目がそのまま遊びにいってしまうお話。「仕返しの日」もそうなんですが、柔らかい素材のものがコマ撮りで動くと不思議な感動が生まれるのでした。「二つの毛糸玉」もみたいなあ。カットの構図なんかはまだ普通。
もちろんセンスには格段の差がありますが、「夜中に人形、おもちゃなどが踊り出すだけ」(→ARTIFACT−人工事実−)という言葉がふと頭に浮かんで、あ、そうか! と思いました。妙な既視感があると思った…… クリムトはほかの作品も気になります。
【単行本・小説】 若竹七海「死んでも治らない ― 大道寺圭の事件簿 ―」 光文社カッパ・ノベルス [bk1][amazon]
現役時代に自分が遭遇した犯罪者の失策を1冊にまとめた自著「死んでも治らない」で見習いレベルの作家になった元警官、大道寺圭がまたもやお間抜けな犯人たちの行動に巻き込まれたいへん迷惑するというオムニバス・ミステリー。「死んでも治らない」、「猿には向かない職業」、「殺しても死なない」、「転落と崩壊」、「泥棒の逆恨み」の各編を「大道寺圭最後の事件」がリンクさせるというこの人っぽい趣向が凝らされてます。
どうでもいいような脇役までが妙にリアルで嫌ったらしいのがいかにも若竹七海らしく、ユーモアまじりの軽妙洒脱な筆致の裏に透けるのは解説担当の香山二三郎いうところの「ある種ノワールな世界観」なのかもしれません。それは女ハードボイルド探偵葉山晶を主人公にした一連のシリーズと共通してるかな。
ただ思うのは、たとえノワール的な世界観を持っていようと、この人の書く作品すべてはあくまでハードボイルドなのだという認識があるということ。自分基準における両者の差は「作品世界の観測系となる主人公が正気を保ってるか否か」かなあ。ひどく屈折はしているけど大道寺圭の行動には彼なりの一貫性があって、混乱してたり狂気に陥ってるわけではないと思います。
失敗暴露本に腹を立てた犯罪者が大道寺を拉致して自分が解けない謎を押しつける「死んでも治らない」、「泥棒の逆恨み」2作が好み。「転落と崩壊」ラストは夜じゃないほうが映えた気がしました。
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