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magazine さくいん(更新停止中)

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倉阪鬼一郎「田舎の事件」
倉知淳「過ぎ行く風はみどり色」
若竹七海「サンタクロースのせいにしよう」
バリー・ハナ(訳:森田義信)「地獄のコウモリ軍団」
novel さくいん

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アナザ・グリン・ヘヴン ニコニコセット編 at 新宿バビイ
住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー 第4話「謎の住人沙由里登場でドッコイ」
なるたる 第4話「影は少年の歩幅で」
おねがい☆ツインズ 第3話「他人かもしれない」
エアマスター 第18話「コスプれ! 駒田シゲオ」
グリーングリーン 第4話「女子寮でてんてこまい」
【映画】 「MATRIX RELOADED」
【映画】 「茄子 アンダルシアの夏」


 2003/8
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03/08/03(SUN)

△【麻雀】 アナザ・グリン・ヘヴン ニコニコセット編 at 新宿バビイ(→公式

 izumickさん@麻雀業界日報のお誘いをうけて、新宿バビィに出かけてきました。じつに数年ぶりのセット麻雀で、友人の少なさがうかがえます。ちょっとしんみりするお話〜 そのほかの面子は田中RXさん@「田中VS現代社会」GAMMAさん@瑪瑙の灰皿のおふたり。田中RXさんは近代麻雀ゴールド誌6月号に掲載された甲良幹二郎「強の境界線〜強者の条件」原作を担当されたかたで(参考:麻雀業界日報該当記事)、初代テキストサイト雀魔王位でもある(参考:麻雀業界日報該当記事)。テキストサイト雀魔王戦にはGAMMAさんも参加されていて(→結果報告)、こちらも優勝候補のひとりだったそうです。izumickさんは当然そういう業界のかたなわけで、つまりはきわめてレベルの高いセット麻雀でした。驚いたのは自作のルール決め用一覧用紙をわざわざ印刷して持参したizumickさんと、4人揃ったと思ったら自己紹介もそうそうにルール決め → 場決め → よろしくお願いします、というそつがなさすぎる流れ。なんて話が早いんだ! ちょっと感動しました。
 いろいろ忙しくて寝られないまま出かけたせいか(2日で睡眠時間5時間)、牌姿についてはあまり憶えてなくて、かろうじて自分の手牌に関していくつかくらい。せっかくの機会なのにいまいちですね。

 ということで最初の半荘。上家が田中RXさん、対面がizumickさんで下家がGAMMAさんだったかな。あんまりひさびさの状態で対局に向かうのもなんなので、いちおう渋谷メカバビィ行って調整したんですが、それもよく考えると2週間前のこと(例外編)、なんだかぜんぜんダメでした。
 BD な、リーチ赤愚形待ちで東1局から自信満々にリーチかけて流局。七筒3枚切れで六筒引いて平和になってもそれほど待ちが増えるわけじゃなし、一筒はすでに切ってしまってるという理由はあるんですが、初対面のかた3人相手にかけるリーチじゃないな――と手を開いて反省しました。その後俺以外の御三方がツモり合戦を繰りひろげるという展開になって、知らないあいだにひとり飛びそうな点数状況に。オーラス、親番でリーチ1発ツモ三暗刻ドラの6,000オール和了って43,000点弱のトップ目だったizumickさんが先行リーチかけたら親の田中RXさんに追いかけられて放銃、リーチ棒差で大逆転が起こって終了。ぼくは8,000点持ちのラスで蚊帳の外でした。満直して3着とかいう点棒状況だと何する気もおきません。勢いに乗った田中RXさんは2回目の半荘も逆転トップ、その後3連勝するのでした。ぼくは3着2着だったかな。いまだエンジンかからず。

 半荘4回目。
CDEFGG456678四

 こんな好形一向聴からよりによって二萬引いてちょっと考えこむ。三萬は場に1枚切れでそんなに期待できないものの、欲張ったあげく和了逃しをすることのほうが怖い気がしたのでおとなしく七筒切って聴牌とって、でも、さすがにダマ。その後、対面のizumickさんから先行リーチかかって、一瞬だけ降りようかな……と思ったんですが、ちょっとだけ押して、でもまだダマ。2順後、望外中の望外である赤五萬ひいて、

CDEGG456678二四  ツモ:赤五

 当然二萬切ってちみっと追っかけ。これで二萬五萬が当たりならばもうちょっと潜水モードですが、無事通ってしかもizumickさんから六萬で出あがり、跳満の1枚になりました。このまま逃げ切ってかろうじてトップ。これがきっかけとなってなんとか浮上できました。

 個人的な印象では、田中RXさんの打ち筋はフリー雀荘勝ち組の力強いそれで、赤ドラ組みこんだ分厚い手組みでリーチかけてツモりあがってチップと点棒回収する感じでしょうか。同じ戦術でぶつけてもちょっと分が悪そうなので、手役があって3本くらい指が折れたら欲張らずにダマでこぼれた牌を狙う作戦に切り替えました。これが功を奏したのか、最終戦を残して+70くらい、箱をかぶってもたぶんプラスで終われるくらいの貯金が残ったのでかなり気楽でした。

 最終戦オーラスの親番。トップ目は田中RXさん、点差は18,000点くらいあって、4,000オール1回じゃひっくり返りません。田中RXさんは仕掛けいれてるし、あげくizumickさんから先行リーチかかるわでちょっとあきらめムードの局面、ハイテイ直前になんとか「チィッ!」ってして、聴牌。田中RXさんのひとり不聴で流局。計算してみたら保留リーチ棒と積み棒により満貫出和了トップの状況になって、数順後この手牌。

二三四四五赤五六3467AC ドラ:四

 これならなんとかなるんじゃないのか? 点数的には食い仕掛けしても問題ないし、筒子の窮屈な形がなんとかなりすれば…… と思ってるうちに望外の三筒ツモ。さて。めちゃめちゃ欲張るならば、

二三四四四赤五六234ABC ドラ:四

二三四四赤五六3466ABC ドラ:四

 あたりねらった六索、七索落としも考えられますが、そこまでの点数はいらないし、単騎選択で迷いが残る形は失敗して和了逃ししたときの反動が怖いので(いま考えてみると最終戦オーラスですが)食い仕掛け前提でドラ1枚出て行くのもやむなしな六萬切り。5,800点に終わりませんように……と祈ってたらひょこっと五索ツモ。こっそりドラ切って聴牌。

二三四五赤五34567ABC ドラ:四

 五・八索あわせて3枚切ってた上家のGAMMAさんが3枚目の八索ツモ切って満貫の和了。逆転トップでした。わーい。

 集計表の右側を1回しか使わなかった田中RXさんがダントツで、最終戦のトップが効いた僕が総合2着、逆に最後のラスが響いたGAMMAさんが3着で、なぜかひとりハマってたizumickさんがサンドバック状態で終了でした。聴牌して自然にあふれる牌が誰かに当たってる、先行リーチしても自分の和了牌の前に追っかけする人用の当たり牌が置いてある状態で、傍からみてても大変そうでした。

 全員やたらに打ちなれてるし、なんといってもメンバー経験ある人が半数をしめるというすごい卓だったのできわめて快適でした。こんなセットはなかなかないですね。izumickさん、お誘いいただきまして、どうもありがとうございました。という感じで書きすぎてしまったのでこれにて〆。しかし、せっかくのセット卓なのに会話しながら麻雀できなくなっててちょっと上の空だったような。いろいろ興味深い話題耳にしたんですが、あんまり憶えてない。なんとも申し訳なかったです。ところで、麻雀日記は思い出しさえすればいいから書くの楽。牌譜変換用の秀丸マクロまちがって削除してしまったのでそれだけが面倒で、もう1回書くべきかも。

○【ANIME】 住めば都のコスモス荘 すっとこ大戦ドッコイダー 第4話「謎の住人沙由里登場でドッコイ」 (→公式

 大食らいSM女王様ヒヤシンス@三石琴乃登場エピソード。うーん、なんともハジけない印象の回ですが、前回のエーデルワイスエピソードがやたらにダイナミックアレンジされてただけで、阿智太郎原作を忠実にアニメ化したらこんなふうになるんじゃないのか? とか思ったりします。冒頭の長官とオギワラくんのやり取りとか、なんともいいがたいですが、あんなもんでしょう。ところで、エーデルワイス>>>栗華>小鈴=朝香>ヒヤシンス、バランスにずいぶん偏りが生じたような気が。前回やりすぎでしたね。ボンテージな女王様ルックって、記号として消費尽くされてしまったがゆえにいまや笑いの対象にしかならないのが厳しい。SM的な関係結ぶならばそもそもあんな格好する必要ないしね……というのがあるのでした。動かしたとたんにダメになるキャラ。むつかしい。沙由里(ヒヤシンス)のありえない乳揺れにも驚きましたが、目の前でペットのウサギが喋ってるのに何の反応もないのにもビックリ。梅木パパとママは洗脳されてるだけでそもそも夫婦という前提からして作り物で、だから美少女ゲームで欠けた心の埋め合わせをしようとしていたのではないか……などとちょっと怖い考えになってしまいました。

03/08/04(MON)

■book【単行本・小説】 倉阪鬼一郎「田舎の事件」 幻冬社文庫 [bk1][amazon]

倉阪鬼一郎「田舎の事件」  登場人物たちの肥大しきった自我が、閉鎖的な田舎という環境の中でぷちっとはじけてえらいことになるお話を集めた連作短編集。「村の奇想派」、「無上庵崩壊」ほか13篇を収録。

 村の期待を一身に背負った未来の大横綱を巡る顛末「亀旗山無敵」、のど自慢出演をきっかけに青年の狂気が暴走していく「頭の中の鐘」、初版奥付超美本などの言葉があまりにアホすぎる古書マニアの転落風景「文麗堂盛衰記」がよかった。「頭の中の鐘」ラストにおける処理はのちの「ブラッド」に近いものがありますね。悪趣味で、ただ楽しいだけで、とてもいいです。

 これ書いた当時はまだそんな歳でもなかったでしょうに、なんでこんなに趣味が爺むさいんでしょうか。不思議です。

○【ANIME】 なるたる 第4話「影は少年の歩幅で」 (→公式

 貝塚ひろ子たんがきた! 登場時のBGMが妙になごみ系でとほほほ……とか思う。それにしても一緒に来てって、小森くんの腐乱死体あったらどうする気だよ、シイナたんは何気に酷いな、と思われました。シイナ母とのひさしぶりの面談ですが、殺戮シーンよりもキツいですな。我が子にシイナなんて名前普通つけませんね。 「殻ばかりで実のない籾。また、果実の実らないでしなびたもの」 そら、気に入らんだろう。さとみたん高野くん須藤さん黒の子供会の面々もご登場で今回も痛々でした。これでもうちょっと動いて画面が締まってたら傑作なのにな―― なんだかんだいって目が離せないものはあります。

○【ANIME】 おねがい☆ツインズ 第3話「他人かもしれない」 (→公式

 クールな男子の周囲で自動的に展開していくエロゲ的シチュエーション。娘さんたちは勝手に妄想夢みるわ、寝ぼけてレズるは、首輪つけた巨乳副会長は釘刺しにやってくるわでえらいことであります。納期も迫ってるし。しかし、樺恋の不幸ネタをそんなふうに使いますか…… 困ったものであります。ごくごく当たり前に風呂場で説明しやがるし! 前作もそうだったんですが、これでもかとばかりにフレーズ連呼する脚本は個人的にはいかがなものかと思います。作画レベルの高さや見せ方の上手さ、萌えとエロの匙加減は抜群だと思うんですが、うーむ。

○【ANIME】 エアマスター 第18話「コスプれ! 駒田シゲオ」 (→公式

 鍛えぬいた肉体でバーチャアキラの空中コンボを具現化してみせる男、駒田シゲオ登場。原作ではただのゴツい野郎なんですが、アニメでは妙にカッコいいですな。今は前哨戦だとばかりに手加減攻撃加えて去っていったシゲオを追って雨の街に降り立ったマキでしたが、それにしても皆さん、階段を使ってください。スカイスター・カイの命を張った一世一代のギャグや、びしょ濡れで待ちぼうけ食うシゲオ(当たり前だ)、シゲオの念を上回る巨乳美奈のストーカー念波など、やたら盛り沢山な内容。その裏では金次郎のランキング参戦なんかもあったりしました。ケアリーさんはこれにて終了ですか!? シゲオくんも一瞬で消えて、ハイサヨナラ〜 展開早い早い。それにしても、「十代でもう曜日の感覚なくなってるぞ、ワタシらロッケンローラーか?」 って台詞はいいな―― 頭の悪い人がいっぱいです。次回は忍者。

○【ANIME】 グリーングリーン 第4話「女子寮でてんてこまい」 (→公式

 あれれ? ギャグのテンポがよくって面白いですよ? 3馬鹿の女子寮潜入エピソードで、まあよくあるようなアレなシチュエーションが目の前に展開します。時代を超えた(らしい)押しかけ女房、みどりたんはいささか電波すぎるのでそちらにはたやすくシナリオ分岐しない模様。潜入時にデコイにされて、双葉シナリオもこれにてバッドエンドなのかも〜 毎回思うのですが、妹の匂いで御飯いただくという発想はさっぱり理解できませんね。食欲と性欲のクロスオーバー感覚はさっぱりで、女体盛りくらいわかりません! バッチグーのシナリオ分岐もほぼ決定したようで、けっこういきなりかも。ところで、若葉たんは言葉とはうらはらにあのサボテンをちっとも大事にしてないと思うのでした。

03/08/05(TUE)

■book【単行本・小説】 倉知淳「過ぎ行く風はみどり色」 創元推理文庫 [bk1][amazon]

倉知淳「過ぎ行く風はみどり色」  これはすばらしい。なぜか文庫化に8年もかかった倉知淳の第1長編。

 オカルトに凝りはじめた老相場師が、自分の屋敷で交霊会を計画する。亡き妻の霊魂を呼び寄せて生前の邪険な扱いの数々を謝ろうというのだ。霊媒師が呼び寄せられ、霊媒師のインチキを暴こうと大学の超常現象研究家までが訪れ、北条家は騒然する。そんな折り、庭の土には水が撒かれたばかりといういわゆる「雪の密室」状態となった離れで撲殺事件が起こる。唯一の出入り口である渡り廊下も衆人環視で侵入の気配はない。悪霊のしわざという霊媒師の主張により、調査のための交霊会は決行されるが、そこでも不可能状況下の刺殺事件が……

 想像すると「おいおい、そんななのかよ……」と可笑しくなってしまうトリックの組み立てがいかにも倉知淳らしく、それは「星振り山荘の殺人」、「壺中の天国」など、この人の長編すべてに共通しているものだと思います。この作品読んだ法月綸太郎は倉知淳のことを「天然カー」を評したらしいですが、個人的には泡坂妻夫っぽいものを感じました。語りの美学で読者を煙に巻くあたり、怪奇趣味というよりは見世物感覚、魔術よりも奇術といった印象からでしょうか。
 たいそうくだらない理由により、猫丸先輩がなかなか屋敷に乗り込んでこれないまま、なぜか安楽椅子探偵になってしまうという展開はちょっとはずした感覚で面白いし、物語終盤、ようやくやってきた猫丸先輩がほぼ初対面な関係者一同の前でいきなり推理を開陳するという、かなり唐突なミステリ的お約束にもそれなりの必然性が用意されていて感心しました。後味も悪くなく、すっきり。たいへんオススメです。おセンチになったクリスティみたいなラストの展開には、ちょっと泣けてしまいましたよ。

 登場人物の口上にものすごく力入れてそうなあたりは文学的というよりは演芸的。語りの味わいこそがこの人の持ち味なのでしょう。

■book【単行本・小説】 若竹七海「サンタクロースのせいにしよう」 集英社文庫 [bk1][amazon]

若竹七海「サンタクロースのせいにしよう」  失恋ついでに不運が怒涛のごとく押しよせてきて落ちこんでたわたしに願ってもない話が舞い込んできた。一戸建てをふたりでシェアして、料理さえすれば家賃はただ。こんなおいしい話を逃す理由はない、と早々に引越しを決めてみたけれど、問題の同居人、銀子さんはたしかに気のいいお嬢さまで、しかし予想をはるかに超えた変わり者であった。

 語り手をつとめる「わたし」こと岡村柊子と彼女をとりまく人々が遭遇したちょっと奇妙な事件をあつかった連作短編集。「あなただけを見つめる」、「サンタクロースのせいにしよう」、「死を言うなかれ」、「犬の足跡」、「虚構通信」、「空飛ぶマコト」、「子どものけんか」の7篇を収録。

 個人的に気に入ったのは、「あなただけを見つめる」、「サンタクロースのせいにしよう」、「死を言うなかれ」、「犬の足跡」、「虚構通信」。ベストは「犬の足跡」、表題作の「サンタクロースのせいにしよう」でしょうか。ミステリ趣向的にもいろいろ工夫されてて楽しめます。あいかわらず超安定だなあ。語り手の「わたし」、居候先の変人お嬢さま、松江銀子、またも登場の若竹作品レギュラー、編集者の彦坂夏見、銀子の腹違いの兄である曽我竜郎、メインキャストをつとめる4人の描き方も堂に入ったもので、最終話の展開なんか「ほお」と思いながら読みました。若竹作品独特の毒テイストも健在ですが、いちおうマイルド風味に仕上げられているので比較的万人向けの作品集かも。「虚構通信」だけはちょっと異色かな? 葉村シリーズによく見られるような、その先に虚無が広がってるかのようなラストです。ところで、銀子さんは毎日何をやってる人ですか? 柊子以前の同居人というのも気になる……

03/08/09(SAT)

■book【単行本・小説】 バリー・ハナ(訳:森田義信)「地獄のコウモリ軍団」 新潮社CrestBooks [bk1][amazon]

バリー・ハナ(訳:森田義信)「地獄のコウモリ軍団」  バリー・ハナ唯一の邦訳短編集。けっきょく今週のほとんどをこれに費やしてしまいました。毒気に当てられて日に2、3篇読みすすめるのがやっと。しかし、これはなかなかすごい。しりあがり寿の手によるカバーイラストもすごいですが、内容もそれに負けてません。「老いの桟橋」、「ふたつのものが、ぼんやりと、互いに襲いかかろうとしていた」、「地獄のコウモリ軍団」、「ヤープの夜:ルーンズウェント・ドーヴァーによる報告書」はじめ、全16篇を収録。

 処女長編である「Geronimo Rex」(未訳)でウィリアム・フォークナー賞受賞したらしく、また、本作「地獄のコウモリ軍団」(原題「Bats Out of Hell」)はフランスでフォークナー文学賞を受賞(どれくらい権威がある賞なのかは不明)、フォークナー、フォークナーで、森田義信氏による訳者あとがきによれば、「南部的想像力」というキャッチフレーズでくくられやすい作家なのだそうです。でも、読んでみた印象ではむしろポストモダン以降の作家なのかな、という印象で、歪み方のセンスにそれを感じるのかも。「夜の姉妹団」 [bk1][amazon] あたりの現代短編小説アンソロジーに収録されててもいかしくないセンスです。
 フォークナー、カポーティあたりの南部作家の流れはたしかに汲んでいますが、致死量レベルの毒が混入されたためグロテスクに奇形化して、なにがなんだかわからなくなっている作品が多い。こと「毒気」のレベルでいえば、ほとんど究極であります。思い出せる限りこれに匹敵する短編集といえば、パトリシア・ハイスミス「世界の終わりの物語」 [bk1][amazon] でしょうか。ハイスミス最後の短編集である「世界の果ての物語」はあきらかに常軌を逸していた皮肉と風刺と悪意のどんちゃん騒ぎ的物語集でしたが、こちらもちょっとそんな雰囲気。ただ、やたらめったら剛速球を投げつけてくるようなハイスミス作品とくらべて、バリー・ハナのそれにはもの哀しい雰囲気もあって、そこがまた対処に困るというか…… きわめて衝撃的です。

 きわめてしらじらしいいくつかの箸休め的掌編をのぞけば、どれも傑作ぞろい。老い先短い人生をそれでも不良としてすごそうとする老人たちが集う桟橋での光景を描いた「老いの桟橋」、銃を愛好するという一点だけで結びついた、いかにもバロウズっぽい天才肌のジャンキー作家と完璧超人である引退した元天才外科医の奇妙な関係の顛末「ふたつのものが、ぼんやりと、互いに襲いかかろうとしていた」、腕一本しか残らなくて記述者となった男の綴る、五体不満足軍隊最後の戦い「地獄のコウモリ軍団」、精神薄弱者による証言:ヤープとは何か? という不気味な物語「ヤープの夜:ルーンズウェント・ドーヴァーによる報告書」、叶姉妹の片割れみたいな美人妻のオナニー現場を目撃してしまった夫の衝撃をえんえんと描いた「モナは二階でアレを欲しがる」、詩人としての才能を持ちながら次々と不毛で陳腐な行為をくりかえす息子を眺めるしかない父親の心情「よう、煙草と時間とニュースと俺のメンツはあるかい?」、チェスを指してる時だけオカマ化する借金まみれの父親を見つめる子どもの視線「ニコディマスの断崖」、どれもよいです。なんとも形容しがたいすさまじいお話ばかり。

03/08/10(SUN)

○【映画】 「MATRIX RELOADED」 (→公式

 いまごろ! いまごろみてきました。正直、かなりヘンテコ映画だと思いますが、意外なほどに楽しめて、期待することもないまま、なんとなく観たのがよかったみたい。禅問答 → 奇天烈バトル → 禅問答 → 奇天烈バトル → (くりかえし) でした。
 最初のほう寝ちゃいそうでしたが、100人スミス大暴れ以降はげらげら笑いながら観ることができました。そもそもあのキーメイカーの存在といい(最高!)、狙ってやってるとしか思えないものがあります。キーメイカーが画面アップになるたび大爆笑でした。しかし、彼のフィギュアはないんですよね……
 そもそも第1作からして、陳腐極まりない設定を独特な映像センスとデザインでカッコいいものだと錯覚させた作品のような気がしていて(だからかえってヒットしたのだと思う)、そのセンスがインフレーションを起こせばこうなるのは必然という気がします。しかし、それにしても、物語序盤の群集レイブやら夫婦の人情話やら存在理由が意味不明なシーンが多すぎですね。なんでしょう、これは? そもそもザイオンパートのデザインセンスからして好きじゃないのでした。だって、なんか、ダニっぽい。

○【映画】 「茄子 アンダルシアの夏」 (→公式

 黒田硫黄の茄子テーマ短編集「茄子」1巻 [bk1][amazon] に収録された作品「アンダルシアの夏」を劇場映画化したもので、世界有数の自転車レースであるスペインの「ヴエルタ・ア・エスパーニャ」に挑むレーサーと、レース当日結婚式を迎える彼の兄貴、その花嫁、3人の関係を中心として、スペインはアンダルシア地方で生きる人々の姿を描いた物語であります。

 あまりに普通のカットが多すぎて、正直「うーむ」とか思いながら観てしまったわけですが、レース終盤、市街地に突入してからは嘘のように盛り上がって、よかった、よかった。黒田硫黄自ら原画担当していたカットは一目瞭然でした。ただ、なんとなくぴんとこない点は多くて、どうせ原作アレンジするならば酒場の親父の歌とかカッコいいゴーグルとかそういうのは削ってライバルキャラの掘り下げしてみるとか、やりようがあった気がします。エンディングの忌野清志郎にはちょっとガッカリ。アンダルシアの気分のまま終わらせてくれればいいのに…… 結婚式のフラメンコシーンももうちょっとキレが欲しかった気がします。動画枚数が少ない。あとは、小池栄子かな―― ぺぺさんはもうすこし禿げてるほうがよいようです。カッコよすぎ。全体的にちょっと微妙な出来でしょうか。

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